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『孤独』の遠吠え

/『孤独』の遠吠え


初書きですが、ショートショート並みにめっちゃ短いです。
しかもいきなり、やや過激な表現があるという、とんでもない物になってしまいました。
それでも、読んでいただけるなら、嬉しい限りです。


『孤独』の遠吠え 

生まれた命には必ず意味がある。
そんなことを誰かが言っていたらしい。
しかし、意味の意味も分からない者は前提として考えられていない言葉だ。

何で…、僕は此処にいるの?

分からなかった。そんな事分かるわけもなかった。いつも独りでいた僕には…。
誰も見てくれず、実を寄せられる親も、仲間も、友達も、全てが僕には存在しなかった。
どうして此処にいて、どうすれば良いのか、僕の存在自体が分からない。教えてくれる者も存在しない。
ただ此処に存在しているということ。それだけしか分からない…。

ねぇ…なんで僕は此処にいるの?どこに行けばいいの?

町の一角に、空しく、声だけが響く。人々の隙間から。足音に小さく混じって…。
すぐに周りの雑音にかき消され、誰の耳にも声として届かない。

誰か…ねぇ…答えてよ…。教えてよ…。

耳に届かない声を幾ら放ったところで、無駄だという事すら幼い僕には分からない。
幼い僕は、寂しくて、悲しくて、誰でもいいから手を差し伸べて欲しかった。独りから逃れたかった。
助けて欲しい、教えて欲しい。その一心で僕は吠え始めた。

ねぇ…ねぇ…誰か気付いて…お願いだから…。

小さな声が遠吠えに変わると、人々の視線が此方に向いた。
決して僕のことを想ってくれる視線ではない。
それがどんどん突き刺さってくる。それでも幼い僕は吠え続けた。
何時かは誰かが来てくれる。そう願って吠え続けた。
やがて何人かの人間が、僕の前に現れた。だが、僕のことを知っている人間は一人も出てこない。
皆、自分の勝手ばかり押し付けていく。

皆、何言ってるの?僕のこと…知ってるんじゃないの?…だったら…答えてよ…。

日を増すごとに現れる人間は増えていった。それでも、僕を知っている人間は出てこない。
それなら何をしに来たのか。その答えは、僕の求める答えより数倍早く撃ちつけられた。
それまでに来た人間達の言葉によって…。
 五月蝿い。 邪魔だ。 何処かに消えろ。 そう……怒鳴られた…。

…え。何…言ってるの…?僕何もしてないのに…此処にいただけなのに!?何で…何で…!?

…分かるわけがなかった。僕は何もしていない。それなのに、人々は幼い僕を追い詰めていった。
頭が混乱し、訳も分からず、人々の言葉も耳に入らなくなってきた。それでも僕は、また吠え始めた。
僕はただ、僕のことを知っている、助けてくれる人に気付いてもらいたい。それだけのために吠え続ける。

誰か…答えてよ…。僕の声に…気付いてよ…。僕は…此処にいて…いいの?

もう、誰がなんと言おうと答え以外には、耳をかさなかった。僕の求めているものではないから…。
僕のことを知ってる人はまだ出てこない。
聞こえて、届いて。その思いが、更に声を大きくする。
それに対して、人々がくれるものは、身を持って聞かされた。
痛みの後の記憶は、残っていない。ただ、その度に体の所々が赤くなっており、辺りには鮮明な赤い液体が飛び散っていたのを覚えている。
いくら、そんな体になろうとも、僕は吠え続けた。

…ねぇ…まだ…聞こえ…ないの?僕は…此処に…いるよ…?どうして…此処…に、独りで…いる…の?

僕は限りなく吠え続けた。夜通しで吠えて、吠えて、吠え続けた。
体は音を上げ、目鼻にも見えないくらいに霞み、喉はかれて、喋る事さえ激痛に感じられる。
体はもう、動くことすら許してくれない。それなのに、その場でかれた声を張り上げ、吠えていた。
そんな中、夜闇の中から誰かが現れた。もはや、僕の目じゃ何かすらも認識できなかった。

……だ…あ…れ?…何……の…よ……う…?

擦れた声ではなった言葉は、もう自分の耳にすら届かない。その代わりに、轟音が辺りに響いた…。
一瞬、目を見開き、すぐにその場に倒れ込んだ。さっきの音が何かも、なんで僕が倒れたのかも分からない。
ただ、…痛い。気の遠くなるような痛みが体を支配していく。
目の前が、少しずつ黒一色に染まってくる。体の感覚が消えて、冷たくなってくる。それなのに何も分からない…。
僕は何も見えないその黒の世界に飲み込まれた。その後には………何も…無かった。

…ねぇ…僕…此処にいて良かったの?僕は…何の為に此処にいたの?僕は誰だったの?ねぇ…誰か…答えを…下さい。僕は…此処にいるから…。

そしてそれは、今も、答えを待っている。



小さな命が欲した答え…。それは一体…何処にあったんだろうか。

静かな闇夜の町に、消えた灯火の声が木霊する…。



あとがき

やっと書き上がりました。結構集中して書くと疲れます。
何を見て思いついたか忘れましたが、一年位前に思いついたものです。
ノートに書いておいた物が見つかったので、手直しや追加を加えて、初書きの物として出させていただきました。
こんな駄作で、皆さんが満足していただければ光栄ですが、難しいですね。

とにかくこれをスタートに頑張って行きたいと思います。
最後まで読んでいただた方、本当に有難うございました。

コメントを御願いします。何でも構いませんので。

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • ぽえ~、そんなに急がなくてもいいんじゃないですか?〆切を守って原稿を書くのはプロの人たちの仕事でしょ?いい作品は時間をかけてこそできるんですよ!・・・すいません。なんか、えらそうなこといって。 -- [[ るる]] 2009-03-20 (金) 11:50:31
  • ↑いいやつ 評価20 -- 2009-03-20 (金) 11:51:06
  • 出来てもいない作品のページにコメント有難うございます。
    るるさん。そうかもしれませんが、ページが出来ていて作品が無いのは生殺しかと思いまして…。
    名無しさん。ここにいる人々で悪い人はいないかと。 -- ? 2009-03-21 (土) 16:13:24
  • はううう・・・。可哀想すぎるよ・・・。 -- るる ? 2009-03-21 (土) 21:34:01
  • るるさん。コメント有難うございます。そう思ってもらえると、この子も少しは幸せになれるかと思います。 -- ? 2009-03-23 (月) 11:32:36
  • お上手ですね。悲しい話ですが心に響きました…(シクシク)
    私もこれくらい書けるといいんですが。…この執筆力(?)が羨ましいです…。 -- Nike ? 2009-03-23 (月) 12:28:26
  • Nikeさん。コメント有難うございます。お返しが遅れてすみません。上手いなんてとんでもない。Nikeさんの小説のほうが、内容のまとまりがあって読みやすいと思いますよ。私のより人気ありますし。
    こんな短文で心に響いてもらえたのなら、とても嬉しいです。 -- ? 2009-03-25 (水) 12:49:03
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Last-modified: 2012-07-01 (日) 00:00:00
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