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たった一つの行路 №010

/たった一つの行路 №010

 ―――2日目。
 ヒロトは朝早くに抽選会場に来ていた。

「すみません!俺は誰と対戦するんですか?」
「ええと、ヒロト君だよね?対戦相手はコ-ムと言う人よ。」

 そう言って画面に映し出した。

「この人が俺の対戦相手……早く戦いてー!」
「試合時間は……今日の最終戦、氷のフィールドね」
「よっしゃあ!がんばるぞ!」

 ヒロトはそのまま会場を出た。

「ん?もしかしてあの人がコームという人かな?」

 ヒロトはモンスターボールを使ってジャグリングをしている人を見つけた。

「すみません!もしかしてあなたがコームさんですか??」
「はい、いかにそうだが君は?」
「あ!俺の名前はヒロト!一回戦の相手です。おたがいいい勝負をしましょう。」

 ヒロトは握手を求めた。

「そうか、君が一回戦の相手か……まあせいぜいがんばってくれ。私が勝っても恨まないでくれよ」

 そう言って、コームは握手をせずに行ってしまった。

「……うわー、自身満々だな……」

 と言うよりなめられている事に気づいていないヒロトであった。



 たった一つの行路 №010



 ―――夕方。
 ヒロトの番がやってきた。

「く……かなり緊張するな……」

 そう思いながらも、堂々とフィールドに入っていった。
 改めて説明するとここは氷のフィールドだ。
 一面が凍りだらけのステージである。
 見るからに滑りそうなフィールドである。

「それではこれからヒロト対コームの試合を始めます!ルールは3対3のシングルマッチ。入れ替え自由。時間無制限。先に3匹戦闘不能にさせたら勝ちです。それでは試合はじめ!!」
「行け!マッシュ!」
「一気に決めるぞ!オクタン!」

 フィールドに同時に出た。
 ヒロトはキノココ、コームはオクタンだ。

「マッシュ、『種マシンガン』!」
「オクタン!『バブル光線』!」

 『種マシンガン』を『バブル光線』で相殺した。

「な!」
「オクタン、『冷凍ビーム』だ!」
「ま、まずい!かわせ!」

 キノココは冷凍ビームをかわした。
 しかし、ヒロトはフィールドのことを忘れていた。
 キノココはよけた反動でそのまま滑ってしまった。

「まずい!ブレーキが利かないのか?」
「オクタン!『ロックオン』だ!逃がすな!そして『冷凍ビーム』!!」

 キノココはかわすことも防御する事もできかった。
 氷タイプに弱いキノココはわずか一撃でダウンしてしまった。

「戻れ!マッシュ!」

 ヒロトは自分が緊張していた為、冷静でいられず何もできなかった。

「くそ!こんなところで負ける訳には行かない!」
「君に私のオクタンが倒せるかな?」

 やっぱりコームはヒロトをなめているようだ。

「シオン!頼むぞ!」

 ヒロトの二番手はピカチュウだ。

「先手必勝!『電気ショック』!」
「『オクタン砲』だ!」

 『電気ショック』と『オクタン砲』はぶつかって消えた。

「オクタン、『冷凍ビーム』!」
「シオン、ジャンプだ!」

 ピカチュウはジャンプして冷凍ビームをかわした。

「また、繰り返す気か?オクタン、『ロックオン』から『冷凍ビーム』!!」
「シオン!フィールドを利用して『電光石火』!」

 ピカチュウはフィールドをスケートのように滑り出した。

「よし!そのままオクタンに向かいながら『電撃波』!」

 ピカチュウはスライディングの応用で滑り込みながら、『電撃波』を放った。
 そして、『冷凍ビーム』と『電撃波』がぶつかった。
 ピカチュウの攻撃は『電撃波』+『電光石火』である。
 氷の勢いに乗せた『電撃波』はいつもより増していた。
 オクタンの『冷凍ビーム』を貫通し、特性が『吸盤』であるはずのオクタンを吹っ飛ばした。

「オクタン戦闘不能!ピカチュウの勝ち!」
「戻れ!オクタン!」
「よし!まず一匹!」
「まあ、それはただ相性が良かっただけのことさ。次はナッシーだ!」

 そう言いつつ、ナッシーを出した。

「戻れ!シオン!」

 ヒロトはピカチュウを一旦戻した。

「頼むぞ!ザーフィ!」
「また相性のよさで勝てると思うなよ!ナッシー!『タマゴ爆弾』!」

 ナッシーはタマゴ爆弾を投げてきた。

「つづいて『サイケ光線』!そして、とどめの『目覚めるパワー』!地面の力だ!」

 コームは速攻蹴りつけるつもりで連続攻撃に出た。
 技の威力からか、連続で爆発した。
 煙が晴れていくが、リザードにはまったくダメージは与えていないようだった。

「なに!ノーダメージだと!?」

 ヒロトは『タマゴ爆弾』を『火の粉』で相殺、『サイケ光線』を『煙幕』で外させ、『目覚めるパワー』を『火炎放射』で相殺したのだ。

「ふう、指示が間に合ってよかった……」
「もう一回『目覚めるパワー』だ。」
「速攻だ!かわして『炎のパンチ』!」

 リザードは『目覚めるパワー』をかわして『炎のパンチ』をヒットさせた。

「そして、『火炎放射』だ!」

 リザードの放った『火炎放射』はナッシーに命中し、フィールドさえも溶かした。
 地面を融かされたナッシーは着水した。

「あ……。ナッシー、大丈夫かな……?」

 ナッシーは何とか浮いてこられた。
 しかし、見るからに戦闘不能だった。

「ナッシー、戦闘不能!リザードの勝ち!」
「あと一匹だ!」
「ぐぐぐ……しかたがない!私の力を見せてやろう!いでよ!ゴルバット!」

 コームは最後にゴルバットを出してきた。

「ザーフィ!一気に決めるぞ!『火炎放射』!」
「ゴルバット、かわして『翼で打つ』!」

 ゴルバットは火炎放射をいとも簡単にかわし、リザードに一撃を与えた。

「(あいつ……速い!)」
「さあ、私のゴルバットを捕らえるとこができるかな?『影分身』だ!」

 ゴルバットは自分の姿と同じ姿を作り出した。

「ちっ、厄介な攻撃だな。厄介な攻撃だけど……」
「そのまま『翼で打つ』!」

 影分身をしたゴルバットは一気にリザードに襲い掛かった。

「すれ違いざまに全て『燕返し』だ!」

 リザードはすべてのゴルバットに『燕返し』を当てた。
 もちろん本物にもだ。

「何っ!?影分身が破られた!」
「今だ!『火炎放射』!」

 リザードの火炎放射はみごとにゴルバットにあたり、氷の上でダウンした。

「ゴルバット戦闘不能、リザードの勝ち!よって勝者ヒロト!」
「やりィ♪」

 ヒロトは一回戦を勝ち抜き二回戦に進むことになった。
 ヒロトが喜んでいる間にコームが近づいてきた。

「悪かったな君をなめていたよ。これからもがんばりたまえ!」

 そんな言葉を残しコームは去っていったのだった。



 ―――3日目。

「ゴマゾウ、戦闘不能!ピカチュウの勝ち!」

 フィールド内からコールが響き渡る。
 ここは草のフィールド。
 今、ヒロトは二回戦の真っ最中である。
 ヒロトはピカチュウだけで2匹を倒して残り1匹まできた。

「グランブル!暴れて来い!」

 相手はグランブルを出してきた。
 ヒロトはピカチュウで試合を続行した。

「シオン!『高速移動』だ!」
「グランブル!『かみつく』攻撃!!」

 グランブルの噛み付くこうとするがピカチュウにあたらない。

「一気に行くぞ!『電撃波』!」
「グランブル、かわして『気合パンチ』だ!」

 しかし、シオンの『電撃波』は例の如くとてつもなく速くかわすことができる技ではなかった。
 同時に『気合パンチ』繰りを出すことは不可能だった。
 だが、『電撃波』だけでは少ししかダメージを与えることはできなかった。

「あのグランブル結構タフだな。もう一回『高速移動』だ!」
「させるか!グランブル、『地震』だ!」

 グランブルは衝撃で地震を起こした。

「なっ!」
「そのピカチュウは高速移動中や空中じゃ『電撃波』が打てないことは分かった。電撃波はもう打たせない!」
「ならば電撃波を使わずに勝つ!シオン、グランブルに向かって『電光石火』!そして、『アイアンテール』だ!」

 グランブルは地震を起こした事により隙が出た。
 それでシオンのでんこうせっか+アイアンテールをかわせなかった。

「とどめの『電気ショック』!」

 グランブルに打撃ダメージを与えた後電気ショックが決まった。
 シオンの電撃波は相手に確実に当てることができるが、今のシオンのレベルでは連射や空中での狙いが定まらない。
 ただし、電気ショックは使うエネルギー量が少ない為に連射や方向転換が楽にできるのだ。
 ともかくグランブルは倒れた。

「グランブル戦闘不能!ピカチュウの勝ち!」
「よし!」

 ヒロトは二回戦をストレートで勝ち抜いた。



「ふぁ……この後どうしようかな?」

 ヒロトは次の試合が明日になるということを聞いて暇だった。

「そうだ!トキオやヒカリはどうしたかな?」

 そう言ってヒロトはスタジアムへ行った。

「よう!ヒカリ!」
「あ!ヒロト!」

 ヒロトはばったりとヒカリに会った。

「どうしたのヒロト?なんだか暇そうね」
「ああ。二回戦が終わって三回戦が明日だって言うから暇なんだ」
「そう。私も三回戦が終わったから暇なのよ。それじゃあちょっとそこら辺一緒に歩かない?」
「別にかまわないけど」

 そう言って2人は町へ出かけた。

「ヒカリは二回戦どうだったんだ?」
「私?私はストレートで勝ったわよ!」
「すごいな」
「そう言えば、聞きたいことがあるんだけど……」
「ん?何?」

 ヒカリはとても真剣な顔になった。

「この前あったトキオって言う人とはどこで会ったの?」
「トキオ?あいつはフールタウンであったんだ。会って話していたら、何か俺といっしょに行かないかと言われたんだ。俺はいいって言ったんだけど。そしてブルーズシティまで進んでオートンシティで別れたんだ」
「本当にそれだけなの?」
「え?」

 ヒカリが鬼気迫るという感じでヒロトに迫ってきた。

「ほ、本当だよ。どうしたんだ?」
「え?いいえ、なんでもないわ!」
「そうか?なんか前よりと様子がおかしくないか?」
「そんなことないわよ!!」

 そう言うとヒカリは怒って1人でどっかに行ってしまった。

「(もう!ヒロトったら!私の気持ちも知らないで……)」
「やっぱりおかしいよな……。旅に出る前のときと俺に対する態度がなんか変わっているような気がするのは気のせいかなぁ?」

 ヒロトはヒカリの様子が旅立つ前の時と違うことがやっと分かったのだ。

「あーあ……女の子の考えていることは分からないよ……」

 ヒロトは考えていたのであった。
 だが、ヒロトはこれらのことが後になってとてつもなく大変な事態を招くことになるとは知るはずもなかった。



 ―――4日目
 ヒロトは水のフィールドに来ていた。
 水のフィールドはその名の通りプールがある。
 そしてそこに浮き島がいくつかある。
 その上で戦うことになる。
 ヒロトは今日勝つと、次は準々決勝に進める。
 相手はツバサと言う青年だった。

「やあ!君がヒロトだね?」
「はい」
「お互い悔いのないバトルをしよう!」

 そう言って握手を求めてきた。

「はい!よろしくお願いします」

 ヒロトは握手に応じた。

「(なんか感じのいい人だな)」

 ヒロトはそう思った。

「それではこれからヒロト対ツバサの試合を始めます!ルールは3対3のシングルマッチ。入れ替え自由で時間無制限。先に3体ダウンさせた方の勝ちです!!それでは試合はじめ!」
「頼むぞ!マッシュ!」
「キャモメ!最初は君だ!」

 同時にキノココとキャモメが出てきた。
 ヒロトは相手が水ポケモンを使ってくると読みキノココを出したのだろう。
 しかし、相手のポケモンは水+飛行タイプだ。
 相性ではキャモメの方が有利である。

「キャモメ!『水鉄砲』!」
「マッシュ!『種マシンガン』でガードだ!」

 キノココは水鉄砲を種マシンガンでガードしようとした。
 しかし、種マシンガンは水鉄砲の威力に押されてキノココに当たってしまった。

「マッシュ!」

 水鉄砲の威力は強かったものの属性の関係によりダメージはあまりなかった。

「マッシュ!『宿木の種』!」
「かわして、『翼で打つ』!」

 キャモメはいとも簡単に宿木の種をかわし、翼で打つをヒットさせた。

「マッシュ!大丈夫か?」

 キノココはかなりのダメージを受けた。
 だがその時、キノココの体が光り始めた。

「まさか……これは……進化!?」

 キノココはまばゆい光の中で体を変化していった。
 気がついたときにはキノココはキノガッサに進化していた。

「よしいけるぞ!」
「でもまだ、僕の有利は変わらないよ!『翼で打つ』!」

 キャモメの『翼で打つ』攻撃がキノガッサを襲う。

「ってマッシュは進化したらどんな技使うんだ!!??」

 ヒロトは混乱している。
 そんなことしている間にキャモメの『翼で打つ』攻撃が決まった。
 と思ったが……

「なに!」
「あれっ!?」

 倒れたのはキノガッサではなくキャモメだった。

「これは『カウンター』!?」

 キノガッサは命令もされていないのにカウンターを使ったのだ。

「キャモメ、戦闘不能!キノガッサの勝ち!」
「(もしかして進化したら、格闘の技が使えるのかな?)よし!いけるぞ!」

 自分のポケモンなのに進化したら何を使えるかわからないヒロトだった。

「まさか進化するとは驚いたよ!でも、ここからが勝負だ!頼むぞ!エアームド!」

 ツバサの二匹目のポケモンは全身が鋼の鳥ポケモン、エアームドだ。

「よし!このまま押していくぞ!」

 ヒロトはキノガッサに進化したことで勢いがついていた。

「マッシュ!『頭突き』だ!」
「エアームドかわせ!」

 指示通りエアームドは頭突きを軽くかわした。
 頭突きを外したマッシュはそのまま水に落ちてしまった。

「あっ!まずい!」

 ヒロトは勢いに乗りすぎて、ここが足場の少ない水のフィールドだということをすっかり忘れていた。

「いまだ!『エアーカッター』!」

 エアーカッターは水中に向かって放たれた。

「ともかく水にもぐれ!」

 キノガッサは水の中にもぐった。
 エアーカッターは水を切り裂いた。
 だが、キノガッサには奇跡的に当たらなかった。
 エアーカッターの直後にすぐキノガッサはプールから上がってきた。

「ふう。危なかった……。慎重に攻めないと……」
「どんどん行くよ!『スピードスター』!」

 エアームドの容赦のない攻撃が続く。

「『種マシンガン』で打ち落とせ!」

 スピードスターを種マシンガンで相殺した。

「『痺れ粉』だ!」

 キノガッサは痺れ粉をまいた。
 相手の動きを制限させる作戦だ。

「(それを浴びたらまずい!)空へ上昇しろ!」

 エアームドは空に高く飛びあがった。
 痺れ粉は空には届かずエアームドには意味がなかった。

「(できるかどうか分からないけど一か八か……)そこで『スカイアッパー』だ!」

 キノガッサは空にいるエアームドにスカイアッパーを当てた。
 スカイアッパーは空を飛んでいるターゲットにも命中することができる。

「よし!決まった!」

 ヒロトはそう思った。
 しかし、実際エアームドには全く効いていなかった。

「くっ、やっぱりまだ使えないのか!?」

 キノガッサのスカイアッパーが完璧じゃなかったのもあるがエアームドの防御力はかなりある。
 打撃攻撃で攻めるのはかなりつらいだろう。
 逆にスカイアッパーを使ったマッシュは空中にいる。
 それが格好の的となった。

「今だ!『ドリルくちばし』!」

 エアームドのドリルくちばしは見事に決まった。
 マッシュはそのままプールに落ちた。

「キノガッサ、戦闘不能!エアームドの勝ち!」

 ヒロトはすぐにキノガッサをボールに戻した。

「やっぱり、草系を飛行系と戦わせるのは無謀だったか……」

 と言いつつ、ヒロトはピカチュウを出した。

「戻れ!エアームド!」

 ツバサはエアームドを戻した。
 飛行系を電気系と戦わせるのはあまりにも無理があると考えたからであろう。

「頼むぞ!ヌオー!」

 ツバサはヌオーを出した。
 草ポケモンのマッシュを倒したからでしたのであろう。

「(水タイプか?一体なぜ?)ともかく『電気ショック』だ!」

 シオンの電気ショックはヌオーに直撃した。
 しかし、ヌオーには全く効果がない。

「……なんでだ!?」
「ヌオー!『水鉄砲』だ!」
「シオン!ジャンプでかわせ!」

 ヌオーの水鉄砲は速かったが、ピカチュウのスピードはそれより速かった。

「電気が効かないのならそれ以外で行くしかない!!シオン、『電光石火』!」

 ピカチュウはまっすぐヌオーに向かって行った。

「ヌオー!『たたきつける』攻撃!」

 ヌオーは動くスピードは遅いがツバサのヌオーは反応が早かった。
 電光石火のスピードに合わせてピカチュウをプールに叩き落した。

「シオン!大丈夫か?」

 ピカチュウは泳げないわけではないのでヒロトはダメージの方を心配していた。
 見た感じどうやらシオンはあまりダメージを受けていないようだ。

「シオン!プールから出て『スピードスター』!」
「ヌオー!『マッドショット』で押し返せ!」

 スピードスターとマッドショットがぶつかった。
 ヌオーのマッドショットは強力だった。
 シオンのスピードスターをすべて弾き飛ばした。

「まずい!シオン、避けろ!」

 シオンはかわそうとしたがマッドショットに当たってしまった。
 そして、シオンの体力はかなり削られてしまった。

「くっ、まずいな……シオン戻れ!」

 そう言ってヒロトはシオンをモンスターボールに戻した。

「(おそらくヌオーのタイプは水、地面だ……)頼むぞ!ネール!」

 ヒロトは三匹目のポワルンを出した。

「ネール!『あられ』だ!」

 ポワルンはあられを降らせ自らの体を雪雲に変えた。
 また、あられはヌオーに襲い掛かる。
 ヌオーはあられでダメージを受けている。

「まずい!ヌオー!プールにもぐれ!」

 しかし、ヌオーは動けなかった。
 シオンに『たたきつける』をやったときに静電気で麻痺したのだ。

「今だ!最大パワーで『ウェザーボール』!」

 ネイルは氷の塊を放った。
 それはヌオーに当たったが、ダウンさせるまでには至らなかった。

「とどめの『すてみタックル』!」

 隙も与えぬ連続攻撃がヌオーを完全にノックアウトさせた。

「ヌオー!戦闘不能!ポワルンの勝ち!」
「よし!」
「次!エアームド!『鋼の翼』だ!」

 ツバサはエアームドを出してすぐ指示を出した。

「させるか!『にほんばれ』!」

 ヒロトはすぐに天気をあられから快晴に変えた。
 もちろんその影響で雪雲から太陽に変わったのは言うまでもない。
 ポワルンは炎系に変わったおかげであまりダメージを受けなかった。

「一気に決めるぞ!『ウェザーボール』!」

 炎の塊がエアームドに当たった。
 ヒロトにはそう見えた。
 しかし、実際は当たっていなかった。

「……っ! き、消えた!?影分身か!?」
「ただの影分身じゃないよ!『高速移動』+『影分身』だ!!」

 高速で動いている上に、影分身までされるとさすがに普通の攻撃は当たらないだろう。

「これで決める!!『ドリル乱れづき』!!」
「ネール!『火の粉』をばらまくんだ!」

 しかし、ポワルンが『火の粉』を使う前に『ドリル乱れづき』が決まった。
 ポワルンは攻撃に耐えきれずダウンした。

「ポワルン、戦闘不能!エアームドの勝ち!!」

 ヒロトも残り一体になった。

「もう一回頼むぞ!シオン!」

 ヒロトは再びピカチュウを出した。
 ヌオーと戦ったときのダメージを考えると『ドリル乱れづき』を受けたらダウンすると考え、その技を警戒した。

「エアームド、『スピードスター』!」
「シオン、こっちも『スピードスター』だ!」

 スピードスター同士がぶつかり相殺した。
 スピードスター同士では決着はつかないだろう。

「シオン、『電気ショック』!」
「エアームド!『高速影分身』!」

 エアームドはまたポワルンのときと同じく高速移動+影分身をしてきた。
 電気ショックは当たらなかった。

「(攻撃が当たらない……こうなったらあの時を狙うしか……)」
「エアームド!『エアーカッター』!」
「シオン、『高速移動』でエアームドの攻撃範囲から避けろ!」

 ピカチュウは足場をみごとに移動しながら高速移動をし始めた。
 しかし、エアーカッターの攻撃範囲から逃げられなく当たってしまった。
 電気系だった為あまりダメージを受けることはなかったが、ピカチュウの体力にとってはこの一撃は痛かった。
 もうほとんどピカチュウの体力はない。

「よし!エアームド!とどめの『ドリル乱れづき』だ!」

 ツバサは最後に『ドリル乱れづき』を指示した。
 ちなみにまだ影分身は続いている。

「来い!これを待っていたんだ!シオン!ぎりぎりまで引きつけろ!」
「(何をする気だ!?)」

 そのままエアームドの攻撃がピカチュウに当たる範囲まで来た。

「今だ!『電撃波』!」

 ピカチュウの強烈な電撃が至近距離でエアームドにヒットした。
 エアームドはおもいっきり弾き飛ばされた。

「まだやられていないぞ!エアームド!『鋼のつばさ』!」
「シオン!最大パワーで『電撃波』!」

 エアームドは電撃波を鋼の翼で弾こうとした。
 しかし、ピカチュウの電撃波が打ち勝った。
 エアームドは体力がなくなり地面に墜落した。

「エアームド、戦闘不能!ピカチュウの勝ち!よって勝者、ヒロト!」
「やった!」

 ヒロトはそう言いながらガッツポーズをとった。

「あーあ……負けちゃったか……。ヒロト」
「はい」
「次の試合、僕の分までがんばってくれよな!!」

 そう言ってツバサは握手を求めた。

「ああ!もちろんさ!!」

 ヒロトは快く握手に応じたのであった。



 ヒロトは三回戦が終わったあとすぐに組合せ会場に行った。
 そして、ヒロトはトーナメント表を見た。

「えーと……俺の次の対戦相手は……まだ決まっていないようだな」

 ヒロトは次の対戦相手が決まっていなくて少しがっかりした。そして、他の組合せを見てみた。
 するとそこには驚くべき組合せが書かれていたのであった。
 いや、驚くべき組み合わせだったが、この組み合わせは予想していたといっても正しかっただろう。

「ま、まさか……あの夢は本当に……未来を見通していたというのか……?」



 第一幕 Wide World Storys
 運命の始まるノースト地方⑩ ―――予選――― 終わり





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Last-modified: 2014-12-30 (火) 10:46:36
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