この世界にはまだ子供なのにとても名の知られているトレーナーが3人いた。
一人は伝説のトレーナーの息子で、現在ハナダシティのジムリーダーのファイア。
一人はオーキドの血筋を受け継ぐ者、マサラタウンのアクア。
そして、一人は若干15才ながら四天王の座に君臨する少女、クチバシティのテレナ。
この三人はトレーナーの中でも一目置かれる存在だった。
たった一つの行路 №094
3
―――場所はうってかわって……
「えっ!?ここって何……?ポケモンリーグの本部?」
「本部って言ったら……スタジアムがある場所?それなら、ここでポケモンリーグが開かれるんだな!?」
「う~ん……どうでしょう……。ところで皆さんはどこでしょう?」
ツインテールで右腕にスナッチリングをつけた少女カレン、帽子を被って肩にピカチュウを乗せた少年サトシ、そして、サラリとした長い髪の女性オトハがそれぞれ言った。
「どうやら、ばらばらになっちゃったようね。セレビィとミュウはそれぞれ自分の手元にいたから、問題ないとして、帰るとしたらマサトを探さないとね」
「そんなことよりさ!ポケモンリーグの本部があるんだから入ってみようぜ!」
「そうですね」
「ちょっと!サトシ!オトハさん!!」
カレンの話を聞かず、2人はポケモンリーグの本部に入っていった。
すると、警備員の人が話しかけてきた。
「君たちは四天王に挑戦かい?」
「四天王!?はい!挑戦したいです!」
「私はどちらでもいいですけど……」
「だから、勝手に話を進めないでってばッ!!」
カレンが2人と警備員の中に割って入った。
「私たちはエースを探しに来たんでしょ!四天王なんか相手にしている場合じゃないでしょ!!」
「“四天王なんか”ですって?」
「「「?」」」」
すると、カレンの後ろからセンスを持った女の子が姿を現した。
年齢は17歳くらいだろう。
「あなた、凡人の癖に四天王をバカにするなんて許さなくってよ!」
「(凡人?)あんた誰よ!!」
「私?私は四天王の一人、IQ180の天才美少女のテレナよ!!ホホホ!」
「IQ180!?すごいです!!」
オトハが素直に驚く。
「……普通自分で天才美少女とか言う?」
「凡人には私の素晴らしさがわからないようね!はぁ……凡人って罪ね……」
そういわれて、カレンはカチンとした。でも、怒らずここはこらえた。
「オトハさん……」
「サトシ君……何ですか?」
「IQって新しいポケモンですか?」
ピカチュウはサトシの肩から滑り落ちる。
いや、そんなはずないだろ。と誰もがつっこむことだろう。
「ホホホッ!!傑作だわ!まさかこんな凡人たちがここまで来れたなんてきっと運がよかったのでしょうね!」
「腹立つわねッ!!それならバトルするわよ!!」
「え……?カレンちゃん?」
「オトハさん!止めないでください!」
さっきと逆で、止める側と止まらない側が入れ替わっていた。
「言ったわね?私たち四天王にバトルを挑んだことを後悔させてあげるってよ!」
ビシッ!とカレンにセンスを突きつけるテレナ。
「カレンちゃん……」
「あそこまで言われたら、バトルするしかないでしょ!!」
「四天王なら俺もバトルしてみたいと思っていたからな!丁度いいぜ!」
「みんながいいのならいいですが……」
「あっそうだわ」
テレナが指をさして言った。
「あなたたち、凡人そうだから、あなたたち全員で私たちにかかってきなさい。バトルするときは1対1だけど。でも、同じことね。最初の一人で全滅させてあげるわ!」
そう言い残して、テレナは奥へと消えていった。
「ほんとに頭にくるわッ!!」
どうやらカレンはテレナのことが心底嫌いになったようだ。
「四天王か……面白くなってきたな!」
サトシは強敵との戦いに腕を鳴らしている。
「でも、戦力的には……こちらが一人不利ですね」
オトハがのんびりとそういうと、ポケモンリーグの玄関に入ってきた少年がいた。
「話は聞きましたよ」
「!?」
3人ともその少年の方を振り向いた。
白のニット帽を被り、Tシャツにファスナ付きのグレーのシャツと黒のジーンズを履いている一見、美少年だった。
「誰?」
カレンが警戒して尋ねる。
「実は自分も四天王のある人とバトルしたくてここまで来たのです。もしよければ、自分も仲間に入れてもらえませんか」
「いいぞ!」
「かまいませんよ」
サトシとオトハは快く了解した。
「だから、何で2人ともそう簡単に決めちゃうのよ!!……けど、そういう理由なら別にいいわ。私はカレン。あなたの名前は?」
「自分はアースと申します。よろしくお願いします」
こうして、カレン、サトシ、オトハ、アースは四天王と激突することになってしまった。
―――10分後。
「なるほど……つまり、オトハさんたちはエースと言う人を探しにこの世界に来たということですか……。実に面白い話ですね」
「作り話じゃないですよぅ。私たち、ミュウとセレビィとジラーチの力を使ってこの世界にワープしてきたのです」
オトハがアースに今までの事情を話していた。
しかし、そのワープしてきたと言う事実がどうもアースには信じられないらしい。
「ところで、アースさんはどうして四天王とバトルしようと思ったのですか?」
片腕を背中に回してもう一方の腕を掴んだ格好で首を少し傾けてオトハはアースに尋ねた。
そのかわいらしい仕草に見とれそうになったアースはふと顔を赤くして視線を外した。
美しさにかわいらしさを重ね合わされることでオトハの魅力は引き出されている。
「う~ん……目標だからかな?」
「目標ですか……?」
「そう。自分には『美しいポケモンバトル』をするという夢があるのです」
「美しいポケモンバトルですか?」
「美しいポケモンバトル?」
オトハとその話に興味を持ったサトシはアースを見た。
「そうです」
「それってどんなポケモンバトルなんだ?」
「美しいポケモンバトルをするならコンテストバトルがあるじゃないですか?」
オトハが言うとアースは首を横に振った。
「コンテストじゃダメなのです。ポケモンの本来の目的はバトルをすることです。コンテストは後から出てきたものなのです」
「先後関係ないんじゃないか?」
「ともかく、極限のバトルによって感じる感動こそが美的バトルであるのです!だから、自分は四天王の中でも一番美しいと言われるア 「ちょっと!!さっきから私のこと無視しないでよ!!!!」
アースの言葉を遮って、カレンが大きな声で言う。
「オホホ!凡人のあなたのことなんて誰も気にしなくってよ!」
「気にしていないのは私じゃなくて、私とあんたのバトルでしょ!!」
「!!……凡人の癖に私にツッコミを入れるとは生意気よ!」
カレンの一言にムッとくるテレナ。
今、カレンとテレナはバトルをしていた。
お互い最初のポケモンがカレンがオオスバメとテレナがピカチュウで互角の勝負でドローになっていた。
しかし、そのシーンは見事にマイペース3人組によって妨害されてしまっていたのだ。
「まぁでも、あなたが凡人の中でも少しやる方だということはわかったわ!ここから本気で行かせてもらうってよ!!」
「それはこっちのセリフよ!!」
カレンがプラスルを繰り出して一直線上の電撃を繰り出す。
マイナンがいないとは言え、弱点を持ったポケモンなら致命傷を与えるような電撃だ。
「その程度の攻撃は効きませんことよ」
「!?」
電撃が直撃したものの、テレナが繰り出したポケモンはダメージを受けていなかったように見える。
そのポケモンは、UFOのように円盤型をしているが、頭にアンテナのようなものがついている。そしてかつて進化前に3匹だった名残を残していた。
「ジバコイルね……プラスル!」
再び電撃で攻撃を繰り出す。
「オホホ!無駄よ!『ミラーショット』!!」
プラスルの攻撃を受け止めて、輝く玉を弾き出す。
「そんなのかわしてあげるわよ!!」
ズガンッ!!
「えっ!?」
完璧に避けたと思っていた攻撃はプラスルにヒットしていた。
「私の使う『ミラーショット』は100%相手に当てるわ。全ては私がIQ180であるゆえのことなのよ!オホホッ!」
「まだやられてないわよ!!プラスル!『電光石火』!!」
「無駄。『ミラーショット』」
電光石火で素早く動いて、相手の攻撃をかわす作戦だったのだが、それもジバコイルの攻撃の正確さの前には無駄に終わってしまった。
「っ!?プラスル!!」
「凡人のあなたが私にかなう道理がないわ」
「言ったわね!!ブーバーン!!」
今度はタマゴのときから育ててきたブーバーンを繰り出した。
相性はいいが……
「『オーバーヒート』!!!!」
「残念だけど、そんなの予想済みよ」
「!!」
ジバコイルの前にキラリと光る壁が生じてそれが炎をまるごと跳ね返した。
それをかわそうとしたのだが、ダメージは免れなかった。
「くっ!!」
そして、ミラーショットが再び襲い掛かる。
しかし、攻撃の軌道は明らかにブーバーンに向かっていなかった。
「(これなら命中しない!?反撃よ!)」
「反撃なんて出来ずに終わるわよ?」
「えっ!?」
ミラーショットが空中で跳ね返ってブーバーンに命中した。
「いったい何なの!?空中で反射した!?」
「……あら、意外にタフなのね。これでどうかしら?『ミラーショット』×2!!」
同じようにミラーショットを放つ。
しかし、違うのは同時2発放ったというところだ。
「ブーバーン!『火炎放射』と『炎のパンチ』!相殺して!!」
ミラーショットはまた跳弾して、相殺しようとした火炎放射を掻い潜り、ブーバーンへとヒットした。
同時に炎のパンチもミラーショットをかすっただけで、結果的には2つの攻撃が同時に命中して倒れた。
「そんな……ブーバーン……」
唖然としてブーバーンを見るカレン。
「カレンが一方的に押されはじめた!?」
「あのミラーショットをどうにかしないと勝ち目はなさそうですね」
サトシとアースがそれぞれ言った。
「それにしても、何であのテレナの攻撃は命中するんだ!?」
「それにミラーショットが飛び跳ねるからくりも気になりますね……」
「それはアレじゃないですか?」
オトハの言葉に耳を傾ける2人。
「テレナさんはIQ180だからですよ」
だから?という顔をした2人だった。
「くっ!それなら、メガニウム!『葉っぱカッター』!!」
カキンカキンカキン!
「えっ!?」
葉っぱカッターが命中して金属の音がした。
あまりにもあっさり攻撃が入ったのでカレンは驚いていた。
テレナは何も言わずにジバコイルを戻した。
「フーディン!『サイコキネシス』!!」
強力なエスパー技がメガニウムに襲い掛かる。
足を踏ん張って耐えていたが、吹っ飛ばされた。
「そう簡単にはやられないわよ!!『マジカルリーフ』!!」
「『サイコカッター』!!」
攻撃は相殺されるが、フーディンの足元から根っこのようなものが数本も飛び出した。
「『ハードプラント』!!」
攻撃はそのままヒットして一撃でフーディンをノックアウトしてしまった。
テレナは少し意外そうな顔をしていた。
「あら、凡人の癖にマジカルリーフを囮に使ってくるなんて、この天才でも思ってもいなかったわ」
「とことん……舐められてるわね!!」
カレンは一旦、メガニウムを戻して蜘蛛のようなポケモン、アリアドスを繰り出した。
一方のテレナは蛾のようなポケモン、モルフォンを繰り出した。
両者ともに技の応酬が始まる。
だが、攻撃は相殺されるか、かわされるかのどちらかだった。
でも、アリアドスもかわしているため、状況は五分五分だった。
「(基本技じゃキリがないわ!!)アリアドス!一気に行くわよ!」
「やれるものならやってみなさい!」
すると、モルフォンはシグナルビームを繰り出す。
だが、アリアドスはそれ以上の威力を持った攻撃で打ち破った。
「!!」
「どうよ!ローガン流『シグナルレーザー』よ!!」
モルフォンは右の羽根に傷を負った。
「へぇ……やるじゃない……だけど……」
「(まだやる気!?)アリアドス!『マグネードウェブ』!!」
モルフォンが傷つきながらも動くこと気づき、アリアドスが『蜘蛛の巣』を攻撃技のように3つ吐き出した。
当たると身動きが取れなくなる技である。
「その程度!?」
「な!?」
モルフォンが繰り出したヘドロ爆弾で防御した。
連続で繰り出し、全ての攻撃を防いだ。
「終わりよ!『虫のさざめき』!!」
ハネから繰り出されるさざめきがアリアドスを襲い、一撃で吹っ飛ばしてしまった。
「くっ!」
「ハネを怪我しちゃっているから、モルフォンはもう戦えないわね。あとはこの子が相手してあげるわ」
「それならメガニウムよ!!」
テレナがエレキブルを繰り出したのを見て、メガニウムが『葉っぱカッター』を繰り出す。
だが、あっけなく素手で弾き飛ばしてしていく。
「その葉っぱカッターの連射能力は褒めてあげるけれど、この程度じゃエレキブルは止められなくってよ?」
「まだよっ!!」
「……ダッシュ!!」
「っ!!メガニウム!?」
葉っぱカッターを横にかわしたと思うと、とんでもない瞬発力でメガニウムに接近して殴り飛ばした。
「へぇ……本当に凡人の癖にタフね」
メガニウムは立ち上がる。
そしてカレンはニヤリとした。
「人のことを凡人凡人と……うるさいわよ!!メガニウム!『ソーラービーム』!!」
葉っぱカッターをしながら溜めていたソーラービームだ。
しかし、それをテレナに気づかれていることはわかっていた。
そのためにテレナはソーラービームを撃たせまいと一瞬でケリをつけようとしていたのだろうとカレンは考えていた。
だけど、一瞬でメガニウムを倒すことは出来なかった。
そこがカレンの狙い目だと考えた。
攻撃を耐え切って、カウンターのソーラービームを狙うと……。
「!?」
だが、ソーラービームの光が消えたとき、エレキブルは平気でそこに立っていた。
「『守る』よ。凡人にしてはなかなか考えた戦法だったじゃない?私の心理を読んだのでしょうけど、想定済みなのよ。『冷凍パンチ』!!」
「メガニウム!『ハードプラント』!!」
だが、エレキブルは先ほどの瞬発力でメガニウムに近づいて氷漬けにしてしまった。
「くっ!カメックス!!『ハイドロポンプ』!!」
「あら?最後のポケモンはその子かしら?哀れね!オホホホッ!」
『かみなり』がカメックスに命中する。
そして、止めを刺さそうと接近した。
しかし、カメックスは甲羅にこもってスピンをしてエレキブルに体当たりをして弾き飛ばした。
「カメックス!『ハイドロカノン』!!」
「オホホホ!必死ね。エレキブル!!」
エレキブルも『かみなり』繰り出して最大の技が激突した。
「なかなか強かったけど、所詮は凡人。IQ180の天才美少女テレナには敵わなくってよ?」
「くっ……」
カレンは肩をがっくりと落としていた。
最終的には、カメックスが電撃を受けながらも繰り出した最大技でエレキブルと相打ちに持ち込んでいた。
だが、テレナはまだ2匹残していた。
結果、カレンは負けたのである。
「どうかしら?凡人と天才の違い……思い知ったかしら?」
「…………」
何も言えず、頭が上がらないカレン。
「テレナさん……強いですね……」
「これが……四天王か……」
「なるほど……。やはりお強いですね」
オトハ、サトシ、アースが順々にそう言った。
「ごめん……みんな……私……負けちゃった……」
カレンがみんなに顔を向けずそうつぶやいた。
「大丈夫ですよ!後は私たちが何とかしますから。別に負けても失うものなんて何もないのですから」
「むしろ、ここまでカレンさんがお強かったのは自分は予想外でしたから」
と、オトハとアース。
「ところで、次はどの凡人さんが相手してくれるのかしら?」
煽るテレナ。
すると、帽子のツバを後ろに向けて少年が前に出た。
「カレン、そんな落ち込むなって!後は俺がテレナと戦う!!」
「サトシ……」
前に出たのはサトシだ。
「ちょっと待ってください。ここは私にやらせてください」
「え?」
サトシの肩をつかんで止めるのはオトハだった。
「四天王は4人いるのでしょう?それなら、まずサトシさんは後の方が私はいいと思います」
「何でですか?」
「なんとなくです」
「なんとなくって……(汗)」
すると、オトハが前に出た。
「あら?今度はお姉さんが相手してくれるのかしら?」
「ええ。今度は私が相手になります。よろしくお願いしますね」
オトハはにっこりとお辞儀をしてテレナに話しかける。
「!?」
不意にテレナはビクッとして一歩足を引いてしまった。
「(一体今の感覚は!?あのにこやかな笑顔の裏に隠されているあの女のオーラは何!?……あの女……凡人じゃない!?)」
「行きますよ。チャーレム」
「(どっちにしても……)チャーレムなんて私の敵じゃなくってよ!ルカリオ!!」
出してチャーレムに向かっていくルカリオ。
連続でジャブを繰り出していくが、チャーレムはするすると流れるようにかわしていく。
「(どうして!?相手の動きを読んでいるはずなのに……何で当たらないの!?)ルカリオ!!『波動弾』!!」
掌に溜めたエネルギーを放つとチャーレムにそれが命中した。
「これでどう!?…………えっ!?」
しかし、次の瞬間にはルカリオの腹に蹴りが決まっていた。
そして、地面を転がっていき、壁に激突……ルカリオはダウンした。
「(どうして!?波動弾を受けたのにもかかわらず無傷なの!?)」
「残りはジバコイルだけですね」
そういい、チャーレムを戻すオトハ。
「オトハさん凄い……」
「あのチャーレム……美しい」
「え?アースには見えたのか!?」
「波動弾を打ち消してしまったのです」
「打ち消した!?どういうことだ!?」
「ルカリオがやられたからって負けたわけじゃなくってよ!ジバコイル!『ミラーショット×2』!!」
テレナの一番のポケモンはジバコイルだった。
何より、このジバコイルにカレンは全く歯が立たなかった。
そんなミラーショットの2連射がオトハに襲い掛かる。
フッ、フッ
「えっ!?」
また同じ現象が生じた。
「(ミラーショットが消えた!?なんで?)」
オトハが繰り出したのは、ルカリオ。
そのルカリオにまったくダメージの形跡はない。
「それなら、これでどう?『ミラーショット×3』!!」
同じく三連ショットがルカリオとオトハに襲い掛かる。
「避けられるものなら避けて見なさい!」
「行きますよ?…………」
深く深呼吸をして目を瞑るオトハ。
一方のルカリオも同じように目を瞑っていた。
しかし次の瞬間……
「えっ!?」
テレナとジバコイルの背後にルカリオが回りこんでいた。
オトハはというと、その場でミラーショットをするするとあっけなくかわしていた。
全く無駄のない動きだった。
「う、美しい……」
とアースはつぶやく。
そして、強烈な波動弾がジバコイルに炸裂。
「…………月舞踊『桜舞<おうぶ>』です」
誰が予想しただろうか……?
気付けば呆気なく片がついてしまった。
しかも、オトハのポケモンは一回の攻撃も受けなかった。
「終わりました♪」
すると、オトハのルカリオは姿を変え始めた。
実はそのポケモンはルカリオではなく変身を得意とするメタモンだったのである。
「お、オトハさん……強い……」
「美しいです……!!あのテレナを残り2匹とはいえ一方的に倒してしまうなんて……!!」
サトシとアースがそれぞれ言う。
「ところで、オトハさん……ミラーショットが跳ね返る原因は分かっていたんですか!?」
「『ミラーショット』の弾道変化は恐らく、見えない光の壁を使っての反射。そして、技を返すのはミラーコートという反射技だと思います。あくまで予想ですけど……」
「そうだったのか……」
オトハはテレナを見た。
「ありがとうございました。いいバトルでした」
オトハはテレナに手を差し伸べる。
「一体……あなた何者なの……?とても凡人には見えないわ……」
「私は踊り子のオトハです。天才でも美少女でもない普通の女の子ですよ?」
ニコリとオトハは微笑みを送ったのだった。
第二幕 Dimensions Over Chaos
VS四天王① ―――超電脳テレナ――― 終わり