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いつか消える雲 1

/いつか消える雲 1

「ポケモン」この星に存在する不思議な生き物。
種類姿はとても多く、まだ発見されていない種もあるかもしれない。
ポケモンは水や炎、電気を操る「技」というものをもっている。
そしてそのポケモンを戦わせるのが
人間、ポケモントレーナーである。
人間とポケモンは互いに助け合い、共存する。人間とポケモンは、互いにかかせない存在であったのだ。


しかし
悲しいことに人間と同じように、ポケモンの間でも支配はあった。トレーナーが逃がしたポケモンは勿論何回もバトルを経験し、技も強力である。
いつしかその力は、ポケモンを独裁、支配し恐怖させる力に変わっていた。
支配される側は、ただの奴隷であった。
「従えばいい」そう言い聞かされ、逆らえば……
いつ解放されるか分からない絶望感。ポケモンにとって毎日は苦しみと、涙を拭う日々であった。
そんなポケモンにとって恐ろしい時代の一つの村。ポケモン達が住んでいた。きっとこの村も、「力」に支配されてしまうのかもしれない…




いつかは消えてしまう、白い雲のように。







桜の花びらがひらひらと舞い落ち、ゆっくりと地面に伏す。
たくさんの植物が小さい芽を土の中から出す。
そんな静かで、何かの始まりを告げるような、春の訪れだった。
まるで桜が造ったかような地面に、軽やかな足音が響き、どんどん大きくなっていく。
足音と共にやってきたのは、一匹のチコリータだった。機嫌がいいのか、鼻歌を歌いながら桜の道をかけてゆく。
しばらく走った所で1つの小さな木の
家の前で、静かに立ち止まり、頭でドアを押し、中に入る。
「こんにちは〜!フラン、取ってきたよ〜!」
チコリータは、大きくて、楽しみが混ざっているような声で言った。
「あら、リナ!早かったじゃない。
中から綺麗な赤い花を頭に掲げるキレイハナが駆け足で出てくる。

チコリータの名前はリナこの小さなポケモンの村の住人だった。父はトロピウス、母はメガニウムで、一家そろって草タイプなので、技などは親に教えてもらえる。なのでポケモンとしてはそこそこ強い方だった。
そしてフランと呼ばれるキレイハナ。
技は回復中心という感じだ。
リナの幼馴染みで、リナと一緒でここに生まれここで育った。小さい頃から仲がよく今もずっと、仲がよい。
まさに真の幼馴染みという感じ。そしてお互い、良き相談相手であった。どちらも活発な女の子、雌ポケモンだった。
そんな二人は、村の近くに木の実のなる木が無いので、少し遠くにある森へ行って、交代で木の実を取ってくるという約束をしていた。そして今回はリナの番だったので、バスケットを担ぎ、木の実を取ってきたと言う訳だ。
それは、勿論他の住人にとっても同じだった。リナは床にゆっくりと座り、近くにあった木のちゃぶだいにバスケットを置き、足を伸ばす。
「とゆーわけで、今度はフランの番だからね?」
リナは少し疲れ混じりの声で言う。
…と言ってる間にフランは木の実をむしゃむしゃと食べていた。木の実の甘い香りがそよ風のように広がる。
「あー!ちょっとー!」
「ほら、リナも食べなよ!
その手には綺麗なピンク色の大きいとても美味しそうなモモンの実があった。
「じゃぁ」
リナはそのモモンの実をとり、上の方から小さな口を開けて食べた

しばらく二人は木の実を楽しそうに食べながら話していた。小さい頃から二人は、話している時が、一番幸せだった。
太陽の光が窓際の青い花瓶の縁を光らせる。外は快晴だった。
と、不意にフランが少し低めの声でリナの目をじっと見つめて話始めた。
「…ねえ、人賊って知ってる?」
「んん?何それ?」
「え!?リナ知らないの!?人賊は…

そう、人賊こそが、この時のポケモンを恐怖させ、苦しめていた存在だったのだ。
人賊は世界各地に有り、それをまとめる、つまり逃がされたポケモンが人賊のボスだ。
次々とポケモンの村を襲い、奴隷にし、苦しませる。彼らは苦しませることを快楽と心得ていたのだ。
そして、奴隷にされ、連れていかれたポケモンの行方は……



分かっていない…

勿論、連れていかれたポケモンの中にも、信頼や仲間を捨て、人賊に入る愚か者もいる。だから人賊は絶えないのだ。
人間はポケモンを捨てて、しかもこんな恐ろしい事態を全く把握していない。
人間は、一体なんなのだろう。
ポケモンは捨てられる一方で人賊は増え続けている。この時、世界にポケモンにとって、安全で、平和で、幸せな場所は多くはなかったのだ…



「いつかこの村にも来るかもしれない…そしたら皆…うう…」
「なぁーんだぁ!そんなことかぁ!大丈夫大丈夫!来るわけないって!」
リナは明るい口調でフランに言う。
「でも…うう……」
「心配しない!ほら、木の実無くなっちゃうよ?」
リナはまた明るく振る舞い、フランを元気づけようとする。しかしフランの暗くて、悲しい顔は変わらなかった…
リナもだんだん動揺して、バスケットの乗った机に顔を伏せた。


それからは長い沈黙が続き二人とも、ぼーっとしていた。
リナが怠そうに顔を上げ、窓を見ると、花瓶の後ろには優しくて、蕩けるようなオレンジ色が広がっていた。今度は時計に目をやる。気がついてみればもう4時半。そろそろ帰らなくてはならない。
リナは窓の外を見ながら立ち上がった。そしてバスケットを担ぐ。
「フ…フラン…もう帰るね。」
「あ…うん…またね……」
フランから重い返事が帰ってきてそれがなぜか耳に長く響く。
少ししてから後ろを振り向きドアへ歩く。静かな部屋に、足音だけが響く。
やがてドアの前に立ち、押す。
リナはまた振り返る。
「またね」
フランは何も言わなかった。本気で怖いと思ってるのかもしれない…
またドアの方を振り向き、少し早く歩いてフランの家をでた。


(人賊か…)
夕焼けの中をリナは自分の黒い影を見つめながら考えていた。
(まさか…来るわけないよね!)
首を二、三回振り、歩き出す。
その後、何を考えて歩いていたかは、あまり覚えていない。
「あれ…?」
ふと気がつくといつも木の実を取りに来る森へ来ていた。
「ついでに…木の実を取ってこうかな…」
リナは森の中へ向かって歩き出す。
森の木も、オレンジ色を浴びて、明るくなっている。
ただそれは、木「だけ」であった。森は奥に進むにつれ暗くなって行く。
木の実もどこか暗い表情をして、リナを見つめていた…
リナは木の実を取りながらもゆっくりと…森の奥へ入っていく…


そこに「悪夢」が大きく口を開けていたとも知らずに……



太陽はすっかり沈み、空は眠りにつこうとしていた。
暗かった森は一日の終わりの準備のように、一段と闇に染まる…
視界を黒色に邪魔され、取れた木の実は、バスケットの半分を埋める程度だった。
「こんなに暗く…早く帰らなくちゃ。」
リナは再びバスケットを背に担ぎ、もと来た方向へ走り出す。
リナは走りながら首元を見る。何年か前、フランにもらったお揃いのペンダント。今日は、フランの家ということで、つけていったがフランは気がつかなかったみたいだ。自分にとってこれは、友情の印みたいなものだった。そんな思いを記憶のかたすみに戻し、リナはまた前を向き、暗い道を走り続けるのだった…


風が強かった。
黒く、暗い風は、木をざわめかせ、葉を飛ばして漆黒を運んでくる…
強い風もお構い無しにリナはとにかく走る。
さすがに途中には、虫ポケモンや、植物ポケモンは、全く見られなかった。その事が、リナの恐怖感を増幅させる…
いつしかリナは緊張し、顔はこわばっていた…
またしばらく走っていく。そして空に瞬く、唄うように輝く星が見えてきた。森を抜けるまであと少し、と確信したその時。
左方に光輝く「何か」があった。
リナはそれに吸い込まれるように、足を止めそちらに歩いていった。
それは何かに、導かれるような感覚だった…
そこには木があった。何の変哲も無い木だ。
リナはそれをゆっくりと下から上へと見ていく。葉には複数の光る丸。それは木の実だと確信し、もっと近づきぼーっと眺める。その木の実は…
「…ウブの実?」
写真や本では見たことはあるが、実際に見たことはない。大きさは15センチ程度だ。
来たときには、まだ多少明るくて、気がつかなかったのだろう。
リナはその神秘的に輝く黄色いウブの実を、葉っぱカッターできれいに落とす。
ボタッ
ウブの実が真下に落ち、少し転がって止まり、なっていた木がざわめく。
そのざわめく音も、どこかしら不気味だった…ウブの実の近くに駆け寄り、へたをつまんで手に持つ。
黄色くて細長い桃を逆さにし、小さな緑色のへたをつけた、という感じの木の実だった。
ウブの実を投げて、バスケットに入れる。
主にトレーナーがポケモンをなつかせるために使うが、もう一つ、過激な効果がある。その効果は……



効果を思い出す前に、ふと気がついた。
木と木の間に、飛んでくる葉をかすめて何かが見える。
それは大きな鉄の建物だった。それはギシギシと音をたてていて、不気味極まりなかった…
リナの心の中に、少しだけ、好奇心が
生まれた。
その好奇心と、大きな不安で、ゆっくりと、それへ近づいて行く。
次の一歩を踏み出す。その時!!
「ガサッ!ガガサッ!」
「……………!!」
後ろの茂みが音を立てて、体を揺らす…!
何かいる…!
そう確信し、危険を感じたリナは、すかさず来た方向へ走る。
走ると同時に、後方に葉っぱカッターをがむしゃらに連射する。
しかし、後ろに飛んでいったその葉は、暗闇に映える大きな炎で灰と化した。
「…炎?」
続けて森の外を走って行く。だが後ろから「何か」が追ってくる。
多くの「何か」が、そして恐怖を覚える「何か」が…
リナは疲れと足がすくんだせいで、前に大きく倒れこむ。
背中からバスケットが飛び、逆さになって砂煙を上げて、地面に転がる。
木の実は無惨に、地面にぶちまけられる。
前方の木の実を見るまもなく、ふと、後ろを振り返る。そこには、深紅かつ冷酷そうな目をした、ギャロップ二匹、が炎の鬣を風になびかせ立っていた…
右側のギャロップが口を開く。
「我々の秘密を知ってしまったからには、口封じをさせてもらうよ…」
その言葉と共に、後ろから沢山のポケモンが、ゆっくりとこちらへ近づいてくる…!







最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • コメントページを作れたようですね、よかったですー。教え方が悪くてすみませんでした;
    しかし、自力で調べてやり遂げていただけたので、今後も分からない事があればよく調べてみてくださいね。コメントのプラグインを張れたのですから、他のプラグインもうまく扱っていけるはずです。
    まずは他の作者さん達のページの編集を基にしてみたりするのがいいかもしれませんね。勿論、コピーして持ってきた後は別作者さんの書き込みは削除してください。
    どうしても分からない…という状況になったら、また質問板に書き込んでみてください。私と違って教え上手な方はわんさかいますから、どなたかが教えてくださるはずです。

    それからこちらはコメントのスペース(読者さんが作品の感想、及び作者さんへのメッセージを書き込む場所)ですので、上の言葉は自分の作者ページなどに書き込むといいかもしれません。作品更新の後に何か言葉を残したい…という時も、あとがきなどと称して普通に書き込むといいですよ〜。それについても、多くの作者さんのページを観察してみると分かると思いますのでぜひぜひ。

    ちょっと長くなりました;では、今後の御活躍、期待しております。頑張ってくださいね〜
    ――質問板で解答した人 ? 2012-04-29 (日) 14:19:21
  • 質問板で解答した人さん とても詳しくの説明、有り難うございました!
    ――T ? 2012-05-02 (水) 23:47:32
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Last-modified: 2012-04-30 (月) 00:00:00
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