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たった一つの行路 №045

/たった一つの行路 №045

 1

「おい……しっかりしろ!おい……」

 青いバンダナの少年が必死に倒れていた女の子に話し掛ける。
 辺りは鍾乳洞のような岩だったのだが、所々が砕け散っていた。
 地面のくぼみなどを見ると激しい戦いがあったのだと考えられる。
 黄色い髪で帽子を被った少女は少年に揺さぶられて、ゆっくりと目を開けた。

「……エー…ス……わたし、勝ったよ……」
「こんなにボロボロになるまで戦うなんて……。無茶しすぎだぞ!」
「だい……じょうぶよ……安心して……」

 そう言って、彼女は青年にもたれて力を失った。

「ライト!!」

 エースの叫びが鍾乳洞に響き渡ったのだった。



 たった一つの行路 №045



 2

「イタタタ……あれ?ここはどこだ?確か俺はフォッグス島にいたはずなのに……。それなのになんだここは……?まさか!俺はロケット団に捕まったのか!?」

 緑髪の少年がふと目を覚ました。
 辺りをきょろきょろと見まわしてみるが思ったいた場所と違っていたのでボールを取って身構えた。
 しかし、側にいた赤いバンダナの少女が彼に話しかけた。

「あ!気がつきました!?ヒロトさん!」
「え……??あれ??ハルカ??」

 ヒロトは状況が飲み込めなかった。
 自分の記憶では、フォッグス島に攻めこんで、クロノと言うトレーナーが現れて、あっという間に気絶させられたという事しか覚えていなかった。
 そんなヒロトにハルカはすぐに事情を説明した。

「それじゃあ、俺が気絶している間に、フォッグス島への侵攻作戦は成功に終わっちゃったのか……」

 ヒロトの口調はどこか残念そうだ。

「それにしてもヒロトさんとライトさんが気を失って帰ってきたときはビックリしましたよ!」
「ん?ライトまで?」
「ええ。かなり苦戦したらしくて……。あと、ユウキとトキオさんもやられたみたいで……あ、トキオさんって言うのは……」
「え!?トキオもいるのか?」
「トキオさんを知っているんですか?」

 2人の驚きは同じくらいだった。

「知っているも何も、トキオとは最初に一緒に旅した仲間だからな」
「そうなんですか」
「ところで、今はどういう状況なんだ?これからの話とか……」
「エースさんは『ライトが意識を取り戻してから』と言っていましたが……。そのエースさんはライトさんを看ています」
「あ、そう……」

 ヒロトは「当然だな」、と思って頷いた。

「サトシとカスミはサトシの家で昼食中だと思います」
「あいつらって元から知り合いだったのか?」
「そうみたいですよ。そして、トキオさんとカレンさんは仲良く喋っているんじゃないかな?」
「え?」
「あ。トキオさんとカレンさんは兄妹みたいですよ」
「は?トキオとカレンが兄妹!?」

 ヒロトは口をあんぐりと開けた。まさに開いた口がふさがらない状態だ。

「全然似てない!」

 そうヒロトが言うと、ハルカは笑った。
 つられてヒロトも笑った。
 どうやら二人とも同じく思っていたらしい。

「誰が似てないって!?」

 すると、ドアを蹴破って入ってきた男が一人。
 その男はグラサンにグレーのスカーフをしていた。

「誰?」

 ヒロトは聞いた。

「俺の顔を忘れたのか!?」
「悪い。冗談だ」

 そういってヒロトは笑うと、トキオはバツが悪そうな顔をする。

「(2人にさせたほうがいいかも!)じゃあ、わたしは出てくね」

 ハルカは気をつかって、部屋を出る事にした。

「ハルカ!ありがとうな!」

 ハルカは頷いて外へと出て行った。

「ところでヒロト」

 トキオは急に真顔になった。

「何でロケット団なんかにかかわってんだよ!そんな奴等にかかわっていたら命がいくつあっても足りないぜ!」
「ただ、俺の行く手をロケット団が阻むから倒していっただけさ。最初はな」
「『最初は』って?今はどうなんだよ」

 ヒロトはタマムシシティでのジラーチ争奪戦、ビシャスの奇襲を中心に話をした。
 そして、ヒカリのことも……。

「ヒカリちゃんがロケット団に!?その話はほんとかよ!?あんなに可愛くて、素直で、うっかりもので、一途で、ヒロトにはもったいないくらい可愛いヒカリちゃんが!?まさか!ヒカリちゃんを助け出す為にロケット団を倒すと言うわけじゃ……」
「ああ、そうだ。それに多分、原因は俺なんだ……」

 その言葉にトキオは頷いた。

「あの6年前のノースト大会でのことか?」
「ああ」
「俺は何があったかは知らない。でも、なんとなく想像はついたぜ。あんなに思いつめた顔をして手紙を渡されたら誰だってわかるさ」
「トキオ……」
「でもわからないな。あの時お前もヒカリちゃんも2人の気持ちは同じだったと思っている。それなのになんでうまく行かなかったんだ?」
「…………」
「まぁ、言いたくないなら言わなくてもいいさ!ヒロトがヒカリちゃんに会いたいって言うんなら、俺も協力してやる!というか、妹にも頼まれているしな!」
「……トキオ……。ありがとう……」
「お礼ならヒカリちゃんを助け出してから言えよ!」

 トキオはそう言ってヒロトの頭をポンと叩いたのだった。



「準備はいーい?」
「いつでもいいぜ!」

 ここはマサラタウンの平原。
 サトシはモンスターボールを構えて立っていた。
 対面しているのはカレン。
 持っているのはモンスターボールではなく、時の笛だ。

「出てこい!ミュウ!」

 サトシは振りかぶってミュウを繰り出した。
 カレンから見るとミュウはやはり、黒いオーラに包まれていた。
 カレンは時の笛を吹き始めた。
 神秘的な音色が空を、草原を、町さえも包み込むのでは無いかと思うほどのすばらしい音色だった。
 すると、時空の狭間からセレビィが出てきて、ミュウの周りをぐるぐると回り始めた。
 しばらく経つと、カレンが見るに黒いオーラがなくなっていき、完全に消えた。

「これでリライブは完了よ!」
「よかったな!ミュウ!」

 ピカチュウも嬉しそうだ。
 ミュウはピカチュウを浮かすと、一緒に飛んで行った。

「やっぱりミュウは一人で寂しかったんだね」
“ラルゥ!”

 ミュウの嬉しそうに飛び回る姿を見てマサトはそう呟いた。
 マサトはラルトスと一緒にミュウのリライブする瞬間を見ていた。

「そうだ!セレビィ!あの部屋にいるライトも治療してあげて!」
“レビィ!”

 そういって、セレビィは飛んで行き、ライトの眠る部屋へ行った。

「でも、『はじまりの木』は大丈夫なのかな?」
「大丈夫じゃ!」
「オーキド博士!」

 マサトは突如後ろから現れたオーキド博士を見た。

「前にサトシに聞いておったが、はじまりの木が崩れたのはミュウが体調を崩したせいなのじゃ。だから、ミュウの体調がしっかりしていれば、はじまりの木は大丈夫じゃ!」
「それならよかった!」
“マサト~”
「ジラーチ!」

 ジラーチがいきなりマサトに飛びついた。
 そして、マサトのメガネを奪うとそのまま逃げ去っていった。
 もちろん、マサトはジラーチを追いかける。

「それにしてもすごいうのう。この場にジラーチとセレビィとミュウが同時にそろうとは」

 オーキド博士がそう言った。

「そう言えばこんな話を聞いたことがあるぞ?」
「なんですか?」

 サトシとジラーチを捕まえたマサトは同時にオーキド博士を見た。

「ジラーチとミュウとセレビィの力を同時に使う時、何かが起こると」
「何かってなんですか?」
「それはわしにもわからん」
「それじゃあ、試して見ようぜ!」
「駄目だよ!サトシ!」

 マサトはサトシを制した。

「それにセレビィなら、今、ライトのケガを治して、時空の狭間に帰っちゃったけど……?」
「なんだ~残念だな……」

 サトシは落胆したのだった。



 3

 そして、約1時間後。
 これからの話し合いが始まった。

「エースたちの潜入でわかったことは2つ。ロケット団の本拠地がヤマブキシティの郊外にあるということ、ボスがトキワシティのジムリーダーのサカキだと言うことだ」
「まさか、ジムリーダーがロケット団のボスをしてたなんて……そんなのないかも!」
「トキワシティのジムリーダー……。そう言えば、カントーのポケモンリーグに出る時に最後にジム戦をしたのがあそこだった!そのときの相手がロケット団だったし……」
「そう言えば、そうだったわね」
「それ、本当?サトシ!?」

 マサトの言葉にサトシは頷いた。

「間違いない……あのときからすでにあのジムはロケット団のものだったんだ……」
「話を端的にまとめようか」

 エースが口をはさんだ。

「これから、3手に分かれよう。ここに残る組と、ボスを潰す組と本拠地を叩く組だ」
「それじゃあ、またマサトたちは残った方がいいな」
「ええ!?」
「マサト!今回も大人しくマサラタウンでお留守番よ!」
「俺も今回はいることにするよ」
「え?ユウキ?」

 ヒロトに残れと言われたマサトはブーイングを挙げた。
 そんな中、ユウキも残ると言い出した。

「わかった」
「俺はもちろん本拠地を叩く!誰にも邪魔はさせない!」
「だれも、あんたの意見なんて聞いてない」
「何だと!?この“バンダナハゲ”!!」
「そういうお前は“グリーンチョコボ”だな」
「わたしとお兄ちゃんはヒロトさんと一緒に本拠地に行きます!」

 エースとヒロトが“口撃”をしあっている中、カレンが言った。

「頼む」

 そういって、エースの視線はサトシたちに移った。

「俺はトキワシティのジムリーダーと戦いたい!」
「サトシ!あんた、相手はロケット団のボスなのよ?」
「それでも俺は戦いたいんだ!」
「わかった。じゃあ、決まりだ。俺はヤマブキに潜入する。明日の朝、7時に行動開始でいいな?」

 みんなが頷いて、会議を終えようとした。

「ちょっと待って!私も行く!」

 ちょうど、そのとき誰かが入ってきた。腕や頭に包帯の処置が見られる少女だった。

「ライト……」
「ライト……無理よ!いくらセレビィに治してもらったからと言ってもすぐに動くのはよくないわよ!もうちょっと休んでいた方がいいわ!」

 カレンは必死にライトを説得する。

「嫌よ!私は絶対に……行く!」

 エースは溜息をついた。

「昔からそうだったよな……。ライトは一度言ったことは“テコ”でも動かない……。わかった。俺と一緒にヤマブキシティのアジトに潜入な?」
「ありがとう!エース!」

 こうして、作戦が決まり、それぞれが様々な思いを胸に眠りについた。
 しかし、次の日にとんでもないことになろうとは知る由もなかった。



 そして、長い1日が始まる。



 4

「みんなぁ~大変だ~!起きてくれ~!!」

 明朝、だいたい6時。日が山から顔を出したところである。そんな時間にケンジは大きな声でみんなが寝ている部屋をぐるりと一週周って、伝えた。
 一部の例外を除いて、ほぼ全員が眠い目をこすって起きてきた。中にはもう着替えて、準備が万端な者もいた。
 そして、昨日の会議の場所に集まった。

「何かあったの?」
「僕まだ眠いよ~」

 寝ぼけ声なのはハルカとマサトだ。

「とにかくこれを見て!」

 ケンジは現在放送しているテレビを見せた。
 すると映ってきたのは、壊滅している町の様子だった。

「!!??」

 全員が驚いた。

「どういうこと!?」
「ロケット団が、すべての町に一斉攻撃をかけたみたいなんだ……。その攻撃のターゲットがポケモンセンター、病院、警察署、そして、ジムなんだ……」
「それで!?ここにも来ているのか!?」

 ケンジは落ち着いて、状況をさらに説明する。

「襲われた町は、トキワシティ、ニビシティ、ハナダシティ、クチバシティ、ヤマブキシティ、セキクチシティ……の6つみたいだよ。ここやグレンタウン、それに他の地方には被害は出ていないみたいだよ」
「ここや、グレンタウンは支配する意味がないってことだな」

 エースはそう分析した。

「さて、これはチャンスだな。全員でアジトを叩けば……」
「待って!」

 エースの言葉をカスミが遮った。

「今、ハナダシティも襲われているって言ったわね?ケンジ……」
「そうだけど……あ!」
「私が戻って、ハナダシティを守らないと!!」

 そういって、カスミは外へと出ようとした。

「待てよ!カスミ!」
「サトシ、何よ!」

 サトシはカスミを呼び止める。

「俺も行く!」
「あんたの力なんていらないわよ!あんたはボスのサカキを倒すんでしょ!?それにあんたなんかに関係は……」
「あるね!仲間だろ!」
「え?あ、そうね……」

 カスミは呆気にとられて頷いた。

「とりあえず、エースさん。俺とカスミはハナダシティに行きます!!」

 そういって、2人は外へと飛び出していった。

「……仕方が無い。ヤマブキの戦力は減るけど……」
「あ!」

 今度はなんだ?と言いたげにエースはハルカを見る。

「ニビシティという事はタケシも危ないんじゃ!?」
「そうだ!タケシも……。エースさん!僕達はニビシティに行きます!行くよ!お姉ちゃん!ユウキ!」
「ええ!!」
「え!?俺も!?」
「ジラーチ!ニビシティまでテレポート!」
「マサト!」

 エースの静止も聞かずにマサトたちは消えてしまった。

「仕方がない。先にヤマブキシティ以外の町のロケット団を潰してから、ヤマブキシティで合流すると言うことにしようか。こうなった以上は仕方がない。
 俺はサトシの代わりにロケット団のボスを倒す。ライト、もちろんついてくるよな?」

「エースの行く所なら、地獄にもついていくわ!」
「よし、決まりだ」

 こうして、以下のように行き先が決まった。
 エース&ライト→トキワシティ
 カレン&トキオ→セキクチシティ
 サトシ&カスミ→ハナダシティ
 マサト&ハルカ&ユウキ→ニビシティ

「みんな、絶対勝てよ!」

 エースが気合を入れてそう言うと、各々が方法でそれぞれの道へ向かっていった。

「行っちゃったか……」

 ケンジはライトのチルタリスとエースのハクリューを見て呟いた。

「あれ?でも、誰か忘れているような……?」



「……よし!6時半ぴったり!」

 黄色のシャツにグレーのズボンを穿いてリュックを持って意気揚々とその男は会議室に現れた。

「あれ?まだ誰も来ていないのか?」
「あれ!?ヒロトさん!?どうしてここに?」
「どうして?って……。出発は7時だろ?」
「(あんなに騒いだのに何で起きないんだろう……?)」
「ところでみんなは?」
「これが原因ですよ……」

 ケンジはずっと付けっ放しにしてあったテレビをヒロトに見せた。

「これは……!!タウリンがたったの2,450円!?75%割引は安い!」
「いや、そうじゃなくて!」

 ケンジが一通りツッコミをすると、ニュースが流れた。

「え!?タマムシシティでもロケット団が!?」
「要するに……ほぼ全ての町でロケット団が暴れていると言うわけか!」
「ヒロトさん!タマムシシティには誰も行ってません!ヒロトさんはタマムシシティへ!」
「わかった!ディン!」

 ヒロトは即座にフーディンを取り出した。

「タマムシシティへ『テレポート』!!」

 フーディンは命令に従って、テレポートをして、ヒロトをワープさせた。

「みんな……無事に帰ってきてくれ……」

 ケンジはただ無事を祈るだけだった。



 午前6時ジャスト。セキクチシティ。
 ここもやはりロケット団が襲っていた。

“助けてくれー!”
“誰か~!!”
“一体何なんだ!!”

 飛び交う悲鳴、民家から出るぼやがそれを物語っていた。

「一体何なんだと言われたら、」
「答えないのが普通だが……」
「まぁ、特別に答えてやろう!」
「ヤマトにコサンジ。答える必要はありません!ジムはもうすでに手中に収めました!残りのポケモンセンター、病院、警察を破壊しなさい!」
「わかりました!ビシャス様!」
「俺はコサブロウです!」

 セキクチシティを攻め込んでいたのは、20人×5隊を率いるヤマト、コサンジ、それにダークマスターのビシャスだった。
 そして、早くもビシャスはセキクチジムリーダーのキョウを屈服させたのだった。

「まったく、ジムリーダーと言うのもたわいもありませんね……」

 そうビシャスが言う所に、一筋の光線が横切って、1隊のロケット団が壊滅した。

「な!」
「何事だ!?」

 ヤマトとコサブロウは振り返った。

「ロケット団!そこまでだ!」

 空から攻撃を放ったこのポケモンは、ドラゴンポケモンのカイリューだった。そして、乗っているその男はマントを羽織って赤い髪を逆立てていた。

「ほう、あなたはブラックリスト№1、ポケモンG面のワタルじゃないですか!」
「さぁ、ここから手を引くんだ!」
「あなた一人が粋がった所で、この状況を打開できるわけがありません!残り80人、そして私たち相手に戦い抜けますか?」
「おっと!一人だけじゃないぜ!スピアー!!」

 ロケット団10人が不意を突かれて攻撃を受けた。そして、残りが70人強となった。

「くっ!次から次に!」
「ビシャス様!俺とヤマトでこいつを片付けます!」
「いいでしょう。私がこのワタルを片付けましょう。他はみんな下がって当初の計画を実行しなさい!」

 すると70人あまりのロケット団が町に散らばっていった。

「まさか、ポケモンG面のあなたが、ブラックリスト№3のケンタと一緒だったとは驚きです」
「そんなの知らないな!俺はここを通りかかっただけだからな!」

 ビシャスは邪悪なるバンギラスを取り出して、先制攻撃といわんばかりに強力な破壊光線を撃ち出した。
 しかし、ワタルもカイリューに破壊光線を撃たせて相殺させた。
 煙が晴れて、ビシャスが前を見るとカイリューの姿はなかった。
 探そうと見回したその時、左の方から衝撃波が起きてビシャスとバンギラスは吹っ飛んだ。
 さらに連続攻撃で、接近してパンチを叩き込もうとするが、バンギラスがカウンターに出る。
 状況は一進一退だった。

「ロケット団!俺が相手だ!」
「コサブロウ!2対1を活かして戦うわよ!」
「おう!カポエラー!」

 ヤマトはヘルガーを出した。そして、ケンタをはさんだ。

「ヘルガー!火炎放射!」
「カポエラー、『跳び膝蹴り』!!」

 しかし、ケンタはスピアーに捕まって高速移動をしてかわした。
 すると、カポエラーにヘルガーの火炎放射が命中して、相撃ちの形になった。

「あまい!そこから高速スピンだ!」

 コサブロウは攻撃をチェンジした。
 火炎放射がそのまま当たっていたのだが、スピンする事により、上手くケンタに攻撃を打ち返したのだ。

「俺の攻撃は一本槍だ!バクフーン!『火炎車』!」

 モンスターボールから飛び出したバクフーンは気合充分だった。
 背中の炎が一気に燃え上がるのがその証拠だ。
 自分の炎をまとって、カポエラーが返した炎を弾き返していき、カポエラーを一気に吹っ飛ばした。

「なっ!カポエラー!」
「それならヘルガー!『シャドークロー』!!」
「続いて行け!『捨て身タックル』!!」

 ケンタは別のポケモンを繰り出す。角が生えていて、尻尾が三本あるポケモンだ。
 そのポケモンはシャドーボールを平気で弾き返すとヘルガーを弾き飛ばした。
 おそらく一撃でダウンしたことだろう。

「くそ!」
「まだよ!」

 続いて2人はラッタとスリーパーを出す。

「バクフーン!『オーバーヒート』!!ケンタロス、『捨て身タックル』!!」

 二つの強力な攻撃がラッタとスリーパーにそれぞれ当たってダウンした。
 さらに爆発して、ヤマトとコサブロウは吹っ飛び、頭を打ち付けて気絶した。

「ギャラドス!『ハイドロポンプ』だ!」

 こちらの勝負もこれで決まってしまった。
 カイリューとバンギラスが同士討ちで終わり、ビシャスはニューラとハッサムを繰り出した。
 しかも、どちらもダークボールで強化されていた。
 だが、それでもワタルの赤いギャラドスが押し切った。

「そんなバカな!!うわっ!」

 ギャラドスのハイドロポンプはビシャスまで届いて、気絶させた。

「よし、あとは下っ端どもを倒すだけだ!君も協力してくれ!」
「ハイ!」

 ワタルとケンタが団結して、残りのロケット団を倒そうとした。
 だが、2人の人影が2人を阻んだ。

「だれだ!?」
「新手のロケット団が!?」
「ここは通さなくってよ?」
「それにしても、ビシャスも情けないんだな~」
「悪いが、そこを通させてもらう!ギャラドス!『ハイドロポンプ』!」
「そうはさせないんだな~。ソーナンス、『ミラーハンド』なんだな~」

 ギャラドスの放ったハイドロポンプが、あっさりとソーナンスによって返されてしまった。
 不意を突かれたワタルは上手く対応できず、ギャラドスと一緒に攻撃をもろに受けてしまった。

「ぐっ……」
「ワタルさん!」

 ワタルに駆け寄ろうとするケンタ。しかし、女が行く手を阻む。

「あら、あなたの相手は私よ?坊や!」
「俺は坊やなんかじゃない!ケンタロス!『捨て身タックル』!!」

 ケンタロスは直接、女に向かって体当たりをする。だが、攻撃はすり抜けてしまった。

「え!?」
「あら?どこを狙っているのかしら?ふふふ……」
「くっ!」
「君はもう私の術にかかっているのよ。もう君が勝つことは無いのよ」
「そうなんだな~!もう、あのポケモンG面もダウンしているし~!」
「まだやられて無いぞ!」

 ワタルは膝をついて起き上がる。ギャラドスも力を振り絞って、相手のポケモンを見る。

「無駄なんだな~この僕の攻撃は破れないんだな~!」
「そうよ。それにこの私の攻撃も破れはしないわよ!そうね。私たちの名前だけは教えてあげましょうか!」
「知らなくてもいい!ギャラドス!『破壊光線』!!」
「バクフーン!『大文字』!!」

 男女2人は不敵な笑みを浮かべていった。

「ロケット団幹部、『逆襲のカエシ』なんだな~」
「同じくロケット団幹部、『幻影のレイラ』!ふふふ……」

 ギャラドスとバクフーンの攻撃が爆発した。



 第一幕 Wide World Storys
 VSロケット団① ―――長い一日の始まり――― 終わり


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Last-modified: 2015-02-03 (火) 18:54:50
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