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こいにおちる

/こいにおちる

Writer:&fervor


人×ポケ表現がございます。ご注意ください。

こいにおちる 

X月Y日 


「島巡り……ねぇ」

 片手で目の前にそれをぶら下げながら、机の上にだらりと突っ伏せる俺。外はすっかり明かりも消え、うっすら雲に隠された月輪が弱々しく光を放っている。
それはつい先ほど、祖母から渡されたアクセサリー。アローラ地方に古くから伝わる風習、"島巡り"の参加証明となるものだ。
今でも島巡りに挑戦する同年代のトレーナーは少なくない。最後まで達成したトレーナー達の中には、有名になった者も多くいる。
 しかし一方で、島巡りを途中で断念したせいで世間に罵倒され、失意の元、ならず者達の集団に身を投じる奴らがいるのもまた事実。
自分で言い出したならともかく、強制的にこんなチャレンジに参加させられて、失敗したら非難されるなんて馬鹿馬鹿しいにも程がある。
こんな古い風習馬鹿馬鹿しい、間違ってる、と俺はいつも周囲の友達に言っていたのだが、まさかその俺が参加させられることになるなんて。
 とはいえ祖母の悲しむ顔は見たくない。差し出された証と、にこにこ顔の祖母の顔に、俺は断ることも出来ず、分かった、と返事してしまったのだ。
パートナーとして一年ほど前から一緒に過ごしているこのニャビーにも、これからはバトルに明け暮れる毎日を過ごしてもらわないといけないだろう。
普段から時々バトルをさせてはいるが、今のように、布団の上で丸まってくぁあ、と欠伸をしている姿の方がよっぽどお似合いなのに。

「悪いけどこれから頑張ろうな、俺も……ま、それなりには頑張ってみるよ」

 手であごの下をくりくりと撫でてやると気持ちよさそうに喉を鳴らすニャビーは、まるで何も分かっていないみたいだったけど。

O月R日 


「よし、ニトロチャージだ!」

 岩の大地を駆け回り、相手のラッタを翻弄するニャヒート。相手の背後を取ったその瞬間、俺はとどめの一撃を指示する。
炎を纏ったニャヒートが、素早く相手へと方向を変え、そのまま走り抜ける。その衝撃で吹き飛んだ茶色の体は、そのまま起き上がることなく倒れたまま。
それを確認した相手のトレーナーは、ラッタをボールへと納め、俺の元へと走り寄ってきた。逐一スマホで写真を撮っているのが少し気にかかったり。

「やー、強いね、君! 島巡り……っていうんだっけ? アローラ地方の子ってすごいなー!」

 ここ、ヴェラ火山公園は島巡りにおける試練の場所となっているだけではなく、観光名所にもなっている。
自然の生み出した不思議な地形、日の出や日の入りが生み出す幻想的な風景を目当てに訪れる人は後を絶たない。
この火山へ試練のために足を踏み入れた俺達も、観光客らしい女性に出会い、こうしてバトルを申し込まれたという訳だ。

「それじゃあ付き合ってくれてありがと! そろそろ踊りが始まる時間だから私はこれで!」

 言うが早いか、彼女は賞金を俺の手のひらに置いて颯爽と去って行ってしまった。俺達とは目的が違うんだから仕方ないか。
 お疲れさま、とニャヒートをボールへ戻そうとしたその瞬間、草むらから飛び出してきたのは一匹の黒いポケモン。
口元からは小さく炎が漏れ出している。ニャヒートと同じ炎タイプのポケモンだろうか。少なくとも、俺の住んでいたカンタイシティ周辺では見たことがない。

「確か火山のガイドマップで見たような……こいつか」

 そこには"ヤトウモリ"という種族の名前と、毒に対する注意が書かれていた。なんでも鋼タイプのポケモンですら侵してしまう程の毒らしい。
なかなか面白そうなポケモンだ。島巡りを始めて以来、他にもパーティを充実させたいとはずっと思っていたのだけれど。
どうせなら俺の好きな炎タイプで揃えたい、という思いもあって、ここまではずっとニャビーに頼りっぱなしだったのだ。
 だからこそ、ニャヒートに進化したこいつをできる限り強くして、最悪一匹で試練を突破しなければ……なんてことも考えていた。
けどもう一匹いれば、少なくともニャヒートだけに頼らざるを得ない現状を打破出来る。毒タイプも持っているから、ニャヒートとは違った戦い方も出来るはず。

「頼むぞ、ニャヒート。こいつを捕まえて、仲間になってもらおう!」

 しゃがみ込んでニャヒートにそう囁く俺。力強く鳴いた後、彼はヤトウモリへ向き直った。初めての捕獲に、ボールを握る手がじわりと汗ばむのを感じる。
飛びかかってきたヤトウモリをステップで躱したニャヒートに、俺は舌で舐めるよう指示を出す。その感触にヤトウモリの動きが鈍る。
捕獲の基本は状態異常と体力を減らすこと。まずヤトウモリを痺れさせ、それから少しずつ体力を削っていく。
その黒い体をひっかく度、ヤトウモリも反撃の炎を浴びせてくるが、同じ炎タイプのニャヒートにはあまり効いていない。これならいけそうだ。
 ヤトウモリの表情が目に見えて疲れてきた頃合いを見計らって、俺は手にずっと握っていたモンスターボールを投げつけた。
ニャヒートの攻撃にばかり集中していたヤトウモリは、予想外の方向から飛んできたボールに気付くのが遅れ、避けることも敵わずボールへと吸い込まれる。
一回、二回、三回。ボールの開閉スイッチが赤く光りながら、ころころと揺れている。祈るように見つめる俺と、未だ警戒を怠らないニャヒート。
 やがてスイッチの光がふっと消え、ボールが動かなくなった。おずおずと近づいて手を伸ばし、そのボールを持ち上げてみる。

「やっ……た、のか、やったんだよな。やった、やったな、ニャヒート!」

 初めての捕獲に、思わず声が大きくなってしまう。ニャヒートはそんな俺に対して一鳴きすると、いつもの毛繕いを始めだした。
すぐにでも捕まえたこいつと対面したい所ではあるが、ひとまずは回復が先。毛繕い中のニャヒートをボールへと戻して、俺は一路ポケモンセンターへ戻ることにした。

A月S日 


「お前達、いつの間にそんなに仲良くなったんだ?」

 目を覚ますと、いつも通り俺の布団の上……ではなく、ヤトウモリの隣でごろごろと喉を鳴らしながらニャヒートがじゃれていた。
他人には全然懐く素振りを見せたことのなかったニャヒートが、まさかポケモン同士だとここまですぐに仲良くなれるなんて思わなかった。
 炎の試練を無事にこの二匹で乗り越えて、ZリングとZクリスタルを手に入れた……頃は確かニャヒートも大分よそよそしかったはずなんだけど。
二つ目の試練のために八番道路でトレーニングをするうちに、どうやらいつの間にかこれほど仲良くなっていたらしい。
時々ボールから出して、みんなで寝るようにしていたのが良かったのだろうか。何にせよ、これならダブルバトルでも良いコンビネーションが発揮できそうだ。
 ただ、あんまり仲が良すぎるせいでニャヒートがあんまり俺の方に近づいてきてくれないのがちょっと寂しい……っていうのは俺のわがままだろうか。

「ほら、遊んでないでそろそろ行くぞ。今の俺達の強さなら、きっと二つ目の試練も突破できるはずだ!」

 じゃれつかれていたヤトウモリを両手で掴み、俺は顔を合わせる。元々鋭い……というかあくどい顔も、こうして見ると結構可愛いものだ。
ニャヒートが下で唸っているが、そもそもこいつは俺が捕まえたポケモンなんだから、少しくらい我慢してもらわないと困る。
 と、ヤトウモリが不意に舌で俺の顔を舐めてきた。やったなこいつ、と手でくりくり頭を撫でてやると、満足そうに笑うその様子も愛嬌がある。
バトルでもニャヒートに負けず劣らず活躍してくれるし、ニャヒートよりもよっぽど素直で扱いやすいし、俺がこいつと出会ったのはきっと何かの縁だったんだろう。
何となく頬を擦りつけたくなったのでヤトウモリにそうしてやると、また満足そうに声を上げてくれる。ヤトウモリのして欲しいことが、俺には手に取るように分かる。
 下でいよいよ俺の脚に炎を浴びせてきそうな勢いのニャヒートを見て、仕方なく俺はヤトウモリを地面へと戻してやった。

「ニャヒート……お前、すっかり俺よりヤトウモリか? まったく」

 また甘えた声でヤトウモリに擦り寄るニャヒートを見て、俺はやや呆れ気味にボールをかざす。今日はいよいよ試練に挑む予定なんだから、もう少し緊張感を持って欲しいものだ。
ヤトウモリに対しては俺もついつい甘くなってしまいがちだから、あんまりニャヒートの事を言えた義理ではないんだけどな。

S月M日 


「エンニュート、どうしたんだ? 俺にして欲しいことでもあるのか?」

 すっかり夜も更けた頃、モーテルのベッドの上で、俺はエンニュートに起こされた。俺にのしかかった状態で、ぺろりと舌なめずりをしながら、執拗に鳴いている。
床で丸まっているニャヒートを起こさないよう小声でエンニュートに問いかけるが、当然エンニュートの言葉が俺には分かるはずがない。
なのに何故か、エンニュートが求めていることが俺には分かるような気がした。普通だったらあり得ないことなのに、何故だかそれに違いないという確信があった。

「分かったよ、お前の頼みだもんな。俺で良ければ相手になるよ。ほら、ちょっと待ってくれよ……」

 一度エンニュートにベッドから降りてもらい、俺はタオルケットを横に退ける。シャツを、ズボンを脱ぎ捨て、さらに下着も降ろす。
生まれたままの姿となった俺は、改めてエンニュートを迎え入れる。満足そうに声を上げ、俺の上に乗りかかって来るエンニュート。
その舌が俺の身体を下へ下へとなぞっていく。やがてたどり着くのは既に大きくなっていた俺の息子。それをくるりと絡め取り、ちゅるちゅると弄ぶエンニュート。

「ん、ぁ」

 くすぐったさと共に快感がじわじわと押し寄せる。エンニュートにこうして奉仕してもらえるなんて、思ってもみなかった。
滑らかですらりとした躯は黒く艶やかで見る物を魅了するほど。細い目は俺を見下しているかのように鋭く、けれども吸い込まれそうなほど美麗で。
 ぢゅるぢゅると唾液が俺の息子と彼女の舌に絡まる度に、俺は身体を震わせる。この調子だとあっという間にイってしまいそうだが、それでは彼女が満足してくれない。
エンニュートの頭にそっと手を伸ばして撫でてやると、エンニュートは体制を変えて、俺とは上下逆の向きで跨がるように。いわゆるシックスナイン、という奴だ。
もちろんエンニュートがそんな名称を知っているとは思わないが、少なくとも俺が何をしなくちゃいけないかぐらいは分かる。目の前には、じわりと蜜の染みたクレバスが。
堪らずそこにむしゃぶりつくと、エンニュートの野性的で刺激的、かつ淫靡な香りが脳の奥まで一気に駆け巡る。その香りだけで絶頂しそうな程の快感が、俺の身体を揺さぶった。
 舌で蜜を掬い、穴の奥までねっとりと味わう。美味しい、といっても良いのかもしれない。いや、エンニュートの蜜なんだ、美味しくない訳がない。
エンニュートのぷるんと柔らかな臀部に手を回し、手に力を込めて顔を近づける。もっともっと深く、奥まで、エンニュートを味わいたい。この機会を逃したくない。
 しかしエンニュートは俺の息子から口を離すと、そのまま俺から離れていってしまう。もしかしたら俺の行為が気にいらなかったのだろうか、と不安になるが、どうやらそうではないらしく。
溢れ出た蜜がぽたり、と俺の腹に垂れる。温かい、とろりとした感触が俺の肌を流れていった。そしてしっかりと立ち上がったままの息子の上に、エンニュートは跨がろうとしている。

「エンニュート……っ」

 ぬぷ、と抵抗もなく俺の息子はエンニュートの中へ飲み込まれていった。それと同時に灼熱の肉壁が俺の息子をこれでもかと搾り取ってくる。
人間との経験さえ皆無な俺にとっては初めての快感。堪らずエンニュートへ手を伸ばすと、エンニュートが俺に寄りかかるように倒れ込んで来てくれた。
ぎゅう、とエンニュートを抱き締めて、口の中へ舌を入れる。エンニュートの香りがまた一層濃くなり、エンニュートの味が鼻の中を突き抜けて頭の中をかき乱す。

「ぁ、くぁあっ!」

 声にならない声を上げ、俺はエンニュートの中へと白濁を注ぎ込む。きゅうきゅうと締め付ける彼女の肉壁は、それでも俺の息子に対して容赦は一切してくれない。
快感の余韻に浸る間もなく、彼女はまた俺の口の中へ舌を侵入させてきた。彼女の香りが俺にまた力をくれている、様な気がする。
エンニュートが望むなら、俺は何度でも彼女に付き合わないといけない。俺はその為にこうして生きているんだから。
 絶頂後の敏感な息子を執拗に搾り取られ、俺は休憩もないままその快感に縛られ続ける。けれどもエンニュートの嬉しげな顔は、俺にとっても最高の幸せだ。

「あっ、ああ、あぁぁっ! あぁ、んぁぁあ! う、あ、ぐ、うぁぁっ!」

 もはや白濁が吐き出されているのかどうかさえ分からない。動きに合わせてびくんと腰を浮かせるだけの俺に対して、彼女はけれども動きを止めない。
頭の中がエンニュートの香りで埋め尽くされて、視界が黒と紫で揺れる。根元から熱く快感が滾り、俺は堪らず声を上げた。

「は、あぁぁ、くはっぁぁ!!」

 白濁とも違う何かが勢いよく飛び出る感覚に襲われて、火花の弾けるような悦楽に心も身体も奪われて、俺は身体を反らせてそれをエンニュートの中へ吐き出した。
エンニュート、エンニュート、と力なく呼ぶ俺の声が遠い。エンニュートは俺の息子をずるんと抜き取ると、ぼとり、と白濁を零しながらベッドを降りる。
 動けるような状態ではなく、ただぼうっとエンニュートの行動を見守っていると、エンニュートはいつの間にか起きていたニャヒートの方へ。

「ま、さか……ニャヒート、おま、え」

 いつも以上に甘い声でエンニュートに近づいたニャヒートは、そのまま仰向けにごろりと転がる。そしてエンニュートは、俺にやって見せたのと同じように舌をその股ぐらへ。
羨ましい、という気持ちが大きかった。もしかしたらエンニュートは、俺よりも前からニャヒートとこんなことをしていたのではないだろうか。
 進化する前からそうだったのだとしたら、あの仲の良さにも納得がいく。だとしたら、なおさら羨ましい。エンニュートにずっとああやって身体を寄せていたなんて。
エンニュートが望んだことだから仕方ない、とはいえ。俺よりニャヒートを選んでいた事実はやはり心に来る物がある。
 いや、でも待てよ。だとしたら、俺に求めてきたのはきっとニャヒートだけでは物足りなかったから、ということになる。あいつだけじゃ満足させられなかったんだろう。
そう考えると急に、ざまあみろという気持ちになる。エンニュートのために一番頑張ってるのは俺なんだ。トレーナーに選ばれた俺の方が、きっと、絶対。
 そんなことを考えているうちに、ニャヒートの後ろ脚の間からはピンク色にそびえ立つ雄の象徴が。当然人間である俺の物とは全く形が違う。
大きさはあまりたいしたこともなさそうだが、何かちょっとざらざらして見えるのは気のせいだろうか。暗くてよく分からないけど。
 しかしそのピンク色も、エンニュートの中へとあっという間に飲み込まれていった。先ほど俺が散々注いだ白濁の滴が動きと共に飛び散っている。
ニャヒートもきっと気持ちが良いのだろう、荒い声を上げながら身体をくねらせている。それに跨がり、腰を上下に振るエンニュートの姿は、やはりとても扇情的。
いつしか俺もその動きに釘付けで、自然と手が息子に伸びる。べっとりと濡れたそれの先端をくりくりと弄りながら、エンニュートの姿に見惚れていた。
 と、急にニャヒートの動きがおかしくなる。数回声を上げると、腰を浮かせて目を細め、恍惚とした表情を浮かべて尻尾を、身体を震わせ始めた。
それでも止まらないエンニュートの動きが、ニャヒートをさらに暴れさせる。怒ったような声を上げつつ、何度も脚をびくんと動かすその様子は、さっきの俺と全く同じ。
二本の細長い尾をひらひらと揺らしながら、ずちゅ、ぱちゅ、と身体をぶつけ合うその姿が厭らしく、俺にとってはご馳走と言ってもいい。
 彼女のその姿をおかずに自慰を続ける俺の息子は、いつしか先ほどと同じくらいの固さと大きさを取り戻していた。先走りの滴があふれ出て止まらない。
とうとう動かなくなったニャヒートを尻目に、エンニュートがまた俺の方を向いてくれた。ベッドから上半身だけを起こし、もう一度エンニュートを誘う俺。

「ほら、俺はもう大丈夫だ。続きやりたいんだろ? わかってるよ……いくらでも付き合うさ、お前のためなら」

 向かい合わせのまま座り込み、エンニュートの中へ俺の息子を挿れていく。さらにエンニュートの身体をぎゅっと抱き締めると、炎タイプの温かさが俺の肌に浸みていく。
彼女を抱きかかえるようにして上下に揺らし、彼女の胸や首に舌を這わせて奉仕する。彼女が満足しているかどうか、俺にはもう手に取るように分かる。
そして彼女の香りが俺を快感へ誘ってくれる。俺の息子へ元気をくれる。何度でも彼女のために頑張ろう、頑張らないといけない、そんな気持ちにさせてくれる。
 エンニュートが幸せなら俺は幸せ。ニャヒートもきっとそうだろう。俺達はエンニュートに奉仕する事が生きがいだったんだ。それを気付かせてくれたのが彼女だったんだ。
悦びで頭を一杯にしながら、また俺は彼女の中へ白濁をぶちまけていく。けれどもまだ止めるわけにはいかない。だって彼女が満足していないから。
 えんにゅーと、えんにゅーと、と呟きながら、俺はただこの快感の天国へ堕ちていく。気持ちよくて、嬉しくて、美味しくて、幸せ。
俺はいつから、彼女にこんなに恋焦がれていたんだろうか。いや、そんなことはどうだっていいか。だって俺は、彼女に一生を捧げないといけないんだからな。

R月G日 


 今日もまた、いつものソファーの上で意識を取り戻す。今何時だろうか、と時計を探すが見当たらない。外が明るいってことは、まだ夜ではなさそうだけど。
床にはゴワゴワとした赤と黒の毛むくじゃらが寝転がっている。俺が気を失っている間にでも楽しんでたのだろうか。ちくしょう、羨ましい奴め。
ベッドの上ではエンニュートがくるりと丸くなって寝ている。その姿にどきりと胸が高鳴るが、寝ているのを起こすわけにもいかない。
 エンニュートのためにもそろそろ食料の買い出しに行く必要がありそうだ。それに貯金も少なくなってきたし、俺とニャヒートで稼ぎにいかないと不味いかもしれない。
それに彼女はまだ他にもお相手が欲しそうだったから、俺達がまた新しく捕まえにいかないといけないな。気に入りそうな雄はいるだろうか。
 俺だけじゃ不満なのか、と考えると悲しい気もしなくはないが、エンニュートがそれを望むなら仕方ない。俺達にそれを拒否することはできないし。
それに、頑張ったらきっと良いご褒美をくれるに違いない。あの蕩けそうな快感を想像しただけで、既に俺の息子はしっかりと起き上がっている。
 よし、今日は食料とボールを買い込もう。そうなれば何か売らないと足りないかもしれない……と、ここでバッグの中に良い物を見つけた。
Zリング、Zクリスタル、島巡りの証。どれも地方外の人に売ればそこそこ高く売れそうだ。俺達には必要ない物だし、手早くお金を稼ぐのには最適だろう。
こんなくだらない物、なんで置いておいたんだろうか。もらった後、さっさと売っておけばもっと綺麗で高く売れたかもしれないのに。
 他にも技マシンや道具など、売れそうな物をバッグに詰め込み、俺はそっとモーテルを後にする。近くのポケモンセンターで、観光客でも引っかけるとしよう。
エンニュートにご馳走を持っていったら、あるいはニャヒートの順番も俺に回してもらえるかもしれない。あんな奴より俺の方がよっぽど気遣いが上手いと思うんだけどなあ。
 何にせよ今日の夜が楽しみだ。昨日よりも激しく、昨日よりも長く楽しめるはず。エンニュート……俺、一生お前のために頑張るからな。





      「濃いに堕ちる」

     Merry Bad Ending....

あとがき 

しばらくコメントだけ返させていただきましたがいい加減仮面を外しておこうと思います(
短編除く大会だけは皆勤賞守ってるので今回もギリギリ執筆で参加させていただきました。
エンニュートを見たときからずっと書きたい・やりたいネタだったのでそれなりに満足しています。
今大会は明らかにすごい作品があったので案の定票は集まらなかったんですがコメント頂けて感謝感謝です。

最初投稿したときからずっと最下段に本当のタイトルを隠してあったんですが、気づいた方はどれくらいいらっしゃったでしょうか?
濃密な香りの罠に嵌った彼らのお話は、まさしく「メリーバッドエンド」だったんじゃないかなあと思います。
エンニュートにあれやこれやされれば多分大半の人が幸せだと答えるんじゃないでしょうか。
たとえそれが彼女の策略だったとしても……タブンネ。

それではまたそのうちお会いしましょう。記念祭はお休みしますが(?)

コメント 

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  •  いや、面白かったですよ。
     エンニュートは色っぽくて僕も好きですし。彼女が醸し出す危ない魅力と、それに溺れていく主人公の退廃的な様子が実に濃密で、最後まで投票候補に残っていました。
     最終的にはより多彩なポケモンを描いた作品2本を選んだため切りましたが、まさか票が入らないとは思わず。結果を見て首を傾げてしまったほどです。明確に指摘できるような問題点は、少なくとも僕には思いつきませんでした。強いて上げれば、ヤトウモリ時代のエピソードももっと盛って欲しかったなってぐらいでしょうか。
     実はこの文を描いている途中で、最後の空白に記された隠しタイトルに気付きました。なるほど、濃密なわけですw しかし何も隠さなくても良かったと思いましたけどwww -- 狸吉
  • >>狸吉様
    コメントありがとうございます。もう少し長く書くことが出来れば良かったのですが生憎時間の方が難しく断念した次第です。
    エンニュートというポケモンを書くならばこのシチュエーションしかない、と思い筆を取ったのですが、他の作者様の作品が素晴らしかったので恥ずかしい結果となってしまいましたね。
    タイトルはダブルミーニングにしてありましたので、もう一つのタイトルは分かる人にのみ分かっていただければと考え隠させていただきました。
    香りの魔力、ご堪能いただけていれば幸いです。 --
  • エンニュートに魅せられて、投票しようか悩んだ一作でした。
    むしろ、このくらいの長さは読みやすく、ストレートに興奮させてくれました。言葉が通じない中での誘い合いもそそられるものがありますね…。

    個人的な感想ですが、R月G日が惜しく感じました。
    前半で否定的ながらもおばあちゃんからのお願いということで貰った物を、
    この章で「こんなくだらない物」とストレートに踏みにじる表現が、決してバッドエンドでもない物語を暗い印象に変えてしまい、悩んだ末に投票しないまま締め切り日を迎えてしまいました。
    「俺達には必要ない物だし」という文が、上手く『島めぐりよりも大事なことを俺は見つけることができた』みたいなポジティブな方向で〆られていれば、すっきりとした気持ちで迷いなく一票を投じていました。

    個人的な感想を偉そうに長々と申し訳ございません。でも、私は好きです。 --
  • >>一つ上の名無し様
    ご丁寧にありがとうございます。言葉が通じないからこそ表現が生きてくる……とよいのですが。

    書いている自分も含め、第三者の目から物語を眺めるとやはり「バッドエンド」に違いない、
    しかしながら本人達に取っては紛れもなく「ハッピーエンド」となっている、
    所謂「メリーバッドエンド」のつもりで最後は敢えてどこか不穏な終わり方にしています。
    エンニュートとのいちゃいちゃ物語として読んでくださったのだとは思いますが、どうかその辺りはご勘弁願います。
    そして改めて、「本当にただの幸せな話なのだろうか」と疑いの目でこの物語を読んでみて下さるとありがたいです。

    狡猾な彼女の策略に嵌った、哀れな若者達の姿が見えてくるかもしれませんよ……? --
  • 当初の目的を忘れ、ゆっくりとエンニュートに見も心も侵食されていく。にもかかわらず当人たちはいたって幸せそうな様子なのが、読んでいて寒気を感じるほどでした。
    日記形式という形式によって、主人公の心境が変化していく様を分かりやすく表現していたのが素晴らしいと感じました。

    にしても、エンニュートと毎日こんなことができる主人公たちが羨ましい( --
  • >>一つ上の名無し様
    コメントどうもありがとうございます。
    書きたかったのはまさしくそういったお話でしたので、それが伝わっていれば幸いです。
    日記形式としたのは間をだらだら書き続けるのが時間的にも体力的にも厳しかったからなのですが、そこそこ読みやすく仕上がったのではと思っております。
    一度溺れてみるのもいいかもしれませんね。元の生活に戻れる保証は致しませんが……ふふふ。 --
  • ゆっくりと歯車の狂い始めていく島めぐり、主人の目的がじわじわとすり替わっていく不安定感は読んでいてゾクゾクさせられました。こういうオチは大好きで、最後の主人のニャニートに嫉妬する心理描写や島めぐりの道具をぞんざいに扱うところとか、かなりグッときました。読後感の悪さは消化するのに結構時間がかかりましたよ。ごちそうさまでした。
     初見でラストのタイトルバレに気づいたのですが、だからこそ「堕ちる」というところに納得いかなかったというか。例えば他の手持ちの雌ポケがエンニュートの魔の手から主人を救おうとするも、そんな救いの手を振りほどいてまでエンニュートに傾倒してしまうとか、もっと落差が欲しかったかもしれません。エンニュートで思いつくことをスタンダードに分かりやすく書いてくれた作品ですが、だからこそ「堕ちる」と言うにはもう1歩踏みこんでほしかったかも。 -- 水のミドリ
  • >>水のミドリさん
    コメントありがとうございます。
    ちょっとずつ歯車が狂っていく感じが伝わったようで何よりです。めちゃくちゃ後味悪い作品なので大分好き嫌いは分かれるかなあと思います。
    「堕ちる」については時間の都合上割とすんなりだったのですが、もっとキツいのがお好みな方もいらっしゃるようなのでまたいつかチャレンジしてみることにします。大会でやるかは不明ですがw -- &fervor
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Last-modified: 2017-02-18 (土) 23:47:40
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