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たった一つの行路 №047

/たった一つの行路 №047

 結ばれたかった……あの人と……
 緒になりたかった……あの人と……
 私はあの人に恋をした……
 でも、結ばれることは決してなかった……
 あの人の心を私に向けさせることはできなかった……
 体何が足りなかったのだろう……?
 顔?中身?スタイル?それとも……
 ……いまさら考えても全てが手遅れ……
 こうなったら、すべての男を虜にして……
 あの人を後悔させてやるんだから……



 たった一つの行路 №047



 6

「ふう……ついた!」
「ハァハァ……それにしても、何でもっと早く気づいてくれなかったのよ!?」
「忘れてたんだからしょうがないだろ!」
「忘れてたって……あんたは自分のポケモンを忘れていたって言うの!?」
「そこまで言っていないだろ!」
“ピ~カ……”

 また始まったよと言いたげにピカチュウは首を横に振った。
 ここはハナダシティ。ケンカしているこの2人はこの町のロケット団と戦う為にやってきたのだが……。

「研究所を出てからマサラタウンを出るまでの時間が無駄だったじゃないの!!ミュウがいてくれたのなら、あの時点でテレポートできたでしょ!」
「だから、忘れていたんだっていってるだろ!」

 とりあえず、そんなケンカを困ってミュウとピカチュウは見ていた。

“おい!お前らなんだ?”
“ここの町の者なの?”
「!!」
「どうやら、言い争っている状況じゃないみたいね」

 いつの間にかロケット団に囲まれていた。その数は4人。

“怪しい奴らめ……”
“私たち3人で片付けるわ!あんたは今ジムにいるはずのマヤ様の所へ報告に行きなさい!”
“は、はい!”

 新人のような少年がそそくさとジムの方へと向かっていた。

“さて、俺たち3人が相手だ!”
「あんたたち3人じゃ少ないんじゃないの?」
“俺達の部隊はマヤ様を除いて10人しかいないんでな。人数を上手く分割しているのだ!それにお前ら2人など、我ら3人で十分だ!このマヤ様親衛隊でな!”
「やってみなさいよ!」
「カスミ待った!」
「何よ!」
「お前は早くジムに行けよ!」
「私が行ったら、あんたどうするのよ?」
「俺一人で戦う。お姉さん達が心配なんだろ?」
「……わかった……サトシ、負けないでね!」
「負けないさ!!」

 そして、カスミはジムの方ヘ向かった。

“おっと!ここは通さな―――うわ!”
「カスミの邪魔はさせないぞ!」
“ピッカ!”
“やりやがったな!?”

 そう言って、残りの2人が襲い掛かった。
 しかし、ピカチュウとミュウの前に簡単にねじ伏せられてしまった。

“くっ!ぜ、全員でこいつを倒すぞ!”

 そして、集まった数が9人。ポケモンも一気に9匹出してきた。
 だが、サトシも全部のポケモンを出す。

“かかれ!!”

 総攻撃が始まったのだった。



 ジムのプールがある場所……そこに2人の人物がいた。

「わかったわ……あなたも戻って戦いなさい……我が組織の為に……」
「は、はい!」

 新人の少年は慌しく礼をすると、走って去ってしまった。
 20代前半かと思われるその美しい女性は、どこかほほえましい笑顔で彼を見ていた。
 黒い服とトンガリ帽子を被っていた。
 その姿は、某ゲームの黒魔導師のようだ。

「さて、私も最終段階に入らないと……」

 そう言って、目の前にいるサクラビス、ジュゴン、マリルを見た。
 それぞれ鳴き声をあげて抵抗しているように見える。

「ちょ―――っと待ちなさいっ!!」

 ジム内には言ってきた少女が一人。
 もちろん、自称世界の美少女カスミだ。

「あなたは誰?」

 カスミに問う。
 一瞬カスミは彼女の顔を見て呆気にとられた。
 いや、顔だけではない。
 見事なまでのボディにきれいな顔立ち……全ての女性として完璧な要素がそこにあった。

「あ、私はこのジムのジムリーダーのカスミよ!」
「あら?ジムリーダーって、この三人じゃなかったの?」
「え?この三人?」

 彼女が3匹のポケモンを見て言っていた。

「まさか……!お姉ちゃんたちに何をしたの!?」
「私が魔法をかけてあげたのよ」
「魔法……?もしかして、ポケモン魔法のこと!?」
「ポケモン魔法ね。それもあるけれど、魔法はそれだけじゃないのよ」
「あなた……一体何者!?」
「私はロケット団幹部マヤ。通称『魔道のマヤ』。そうね。あなたの姉妹は確かにそのポケモン達よ」
「な!?お姉ちゃんたちを元に……」
「でも安心して……この魔法は1日立てば戻れるのよ?でも、ポケモンになっている間は抵抗できないでしょ?」
「!!」

 カスミは身構えた。

「それともう一つ言っておくわ。“この魔法”は一日に3回だけしか使えないの。だから、あなたにかけることは無いわ。あなたは私のポケモン達に倒されるのよ」
「正々堂々というわけね?」
「あら、魔法使いを信用するのね?」
「??」
「私は遥か昔に存在した魔法使いの生き残りなのよ?そして、科学が進歩して、魔法は悪魔の使いとされて、処刑されていた……」
「!!」
「今となっては関係ないけれどね。行くわよ……」

 マヤとカスミは同時にポケモンを繰り出した。

「モココ、『綿胞子』!パラセクト、『痺れ粉』!」
「トサキント!ヒトデマン!水に潜って!」

 プールサイドに綿と痺れ粉が散らばった。

「ここは私の庭みたいなものなのよ!」
「そう……でも、一つ忘れているわね。モココ、『10万ボルト』」

 モココは水に手をつけて、一気に放電をした。水は電気を通す。
 プール全体に電気が伝わっていった。

「そんなことわかっているわよ!そのまま攻撃よ!」

 10万ボルトを放った直後にカスミの指示なしに2匹がプールから飛び出していた。
 そして、ヒトデマンがパラセクトの不意をついて攻撃。
 連続でトサキントの『角ドリル』がヒットした。
 パラセクトはダウンした。

「やるわね……それなら、私も実力出していいかしら?」
「え?」
「モココ、雷魔法『ボルタナ』!!」

 強力な電撃攻撃。
 しかも、10万ボルトを遥かに凌駕していた。
 この攻撃は水ポケモンでなくても一撃で倒せるような威力だった。

「ポケモンが魔法を!?」
「魔法は私だけじゃなくて、ポケモン達も使えるのよ?」
「それならこの子でどう!?」
「同じことよ!雷魔法『ボルタナ』!!」

 カスミが出した瞬間にそのポケモンにダメージが行った。
 恐らく一撃だったかもしれない。
 だが、それは並のポケモンだったらの話だ。

「え?モココの雷魔法に耐えた……?もう一度……雷魔法『ボルタナ』!!」
「そうはいかないわよ!」

 カスミが出したポケモンは目を青く光らせた。
 そう、コダックだ。先ほどの電撃で脳が活性化されたのだ。
 そして、『金縛り』を発動。魔法を封じ込めて、一気に念力でなぎ倒した。

「どう!?」
「なかなかやるわね……それなら、この子ならどう!?」
「!!」



「ハァ、ハァ……カスミは無事か!?」

 どうやら、サトシは雑魚をやっつけて、ジムに駆けつけたようだ。

「ギャラドス!?」

 そのとき、カスミの声が聞こえた。そして、ジムに入った時、ギャラドスが倒れた。

「ピカチュウ!『かみなり』だ!」

 強力な放電で、一気にギャラドスの相手だったポケモンを一撃で倒した。

「大丈夫かカスミ!?」
「サトシ……大丈夫よ。サトシは?」
「ピカチュウ以外全員やられちゃった……でも、カスミが負けた今、俺が戦う!」

 そう言って、サトシはマヤに向き合う。

「ちょっと!待ちなさい!私がいつ負けたって言うの?」
「だって、全滅しちゃったんだろ?」
「まだ、4匹しかやられてないわよ!それに相手があのポケモンだったから……」
「え?」

 そう、ピカチュウがフルパワーで倒したポケモンはかつてカスミが持っていたポケモン、トゲチックだった。

「思い出したのか……あの時のこと」
「…………」
「カスミにとって寂しい別れだったからな……仕方がないな」
「…………」
「よし。カスミがなんと言おうと、俺も一緒に戦うぞ!」
「サトシ……」
「ところでいいかしら?」
「何だ!?」

 サトシは面と向かってマヤに言う。
 健全の男の子だったら、あんな美人な人の前でそんな態度とらないと思うんだが、サトシは違う。
 敵は敵。そう考えている。
 そうでなくても、多分サトシにあまりお色気攻撃は効かないと思うが。

「あなた、私の仲間を全員倒したって言うの?」
「10人全員倒したぜ!それからお前も倒してやる!」
「(まさか……あの精鋭10人を倒すなんて……)」
「全く、無茶するわね!いつもいつも!」
「別にいいだろ!俺のことだし」
「駄目よ!心配するじゃない!」
「誰が?」
「誰がって……わ、私がよ!な、仲間だから当たり前じゃない!」

 と、また口げんかをはじめてしまった。

「(あの2人……もしかして……。そうだわ……面白いこと考えた♪)」

 何を思ったかマヤは目の前に魔方陣みたいなものを空中に書き始めた。
 そして、どこかの言葉を詠唱し、それを放った。

「カスミ!!危ない!!」
「え?サトシ!?」

 サトシはカスミを押しのけた。そのせいでプールに入ってしまったが。
 カスミは急いで、プールから顔を出した。

「な……何だこれは……?」
「それは私の究極の魔法よ?本当は彼女に当てるつもりだったのに……」

 すると、いきなりバフンと煙が生じた。

「うわぁ――――!」
「サトシ……?サトシ!!いやぁ―――――サトシ―――――!!!」

 カスミが叫ぶ。そして、マヤを睨む。

「一体サトシに何をしたの!?」
「面白いことよ♪」
「ピカ?」
“ピカピ!?”

 煙が晴れると、そこには2匹のピカチュウがいた。
 いや、片方は帽子を被ったピカチュウだが……。

「え……?まさか……」
「そのまさかよ。ポケモン変身魔法。ただし、この効き目は一生つづくわ」
「な、なんですって!?」
「ピカ!?」
「とりあえず、あのピカチュウは邪魔ね。フーディン!風魔法『エアブレス』!!」

 強力な風がピカチュウとサトシの周りに発生する。
 ピカチュウの体重はかなり軽い。
 風で簡単に吹っ飛んでしまった。
 そして、サトシ、ピカチュウは気絶した。

「ちょっと!あんた!この魔法を解きなさいよ!」
「何で?」
「何で……って……」
「別に彼がどうなろうと関係ないじゃないの?それとも、あなたあの子に特別な感情でも持っているのかしら……?」
「…………」
「残念だけどこの魔法は私じゃ解けないわ」
「何ですって!!」
「でも、私に勝ったら解き方を教えてあげるわ。残りの2匹に勝てたらね」
「やってやるわよ!もう、何が来ようと絶対勝つわよ!」

 カスミは瞳に炎を宿した。

「(まるで昔の私のようね……恋するものは何にでも強くなれる。ただ、私と彼女が違うのは……)」
「ニョロトノ!!『ハイドロポンプ』!!」

 カスミの心が伝わったのか、ニョロトノがいつも以上に強力な水攻撃を放つ。

「フーディン!水魔法『アクアリウム』!!」

 フーディンも水攻撃を繰り出すが、ニョロトノが押しているようだ。

「ルージュラ!氷魔法『ブリーゼル』!!」

 今度はルージュラが氷攻撃を放って、ニョロトノの水攻撃を凍らした。

「終わりよ!フーディン!雷魔法……」
「ニョロトノ!逃げて!」
「『ボルタナ』!!」

 強力な電気魔法が出る。しかし、カスミの指示が早く、紙一重で避けることができた。

「ニョロトノ!『ハイドロポンプ』!!」
「甘いわ!ルージュラ!反射魔法『リフレクション』!」

 今度は凍らせずそのまま返してしまった。だが、カスミは動じない。

「来たわね!それを返してあげるわ!サニーゴ!『ミラーコート』!!」

 増幅したニョロトノの攻撃をさらに増幅して打ち返した。
 その先はフーディン。

「まさか!そんな手が……!フーディン!風魔法『エアブレス』よ!!」

 しかし、遅かった。増幅されたハイドロポンプはフーディンを一撃でダウンさせた。

「畳み掛けるのよ!!ニョロトノ!『往復ビンタ』!!サニーゴ!!『とげキャノン』!!」

 まさに一網打尽。あっという間に、バトルが終わってしまった。

「……やられたわね……」
「あなたのその魔法は確かに強いけれども、得意じゃない強力な魔法は溜める時間が長いのよ。私はそれを狙ったのよ!」
「……その隙を狙うとはね……」
「さぁ!サトシを元に戻す方法を教えなさい!!」
「……その前に私がロケット団に入ったワケを語っていいかしら……?」
「え?」

 マヤは一息入れて話しはじめた。

「昔……私はある男性に恋をした……。そして、私は何もかも忘れてその人だけを思い続けた……。その思い続けるときだけは幸せでいられる……。
 でも、思い続けるだけではその恋は実らない。私は彼に勇気を振り絞って告白した……。でも、結果はNo……。
 私はこの通り、顔もいいし、性格だっていいし、スタイルにだって自信がある。それにもかかわらず、あの人は私を拒んだ。
 でも、あの人の心は掴む事はできなかった。だから、私は魔法で人の心を動かすことを考えたのよ」
「魔法で!?」
「魔法と言っても、半分が科学、半分が魔法の薬とかそういう物をね。でも、そういうことをやるには私の持っている材料、スペースでは足りなかった……」
「つまり、あんたはロケット団を利用したと言うこと……?」
「そういうことになるかもね……。でも、ロケット団だってそうやって私たちを使っているんだからお互い様だわ」
「……それで……人の心を動かす魔法は完成したの?」
「残念ながら今の段階ではできなかったわ。でも、そういうものは作らない方がいいのかもしれないわね」
「え?」
「私の話は終わり。さて、本題は彼を人間に戻すことでしょ?」
「そうよ!早く教えなさい!!」

 マヤはカスミに耳打ちをした。

「え―――!!??そ、そんなの無理よ!!」
「ふふッ……どうかしら?意外にあなたならできるかもしれないわよ?」
「…………」

 そう言って、マヤはジムの出口に向かった。

「ちょっと!あんた!逃げようっていうの?」
「もう私はロケット団には戻らないわよ」
「え?」
「それじゃ、がんばってね……」

 マヤは出口へ向かって歩き出す。
 カスミはマヤが後ろを向いた隙に、気絶したピカチュウ(サトシ)の元へ向かう。
 そして、ピカチュウの目を唇を見てそのまま……



「(恋は奪う物ではない。二人で作る物なんだって。あなたたちに教えられたわ)」

 マヤはふと笑みを浮かべた。

「(あの魔法を解くにはポケモンになった子が想っている子とキスをすることで解ける魔法……きっとあの子達なら大丈夫よ……)」

 そうして、事の成行きを見ないまま、彼女はハナダシティから……いや、カントーから去って行った。



 7

「ブーバー!『火炎放射』!!」
「ヘルガー!『大文字』!エアームド!『ゴットバード』!!ジュゴン!『絶対零度』!!」

 ロケット団が吹っ飛ばされる音、建物が壊れる音、何かが一瞬にして凍りつく音、などがした。
 ここはセキクチシティ。ここではある兄妹が暴れていた。

「お兄ちゃん……こんなに町を壊して大丈夫なの?」
「大丈夫だ!すべてはロケット団が仕組んだことなんだ!全部ロケット団のせいなんだ!」
「(心配……)」

 妹のカレンは心配になった。
 何はともあれ、雑魚が半分の約40人くらいに減っていた。

「あれ~?こんなところにまだトレーナーがいたんだな~?」
「お前は!?」
「ここの町を攻めている幹部の一人、カエシなんだなぁ~」
「幹部!?しかももう一人いるって言うの!?」
「関係ない!速攻で倒してやる!俺は強いんだ!」

 ジュゴンが冷凍ビーム、エアームドがゴットバード。強力な攻撃を仕掛ける。

「確かに強そうなんだな~でも、僕は強いトレーナーには強いんだなぁ~」
「何ィ!?」

 一瞬のことだった。冷凍ビームが増幅して帰ってきてそのままジュゴンに。ゴットバードは跳ね返されてそのままダウンした。

「おいらにそんな単調な技は効かないんだなぁ~。すべて返してやるんだなぁ~」
「キリンリキにカメックスか……くそっ!こうなったら……」
「待って!お兄ちゃん!」

 カレンがトキオを引き止める。

「ここは私がやるわ!お兄ちゃんはもう一人の幹部を倒して!」
「何を言うんだ!幹部を妹に任せるわけには行かない!どっちも俺が……」
「ちょっとは私の力を信じてくれない?」

 カレンは真剣な目でトキオを見た。

「カレン……。わかった!気をつけるんだぞ!」

 するとトキオは残りの幹部を探しに町へ消えていった。

「私が相手よ!」
「誰が相手でも同じなんだなぁ~」

 カエシのポケモンがカメックスとキリンリキ。
 そして、カレンは最初からいたブーバーにメタグロスを加えた。

「そうかしら?それは私の実力を見てから言って欲しいわね!ブーバー!『煙幕』!」
「甘いんだな~!キリンリキ~『マジックコート』なんだなぁ~」

 煙幕が見えない壁に弾き返されて、カレンの方に煙幕が立ち込めてしまった。

「『日本晴れ』よ!!」

 どんよりした雲が晴れて、日を差し始めた。

「それがどうしたんだな?攻撃なら返してやるんだな~!」
「これでどうよ!」

 すると、メタグロスに乗ったブーバーが接近していった。

「エース直伝、『エアーライド』!乗るのは私じゃないけどね。これで決めるわよ!」
「甘いんだな~!『カウンター』なんだな~!」

 しかし、二匹の2段攻撃がカメックスに決まった。

「ブーバーの火炎放射はそれじゃ返せないわよ!!」
「え~?」

 先にブーバーの火炎放射とメタグロスのかみなりパンチだ。

「とどめの『ソーラービーム』!!」
「何を~!『ミラーコート』で……!!」

 だが、あっけなく攻撃がカメックスに決まってダウンした。

「早いんだなぁ~!!」
「日本晴れでタメ無しで打てるの忘れたの?メタグロス!『コメットパンチ』よ!!」

 そして、キリンリキに攻撃が命中し、一発でダウンさせた。

「なかなかやるんだなぁ~それなら、こいつで勝負するんだなぁ!」

 そう言って、今度はソーナンスを繰り出す。

「同じよ!エアーライドから『大文字』!!『コメットパンチ』!!」
「やめろ!それでは勝てないぞ!!」
「え?」

 カレンは後ろから聞こえた声に振り向いた。
 そこにはボロボロになって横たわっていた赤い髪の青年、ワタルの姿が……。

「もう遅いんだなぁ~ソーナンス~『ミラーハンド』なんだなぁ~」

 大文字を右手でコメットパンチを左手で返された。
 ダウンこそはしなかったものの、かなりダメージを負った。

「あいつの『ミラーハンド』はすべての攻撃を返す……例外は無い……」
「……『ミラーハンド』。つまり、あの手に触れた攻撃はすべて跳ね返されると言うわけですね」
「そうだ……俺のポケモンの攻撃はすべて跳ね返されてしまった……」
「……あなたはドラゴン使いですか?」
「え?そうだが……?」
「それじゃあ、まだわかりませんよ?」
「え?」

 カレンはカエシに向き合った。

「まだやる気なのかな~?」
「やる気よ!わかっちゃったわよ!そのミラーハンドの弱点がね!」

 そう言って、カレンはメタグロスとブーバーを戻して、次のポケモン達を出した。



「ハァハァ……下っ端はいっぱいいるのに、幹部がどこにもいないぞ……?」

 トキオは幹部を探してまだ走り回っていた。
 でも、時間は無駄にしていない。
 邪魔してくる下っ端を片っ端からやっつけていったのだ。
 そして、トキオたちは気づいていないが、下っ端は残り数人を残すのみだった。

「あら?誰かをお探しかしら?」
「お前か!?」

 声のする方を向くとそこに立っていたのは、フェロモンたっぷりの魅力ある女性だった。

「あ、あなたがロケット団の幹部?」
「そうよ♪レイラ……よろしくね♪」
「ロケット団なら許しませんよ♪」

 とか言って、トキオの口調は浮かれ気味だ。
 トキオは年上のお姉さんには弱かったと言う。



 第一幕 Wide World Storys
 VSロケット団③ ―――VS魔道のマヤ――― 終わり


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Last-modified: 2015-02-06 (金) 06:52:50
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