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たった一つの行路 №062

/たった一つの行路 №062

 これはヒロトたちがロケット団とダークスターを壊滅させる2年前の話。
 すなわち、年号で言うとピース14年の話である。
 カントー地方のマサラタウン。
 ここにはカントー地方で最も有名な研究所がある。
 その研究所とはオーキド研究所のことだ。
 オーキド博士は、現在素晴らしい功績を残しているらしく、その実力はラジオで講義するほどだ。
 そこには一年前から研究所にやってきたケンジという助手もいる。
 彼はオレンジ諸島でサトシという少年と出会った。
 サトシがオーキド博士の知り合いだと知って、一緒にオレンジ諸島を旅するのを付き合っていた。
 サトシがオレンジリーグで優勝した際に戻ってきた時からケンジはオーキド博士直々に助手にしてもらったのだった。



 たった一つの行路 №062
 エースとライトの出会い(前編)



「はあ、疲れた」

 ケンジは研究所内にいるポケモンたちに昼食を与え一段落したところだった。
 中でも、サトシのポケモンは凄まじかった。
 カビゴンは匂いに釣られて襲ってくるし、ベトベトンはのしかかってくるしで、ケンジは大変だった。
 疲れてリビングでお茶を飲みながら、旅をはじめてから今まで書いたスケッチを見ていた。

「あ、これは……」

 ケンジの動かす手が止まった。
 そのページには仲の良さそうなヒノアラシとアチャモが書かれていた。

「そう言えば……あの二人元気かな?無事に旅をしているといいけど……」

 そう言いつつ、ケンジは3年前のことを思い出した。



 ―――ピース11年。ホクト地方のとある場所
 ケンジはドードリオに乗って険しい山を歩いていた。

「ああ……どこかにポケモンはいないかなぁ?」

 ケンジはポケモンウォッチャーである。
 ポケモンを見つけては遠くからポケモンをスケッチしていた。

「うん?」

 草むらに何かがいた。

「(そこにポケモンがいるのか?)」

 そう思って近づくとニドラン♂とニドラン♀を見つけた。

「ポケモン見っけ!観察させてもらいまーす!」

 すると、じゃれあっているニドランたちをスケッチしていった。
 ケンジの絵は誰が見てもそっくりにスケッチされていた。
 ケンジはいつもこの調子で旅をしていた。
 そう、あの二人に出会うまでは……。



 ―――数週間後
 ケンジはまた別の山でポケモンの観察をしていた。
 今日はマダツボミやナゾノクサと言った草ポケモンをスケッチしているらしい。

「うん!今日はこの辺りで切り上げよう!」

 そう言ってポケモンセンターへ戻ろうとした。
 ポケモンセンターはケンジのいるところから30分程度歩いたところにある。
 ちなみにこの辺りにはポケモンをつかって脅してくる山賊がいると言う話だったこともあってケンジは早めに切り上げたのだ。
 そこへ話し声が聞こえてきた。

「もう!ここはどこなのよー!」
「知らないよ……。一応ポケナビで確認したけれど全然位置がつかめないんだ。どうしようもないさ……」

 ケンジは声のする方へ行ってみた。
 そこには見た感じお似合いカップルがいた。

「「一体ポケモンセンターはどっちだ――!?」」

 二人の声がハモった。

「あの……」
「「うん?」」

 ケンジは恐る恐る話し掛けた。

「ポケモンセンターなら僕、場所知っているよ」
「本当か?」
「よかった!今日は野宿しなくて済むわ!」

 2人は喜んだ。

「僕の名前はケンジ。君たちは?」
「私はライト!」
「俺はエース。案内よろしく」

 ケンジが2人をポケモンセンターに連れて行こうとするとまた今度は大きな声で誰かが3人を呼び止めた。

「おい!そこのガキども!」

 3人は振り返った。
 そこにはいかにも人相の悪い5人組がいた。

「なぁ、そこのお前ら!有り金とポケモンすべて出しな!」
「(う、うわぁ……こいつらが噂の山賊……!?)」

 ケンジはビビって声が出ない。

「何言ってんだ?」
「嫌に決まっているじゃない!!」

 エースとライトはあっけらかんと答えた。

「じゃあ、ケガしても知らないぜ!」

 そういって、リーダーのカイリキーを中心にスピアー、マンキー、カラカラ、ドガ―スを出してきた。

「やれ!」

 そう指示されてポケモンたちは動き出そうとした。
 エースとライトも一匹ずつポケモンを出した。
 とそのとき……。

「ストーップ!」

 ケンジが割って出た。

「何だ?お前?」
「ちょっと失礼!」

 そう言ってケンジは山賊のポケモンたちを計りはじめた。

「うーん……どうやらこのポケモンたち育てがなっていないな!標準よりも育ちが悪い!」

 ケンジのその一言で山賊たちはキレた。

「何だとてめぇ!まずはお前からだ!やれ!」

 リーダーに指示されて、したっぱの4人が総攻撃してきた。

「うわ~!」

 ケンジは身を屈めた。。
 しかし、ポケモンたちはケンジの前にきた時弾き飛ばされた。

「なんだ。本当に弱いな……あの山賊。ケンジの言うとおりだ」
「『見かけだおし』ってまさにこのことね」

 ケンジの前にはエースとライトのポケモン、ヒノアラシとアチャモがいた。

「す、すごい……この二匹……今まで見た中でもよく育てられている……」

 ケンジは観察を始めた。

「ぬわー!!よくもやったな!!カイリキー!『爆裂パンチ』!」
「アチャモ!『でんこうせっか』で回り込んで『気合だめ』!」
「ヒノアラシ、動かなくていいよ」

 アチャモはカイリキーの動きを見て後ろに回りこんだ。
 一方、ヒノアラシは全く動く気がない。そして、あくびをしている。
 それにもかかわらず、カイリキーはまったく動いていないはずのヒノアラシに爆裂パンチを当てることができなかった。

「な、なに!何しやがった!!」
「何もしていない。爆裂パンチの命中率は低い。そう簡単には当たらない。それくらい普通分かるだろ?」

 エースはカイリキーの爆裂パンチが当たらないことを見切っていた。

「そのまま火炎放射だ」

 ヒノアラシは背中の炎を燃やし口から炎を吐いた。
 カイリキーは火炎放射に押されて後退した。
 後退した場所にはアチャモがいた。

「一点を狙って『つつく』!」

 火炎放射で押された威力+『つつく』、しかも気合だめの効果で強力な攻撃になった。
 そして、カイリキーは有無も言わず倒れた。

「な!よくもやったな!覚えてろよー―!!」

 山賊たちはポケモンを戻して、来た道を戻っていった。

「すごいね!君たちのポケモンよく育てられているよ!」

 ケンジは絶賛した。

「そ、そんなに褒めても何も出ないぞ」

 エースは言葉ではそう言っているが表情は結構うれしそうだった。

「君たちはこれからどこへ行くんだい?」
「ジムがある町よ!私はジムバッジを集めてホクト大会に出るの!」
「俺はホクト地方をぶらついているだけだ。ということでライトのジムバッジ集めに付き合っている」
「そうなんだ……。じゃあ僕も一緒に行っていいかな?君たちのポケモンに興味があるんだ。いいよね?」
「俺はかまわないよ!ライトは?」
「エースがいいのなら構わないわよ!」
「ありがとう。それじゃあ、まずポケモンセンターに行こう!」

 3人は一路ポケモンセンターに向かった。
 ケンジはこの2人は何か特別な感じがすると感じた。
 でもそれが何なのかは分からなかった。
 分かったのは実際この2人はダブルバトルでも強いと言うことがわかったと言うことだった。
 それはケンジが2人に出会って、数ヶ月後のことだった。
 ケンジ、エース、ライトはジムのある町に来ていた。
 ここのジムはダブルバトルだった。
 ライトは大会に出るためだといってジムに挑戦し勝った。
 エースもダブルバトルならやろうといってジム戦に勝った。
 ちなみにこの時点でライトはバッチ6個。
 エースはバッチ3個だ。
 エースは気まぐれにジム戦をやっているようだ。
 そのジム戦が終った後三人は数日間町にとどまった。
 そして三人が町を出ようとすると、ある姉弟がバトルを申し込んできた。



「俺の名前はショウ」
「私の名前はユウコ。2人でダブルバトルマスターを目指しているのよ!」
「というわけで、俺たち姉弟とタッグバトルをしてくれないか?」

 いきなりの申し出に3人は戸惑った。

「それはいいけど誰と誰が組もうか?」

 エースがライトとケンジに聞いた。

「そんなの決まっているじゃないか!僕はあまりバトルが得意じゃないから、エースとライトでいいじゃないか!」
「いいわよ!やりましょう!エース!」
「(おいおい……仕方がないな……)ああ。いいよ」

 エースは気が進まなかったものの、成り行きでバトルを受けることになった。

「バトルは2対2のタッグバトル!2対戦闘不能にさせた時点で勝利決定です」

 審判はケンジがやっている。
 それぞれポケモンはショウとユウコがエレブーとマリルリでエースとライトはマグマラシとワカシャモである。

「それでは試合はじめ!」
「先手必勝よ!『でんこうせっか』からマリルリに『にどげり』!」
「エレブー!割って出て『まもる』だ!」

 ライトの先制攻撃がエレブーの防御によって防がれた。

「マリルリ、『水鉄砲』!」
「かわして!」

 ワカシャモはかなり素早く、マリルリの水鉄砲は当たらなかった。

「エレブー!『雷パンチ』だ!」

 ワカシャモは水鉄砲に気を取られていて、雷パンチを受けてしまった。

「結構効くわね……ってエース!タッグバトルなんだから戦ってよ!」
「ああ。(ライトだけで十分かなと思っていたけど……あの2人本当に強いようだ……)」
「そろそろ本気で行くわよ!マリルリ!『あまごい』!」
「まずい!止めないと……ワカシャモ、でんこうせっか!」
「エレブー!でんこうせっかだ!」

 でんこうせっかとでんこうせっかがぶつかった。

「ならば、『ブレイズキック』よ!」
「エレブー!『光の壁』だ!」

 ワカシャモのブレイズキックは光の壁により威力が半分しか出なかった。
 その間に、雨が降りはじめてきた。

「ショウ!今よ!」
「ああ!エレブー!『かみなり』連発だ!」

 あまごい+かみなりは確実に当たる常識のコンボ技である。
 かみなりは命中率70パーセントだが雨が降っていると確実に当たるのである。

「ワカシャモ!こらえるのよ!」

 エレブーの連続攻撃が続しているがワカシャモは何とか耐えている。

「あれ?マグマラシはどこへ行った?」

 ショウとユウコが目を離しているうちにマグマラシがいなくなっているのに気づかなかった。

「今だ!行け!」

 エースが指示を出すとマグマラシがエレブーの下から飛び出してきた。

「あ、『あなをほる』攻撃か!」
「いくら、あまごい+かみなりと言えどもあなにもぐっていれば受けることはない。マグマラシ、マリルリの前に『煙幕』だ」

 煙幕はマリルリの視界を奪った。

「マリルリ!早く煙幕を出て!」
「今のうちに『にほんばれ』!」

 にほんばれによって今まで雨が降っていたのが、急に日差しが強くなり始めた。

「(炎攻撃を受けてはまずい!)『光の壁』だ!」

 ショウは念を入れて光の壁を張った。

「そうはいかないわ!ワカシャモ!『かわらわり』!」

 光の壁はあっけなく破れた。

「しまった!」
「マグマラシ!『火炎車』!」

 マグマラシの火炎車はエレブーを吹っ飛ばすほどの威力だった。
 そのまま、マグマラシは火炎車の状態でマリルリに突っ込んだ。

「効かないわよ!マリルリの特性は『厚い脂肪』。それに属性の防御も含めるとたいしたことないわよ!」
「ライト!今だ!」
「もうやっているわよ!」

 なんとワカシャモはいつの間にかマリルリの横にいた。

「しまった!マグマラシはおとり……!?」
「ワカシャモ!『気合パンチ』よ!」

 ワカシャモは渾身のパンチをマリルリに当てた。

「エレブー、マリルリ、戦闘不能!マグマラシ、ワカシャモの勝ち!」
「強い!今まで戦ったどのトレーナーよりも強いよ!」
「ええ。私たちまだまだ修行不足だったわ」

 ショウとユウコが口をそろえて言った。

「いやあ、見ていて迫力あったよ!4人のバトルは!観察させてもらいました!」

 ケンジが満足そうに言った。

「今まで戦ったって……大げさだな」

 そうはいっているが、エースは少し照れている。

「私たち、これからもいろいろなところでダブルバトルを極めるから、また会ったらバトルしてくれない?」
「「もちろん!」」

 2人の息が合った。

「それにしても……」

 ショウが聞いた。

「ライトとエースってどんな関係なの?」
「って!余計なこと聞かないの!さあ行くわよ!」

 ショウとユウコはそのまま新たな町へ行ってしまった。

「そう言えば僕も気になっていたんだけど……。」
「べ、別に何もないわよ!!」

 ライト顔が少し赤くなった。

「ライトがそう言っているから何もないんじゃない?」

 エースは結構冷めている。

「あ、そうなの……?」



 ―――現在(ピース14年)。

「結局、あの2人って何者だったんだろうな……。何か特別な力を感じたような気がするんだよな……」

 そんな検索をしていたところ……

「おーい!ケンジ!こっちを手伝ってくれー―!」

 オーキド博士の声が聞こえた。

「あ!はーい!今、行きます!!」

 ケンジは思考を中断して急いでオーキド博士を助けに向かったのだった。



 つづく


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Last-modified: 2015-02-23 (月) 22:12:12
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