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それはひょっとして恋ですか?

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はい、この小説の作者である簾桜です。言いたい事はあとがきにて




 突然の事だが、今俺は幼馴染(?)に連れられて、というより引っ張りまわされて普段なら絶対に行かない地元の祭りを歩かされている。
 どうしてそんな目にあってるかを簡潔に説明しよう。まぁそんなに難しい事じゃないけどさ。

 まず初めに言っとくけど、俺はとある人間に飼われているポケモンだ。種族はマグマラシ。祭りっていうのは、簡単に言うと要するに夏祭りって奴だ。
 人間達は時折こういった催し物を開いては馬鹿騒ぎしているんだよ。まったく、何が楽しいんだか。
 具体的に言うと、大きなスーパーの駐車場に出店とか盆踊りとかを踊る為の舞台用意したり。夕方になったらヨヨイのヨイ、なんて言って円になって踊るらしい。今は昼をちょっと過ぎた辺りだから、人間達は皆屋台を巡ってパクついてたりしてるし、舞台でもビンゴゲームっていうお遊びをやっている。どういうゲームかは知らない。
 どうでもいい事だけど、俺達の主人も一緒に楽しんでいたりする。現在はチョコバナナなんていうのを食ってるな。バナナにチョコをぶっかけてチョコバナナ。もっと捻れよ。

 ま、言っても俺はポケモンだからな。店で何か買ったりそういった事は出来ない。そもそも人ごみとかそういうのが苦手な俺は正直一秒でも長く居たくないんだけど、目の前でキラキラした表情で話しかける奴が、それを許してくれないんだよなぁ。

「にぃに、にんげん、いっぱいだよ! スゴイね、楽しいね!」

 青い体に黒い房。尻尾をブンブンと可愛らしく揺らしてるのは、俺をここまで連れて来させられた原因を作った、幼馴染(?)のリオル。名前はルオ。
 ……一応言っとくけど、こいつはメスだぞ。男だと思った奴こっちに来い。全力の火炎車を泣き出すまで腹一杯喰らわしてやるだけだから。俺はいたってノーマルだ!

 元々こいつは凄まじく人懐っこく、好奇心の塊。確か一度か二度程何かの祭りに主人と一緒に行ってたらしいけど、今回は何故か俺と一緒じゃなきゃ嫌だって言われて渋々付いてきた、というのが現在の状況である。
 勿論俺は最初は渋ったし、行きたくないと言った。だが何故か主人に泣きつかれちゃって……。

(何時もルオのお陰で、なかなか祭りを楽しめなくてさ……。悪いけど、今日はバークが担当してくれよ)

 ご主人にもこう言われてしまい、断るに断れなく、今俺は何時走り出すか分からないじゃじゃ馬娘のお守りをする羽目に……。あぁ、バークって言うのが俺の名前ね。
 あぁ、今日は日差しも結構強めだから、日光浴しながら昼寝をするつもりだったのに……。

「にぃに、あれ何? 何ていうの??」

 ルオが指差す先を見ると、行列が出来てる屋台が見えた。えーっと、黄色い皮みたいな物に白いなんかとかフルーツとか色々な物を包んでいる……あぁ、成るほど。

「クレープだよ。というか、ご主人に聞いたりとかして知らないの?」
「だって、いつも気がついたら、ご主人いないんだもん」

 ……つまり、何時も逸れてたのか……。何で主人が俺に任せたか、何となく分かったわ。
 そりゃ楽しめないよな主人……いっつもいっつも、はぐれたルオを探しっぱなしだろうし。

「そっか、くれーぷ、って言うんだ。うん、覚えた!」
「ちなみに、すっごく旨いらしいぞ。食った事ないから本当か知らないけど」
「へ~」

 興味があるのか、んーっと唸りながらクレープを売ってる屋台を凝視するルオ。俺は別に興味ないかなぁー。
 ……気づいた奴もいるかもだけど、ルオはまだ生まれて一年も経ってない子供なんだ。まぁ俺も二、三歳ぐらいしか年が違わないんだけどさ。にぃに、って言うのも、俺が兄のような雰囲気だからってのもあってそう呼ばれてるんだ。
 ん? それにしては俺の喋りがしっかりしているし、色々大人っぽい? うるせぇ、ほっとけ。特にやる事無いから主人や主人の友達との会話なりなんなりを観察してたら、自然と覚えちゃったんだよ。

 さっき俺がルオの事を幼馴染(?)って言ったのも、一年未満じゃちょっと期間短くないかなって思ったからだったり。
 どっちかっていうと兄妹みたいだとは分かってるんだけど……ルオは決して兄妹とは認めてくれないんだよねぇ、何故か。まぁ俺としては正直どっちでもいいんだけどね。


 そう、俺にとっちゃどうでもいいんだ。……でも、何でだ? よく考えてみれば、俺はルオの事をどう思って――?


「にぃにー! じゃああれはー!?」

っと、つい物思いにふけっちまった。って何時の間にあんな遠くに……!




「ちょっと待てルオ! あんまり離れるんじゃねぇ!」

 にぃにがあわてたかおでこっちに来てくれる。それだけで、あたしはすっごくうれしかった。
 だってそれは、にぃにがあたしのことを大切に思ってくれるってことだもん。すっごくうれしかった。

「ったく、えぇっと……あぁあれは、綿菓子だな」
「わたがし? って何?」
「見たまんま、フワフワした飴だ」

 あめ? あめって、なめるとあまい、あめ? とってもかたいあめが、フワフワしてるの?
 どんなかんじなんだろう……食べてみたいなぁ。

「まぁ後で主人におねだりしてみような」
「うん!」

 えへへ、ちょっと楽しみ。でも、ごしゅじん買ってくれるかなぁ?


 ……あたしが生まれたときから、あたしはずっとにぃにといっしょ。にぃにはいつも、お日さまがポカポカするばしょで日向ぼっこしてる。
 でもねでもね、あたしがあそぼって言うと、めんどくさいって言いながらいつもあそんでくれるの。
 あたしの大切なにぃに。いっつもブスってしてるけど、いろんなことおしえてくれて、やさしくて、カッコイイ。そんなにぃに。
 あたしは、そんなにぃにが大好きなの。すっごくすっごく大好きなの!

 ……でも、さいきんね、あたしはにぃにのかおを見れなくなっちゃったんだ。にぃにを見るとおかおがぽっぽっぽってあつくなっちゃうの。
 それでね、いつもいっしょじゃないとすごくコワいの。いっしょじゃないと、にぃにがとおくに行っちゃう気がする。そんなはずないのに、どうしてもそうおもっちゃうの。

 あたし、どうしちゃったのかな? どこかわるいのかな? びょうきだったら、やだな。
 今もね、にぃにといると、むねの音がトクトク大きくなるの。……びょういん、行くことになるのかなぁ……。

「おーいルオ、どうした急に暗い顔して。疲れたか?」
「ふぇ!?」

 きゅうににぃにのこえがして、ビクッてなっちゃった。にぃにがしんぱいそうにあたしを見てくれてる。それだけなのに、おかおがすっごくあつくなってきちゃう。
 むねの音もドックンドックン大きくて、いきがしづらくなっちゃう。えっと、えっと……!

「う、ううん! なんでもないの!」
「そうか? ならいいけどな。はぁー、いい加減主人の所に行こうか。流石にハラへったよ」
「う、うん。あたしも、わたがし、たべたい!」
「買ってくれるといいな。ほら、乗って」

 にぃにが少しだけかかんでくれる。あたしはにぃにのせなかにのってにぃににギュッとしがみ付く。にぃにの体はとってもあったかいけど、むねのトクトクって音がきこえないか、ちょっとだけふあんだった。
 でも、にぃには気づかなかったみたい。なんか、ちょっとあんしん。

「よし、ちょっと飛ばすぞ! しっかり掴まっていろよ!」
「うん!」

 そう言うと、にぃにはすっごい早さでにんげんさんの間をすりぬけていくの! すっごいすっごい、たのしぃ~!




 賑やかな祭りの人ごみをスルリスルリと抜け、リオルを乗せたマグマラシは自らの主人を探していく。
 今はまだ小さく淡いその想い。二匹がそれに気づくのは、はてさて一体何時になるのやら。


という訳で、今回の結果は一票で同率八位でした。とりあえず、ゼロ票でなくてよかったです(苦笑)
ただまぁ、正直に言って妥当な結果かなぁとは自分でも思っていました。他の参加者の作品は全て良作揃いでしたし、この作品もほぼ数時間で大本を書き上げた作品でしたので……。
やはり一万字ギリギリまで書かないと駄目ですかねぇ……。

せっかくですし、この話の続きも書いてみたいなぁ。でもその前に長編も書かないとなぁー。……本当に遅筆で申し訳ありません……



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Last-modified: 2014-08-18 (月) 20:16:41
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