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守護の力 十七、十八話 の変更点


written by cotton 



十七, See you again、再会の約束


「…フタリに吉報。此処からなら…破壊者の直轄地はもうすぐよ。大体一日二日あれば着くくらいかな?」 
「ホント!?」 
その知らせを聞いて、飛び跳ねて喜ぶロヴィン。 
「…そうか。もうそんな所まで来てたんだな…」 
「…ディフ」 
レーシャが照れくさそうに言う。 
「大丈夫とか言っといてこんなこと言うのも可笑いけど…、帰ってきてね」 
その目には、溢れんばかりの涙を溜めていた。 
「レーシャ…」 
氷石の輝きが、胸に苦しい痛みを生じさせた。 
「…大丈夫だ。絶対に帰ってくる」 
俺にできることなんて、ただ言葉で安心させることしかない。でも、彼女にまた辛い思いをさせるのは嫌だから。もう、あんな辛い顔は見たくないから。 
「…約束よ。あの時の場所で、待ってるから…、」 
雨と涙で濡れた顔。その顔に浮かべた笑みは、どんな星空より、どんな月より眩しかった。 
「また会いましょう。」 



「隊長…。今回のことがバレたら左遷は免れませんよ…?」 
「…そんなものが怖くて、任務に逆らえると思う?」 
ディフ達を見送った後にはフタリの少女が残った。戦いの痕を消そうとするかの如く、小雨が降り続いていた。 
「私が本当に怖いのは、彼が貫いた道が閉ざされてしまうこと。あのコを護り通すっていう、強い意志」 
「彼は…帰ってくると思いますか…?」 
「正直…分からないな」 
空は闇に染まろうとしている。夜はそこまで迫っている。 
「でも私は、彼が望む結果を迎えられれば、それでいい」 
速く通り過ぎる雲。前方の空には、雲の隙間から星々が光を覗かせていた。 
「…待ちますか?彼が帰ってくるのを」 
「…勿論、待つよ。」 
その星々の中の、白い輝きを見つめた。 
「約束したから。待つよ、いつまでも…」 



ー月光に照らされた"月の祭壇"には、二つの姿があった。 
「…ハヤテ。これはどういうことだ?」 
「…正直、俺もあんまり把握してないんスよね…。その時は破壊者の定期支援に行ってましたから…」 
月を見上げて話す、月の守護神:クレセリアと、聖天士官:ハヤテだ。 
「えぇっと…任務内容には"同勢力への攻撃を行った"、とありますが…」 
「…月は見ておられる。あやつは濡れ衣を着せられただけではないか」 
「…あいつは守護の役割に誇りを持っています。俺にも、あいつがそんなことをするとは思えません。では、指令の撤回を…」 
「いや」 
急に、ハヤテの方を振り向いた。あまりに突然だったため、身体に緊張が走る。 
「その破壊者を送ったら、あやつは隊を降りると言っておる。私には、あやつのような精鋭を失うのは痛手でな」 
「…同感です。ではどうすれば…」 
「撃破はせずともよい。捕縛さえすればいいのだ。話はその後で着ける」 
そう言うと、再び月の方を向いた。 
「…あやつも馬鹿な奴だ…。自分を犠牲にしてでも誰かを護りたいとは…。私はそういうのは好きだがな」 
クレセリアの含み笑いが、彼にはどこか恐ろしく感じられた。 
「何を…企んでおられるのです…?」 
「さあ…な。私にもよく分からぬ。全てはあやつの心次第だな…」 
彼女は天を仰ぎ、傾き始めた月を眺めていた。 



十八, 護る力は全てを超えて


晴れていてもこの森は涼しく、薄暗い。はしゃいで駆ける彼女の姿も、気を抜くと見失いそうだ。…当然か。久しぶりに帰れるんだから。 
森は静かだ。音がしないという意味ではなく、いつも通り、自然な静けさ。風の音も、生き物達の鳴き声も。 
時々零れる陽の光。その光は暖かく、眩しい。当たり前の筈なのにそう感じるのは、最近あの蒼空を翔んでいないからだろうか。 
あの蒼空を守るのが聖天の使命。でも、今の俺はただヒトリの少女を護るだけの守護者だ。 
当然この行為が許されるとは思っていない。また前のように蒼空を守れるとも思っていない。 
でも、この少女だけは護らなければならない。ヘマしたのは俺の責任だし、なにより、 
ー俺が護り通すと言った、護るべき者だから。 



あっという間に夜になった。結局今日中には着けなかったか…。…仕方ないか。フタリとも疲れは溜まっているし。特に俺はこの距離を歩くのに慣れていないからな。その事に関してはこいつは文句も言わないし。 
薄らと笑みを浮かべて眠るのを見てると、出会ったあの日のことが思い出された。 
あの時はただ俺のことを恐れてて。"リーダー"に似てる、ってことで協力してくれたけど。 
…もうすぐ別れる時がくる。その時も笑顔でいられれば… 



ー…ッ!? 
何だ…? 
頭を貫くような感覚がする。その感覚に支配され、一気に眠気が襲ってきた。 
ーこれは…催眠術…? 
なんとかさっき残しておいたカゴを食べた。だが、かじっただけではただ効果を薄めただけ。術はまだ続いているのか、その感覚は未だ残る。 
ーここまで来て…、 
右翼に力を込め、術の本体を探る。波長の流れが…いた。この方向だ。 
ー負けられっかよッ!! 
「空翼ッ!!」 



「おっと…見つかってしもうた…」 
「何の…つもりだ…?」 
木々の間から現れたのはヨルノズク。 
「流石はディフはん、といったとこか。一発でわいの位置見抜くとは…。まぁ…催眠術は効いてるみたいやな」 
「邪魔は…させねぇ…!」 
「そんな眠そな眼で言うても、全然怖ないで?」 
「…聞く気はない、か。それなら…、」 
身体に力を込める。その姿を彼はただ嘲笑う。 
「ゴッドバードでっか?ブレイブバードでっか?そんなリスクの高い技、その身体でよう使いますなぁ…」 
「どっちも…外れだ!」 



力を一気に開放する。辺りに旋風が巻き起こった。その風に、翼を乗せる。 



ー鋼の強さを両翼に、 
羽根は、追い風をも切り裂いてゆく。 
ー鋼の勇気を魂に。 
速度は増してゆく。恐れはない。護るべき者を護るのだから。 
ー打ち砕かん。目の前を遮る者全て。 
「剛翼:メタルグライドッ!!」 



written by cotton 



十七, See you again、再会の約束


「…フタリに吉報。此処からなら…破壊者の直轄地はもうすぐよ。大体一日二日あれば着くくらいかな?」 
「ホント!?」 
その知らせを聞いて、飛び跳ねて喜ぶロヴィン。 
「…そうか。もうそんな所まで来てたんだな…」 
「…ディフ」 
レーシャが照れくさそうに言う。 
「大丈夫とか言っといてこんなこと言うのも可笑いけど…、帰ってきてね」 
その目には、溢れんばかりの涙を溜めていた。 
「レーシャ…」 
氷石の輝きが、胸に苦しい痛みを生じさせた。 
「…大丈夫だ。絶対に帰ってくる」 
俺にできることなんて、ただ言葉で安心させることしかない。でも、彼女にまた辛い思いをさせるのは嫌だから。もう、あんな辛い顔は見たくないから。 
「…約束よ。あの時の場所で、待ってるから…、」 
雨と涙で濡れた顔。その顔に浮かべた笑みは、どんな星空より、どんな月より眩しかった。 
「また会いましょう。」 



「隊長…。今回のことがバレたら左遷は免れませんよ…?」 
「…そんなものが怖くて、任務に逆らえると思う?」 
ディフ達を見送った後にはフタリの少女が残った。戦いの痕を消そうとするかの如く、小雨が降り続いていた。 
「私が本当に怖いのは、彼が貫いた道が閉ざされてしまうこと。あのコを護り通すっていう、強い意志」 
「彼は…帰ってくると思いますか…?」 
「正直…分からないな」 
空は闇に染まろうとしている。夜はそこまで迫っている。 
「でも私は、彼が望む結果を迎えられれば、それでいい」 
速く通り過ぎる雲。前方の空には、雲の隙間から星々が光を覗かせていた。 
「…待ちますか?彼が帰ってくるのを」 
「…勿論、待つよ。」 
その星々の中の、白い輝きを見つめた。 
「約束したから。待つよ、いつまでも…」 



ー月光に照らされた"月の祭壇"には、二つの姿があった。 
「…ハヤテ。これはどういうことだ?」 
「…正直、俺もあんまり把握してないんスよね…。その時は破壊者の定期支援に行ってましたから…」 
月を見上げて話す、月の守護神:クレセリアと、聖天士官:ハヤテだ。 
「えぇっと…任務内容には"同勢力への攻撃を行った"、とありますが…」 
「…月は見ておられる。あやつは濡れ衣を着せられただけではないか」 
「…あいつは守護の役割に誇りを持っています。俺にも、あいつがそんなことをするとは思えません。では、指令の撤回を…」 
「いや」 
急に、ハヤテの方を振り向いた。あまりに突然だったため、身体に緊張が走る。 
「その破壊者を送ったら、あやつは隊を降りると言っておる。私には、あやつのような精鋭を失うのは痛手でな」 
「…同感です。ではどうすれば…」 
「撃破はせずともよい。捕縛さえすればいいのだ。話はその後で着ける」 
そう言うと、再び月の方を向いた。 
「…あやつも馬鹿な奴だ…。自分を犠牲にしてでも誰かを護りたいとは…。私はそういうのは好きだがな」 
クレセリアの含み笑いが、彼にはどこか恐ろしく感じられた。 
「何を…企んでおられるのです…?」 
「さあ…な。私にもよく分からぬ。全てはあやつの心次第だな…」 
彼女は天を仰ぎ、傾き始めた月を眺めていた。 



十八, 護る力は全てを超えて


晴れていてもこの森は涼しく、薄暗い。はしゃいで駆ける彼女の姿も、気を抜くと見失いそうだ。…当然か。久しぶりに帰れるんだから。 
森は静かだ。音がしないという意味ではなく、いつも通り、自然な静けさ。風の音も、生き物達の鳴き声も。 
時々零れる陽の光。その光は暖かく、眩しい。当たり前の筈なのにそう感じるのは、最近あの蒼空を翔んでいないからだろうか。 
あの蒼空を守るのが聖天の使命。でも、今の俺はただヒトリの少女を護るだけの守護者だ。 
当然この行為が許されるとは思っていない。また前のように蒼空を守れるとも思っていない。 
でも、この少女だけは護らなければならない。ヘマしたのは俺の責任だし、なにより、 
ー俺が護り通すと言った、護るべき者だから。 



あっという間に夜になった。結局今日中には着けなかったか…。…仕方ないか。フタリとも疲れは溜まっているし。特に俺はこの距離を歩くのに慣れていないからな。その事に関してはこいつは文句も言わないし。 
薄らと笑みを浮かべて眠るのを見てると、出会ったあの日のことが思い出された。 
あの時はただ俺のことを恐れてて。"リーダー"に似てる、ってことで協力してくれたけど。 
…もうすぐ別れる時がくる。その時も笑顔でいられれば… 



ー…ッ!? 
何だ…? 
頭を貫くような感覚がする。その感覚に支配され、一気に眠気が襲ってきた。 
ーこれは…催眠術…? 
なんとかさっき残しておいたカゴを食べた。だが、かじっただけではただ効果を薄めただけ。術はまだ続いているのか、その感覚は未だ残る。 
ーここまで来て…、 
右翼に力を込め、術の本体を探る。波長の流れが…いた。この方向だ。 
ー負けられっかよッ!! 
「空翼ッ!!」 



「おっと…見つかってしもうた…」 
「何の…つもりだ…?」 
木々の間から現れたのはヨルノズク。 
「流石はディフはん、といったとこか。一発でわいの位置見抜くとは…。まぁ…催眠術は効いてるみたいやな」 
「邪魔は…させねぇ…!」 
「そんな眠そな眼で言うても、全然怖ないで?」 
「…聞く気はない、か。それなら…、」 
身体に力を込める。その姿を彼はただ嘲笑う。 
「ゴッドバードでっか?ブレイブバードでっか?そんなリスクの高い技、その身体でよう使いますなぁ…」 
「どっちも…外れだ!」 



力を一気に開放する。辺りに旋風が巻き起こった。その風に、翼を乗せる。 



ー鋼の強さを両翼に、 
羽根は、追い風をも切り裂いてゆく。 
ー鋼の勇気を魂に。 
速度は増してゆく。恐れはない。護るべき者を護るのだから。 
ー打ち砕かん。目の前を遮る者全て。 
「剛翼:メタルグライドッ!!」 



[[守護の力 最終話]]へ。 



気になった点などあれば。

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