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たった一つの行路 №013

/たった一つの行路 №013

 ノースト大会が終って2週間が経った。
 その日、ヒロトはマングウタウンの見える丘まで来ていた。
 ヒロトはマングウタウンに戻るのに10日かかった。
 ホクト地方の港から船に乗りジョウチュシティで降り、そこから、マングウタウンまで歩いてきたのである。
 ちなみにマングウタウンとジョウチュシティの間にはホオノ山がある。
 ヒロトはジムバッチを集める為に回った時は通らなかったが、実際、ホオノ山を越えるのに大体一週間もかからないはずである。
 そう考えるとヒロトはあまり進歩は無い。
 と言いたいが、実際のところ、倍以上かかったり、別の方向を行かなかっただけまだマシであろう。



「ついに戻ってきたぞ!マングウタウン!」

 ヒロトはマングウタウンに入った。
 そのとき街中から声がした。

“あ!ヒロトだ!”
“本当だ!ヒロトだ!”
“ノースト大会で優勝したヒロトだ!!”

 ヒロトは少し驚いた。
 まさかこんなにも自分が有名になっていたとは知らなかったからである。
 ヒロトは周りの目を気にせず、自分の家に戻っていった。

「ただいま!」

 ヒロトは家の中に入った。

「あら!ヒロトお帰り!」

 そう言って出迎えたのはヒロトの姉、ルーカスである。

「ずいぶん遅かったじゃない?ノースト大会が終って2週間もかかっているわよ」
「ちょっとホオノ山をゆっくり歩いていたんだ」
「そうなの?まあともかく入りなさい」

 そう言ってヒロトは家の奥に入っていった。

「あ、ヒロト、私はちょっとトミタ博士の研究所に行って来るから家で待っていてね」

 そう言ってルーカスは足早に家を出て行った。
 ヒロトは自分の部屋に入った。
 そこは旅立ち前と変わらなかった。
 好きなゲームに好きな漫画の本、パソコンも置いてあるし、お気に入りの小説も本棚にある。
 ベッドの位置もまったく変わっていない。
 それに部屋もあまり汚れていない。
 きっとルーカスがヒロトの部屋まで掃除してくれているのだろう。
 ヒロトはベッドに身を投げた。
 ベッドがミシミシと軋む音がしたが壊れる気配は無かった。
 ヒロトはこれまでの旅のことを思い返した。


 俺は旅立つ前にヒカリと一緒に行くのを断わった。
 一緒に行ってもよかったが、俺には単に一緒に行く自身が無かった。
 でも今考えてみれば、後悔している。
 自信なんか無くても、一緒に旅ができるということが、トキオと旅をして分かったからだ。
 トキオはいろいろとお節介なところもあったが、本当にいい奴だった。
 ジム戦で戦った人たちも強かった。
 草と地面タイプ出すダイチさん。
 お兄さんが大好きで、俺がもっとも苦手だったナルミさん。
 氷タイプでダブルバトルのコウジさん。
 炎のパンチを使い、気合で攻撃に耐えるヒビキさん。
 もちろん大会で戦った人も強かった。
 派手な性格のコームさん。
 鳥ポケモンが大好きなツバサさん。
 大会で一番苦労したアスナさん。
 そして、強さとかっこよさを秘めたセンリさん。
 そんな人たちとバトルして勝ち、俺はノースト大会を優勝することができた。
 そしてヒカリとも戦った。
 そんな大会の中、俺はそのヒカリの気持ちを知った。
 俺はそれを受け止めたかった。
 でも―――。


「ヒロトー!こっちに来て!」

 ヒロトは思い出に浸っていたがルーカスの一声で中断した。

「なに?」
「これから、トミタ研究所へ行くわよ」

 ヒロトはあまり気が乗らなかったのだが、ルーカスについていった。
 もちろんそれは、ルーカスに逆らうといい思いをしたことがないためであるが。



 ヒロトとルーカスはトミタ研究所の敷地内に入った。
 その瞬間、クラッカーと歓声が響いた。
 そこにはヒロトの知り合いが出揃っていた。
 そして机の上には料理が並べられていた。

“ヒロト、優勝おめでとう!”

 と、一斉にみんなが言った。

「ま、まさか俺のためにこんなことを……」

 ヒロトは感傷に浸った。
 ヒロトはまさか帰ってきて、こんなふうに歓迎されるとは思ってもいなかったからだ。

「おめでとうヒロト!」

 ポケモンスクールでもっともなかのよかった少年、ユウが言った。

「ありがとう!ユウは確か、ポケモンの医者になる為に勉強しているんだろ?」
「ああ!いつか、ヒロトのポケモンも見てやるよ!」
「でも、大変なんだってな。医者っていうのは」
「仕事はみんな大変なものさ」

 ユウは言った。

「ともかく、ヒロト、ゆっくりしていけよ!俺に旅の話を聞かせてくれ!」
「ああ!」

 そこへルーカスが近寄ってきた。

「じゃあ、ヒロト挨拶して!」

 ルーカスがヒロトを一番目立つ所へと押し出した。

「分かった」

 そう言いヒロトは挨拶をし始めた。

「皆さん、今日はこのような会を開いていただきありがとうございます。俺は―――」
「やっぱりやめ!みんな!宴を始めましょう!!乾杯っ!!」

 ヒロトが挨拶をしているところにルーカスが止めた。
 ヒロトは一人ずっこけた。
 そして、勝手に宴をはじめてしまった。
 みんなはルーカスにならい、料理などを食べ始めた。
 ヒロトは自分で言ったくせに勝手に止めさせるなんて、なんて勝手な姉だろうと思った。
 ヒロトは仕方が無く机の上にあった料理を手当たりしだい食べ始めた。
 机の上に乗っているものはどれもおいしそうだった。

「よぉ!ヒロトおめでとう!」
「お!元気だったか?」

 今度はポケモンスクールでの遊び仲間のトシとヨシが近づいてきた。

「確か2人ともメカニックマンになるんだってな?」
「ああ、俺はこういうのを作りたいんだ」

 そう言ってトシは何かの設計図を取り出した。

「これは、『浮遊できるスケートボード』さ!いつかそれを作るのが夢なんだ!」
「それ、かっこいいな!今度出来たら乗せてくれよ!」
「落ち着けヒロト。これはまだ俺が一人前になってからの話だ。まだまだ先の話さ」
「それからでもいいさ!で、ヨシは?」
「俺は、これから勉強して、シルフカンパニーに入りたいんだ」
「シルフカンパニーってあのカントーで有名な大企業じゃないか!」

 ヒロトは驚いた。

「ああ!いずれそこで俺は偉大な大発明をしてやる!」
「どんな?」
「まだそれは決めていない」
「駄目じゃん!」

 ヒロトは何気に突っ込みを入れて笑いあった。
 ヒロトの友達のほとんどはポケモンをもらって、旅に出たのではなく、仕事につくために勉強をしているのだ。
 といっても、ポケモンを持っていないわけではない。

「ところでヒロト、ヒカリちゃんはどーしたのかな♪」

 トシとヨシと話していた所でまた別な少年、スケが話しに混ざってきた。
 ちなみにヒロトは彼が少し苦手だった。

「ん?え?ヒカリ?別に何もないよ!」

 いきなりヒカリの話が出てヒロトは狼狽した。

「“ヒカリ”ねぇ……。そう言えば、いつ“ちゃん”が取れたんだい?」
「あ?え?い?……いや、それは……」

 さらにヒロトは狼狽した。
 もちろん、彼らの前では、“ちゃん”づけで呼んでいた。
 旅に出てからはそのことは忘れていた。

「へぇ……ヒロト、ヒカリちゃんと何かあったんだ」

 トシが興味なさそうにつないだ。

「俺も気になるなぁ~♪」

 ヨシは悪乗りして話に乗ってきた。
 ちなみにヨシとスケは犬猿の仲であるのだが今日は別らしい。

「さぁ、ノースト大会チャンピオンのヒロトくん。答えるのだ!」
「…………。それは……」

 そこへある人がヒロトに話し掛けた。

「やあ!ヒロトくん!」

 トミタ博士が話し掛けてきた。

「あ、トミタ博士!」
「ノースト大会優勝おめでとう!」
「ありがとうございます」
「君に渡したいものがあるんだ。ちょっとついて来てくれないか?」
「ハイ、いいですよ!じゃあ、また後でね!」

 ヒロトは何とかその場を離れていった。
 後方では、後で話を聞かせろと、スケがの怒鳴っている声が聞こえた。



 ヒロトとトミタ博士の研究室に入った。
 トミタ博士の研究室には色違いのポケモンの写真やら、伝説のポケモンに関する考察やらかなりの資料が置かれてあった。
 トミタ博士は、突然変異のポケモンや色違いのポケモン、伝説と呼ばれているポケモンを調べているのだ。

「ヒロトくん、君のポケモンがどのくらい育ったか見せてくれないかい?」
「いいですよ」

 そう言ってヒロトは持っているすべてのポケモンを出した。

「ポワルン、キノガッサ、ピカチュウ、そして、リザードか……」
「どうですか?」

 ヒロトは恐る恐るトミタ博士に聞いた。

「よく育てられているね。ただ、この4匹だけで大会に優勝するとは、ちょっとビックリするよ。普通のトレーナーなら40~50のポケモンは普通に捕まえるはずだよ。
 そしてその中から6匹に絞って、育てて大会に出る。4匹で大会に出たのはヒロトくんだけじゃないかい?」
「…………」

 トミタ博士が言うのももっともだ。
 ヒロトは、4匹しか持っていない。
 しかも実際にバトルしてゲットしたのは、ピカチュウとキノガッサだけだ。
 ヒロトがポケモンをゲットしなかった理由は、手持ちのポケモンを強くしようとするあまり、ゲットすることを忘れてしまったためである。

「確かに君のポケモンは強くなっている。でも、いろんな相手と戦うにはもっとポケモンを捕まえたほうがいいと思うよ。そのほうが僕も研究が捗るしね」
「分かりました」

 そう言ってヒロトはポケモンを戻した。

「それとヒロトくん、一つ聞きたいことがある」
「はい?」
「最近、ノースト地方でポケモンを使って悪さをするという組織があるようだが、聞いたことあるかい?」
「はい、確かロケット団とか言ったかな?それがどうしたんですか?」
「君はポケモンを何だと思っているんだい?」

 突然の質問にヒロトは少し戸惑った。

「(……そんなこと考えたこともなかった。でも、ポケモンは道具じゃないことは間違いない!)」

 少しの時間ヒロトは考えた。
 トミタ博士はヒロトが答えるまで待っているようだ。

「……俺にとってポケモンは……いつでも傍にいる『親友』です!困った時や辛い時は励ましあい……バトルの時ではいつも信じ合い戦う。それが、俺のポケモンに対する考えです!!」
「そうか」

 そう言って、トミタ博士はあるものを取り出した。

「ポケモン図鑑だ。持っていきなさい」
「ポケモン図鑑?」
「色々な機能がついている。詳しくはHELPで確認しなさい。それはポケモンを……」

 と、トミタ博士はヒカリとほぼ同じような説明をした。

「その心があれば、君はもっと強くなれるはずだ。」
「はい!ありがとうございます。ところでロケット団がどうしたんですか?」
「あ、そうだった忘れるところだった。そのロケット団という組織には気をつけなさい。噂ではその組織に手を出したものは命を狙われると言う話だ」
「…………」

 トミタ博士は会場に戻るよと言って戻ろうとしたので、ヒロトはトミタ博士と一緒に戻っていった。



 ヒロトとトミタ博士が戻った頃には宴が最高潮に達していた。
 誰が持ち出したか知らないが、複数のテーブルの上にはなんと酒が置かれていた。
 しかも、もちろん持ち出してきたのは大人達であろうが、飲んでいるのはほとんどが未成年者のようだ。
 飲んだ人は一目でわかった。
 千鳥足の人やもう酔いつぶれて寝てしまった人がいる。
 こりゃ明日は全員二日酔いだなとヒロトは思った。

「お~い!ヒロト!」
「げ……姉さんまで飲んでる……!?」

 ルーカスはフラフラになっている。
 よほど酒を飲んだのだろう。

「あんたも飲みなさい!!」

 そう言って、ルーカスはヒロトに酒を押し付け飲ませた。

「(姉さんが酒飲んでこんなことになるなんて知らなかった……)」

 と、思いつつヒロトの意識は完全に失われていった。
 ヒロトが朝起きると、トミタ研究所の待合室いたとのことだ。
 もちろん、頭が、ガンガンして起きられなかったのは言うまでもない。



 ―――3日後。
 ヒロトの優勝パーティが終わり3日が経った。
 ヒロトは自分の家のリビングにいた。
 ルーカスが目の前に座っている。
 雰囲気は少し重い。
 ルーカスが口を開いた。

「一つ聞いていい?」
「うん」
「ヒカリのことなんだけど、どうして一緒に戻ってこなかったの?あんなに仲がよかったのに……」
「…………」
「ヒロト!ヒカリと何かあったでしょう!」
「べ、別に何もなかったよ!」
「そうかな?私にはヒロトが嘘をついているように見えるけどね」
「本当に何もなかったんだってば!」

 そう言ってヒロトは自分の部屋に駆け込んでいった。

「ヒロト……何があったかはわからないけれど、何があっても目先のことにとらわれず、何事も素直になることが大事だよ」

 ルーカスはヒロトを追わず語りかけるように言った。



 ヒロトはまたベッドに寝転がり、これからのことを考えていた。


 夢。
 あの夢は俺が大人になるまでの現実を見せる物だって言っていたよな。
 そう考えると、俺は旅に出ると、赤いバンダナをかぶった女の子、メガネをかけた少し背丈の低い少年、白い帽子をかぶった少年、ロケット団のポケモンを奪ったトレーナー、
 フライゴン、ギャラドスを操り自分を世界の美少女とか言っていた少女、そして、ジョウチュシティで見て何度も出てきたトレーナーや出来事……あれは本当に起こるのだろうか……?
 もし夢での出来事が本当に起こることだとしたら、俺は、ヒカリと一緒にいる訳には行かないことになる。
 それはヒカリの為でもある。
 ヒカリがあんな酷い目にあわないようにするためにはこうするしかなかったんだ。
 …………でも、もし、万が一、夢の通りになってしまうのだったら、俺はヒカリと一緒にいたほうがよかったのではないだろうか。
 …………。
 それにしてもまさかヒカリが本当に俺のことが好きだったなんてな。
 夢の中の奴は悪しき者と戦う為の手助けだとか言っていたが……これはとんだ大迷惑だ。
 しかし、ロケット団なんて俺が幹部みたいな奴を倒せるくらいなんだから、ロケット団なんて弱いじゃないか?
 それにトミタ博士がロケット団に手を出すと命を狙われると言っても、返り討ちにしてしまえば何の問題もないじゃないか。

 夢。
 ユウもトシもヨシもみんな夢に向かって歩き出している。俺は俺の目標を見つけないといけない。
 どちらにしろ、また、明日から旅に出てもっと強くなろう。


「ヒロト!風呂が入ったよ!」

 ルーカスが部屋の外から呼んだ。

「分かった!すぐに入るよ!それと、俺、明日からまた旅に出るから!」
「あら、急な話ね。かまわないわよ」
「ありがとう」

 そう言ってヒロトは浴場へ行った。
 後ろでルーカスが怪しい笑みを浮かべていたことを彼は知らない。

「ふわ~いい湯だなぁ」

 ヒロトはゆったりと湯舟につかっている。
 ヒロトの家のお風呂はと言うと、決して広くはない。
 一人では広く、二人だと狭いくらいだろう。
 ……と言っても二人で入ると言ったら、子供の時くらいだろう。

「ヒロト!気分はどう?」

 ヒロトの目の前でルーカスが言った。

「ああ!とってもいい気分だ……!!??っておい!なんで姉さんが入ってきているんだよ!!」

 ルーカスはヒロトが入っていると言うのに勝手に入ってきた。
 もちろん服は脱いでいてタオル一枚である。
 久しぶりの姉の姿に見とれてしまった。

「たまには一緒に入らない?」
「っ!! 冗談はやめてくれよ!俺は上がるぞ!」

 そう言って急いでヒロトは浴場から出てしまった。

「ちぇ、つまらない!結構、ヒロトってうぶだったのね。ふふっ♪」

 ルーカスは仕方がなく一人で風呂に入った。

「そうだ……。運命と言えば……」

 ヒロトはある小説を思い出した。
 それは、最もお気に入りだった小説だった。

「…………。予知夢によって運命を握られた少年。そして、それを避けるために彼女と別れるしかなかった。まるで今の俺のようだな。まさかこんなことになるとは思わなかったな」

 ヒロトは徐々に夢の中へと落ちていった。



 ―――カントー地方某所。
 ヒロトの知らないある町のある場所で怪しげな話が行われていた。

「ノースト地方で秘密基地を作り、数々の所業……よくやったバロン!これからお前をノースト支部長兼幹部に任命する」
「ありがとうございます。ボス」

 バロンと言う男が、ボスに褒められていた。

「これからの行いも期待しているぞ!バロン!」
「はい」

 バロンと言うのはもちろん、ノースト地方でヒロトと戦った奴のことである。

「ふふふ……」
「何がおかしい?レイラ!」

 バロンを笑っている女……どうやらレイラと言うらしい。
 見るからに大人のお姉さんと言う感じである。
 その魅力はロケット団の下っ端がファンクラブを作るくらいである。

「ノースト地方とホクト地方経由の船の襲撃に失敗したわりにはなかなかの昇格ね」
「なっ!なぜ知っていやがる?」
「そんなの聞くまでもないんじゃないの?」
「……まあな。ったく、お前はいちいち忌々しいんだよ」
「それにしても、あなたを邪魔した少年、どうするの?」
「俺はあんなガキに負けていない!俺はあの時ギャラドスしか持っていなかったからな!レベルの低いノースト地方だから甘く見ていたんだ」
「油断大敵よ。それにその少年、ノースト大会に優勝したみたいよ。」
「ふん。そうなのか」
「その子の名前はヒロト。結構かわいい子じゃない」

 そう言って、水晶玉に映し出されたヒロトをまじまじとレイラは見た。

「ふん、ヒロトか。今度会ったときは俺のベストメンバーで地獄を見せてやる!!」

 そういって、バロンは水晶玉を掴み、そのまま握りつぶした。
 ヒロトはロケット団という存在を敵に回してしまったことを知らない。



 マングウタウン、朝。
 ヒロトは朝早く起きた。

「早いわね……もう行く気?」
「ああ、今度帰って来る時は今よりも、もっともっと強くなって帰って来るからな!」

 ヒロトは自分の家を後にした。
 ルーカスはこの時、自分たちの父親と同じく戻ってこないんじゃないかと思った。
 そう思いながらも、ルーカスは温かく弟が旅立つのを見守った。


 俺は決めた!
 やっぱり、ヒカリを探すことにしよう!
 夢の通りになったとしても俺は仕方がないと思う!
 姉さんの言うとおり自分の気持ちは素直に伝えるべきだ!
 俺は強くなって、ヒカリを探し出して、そして―――。
 うん、俺は運命になんて絶対屈しない!!


 ヒロトは新たな誓いを胸に秘めた。



「さて、どこへ行こうか……」

 ヒロトは早速行き先に迷った。

「……そう言えば、ホクト地方であった占い師が迷った時は『風』に尋ねろって言っていたよな?あれってどういう意味だろう?」

 そう考えていると、緩やかな風が吹いた。

「風の吹く方向へ進めってことなのかなぁ……?よし!ネール!」

 ヒロトはポワルンを出して風の吹く方向を進むように言った。
 ヒロトは見知らぬ道を歩いていく。
 それはヒロトにとって夢の中のトレーナーと出会っていく出発点でもあった。
 ヒロトは南西向かって歩き始めた。



「(ヒカリ……すぐにお前を見つけ出してやる!!)」



 たった一つの行路 №013
 第一幕 Wide World Storys
 運命の始まるノースト地方⑬ ―――新たな旅へ――― 終わり



 あとがき
 話の区切りになりますので、ここでいったんあとがきと致します。
 私がポケモン小説を書くようになったのは、ちょうどポケモンのルビーサファイアが発売されて数か月が経ったころでした。
 ポケモンルビー&サファイアが発売された当時は、GBC版との互換性のなさに絶望して、ゲームから離れました。
 しかし、まわりでGBAが流行るようになって、自分も試しにプレイするようになってはまりました。
 さらにちょうどそのころ自宅でインターネットができるようになり、何気なくポケモン小説を検索しあるサイトのポケモン小説にはまり、自分も物語を書きたいと思いました。
 この第一章のお話もそこからほとんど変わっていません。
 まだこの頃はとにかく一人の主人公が冒険をして、ジムを巡る旅にポケモンリーグを書きたかったということを覚えています。
 正直、ジムバッジを巡る旅で焦点を当てているのは、この章だけかもしれません。
 なお、私でもこの章の話は最初の話かつ初めて書いた話だけあって、盛り上がりに欠けるかもしれません。
 後半のほうに行くにしたがって、面白くなっていく……はずです。登場人物も増えますが……。
 物語のツッコミや感想は、常時受け付けておりますので、気が向いたら気軽にコメントを頂ければ幸いです。
 とりあえず、今後ともよろしくお願いいたします!





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Last-modified: 2014-12-31 (水) 15:51:28
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