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あわにぬれて

/あわにぬれて

Writer:&fervor


R-18小説です。ご注意を。


「お腹空いたな……ダメダメ、我慢我慢」
 ぐぅ、とお腹が文句を垂れる。大通りには実に美味しそうな屋台がいくつも並んでいて、気を抜くとその匂いにすぐ釣られてしまいそう。
私達調査団がもっと活躍するために、と技を習い始めたのは良いものの。気がついたときにはあっという間にほぼ無一文。
調査をこなしてお金を稼ぐ……にも当然限界はあるわけで。もっと一気に稼げる方法がないかなあ、と辺りをぶらぶらしながらバイト探しをしていると。
「あ、ニャースさん。シアターはもう閉まっちゃったんじゃ?」
「いや実は、お金に困ってるって話を聞いたんだけどニャ? 実はいい話があるんだニャ……」
 どれどれ、と渡された紙を開いてみると、そこには何やら煌びやかな広告が。泡で稼ぐならここ、一日10000ポケも夢じゃない……!?
「こ、これほんとですか!? 私、泡なら自信ありますよ!」
「まさに濡れ手に()……なんてニャ。詳しい事は実際に聞くのが早いと思うから、早速行ってみて欲しいのニャ」
 まさか、こんな仕事があるなんて。アシマリだった頃から泡とは長い付き合いだし、きっと私に向いている気がする。
どうやら夜からの仕事みたいだし、調査が終わったらちょっと覗きに行ってみようかな。


  あわにぬれて


 何やら怪しげな路地裏を進むと、薄暗く照明が揺れる一軒の建物が。なんか思ってたのと違う……けど、お金がもらえればそれでいいか。
「失礼しまーす。あの、バイトの募集を見て来たんですけど」
 扉を開けると、奥からドタドタとエルレイドのお兄さんらしき人が。質素なカウンターの前に立ち、ちょいちょいと私を手招きしている。
カウンター越しにお兄さんの前に立つ。と、お兄さんがカウンター横からこちらまで出てきた。尾鰭から背中、私の長い頭の毛までじっくりと眺め回している。
何というか、あんまり良い気分はしないけど。バイトの為には身だしなみも大事、だもんね。
「うん、合格合格。流石ニャースの旦那だ」
 ニャースさん、私が行きそうなこと、もう伝えてくれてたんだ。なら話は早そうだ。私の身なりもお墨付きをもらったみたいだし。
後は働いて、ガンガンお金を稼ぐだけ。といっても、最初はどれくらい稼げるか分かんないけど……辛かったらやめれば良いんだもんね。
アレに嵌るのも早そうだし、一度飲ませりゃ後は……
「え、あの、何の話……です?」
 私が頭の中でお金のことを考えていたら、いつの間にかお兄さんはカウンターの奥に引っ込んでいた。ブツブツとノートに向かいながら独り喋っている。大丈夫かな。
「ああいやこっちの話。それより君、泡は得意?」
 泡。そういえば、ニャースさんもそんなことを言っていたけれど、一体私のこの泡が何の役に立つんだろう。
「あ、はい。そりゃもう進化する前からの付き合いですから」
 得意か苦手かで言えばそりゃ得意だ。大きな泡を作るのもお手の物だし、小さな泡を無数に作り出すことだって出来る。
ダンジョンでは道に泡を撒いて滑りやすくしたり、"バブルこうせん"や"うたかたのアリア"も私の得意技だ。……いや、今は"バブルこうせん"、忘れちゃったけど。
「そりゃ良かった。じゃあいきなりだけど、最初のお客さんをお願いしちゃおうかな」
 え、いきなり? まだ私、何の説明も受けてないんだけど……もしかして、習うより慣れろ、なタイプの仕事なのかな。
生返事をする私に対して、矢継ぎ早に話を進めるお兄さん。棚から書類をいくつも取り出したかと思うと、私の手形をせっついてくる。
ざっとその内容に目を通していると、お兄さんがしびれを切らしたのか、その内容をざっくりと喋ってくれた。
「うちは基本NNだから、そこはもしかしたら慣れないかもしれないけど頑張ってね。タマゴは引き取っとくから安心して」
 でも、その内容の意味もさっぱり分からない。暗号か専門用語か、いずれにしても私にはよく分からないってことだけは分かった。……タマゴ?
「そ。もしかして君、いっつもS着だった? うちはそこが売りだから、もしNGなら残念だけどバイトは諦めてもらうしか……」
 タマゴを温めるとか、綺麗にするとか、そう言うバイトなんだろうか。それなら確かに泡が活躍しそうかも。優しく汚れを落としたり?
と、そんなことより、このチャンスを逃すわけにはいかない。私は鰭にインクを押し付け、そのままぺたんと書類に手形を押してやる。
「……大丈夫です、だからやらせてください!」
 これが私の返事だ、とばかりに書類をお兄さんに。ペラペラとめくって確認したお兄さんは、控えの用紙をカウンター横へ。
後でいつでも渡せるから、また取りに来てね、ということらしい。でも、こんな深夜のバイト、他のみんなに見つかったら心配されるかな。
 ……それなら、この書類はこのままここで保管してもらった方が無難な気がする。私が深夜にここで働いてる事は、暫く秘密にしておこう。
「そっか。じゃ、改めてよろしく。気分が乗らないなら、前室に飲み物もあるからご自由にどうぞ。90分越えそうなら連絡するよ」
「は、はい……」
 話の流れから察するに、90分が一つの区切りみたい。うーん、その間、私は何をすれば良いんだろう。
……ま、お客さんにも初めてだってことを説明したら、きっと分かってくれるよね。

 ○  ○  ○  ○  ○

 薄暗い部屋の中、お客さんと相対して、私は丁寧にお辞儀する。迎え入れたお客さんは机に荷物を置き、私をまじまじと睨んでいる。
「あ、あの、よろしくお願いします。初めてなので、至らない所もあるとは思いますが……」
 と言ってみるものの、目の前のオーダイルはなかなかに厳つい見た目をしている。も、もしかして失敗したらキレられたり、とか……?
「そっか、じゃあ俺がしっかり教えてやっから安心しなよ。俺はなにせ、こういう店の常連だからよ」
 喋った感じはそうでもなさそう。だけど、怒らせたりしたら怖そうだなあ。……気をつけないと。
まずは「こういう店」がどういう店かを聞きたいところだけれど、それすら知らないとなるといよいよ持ってこの場にいるのが恥ずかしくなりそう。
それなりに話を合わせてれば、何となく上手くこなせるんじゃないかな。でも、奥の部屋……どう見ても、お風呂、だよね?
 もしかして、泡を使って身体を洗ったりすれば良いのかな。確かに、手がないポケモン達は綺麗に洗うの難しそうだし。
かく言う私も、そんなに器用に前鰭を扱えるのかと言われると自信は無いけど。何ならこのオーダイルさんの方が色々な道具を使えそうな……。
「ほら、緊張してるんだろ? 一回喉潤しときなよ、折角いい声してるんだからさ」
 いい声、という部分に少し照れながらも、進められたとおりテーブルにあるドリンクを口にする。ちょっと甘ったるいけど、何かの木の実ジュースらしい。
「ま、話はそれくらいにしておいて。時間も限られてっからな、早速始めるか」
「あ、は、はい!」
 その背中を追いかけて、奥にあるお風呂場へ。何か変なマットが置いてあるけど……あれ、何に使うのかな?
それに、シャンプーやボディソープではなさそうな液体も置いてある。保湿クリーム……とかかな。
「それじゃ、ま、よろしく頼むわ」
 でん、と不思議な形の椅子に腰掛けて、背中を見せるオーダイルさん。確かに、背中を綺麗に洗うのは難しそうだな。赤い突起とか邪魔そうだし。
近くにあった洗い用のタオルを持ち、折角なので自分の口から泡を出す。ぷくぷくと小さな泡が無数にタオルの上に乗る、が。
「うーん……やっぱこの泡じゃ無理があるかな」
「はは、だろうな。サービスとしちゃ悪くねぇが……ま、身体には無難にそれ使ってくんな」
 そうですよね、と返事をしつつ、近くに置いてあったボディソープらしき液体をタオルに含ませてわしゃわしゃと泡立てる。
もこもこと気持ちの良い泡が立ったところで、背中のゴツゴツとした皮膚にその白い泡をなじませていく。
撫でるように優しく、そっと首から背中を洗っていく。どうやらやっぱり、こうやって身体を洗うのが仕事の様子。なんだ、思ってたより簡単じゃん。
「もうちょっと強くても良いぞ。俺の皮膚は硬いからな、思いっきりやってもらった方が気持ちいいんだ」
「こう、ですか?」
 緊張もほぐれてきたところで、ごしごしとタオルを擦り付けて背中を洗う。上から下まで、そして尻尾まで。
身体が大きめな分、力を入れて全体を洗うのは結構な重労働。なるほどこれが仕事になるわけだ、と感心していると、オーダイルさんからまた声が掛かる。
「じゃ、さくさくと前もいこうか。あんまここに時間かけてると、怒る客もいるかもしんねえぞ?」
 そうか、時間制限があるんだった。でもいくら身体が大きいとはいえ、90分もあれば、身体なんて全部洗えると思うんだけどな……。
浴槽に浸かる時間を考えても、1時間もあれば十分な気がする。その割にはいやに急かしてくるのはどうしてだろうか。
「す、すみません」
「気にすんなよ。じゃ、今度は前の方も頼むわ」
 ただ、これだけよくしてくれてるオーダイルさんが言うんだから、きっと嘘ではないんだろう。よく分からないけど、急いで次に行かないと。
前に向かって周りを半周して、今度はオーダイルさんの目の前に。改めてみると、おっきな身体……だ……な……?
「あ、あの、え、と……え?」
 おっきな身体と、おっきな赤い突起。見たことは……無いわけじゃ、ないけど。これは……その。どう見ても……雄の……それ。
「わりぃな、俺もよくでかいって言われるから、驚かしちまったか?」
 恥ずかしがる様子もなく、むしろそれをひけらかす様にけたけたと笑うオーダイルさん。いや、あの……というか、これ、そのまま、なの?
「え、いえ、その……はい」
 思いもよらない事態に動揺する私。それを見てオーダイルさんはどこか満足げな様子で、私の鰭を手に取って、タオルごとそれの上に。
「気にすんな。じゃ、まあ優しく頼むわ」
「あ、え、あ、と……」
 ……洗え、ということだろうか。そりゃそうか、身体を洗う店だもんね。でも、だったら、雄同士の方が、そこを見せるのは恥ずかしくないんじゃ。
とか考えたところで、今更引き返せるはずもなく。私は恐る恐るその立派なピンク色の山に、タオルをそっと擦りつけた。
根元の白い皮膚の部分までタオルで洗い、泡だらけにして形を隠す。これで少しは恥ずかしさもましに……は、ならないよね。
 仕方が無いので他の部分を先に洗っておく。胸も、腹も、手も足も。首や顎までごしごしと擦って垢を落としていく。
「お、嬢ちゃんは美味しいところは最後に取っておくタイプか? いいぜ、後はじっくり集中出来るからな」
 泡が重力に沿って下に流れていく。腹部からにゅるりと飛び出したオーダイルさんの雄の象徴は、衰えることなくその存在を主張している。
でもこのタオルで擦ると多分痛そうな気がするし。優しく洗うには……これ、しかないよね……。
私は泡を鰭に取り、直接その突起を鰭で擦ることにした。これでもかと言うほどの固めの肉感。うう……これ、なんか……変な感じ。
「お、上手じゃねえか。そうそう、そうやって優しく、でもしっかりと。緩急を付けて擦ってやればいいんだよ」
 その突起を見つめていると、何故だか心が昂ぶる。下半身がぎゅうっとなる。この気持ちは一体何なんだろう。
「……おう、もういいぜ。嬢ちゃん、がっつきすぎだぞ」
 はっ、と我に返ると、オーダイルさんはいつの間にか立ち上がっていて。シャワーのノズルを私にはい、と渡してくれた。
私はそれを使って、まとわりついた泡をざあっと流していく。白に隠れていた赤が、その姿を再び表した。
 シャワーの蒸気が、熱い。部屋にこもる熱が、暑い。身体が、熱い。心が、火照る。
「ほら、俺も多少手伝ってやっから。俺のはでかいからな、慣らしとかねえと痛いぞ?」
 私の身体をひょいと拾い上げ、さっきのマットの上へ。何故だか胸がどきどきと高鳴る。ぼーっとするのは、暑さのせい、なのかな。
「ひゃっ……ぁ」
「お、なんだかんだで結構ねっとりだな。嬢ちゃんもノリノリで嬉しいぜ」
 私の下腹部の割れ目に、彼の手が滑る。ちゅぷ、と優しい音と共に指が入り、爪の背で優しく掻き回される。
これ、洗うとかじゃ、ない、よね……。いけないこと、だよね……。でも……っ、これ、いい、よぉ……。
「あっ……ま、って」
「ほいほい、いいぜ。ちょっと休憩すっか。なんかあっという間に出来上がってきたな」
 まさかとは思うけど、このお店、そういういけないことをするお店なのだろうか。そう考えると、いろんな事にも合点がいく。
でも、今更断ることなんて出来ないし、契約だってしちゃったし。……それに、私も、このままじゃ、辛い、し。
「で、まあ浴槽で続きをするのもありだし、このマットとそこにあるローションで続きをするのもありな訳だ。どっちがいい?」
 続き。やったことは無いけれど、どんなことをするのか位は知っている。あれが、あんな大きいのが、私の中に……?
ごくり、と唾を飲む。指であれなら、あんなの入れたら……もっと、気持ちいい、のかな。
「あの、どっちでも、大丈夫、です。オーダイルさんの、好きな方で……」
「おう。じゃあ風呂入るか。行くぞ」
 再びひょいと抱きかかえられて、大きめの浴槽の中へ。逸り勃った雄の象徴が、歩く度に私の背中をぺしぺしと叩く。
どきどきする。きゅんとする。何でだろう、何故か分からないけど……気持ちよくなりたいという気持ちが、抑えられない。
 ざぶんと水の中へ入った私達。ゆらゆら揺れる水面の下で、肉色同士が見つめ合う。割れ目を広げて待つ私の中に、浴槽の湯が入ってくる。
それに続いて、ずん、と大きな質量が、私の中へ入ってきた。衝撃と、快感と、痛みが同時にやってくる。私は思わずオーダイルさんにぎゅうと抱きつく。
「あっ……ぐ、っ……かは、ぁ」
「苦しくないか? こういうときはな、自分のペースでやった方がいいぞ。ほら、嬢ちゃんに任せっから。上で好きに動いてみな」
 浴槽の中で仰向けになるオーダイルさん。その上に座り込む私。でも、動けるような状態ではとてもない。
はっ、はっ、としきりに息を吐いて、目に涙を浮かべながら耐える私。大きすぎる、よ……これ。
「ご、めんなさい……ちょっと、まって……」
 わかったわかった、と私の背中を撫でながら優しく声をかけてくれるオーダイルさん。ちゅ、と小さく口付けをされて、私は思わず目を見開いた。
「こういうのもしてやると、きっとお客は喜ぶぜ?」
「……は、はい。……もう、大丈夫、です」
 だいぶ落ち着いた、と思う。前と後ろの鰭で自分の身体を支えつつ、水の力も借りて、ゆっくりゆっくり腰を浮かせていく。そして、ひと思いにずん、と腰を下げると。
「はぅ、ぁ……っ」
「おっ……その調子だ、嬢ちゃん」
 気持ち……いい。多分、いや、間違いなく。これは、れっきとした快感。さっきの指よりも、ずっと強くて、蕩けそうなほど、心地良い。
ばちゃばちゃと水面を揺らしながら、私は口を半開きにして踊る。気持ちいい、もっと、気持ちよく。私も、オーダイルさんも、もっと、もっと。
「っあ、あぁん、っう、ふっ、はぁ」
 声が止まらない。腰が止まらない。快感が止まらない。気持ちいいが、止まらない。何かが、私の身体を駆け巡った。
「っあっ、はぁっ!」
 身体を仰け反らせ、ぎゅう、と下腹部が締まるのを感じる。ぴくぴくと私の割れ目がけいれんしているのが分かる。
大きな快感に打ち震える私の身体を、オーダイルさんは優しく抱き寄せて、耳元でそっと囁く。
「嬢ちゃん、イくのはいいけど、お客のこと、忘れんなよ? さてと、後は俺が動かしてやっから」
 ずるり、と私の身体を持ち上げたかと思えば、にゅぽん、と根元近くまで突き込まれる雄の象徴。あぐっ、と思わず声を上げる。
「やっぱ、いい声してんな、嬢ちゃん!」
「あっ、やっ、はっ、ああっ、ま、ってぇ、えっ!」
 さっきの大きな快感の後で疲れた身体に、更に快感が送り込まれてくる。視界がぐるぐると回る。オーダイルさんの顔が近づく。舌が絡まる。
鼻に抜ける雄の匂いが、私の心をかき乱す。じゅぷじゅぷと中を貪る雄の象徴が、もっともっと欲しくなって。
「ぐっ……は、ぁっ……!」
 びゅる、と中で何かが弾けた。どろりと熱い液体が、お湯と混ざって私の中を満たしていく。二度、三度と吐き出されるそれを感じて。
「はっ、ぁ……んぅ」
 私はもう一度ぴくんと身体を震わせる。瞼がゆっくりと降りてくる。なんか……疲れ、ちゃっ……たな。

  ○  ○  ○  ○ 

「あ、あれ……私、一体……」
 起きたときにはもうオーダイルさんの姿は見当たらず。さっきの部屋とは違う、控え室らしき場所の一角に転がされていた。
真ん中に置いてある大きなテーブルと椅子。その一つに座っていたエルレイドのお兄さんが、私の顔を見て立ち上がりてくてくと向かってきた。
「ご、ごめんなさい! その、私、多分途中で……」
 言葉を遮るようにして差し出されたのは、比較的大きな麻袋。じゃら、と重たい金属音を立てるそれを、私は恐る恐る受け取った。
「さっきのお金、6000ポケだね。この調子でいけばどんどん金額も増えると思うよ」
 6000ポケ……あの2時間足らずの時間で一気にこんなにもらえるなんて。それに私、途中で寝ちゃってたけど良いのかな……。
ずっしりと重い袋をじっと眺めていると、エルレイドのお兄さんは私の頭を撫でながら、優しい声で語ってくれた。
「あのお客さん、初めての仔とヤれて満足してたみたいだから。それに君のこと、褒めてたよ?」
 ……そう、なんだ。オーダイルさん、見た目と違って優しかったな。最後まで私のこと気遣ってくれたし、それに何より、あの、大きさが。
改めて思い返すと、私もあの時は変に身体が疼いていたとはいえ、色々失礼なくらい積極的になっていたような。初めてなせいで、ハイになっちゃったのかな。
「じゃ、また次もよろしく頼むよ。来る日が連絡してね。ニャースの旦那に伝えてくれたら、こっちもそのつもりで準備しとくから」
「……は、はい」
 そういうと、エルレイドのお兄さんは奥の部屋へ引っ込んでいった。どうやら私のバイト初日はこれで終了らしい。
終わった実感はあんまりないけど、この袋の中身がそれを証明してくれている。そして、私の身体に残る、微かな雄の匂いが。
「気持ち……よかった、けど……この仕事、続けてていいのかな……」
 後ろめたい気持ちがないわけじゃない。というか、こんな仕事やってることがばれたりしたら、絶対色々言われるに決まってる。
お兄さんには悪いけど、やっぱりこんな仕事、やらない方がいい、よね。どんな病気にかかるかも分からないし、ああやっていい相手に出会えるとも限らないし。
 両鰭で抱えた袋を少し振ると、じゃらじゃらと豪華な音が鳴る。6000ポケの重みは嘘じゃない。これだけ稼ぐのに、普通の調査だと何度かかるだろうか。
「……もう一回だけにして、もう少し貯まったら、今度こそやめよう」
 楽に稼げる、というのもまた事実。ダンジョンに何度も調査に向かうよりはずっと安全だし、けがをすることも少なそうだ。
それに、万が一危ない相手が来たとしても、私だってそれなりに技も習ったし鍛えてる。……だから、きっと大丈夫。
もうあと一、二回もバイトすれば、お金は十分貯まるはず。技を習ったりすれば一気に使っちゃうけど……そこまで頻繁に習うものでもないし。
 だから、あと数回だけはお世話になろうと思う。そう自分に言い聞かせて、私は路地裏を後にする。

 先の快感の記憶が、頭から離れないのは。
 先の快楽の疼きが、下腹部に残っているのは。
 きっと、気のせい。

 ○  ○  ○  ○  ○

「いらっしゃいませ。今日もよろしくお願いします! 私の泡……堪能していってくださいね?」
 私は泡を鰭に載せ妖しく微笑む。濡れ手に粟とはよく言ったものだ、と思う。こんなに楽に稼げる仕事は他にはない。それに……お客さんも喜んでくれるし。
もう少し、あとちょっとだけ。お金を貯めて、調査団のみんなといつか、未開の土地を切り拓いてみたい。
 だから、今だけは、仕方なく。

 ――今日も私は、泡に(まみ)れて溺れていく。


・あとがき
ごめんなさい遅くなりましたが今更ながら後書きを。
濡れ手に粟、をもじったタイトルを思いついたので、いわゆるソープのお話にさせて頂きました。
時々出てくる専門用語についてはGoogle先生にでも聞いてみて下さい。自分も初めて知りました(
あわといえばやっぱりアシレーヌ。泡姫の名がこれ以上似合うポケモンはいないでしょう。めっちゃえっち。
こっそりお薬を盛られてたり、こっそり手段と目的が入れ替わってたりと暗めな終わり方ですが、彼女にとっては幸せなのでいいんですきっと。
何だかんだで4票頂いて4位でした。思ってたより上位だったので満足です。アシレーヌはえろいからね、しかたないね。
ここまでお読み頂いてありがとうございました!

・コメントへの返信
皆様投票・コメントありがとうございました!

>オーダイルさんのスタンスがとても良かった (2018/10/10(水) 02:18)
乱暴にされちゃうと一回で終わりですからね。バイトに嵌らせるにはこうでなきゃ……という策略かと思います。
>怪しく微笑む主人公が可愛い。 (2018/10/13(土) 00:38)
彼女の当初の目的は言い訳でしかなくて、本当はもう行為自体が目的になってるんですよね。でもかわいいから許しちゃう(
>テンポよく進み、とても感情移入しやすく思いました! (2018/10/13(土) 00:49)
時間がなかったんです……は置いといて、やっぱエロ書くときはテンポと勢いが大事かなあと思ってます。
>エロい! (2018/10/13(土) 08:38)
ほんともうアシレーヌがえっちすぎる……ずるい……(


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  • 気づかぬうちに薬を盛られて、自覚がないままに夢中にさせられてしまって、お金の魅力に抗えなくなっていく……こんなただれたアシレーヌ、私も利用しなければならないと思いました。
    しかしながら、全体的に短い事や、客も主人公もあっさりと終りすぎてしまったために、物足りないと感じてしまう内容であったとおもいます。もっと慣れない、つたない従業員に優しくゆっくりと教えてあげることも大事ですし、薬の力も借りつつ徐々に慣らし、落としていくことこそ醍醐味ですなぁウヘヘ。 -- リング
  • おっしゃるとおりもっと時間をかけて行為が出来たらよかったかなあとは思うんですが生憎ギリギリに書いたモノで……(
    でもこうやって言い訳を作りながらただれていく生活もいいよね……って思いながら書かせて頂きました!!!
    コメントどうもありがとうございました! -- &fervor
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Last-modified: 2019-04-07 (日) 00:28:50
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