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-Ruined City- ver4 の変更点


この物語には流血表現が入る可能性があります
GL、強姦の描写がありますのでご注意を。

ACT-- 

「診察のお時間ですよー」
その声にユキメは読んでいた本を傍に置き、看護婦のラッキーが近くに来るのを待った。
体中にはほんのりと紅に染まった包帯を巻いている。顔にも絆創膏が幾つか付いていた。
あの日、黒い塊に飲み込まれたユキメは、内部で起こる黒い鋭利な衝撃波にさらされ皮膚が裂けた。
だが、彼女は黒い塊に飲み込まれる前に目の前に冷凍ビームで氷の壁を作り上げ前方からの衝撃波を防いでいた。
それが功をそうし、腹部をほとんど切り刻まれる事はなかった。最後に起こった爆発は、ユキメを上から圧迫する衝撃波で終わったが
その衝撃波はまるでとてつもない重力の塊ような感じで、やわらかい鉄球を体の上に落とされたそんな感じだった。
看護婦のラッキーがユキメの寝ているベッドの隣に医療品が大量に乗っかっているカートを置く。
そして、そのカートから消毒薬を取り出し布切れにつける。
「それじゃあ背中を見せてくださいね」
ユキメはラッキーに言われたとおりに体制を変る。ユキメの背中には赤く染まった包帯が巻かれていた。
その包帯をラッキーはゆっくりとハサミで切る。一通り切り終わるとユキメの皮膚がラッキーの瞳に映る
背中の有様は酷いものだったが、ラッキーは表情一つ変えることなくユキメの背中を消毒液で浸した布切れで拭く
「う・・・つっ・・・いっ・・・・・・」
背中を消毒液で拭われている間ユキメは激痛に耐えなければならなかった。歯を食いしばっても口からは嗚咽が漏れる。
「大丈夫ですか?」
心配に思ったのかラッキーがユキメに声をかけるがユキメは何も言わず痛みに耐えている。
それから数分ほどユキメは消毒液の痛みと死闘を繰り広げた。何度か悲鳴をあげそうになったがそこは気合で耐えた。
「背中の消毒が終わりました、包帯を新しいのに取り替えますね」
血で真っ赤になった布切れを黒い布袋にラッキーは入れると、カートから純白の包帯とガーゼを取り出し
慣れた手つきでユキメの背中の傷にガーゼをあて包帯を巻いていく
「背中は終わりました、次は・・・・・・」
ラッキーによって体の包帯が新しい物に変えられ、ユキメの青い体が雪を纏ったように所々白くなる。
「一通り終わりましたね」
全ての包帯を取替えたラッキーは血に染まった包帯をなるべくユキメに見られないように黒い布袋に入れる。
その行動も終えると、今度は薬瓶などの整頓を終え「御見舞いの方が外にいますが会いますか?」とユキメに告げる。
「お願いします」
一言ユキメがそう言うと、ラッキーは無言で『すっ』とうなずき部屋のドアを開け外で待っていた者と二言三言会話をする。 
「ユキメー元気かいな~?」
騒がしい声と共に登場したのは手に木の実の沢山入ったカゴを持ったエミルだった。
「うん・・・一応元気だよ・・・」
ベッドの上で横になりながらエミルに答えるユキメ。それを聞いてエミルは安心した表情を浮かべる。
「これ、皆で買ったお土産や」
エミルはベッドの近くにおいてある台の上にカゴを乗せると、ベッドの横に備え付けられている見舞い客用の椅子に腰掛ける。
「・・・・・・?私の顔になんかついてる?」
椅子に座ってからじっとユキメの顔を見つめるエミルにユキメは不安そうに尋ねる。
「ううん・・・なんでもあらへん気にせぇへんでええよ・・・」
エミルは静かに首を横に振りながら淡々と答える。そして今度は自分から話し始める。
「ユキメ・・・ほんまによく生きてたなぁ・・・死んでなくてよかったわぁ~」
涙目になった顔でユキメに真顔で話しかけるエミル。こんな彼女を見たのはユキメにとって始めての事だった。
「エミル、ありがとう・・・」
そんな彼女にユキメは静かに、そしてやさしく感謝の言葉を告げる。
「そういえばラミはどうなの?私が見たのはジルドが担いでいた時が最後だけど・・・」
「ラミやんは大丈夫や、グロデスに処女を奪われたって怒ってたけど何時ものラミやんだったわ~」
瞳にたまった涙を『ぐしぐし』とこすりながらエミルはその時の様子を思い出しながら話し始める。
「そんでな・・・ジルドがな・・・で、ルフとあれしてな・・・ そんでな  そんで  一緒にな   っていうわけや」
エミルの長く楽しい話を聞いたため、時間の流れを忘れていた二人。そっと窓の外を見ると日が落ちかけ黄昏時の空を作り出していた。
定時を告げるために、ヤミカラス達が空を飛びまわり現在の時刻を大声で叫ぶ 「現在午後5時半です」 
彼等のこの行動はボランティアだが、彼等の告げる定時によってこの国では住民が生活している。
まさに彼等はこの国にとって必要不可欠な存在になっている
「あぁんもうこんな時間や~どうないしようかなぁ・・・なぁユキメ、今日ここに泊まっていい?」
「えっ!?」
それはユキメにとって予想外な発言だった。だがエミルは「よーし看護婦さんと交渉してくるわ~」と言うとさっさと部屋の外に出て行く
しばらく呆然としていると、上機嫌なエミルが部屋に入ってくる。
「一晩なら大丈夫って言われたわ~、でも夕食はでないからうちはちょっと食べに行ってくるから~」
またもそれだけ告げるとさっさと部屋を出て行くエミル。まるで風のようだなとユキメは心の隅で思った。


夜、あたりは漆黒の闇に飲まれ暗黒の独裁者の祭りが始まる。
「それでは・・・分っているな?お前の目的を・・・」
暗闇の中、焚き火を囲み数匹のポケモンが会話をする。
「分っているよ・・・そんな怖い顔しないでよ・・・フフフ・・・」
影無きザングースが同じく影を持たないヘルガーに微笑みながら返す
アサシン(暗殺者)彼等はそう呼ばれるギルドの者達、暗黒に溶ける術に長け己の影を消す術をも身につけている
「王国の以来だなんて・・・今回はちょっと厳しいんじゃない?」
同じく影を持たないムウマージが焚き火に薪を放り投げながらヘルガーに語りかける。
「死んだ時はそれまでだ・・・俺達が死んだとて悲しむ奴はいないだろ・・・」
「少なくとも私は悲しむわ・・・フフ」
布切れのような手で口を隠し微笑むムウマージ、ヘルガーはそんなムウマージに『フッ』と軽く笑みを返す
「それでは解散しよう、その前に本当に一人でいいのか?」
「別にいいよ、そのほうが楽しいもん・・・」
『スッ』音も無くザングースの体が闇に溶ける。それに続きヘルガーとムウマージも闇に溶ける。
残された焚き火は誰にも頼られる事もなく町外れの瓦礫の中であたりを照らし続ける


「なあユキメ・・・なんでユキメは近衛兵になったん?」
本を読んでいた時にエミルが唐突に質問をする。ユキメは本を台の上に置くと自分が兵士になった訳を話し始める。
「私は、ここからずっとずっと北へ行ったヴェイスという街に生まれたの・・・ってそう言えば貴方はどうして兵士に?」
「えっ・・・うちは~まあええやん細かい話は」
何か後ろめたい事でもあるのだろうかという素振りを見せながらエミルは誤魔化す。
「なんか怪しいわよ、貴方が言わないなら私も言わないから」
ユキメが腕を組みそっぽを向くと、エミルは余計な質問をしてしまったと頭を『ポリポリ』と掻きながら舌を出す。
「そんな殺生な事言わんといて教えてえな~」
エミルはベッドの横に備え付けてある椅子に腰掛けるとユキメの両手を手に取り悲願する
それでもユキメは何も言わずにどうしょうかという表情を浮かべながら黙る
「うちらもしかしたら死ぬかもしれないんやで、そんな殺生な事言わんといてや~」
「どうして死ぬの?私達なにかしたの?」
エミルの漏らした言葉に食いつくユキメ、ベッドの上で寝ていたため外の世界の情報に彼女は疎かった。
そのため、エミルの言った言葉に底知れぬ恐怖を抱く。
「うちらはな、グロデスの作り出したっちゅうミュウツーってのを倒しにいかないかんねん、
ルフの話だとめっちゃ強いって話やしさ・・・」
エミルは深々とそう語りながらユキメの手を強く握る。その圧迫感を感じながらユキメは黙ってエミルの次の言葉を待つ。
「・・・・」
「・・・・」
静かな静寂が部屋を包む。ベッドの横にある台の上に置かれた小さな電球の明かりだけが部屋の中を照らしている
「・・・・・・で?その後は」
待ちきれなくなったユキメが口火を切る。だがエミルは「ん、あれで御終いや」と軽く言う。
「・・・あ、終わりなの・・・と、とりあえず手を離して欲しいなぁ・・・ちょっと痛いから・・・」
「嫌や」
それは思いもよらぬ返答だった。気が付くとさっきまで日常で見せる普段のエミルの顔が、何時に無く真剣な顔をしている
「えっ?」
「言ったやん、死ぬかもしれないって」
エミルは徐々にベッドの上に近づき、ユキメに迫るが、ベッドの上のユキメは怪我の影響で思うように動けず
ただベッドの上で何時もと違うエミルに途惑っていた。
「エミル・・・?」
まるで怯えた小さな少女のようにユキメはエミルの名を恐る恐る呼ぶ
「ん!?」
それは突然の事だった、エミルがユキメの唇を奪ったのだった。それを合図にエミルがベッドの上に上がってくる。
ベッドの上にエミルが乗っかっても、エミルはユキメの唇から唇を離そうとはせず、深く深くキスを重ねる。
「エ・・・ミル?」
唇が開放されたのはそれから2分程たった頃だろうか、瞳に涙を浮かべながら、自分を襲おうとしているエミルを見つめる。
見つめられるエミルは、ユキメの下半身を隠す布団を剥ぎ取ると、あらわになった包帯姿の下半身をまじまじと見る。
包帯には薄っすらと赤い染みのようなものが滲み、彼女の傷の治り具合を告げていた。 


「や、やめようよエミル・・・私達女同士なんだしさ・・・」
だがエミルの手が休まる事はなかった。徐々にユキメの下半身、それも秘所に向かってゆく
「エ、エミル・・・駄目!」
怪我のせいで力の入らない両手でエミルの手を止めようとするユキメ、だがエミルの手はそんな事で止まるはずもなく
ユキメの秘所に侵入する。
「んふ、あったかい・・・」
秘所の中で指を動かすたびに、ユキメの瞳からは涙が零れ落ち、口からは喘ぎ声に似た声が漏れる。
それでもユキメは秘所の中を暴れている指を止めようとエミルの手の上に両手を乗せ力をこめる
「あぅ・・・んぅ・・・」
エミルの指はまるでユキメの反応を楽しむかのように秘所を出入りする。その度に彼女の秘所からは愛液がこぼれ
ユキメは悲鳴にも似た喘ぎ声をあげている。
「ユキメ・・・かわいい・・・」
エミルの瞳はまるで朝の寝起きのような淡い光を灯し、性の対象のユキメの顔を覗きこむ。
彼女の顔は涙と唾液で濡れ、艶っぽい表情をしていた。そして、それがエミルを興奮させていた。
「気持ちいい?」
秘所を音を立てながらかき回しながらエミルは意地の悪そうにユキメに尋ねる。
だが、ユキメは何も答えず、ただ快楽と必死に戦っていた。
「んふ・・・どこまで持つかな?」
エミルはそう呟くと、先ほどよりも速度を上げてユキメの秘所をかき回す。
「あぅぅ!?あぐぅ・・・んん・・・うぅ・・・」
まるで不協和音のような感覚でユキメを責め上げるエミルの指。
グチュグチュと卑猥な音を立てながらユキメの秘所から指がピストン運動を繰り広げる。
「だめ・・・エミル・・・やめて・・・いっちゃう・・よぉ・・・」
絶え絶えに悲願するユキメだが、エミルはにこりと微笑むとラストスパートでもかけるように先ほどよりも激しく責め上げる
「だめぇ・・・いっちゃ・・・いっちゃう・・・や・・・」
エミルに抱きつきながら悲鳴に似た悲願を続けるユキメだが、エミルはお構い無しに彼女の秘所を責める。
「逝くなら逝くとええよ・・・ユキメの乱れた姿をうちは見てみたいなぁ」
それはまるで悪魔の囁きのようだった。耳元で囁かれたその言葉はユキメの体を包み、彼女の理性を貪り尽くした
「あ、あぁ・・・いやぁぁぁぁぁああああ!!」
精根尽き果てユキメはエミルによってイカされ悲鳴をあげ、ベッドのシーツに染みを作り上げていく。
ヌチュ・・・ユキメの愛液で濡れた指を引き抜くと、エミルはその指を己の口に運びユキメの愛液を味わう。
「んふ、ユキメの愛液・・・おいしいわ~」
エミルは放心状態に陥ったユキメを横目で見ると、今度は濡れた彼女の下半身を見つめる。
じっと見つめていると次第にエミルの顔がユキメの濡れたスジにむかって動いている事に気づく。
まだ、自分はユキメを求めている。エミルは己の欲望に忠実になり、ユキメのスジを舌で舐める。 
ピチャ・・・ピチャ・・・ペチャ・・・
一通りスジを舐めると、エミルは舌をユキメの膣の中に侵入させ、中で舌を暴れさせる。
彼女の舌が膣の内壁を舐める度にユキメの体がビクッと反応をする。
それがエミルには堪らなく面白く、そして可愛く愛しかった。
その愛しいユキメは既に疲れ果て、荒い呼吸をするばかりで無抵抗だった。
「ユキメ・・・もうちょっと我慢してね・・・もうすぐ終わるからね」
下半身ごしにユキメにそう語りかける、案の定返答はなく、ただ荒い呼吸のみが聞こえてくるのみであった。
膣の内部を舌で舐め愛液を溢れさせると、エミルは今度はそれを吸い出す。
そんな行為を何度も何度も続けていたその度に、ユキメの体はビクビクと反応し、愛液を止め処なく溢れ出させる。
クチュクチュ・・・ペチャピチャ・・・卑猥な音はその音量を上げ部屋全体を包み込む。
「エ・・・ミル・・・」
ユキメの口から自分を呼ぶ声が聞こえたその刹那、彼女の秘所からは愛液が勢いよくエミルの顔に向かって噴射され
エミルの顔を濡らしていった。
「ふぅ・・・この辺で止めておかへんと・・・ユキメが壊れたら元も子もないしなぁ・・・
それにしてもユキメ・・・あんた処女じゃなかへんのね・・・」
ぐったりとしたユキメを身ながら洒落のような口調でユキメに語りかけるエミルだが、
すぐにタオルを取り出すと、丁寧にユキメの体をタオルで拭いていった。
「ユキメ・・・誰がなんと言おうと、うちはユキメが大好きやで・・・」
一通りタオルでユキメの体を拭き終えたエミルは、最後にユキメの頬に軽く口付けをし、彼女の体に布団を静かにかける。
濡れたシーツはなんていい訳をすればいいか、そんな事をエミルは考えながら、窓際に置かれたソファーに横になる。
横になる前に電気の明かりを消していたため、部屋を照らしている明かりは月明かりだけだったが、
その光はやさしく、まるで月の歌のように二人を包み込んでいた。 


ACT10 非日常の幕開け

ユキメとラミが退院した後、私達はエクトルが派遣する討伐隊という名目で諸国を旅する事になった。
その経由はいたって簡単で、事件の起きた次の日に上司の前に召集され、男と女、どっちがミュウツーを討伐するか
決めるという内容だった。

「こちらとしても、討伐隊を派遣しなければならないのですよ・・・」
上司のキュウコンが腕を組みながら、椅子の上でふんぞり返りながら私とバシャーモに上から物を言うように告げる。
「それは分っておりますが、そういった事は兵士の役目ではないのでしょうか?」
バシャーモがそう言うと、キュウコンは「ふぅ」とため息をつき椅子から重い腰をあげる。
「貴方達の言い分も分りますが、今は兵士を派遣する余裕などありません・・・近々レキスから王女が会見に訪れる予定になってましてね
その警護に大勢の兵士が必要になりますからね・・・それに・・」
そこでキュウコンは黙り込む、私はこの街以外の情報に疎いため、レキスから王女が来るという事すら初耳だった。
しかし、それ以上に驚いたのが
「ゲーテとの会戦ですか・・・」
バシャーモが重々しく口を開く、以前からゲーテ国はエクトルの国境を脅かしていたという話は聞いていたが
事態は私が思っていたほど重かった。
「その通りです・・・だからこそ、兵士の人数を裂く事は余計に出来ないのです」
だから近衛兵が行くのか、私はあまりの馬鹿馬鹿しさに飽きれた表情を浮かべるが、上司に向かってそんな口をきけば
牢獄に入れられる事は分りきっていた事だった。所詮下っ端は黒い物でも白と言わなければ定めなのだ。
「分りました、アーク様の仰せの通りに私の部署と彼女の部署の者、どちらかが行くか決めましょう」
「そうしてもらえると助かります」
キュウコンはそう言うと窓に向かって歩き出し、外の風景を眺め始める。
「どうやって決めましょうか」
「ジャンケンでいいでしょう」
私は即座に答える、バシャーモは驚き声を一瞬失うが、すぐに笑みを浮かべ私と静かな、そして真剣なジャンケンをする。
1回目はお互いグーであいこ、2回目もお互いチョキであいこ、3回目についに勝負は付く。
どうも私はこう言う事に関して運命の女神に微笑まれないようだ。言いだしっぺだが、私は心のそこで少し後悔をする。
「決まりましたか」
丁度私が負けた時にキュウコンはこちらを向き、静かに書類を一枚手に取りそれを眺める。
「どちらが行くかはさして気にはしませんが、このさいですので人事移動をしたいと思います」
ここでするか?あやうく声に出そうになってしまったが、私はなんとか堪える。どうもこいつには常識という物は通用しないらしい
「ジルドさん・・・貴方の所にルフというカメールがいますね」
「ええ、居ますが・・・」
嫌な予感がしたが、それはすぐに予感から現実に変わる。
「彼男ですよね、たしか前に書類ミスでそちらに行ってましたね、丁度いいので彼を男の部署に戻す事にします」
「ま、待ってください、ここで人を減らされたら最悪私達がミュウツーに敗北する可能性が」
私はすかさずキュウコンに反論する。この追い討ちは酷いとしか言えないからだ。
「途中で適当に見つけてください、私からは以上です、退出しなさい」
「ですがアーク様この「退出しなさい」
キュウコンにさえぎられた私は何も言えなくなりバシャーモと共に部屋を出る。
「くそ!!」
部屋を出た私は感情にかられ壁を殴りつけると、バシャーモが心配そうに私に近づく
「気持ちは分かるが、これも現実だからな・・・ルフと言ったか、あのカメールには俺が上手く言っておく」
「ありがとう」
ああ、そうだよな、お前は態々死地に出向かなくて済むからそんな事を言えるだよな
お前の目に映る私は悲劇を演じる道化のように見えているのか?それとも・・・、
まるで苦い薬を水なしで飲み干したかのような、酷い苦味を味わいながら私はバシャーモと共に部署に戻る。
「ただいま・・・」
部署に戻ると私は、何時になく酷く落ち込んだような情けない声で部署に入る。
「どうしたんだジルド?」
椅子に腰掛けていたルフがすぐに異変を感じ取ったのか私に話しかけてくる。
あの時アークに言われた事を話したらルフは一体どんな反応をするのだろうか
怒りに震えアークを殴りにいくのか、それともバシャーモのように私達を慰めるのか、それは彼のみぞ知る
「実は・・・「ルフ、すまないがしばらく君は俺達と同じ部署に入る事になった」
アークに言われた事を話そうとした時にバシャーモが私の声を阻む。
「それはまたなんでだ?」
「それはだな、彼女達がアーク様の取り計らいでしばらく旅行に出る事になったからだ」
私はバシャーモの言う嘘に声が出なくなる。だが、今の状況ではこの嘘が最善の策なのだろう。私は黙りバシャーモに任せる事にした。
「なんで自分だけ?と思うだろうが、あいにく女性しか行けないため男の君は彼女達が帰ってくるまで俺の部署入りだ」
「まじかよ・・・いいなぁジルド達・・・お土産期待してるからな~」
残念そうな表情を浮かべてルフが私の肩を叩く。
土産・・・か、もしかしたら土産は私達の死亡報告になるかもしれないな。皮肉に満ちた事を考えてると部署に元気な奴が入ってくる。
「おはよ~さん~、今日もいい天気やわ~ジルドもそんな陰気な顔してないで少し散歩するとええよ~」
「・・・・・・」
私は何も反応する事ができなかった。もしもジャンケンで勝ってたらよろこんで散歩に出ているだろうが
「そんじゃルフ、俺達の部署の案内と面子の紹介をするからちょっと来てくれ」
エミルが部署に入って来てすぐに、バシャーモはルフを連れ出す。そして、丁度私とすれ違った時に一言彼は呟いた
「後はお前が彼女に話すだけだ」
その声を聴いて私は『ハッ』と我にかえる、そして彼の心使いに感謝する。
エミルと二人っきりになった部署で私とエミルは無言でお互いの顔を見ていた。
「ルフ移動になったん?」
エミルが私に聞いてくる。私は黙ってうなずき、アークに言われた事をエミルに洗いざらい話す。
全てを語り尽くした後、しばらくエミルは黙っていたが「ふ~ん」とそれだけ言う
「ふ~んって、もしかしたら死ぬかも知れないのよ!そんな時によくそんな悠長な事が言えるわね」
呆れ半分で私はエミルに何時になく真剣な眼差しで怒鳴りつける。
「そんな事言われたって、死んだら死んだらやん・・・そりゃあ死ぬのはうちかて怖いわ、でも死ぬとも決まってないやん
だから、その時に全力でぶち当たればいいだけやん」
エミルの言うとおりだった。5分前にいた私は頭の中で死ぬ事が前提になっていたが、今の私はまるで
暗雲が晴れた大地のように清清しく晴れたような気分になっている。
「エミル・・・そうよね、私は何か間違ってたかも知れない・・・っと一応ラミとユキメにも伝えないといけないのよね」
「じゃあうちがユキメに伝えておくわ~、ラミは任せたで」
ありがとうエミル・・・私は心の中でエミルに感謝する。エミルには冷や冷やされるような事も多かったが
今の彼女はとても頼りになる者になっていた。
「・・・ド・・・ルド・・・・ジルド!!」
私はエミルの声にハッと意識を取り戻す。どうやら物思いに耽っていたらしい。
「ラミやんとユキメが来たで」
エミルが指差した方向を見ると、ラミとユキメが楽しそうに会話をしながらこちらに向かってきていた。
その表情は普段と変わりなく、何時もの、日常の顔そのものだった。
「おまたせジルド、遅れちゃってごめんね」
グロデスに強姦されたと言うのに、ラミは普段となんら変わりなく元気に話す。
一方、ユキメの方はエミルと会話する時になにやら『もじもじ』としていたが、なにかあったのだろう。重箱の隅をつつく気にはなれない
「それじゃあ、ミュウツーを探して三千里と行きましょう」
「そんなに歩くの?」
そんなまさか!私は『フッ』と笑みを浮かべてラミの頭をぐしぐしと撫でる。
「ジルド?どうしたの?」
普段このような事をしない私に、ラミは目を白黒させながら私に尋ねるが、私は「がんばろうね」とラミに呟き
エクトル市街から出る長い長い間道へ『非日常』の一歩を力強く踏み出す。


ACT11 貧民街

エクトル貧民街、そこに住む者はたいてい借金等を負い平民街に住む事の出来なくなった者達が集っている。
しかし、こういった所には日の光に堂々と当たる事の出来ない者達も住んでいる。
「ただいまシャドウ兄ぃ」
日が沈み切った貧民街にある小さなボロ屋に小さなアブソルの少女が元気な声を出しながら帰宅する。
「んー、ジュエルか・・・仕事の方はどうだった?」
シャドウと呼ばれたブラッキーは、頭に白いタオルを巻き、右手にねじ回しを持ち鉄の塊に何かをやっている所だった。
「割かし楽だったよ、近衛兵って聞いてたから強いのかと思ったら全然強くなかったし」
ジュエルと呼ばれたアブソルの少女は買い物袋代わりにしていた麻袋を肩から下ろすと麻袋の中から缶詰と札束を取り出す。
「これが今回の報酬だってさ」
「おいおい、やけに多いな・・・こりゃどういう風の吹き回しだ?」
鉄の塊を放り投げシャドウが札束を手に取り、まるで爆発物がついてるか調べるように札束を丁寧に調べ始める。
「んと、私はよく知らないけどロクス兄ぃなら知ってると思うよ」
ジュエルは、家の隅に置いてある埃で灰色になった冷蔵庫を開けると中からオレンの瓶ジュースを取り出す。
この家には冷蔵庫と台所とテレビ以外置いてなく他人が見たら殺風景だなと思うほど酷かった。
「兄ぃ栓抜きどこにあったっけ?」
台所についたジュエルが、シャドウに尋ねる。シャドウは無言で台所に備え付けてある引き出しを指差す。
「おっ、あったあった」
『ポシュ』栓が抜けた音が家の中に響き、ジュエルは二足立ちになり腰に手を当て風呂上りの一杯のように『グビグビ』とジュースを飲み干す
「ふー、うまい!」
瓶ジュースを飲み干したジュエルは瓶を台所に置くと、テレビのチャンネルを手に取り床に横になりテレビを見始める。
時間が時間なため、やっているテレビは普段見る番組と違う物がやっていた。
その中の一つの番組にジュエルは目をやる。
雌のリーフィアが燃えている花畑に絶望に満ちた表情を浮かべているシーンだった。
リーフィアが花畑に駆け込むとそこには雄のマグマラシが立っていた。
マグマラシ・・・ジュエルは、依頼で襲った雌のマグマラシの事を思い浮かべる。
自分と同い年に見えるほど小さく子供ぽかったマグマラシだったなぁ・・・たしかラミって呼ばれてたっけな
そんな事を考えてる内に番組は終わってしまう。ジュエルはテレビの電源を切ると床に落ちていた毛布を拾いあげ
それを自分にかけ目を閉じる。
眠る体勢に入ったジュエルの横ではシャドウが、さきほど放り投げた鉄の塊をねじ回しで解体している所だった。
ガチャガチャと金属音が響く中、ジュエルは不快な音をお構い無しで眠りにつく。
「よし、取れた」
それから20分ほどたった頃だろうか、鉄の塊は完全に分解されて鉄屑になっていた。
シャドウはその鉄屑の中から小さな黒い破片を手に取ると、それをなにも入っていない小さなガラスの筒に入れコルク栓で蓋を閉める。
「ジュエルは・・・もう寝たか」
シャドウは立ち上がると、近くで静かな寝息をたてているジュエルの所まで足音を立てずに向かう。
「俺達のところに来てもう4年か・・・」
シャドウが頬をソッと撫でると、彼の脳裏に4年前の光景が思い浮かぶ。
山奥の山村の近くで自分と相棒が人買いをやっていた記憶・・・そして母親に売られたジュエル。
それ以上先の事はシャドウは頭を振り、過去を振り払い4年前の光景を霞みにする 


「今帰ったぜ」
シャドウが丁度過去の光景を振り払った時に、ゴーリキーが家に戻ってくる。
「珍しく遅いなロクス」
「ああ、あの馬鹿士(ばかせ)の話を聞かされててな、なんか研究がついに完成するとか言ってやがってな」
ロクスは床に腰掛けると、寝ているジュエルに目をやる
「なんだもう寝てたのか・・・まあ時間も時間だしな」
「じゃあ研究が完成するから報酬も気前がよかったと言う事か」
シャドウは札束の一つを拾い上げそれを、ロクスに放り投げる。
「おっと」 「ナイスキャッチ」
放り投げられた札束を掴むとシャドウがロクスに向かって、親指を立て片目をつぶる
「これだけあれば、しばらくは仕事しないで住みそうだな」
「そうだな、この街にずっといてもいいんだが、ジュエルの発育に悪影響もありそうだしなここは」
シャドウはそう言うとジュエルの方を向く、傍で寝息をたてている少女にこの街以外の事を彼は見せたいと前々から望んでいた。
しかし、それには金がかかった。だから彼等はこの数ヶ月、ギルドから依頼された多少無茶な仕事や後味の悪い仕事にも
積極的に挑んでいた・・・だが、それも今日で終わったのだ。
今、目の前にある札束は向日2年は何もしないで暮らせるほどの量がある。
「ロクス、お前旅行できるとしたらどこ行くよ?」
「ふむ・・・ここ最近俺等は海を見てないな・・・それと雪をまた見たいものだな」
ロクスには考えがあった。彼が思うにジュエルはまだ一度も海と雪を見てないと思ったからである。
テレビの中の映像で海や雪の全てを知るには限度がある。何事も経験が必要なのだ。
「それじゃあ北の方へ行ってみるか・・・」
「そうだな・・・ついでにレインも連れてってやれ・・・あいつには何かと世話になってるしな」
レインとは彼等が仕事で家を数日留守にする時に、彼等の代わりになにかとジュエルの面倒を見てくれた雌のサーナイトの事であった。
「お前の言うとおりだな、たしかに俺達はあいつには世話になってるが、何も恩を返してないしな」
シャドウはそう言うと、自分の足元に散らばっていた鉄屑を集めゴミ箱にそれ等を放り込む。
手をパンパンと叩き埃を落とすと、シャドウはジュエルの近くに落ちていた毛布を拾い上げそれを自分にかける
「ま、後は明日話し合おうぜ・・・今日は眠いしな」
シャドウは『ふぁ~』と口を開きあくびをすると眠る体勢に入る。
「あ、電気消しておくれや」
最後にロクスにそんな事を言うと、シャドウは瞳を閉じ眠り始め、その後に続くようにロクスが電気を消して体に毛布を纏い眠りに入る。
次の日
朝一番に目を覚ましたジュエルが、隣でイビキをかいて寝ているブラッキーとゴーリキーを起さないように足音を消して
台所に向かう。朝起きたら必ず彼女は顔を洗い歯を磨く。全てを済ませた彼女は今度は冷蔵庫に向かい
昨日のうちに入れておいた缶詰を一つ取り出し中身を皿の上に乗せる。
ろくな食材がないこの家では缶詰が主食となっていた。牛肉の缶詰や実等を買ってきては非常に寂しい朝食を取る。
朝食を取っている時ジュエルはふと昨日のマグマラシの事を思い浮かべる。
ロクスの話では変な科学者依頼だと言うのだが、彼女にはそれがとても不安に思えてきた。
「・・・ふぅ」
皿の上に乗っかっていた魚の缶詰の朝食を終えると、ジュエルは皿を洗うために台所に向かう。
朝に皿を洗う時はなるべく音を立てないようにするのが彼女なりの気配りであった。
そのため、彼女は皿を洗う時に、前日に桶の中に貯めておいた水で皿を洗う事にしていた。
皿を洗い終えたジュエルは、床に座り込むと、自分の長くボサボサとした白い毛に爪を挟み、毛をぐるぐると爪に巻いたりして遊んでいた。
しばらく一人遊びをしていると家のドアを叩く者が現れる。
ジュエルは立ち上がると、二足歩行でドアに向かって『とてとて』と歩いていく。理由は四股では対話がし難いからである。
「はい、なんですか?」
ドアを開けると目の前にサーナイトが麻袋を肩に下げてたっていた。
「おはよージュエルちゃん、シャドウとロクスは起きてる?」
「んーん、まだ起きてないよ、とりあえずあがってレインさん」
ジュエルの招きにレインと呼ばれたサーナイトは「それじゃあお邪魔します」と言うと家の中に入る。
「朝っぱらからだらしない男共ねぇ・・・私はもう一仕事やってきたのに」
腰に手をあて口から『はぁ~』と重いため息を吐くとレインは麻袋からオボンの実を取り出しジュエルに渡す。
「朝ごはん、ろくな物食べてないと思うから買ってきたんだ、食べて」
「あ、ありがとうレインさん・・・」
オボンの実は値段から言えば高い部類に入る、そのためこのオボンの実をジュエルはまだ2~3度程度しか口にしたことはなかった。
床に座りこみ一口オボンの実を頬張ると、口の中にオレンの実とは違う独特の甘さが広がり、ぺろりとオボンの実を平らげる。
「うー・・・腰が痛いな・・・」
床に座り込んだレインが腰に手をあて、ドンドンと叩き始める。
彼女の仕事は水商売、体を売り生計を立てているが、それは彼女の親が残した借金のためである。
最近ではその借金も払い終わり、今はまともな暮らしを始めるための資金稼ぎに体を売っている。
ジュエルにはレインの体を売るという行動が、理解できなかった。
何故ならジュエルはシャドウに買われた時、強姦されその時に植えつけられた恐怖にいまだ怯えているからだった。
最初の頃はシャドウとロクスが恐ろしく、子犬のように震えている事しかできなかった。
だからこそ、そんな怖い事を自分から進んでやるレインの仕事はまったく分らなかった。
「あー・・・朝からあんなに激しい奴と当たるなんて・・・ついてないわぁ・・・」
腰をドンドンと叩きながらレインは、床に置いてあったテレビのリモコンを拾いテレビをつける。
「朝の臨時ニュースです、エクトル城、科学研究員所長のグロデス氏が研究の事故で死亡しました」
研究・・・その言葉にジュエルは再度あのマグマラシを思い浮かべる。テレビではまだその事について報道しており
エクトル城の風景から城の内部の映像に切り替わる。そこにはその当時現場に居たという胸の少々膨らんだルカリオと
ラッタが報道陣に囲まれていた。
「現場では一体なにが起きたんですか?それについて幾つかお答えしてもらいたいのですが」
マイクを突きつけさばさばと答える雌のエネコロロを尻目に、ルカリオはとくになにも言おうとしない
「あら・・・この街に雌のルカリオなんていたんだ・・・珍しいわね・・・」
レインが一人でなにかに関心をしていたが、ジュエルには関心する理由がまったく理解できずテレビの画面をただ見つめるだけだった。
「うーん・・・こいつら上司かなんかに口止めされてるわねぇ・・・たぶんこの場に居る理由は上司が来るまでの時間稼ぎでしょうね」
一人で何かを言い出したと思ったら、レインは自分の言葉に納得し始める。やはりその意味はジュエルには理解できない。
だが、彼女の言うとおり、しばらくすると一匹のキュウコンが煌びやかな貴族服を身に纏い二足歩行で画面に現れる。
「遅れてすみませんね・・・お前達はもう行っていいぞ、後で呼び出すからそれまで部署で待機していろ」
「分りましたアーク様」
ルカリオはただ一言そう言うと後ろにさがり画面から見えなくなる。その後すぐに報道陣からの質問攻めが
アークと呼ばれたキュウコンに殺到する。
「一体なにが起きたのですか?幾つかお答えください」
「早い話が事故です・・・グロデス氏の他にも数名ほど負傷者が出ていますが他にはこれといってなにも起きてはおりません」
始めはは爽やかな笑顔で応対をしていたが、エネコロロのこの質問で表情ががらりと変わる。
「午前あたりに研究室近くの廊下を突き破る青白い光があったと聞きますがそれについては?」
「・・・・・・現場に居合わせてはいないのでその質問にはお答えできません」
「・・・貴方は彼等の上司と私は思いますが、上司ならその辺の説明は部下から聞いてるとは思いますがいかがですか?」
エネコロロの鋭い指摘に、アークは一言「ぐっ」と漏らすとすぐに爽やかな作り笑顔をし話題を変えるために誤魔化し始める。
「この様子だとなにか隠してるわねぇ・・・叩けばいくらでも埃が出そうだわ・・・こいつ」
レインがそんな事を言っていると、シャドウが大きな伸びをしながら体を起す。
「ん・・・レインか、珍しく早いな・・・」
「まあ、ちょっとね・・・それより、ジュエルにもうちょっといい朝食取らしてあげれば?
缶詰1個が朝食なんて育ち盛りの体には栄養が足りないわよ」
「腰を叩きながら言う事じゃないがこれからは朝食にもちゃんと気を配る事にするよ」
「それでよし」
腰を叩きながら、レインは笑顔でシャドウにそう言うと、麻袋からオボンの実を取り出しシャドウに手渡す。
「お、サンキュ・・・珍しく豪勢だな・・・相手は貴族の金食い息子か?」
「ご名答」
苦々しい表情をしながらレインは親指を突き立てる。もう片方の腕はいまだに腰を叩いている。
「程ほどにしろよ、奴等はいい金を出すが乱暴だぞ・・・」
オボンの実を頬張りながらシャドウはレインに警告をする。レインは一言「心に留めておくわ」と、にこやかな表情で言う。 




ACT12 弱肉強食

日が昇り、徐々に部屋の中が窓から射す太陽光によって明るみになる。
木で出来ている壁には虫食いの後のような穴や割れ目が無数にできていた
床には鉄の破片がゴミ箱に向かって散らばり、ゴミ箱の近くには薄汚れた毛布が4つほど転がっている。
「ちゃんと捨てておいたはずなのになぁ」
塵取を持ったシャドウが二足立ちで箒を片手に塵取に鉄屑を入れながらため息まじりに掃除をする
「ちゃんとじゃないでしょう、もしジュエルが踏んだらどうするのよ」
腰を叩きながらレインはシャドウを厳しく叱責する。叱責されるシャドウは徐々に身が縮こまっていく
前にも一度、鉄屑をちゃんとゴミ箱に入れ損ね、ジュエルが踏んで泣いた事があった
それをレインが知っていればこの程度の叱責じゃすまなかっただろうなと内心思いながら掃除を続ける。
「シャドウ兄ぃ、私ちょっと遊んでくるね」
そんなシャドウを見ることが耐えられなくなったのかジュエルはそそくさと外に遊びにいく
彼女にとってシャドウはとてもかっこよく、とても強いというイメージを持っていた。
そのイメージをレインによって壊されつつあったため、ジュエルは家の外に出たのだ。
「ほらぁ、アンタのかっこ悪い姿を見てジュエルがどっかいっちゃったじゃないの」
「お、俺のせいかよ」
ビクリと身をよじりながら、シャドウは黙々と掃除を続ける。
その隣ではレインがまたテレビに目を向け箱の中から映し出される映像に見入っていた。
「それでは続いてのニュースです、近日中にレキスから王女コーデリア様が来訪する事が国から告知されました
レキスでは現在国王行方不明の一報が報じられてから何かと不安な情勢が続いておりましたが
王女の来訪で、多少なりとも情勢に動きがあったと思われます」
何時の間にか羽振りの良い身なりのキュウコンの尋問から、新しい話題に変わっており、レインの目を釘付けになっていた。
「へー、レキスから王女様が来るのか…どんな子なのかな?」
「さあな、風の噂じゃあ結構美人らしいぞ」
掃除終えたシャドウが冷蔵庫から、大きなマトマのスープの缶詰を取り出し缶きりで蓋を開け
レインの隣に座り込み、スプーンでそれをすすり始める。
「冷えてておいしいの?」
「ん?意外と美味いぞ、熱いものが冷めると不味いなんて思わないほうがいいぜ?」
スプーンをレインに向かってチラつかせながら熱弁をするシャドウ。よほど冷たいマトマスープの味がよいのだろうか
レインは心の中で今度自分も冷やしたマトマのスープを飲んでみようと心の隅に留めておく 
所変わってジュエル。家の外へ一度出ると、四方八方から住民の話し声が両耳に入ってくる。
家の位置が、貧困街の中心地に近い住居街にあるため、人通りも多く、なにより年が近い子供が多く住んでいた。
家を囲っている小さな柵を飛び越えると、人通りの多い、中心街の通路に向かう。
中心街の通路に着くと、いたるところに路上商人があふれ出す。道行く者に路上商は声をかけながら
怪しい物や裏ルートで入手したような様々な木の実を売りつけている。
そこを暫らく進んでいくと、今度は怪しい色香を撒き散らす綺麗な女性達が多くいる所に出る。
娼婦と呼ばれる彼女達は、道行く雄達に声をかけ、体を売っている。
以前彼女達を遠くから眺めていると、視線に気がついたベイリーフがジュエルに近づいて来た事があった。
そのベイリーフはジュエルの体と顔を見ると、「可愛いわね、将来いい娼婦になれるわよ」と言ってきた事があった。
それっきり、ジュエルは立ち見をやめ、その場をそそくさと通り過ぎる事に決めていた。
「お兄さ~ん、お時間あるかしら?いい娘がいるわよ」
呼び込みをする者達の声が四方八方から耳に入るが全てを聞き流し、一直線にその場を抜けるジュエル
ここを抜けた先には子供達が集まる公園があった。そこがジュエルの目的地だった。
しかし、周りを見ずに一直線に進んでしまったため、ジュエルは一匹のグラエナに正面衝突する。
「いっつ…前を見てあるけボケ!」
「ご…ごめんなさい…急いでたから」
ジュエルは一言謝るとその場からそそくさと逃げ去るように立ち去ろうとする。が
「ちょっと待てや、ごめんなさいで済ますなんていい度胸じゃねぇか」
後ろから飛び掛られ馬乗りされたような状態になるジェエル。グラエナは前かがみになり、重さに耐えているジュエルの頬を舌で舐める。
「中々可愛いじゃねぇか…そうだな、お前俺と寝るか、金を払うかどちらか選びな」
「え…」
それはどれもジュエルにとって厳しい選択だった。子供のジュエルにはグラエナが要求する金額など持っておらず
なにより、シャドウやロクスに迷惑をかけたくなかった。もう一つの選択肢はグラエナに犯されるという意味を持っていた
貧困街ではこのような事が茶飯事で起きているため、子供が大人に捕まり体を要求されても誰も助けようとしない
弱肉強食が世の常ではあるが、底辺に位置する子供にはこの貧困街という所は住みづらい所だった。
ジュエルの友人も大人に因縁を吹っかけられ犯された事は多々あったため、ジュエルは話を聴きながら
自分がそうならないようにしようと思っていたがこの様である。
「おい、どうするんだ?俺と寝るならここは丁度いい場所だぜ?寝る所には困らないからな」
周りには娼婦の他に、沢山の宿屋が存在している。ここの宿屋は俗にラブホテルと呼ばれ
大抵雄と雌、又は同姓同士が利用し、ベッドの上であつい行為を繰り広げている
「さあ、どうする?寝るか金か、お前も両親に迷惑かけたくないだろ?あぁん?」
再度頬を舐められ、ジュエルは観念したように一言「一緒に寝ます」と震えた声で呟く
「いい子だな、じゃあそこの宿屋にいこうか」
グラエナに連れられ、すぐ近くにあった貧困街にある宿屋にしては清楚な外見の宿屋に足を踏み入れる
「おう、親父!部屋を貸してもらうぜ」
「ん、クロイツじゃねぇか、またガキを引っ掛けてきたのか?少しはもっと年上も相手してやれよ」
宿屋の主人の年老いたアリゲイツは、グラエナの事を知っており、気さくにクロイツと彼を呼ぶ
「人様にぶつかって来たんだ、ちゃんと礼儀ってものを教えておかねぇとな、悪い大人になっちまう」
「ははは、公園のガキ共はお前にとって皆カモだな?」
「雄には興味ないさ、やっぱり犯るなら雌さ」
アリゲイツは鍵をクロイツに向かって放り投げる。クロイツは二足立ちになり鍵を掴むと、ジュエルを引きつれ部屋の鍵を開ける
「ほら、早くはいれ」
クロイツに後押しされ部屋の中にはいると、そこには清楚な外見とは裏腹のベッド一つしかない余りにも質素な部屋が待っていた。
部屋の中に入れられたジュエルは、ベッドに座り込むとクロイツに尋ねる。
「あの、公園の子供は皆カモってどういう意味ですか?」
「あ?あそこのガキ共はなにかとこの通路を走りぬけするからな、雄は金を貰うが雌には体で教えてやってるのさ」
ベッドの上で座り込むジュエルの隣にクロイツは腰をかけると、自慢げにいままで犯した者の種族名をあげる
「いままで俺が犯したガキは、お前の他に4匹いる、一匹はキレイハナ、二匹めはエネコ、三匹めはキノガッサ
四匹めはピカチュウだ」
クロイツの上げた種族名のうちキレイハナとピカチュウは犯された事があると話していた事を思い出す。
彼女達を犯した犯人につかまり、自分もその被害者5匹めになるのかと思うと、ジュエルは心底やりきれない気持ちでいっぱいになる
「さあて、じゃあお楽しみといこうぜ」
ジュエルを乱暴にベッドの上に押し倒したクロイツはそのまま彼女の唇を奪う。
息苦しさにもがくジュエルだが、子供の力でクロイツの体を押したところでどうにかなるものではなく、無駄な足掻きになっていた。
「ぷは・・・はぁ・・・はぁ・・・」
クロイツの口がやっと離れると、口からは唾液が糸をひきクロイツの口にくっ付いていた。
「うーん、俺がいままで犯した奴のなかでお前が一番可愛いな・・・これは犯りがいがあるってものだぜ」
そう言うとクロイツはジュエルの頬を舌で舐め徐々に上へと上っていく。
「ひゃっ・・・っ」
舌がジュエルの角に差し掛かると、奇妙な感覚に襲われ思わず声を漏らす。
「なんだ、ここがいいのか?」
ジュエルの角を舐める度に、彼女の口からは悲鳴に似た声が度々漏れ出す。その反応をクロイツは楽しみながら角を舐める。 
舌が角を下から上になぞる毎に、悲鳴似た彼女の声は次第に喘ぎ声に似始める。どうやら角が性感帯のようだ。
「へへ、上ばかり舐めちゃ不公平だもんな、すぐに下のほうも舐めてやるぜ」
そう言うとクロイツはまず、ジュエルの胸を覆い隠している純白の毛を片手で払いのける。
毛が払いのけられると、そこには多少の膨らみを持つ胸が露になる。膨らみの先には淡いピンク色をした突起が付いていた。
「へへへ、それじゃあサクランボを頂くとするか」
クロイツの顔が胸によりはじめ、口から舌が胸に向かって伸び突起を掬い上げるように舐め取る。
ピチャ・・・クチャ・・・チュ・・・
「んぅ・・・」
胸を舐められる度にジュエルの口からは喘ぎ声が発せられ、クロイツの興奮を徐々に高めていく
暫らく乳首を舐めていると今度はクロイツはジュエルに胸に勢いよくしゃぶり付く
「ひぁ!!?」
突然の事に吃驚し悲鳴をあげるが、すぐに声は喘ぎ声へと変わってゆく。
胸にしゃぶり付くクロイツは、舌で丁寧に口の中にあるジュエルの乳首を舐め彼女の理性を蝕んでいく
ちゅ・・・ようやく胸から口を離したクロイツだが、そのままもう片方の胸にしゃぶり付く。
舌で舐められる度に乳首の先は硬くなり、硬くなりきった乳首をクロイツは牙で甘噛みを始める。
「ひゃぁあ・・・・・・あぅ・・・」
甘噛みをされる度に舐めた時よりも激しくジュエルの口からは喘ぎ声が発せられる。
「どうだ?気持ちいいだろ?今度は今の倍気持ちいいからな、楽しみにしてろ」
胸を堪能したのか、乳首から口を離したクロイツはジュエルの頬すれすれまで自分の頬を近づけ、そんな事を呟く。
そしてクロイツはベッドから降りると、ジュエルの足を掴み腰近くがベッドの下に落ちるまで引っ張りクロイツはその場にしゃがみ込む
しゃがみ込んだ目線の先にはジュエルの幼い割れ目があり、足を掴んだままクロイツはその割れ目に顔を近づけそっと舌で
ジュエルのスジを下から上に舐め上げる。
「ひゃう・・・うぅ・・・」
されるがままに瞳に大粒の涙を浮かべて耐えるジュエル。抵抗した所でどうにもならない、昔シャドウに犯された時に悟った
言葉が、彼女の体を支配しどんな事をされてもただ耐える事しかできない。
くちゅ・・・くちゅ・・・
すじから顔を出したクリトリスを荒い舌使いで攻め立てるクロイツ
ベッドの上で無抵抗に唇を噛み締めるジュエルの力いっぱい閉ざされた瞼からは涙が雫となって白い絹の海に滴り落ちる。
「それじゃあ、お楽しみといこうか・・・」
クロイツはすっと立ち上がると、今度はジュエルの秘所に自分の逸物をあてがう。
「いや・・・それだけは・・・」
口で悲願をするが、クロイツは残酷な微笑みを浮かべると、勢いよくジュエルの秘所に逸物を差し込む。
「はぁぁっっ・・・ああっ・・・」
閉じられた瞼からは涙がぼろぼろと零れ落ち、痛みに体はビクビクと仰け反る
「なんだ・・・処女じゃないのか・・・まあどっちでもいいかがな」
ぐちゅ・・・
クロイツが腰を動かすたびに、秘所からは愛液が雫となりシーツの上に落ちる。
「はぁ・・・んんっ・・・く・・るしいよ・・・」
激しいピストン運動と共に、ジュエルの体が動かないようにクロイツは彼女に抱きつき無理やり彼女の体を固定させていた。
そのため、ジュエルは呼吸することが難しく口から取り込める僅かな酸素に頼っていた。
だが、それもクロイツの計算の内だった。彼女が呼吸困難で苦しむたびに秘所は力一杯クロイツの逸物を締め上げていたからだ。
「くぅ・・・いい締りだなぁ、こいつは上玉だぜ」
逸物が締め上げられる度にクロイツのピストン運動は激しさを増し、同時にジュエルの体を徐々に締め上げていく。
「あぁ・・・あぅ・・・」
呼吸困難と快楽の両方に攻められるジュエルは口をだらしなく開け、唾液をこぼし
獣の咆哮のような喘ぎ声とは到底取る事のできない唸り声のような声を発す。
クロイツの激しい打つけに目の焦点は定まらず、
彼の腰が股に当たるたびに視界を宙を泳いでいた。
そして、ついにそれを終わらせる時が迫る。
「くっ・・・そろそろイきそうだな・・・たっぷり中に出してやるぜ」
クロイツの声にジュエルが反応する。光の消えかかった瞳で、クロイツに何かを言いたげな表情で見つめる・・・。
しかし、クロイツはお構いなしにジュエルを貫き続けた。
グプ・・・ヂュプ・・・グチュ・・・
「出る・・・出るぞ!!」
その声の後だった。数回のピストン運動の後ジュエルの中にクロイツの精が吐き出される。
「ああぁぁぁ!!・・・ぁ・・・っ・・・」
ビクリとジュエルの体が仰け反った後、彼女の体はシーツの上に戻る。
クロイツはジュエルを抱きしめたまま暫らく息を整え、整え終えると彼女の体から逸物を引き抜く。
逸物が引き抜かれるとジュエルの秘所からはクロイツの精液が『とぽとぽ』と溢れ出していた。
クロイツはベッドの脇に置いてあった椅子に座ると、ベッドの上で荒い息を発しながら横たわるアブソルに目をやる
アブソルの顔は涙でぐしょぐしょになり、瞳は光を失い虚ろな淡い赤を讃えていた。
それから暫らくたち、アブソルはゆっくりと起き上がる・・・しかし虚ろな瞳は変わらず頬は涙で腫れ上がっていた。
「お家・・・に・・・帰らないと・・・・・・」
クロイツは窓の外にふっと目をやる、日は傾き黄昏時を伝えている・・・。窓からは娼婦達の声が先ほどよりも
元気よく響く・・・・・・。彼女達の時間・・・闇の快楽の時間が始まろうとしていた。
「気をつけて帰れよ・・・また遊んでほしければ俺の所にきな、ハハハハ!」
椅子の上でクロイツは笑い声を上げながら、『とぼとぼ』と立ち去るジュエルの哀愁漂う背中を見送る。
部屋の外を出たジュエルは、部屋の入り口の前に置いてあった椅子に腰掛けるムウマージに出くわす。
「やっと終わったのね・・・長い事お楽しみだったようね」
ムウマージは手を唇にそっとあて『くすり』と小さな笑い声をあげる
「どきなさい、私はその部屋にいる男に用があるの・・・貴方に用はなくてよ?」
強引にドアの前からジュエルは押しやられ、ムウマージはドアを開け中へと入っていく。

その時、瞳に映ったの・・・彼女の手には小さな短剣が握られているが・・・


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