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たった一つの行路 №044

/たった一つの行路 №044

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「ぐっ!」
「ザングース!!」

 同時にユウキのザングースとトキオのエアームドが吹っ飛んだ。

「どう言うことだ……!?どうしてあいつに近づけないんだ!?」

 ここは地上。
 ライトやカスミががんばっている中、ここでもトキオ&ユウキ対クロノのバトルが行われていた。
 しかし、戦況は一方的だった。

「言っただろ?お前たちに勝ち目はないってな」
「どうしてポケモンたちは動けないんだ!?」
「ぐずぐず抜かしている暇があったら俺のポケモンたちに一撃を与えるんだな」

 クロノが出しているポケモンは、スリーパーとブラッキー。
 ゲンガーは一度戻したようだ。

「くっ!」
「待て!」

 ユウキがボールを構えると、トキオは引き止めた。

「このままだと何度やっても同じだ」
「でも!」
「謎はどうして、俺たちのポケモンがボールから出たとき動けないかだ!」

 トキオの額に汗が流れ落ちる。
 外はもう夜だった。しかし、月の光のおかげで相手を見失わずにバトルをすることができた。

「どうした?来ないのか?それならこちらから行くぞ!!」

 ブラッキーとクロノが同時に突進してきた。

「仕方がない!ポケモンを!」

 ユウキはそう言われてラグラージを繰り出す。
 そして、ブラッキーの攻撃をカウンターした。
 だがトキオは……。

 バキ!

「え?」

 ユウキが音のした方を見ると、トキオがクロノに殴り飛ばされて岩にぶつかったようだった。
 その様子は岩の影でユウキたちには見えなかった。

「トキオさん!」
「あとお前だけだぞ?」

 ゆっくりとした動きでユウキを見る。

「まだ……やられてないぞ……!サンダース!『トリックサンダー』!」

 月の光の届かぬ場所から、つまり暗闇から、トキオはサンダースを繰り出した。
 電気の帯がいくつも飛び出して、ブラッキーを縛り上げた。

「どうだ!?これでブラッキーは動けない!ユウキ!とどめを刺せ!」
「よし!ラグラージ、『ハイドロポンプ』!!」
「だから無駄だね!ラグラージはもう動けない!」
「!?」

 クロノの言ったとおり、ラグラージは全く動くことが出来なかった。

「(またか!)それなら!『サンダーインパクト』!!」

 ユウキは別のポケモンで攻撃に出る。『イカズチのような衝撃』異名に持つ、この攻撃はブラッキーに当たった瞬間、強烈な電撃を発した。

「よし!ブラッキーを倒した!今度はスリーパーだ!ラグラージ!『ハイドロポンプ』!ライボルト!『10万ボルト』!!」

 そして、ユウキの猛攻が始まった。ユウキの指示を聞くと速攻でライボルトは攻撃を仕掛けた。

「……スリーパー、『瞑想』」

 スリーパーの瞑想が始まったと同時に、ラグラージも攻撃を仕掛けた。
 だが、2匹の攻撃はどっちともあまり効いていなかった。

「その程度の攻撃は効かないぞ?」
「それなら、これならどうだ!?サンダース!ローガン流奥義『ドラゴンサンダー』!!」

 ローガン流―――それはトキオの祖父ローガンが作り出した技の数々である。
 竜の形をした電撃は一気に上から、スリーパーを飲み込んだ。まるで、某漫画のかみなりの術、そっくりだ。
 さすがのスリーパーもこの一撃はたまらないだろう。トキオはそう思っていた。
 だが……。

「スリーパー!接近しろ!」
「な!?あの攻撃を耐えただと!?」

 確かにスリーパーは攻撃に耐えていたが結構ギリギリだったようだ。身体は焦げていて息が荒い。

「ラグラージ!『捨て身タックル』!!」

 しかし、ユウキがスリーパーを撃退した。

「面倒だ。これで遊びは終わりだ!」

 再び、クロノはゲンガーを繰り出す。

「サンダース!『10万ボルト』!!」
「ラグラージ!ライボルト!」

 ユウキも同じく攻撃技を指示しようとするが、全く動けなかった。

「どうした!?ライボルト?ラグラージ……あれ?」

 2匹に近づこうとしたが、自分の体も動けなかった。さらに、トキオのサンダースも同様だった。

「もう、動くことさえさせない!これで終わりだ!『シャドークライシス』!!」

 ゲンガーは強大なシャドーボールを上に掲げると、その中からいくつもの粒がユウキたちに降り注いだ。
 粒といってもバレーボールほどの大きさであり、一つ一つの威力はシャドーボール級だった。
 ユウキは目をつぶった。

「させない!『サイコキネシス』!!」

 だが、強力な念動攻撃で一気にシャドーボールの嵐を吹き飛ばした。

「!!」
「(トキオさん……なんで動けるんだ?……それにそのポケモンは……!)」
「とうとうわかった!お前のポケモンの能力がな!」

 トキオはよろよろと闇の中から出てきた。そして、傍らには無限ポケモンラティオスの姿があった。



 たった一つの行路 №044



 75

 ―――鍾乳洞の湖の戦い。カスミ&エース対レグルス。

「キャッ!さ、サニーゴ!」

 カスミは敵の攻撃でおもいっきり壁にたたきつけられた。
 その時、カスミのバッグから何かが転げ落ちて、水の中に落ちた。

「(これは……)」

 ラグラージは戦闘不能になったサニーゴを踏みつけた。

「終わりだ。お前の負けだ!」
「くっ!(なんて攻撃なの!?)」
「まだ……終わらない。俺がいる」
「ふん!雑魚のお前になにができる!」

 エースはふと、先ほどカスミのバッグから転げ落ちた物を水の中から拾い上げた。

「カスミ。これを使わしてもらうぞ」
「え?ええ」

 すると、エースはそのアイテムをあるポケモンに与えた。するとそのポケモンは進化をした。

「まさか!そのポケモンで戦うと言うのか!?」
「水ポケモンなら、このフィールドでも戦えるんだったよな?」
「確かに!だが、いきなり進化して勝てるほど甘くない!!ゴット!お前の力を見せてやれ!!」

 ラグラージは強烈なキックをそのポケモンにかます。だが、そのポケモンはいきなり液体状になって攻撃をかわした。

「『とける』だと!?」
「よし。シャワーズ、その調子だ」
「なめた真似を!ゴッド!『マッドショット』!!」
「シャワーズ、押しかえせ」

 ラグラージが泥攻撃を仕掛けると、シャワーズは強力な水攻撃で対抗する。威力は互角だった。

「そこからとけて接近!」
「甘い!!ラグラージ!!」

 シャワーズは接近した。そして、強力な水鉄砲を再び放った。体勢が万全だったはずのラグラージを一気に吹っ飛ばした。

「なんだ。条件が同じなら実力は俺のほうが上か」
「凄い……。圧倒的だわ」

 そばで見ていたカスミも圧巻だった。

「お前のほうが実力が上だと……?言ってくれる!これで終わりだ!やれゴット!『グラウンドストーム』!!」

 ラグラージを中心として渦を作り、土砂を巻き起こす。彼が使える最強の技だった。

「これは!さっき私のサニーゴがやられた技!!」
「いくらシャワーズの『とける』でも、この技は防げないぞ!」
「防ぐつもりはない」
「なに!?」
「シャワーズ!『吹雪』だ!」

 一瞬のことだった。ラグラージを中心に作っていた渦はそのまま凍ってしまった。

「な、なんだと!?」
「そして、これで終わりだ!シャワーズ、『目覚めるパワー』」

 シャワーズは一気に潜在能力を解放した。そして、氷を砕き、ラグラージを一気に倒した。

「ば、バカな!こんなにあっさりやられるとは!!しかも、こんな雑魚に!!」

 エースは何事もなかったようにシャワーズを戻した。

「お前の敗因は最初から俺とカスミを格下だと決めつけていたことだな」

 レグルスはがっくりと肩を落した。
 すかさずエースはレグルスを縛り上げた。

「さて教えてもらおうか……。アジトの場所、ボスの名前をな」
「ボスの名前は教えてやろう。ボスの名はサカキ。トキワシティのジムリーダーだ」
「トキワシティのジムリーダーですって!?」
「そうさ。ジムリーダーをしながらも、ロケット団のボスとしてあの方は行動していたのさ」
「そうか……」
「クックックッ……」
「何がおかしい?」

 無気味な笑いを浮かべるレグルスに対してエースは聞いた。

「お前らが何をしようとしているかは知らないが、お前たちの仲間はもう捕まっているさ!そして、お前らが捕まるのも時間の問題だ!お前らの状況がよかったとしても、ボロボロで苦戦していると思うぜ?」
「うるさいわよ!」
「ぐはっ!」

 カスミは思いっきり回し蹴りを入れてレグルスをノックアウトさせたのだった。

「……俺はいったん戻るぞ。カスミは進んで、カレンたちの戦いが終わったら、すぐに戻ってきてくれ」
「わかったわ」

 エースは急いで道を戻っていった。



 76

「ピカピ!!」
「はっ!」

 次から次へとサトシに攻撃が襲いかかる。

「そうだな。ピカチュウ!ミュウも苦しんでいるんだ!速くゲットしてあげないと!」

 そう言って、サトシの次に出したポケモンはドンファンだ。

「行けェ!ドンファン!『転がる』攻撃!!」

 だが、ミュウはシャドーボールの嵐を放ち、ドンファンをあっという間にダウンさせた。

「強い……でも、お前たちならやってくれるはずだ!」
「ピッカ!」
「ピカチュウ!ジュカイン!頼む!行ってくれ!」

 ジュカインは出された瞬間に種マシンガンで牽制した。
 ミュウはすかさず『リフレクター』を出して、それを防御した。
 その隙をピカチュウは見逃がさず、高速移動から電光石火を一気に決めた。
 ミュウは怯まず、ダークラッシュで反撃してきた。
 ピカチュウは持ち前の身体能力を活かして、攻撃をかわすことに成功した。
 ピカチュウが離れたところを狙って、ジュカインははリーフブレードで接近戦に出る。
 しかし、ミュウは『変身』を使って最初にサトシが使っていたヘラクロスに変身し、メガホーンで弾き飛ばす。
 でも、ピカチュウはその攻撃の隙を見逃さなかった。
 電気を最大にまで溜めた『かみなり』が、ヘラクロスに扮したミュウに炸裂した。
 ミュウは元の姿に戻った。

「今だ!!!ジュカイン!『ソーラービーム』!!!!」

 いくらミュウでもこの二匹の連続攻撃は受け切れなかった。
 ミュウは目を回してダウンした。

「今だ!行け!モンスターボール!!」

 サトシはサイドスローからボールを放った。ボールはミュウに当たって、見事にそれは収まった。

「やった!……ミュウ!ゲットだぜ!……でも!急がないと!」

 こんなときでもサトシはポーズを忘れなかったが、気を取りなおして、実験室を出た。



 77

 ―――地上。

「ぐっ!」

 呻き声とともに、グラサンが落ちて割れた。

「と、トキオさん!!」
「残念だが、俺のポケモンの力がわかったとしても、お前と俺の間には大きい能力の差があるということだ」
「くっ……」

 ラティオスもサンダースも力なく、横たわっていた。
 ユウキのラグラージとライボルトも同じだった。
 トキオは左手で腰のボールラックに最後のモンスターボールを取ろうとした。
 だが、クロノが左手を踏みつける。トキオは短い悲鳴を上げた。

「どうやら期待はずれだったようだ。お前がヒロトのライバルというのなら、ヒロトもたいしたことがないな。何でロケット団はこんな奴をブラックリストなんかに入れているんだ?まぁいい」

 未だ気絶しているヒロトを見てクロノは言った。

「ここで奴にとどめを刺す」
「や、やめろ……」

 クロノがヒロトに近づこうとしたそのとき、電子音が鳴った。

「…………。任務完了か」
「??」
「お前たちの相手は終わりだ。俺はもう帰るとする。別にそいつの首はどうでもよかったしな」

 そう言って、スリーパーに元気の塊を与えた。
 そして、テレポートを使うとどっかに消えてしまった。

「あ、危なかった……」

 ユウキはふっと息をした。緊張が解けて、身体をぐったりとした。

「(……ぜんぜん歯が立たなかった……。あんなに修行したのに!!)」

 トキオは地面を叩き、自分の力のなさに苛立ちを覚えたのだった。



 78

「クロバット!『ヘドロ爆弾』!!」
「オオスバメ!『燕返し・改』!!」

 オオスバメは自らの回転でヘドロ爆弾を弾きながら進んで行き、一気に勝負を決めた。

「まさか、ここまでやるとはな……」
「当たり前でしょ!!あなたもここまでよ!!」

 カレンは残り2匹まで追い詰めていた。

「仕方がない。しかし、このポケモンに勝てるかな?」

 ボルグは不適に笑うと、二匹のポケモンを出した。一匹は角が生えた岩で出来たポケモン、サイドン。
 そして、もう一匹が問題だった。

「カレン!ミュウをゲットしたぜ!……!なんだ!?このポケモンは!?」

 ちょうどサトシが実験室から出てきた。

「まさか……このポケモンがキメラ!?」
「キメラ№1……ライリューだ!」

 そう、そのポケモンは基本の形はジュカイン。
 だが、鋭い爪を持ち、顔の辺りにはライオンのようなたてがみ。
 そして、背中には鋭い針。全体的に黄色いポケモンだった。

「キメラは五種類できていると言ったが、実際には5匹。つまり、まだ原型<オリジナル>しかなく、量産はまだというわけだ。まぁ、無駄なお喋りはこのくらいにしておこうか……。やれ!」

 ボルグが1つ命令をすると、一瞬で消えた。

「速い!」

 すると、ライリューは爪から電撃を出して、一瞬でオオスバメをなぎ倒した。

「オオスバメ!!」
「電気タイプのポケモンか!」

 カレンは急いでオオスバメを戻して、ライリューに視点を戻した。

「あの威力とスピードは『神速』ね……そして、あの『切り裂く』は電気も帯びている……。『エレキクロー』って感じね。どうやら、合成と言うのは嘘でなさそうね……」
「カレン!俺も手伝うか?」
「ピッカ!」

 サトシもピカチュウもやる気十分だ。

「いいえ!これは私の戦いよ!首を突っ込まないで!」
「そう言ってられるのも今のうちだ!ライリュー!『ミサイル針』!!」

 カレンがポケモンを出さないうちに、ボルグは攻撃を仕掛けてきた。
 でも、カレンは冷静だった。次のポケモンを出して、攻撃を防いだ。
 メタグロスの『リフレクター』だ。

「ライリューにばかり気を取られている場合じゃないぜ!サイドン!『角ドリル』!!」
「カレン!危ない!え?」

 サトシの心配は杞憂だった。
 サイドンをぎりぎりまでひきつけて、カレンはカメックスを出して、防御したのだった。

「今よ!『ハイドロポンプ』!!」
「ライリュー!」

 ハイドロポンプが放たれる前にライリューが接近して、カメックスを吹っ飛ばした。

「まだよ!メタグロス!」

 すると、メタグロスは『サイコキネシス』を発動させる。
 ライリューのスピードを封じる作戦だ。
 しかし、ライリューのスピードを捕らえることは容易ではなかった。
 目を光らせて、軽くかわしてしまった。

「(この技は『見切り』ね。この様子からすると、合成の元となっているのはジュカインとサンダースっぽいわね。このままにはしておけない……。スナッチをする他ないわね!)」

 カレンはその機会をうかがっているのだが、まったく隙が見当たらない。

「(ハイドロポンプでサイドンを攻撃しようとしてもライリューが邪魔をするし……。それならいっそ……!)カメックス!『ハイドロポンプ』!!」
「ムダだ!ライリュー!『エレキクロー』!!」

 カメックスに攻撃する間も与えず、ライリューは攻撃をかます。カメックスに電気攻撃は抜群だった。

「今よ!メタグロス!!」
「サイドン!『鉄壁』!」

 そのまま、メタグロスのパンチを受け止めた。

「残念だったな!コメットパンチなら通用しない!」
「あら?私がいつコメットパンチと言ったかしら!?」
「なに?……サイドン!!??」

 ボルグはすぐにサイドンを確認した。すると、サイドンは凍り付いていた。

「くっ『冷凍パンチ』か!?」
「メタグロス!とどめの『サイコキネシス』よ!!」
「甘い!ライリュー!『火炎放射』!!」」
「カメックス!サイドンを攻撃よ!」

 メタグロスが攻撃を受けてダウンした。その間にカメックスはサイドンをノックアウトさせた。

「(ライリュー……炎系の技も使えるの!?)」
「残りは2匹だな!その二匹で俺のライリューを倒せるかな?」
「倒せるわよ!私はたった今、ライリューを倒す方法を思いついたわよ!」

 そういって、カレンは最後のポケモン、メガニウムを出した。

「ほう、やれるものならやってみろ!ライリュー!思う存分に暴れてやれ!!」
“ガウ―――!!”

 ライリューは咆哮を上げると、すさまじいスピードで動き始めた。
 そして、後ろから火炎放射を放ってきた。
 しかし、なんとか『光の壁』で防いだ。
 だが、そのときにはもう、真上からの『10万ボルト』が迫っていた。

「(速すぎるわよ!)カメックス!『ミラーコート』!!」

 メガニウムの光の壁でダメージを軽減させているおかげでなんとか攻撃を跳ね返したのだが、動きながら攻撃している為、そのまま跳ね返しても当たることはなかった。
 メガニウムに『葉っぱカッター』を指示するが、目を光らせて、いとも簡単にかわした。
 しかし、カレンはこれを狙っていた。

「(狙い目はここよ!!)メガニウム!!『ハードプラント』!!!!」

 ハードプラント。それは草系最強の技である。地面から根を出して、ムチのように攻撃するこの攻撃はライリューの動きを制限した。

「これで、ライリューの移動の軌道が見えるわよ!カメックス!!『ハイドロカノン』!!!!」

 さらに、カメックス最強の技が放たれた。二つのハイドロキャノンから放たれる二つの水流は見事にライリューに命中した。そして、そのまま壁にたたきつけた。

「よし!今のうちに!!」

 カレンは右手のリングを光らせて、ボールを放った。ライリューにボールが命中した。
 だが……。

「収まらない!?」
「くっ!失敗ね……」
「どう言うことだ?」
「実はこのスナッチリングは未完成なの。オーレ地方の研究所のクレイン所長が軽くてもいいようにって、作ってくれたのがこのリングなの。でも使ってみたら、十回中五回くらいしか成功しないのよ」
「面白い事を聞いた!だが、もし今成功したとしても、スナッチすることは出来なかっただろうな!」
「「え!?」」

 ボルグがそう言うと、ライリューは難なくと立ちあがった。

「あんなに強い攻撃が決まったのになぜだ!?」
「やれ!ライリュー!『10万ボルト』!!」

 攻撃が、動けない2匹にヒットした。電気に有効なカメックスはダウンした。

「もうメガニウムだけだ!」
「くっ!カレン!俺も協力するぞ!ピカチュウ!『10万ボルト』!!」
「ちょっと!サトシ!待って!」

 だが、カレンの注意が遅かった。
 カレンはあることを予想していたのだ。
 そう、そして、その予想は当たっていた。

「なっ!?効いてない!?」
「それどころか、回復しているわね……(やっぱり、特性は『蓄電』ね)」
「終わりだ!『竜の怒り』!!」
「くっ!まだ終わらないぞ!!『竜の怒り』!!」

 ライリューの攻撃を同じ攻撃で相殺したのは、サトシのリザードンだった。

「どうやら、これでライリューのタイプがはっきりしたわね!」
「わかったのか?」

 カレンは即座にサトシに耳打ちした。

「タイプがわかったとしても!勝つことはできん!『エレキクロー』!!」
「『光の壁』!!」
「『竜の息吹』!!」

 カレンはライリューがリザードンを狙うことを予測して、壁を張っていた。
 そのタイミングに合わせて、サトシは攻撃を指示した。
 緑色のブレスはライリューにクリティカルヒットした。

「『神速』!!」

 再び素早いスピードで動こうとするが、麻痺をしているせいか、スピードが落ちていた。

「リザードン!!『炎の渦』!!」

 ライリューを捕らえるのはそう難しくはなかった。

「そのまま、『オーバーヒート』!!!!」

 強力な炎を放ち、炎の渦ごとライリューを吹っ飛ばした。

「今だ!カレン!!」
「今度こそ!行けェ!!」

 カレンは再び、ボールを投げた。今度はしっかりと当たってからボールに収まった。
 そして、何度か動いたあとにキャプチャーマークの点灯が収まった。

「ぐっ!バカな!!」
「お前の負けだ!」
「観念しなさい!ボルグ!!」

 一分後。
 サトシとカレンはボルグを縛り上げて、ボルグの使っていたコンピュータを見た。

「カレン!これ動かせるのか!?」

 目の前の巨大なコンピュータをいじり始めたカレンに聞いた。

「こんなに大きなコンピュータは無いけれど、多分一緒なんじゃないかな?ほら、でた!ロケット団のアジトの場所一覧!」
「……ほとんど全ての町にアジトがあるじゃないか!」

 サトシはそのマップを見て呟いた。
 確かにサトシの言うとおり、グレンタウン、セキエイ高原を除いた全てのカントーの町にロケット団のアジトが示されていた。

「それで本拠地は!?」
「待っててね……」

 カレンが操作をすると、たくさんあったアジトの内、ある町のアジトの場所が赤く光っていた。

「ここが本拠地ね」
「ヤマブキシティか……」



 第一幕 Wide World Storys
 フォッグス島③ ―――合成ポケモン<キメラ>のライリュー――― 終わり


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Last-modified: 2015-02-03 (火) 18:52:53
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