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しゃーぷ☆すうぃっしゅ

/しゃーぷ☆すうぃっしゅ

ベテルギウス』 二作目。
警告官能有り。


簡単なキャラ紹介。

ウェイン アブソル。 真面目な性格で本編の主人公。
ミリア   ロコン。穏やかな性格の本編のヒロイン。

-0- 


『災い』と呼ばれた者はいた。
誰からも相手にされず、只只、自分の存在に唇をかみ締めるだけだった。
自分の存在を恨みながらも、命を絶とうとすれば出来なかった。
言わば 怖かっただけだった。自分はまだ死にたくなかった。

けれど、生きていても何にも無い。
こんな俺にも差し伸べる手すら無いもんな。

「死んじゃだめっ!! 貴方にはまだ生きて欲しいから!!」

その言葉には何かが感じられたのか。 それには何が詰まっていたのか。
生まれて始めての優しさと温もりがまだ信じられなくて。

俺は・・・まだこの世界は嫌いにはなれなかった。
何故だか、知らぬ間に一匹のロコンを抱きしめては、涙を流した。

いつのまにか。愛してしまった。
好きじゃない。愛しているのだ。

災いと呼ばれたポケモンのお話・・・・・・。

-1- 


霧雨。 靄がかかっているのか視界がぼやけて見えた。
そして、人間達が恐れるがままに、「災い」と呼ばれるポケモンがいた。

その白い体のポケモンは、自分の存在に恨みながらも森を走る。
後ろから迫ってくるのは人間、人間・・・周りかしこも人間。
全ては「災い」を根本から消し去る事―――。 そうすれば森には平和が齎されるのだから。

     *       *       *       *

「畜生っ!!!」

俺は苛立っていた。
大体、「アブソル」なんつーポケモンなんか、災害や事件等がおきるのを教えてやっているだけなのに、勝手に「災いポケモン」なんていうレッテルを貼りやがる。
少しはポケモンの気持ちも考えたらどうなんだっ・・・と考えながらも唇を噛む。

地面を蹴り上げて三回目。霧雨の影響で湿った地面に転んでしまった。
傷だらけの白い体には、茶色の泥が撥ねた・・・。 さらに怒りが込み上げた。
何で俺ばっかり、俺は何もやっていない。

アブソルはその昔、ほとんど殺されていたのだった。
災いと呼ばれた奴らは、人間曰く「魔女狩り」風にアブソルを殺していった。
その最後の生き残り(?)なのかが俺なのだ。
しかも人間達は、俺を目の仇にしているらしく、武装しては森を破壊していった。

「俺の森・・・唯一の森が」

苦しくなった。不意に涙が込み上げる。
俺のために死んでいく森が辛かった。 生まれ育った森にはせめての餞別してあげたい。
けれど涙を我慢した。 涙を流すと俺の感情はぐしゃぐしゃになっては、自分という存在が恥ずかしくなるから。
結局、森の樹に暫しの別れを告げては、またもや悲鳴をあげる足を動かし始めた。

仕方が無い。俺一人が代えられるものは無いからな・・・・・・。

     *       *        *       *

俺は周りにいる人間の鼓動をすぐに感じ取った・・・生暖かく血の匂いがした。
そうすると数人が俺に向けて銃口を向けた。 言わずもがな、俺はすぐに逃げる。
だが、人間達の力には勝てず。

銃声が森には響いた。
俺は打たれては、今まで送ってきた人生を振り返った。・・・いや、走馬灯っていうのか、これは?
少しだけ惨めな気持ちに駆られては、俺には味方も糞も何も無い。
言うなれば、俺は一人ぼっちだったから。

-2- 


目を覚ますと 其処は鉄格子に囲まれたスペースの中。
人間の言葉で「檻」と言うらしい。 どうりで狭いし、息苦しいとは感じていたのだが。
それにしても檻だと足が痛い。 鉄の棒が肉球に食い込んで血が滲んでいたのだから。
少しだけ、痛みと此処に連れて来られた理由を探りたかったのだ。

・・・だが、今の俺じゃあ 絶対に此処からは逃げられない。
どうせ、「災い」という理由を使って 俺を殺すつもりなのだろう。
卑怯な奴らだぜ・・・と胸毛を舐めながら、ため息を吐いた。

怖い。 此処から出して。 助けて。 痛い。

全てマイナスのイメージを醸し出す言葉が、あたりを飛び交っていた。
この中にいるのは俺だけじゃない。気配だけでも数百匹もいそう。これだけポケモンを捕らえて、何をするつもりなんだろうか。

不意にぞっとした空気も背中を撫ぜた。 遂に俺にも死の匂いが匂った。
間違いない。 俺の墓場は紛れも無く此処になりそうだ―――――。

そんな悲しいイメージを抱えながらも、俺はやはり寂しく思ったのだった。
此処で死ぬのなら楽でいい。 今なら胸を張って笑えそうだ・・・という場合じゃないだろうな。

すると、右側からコンコン。鉄の叩く音が聞こえた。
どうせ「死ぬのが怖い! 此処から出してくれ!!」という弱者の叫びなのだろう。
尚、俺は無視をする事にしたのだが。

「ねぇ、返事してよ。生きてるの?」

その声ははっきり聞こえた。
右側を向くと其処には、まだ幼い顔立ちのロコンだった。
茶色の毛はぼさぼさだったが、瞳の光は此処の奴らみたくじゃない。 まるで普通に生きているポケモン達の様に、生きる希望に溢れていた。

「ぁ・・・・・・」

小さく俺は声を出した。 やはり圧迫感がある。
どうせならもっと広い所に閉じ込められたかった。 こんな所じゃ落ち着かなくて。

「貴方、昨日此処に来たんでしょ?」
「うん」
「私は一週間前。 此処に来るポケモン達は皆、殺されちゃうんだって」
「は? それって本気か?」
「うん」

頷く事しかしていないロコンを殴りたかったが・・・こいつの話も詳しく聞いてみたい。
殺されるとその一言を呟いたときのロコンの顔は可哀想だった。
俺とは正反対で、まだ生きなきゃいけないと思っているように。

「名前・・・・・・あんた、名前なんだ?」

「ミリア。 ・・・そう人間には呼ばれていたわ」

優しく微笑むと、檻の中にいるなんて思えないような――――そんな気持ちになれた。

-3- 


「誰も助けには・・・来ないよな」

上の空で俺は呟いた。 このまま、此処で飢え死にするのだと思うと泣けてくる。
ミリアは脱出場所を探そうと必死だったが、どうしても狭いスペースでは身動きは制限される。
苦しそうな思いに焦がれて、朽ち果てる事も死ぬ事も怖くは無い。
一方、ミリアは生きるために必死だった。 それを見ていると自分が情けなくて・・・。

「何してるのっ! 貴方の前足は檻の鍵に届くでしょう?」
「えっ?・・・あっ、ああ・・・・・・」

戸惑いながら俺は、鍵に手を伸ばし 黒い爪でがりがり引っかき始めた。
そんな事をやり始めていると、向こうの方のデンリュウが歓喜の声をあげていた。

「どうしたの、パウロ!?」

ミリアはそのデンリュウに向かって 呼びかけた。
返事は凄く嬉しそうに聞こえてきたらしく・・・

「やったぁっ! 此処から脱出出来だぞ!!」
「嘘? どうやって?」
「とりあえず体当たりをしたんだ。 そうしたらすぐに壊れたよ」

「ね? 今の聞いたでしょ?」
「あぁ」

ミリアは微笑むと、檻のドアに向かって体当たりをし始めた。
2、3回やった後、息を切らしながら俺に問い掛けた。

「そういえば なんて呼べばいい?」
「ウェイン。でいいよ」
「分かったっ。・・・じゃあ、ウェイン」
「何?」

長い話を聞いた後、俺は体当たりをし始めた。
此れで鍵が壊れるんだから、楽な話なのだが・・・とやったら鍵は壊れた。
外に出ると、圧迫されたスペースからは抜け出せたらしく 少しだけのびのび出来た。

「良かった! ウェイン、それじゃあ 私の所も良い?」
「ああ」

さっきまでは冷たかったのに、何故か暖かくなれた俺。
どうしたんだろう・・・自分に問い掛けても答えは返ってこないのだから不思議だ。

-4- 


「ありがとう、ウェイン♪」
「ん?・・・あぁ」

彼女が笑顔になったから、取敢えず目を反らす。 何故か本能的に感じたのだった。
俺とミリアの二匹は檻の外で休んでから、他にも鍵を壊してポケモン達を逃す。
人間達の姿が見えないなか、二人で外に出る。

するとどうだろうか。
見た事の無いような森が広がっていて・・・俺すら何処だか分からなかった。
ミリアと頭を悩ましながら、森を進んでいくが日も暮れ始めた。

「森に迷っちゃたね。 此処で一夜を過ごそうか」
「ああ」

ミリアは適当に倒木に寄り添うように寝ると、すぐに規則正しい息に変わった。
俺も寝ておこう・・・と早すぎる脱走を気になり始めるのだが、同時に彼女の意思にも惹かれた。
こんな気持ちは初めてだし、俺も好きな相手が出来たわけではない。
結局、悔しい思いもしながらも倒木に寄り添った。

ふと、何かが「溜まっている」感情に襲われると同時に、不思議な感覚に襲われる。
何だろう。 俺はミリアに少しだけ離れると草陰に隠れた。
しかし、この草陰から分かるように、こんな背の小さい草では分かってしまうのがオチである。

はぁ。はぁ。

俺は股座に顔を近づける。 炎タイプみたいな俺の息が股座にはかかっている。
四速歩行のポケモンが、毛繕いをするみたいに俺は自分の肉棒に舌を這わせた。
息を荒げて・・・というか、何でこんな事を知っているんだ? 自分でも不思議になる。

自分が子供の頃の時、兄貴がよくエロい発想を光らせながら、まだ幼少の俺に教えていた。
こんな事を教えるのはなんだがなーーー。単なる変態だろ 馬鹿野郎。と思っていたのだが、
今となっては何故だか・・・不思議でも満更でもない行為なのだろう。
それにしても邪魔だな、俺の毛が。 不釣合いにも毛足の長い体となっている。

「ムズムズした所は、重点的に舐めろ。 それが兄貴の教えられる範囲だからな」

兄貴の言葉が脳裏でよみがえる。 思い出したくも無いのに、頭に浮かんでしまうのだった。
この体制は正直辛くて。 ゆっくりと五体を放り出すように倒れた。

ふぇっ。
なんだよ、これ。
俺が・・・こんなにしてしまったのか?

御尤も。
ピンク色に巍巍*1した肉棒が汁を流す。
重点的に亀頭部分を優しく舐めたらこんなにも膨れ上がるものなのか・・・と関心している場合なのか。

「・・・・・・」
黙って、俺はまた体勢を変えた。
今度は集中的に舐めて。 溜まった俺の欲を放出するためにーーーー。
全ては欲望。 欲望に勝てる生物なんかいないはずだからこそ、俺は性欲に身を任せる。
そして。根元から一気に舐めあげた瞬間。流石に俺も根をあげたらしく。

「ぐっ・・・、あぁぁっ・・・!!」

なるべく声をあげないようにしたのだが、快楽には耐える事が出来ずにうめき声をあげる。
恍惚とした気持ちがこみ上げて、そして先っぽから放たれる真っ白の粘着力のある液。
生臭い匂いがあたりに立ち込めた。下半身が真っ白な毛だから分からないが、これでも液塗れであって。

「はぁっ・・・、俺って馬鹿だなぁ・・・」
少しだけ、快楽に身を任せた夜だった。
・・・ん? ミリア・・・ミリア・・・って。

オイッ!!!!

-5- 


何故か冷や汗が止まらなくて、自分自身も不思議なぐらい保っていた。
早く動かないとミリアに変な誤解を招いてしまう――!と俺はずっと感じていたはずなのに。
どうやら俺はそんなふしだらな格好を曝している様なのである。
口を開こうとしても、俺はどうしても戸惑っていてミリアに嫌われたか、それとももう口も利いてくれないと考えると俺は途端に胸が苦しくなった。

「どうして、そんな格好してるの?」

「え、おっ、おぅ!」

何が「おぅ!」だ。
自分でもいきなりすぎる質問に、焦ってしまい、自分の意見を言う機会すら無かった。
溜まっていたなんて言えなくて、雄ってのは皆こうなんだとミリアに思われたくない。
況してや、「ウェインなんて……」と言われたら 正直言って悔しすぎる。
俺は別に嫌われてもいいから、ミリア自身が雄に対しての壁で作られたら困る。

「こんな所で寝ていたら、風邪ひいちゃうよ?」
笑顔で彼女は俺を見ながら、さっきの事など気にせず素振りで言った。
「わ、悪ぃ……、色々ゴメンな」
「別に。 明日も早いんだからもう寝ようか」
俺のやっていた行為にも気にかけず、其の侭「無かった」事にしようとする彼女にちょっとすまない気持ちでいっぱいになった。
俺はやっぱりバカだったんだと思いながらも、眠れそうもない夜を眠ろうとしていた。

◇◇◇◇

「う、うぅ……ん?」

俺は小さく声を上げると、其の侭目を開けて辺りを見回す。
敵もいないし、別に不安な気持ちに駆られる事も無く、また眠ろうと重い瞼を閉じる。
ミリアは横で普通に寝ているからまだ平和だなと感じる事も出来た。
俺は「災いの運ぶ存在」――俺がこいつといたらこいつを不幸へと突き落としてしまうかもしれない。
どうしよう、俺はもう如何する事も出来ない! そんな葛藤に挟まれ俺は苦悩するしか無さそうだ。

-6- 


俺はどうすればいいのだろう…………。

瞼を閉じても思い浮かべるのはあいつの満面の笑顔と俺を励ましてくれる笑顔。
よく考えたらあいつは笑顔で生きてるのかもしれない。 俺と全く対照的なあいつ。
そんな切ない気持ちでいっぱいになってしまったから眠る事も遂には止めた。
まだ出合ってそんな日にちも経っていないのに俺はあいつを好きになっていた。
それなのに、それなのに、俺はあいつの事を考えすぎて――結局、嫌われてしまうんだ。
物事をマイナス面でしか捉えることが出来ないのは、結局過去のせいだろう。

「う、……っく。どうしよう」

悩む事しか出来ない。

俺、なんとかしろ!
俺自身は俺が決めなくちゃいけないのは、一番分っている癖に!!

でも、駄目なんだ。
諦めたら其処で終わるのは分っているのに、どうしても諦めたい自分が心の奥にいた。
あいつがもっと欲しい、あいつの事を知りたい、正直に「好き」だって言いたい。
それでも言えない自分を嫌い、そのせいで自分自身をもっと嫌いになっている。
愛しているのに、嫌われモノの自分を一番最初に話しかけて、相談にも乗ってくれる。
神様は意地悪なのか、いい奴なんかは誰が決めるのだろうか。 今の俺には少なくとも意地悪にしか感じられることしか出来ない。

「好きなのに―――」

駄目って分っていたのに、止まらないのは葛藤の粒。
こんなに人(ポケ)を好きになったのは初めてだし、俺自身誰かの事を求めた事も無かった。
初めて興味をもった奴だから、一生懸命に愛を注ぎたくなる。
声を荒げる様子もなく、過呼吸に近い状態に陥りながらも 尚 泪を流す。

「可愛いなぁ、そんな表情しちゃって……どうしたの?」

しまった。俺は涙目で彼女を見上げ、そのまま押し倒す―――

-7- 


「これ、何の真似?」

「真似なんかじゃねぇ、ほっ、本音だっ」

押し倒した体勢で俺は顔を赤らめ、見詰め合う事すら間々ならない俺とミリア。
どうしてこうも神様は俺に味方をしてくれない……所詮、嫌われ者の宿命なのだろうか。
俺は彼女の事が好きで、それは一目惚れって奴なのかもしれない。
あいつの事を考えるだけで寝れなくなったり、今日の出来事で言うと自慰さえもしてしまった。
自分では止めようとストッパーをかけているハズなのに、そのストッパーは急に外れてしまう。

息苦しくなる感覚がどうしても俺の胸を締め付けた。
ミリア、瞼を瞑ってもミリア、考える事全てがミリアなのだ――――。
夢を見て、乱れて、俺はあいつの事しか頭に入ってはこないせいで、周りの言葉なんか耳に入らない。
自分はやさぐれながら、全てをあいつに捧げたかった。

「ふふっ、貴方は本当に正直者なんだから」
「…………」

黙って赤面をした。
人生にこんなに紅潮する事はそんなに無いハズなのだが。

「そんなに顔真っ赤にしちゃってー」
「ばっ、莫迦野郎……」

どうすればいいのだろう、正しい答えを知りたくて知りたくて捜して酔う。
狂えば狂うほど自分を見失って、そうして仲間達を失って自分も失っていった。
どれくらい迷って、迷って、最期にはやさぐれて、今の俺は身も心もボロボロだった。
そんな心をあいつは少しずつ暖めてくれている気がする。

「あのな、ミリア」

「俺、お前の事、好きだったんだ……」

-8- 


呟くように言った一言。

それを言った一言が引き金となって、俺の顔を紅潮させる。
今更この言葉を撤回させようだなんて、俺には出来るはずが無かった。
もう言ってしまった言葉は回収が出来ない――ただただ相手の答えを待つのみ。
「ごめんなさい」と断られるのか、それとも快く「私もだよ」と言ってくれるのか。
たった二言にこめられた思いというのは、どんな石や岩よりも重かった。

「ウェイン? それ正気?」
「あ、あぁ……」
視線を逸らしてしまうのは、もうあいつの顔が俺を笑っているみたいで見たくなかった。
きっと馬鹿にされて、結局終わるんだろうな……なんて思っていた。
しかし答えを全然違う方向で帰ってきた。

「そうなんだ。 私も大好きだよ」

こんな小さなロコンが俺みたいなアブソルに食べられそうになっている。
危うくロコンを食べてしまいそうな衝動に駆られそうになる俺は必死にその欲望を抑える。
こんなにも言われて嬉しい言葉はないし、言ってどきどきする言葉も無かった。
全ては、このロコンに全部捧げるために俺は―――。
口と口が触れあって、温かい感触というのは生々しく伝わってきた。
最初は触れ合うだけだったのに、ミリアの奴ってば勝手に俺の口内に舌を入れ始めた。
俺も負けじと舌を入れるが、逆にそれが俺とミリアを興奮させる起爆剤となった。
水がぴちゃぴちゃと音を立てる音だけが、孤独で静かな森の中で小さく木霊する。
苦しいはずなのに、息を焦らしながら絡ませることをやめない俺のミリア。

「ぷはぁっ、……、苦しそうだったね」
「そういうお前はどうなんだよ」
「気持ちよかったよ」
こんなに深くキスをしたのは初めて――というより、キスをしたのも初めてと彼女は付け足した。
そんな初めての相手が俺なんかでいいのか。なんて哀しくなったのも事実だった。
ミリアは凄く嬉しそうだったのだが、俺は罪悪感に囚われてしまった。
ごめん、俺があんな事しなければお前は綺麗なロコンなのにな――。 そう耳元で泣きそうな声で呟いた。
まだ犯したわけではないのに、深いキスを交わしただけなのに毀れそうな劣等感。
悪い事をしたみたいに俺はどうしても、自分が許せなくなった。

「じゃあ、早速筆おろしでもさせてもらおうかな」
「おま、本当にそんな事していいのか?」
「私は構わない。 ウェインのだから」

「好きだから、それでいいの」

好きなんて言葉に理由なんていらないでしょ? そう彼女は付け足した。
小さな口からちょこんと飛び出る舌を見ていると、これからこいつの口内は俺の汚れてしまうのか。
それにさっき自慰行為をしてしまったせいか、後何発出るかも分らない。

今 願うならば。 こいつだけは汚したくない。
そう強く願った。

「じゃあ、いくよぅ……」

じょじょに股座に近づく彼女の顔に、そそりだつ俺の肉棒。
その刺激に俺は多分、数分も耐えていられる自信なんて、生憎持ち合わせてなかった。

-9- 


「くぅっ……」
生ぬるい息が容赦なく俺の肉棒を突き抜けていく。 舌がぐにゃぐにゃ動くのも分った。
全ての感覚が一点に集中させて、このロコンが今している行為を必死に理解しようともした。
気持ちが良いのは俺の本音であり、口では喘いでいるだけであって言おうとはしなかった。
時折、根元から舐めあげる感覚がとても気持ちよくて それには一段と喘いでしまう。
静かで何もしていなかったら可愛いのに、こう動いてしまうと子悪魔にしか見えない。
恥ずかしいという思いよりも、ミリアを汚してしまわないかという感情の方が強かった。
汚してしまったら、いくら好きだといっても不愉快になるに決まっている。
「本当に気持ち良さそうだよね。 ……もっとしてほしい?」
先走り液を舌で拭うと、嬉しそうな表情で俺の顔を覗きこむように見た。
「もっと、続けてくれないか」
不思議とやめてくれとはいえなかった。 此処で快感を終わらせたくなかったからである。
「うん!」
元気よく返事をしてから、また俺の肉棒をがむしゃらにしゃぶりつくミリア。

当然、俺は絶頂に達する。
一際大きく喘いでは、ミリアの顔を真っ白に染めた。
あんなに顔を離しておけと警告したのに、「ウェインを味わいたい」と話を聞かなかった罰だ。
彼女の顔にねばねばと覆いつくすようについた精液を前肢で拭い取る。
「おいしかったよ。 ウェインのせーえき……」
「無理するなって言ったのに」
「だいじょーぶ。 次はウェインが責める番だよ」
そういって肢をおっぴろげる彼女の姿。
普通ならこんな事する雌はいるはずは無いのだが、こいつは普通の雌では無さそうだ。
もう「一匹のケモノ」と化してしまった俺のロコン―――。
「じゃあ、遠慮なく行くからな」
一番目に入った割れ目を舌を這わせる。 それだけでもこのロコンには効果は抜群らしい。
どんな風に気持ち良いかはわからないが、肢がぴくぴくと震わせるほど快感なのだろう。
やめてよぉ。 と繰り返す彼女には「やめて欲しい」という気持ちなど微塵もないだろう。
さっきの俺と同じだろう。 きっとそうだ。

ただ割れ目を愛撫するだけじゃ飽き足らず、俺は小さい胸をも頬張った。
雌はこういう所が弱いと兄から聞いた覚えがある。 兄が役に立つ時はこういう時ぐらいしか無いと考えると哀れすぎる。
一際喘ぐ彼女の姿を見ていると、さっきまで萎えていた俺の肉棒も元気を取り戻す。
このまま彼女を犯してしまいたいと考えるほど、魅力的な一匹の雌としか思えなかった。

声をあげた彼女は俺の顔に透明な液を盛大に飛ばす。
俺は割れ目の一番敏感な部分をいじくりすぎたせいなのか、彼女はすぐに果ててしまった。
甘酸っぱいような匂いがする液をやはり肢で拭って舐める。 正直言って美味いとは言えない。
しかしロコンの味がした――何故だか、そう思うことしか出来ない。

****

「え、えっちだねウェイン」
顔を紅潮させつつ、さっきの行為があまりにも信じられていないようで。
「雄は皆そんなもんだ」
ぶっきらぼうに言った俺にミリアは寄り添った。
「どうした?」
「ねぇ、えっちしよう……?」
求めてくるミリアはいつもより魅力的で俺を誘ってきているようにしか見えない。
さっきの行為で頭もおかしくなってしまったか。 頭にミツハニーでも湧いてしまったか。
「なんで」
「ウェインが欲しい」
そう子供のようにせがむ彼女を見ていると、ほうっておけずにはいられなかった。
このまま俺が犯してしまっていいのかと考える俺にミリアは言った。

「私もウェインが好きだよ。 だから……証明させてほしい」

彼女がそういうのだから、それに答えなければならない。
だから、それに答えようではないか。

-10- 


ただし、俺がミリアをどう犯そうと俺の自由だ。
このまま一気に貫いてもいいのだが、それはあまりにも酷いと思って。
欲しがっている彼女をこのままあげないわけにはいかないし、そのまま優しく挿入すればいいのだろう。
震える肢を突っ張り、彼女の割れ目に沿わせるように肉棒を近づけた。
素股をしたいの?と問いかける彼女に、俺は違うと一言だけ自信満々に答えた。
肉棒を彼女の愛液で濡らし、こいつが欲しいという欲求がさらに俺を猛らせた。
抱きつくようにして挿入をはじめる俺に、ミリアは一際大きな声をあげて快楽を受け入れた。
同時に、俺もその締め付けに耐えるという事態に耐えなければならないようだ。
「はぁはぁ、大きいよぉウェイン……」
「仕方ないだろ」
強気でいるのが難しいほど、今の俺は快楽に頭は洗脳されていた。
今すぐミリアの中で欲を吐き出してしまいそうになるほど、俺の我慢は限界が近い。
快楽が強いから、このままミリアと共に果ててしまおうかと俺は決意する。
ミリアがより密着しようとするから、俺の肉棒が奥深くまで貫く。
ふとつんとしたような感触がしたので、大丈夫かと彼女に尋ねた。
ただ奥にあたっただけだよとか細い声で言う彼女も、俺と一緒で絶頂が近い様子だった。
挿入しただけで快楽に囚われる俺とロコンは、このままどうなってしまうのだろう。

「動くからな」
「うん」
「痛かったら言えよ」
「大丈夫だよ」
周りに聞こえるか聞こえないかの狭間で言うように、俺はミリアに呟くように聞いた。
もう後戻りは出来ないと俺は考えて、ピストンをはじめる。
じゅぷじゅぷと水音を立てて、彼女も声をあげはじめた。
俺は必死に耐えていたつもりなのに、途中からミリアに重なるように声をあげる。
気持ちよすぎる。こんなに気持ちいいなんて。と俺は毀れて消えてなくなりそうな理性でそう感じた。
遠ざかってしまいそうな意識の中、俺は彼女をぎゅっと抱き締める。
声にならない声を必死にあげないようにと、彼女を抱き締めるしか方法は無かった。
「ふぁ、あったかいよ。 確かに受け取ったよ」
「ぐぅ、はぁはぁ……」
俺の答えを確かに受け取った彼女は、嬉しそうな表情で俺を眺めた。
数秒だけ体を駆け抜けた快楽は、すぐに疲れという形で俺の身体を確実に蝕んだ。
眠そうでとろんとした表情は俺だけじゃない。 ミリアも眠そうに俺の唇を優しくむさぼる。
こんな形で彼女と一緒になれると思わなかったが、こんなに嬉しい事も今まで無かった。

****

「寝ちゃったね」
ミリアは初夜を共にしたアブソルを眺めて、笑みを浮かべる。
あんなに強気でぶっきらぼうだった彼が、少しだけ素直になってた今日の夜。
それが分るだけで嬉しかったし、彼がようやく他人に心を開くなんて嬉しい事でもあった。
明日からウェインと一緒なんだ。と考えただけで、自分でも嬉しくなっていた。
いつのまにか好きになってしまっていたのは、何故だろうと疑問に思いつつ夢へと堕ちた。

****

これは夢じゃなかった。

本当だった。 頬をつねってもこれは現実だって分った。
俺がただこんなにいい世界を、除け者にしようとしていたのは確かだ。
自分以外仲間なんていなくてもいいだなんて、そう思っていた自分を今なら叱れる。
仲間なんざいくらでも出来るものだと伝えて、独りぼっちの俺に言いたかった。

「どこいこうか」

「どこまでもいこう」

ミリアの手を優しくとって。
何故か、そこから先が光って見えたのは俺の目の錯覚だろう。
いつまでも、ずっと一緒にいたい。


完結いたしました! 本当に皆様ありがとうございます^^
以後、評価やら感想やらはコメントへ宜しくお願い致しますね!
では。 次回作にご期待下さい。


最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 更新の催促は見つけ次第削除するから大丈夫。
    ―― 2010-01-27 (水) 23:51:09
  • >>名無し様
    別に良いです。 私の方こそもっと早くするべきでした。
    自分も反省しておきます。

    >>名無し様
    お願い致します。
    ――ベテルギウス 2010-01-29 (金) 16:45:01
  • サイコーです!!神がぁ!
    神が光臨なされたァァァ!


    続き楽しみにしてますね
    ―― 2010-02-08 (月) 17:39:54
  • >>名無し様
    神だなんて・・・凄く嬉しいです♪
    少し亀更新ですが、まだまだ頑張っていきますので 応援 宜しくお願い致します。
    では。
    ――ベテルギウス 2010-02-10 (水) 19:23:02
  • これは おもしろいですね。
    (いろんな意味で{いい意味ですよ}
    ―― 2010-03-24 (水) 06:32:35
  • >>名無し様
    おもしろいなんて 言っていただければ幸いです。
    本当に有難う御座います。
    ――ベテルギウス 2010-11-15 (月) 20:14:47
  • 更新お疲れさまです!この作品楽しみながら読ませていただいてます!
    ―― 2010-11-16 (火) 00:26:50
  • >>名無し様
    楽しみにしていただいて すごく嬉しいです。
    有難うございます!!
    ――ベテルギウス 2010-11-16 (火) 19:58:25
  • 初めまして。此処最近徘徊している勇です。
    ベテルギウスさんの作品を読んだのは初めてですが、純粋に上手いと思います。
    展開が速く、文章が小分けになってますが、その中にも細かな心理描写が反映されていて、色々と感じさせてもらえます。内容も好みですしw
    ラストの執筆頑張ってください。官能…自分はまだ書けない…。
    ―― ? 2010-11-19 (金) 21:46:48
  • >>勇様
    初めまして。 以後 宜しくお願いします。
    まだまだ下手ですが、このような評価を頂くと嬉しいです!
    文章が小分けになっているのはまだまだ悪い所ですが、じょじょに直していきたいと思います。
    励ましのお言葉を有難う御座いましたぁ! これからも頑張りたいです。
    ――ベテルギウス 2010-11-20 (土) 12:41:29
お名前:

*1 山が聳え立つ様子。←山じゃねぇしry

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