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お姉ちゃんと8匹の弟達

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お姉ちゃんと8匹の弟達



※ 特殊な性癖やジャンルが含まれる章があります。各章冒頭の『※注意!』でご確認ください。






第1話・サンダースとブースター 



「おねえちゃん! 僕のチンチンの方が美味しいよね!?」
「ばか! オレの方が美味しいよ! そうだよね、おねえちゃん!?」



 右からはサンダース、そして左からはブースターと、そんな二匹のペニスを交互にしゃぶらされながら、イーブイは交互に繰り返されるイラマチオの猛襲に耐えていた。

 イーブイには8匹の弟達がいる。
 その中でもこのブースターとサンダースの二匹は特に勝ち気で、ことあるごとに衝突してはケンカを繰り返す兄弟だ。
 そして今は「どちらのチンチンが美味しいか」などという馬鹿な理由のケンカを始めては、イーブイを辟易とさせていた。

 こうなってしまうともうイーブイの都合など知ったことではない。
 二匹は思いの丈を気の済むまでイーブイにぶつけないと収まらない。
 そして今現在……

「あ、あああ……イク……イッちゃうよぉ……!」

 イーブイの口中にペニスを収めていたサンダースが限界を迎えそうになっては必死に腰をイーブイの鼻頭に打ち付け続ける。
 その口が放れないようイーブイの前頭を前足でホールドしながら、射精を予期する快感にうち震えながらサンダースは最後の瞬間を迎える。

「ダメェ、出ちゃう!」
「んんッ!? んむぅぅ‼」

 声を上げるや、サンダースの射精を喉の奥底で受けてめてイーブイは目を剥いた。
 反射的に咳き込んでは口を離してしまうと、先細りのサンダースのペニスはやや粘度の薄い精液を雷のような鋭さでイーブイの顔面へ袈裟に打ち放つ。

「あん、口はなしちゃダメだよぉ! 飲んで! 僕の美味しいザーメン飲んでよぉ!」

 顔に精液の筋を残しながら涙目で咳き込むイーブイの様子に、サンダースもまた慌てた様子で口中への挿入を再度試みる。

「んぐぅ~ッ!?」
「んああッ、んあぁ~……気持ちいい~♡ おねえちゃんのお口サイコー……♡」

 後ろ頭をがっちりとホールドし、そうして残る最後の射精もまた全てイーブイの口の中で果たしては忘我に至るサンダース。
 そんなサンダースの間に割り込むよう、

「ずるいぞお前! 終わったんなら早くどけよ!」

 今度はブースターが入り込む。
 肩を突き合わせてはサンダースを押しやると、まだ彼のペニスが収まっているイーブイの口中へと、反対側の口角からブースターもまた無理やり自分のペニスを挿入してしまう。

「むごッ!? んももも……ッ‼」
「あ、ああ~……おねえちゃんのベロとサンダースのチンチンが擦れるぅ……♡」

 そのままピストンを開始しながら、ブースターもまた最後の瞬間へと意識を集中させる。
 斯様にして二匹のペニスを受け入れているイーブイの口中は、自身の唾液と先のサンダースの精液、そして二匹のペニスから滲む腺液等で飽和状態にされて呼吸すらままならい。

 その最中でついには

「んぐぅ! 僕もイッちゃうぅ! んおお……ッ…お……お゛ね゛ぇぢゃぁぁん……ッ‼」
「んおごッ! んおぷ……ッッ‼」

 ブースターもまた射精に至った。
 瞬間、イーブイの喉の奥で灼熱の滾りが感じられた。粘度が強いブースターの精液はマグマそのものだ。
 それゆえに精液は喉にまとわりついては完全にイーブイの気道を塞いでしまう。

 当然ながら、従来は食道へと流れていくはずの体液もまた塞き止められると、行き場を失い逆流したそれらはイーブイの呼吸器を駆け上がり──やがては鼻腔から溢れた。

「んこプぅ……ッ!? んぽろぉ……ッ、んぽぉぉ……!」
 
 湯の沸くような粘着質な水音ともに、イーブイの鼻孔から溢れた精液はいくつも水泡を生じさせては、やがて一際大きな鼻ちょうちんを膨らませる。
 やがてそれも派手に弾けると、涙に濡れたイーブイの顔面に精液の飛沫をこれでもかと飛び散らせるのだった。

 酸欠になるイーブイの脳内にて広がるイメージは、さながらブースターの精液の海で溺れるがごとくだ。
 斯様な地獄の苦しみの中に在ってもしかし、

「わ、わああ……おねえちゃんの鼻からブースターのザーメン出てきたよぉ? ……ドロってしてて美味しそう」
「へへ……お前のザーメンだって良い匂いするじゃん」

 射精を果たしては気分の落ち着いた二匹は、さっきまでの剣幕のウソのように互いの肩を組んでは和気藹々と会話を弾ませていた。
 そんな二匹を頭上に置いたままイーブイもまたようやくに口中の体液を全てのみ下し、そして勃起も収まっては拘束の緩んだを確認するや……

「──アンタら、いいかげんになさい!」
『わあッ!?』

 突如としてイーブイは立ち上がるや二匹を振り払う。
 そんなイーブイの逆襲にサンダースとブースターは揃って前足を胸の前で縮めては尻もちをついた。

「アンタら、ちゃんと女の子の気持ちを考えないとダメでしょ! 女の子にとっちゃアンタらの喧嘩も、ザーメンの味なんかも関係ないんだかね!」

 一方的に性のはけ口をされてしまったのがよほど腹に据えかねたのか、イーブイもまた直立すると前足を腰に当てては目下の二匹へと説教を開始する。
 それを受け、互いに抱き合って身を寄せては姉の怒号に怯えるサンダースとブースター。

 しかしそれを受けながらも……

「で、でもさあ……実際にどっちのザーメンの方が美味しかった?」

 つい余計なことを尋ねてしまうサンダース。
 それを目の当たりにし、依然としてサンダースが顔射をした精液を顔に残したままキョトンと目を丸くするイーブイと、傍らで「余計なことを!」と顔面を蒼白にさせるブースター。

 次の瞬間──

「ッッ~~~~~~反省しなさーいッッ‼‼」

 イーブイから最大級の雷が落とされる。
 結局はこのあと数時間──二匹はみっちりと姉イーブイの説教を受けては両足を痺れさせる羽目となるのだった。







第2話・ブラッキーとグレイシア 



 8匹の弟達に対しいつもイーブイが気遣うことは、皆へ『平等』に接しなければならないということだった。
 とはいえ件の弟達は皆重度のシスコンであるから、イーブイとしても向こうから接してくる彼らに対応していれば事は足りるのだが……ただ一人このグレイシアにだけは別段に気を掛けた。


 他人に表情を悟られまいと、瞳が隠れてしまうほどに前髪の毛並みを伸ばしたグレイシアは、その容姿の通りに引っ込み思案で人見知りな性格だった。
 姉を想う気持ちは他の兄弟に負けないほどに強いのに、その性格ゆえに前に出ることが出来ず、一歩引いては遠くから姉や兄弟達を見守るというのが彼のスタンスであった。

 当然のことながらイーブイもまたそんな彼の想いと存在には気づいている。
 だからこそこのグレイシアに対しては、出来る限りイーブイから能動的に接するように心がけていた。
 今もなお……

「ほら、もっと足開いて。ちゃんとお姉ちゃんにチンチン見せて」
「………恥ずかしい……恥ずかしいよぉ……」

 仰向けに寝転ばせ、イーブイはグレイシアの股間に鼻先を寄せる。
 先にブースターとサンダース二匹の世話していることからも、他の弟達へもまたその義務を果たさねばならない。イーブイはその中でも、グレイシアが気後れして申し出てこないことを危惧しては真っ先に彼の相手をすることにした。

 事実、その態度は控えめでもイーブイからの奉仕を期待しているグレイシアのペニスは、その引っ込み思案な性格とは裏腹に硬く巨大に屹立しては、すでにもう腺液を抑えきれずに垂らし続けている状態だった。

──一番大人しい子が一番大っきいんだから……

 そんな少女然とした見た目のグレイシアとペニスのギャップにいつものことながらイーブイは気圧されて生唾を飲む。
 まずは裏筋に伝っている腺液を根元から先端まで長く舐め上げると、そこからイーブイは先端を咥える。

「あ……あああ………おねえちゃん……ッ」

 そうしてグレイシアの世話をしていると、そんなイーブイの背後にもう一匹の影が迫った。
 肩越しにその影に視線を流すと、それは何やらイーブイの尻尾の付け根をやたらと嗅ぎまわってる。
 一端グレイシアのペニスから口を離すと、イーブイもまた背後のそれに声を掛けた。

「アンタはもうちょっと待っててね、ブラッキー」
「うん、いーよー♪ ボクは勝手に楽しんじゃってるから気にしないでー♡」

 依然としてイーブイの匂いを嗅ぎながら応えたのはブラッキーである。
 こちらはグレイシアとは対極で、兄弟の中でも一位二位を争うほどのイタズラっ子だ。
 むしろブラッキーにおいては、常日頃から気を掛けて観察していないと何をしでかすか分からないといった面倒臭さがある。

 とはいえ、今はグレイシアの相手で手一杯だ。
 イーブイはある程度グレイシアのペニスを舐めてやって準備を整えると、騎乗位に乗り上がっては彼のペニスを膣の上まで誘導した。
 それからゆっくりと腰を沈め、グレイシアを迎え入れてやる。

「わ……わああ……おねえちゃんッ……気持ちいいよぉ……ッ」
「ん、く……相変わらず大きいんだからアナタは……」

 サイズゆえに一息に全部入れてしまう訳にもいかず、徐々に膣道が広がるように馴染ませながら挿入をしていく。
 やがてはイーブイの尻がグレイシアの腰元に着地し、完全に彼を胎内に取り込むと二人は揃って大きいため息をついた。

 とはいえ、このサイズのペニスである。
 完全に体に馴染むまではまだ動き出せない。
 そうしてそれを待つ間はグレイシアの前髪などを毛繕いしてやりながら過ごしていたイーブイであったが──そんな彼女の背後にあのイタズラっ子立ち上がった。

「ふふ~ん♪ おねえちゃん、動けないよね~?」

 そう、ブラッキーである。

「な、なによ? 何しようとしてるのアンタ?」
「えへへ、この時を待ってたんだあ♡」

 言いながらブラッキーはイーブイの背後から馬乗りになる。
 その股間には既に、鋭く勃起したペニスが屹立していた。

 ブラッキーの思わせぶりな言動にイーブイも慌てふためくも、グレイシアと繋がっているとあっては身動きも取れない。
 そんなイーブイのアナルにブラッキーのペニスの先端が宛がわれると、腺液のぬめりを肛門に感じては反射的にイーブイのお尻にも力がこもる。

「ちょっとぉ! 何しようとしてるの! お姉ちゃん、怒るよ!?」
「へへ~ん、いーよー♪ 入れちゃうもんね~」
「ひぐッ!? あ、あああ……!」

 イーブイからの警告などおかまいなしにブラッキーはアナルへの挿入を敢行した。
 下のグレイシアほどの大きさは無いにせよ、一切の愛撫による解しがされていないアナルへの挿入はイーブイに鋭い痛みをもたらせる。

「ああ! い、いやあ……痛いぃ!」
「え~? ボクはこんなに気持ちいいよ~……♡」

 やがてはブラッキーがピストンを開始すると、連動してイーブイの体が押し込まれてはより深くにグレイシアのペニスもまた受け入れてしまう。
 肛門を切り裂く痛みと、そして子宮を押し潰される重い痛みの上下に挟まれてはイーブイも呼吸を詰まらせた。
 それでもしかし体が馴染んでくると……

「あ、あおッ……ッんん、んんぅ~……ッ♡」

 そんな二つの感覚は次第にイーブイの小さな体へ大きな快感を与え始めていた。
 期せずして漏れたそんなイーブイの吐息を含んだ声に、

「へへ~ん、今の聞いたグレイシア? おねえちゃん、お前のチンチンよりも僕のチンチンの方が気持ちいいみたいだよ?」

 依然として背後から突き続けていたブラッキーがそんな言葉を掛けてはグレイシアを挑発する。
 それを受けて、イーブイも息絶え絶えにそんなブラッキーの言動を窘めようとするも次の瞬間、

「うぅ……そんなこと、ない……!」

 か細くはあるが、このグレイシアには珍しく声を荒げては反論をした。
 そんなグレイシアの啖呵を受けてブラッキーもまた、

「へぇ~? じゃあどっちがおねえちゃんを気持ち良く出来るか勝負だよグレイシア♡」

 イーブイの尻の上へ完全に乗り上がるや、そこから一気に腰を引いては長くペニスを引きずり出し、再び全体重を乗せて打ち付けるという力強いストロークを敢行した。

「んああああッ!?」
「あぁ……チンチンに……響くよぉ……ッ。ぼ、僕だってぇ……!」

 そしてそれに応えるかのよう、グレイシアもまた下から大きく腰を突き上げた。
 引っ込み思案の性格からは信じられないくらいのこれまた力強いピストンだ。

「アハハ♪ やればできるじゃん! でもまだまだだよ? ホラホラホラホラホラぁぁぁッッ‼」
「あうぅ……負けない……! 負けないんだからあ……ッ!」
「いやあぁぁッ……アタシの中で、ケンカしないでぇぇ……ッッ!」

 喧嘩しているとはいえ、息ピッタリに同時挿入をしては上下から膣と直腸とを押しつぶしてくる感覚に耐えかねてはイーブイも呻くことしか出来ない。
 
 やがて一際強く腰を突き入れ、イーブイの肉壁を皮一枚にまで押しつぶしては互いのペニスがこすれ合った次の瞬間──

「んああああッ♡ イクぅッ♡ おねえちゃんのウンチの穴にザーメン出るぅ♡♡」
「あ、あああ……もうダメェ……ッ♡」

 ブラッキーとグレイシアは同時に果てては射精をした。
 直腸と膣という違った箇所での射精でありながらも、その精液の焼き尽くさんばかりの熱がそんな垣根を一時無くしては三匹を一体化させるような感覚を共感させた。

「お、おおお……ダメェ……お腹、焼けちゃうう……ッ!」

 そんな重力と灼熱のサンドイッチに耐えかねては、イーブイもまた半ば強制的な絶頂へと導かれる。
 そうして全員が絶頂を果たし、上から黒・茶・青の鏡餅状態になっては脱力する三匹──そのなかで不意に

「……ねえ、グレイシア?」

 ブラッキーがグレイシアへと声を掛ける

「お前さ、頑張れば出来るんだからもっと自信持てよ……」
「おにいちゃん………」

 この段に至りグレイシアもまた気付く。
 一連の挑発の真意──それはブラッキーもまたグレイシアの引っ込み思案を気にかけていたが故のものだったのだ、と。
 それが分かるとグレイシアもつい嬉しくなって涙ぐんでしまう。

「ありがとう……おにいちゃん。ボク……もっと頑張ってみる……!」
「そうさ。おにいちゃん、いつだってグレイシアの味方だからな♪」

 そうして互いの兄弟愛を再認識しては微笑み合う二匹の間に挟まれながら……──

「はぁはぁはぁ………そういうのは、今度はお姉ちゃん抜きでやってちょうだい……」

 息絶え絶えのイーブイは、改めて長女の大変さを実感するのだった。






第3話・シャワーズとエーフィ 



※ 注意!

この回では浣腸やそれに伴う排泄、嘔吐といった表現が強く含まれます。





「ねえちゃん、ブラッキーとお尻でエッチしたんだって!?」
「ずるい! 僕もやりたい! お尻でさせてー!」


 瞳を輝かせて駆け寄るなり、そんなとんでもないことを言ってきたのはシャワーズとエーフィの二匹だった。
 一応、事の発端となったブラッキーとグレイシアには箝口令を敷いたものの、やはりというかすぐにバレる形となってしまった。

「あのねぇアンタ達……お尻はそういうことする場所じゃないのよ? そもそもばっちいところなんだから」
「でもブラッキーとはしたんでしょ?」
「ズルいよそんなのー。えこひいきするのッ?」

 そう言われてはイーブイも口噤んでしまう。弟達には平等に接するのが信条だ。 
 やがては仕方なく……

「……今度こそ他の誰かに言っちゃダメだからね?」
『はーい♡』

 この口止めも無駄に終わると分かりつつも釘を刺し、イーブイは二匹に応える。
 代わりに事前の愛撫を含めた肛門への解しは念入りに行わせたものの、それでもしかし何かしら度を越えたイタズラをされるのではないかという不安がイーブイの胸中からは消えなかった。

 というのもこのシャワーズも、先のブラッキーに負けず劣らずのイタズラっ子だったからだ。
 あのブラッキーですらあれだったのだから、このシャワーズが何もしないはずが無いと警戒もしていた。

 しかしながら、思いのほか二匹は誠実にイーブイへの愛撫を施してくれた。
 想定外だったのは……

「ん、んんぅ……おねいちゃんのお尻の穴おいし~♡」
「ペロペロペロ……ねえちゃんのウンチってこんな味がするんだね♡」
「ば、バカッ! そんなバッチいところ舐めたりしないのッ!」

 交互に舌で舐められては、存分に自分のアナルを味あわせてしまったことだったが、それも痛みや苦しみを伴うようなムチャの類ではない。

 そうしてようやくペニス一本分の挿入が可能なほどに解されるや……

「へへーん、じゃオレいちばーん♪」

 有無を言わせずに進み出てはシャワーズが背後から馬乗りになった。

「ゆっくりだよッ? お姉ちゃん、まださっき覚えたばかりで痛いんだからねッ?」
「分かってるよぉ~。んじゃ、入れるねぇ~……」

 先細りの僅かに青みを帯びた体表のペニスを宛がうや、シャワーズはゆっくりと挿入していく。
 種族性ゆえのひんやりとした体温と、そして他の弟以上に腺液の多い体質が功を奏してかシャワーズの挿入は実にスムーズでかつ、イーブイにも心地良さを感じさせるものだった。

「ふわ、ふわわ……熱っついぃ……ッ。オレやグレイシアだったら融けちゃうよコレ?」
「ん、んう……いいから、早く済ませちゃいなさい……ッ」
「はーい♡ それじゃ、たっぷり入れてあげるねー……」

 会話に一区切りをつけるとゆっくり目のストロークを始めるシャワーズ。
 弟達の中でもまだサイズが平均的なこともあってか、どうにか痛みを感じずには済みそうであった。
 しかしながら問題は、その背後に控えるエーフィだ。
 
 流し目に一瞥くれると、そこにはイーブイ達の行為を穴が開くほどに見入りながら自身でペニスをしごいているエーフィの姿が見えた。
 尻もちに座っては足を投げ出した姿勢の股間には、グレイシアに負けるとも劣らないペニスが屹立している。

 先のグレイシアはまだ使いこなれた膣で受け止められたこともあり耐えられたが、あれをこれからアナルへと挿入されるのかと思うと流石にイーブイの姉弟愛もぐらついてしまう。

──シャワーズには悪いけど、この子にはしっかり解してもらう役割をやってもらわないとね……

 そんな事を考えていると、

「あううッ! イグ! ねえぢゃん、チンチンかゆいよぉ! イッぢゃうぅぅ……ッ♡」

 シャワーズが泣き出しそうな声を上げた。
 そうしてそれにイーブイが声を掛ける間もなく、

「んぎゅううぅ……ッ♡ んぐぅ♡ イクよぉッ♡ チンチンから全部出るぅぅ……ッ♡♡」

 シャワースが達した。
 精一杯に腰を押し付け、伸ばした後ろ脚と背中で弧を描くように大きく身を反らせながら渾身の勢いで射精をする。
 弟達の中でも一際量が多いシャワーズの精液は瞬く間に直腸内を埋め尽くしては、重い感覚をイーブイの腹部に覚えさせる。

「んッ、んうぅ……相変わらず、すごい量なんだから……ッ」

 それを受け止めつつ、浅く呼吸を繰り返すイーブイであったが──暫ししてその異変に気付いた。
 シャワーズの射精がいつまで経っても終わらないのだ。
『量が多い』では済まされないその奔流は、もはや射精を越えて『放尿』の域ですらある。

「な、なにしてんのアンタッ!?」

 ようやく背後のシャワーズへ声を掛けるも、そこにいたシャワーズはもはや元の形状を保ってはいない姿であった。
 ヒレを持った顔の輪郭が崩れ、全身は隈なく軟化しては液状化をしていた。
 それがシャワーズの技である『とける』の効果によるものであることは理解していたから慌てはしなかったが、問題は彼がそれを使い何をしていたかである。
 それこそは……──

『うわ~……ねえちゃんのお腹の中、あったか~い♡』

 下腹から、胎内へと直接に響いてくるその声──液状化したシャワーズは、イーブイの直腸から直接彼女の中へと侵入を果たしていた。
 その頃にはもはや快感とは程遠い、内臓に鈍痛を伴った重みしかイーブイは感じ取ることが出来ない。
 いうなればシャワーズの体積分の『浣腸』をされたに等しい状態だ。

 その衝撃たるや、今までに体験してきたどの痛みや苦しみとも桁違いだった。
 もはやなりふり構ってはいられないと、その場にてシャワーズの排泄を試みようとしたイーブイではあったが……

「えへへ~……じゃあ、次は僕ね~♡」

 そんな背後に、舌なめずりをしたエーフィが立ちふさがる。

「だ、ダメよッ、エーフィどいて! お姉ちゃん、それどころじゃないのッ‼」
「なんでさ? 僕の順番だよ?」
「エッチなら……ッあとでお尻でもアソコでも好きなだけさせてあげるから……お願いだからどいてぇ……!」
「…………」

 涙ながらに懇願してくる弱気の姉……しかしそれが藪蛇であった。
 そんな普段では目にすることのないしおらしいイーブイの姿を目の当たりに──

「──おねいちゃんッ!!!!」

 エーフィのリミッターが切れてしまった。
 背後から襲い掛かるや、有無を言わさずに自慢の巨根を一息に根元までぶち込んだ。

「ぎゃうぅぅッ‼ おがごッ……!? ダベェ……やべでぇ………ッッ!」

 その無慈悲な一突きをアナルに受け、イーブイは限界まで喉を仰け反らせては大きく舌を吐きだす。
 そしてそれを皮切りに始まるエーフィの容赦のないピストンに、

『うわ、うわわッ? 痛いよエーフィ!』

 イーブイの直腸内に留まっていたシャワーズもまた、液体化しているとはいえその身を撹拌してくるエーフィのペニスに抗議の声をあげる。
 それでもしかし、

「あ、あぁ……おねいちゃん、おねいちゃぁぁん……気持ちいい……気持ちいいよぉ! 大好きだよ、おねいちゃあぁぁぁんッッ♡♡」

 既にエーフィには外野の声など遠い。
 ただ想いのまま快感に従うがままに容赦ないピストンをイーブイへと繰り返していた。

「んぅッ…………ッッ……おッ………ふッ………ッッ‼」

 一方でイーブイは、すでに限度を越えた苦しみの中に在ってはもう声すら上げられない状態である。
 そんな誰もエーフィを止めらない状況を察してか、

『んもぉ~。このままじゃエーフィのチンコでタンコブだらけにされちゃうよ。もっと奥に避難しなきゃ』

 再び腹腔内のシャワーズが流動し始めるや、先ほどまでの苦しみに耐えて項垂れていた様子から一変し、イーブイが激しく頭(こうべ)を上げた。
 見開かれた目にはいっぱいの涙を溜め、食いしばる口角には泡すらもが吹き上がっている。
 そしてシャワーズが腸内を逆流し、その一部が胃に到達するや──

「ッッ……──ぐぇべろぉッ!」

 ついにはこらえきれず、イーブイはその場にて嘔吐した。

『わわッ? わわわ~? 目が回る~ッ』

 激しく胃が収縮するその動きにイーブイの消化器官は激しく蠕動を始め、腹腔内のシャワーズを掻き回すと同時、幾重にも肛門や直腸も痙攣させた。

「んああ~……ッんああ──ッ! イクぅ……♡ イっクぅぅぅッッ♡♡♡」

 その刺激にやがてはエーフィも限界を迎える。
 そして一際強く腰を打ち付けた次の瞬間には──これまたその巨根に違わぬ量の精液をイーブイの直腸内へと射精してはエーフィも果てた。

『んわ~! エーフィのザーメン、熱いよぉ~ッ!』

 胎内でその精液の迸りを受けては、液体化ゆえにその熱をダイレクトに受けるシャワーズも耐え兼ねては泣き声を上げる。
 やがてエーフィの軟化したペニスが落ちるように引き抜かれ、ようやくに拘束から解放されると──床に両足を投げ出してはうつ伏せに倒れ込むイーブイ。
 そして一拍子置いて次の瞬間──その小さな体からは信じられない量の体液をイーブイは排泄した。

 その様たるや壊れた水道管さながらの勢いで、腹の中の全てを吐き出していく。
 比較的手前に射精されたエーフィの精液はもとより、液状化したシャワーズを始め、その腹腔内にあった全てのものを排泄し尽くす。
 床へ放射状に広げられた内容物は、それを排泄したイーブイ以上の面積を以て展開されていた。

「ぷへ~……酷い目にあったよぉ~」
「うわ、くちゃい! おにいちゃん、おねいちゃんと同じ色になっちゃってる」

 ようやく外に出されて起き上がるシャワーズと、その様を見てはコロコロと笑うエーフィ。
 色々とはあったものの不思議な達成感を共有しては和気藹々と笑い合う二匹ではあったが……事はそう楽しくは終わりそうになかった。

「お~ま~え~らぁ~………」

 そんな二人の笑顔をひきつらせたのは、今までに聞いたこともないようなその声……。
 聞き覚えのある響きを宿しつつもそれは、まるで地獄の底から這い出して来る猛獣のようなイメージを二人に抱かせた。
 
 そうして恐る恐る振り返るそこにあったものは姉の姿。そしてそこに満ちる表情を目の当たりにして──シャワーズとエーフィは一切の表情を消した。

 瞬時にして心に満ちた感情は、恐怖や後悔などといった表面的なものではない圧倒的な『絶望感』──もはや逃れようもない死への直面時に感じるそれを生涯で初めて体験しては……二匹は揃って失禁する。


 やがては座位すらも保てなくなり、ただ視軸だけを目の前に固定したまま腰砕ける二匹──そして立ちふさがる巨凶の影……。
 その後の顛末は言うまでもない──……。





第4話・リーフィアとニンフィア 



※ 注意!

この回ではLGBTや性的マイノリティの問題を抱えたキャラが登場します。





 イーブイがその『特性』に気付いたのは、彼が『リーフィア』へと進化を果たした後であった。
『特性』とは一概に言っても、それは種族由来のものではない。
 リーフィアはオスでありながらも、その内に秘めた性別は『メス』であった。


 この事を知っているのは姉弟の中でもイーブイとそしてニンフィアだけである。
 とはいえ、もとよりイーブイはそんなリーフィアのジェンダーなど気にはしなかった。
 形はどうであれリーフィアは大切な家族であったし、むしろ男だらけの姉弟の中で女子の感覚を共有できるリーフィアの存在は純粋に嬉しかった。

 一方でもう一人の理解者であるニンフィアがそれを知る理由こそは、彼こそがリーフィアのジェンダーを目覚めさせてしまった一因となっていたからだ。

 進化を果たした頃のニンフィアは、ことあるごとに己のリボンを兄弟達に巻き付けては遊んでいた。
 そんな折、ニンフィアのリボンを身に纏ったリーフィアはふと鏡に映った自身の姿に見惚れた。
 
 今まで感じたこともないようなときめきと充足感を覚えた彼は、その時初めて自分が『メス』であることを自覚する。……その瞬間こそがリーフィアの目覚めと同時に苦悩の日々の始まりとなった。
 以来、ニンフィアはそんなリーフィアの良き相談役であると同時に密かなコーディネイターとなっては彼女を支えている。

 やがてはそのことを姉であるイーブイにも打ち明けてからは、密かな3人だけの女子会を楽しむ間柄となったのである。
 ……ちなみに、そうまでして協力をしてくれているニンフィアはその体も中味も歴としたオスだった。
 むしろ苦悩する兄弟を放っておけない男気溢れる性分の持ち主であったりする。

 閑話休題──
 ともあれ、そんなリーフィアからイーブイへとなされた今日の相談とは……

「私、おねえちゃんみたいにエッチがしてみたい。……チンチンでエッチされたい」
「………はあ?」

 そんな荒唐無稽なものであった。
 リーフィアのことをよく理解しているつもりのイーブイであってさえ流石に聞き返さずにはいられない。
 そうして脳の処理が追い付いていない状態にも関わらず、

「頼むよ、ねえちゃん! リーフィアを本当の女の子にしてくれよ!」

 その横からは、畳み掛けるように付き添いで来ていたニンフィアもまた懇願してくる。

「ちょっと待ってよアンタら。アタシとエッチしたいっていうんじゃないの?」
「違うの。おねえちゃんみたいに私もその……女の子としてチンチンを入れて欲しいの」
「でも……さすがにそれは無理よ。アタシにはチンチンなんて無いし、アンタにもその……女の子の穴は付いてないしね」

 困惑しつつもようやくリーフィアの望みを理解したイーブイはしかし、理解したがゆえにそれを受けいれられない現実を言い諭した。
 しかしながらリーフィアからは、意外にも肯定的な答えが返ってきた。

「それに関しては方法があるの。おねえちゃん……ちょっといい?」

 言いながら歩み出ると、ニンフィアは立ち上がり、前足をイーブイの肩にかけてはそこから彼女の唇を奪った。
 小首をかしげてはマズル同士を互い違いに吸い付けるキスに加え、そこからさらに舌が侵入してきてはイーブイの舌とも絡み合う。

 突然のディープキスに戸惑っていると刹那、イーブイは不思議な感覚に囚われた。
 突如として鼻腔内に……否、脳内へ直接注がれるかのよう新緑と花々の香りが満ちた。
 尚もそれが続きしばしすると、今度は自分の体から新緑の目が芽吹き始めるのを感じる。
 事実、若芽は前足の先や腹部、さらには確認は出来なくても頭部にも鬣のようにそれらが萌え始めているのが感じられた。

 そしてその変化はついに、今回のイベントで一番重要な部分にも表れる。
 突如としてクリトリスに瞬間的な痒みを感じると同時、そこの部分一か所が肥大化していく感覚に見舞われた。

「んんッ? んんん~~~~ッッ!?」

 依然として唇を塞がれたまま、それでも目を剥いて己の体を見降ろす先には──恥丘を埋める勢いで生い茂った様々な種類の草花達の姿が見えていた。

 ようやくにニンフィアの唇が離れると、改めてイーブイは自分自身の確認をする。
 ふと覗き込んだ部屋の姿見に映る自分の姿は──リーフィアによく似た草系ポケモンの姿であった。

「なッ……ナニコレ!? アタシ、リーフィアになっちゃったの!?」
「正確にはちょっと違うよ。おねえちゃんは今、『私』になってるの」

 驚きつつも己の両頬に手を添えては鏡を覗き込むイーブイへとリーフィアも解説を付け加える。
 彼の話を統合するにイーブイは今、リーフィアの『りょくかさいぼう』の効果によって感覚を共有している状態なのだという。 
 その証拠にとリーフィアが自身の頬をつねってみせると、その感覚はイーブイにも伝わっていた。
 そしてようやくこの段に至り、リーフィアのやりたいことをイーブイもまた理解する。

「──ということは、この状態でアタシがエッチすればいい訳ね?」
「そうなの! ……お願いしちゃダメ?」

 上目遣いに尋ねてくるリーフィアの視線は怖気つつもしかし、真剣そのものだ。
 この提案をすることだって勇気が要ったであろう。そんな弟の健気さを想うと、イーブイとしては何としてでもその本懐を果たさせてやりたくなった。

「もちろん! 断る理由なんて無いよ。それで相手は誰がいいの?」

 そう答えながらもしかし、イーブイにはリーフィアの答えは分かっている。
 期せずして二人の視線は──傍らのニンフィアへと集中した。
 そしてこのことはもう二匹の間では事前に話し合いが済んでいたのであろう。ニンフィアもまた臆することなく一歩前に出ると……

「オレが、リーフィアの初めての男になる!」

 ふりふりリボンの最も女の子らしい容姿を持つニンフィアは、この兄弟の中でも最も男らしくそう申し出た。
 同時にその股間からは傍目からも分かるほどの硬度を保ったペニスが屹立していた。

 ならばもう言葉は必要無いと、イーブイは仰向けに寝そべる。
 そして同じくに右隣へ添い寝をしてくるリーフィアの前足を取ってやると、

「いい思い出になるといいね……リーフィア」
「……うん! ありがとう、おねえちゃんッ」

 微笑みかけるイーブイに対し、リーフィアもまた感極まっては涙を笑顔の中にほころばせた。

 そうして二人が待ち受ける中、ニンフィアは正常位にイーブイへ乗り上げると──その膣へと挿入を果たす。

『んあッ! ああ……ッ‼』

 期せずしてニンフィアとイーブイは同じ声を上げた。
 肉体の同期は正常に機能しているようだ──今までの真似事でしかなかった代替行為(アナルセックス)とは全く違う膣の感覚にリーフィアは息を飲む。

 一方でイーブイを介しているとはいえ、そんなニンフィアとのセックスを感慨深く思っているのはニンフィアもまた同様らしく、

「痛くないか? オレのチンコ……気持ちいい?」

 ニンフィアもまた使い慣れた筈であろうイーブイの膣にも拘らず、いつも以上に興奮している様子がペニスを通じる脈動からも強く伝わってくるのが分かった。

「大丈夫だよニンフィア。すごく、気持ちいいよ♡」

 そう言って感無量の境地から涙目で微笑むリーフィアの笑顔にさらにニンフィアは発奮させられる。
 力強くリーフィアの名を呼ぶと、思いの限りのピストンをニンフィアは展開していく。

「リーフィア、リーフィアッ、リーフィア!」
「あぁ、ニンフィア♡ 素敵……いっぱい愛して♡」

 もはやもうイーブイのことなどすっかり忘れては当人同士だけの世界に入っているこの状況は、完全にリーフィアとニンフィアによる交尾そのものだ。
 体を貸しているイーブイはそんな様子を微笑ましくと思うと同時、本懐を果たせた二匹のことを羨ましくも思うのだった。

 やがてそんな蜜月にも最後の瞬間が訪れる。
 ピストンを続けていたニンフィアが呼吸の感覚を短く、そして不規則なものとした。射精が近いのだ。

「あ、ああ……オレ、イクよ。ゴメン、もうダメ……!」
「いいよ、ニンフィア……私の中で出して。いっぱいニンフィアの種ちょうだい♡」
「あああ……リーフィアぁぁ……ッッ!」

 息が詰まるほどにニンフィアはイーブイを抱きしめる。
 そして次の瞬間──ニンフィアはイーブイの……リーフィアの膣(なか)で果てた。
 同時にその絶頂はリーフィアにも伝わり、

「あぁ……嬉しい♡ ニンフィアの種がお腹に入ってきてるのが分かる……赤ちゃんを作る部屋に届いてるのが分かるよぉ……ッ♡」

 リーフィアもまた、涙ながらに受け止めてはそれの余韻に浸るのだった。


■     ■     ■


 互いの前足を結びあっては眠るリーフィアをニンフィアを見下ろしながら、そっとイーブイは二匹の額にキスをする。
 そうして自身の体もまた改めて見下ろすと──全身から芽吹いていたリーフィアの『りょくかさいぼう』の植物達は残らず枯れ落ちていた。

「やれやれ、気合い入れてくれちゃって……本当に妊娠しちゃいそう」

 呟きながら自身のお腹をさすると、ふとイーブイの脳裏にもとある人物の顔が浮かんだ。

 今回リーフィアの相談に対して全面的に協力した理由は、何も姉弟であることの義務感だけではない。
 ある意味では現在、イーブイもまた同じような状況にあったことからもリーフィアに感情移入せずにはいられなかったのだ。

 イーブイもまたポケモンならざる恋をしていた。そして同時に苦悩もまた抱いている。
 はたして自分の時は、この問題にどのような解決を迎えることが出来るのだろうか……そう考えてはふと月夜を見上げた。

 満点の星空から降りそそぐ月光の眺めは、おそらく意中の人もまた何処かで望んでいるはずだ。
 もしこの輝くような月世界を同じくに見上げているのだとしたら──その人にもまた自分のことを想っていて欲しいと、イーブイは願わずにはいられなかった。




エピローグ 



 弟達が寝静まり、自身もまた毛繕いをして身支度を整えると──イーブイは物音を立てぬよう、静かに家を出た。
 そんなイーブイの外出の直後、


「……行ったぞ。みんな、起きろ!」

 ブースターの合図で弟達一同は同時に起床する。

「やっぱり今日も出掛けたね……」
「こんな毎日、どこへ何をしに行ってるんだろう?」
「……もしかして危ないことに巻き込まれてるんじゃ?」
「だったらボク達でおねえちゃんを助けなきゃ!」

 互いの顔を見合わせては頷くと、弟達もまたイーブイの後を追って家を出た。
 今のやり取りが示す通り、少し前からイーブイはこうして深夜に外出することがあった。
 最初に気付いたのはシャワーズで、添い寝してくれているはずの姉が隣にいないことをたびたび発見しては、その行動に疑問を抱いていたのである。
 
 その場合、たいてい小一時間から二時間ほどで帰宅しては来るのだが、問題はそのことを弟達に報告することもなく、むしろバレていないことからそれを『隠し事』にしているイーブイの行動にあった。

 姉が自分のことで語れないことがある──このこと自体が弟達には衝撃である。
 結局は直接聞きだす機会も逸し、そして今日……兄弟達は、直接自分達でその真相を突き止めようと動いたのであった。

 外出にタイムラグがあったことからも、外に出るとすっかりイーブイの姿は見えなくなっていた。
 しかしながら向かった方向の見当はついていた。以前に彼女が外出した時に、こっそりサンダースが家の窓からその向かう方向を確認していたのだ。

「くんくん……うん、こっちだよ。おねえちゃんの電気の匂いも残ってる」

 そんなサンダースの案内役を先頭に森を抜けると、弟達は一面に開けた草原に出た。
 完全に森から出ていくことはせず、身を伏せて草原を見渡すと──その視線の先に姉を見つけた。

 イーブイは草原のほぼ中央にある大樹の切り株に腰かけては月を見上げていた。
 満月の今宵は降り注ぐ月光が眩くて、あたり一面は昼のように明るい。
 そんな中で月を見上げる姉の口元にはうっすらと笑顔さえ浮かんでいて、その表情に兄弟達は困惑せずにいられなかった。

「なんか……ねえちゃん、嬉しそうだね」
「悪い奴に脅されてるんじゃなかったの?」

 兄妹それぞれが『姉を脅迫する悪漢』を妄想していただけに、そんなイーブイの表情を見ては誰もが困惑するばかりだった。
 そうして見守り続けていると、やがてイーブイの表情に変化があった。
 微笑んでいた表情が軽く驚いたようなものへと変わり、次いで兄弟達が潜む森とは反対の方向に視線を向ける。
 
 同時にそこには姉弟達の誰のものでもない第三者の声が聞こえてきた。
 高い声音の中にも落ち着いた響きが含まれたそれ……どの動物やポケモンにも見られない特徴的なその声は、『人間の少年』のものだった。

 やがて見守り続ける中、兄弟達の視界の中にもその少年が現れる。
 そんな少年の登場に切り株の上のイーブイもまた、その方向に体の向きを変えては、心待ちにしていたように小さな声を上げた。

「人間!? おねいちゃん、人間と会ってるの!?」
「人間なら知ってるよ……あいつら、他のポケモンでボクらを攻撃してどこかに連れていくんだ」

 依然として視線を姉に固定したまま言うブラッキーの呟きに、兄弟は目を剥いては一様に青褪めた。

「いざとなったら僕達全員でお姉ちゃんを守るよ……みんな、準備して!」

 エーフィの言葉に無言で頷くと、皆は臨戦態勢になりつつ目の前の二人を見守る。
 しかし──その後に繰り広げられた光景に、一同のそんな気概は挫かれてしまうこととなる。

 しばし見つめ合っては何やら言葉を交わしていたイーブイと少年は、やがて惹きつけ合うかのよう互いの顔を寄せては……キスをした。
 何度も唇を吸いつけては放すを繰り返すという味わうようなそのキスは、傍から見ても互いの愛情を感じずにはいられない優しいものだった。

 少年の手が優しくイーブイの腹を撫であげ、やがてはその指先を膣に到達させる。
 相手の反応を見ながら慎重に繰り出される愛撫に、イーブイも切なげな声を上げた。
 やがては存分に彼女の体がほぐれたことを確認すると──ついには少年とイーブイは一つになる。
 正常位に少年のペニスが挿入されると、イーブイは甲高い声を上げた。

 そんな二人が愛し合う一部始終を目の当たりにし……兄弟達一同は、誰もが何も発せられなかった。そこにて確認する姉の表情と声は、そのどれもが初めて目にし耳にするものばかりだったからだ。

 甘え、求め、そして悦ぶ──そこに居た者は一個の女性であり、そしてそれこそが正真正銘のイーブイの姿でもあった。

 しばしして少年が絶頂を迎えるとイーブイもまた一緒に果てて、二人は並んで切り株の上に横たわる。
 それからは二人──色々なことを語らっていたようだった。
 たいていは少年からの話をイーブイが聞いては頷くというものであったが、それでもその時を共に過ごすイーブイの表情はどこまでも幸せそうだ。
 
 やがて、

「………帰ろう」

 リーフィアが呟くように言うと、兄弟達は誰一人として異を唱えることなくそれに従った。
 森の中を引き返す中においても言葉を発する者はいなかった。家を出た時とはまるで雰囲気の違う今の状況を想像できた者がいただろうか。
 その帰路の中で、兄弟達はそれぞれに姉のことを思い出していた。
 
 少年からの愛撫を受けている姉は、ただひたすらに求めては彼に甘えていた。
 イーブイから奉仕することもなく、ただ一身に彼の愛を受け取るばかりのそんな姿は、いつも誰かの世話を焼いてくれていた姉には決して見られない姿だった。

 結局は一言とすら言葉を交わすこともなく家に戻り、再び寝床で横になると……皆は泥のよう眠りに落ちて行った。

 そんな夢現の中で兄弟達は──皆が失恋したことを知った。

■     ■     ■


 夜半過ぎ──イーブイは静かに帰宅した。
 物音を立てぬよう家へ入ると、すでにあちこちからは弟達の寝息やイビキの類が聞こえてきていて、その様子に安堵する。
 
 眠る弟達へキスをして回り、やがてはスペースの空いていた場所にイーブイもまた腰を下ろして横たわると、そこから寝静まる皆を一望する。

 この瞬間をイーブイは愛しく思うと同時、いつかはそれぞれに別れの瞬間が来ることもまた考えてはため息を漏らす。
 それでもしかし、ならば今は精一杯に愛してやろうと心に誓い直すのだった。

 誰も彼もまだまだ手のかかる弟達ばかりだ。
 それでもしかしこんな弟達と迎える明日のことを考えると、さらにイーブイは楽しくなって勇気を貰えるような気がした。

「おやすみなさい……また、明日ね」

 誰に言うでもなくそう呟くとイーブイもまた横になる。

 
 姉弟達の長い一日がようやくに終わるのだった。








【  おしまい 】

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Last-modified: 2023-12-04 (月) 20:33:59
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