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さかさまれいど

/さかさまれいど

※官能描写があります

さかさまれいど [#1LOyAq6] 

writer――――カゲフミ

 目を開けるとどうも様子がおかしかった。手ごわい伝説のポケモンに戦いを挑んで、ぜんぜん歯が立たなくて念力であっという間に吹き飛ばされてしまったところまでは覚えている。普段なら負けてしまったときはジムのバトルフィールドから追い出されるんだけど、僕が今居るのはまだフィールドの上。近くには一緒に戦っていたヘルガーとオーダイルと。あれ、他の三匹はどこへ行ったんだろう。確か、ゲンガーとアブソルとボスゴドラも一緒だったはずなんだけど。
「う……」
 立ち上がろうとしても体が起き上がらない。これは体力が残っていないんじゃなくて、無理矢理体を押さえつけられているような感じだった。歯を食いしばって前足と後ろ足にぐっと力を入れようとしてみても、だめだ。動かせるのはせいぜい視線と、口元くらいだった。幸い彼らが倒れている位置はそんなに遠くない。少し声を張れば、おそらく。
「ねえ、ヘルガー、オーダイル。聞こえる?」
 僕から少し近い位置にいたヘルガー。矢印のように尖った尻尾の先がぴくりと動いた。僕と同じく意識はあるみたいだ。
「ああ。サンダース、お前も動けないのか」
「おい、どうなってやがるんだ。くそっ」
 ヘルガーの向こうから荒っぽいオーダイルの声が響く。状況が把握しきれずに苛立っている感じがした。それは僕も同じだけど、あんなふうに怒鳴る体力はあんまり残ってないや。ヘルガーと違って割と短気なところがあるから仕方ないのかもしれないけど。
「落ち着きなって。そういや、他の三匹は?」
 ヘルガーの問いかけに僕は首を横に振ろうとしたけれど、動かなかった。身動きが自由に取れないのは不便だ。仕方ないから口で答えようとしたところに、まったく別の声が割り込んできた。
「彼女たちには用事がないから、お帰りいただいたのですよ」
 耳からじゃなく頭の中に直接響くような、これはテレパシーというやつか。以前エスパータイプの仲間にどういうものなのか試しにやってもらったことはあった。ただその時よりもずっと鮮明で耳元で語りかけてこられているような感じさえする。
「君は……」
「初めまして、私はユクシー。覚えなくてもいいですよ」
 ユクシー。僕たちがついさっきまで戦っていて、手も足も出なかった相手だ。覚えなくてもいい、という割には胸に片手を当てて仰々しく自己紹介。根本的な部分で丁寧なのだろう。しかし、閉じられた瞳からはまったく表情が読み取れず。何を考えているのか分からない得体の知れなさを感じたのも事実。
「これはお前の仕業か?」
「ええ。もちろんです。闇雲に動かない方がいいと思いますよ。無駄ですから」
 掲げられたユクシーの右手の先が、ぼうっと怪しく光った。エスパータイプの持つ念動力の光だ。と、いうことは僕ら三匹はこのユクシー一匹の念力に押さえつけられている、というわけか。三体を相手にしながら、これほどまでに余裕で構えていられるとは。確かにユクシーの言うとおり、下手な抵抗は意味がないかも知れない。力の差がありすぎる。
「てめえ、何が目的だ。こんなことしやがって!」
「ふうむ。目的、ですか。あなたたちに興味がある、とでも言っておきましょうか」
 ふわりと浮かび上がったユクシーは、僕の方へと近づいてきた。手を伸ばせば届きそうなくらいの距離。何をするつもりなんだろう。離れようにも体が動かせないのでどうしようもない。もっとも、これだけ念力を遠隔操作できるのだ。距離をとったところで、それもユクシーの言う無駄な行動になりそうだ。
「こんな山奥の辺鄙なジムに訪れるトレーナーは少なくて退屈していたのですよ。久々に来たかと思えば、まさか一人で私に挑んでこられるとは軽く見られたものです」
 小馬鹿にしたようにユクシーは小さく息をつく。反論の余地はなかった。ヘルガーも。オーダイルでさえ言い返す言葉もなさそうに、悔しそうに歯を食いしばっている。本来伝説のポケモンに挑戦するときは、何人ものトレーナーと協力するのが一般的だった。凄腕のトレーナーならば少人数でも伝説ポケモンと互角の戦いができることもあるらしいのだが、僕らの主人はお世辞にもベテランであるとは言い難い腕前だ。正直今回の挑戦も無謀なんじゃないかと薄々感じてはいた。結局、根拠のないトレーナーの大丈夫という言葉と勢いに飲まれてユクシーに挑むことになっちゃったわけなんだけど。
「退屈しのぎと知識の追求も兼ねて、あなた方の雄を調査させてもらいます」
 途端、僕の体がぐるりと反転して仰向けの状態にさせられる。突然の出来事に声も上げられなかった。高さは僕の半分位の大きさしかないというのに、ユクシーはとんでもない存在感だ。自分の顎の辺りに片手を当てながらじっくりと眺めているのは、僕の後ろ足の間。雄という言葉が引っかかっていたけれど、合点がいった。いってしまった。このフィールドに既に居なかった彼女たちには興味がない、ってそういうことか。確かに他の三匹はみんな雌だった。ユクシーの対象からは外れる相手だったのだろう。
「私は雄の精液を調査したいのですよ。何しろ自分だけでは賄いようがありませんから。皆さん最終進化形態ですし、出ますよね?」
「お、お前。何言ってやがるんだ」
 ユクシーの言葉が理解できないといった感じで、狼狽えているオーダイルの声。
「解りませんか。あなた方もお持ちでしょう。雄のペニス。俗っぽく言うならおちんちんですか、それを刺激し続ければ――――」
「そういうことじゃねえ、なんで俺らがお前に付き合わされなきゃならねえんだって言ってんだ!」
 淡々と述べていくユクシー。ますます声を荒げるオーダイル。話が噛み合っていない感じがした。倫理観とか、貞操観念とかそういう次元の話になるんだろうけど。ユクシーの感覚は僕らのそれとは大きくズレている。説明を求めたところで、納得いく答えは返ってきはしないだろう。
「……諦めろ、オーダイル。早い話があんたの暇つぶしに付き合え。そういうことだろ?」
「代弁ありがとうございます。あなたはなかなか頭の回転が速いようですね」
「そりゃどうも。言っちゃあ悪いけど、そうとう悪趣味だと思うぜ。それ」
 オーダイルのように口調を荒げてこそいなかったものの、ヘルガーからはユクシーへの静かな非難が感じられた。もちろんこれは彼女にとって、なんの効果も成さないこと。
「おや、お気に召しませんか。まあ、どちらにしてもあなた方に拒否権はないのですけれども」
 圧倒的な力の差。弱者は強者に従うしか残されていないような状況。暴力ではなく、念力で体の自由を奪うことで僕らの抵抗する力を押さえつけるのはエスパータイプの伝説らしい理にかなったやり方だとは思った。痛み、というほどの痛みがないのは彼女なりの優しさ、なんだろうか。それは僕が知る由もなかった。
「んっ」
 ああ、やっぱり最初は僕からだったか。ユクシーの手が股間にそっと触れる。あんまり情事に馴染みがないから、軽く触れられただけで声を上げてしまった。もともと四足だし自分で弄るにも限界があるから、溜まってきたものは夢精に任せてしまったこともあった。普段は毛の中に隠れているから分かりにくいかもしれない。断じて小さいわけじゃないんだ、断じて。
「ふむ。ここをこう、でしょうか」
「あぅ……」
 今度は両手ですりすりと。手探りな感じはあったけど、何となく手つきに迷いがなかった。いきなり激しくされると心地よさよりも痛みが増してしまいそうな気がする。そこら辺の力加減は心得てくれているようだ。それほど時間は経っていないような気はするのだけれど、僕の雄はむくむくと膨らみ始めていた。自分で草むらや地面に擦りつけるのと、直接触れてもらうのでは伝わってくる刺激が段違いだった。
「問題はなさそうですね」
 一旦僕の股間から手を離したユクシー。仰向けに転がされた僕のそこからはぴんと上を向いた桃色をした竿がやや控えめに存在を主張していた。
「おいおい、嘘だろ……」
「焦らなくても、次は間違いなく俺かお前の番だぜ」
 ぼそぼそとヘルガーとオーダイルのぼやき声が聞こえてきた。今僕の身に起こっていることがそう遠くないうちに自分たちに降りかかるのだ。僕に実演して心の準備をしてもらう、というのは些か強引すぎる。ああそうか、ユクシーだけじゃなくて彼らにも僕の雄が見られているんだ。ユクシーはしかたないとしても、同性とはいえなんだかすごく恥ずかしいぞ。彼女の目の前で射精するであろうことよりも、ヘルガーやオーダイルに見られっぱなしというのが嫌だった。
「も、もう。早くやってよ」
「焦らされるのはお嫌いですか。じゃあ遠慮なく」
「んうっ……!」
 おもむろに先端を口に咥えるとそのまま両手で表面をすりすりと。小さな舌で先端をこね回すのも忘れてないあたり徹底している。ほんの数十秒だったはずなのに、僕にとってはその時間がずっと続いていくかのように感じられていた。このジムの空間も、一緒に拘束されているヘルガーやオーダイルも。何もかも、時間がゆっくりと流れて。下半身に広がるぞくぞくとした感覚。じわあっとこみ上げてきて、視界が、揺らいだ。
「あっ、も、もうっ!」
 びゅくびゅくとペニスを震わせて、僕は果てた。外に出てきた精液の量はそれなりだったように思える。勢いよく飛び出して収まりきらなかった分が、ユクシーの口元から伝っている。想像以上にあっさりと達してしまった。幸か不幸か、これでユクシーに愛撫されている状況は終わったというわけだ。ジムの空間の天井がぐらぐらと揺れている。拘束が解かれているのかどうかは分からないけど、軽く痙攣している下半身ににはまるで力が入らなかった。
「なるほど。これであなたの調査は完了しました。おつかれさまです」
 手についた僕の白濁液を表情も変えずに舐め取りながら、抑揚なく喋るユクシー。そのまま挙げられた右手の先端に、再び念力の光が宿った。ジムの中の僕の記憶はここで途切れている。

  ◇

 世の中には物好きってのが存在するもんだ。いや、今回の場合はある意味好き者と表現したほうが正しいか。伝説のポケモンは一筋縄ではいかない曲者が多いと聞く。今回ばかりはうちのトレーナーにも無茶はほどほどにしとけと言ってやらなきゃな。負けるたびにこんな辱めを受けていたのでは、身が持たない。
「……彼はあっさりでした。あなたはどうでしょうか?」
 ユクシーの評価として、サンダースは早かったらしい。まあ、言っちゃあ悪いがそんなに雌に慣れてそうな感じはしないし、色事に積極的かと言われればそうでもなさそうだ。体が刺激についていけていなかったのだろう。ユクシーが次に近づいてきたのは俺のところだった。どうやら二番手、というわけか。
「さあな。まあ、あいつよりは楽しめると思うぜ」
 口元の牙を見せてにかっと笑ってやった。苦手な悪タイプを前にしても全く表情を変えないのは不気味にすら思えてくる。本来エスパー技は俺に通りが相当悪いはず、なんだが。圧倒的な能力差の前には大した効果がないようだ。サンダースを相手にしている間、こっちへの集中が疎かになることを期待して努力はしてみたんだが、無念。ユクシーが最初に言った、無駄という言葉に偽りがなかったことを実感させられるばかりだった。横たわった姿勢から唐突に念力で仰向けにさせられる。サンダースのときと同じような姿勢。横になっていた荷物を縦にするかのように容易く体ごとひっくり返された。口では強がってみても、根本的なところではユクシーに対する恐怖感が拭えない。さっさと満足して開放してくれることを願うばかりだ。
「では、見せてもらいましょうか」
 ユクシーの小さな手が俺の一物に触れる。面積は小さくともやはり敏感な箇所。声こそ上げなかったが、尻尾の先がぴくりと震えてしまった。無表情のままぐにぐにと両手で包み込むように愛撫を続けていく。そうするうちに俺の雄も至って一般的な反応を示し始めた。ムードもへったくれもあったもんじゃない状況でも、悲しいかな触れられれば元気になっちまうもんだ。体格の違いもあるだろうけど、サンダースのよりは一回りくらいは大きいんじゃないか。あいつのより若干赤みがかって見えるのは多少なりとも使い込んでるからか。
「お前から見て俺のはどうだ?」
「私は外見よりも実用性を重視しますので」
 流すようにさらりと言われたら、押し黙るしかない。お世辞でも見た目を褒めてくれりゃあ、俺もちょっとはその気になるってのに。まあ、こいつに社交辞令を求めるのも無茶な話か。
「何感想求めてやがる……」
 呆れ返ったオーダイルの声が耳に入ってくる。俺がユクシーに気を許しているように映ったのかもしれない。そんなつもりはさらさらないが、オーダイルの奴は融通が利きにくそうだからな。
「いいじゃねえか。どうせ逃げられねえ。なら楽しんだ方が得……んぉ」
 返事は途中で遮られてしまう。さすがに舌まで絡められると声を漏らさずにはいられなかった。色んな雄を調査してきたのだとすれば、ユクシーの慣れた手つきにも納得がいく。大げさな動きを取り入れることもなく、必要最低限の愛撫で雄を着実に射精へと導く方法を心得ているような感じがした。何気なくユクシーの股の方へ視線を送ろうとしてみたが、勃起した俺の肉棒が影になっていて何も分からねえ。自分には出せないってユクシーは言ってたから雌なのは間違いないだろうけど、ちょっと俺の好みからは外れちまうな。もう少し俺のタイプに近い雌だったら、もっと興奮できたろうに。せっかくここまでやってくれてるんだ。少々勿体無い感じはする。
「ああ、やべっ」
 とはいえ両手と舌とを絶妙な力加減で繰り返されれば段々と限界は迫ってくる。じわじわとこみ上げてくるものを抑えきれそうには、ない。ユクシーの舌遣いと、手先の感触を存分に感じながら俺は果てた。勢いはそこまででもなかった気がするが、一つ目の大きな波、二つ目の中くらいの波から続いてあとはとろとろとした出渋りが。量はそこそこ出たような気はする。両手から口元まで俺の精液でべたつかせてやったが、実用性は悪くなさそうだろ。なあ、ユクシー。
「これであなたの調査も完了しました。おつかれさまです」
 残念ながらユクシーから感想は得られなかった。業務的な対応は変わらない。でも、俺を外へ送り出すときに微かに笑ったかのように見えたのは気のせいだっただろうか。

  ◇

 残るは俺だけになってしまった。サンダースとヘルガーだけで満足して、俺だけそのまま返してくれたりはしないだろうな。黙々と手や顔についたヘルガーの残りを綺麗に拭って舐め取ると、ユクシーはゆっくりと俺の方へ向かってきた。あいつらをあれだけ弄んでおきながらまだ物足りないらしい。暑くもないのに嫌な汗が背中を流れていくような気がした。
「あなたは一番体格があります。少しは楽しませてくださいね」
「けっ」
 俺はお前の娯楽じゃねえぞと突っかかりそうになったが、やめておいた。ユクシーの強さは身を持って味わわされている。下手に機嫌を損ねたりしたら何されるか分かったもんじゃねえ。最初に念力で吹き飛ばされたとき以上の苦痛は勘弁願いたかった。うつ伏せで転がされていた俺の体を軽々と浮かばせると、両足を開いた状態で腰を下ろした姿勢を取らされる。サンダース達と違って俺は二足歩行ができるからこの体勢の方が都合が良いらしい。だが、俺は自分がどんな状態になっていたかまでは把握しきれていなかった。
「おや、準備万端じゃないですか。なんだかんだで、期待していました?」
「な、ば、馬鹿言うんじゃねえっ!」
 どうなってやがる。俺の股間のスリットからは既に半分程度勃起した肉棒が顔を覗かせていた。うつ伏せで、しかも体が拘束されていたから全く自覚はなかったのだがこれは。ユクシーの愛撫を想像してではない。絶対にだ。だとすれば俺は一体何に対して、こんなに興奮しちまったんだよ。
「しかし体は正直なものですよ。それとも、彼らが果てるところを見ていたからですか?」
「なっ、そんなわけあるか。あいつらも俺も雄だぞっ!」
 口では否定した。否定してはみたものの、思い当たる節があるとすればやっぱりそれなんだろうか。身動きは取れなくても視線は動かせたから、ユクシーの洗礼を受けているあいつらの方へは自然と目が向いてしまっていたのは事実。サンダースは割と中性的な感じで、イーブイの進化系らしく雄とも雌とも取れるような外見ではある。ヘルガーは普段の透かした態度がどうも苦手なところがあったんだが、立ち振る舞いは雄らしいクールさがあるのは認める。二匹とも達したときは、いつもは全く見せないであろう恍惚とした表情で、何だかそれが妙に頭に焼き付いてしまっていて。あいつらがイクところを見て、興奮しちまったんだろうか、俺。やべえかな。
「まあ、あなたの性癖には興味がありません。こちらとしては手間が減って好都合」
 ユクシーはあくまで合理的だった。ふと、さっきの二匹の姿を思い返してさらに股間を膨張させてしまった俺を馬鹿にしたりはしなかった。何考えてるのか分からねえ不気味な奴だと思っていたが、そこにはちょっとだけ気持ちが助けられたかもしれない。
「しかし、さすがにこれは私の手には余りますね」
 八割程度まで外へと這い出した俺の一物。万全状態でないにしても、ユクシーの身長は軽く越えてしまっている。体の自由が利くならば、そのまま俺のちんこでしばき倒してやってもいいくらいだった。
「うぐぉっ」
「超能力に頼るのは不本意ですが、仕方ありません」
 両手を掲げたユクシーの手先が淡い光を帯びる。その光は俺の雄へとまとわりついてぎゅっと包み込むように収縮する。直接触れられていないはずなのに、しっかりと感触があった。念力を肉棒へ直接当てているとでも言うのだろうか。部分的ではなく全体的な、満遍なく襲いかかる刺激。あっという間に痛いくらいまで膨張してしまう俺の雄。念力が蠢いている間、ずっと変な声が出ていたような気がする。あいつらに聞かれていたとしたら、嫌だな。俺が最後でよかったかもしれない。
「我慢しなくてもいいですよ。その方が早く済むので」
「だ、だれがっ……あっ、あっ……!」
 すぐに果ててしまうのは癪だなんて、そんなことを考えていられる余裕はあんまりなかった。未知の快感は着実に俺の抵抗力と耐久力をごりごりと削っていく。そうこうしないうちに俺は情けない声を上げて、ユクシーの念力攻めに屈してしまった。決壊を迎えた俺の肉棒のさきっちょから白濁液が細い線のように勢いよく飛び散っていく。さりげなく角度を調節されていたのか、大体がユクシーの方へ向かって飛んでいっていたような気がした。わざわざ精液を体に浴びたいなんてとんでもねえ奴だな、と辟易するのは今更すぎるか。
「ああ……あ、あ」
 下半身がぴりぴりと痺れるような感覚。声を上げようとしても声にならない。とろとろと勢いなく流れ落ちている残りの分までユクシーは丁寧に拭い取ってくれた。小さな手先の感触がくすぐったい。
「ふふ。さすがに多いですね。素晴らしかったです」
 手に付着した精液を満足げに舐めとるユクシー。賞賛されても全く嬉しさは湧き上がってこない。どちらかというと、ようやく解放されるんだなという安心感の方がずっとずっと大きかった。確かに今までにない刺激と感覚を味わうことができたし、ユクシーのテクニックによるであろう気持ちよさはあった。ヘルガーの奴は思いのほかこの状況を楽しんでるように見えたが、俺はこういうのはどうもだめだ。一方的に攻め立てられるばかりで、気持ちがそちらの方ばかりを意識してしまって行為を楽しむも何もあったもんじゃねえ。こういう営みは体だけじゃなくて心も満たされてないと。正直、自分で扱いている方がましなのではないかというくらいだった。妙に満足げなユクシーを、俺は冷え切った目でぼうっと眺めていた。
「なかなかいい調査ができました。今度伝説ポケモンに挑むときは、しっかり準備をしてくださいね」
 ユクシーはひらひらと片手を振って俺を送り出す。まったくもってその通りだぜ。トレーナーの無茶に付き合わされてとんだ目に遭った。もう、伝説ポケモンのいるジムに特攻するなんて二度とやらねえぞ、俺は。

 おしまい


・あとがき
 今回は初のポケモンGOネタで「れい」のテーマに沿ってレイドバトルのお話にしてみました。ポケGOをやったことがない方にはとっつきにくい部分があったかもしれません。基本的には大人数で一体の伝説ポケを数の暴力でねじ伏せるレイドバトル。ルールがよく分かっていないときに単騎特攻してフリーザーにぼこぼこにされた記憶から今回のお話を引っ張り出してきました。ユクシーを選んだのは一ヶ月ほど前までレイドバトルでちょくちょく出てきていたのと、返り討ちにした雄にそういうことをするイメージとしてそこまで違和感がなかったからです。あとは可愛いので。かなり票が割れた今大会でしたが、四票もいただけて個人的には満足いく結果となりました。投票してくださった方々、最後まで読んでくださった方々、ありがとうございました。あと、滑り込みエントリーで28秒失敗していましたが多めに見てくださった管理人さんには頭が上がりません。次からは余裕を持ってエントリーするようにします。

以下、レス返し。

>短い中でしっかりお話が出来ていて、官能の欲張りセットもついてきてお得な(?)作品でした。
虐められてるのもそれはそれでいいんですけど、ユクシーはやっぱりこうであって欲しい。 (2019/06/15(土) 22:38) の方

割とユクシーの方がひどい目に遭っている小説が多いように感じるのは私の気のせいでしょうか。個人的にはどちらかというとユクシーはこういう強者の立場でいてもらうほうが安心できます。官能シーンはせっかくなので雄三体に被害者になってもらいました。

>えっちだった……。 (2019/06/15(土) 22:52) の方

一つのお話で三匹分おいしい。そんな小説になっていたら良いです。

>オーダイルとヘルガーに見られて恥ずかしがるサンダースが可愛い。 (2019/06/15(土) 23:55) の方

いくら同性とはいえ、普段見せたこともない箇所を見られてしまうのはやっぱり羞恥心があると思うのですよ。
あるいはサンダースは自分のサイズに自信があんまりなかったのかもしれません。

>至って合理的に襲ってくるユクシーさんが素晴らしいですね。とても読みやすかったですし、個性のある3匹の雄のやり取りがとても美味しかったです。 (2019/06/15(土) 23:58) の方

ユクシーは基本的にはこういう冷静キャラであってほしいのです。3匹とも同じような反応では面白みがないのでそれぞれユクシーに対する反応と雄のサイズとかで差異を感じられるようにしてみました。

皆様、投票&コメントありがとうございました。

【原稿用紙(20×20行)】23.2(枚)
【総文字数】8246(字)
【行数】105(行)
【台詞:地の文】17:82(%)|1405:6841(字)
【漢字:かな:カナ:他】31:63:5:0(%)|2638:5245:425:-62(字)


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Last-modified: 2019-06-16 (日) 19:48:20
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