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戦乱の果てに の変更点


[[名も無き人間]]
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此処はポケモン達が住む星。多くの地域や国があり、多くのポケモンが暮らしていた。

資源が豊富で、気候も安定して正に理想郷だった。

しかし一つの大国がそれらを独占する為に名乗りを上げ始たのだ。

反旗を翻したのは東国の軍事国家ウリューノス。

大規模な軍事化が進み、資金面が滞った結果だった。

東国と言っても同じ場所に城を置くわけでは無い。常に移動している。

北国、そして西国は既に支配下になっていた。数多くの死者を出して。

そして豊かな土地を持つ南国ドゥロールも対象に侵略を開始したのだった。

ウリューノスは数に物を言わせ、次々と侵略を進めていった。

しかしドゥロールにも有能な戦士が多く、侵略は一進一退を続けていた。

そして開戦から既に数十年続き、今も侵略の戦争が繰り広げられていた。

この物語の主人公は幼きより武術を習い、ウリューノスの将軍になったポケモン。

種族はバクフーン。名前はクレハ。通り名も様々な呼び名がある。

紅蓮の鬼神・業火の悪魔。その名の通り敵はおろか味方すら恐れる存在だった。

クレハが一匹のポケモンと出会い、変わっていく姿を描いた物語である……
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俺の名はクレハ。歳は18だ。名前は本名じゃなく…俺が自分で付けた。

幼い頃、戦争で両親と妹を亡くし、仇を討つためウリューノスに加わった。

ドゥロールが憎いわけじゃないが今の俺には戦しか頭に無かった。

一平卒から将軍になるまで…俺は沢山のポケモンを殺してきた。

北国や西国…そこの兵士達を。

だが最近俺はウリューノスのやり方に疑問を抱くようになってきていた。

民間人を躊躇無く殺し…雌を捕虜にして売春小屋に監禁する様になっていたんだ。

俺がウリューノスに加わった時は無かった。ただ領地を広げているだけだった。

いや、そもそも変わり始めたのは前の国王が病死した事から始まった。

今の国王…ヴァイスが王位を継承してから変わり始めた。

前の国王は無駄な侵略するでもなく、周りを屈服させて国を築いていた。

だがヴァイスは…根っからの野心家だ。

王に逆らった者は将軍だろうが関係なく処刑される。

今までに配下になった敵国の王族等も次々と処刑していった。

既に四将軍居たウリューノスも、既に俺ともう一人を残して消えてしまっていた。

夜な夜な逃げ出す兵も少なくは無い。事実、何度も目撃しているしな。

だが俺は見て見ぬ振りをした。誰も個々の人生を束縛する事は出来ないからな。

ドゥロール攻めを始めて数十年…兵の数は半数を下回っていた。

今日も俺はドゥロールが構えた砦を墜とし帰還してきたばっかりだ。

今回も多くの敵兵の命を奪ってしまった。俺のやってる事は正しいのだろうか……

ふと売春小屋を見ると、今日も新しい雌が運ばれていった。

捕虜と称して性奴隷として監禁する。ヴァイスがやり始めた事だ。

中には年端もいかない子供まで……これが俺の信じた国なのか……

「クレハ将軍!国王様がお呼びです!謁見の間までお越し下さい!」

「言われずとも向う積りだ。一つ聞いて言いか?」

「はっ!何なりとお申し付け下さい!」

「あの雌達はどこから連れて来たんだ?」

暫く眺めてると、兵士が俺を下に来て国王が呼んでる事を伝えに来た。

言われなくても報告には行く。そして要らぬお褒めの言葉を頂く。

俺は何の為にポケモンを殺すのだろうか……

復讐の為?仇を討つため?違う……俺は意味も無く戦争に参加している……

ふと気になり、俺は兵士にあの捕虜達がどこから来たのか尋ねてみた。

「はっ!ドゥロール領内より捕虜として送られました!」

「捕虜だと!?捕虜を売春小屋に送るのか!?」

「も…申し訳在りません!言葉が適切ではありませんでした!」

「いや…俺も済まない。伝言ご苦労だったな。」

兵士はドゥロールから送られた事を教えてくれた。

市街の無抵抗な民間人を捕虜にし、売春小屋に送る……

俺は気付かない内に兵士の胸元を掴み上げていた。

兵士は恐怖に引き攣った様な表情で俺を見て謝ってきた。

俺も直ぐに兵士を下ろし謝ると、謁見の間に向った。
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そこには毎日同じ光景が広がっている。

国王の両隣に親衛兵。そして国王の前には性奴隷。

歳は判らないが……恐らくまだ俺より下だろうと思う。

目に涙を浮かべながら国王の醜い部分を舐めていた。

「国王様。砦攻略戦よりクレハ、ただいま戻りました。」

「おぉ…ご苦労だったな。どうだ?お前も戦の疲れを癒さんか?」

「いえ、恐れながら鍛錬がありますので、これで。」

「堅物じゃのぉお前は。なかなか気持ち良い物だぞ?うっ……」

「失礼致します!」

俺はなるべくそれを見ないように頭を下げ、帰還した事を国王に伝えた。

国王は俺に気付くと思ってもない労いをし、俺にも売春奴隷を勧めてきた。

勿論、俺にそんな趣味は無い。雌に興味が無いわけじゃないが強姦の趣味がないだけだ。

俺は鍛錬があるからと断り、再び頭を下げた。国王は俺を殺せない筈だからな。

俺を殺せば紅蓮の鬼神という守護将軍を失うからな。一気に攻められる事になる。

すると国王は皮肉の言葉を投げ掛けると、小さく喘いだ。

その瞬間舐めていた雌が苦しそうな声を上げていた。

これ以上居たら国王を殴りかかりそうだ。俺は足早に謁見の間を後にした。
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「よぅクレハ!今回も味方全員帰還させたらしいな!」

「シックル……お前も無事だったか。」

「へっ!あの程度の出城で俺は殺せねぇぜ!」

「油断はするなよ。お前と言えど一匹のポケモンなんだからな。」

「わぁってるよ!相変わらず頭かてぇなぁ……んじゃぁな!」

謁見の間を出ると一匹のポケモンに声を掛けられた。

シックル将軍。ニューラだ。俺の戦友で、同じ最後の将軍。

シックルは俺の戦績を褒めているようだった。俺は何時も通り働きをしたまでだが。

シックルは確か中央砦の攻略に出向いてた筈だ。無傷とは凄いものだ。

俺はシックルに遠巻きに忠告をすると、シックルは頭を掻きながら去っていった。

……鍛錬まではまだ時間があるな…俺は出向かなくても良いんだが。

さっきの雌達が気になるな……気が引けるが売春小屋に行くか……。
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「これはクレハ将軍!砦攻略戦お見事でした!見事なお働きで!」

「俺は何時も通りだ。それより今日来た奴等は何処だ?」

「はっ!あちらの大部屋に収容されてます!お好きな雌をお選び下さい!」

「俺は捕虜を強姦する趣味は無いんでな……不愉快な事を言わないでくれ。」

「ひっ……も、申し訳在りません!」

矢張り何処へ行っても俺への媚びは在る様だ。こいつも俺を褒めてくる。

出世したければ働きによって出世すれば良い物を……

俺は番兵に今日来た捕虜の場所を聞いた。聞かなければ判らない人数だからな。

番兵は奥の大部屋を指差し、好きな雌を選べとぬかしてきた。

俺は番兵を睨み付け、奥の部屋へと向った。後ろから謝罪の声が上がっていたがな。
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俺が扉を開けると一斉に雌が俺を見てきた。恐れの表情でな。

ドゥロールの民間人を性奴隷に監禁するのか…何と言う事を……

そして俺は見付けた。まだ年端も行かない雌を。まだ子供の風貌だ。

ロコンだった。しかしそいつは怯えの様子は一切無かった。

「其処のお前。俺について来い。」

「……。」

俺はそのロコンを見て、呼んだ。

しかしロコンは俺を睨んで見てきた。普通は恐怖を感じる筈なのに。

俺はアゴで付いてくる様に言い、その場を後にした。

ロコンはそのままの表情で後を付いてきた。

もし逆らえば殺される事は知ってるようだな。無論、俺にそんな気はないが。

その部屋の更に奥へ行くと複数の個室がある。言わば性欲を晴らす場所だ。

俺はそこの一番手前の部屋にロコンを入れさせ、扉を閉めた。
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「お前、歳は?」

「14歳だ。」

「何故そんなガキのお前が此処に居るんだ?売られたわけでも無いだろう?」

「ガキじゃない!私の名はがーねっ……っ!?」

俺はまだ睨んでいるロコンに歳を尋ねた。気になってからな。

するとロコンは自分の歳だけ言って、顔を背けた。やけに様子が落ち着いてるな……

俺が何でガキのお前が居るのか尋ねると少し怒った様子だった。

そして自分の名を言おうとした様だったが途中で口を両手で押さえてしまった。

ガーネ。それがロコンの名前らしい。口を塞いだのは逆らったからだろう。

「ガーネ。今俺に反論して逆らったよな?どうなるか解ってるだろうな?」

「私はお前等なんかに屈したりしない!殺したければ殺せ!」

「そうか。なら……こうしてやる!」

「っっ!?」

俺は名前を呼び、逆らったらどうなるかを聞いてみた。

するとガーネはあくまで反抗の態度を示して、俺を睨んできた。

子供でこのような威風を持つ奴がドゥロールに居るのか……。

だから俺はわざとらしくガーネに手を振り下ろした。

矢張りそれには怯えた様で、全身を強張らせて目を堅く閉じていた。

だが俺はガーネに果物を渡した。腹が減ってるだろうからな。

「な…なんの積り?変な薬でも盛ってるんじゃ……」

「俺はお前の様なガキに興味は無いんだ。良いから黙って食え。」

「ガキじゃないって言っただろ!馬鹿にするな…ぁ……」

「ふふ…腹は正直みたいだな?安心しろ。薬等仕込んでいない。」

ガーネは果物に目をやりながら俺を見てきた。薬を盛ってると思ったのかもな。

俺はガキに興味は無い。それを伝えて食べるように伝えた。

だがガーネはまたガキと言われた事に逆上して怒鳴ってきた。

だがそれと同時にガーネの腹から音が鳴った。ガキはガキらしくしてれば良いんだ。

俺は半分割って自分で食べて、安全な事を伝えた。

「敵の…情けなんか……」

「食わないのか?なら俺が…」

「っ!」

「ふっ…それで良いんだ。」

だがガーネは敵の俺から恵まれた事に不服なようで、口にしようとしない。

だから俺はわざとらしく食べる振りをした。

するとガーネは直ぐに奪い取って、勢い良く食べ始めた。やはり腹が減ってたんだな。

俺はその様子を見て久し振りに笑みが零れていた。

「美味いか?」

「……美味しい。」

「遠慮しないで食え。」

「あ…ありが…とう。」

俺はガーネに味を聞いてみた。嫌いな果物だったら悪いからな。

だがガーネは静かに美味しいと言った。それなら問題は無い。

おれが遠慮しないよう言うと、ガーネは小さく御礼を言った。

だが腑に落ちない。何故このような子供が此処に……

ドゥロールのスパイか……?いや、それならとっくに反撃してる筈だ。

まぁ……こんなガキがスパイの類な筈ないか。

「まだ食うか?」

「……もう良い。」

「そうか。なら、これを首に着けろ。」

「これは……?」

さすがに果物半分じゃ腹に溜まらないだろうな、俺はまだ食うか聞いた。

だが遠慮しているのか、ガーネは首を横に振っていた。

それを見ると、俺は袋から首飾りを出して手渡した。

ガーネはそれを興味深そうに眺めてから、俺を見てきた。

「妹の誕生日に渡す筈だった物だ。」

「じゃあ、何故妹に渡さないんだよ?」

「もう居ないんだ。侵略して来た奴に犯されて……斬り殺された。」

「ご…ごめん。えと…気の毒に。」

俺は妹に渡す筈だった物だと言うと、ガーネは何故自分に渡すのか分からなかったようだ。

あまり言いたくないんだがな……俺は渡さない理由を話した。

渡したくても……もう渡せない……

ガーネはそれを聞くと、少し悩んでから気の毒にと言ってきた。

ガキの癖に気遣いは出来るみたいだな。

「とにかく、これと付け替えろ。これを着けてれば誰も手を出さないからな。」

「何故?まさか呪われた首飾りとでも言うの?」

「ある意味間違ってないかもな。用はそれだけだ。俺はもう行くぞ。……っと、そうだ。」

俺はこれを着けてれば安全だと言って、首飾りを着け代えてやった。

ガーネは少し笑いながら呪われた首飾りなのか聞いてきた。

そんな本の話じゃない事はありえないが間違いでもない。

首飾りの真ん中に俺の紋章を彫ってあるからな。見れば誰も手を出せない。

それだけを伝えると俺は鍛錬に行く為に戻ろうとした。が、忘れてた事があった。

「な…何だよ?」

「これをやる。同じ部屋に居る奴等と食え。また来るから余り問題を起こすなよ。」

「……。」

ガーネは少し後退りしながら俺を見上げてきた。まぁ、威圧感はあるんだろうからな。

俺は持っていた食料を全てガーネに手渡した。雌達と食うように伝えてからな。

ガーネはそれを抱えながら不思議な表情で俺を見ていた。

「ほら、とっと戻れ。またなガーネ。」

「あ、待ってよ!お前の名前はまだ聞いてないぞ!」

「……クレハだ。業火の悪魔…と言えばお前も知っているだろう?」

「っ!?お前が……」

いつまでも見られたら居辛い。ガーネに早く戻るように行って、俺も出て行こうとした。

しかしガーネが俺の名前を聞いてきた。そういえば教えてなかったな。

まぁ教える必要も無いんだろうがな。業火の悪魔だと教えるとガーネは驚いていたな。

俺は名前を教えてから入り口に戻っていった。
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「おい、今日来た捕虜の中にロコンが居るだろう?そいつは俺が貰う。誰にも渡すなよ。」

「と、言いますと?」

「アイツは俺だけに回せ。と言う事だ。何か不満があるのか?」

「い、いえ!了解しました!他の者にも伝えておきます!」

そしてさっきの番兵にロコンの事を伝えた。念の為にな。

番兵は俺の言葉が理解出来なかったようで聞き返してきた。

俺は再びロコンは俺だけに回す様に言ってから睨みをきかせた。

まぁ、これで大体は済む。俺が睨むと…そんなに恐ろしいのだろうか……

「首飾りに俺の紋章があるから、その必要もないと思うがな。邪魔したな。」

「い、いえ!とんでもございません!またいらして下さい!」

「また邪魔する。」

と、言っても首飾りに俺の紋章が刻まれてるから見るだけで避ける筈だ。

俺は番兵に軽く挨拶するとその場を後にした。

番兵も俺の後を付いて来て、また来いと言ってきた。

どれだけ俺に媚を売ろうとしてるんだ……情けない。

軽く返事をすると修練場へ向った。普通は一平卒が集まる場所だがな。
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「クレハ将軍!?御会いできて光栄です!」

「凄い…クレハ将軍だ……」

「邪魔して悪いな。一緒に鍛錬させてもらっても良いか?」

「そんなっ!ありがたいです!よろしくお願いします!」

俺が来るとその場に居た全員が驚いてたな…まぁ、無理もないか。

シックルが言うには一平卒の憧れらしいからな。良く分からんが。

俺はその場に居た教官に一緒にやらせてもらう事を願った。

教官は逆に俺に頼んできた。こういう時に立場が邪魔だ。俺より年上なのに。

この時間だけが気の休まる時間と言って良い位俺が気に入ってる時間だ。

その時だけは紅蓮の鬼神と呼ばれてる俺も一平卒に戻れた気持ちになれるからな。

誰を殺すでも無い、ただ腕を磨くだけの時間。いつかこんな世が来るのだろうか?

こいつ等一平卒も訓練を終えれば実戦に送り込まれる。生きるか死ぬかの戦場に。

……結局その日は日が沈むまで鍛錬をして過ごした。任務が無い時は暇だからな。

「ふぅ……久し振りに良い汗が欠けた。邪魔して悪かったな。」

「とんでもないです!またお願いします!」

「それは俺からもお願いしたい。また来させてくれ。」

「はい!お待ちしてます!」

最近ずっと戦ばっかりだったからな…良い汗を欠いたのは久し振りだ。

その事の礼を言ってから、俺は宿舎へ向った。

教官も同じ宿舎のようで、俺の後に続いて俺への礼を言っていた。

そして俺は自室へ、教官も自分の部屋へ向かっていった。
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部屋に着くと俺は何時ものようにベッドに寝転がった。

そしてガーネの事を思い出していた。やはりアイツは妹によく似ている。

勿論種族は違うが……雰囲気がソックリだった。

一応念は押したが…空いてる時は見に行った方が良さそうだな。

だがガーネはドゥロー王家の血筋を引く者なのは確かだった。

王家の者が捕虜になる等在り得るのだろうか?

そもそも何故あのような子供が捕まる様な場所に……

分からない……。まぁ、考えても仕方ない。明日に備えて休むとしよう。

「クレハ将軍!大変です!」

「どうした?」

「ドゥロールの軍勢が我が城に攻め込んできました!直ぐに救援を!」

「何だと?直ぐ向う。お前は伝令を続けてくれ。」

「はっ!」

しかしそういう時に限って邪魔が入る。見た所新鋭兵の様だな。妙に慌てている。

わけを聞くとドゥロールの軍勢がこの城に攻めてきたと言ってきた。

今までドゥロールが攻勢に出た事が無いから正直驚いた。

だが俺は直ぐに向う事を伝え、鎧と剣を持ち城門へ向った。
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そこには既に数十人の敵が攻め入って来ていた。

シックルは居ないか……恐らく国王の護衛にあたっているんだろうな。

「クレハ将軍が来てくれたぞ!一気に押し返せ!」

「あれは業火の悪魔!?態勢を立て直せ!一気に突破する!」

「また…やらなければいけないのか……。」

俺に気付いた味方は一気に士気が上がって防戦から攻めに入っていた。

敵も気付いたようで俺から距離を置いて武器を俺に構えてきた。

正直避けられるものなら裂けて通りたい。だが…それも無理みたいだ。

俺が剣を構えると敵は一斉に攻め掛かってきた。

勝てないと分かってて突撃してくるのか……

まだ距離がある。俺は火炎放射を前方に放って先手を取った。

速度も十分出てたようで、それで殆どの敵は焼け死んでいた。

「くそ……退け!退いて体勢を立て直せ…ぐあぁ!!」

「遅かったなシックル。どこで油を売っていた?」

「しゃぁねぇだろ、護衛をしてたんだからよ。ま、グッドタイミングだったな。」

「ったく。武器も持たずに。」

不利になったと悟ったのか、部隊長と思われる一人が撤退を決めた。

逃げるのなら追いはしない。……する必要も無かったがな。

入り口に突風が発生して逃げた敵を切り刻んでいたからな。

大体は予想していた。少し経ってからシックルが得意げに登場したからな。

やはり国王の護衛をしていたらしいな。武器も持たずに護衛とは……

「俺の武器はこの爪だろ?鎧ごと切り裂けるからな。」

「どちらにしろ、お陰で片が付いた。外の奴等も撤退するだろう。」

「に、しても…何を考えてるのかねぇ?城に攻めてくるなんてよ?」

「あぁ、俺も気になっている。功を急いたのか何か目論見があるのか……」

そんな事を考えているとシックルは自分の爪が武器だと言い張ってきた。

確かにそこらの剣よりも鋭いから間違いじゃないんだがな。

シックルの放ったカマイタチは残った敵全員を切り裂いていた。

速さじゃ俺よりもシックルが上だ。それはお互いに知っている。

だが何故城に攻めてきたのだろうか。シックルも理解出来ないようだ。

陽動作戦か?それにしては何も起こらない……何か他に目的があったのだろうか。

「んじゃ、俺は寝るぜ。どーせお前は見張りをするって言うんだろ?」

「当たり前だ。隙を突かれたら不味いからな。」

「あ~あクソ真面目なこった。ま、お前なら安心だ。頑張れよ。」

「あぁ。援軍感謝する。」

シックルはそれ程気にしてないようで、大きな欠伸をし、寝ると言って来た。

これでも漆黒の鎌の通り名を持つ将軍なのかと疑いたくもなる。

シックルは俺が見張りをすると思っていたみたいだ。無論その積りだが。

少しは真面目になってもらいたいものだ。

シックルに援軍を感謝してから、俺は城の内外を見回り、安全を確認した。

矢張り陽動作戦では無い様だ。そうなると一体何の為に攻撃を?

明日総攻撃を仕掛ける為の戦力の確認?それなら偵察で済む筈か……。

考えても答えは出ない…か。

「怪しい奴は見なかったか?」

「これは、クレハ将軍!?はっ!誰一人見掛けておりません!」

「そうか。お前も無理をせず休める時に休んでおけよ。」

「はっ!」

城門を閉めたからこれで正面突破は在り得なくなった。

俺は場内を見回ってた兵士に不審者が居なかったか尋ねた。念の為にな。

だが特に異常は無さそうだった。たんなる脅しだったのか?

くそ…鍛錬のせいもあってか眠くなってきた。

「クレハ隊長。後は我々にお任せ下さい。隊長は御休みになられて下さい。」

「済まない。後は頼んだぞ。」

「はい!」

そんな時気遣ってくれたのは俺の部下だった。見張りをしていたらしい。

何より信頼出来る部下達だ。後は任せて大丈夫だろう。

見張りを任せて俺は自室で遅めの睡眠をとった。



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シーンに合わせて横線いれてみたけど…見難いかな……(汗
#pcomment
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ありがとうございます!期待に応えられるように努力します!<<名無し氏

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