&size(20){''ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語''}; 作者 [[火車風]] まとめページは[[こちら>ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語]] 第十三話 ソウマの鬼指導! かなづちソウヤの猛特訓! 「おりゃああああ!!」 「ちょっと、冷たいよソウイチ!」 「こっちも反撃だあああ!!!」 ここはギルドの近くの海岸。 アドバンズはみんなで海水浴に来ていた。 みんな海で遊んだり砂浜でのんびりしたりしていた。 「お~い、あんまりはしゃぎすぎてけがするなよ~。」 ソウマは海で遊んでいるソウイチ達に声をかけた。 「んなことわかってるよ!!」 「すきあり!!」 「ぶはああ!!!やったなゴロスケ!こっちも仕返し~!!」 ソウイチ、モリゾー、ゴロスケは子供のようにはしゃいでいた。 まあ、年齢からいえば子供なのだが。 ところが・・・。 「なあソウヤ、なんでお前海で泳がへんの?みんな楽しそうやで?」 カメキチはソウヤに聞いた。 しかしソウヤはむすっとして答えない。 「ソウヤ、お前まさか・・・。」 ソウマがソウヤに理由を聞こうとしたときに・・・。 「ソウヤ~!なんでこっち来ねえんだ~?楽しいぞ~!!」 ソウイチが楽しげに声をかけた。 すると、ソウヤは何も言わずに岩場のほうへと歩いて行ってしまった。 「なんだよあいつ・・・。変なやつだな~・・・。」 ソウイチがつぶやいていると・・・。 「それえ!!」 「おわっ!不意打ちはずるいぞ!!」 再び水のかけ合いを始める三人。 「いったいどうしたのかしら・・・。」 「ソウイチに何も言い返さんのは珍しいな・・・。」 カメキチもライナも、いつもとは違うソウヤの様子が心配になった。 「(間違いない・・・。あいつきっとまだ・・・。)オレ、ちょっと行ってくる。」 ソウマはソウヤの後を追った。 「なんだよアニキまで・・・。あいつなんかほっとけばいいのに・・・。」 ソウイチは冷たいことを言った。。 「そういう言い方はないでしょ?なんにも言い返さずに岩場のほうへ行っちゃったら、何かあるんじゃないかって普通心配するわよ。」 ライナは少しきつい言い方をしてソウイチをたしなめた。 「う・・・。わ、悪かったよ・・・。」 ソウイチは不満そうだったが、素直に謝った。 そしてソウヤはというと、岩場の陰に一人座りこんで、キラキラ光る水面を見つめていた。 「はあ・・・。」 ソウヤは深いため息をつくと、悲しそうな顔になった。 「やっぱりまだ水が怖かったんだな。」 急に背後から声がした。 ソウヤがびっくりして振り返ると、そこにはソウマが立っていた。 「ほ、ほっといてよ・・・。どうせ僕はかなづちだよ・・・。」 ソウヤは顔をそむけた。 「今は怖いかもしれねえけど、前はお前だって泳げてたんだぜ?」 「でも、あの事故以来体が水を拒絶するんだ・・・。あれから何度も泳ごうとしてけど、体が固まって水に入れないんだよ・・・!」 あの事故とは、ソウヤがまだ人間の世界にいたころ、プールに友達と泳ぎに行っていて、おぼれ死にそうになったことがあったのだ。 原因は、ふざけた友達が間違ってソウヤを押して、何の準備もないまま水の中に落ちてしまったからだった。 それ以来、恐怖心からソウヤは泳げなくなってしまったのだ。 「なるほどな・・・。」 ソウマはソウヤのほうを見つめると、何を思ったのかソウヤを突然抱えあげた。 「ちょ、ちょっとアニキ!いったい何を・・・。」 ソウヤが最後まで言い終わらないうちに、ソウマはソウヤを水の中へ投げ込んだ。 「ゴボガバゴバ・・・!!!」 ソウヤはものすごくびっくりした。 そして必死でもがいて岩場に上がろうとした。 しかしソウマは、ソウヤが上がろうとすると、そのたびにソウヤを抱えあげて海へ投げ飛ばしたのだ。 「(このままじゃ死んじゃう・・・!)」 ソウヤはそう思って必死で泳いだ。 ソウマのいないところに向かって必死で泳ぎ、何とか岩場に上がることができた。 すると、そこにはすでにソウマが立っていた。 「アニキ!!いったい何を考えてるのさ!!もうちょっとでおぼれるところだったじゃないか!!」 ソウヤは激しい怒りをあらわにした。 今にもソウマに飛びかからんばかりの勢いだ。 「ソウヤ、もう一回海に入ってみろ。」 ソウマはソウヤの目をまっすぐ見つめていた。 その目つきは真剣だった。 「なんでもう一回入らなくちゃいけないのさ!!さっきだっておぼれそうに・・・。」 「いいから入れ!!」 ソウマはソウヤの言うことをさえぎって怒鳴った。 その顔からは威圧感があふれていた。 「わ、わかったよ・・・。」 ソウヤは渋々海に入った。 すると・・・。 「あれ・・・?」 なぜか、さっきと感じが少し違った。 そう、水に対する恐怖感が消えていたのだ。 「泳いでみな。」 ソウマの言うとおりにソウヤは泳いでみるた。 すると、さっきまで怖かったのがうそのように上手に泳げるのだ。 岩場に上がると、ソウマは笑顔になっていった。 「ちゃんと泳げるじゃねえか!これでもう大丈夫だな。」 ソウマはいたずらっぽい笑顔を見せた。 そう、ソウマは、ソウヤを海へ投げ込み、必死になることで水への恐怖感を克服させようとしたのだ。 かなりの荒療治だが、この方が手っ取り早く解決できるだろうと思ったのだ。 そしてその作戦は見事に成功した。 ソウヤは、ソウマの笑顔からそれを感じ取った。 「アニキ・・・。」 「ん?」 「ありがとう・・・。」 ソウヤは照れくさそうに礼を言った。 「オレは何もしてねえよ。お前が泳ぐのを少し手伝っただけさ。」 ソウマはにかっと笑った。 そして、二人はみんなのところへ戻ると、一緒に楽しく遊んだ。 「ソウヤのやついったいどうしたんだ?さっきまであんなにむすっとしてたのに・・・。」 ソウイチは何がなんだかわからなかった。 「すきあり~!!」 ソウヤはソウイチに思いっきり水をかけた。 「うおっぷ!てめえ、調子に乗るな!!」 ソウイチも水をかけ返す。 ソウヤはとても楽しそうだった。 「なるほど~、そんないきさつがあったんやな。」 「でも、克服できてよかったわね。」 カメキチもライナも、ソウマから理由を聞いて納得した。 「きっかけさえあれば、恐怖なんて克服できるのさ。思い込みを消してやればな。」 ソウマは、楽しそうに遊ぶソウヤを見て、満足そうな笑みを浮かべていた。 ---- [[アドバンズ物語第十四話]] ---- ここまで読んでくださってありがとうございました。 誤字脱字の報告、感想、アドバイスなどもお待ちしてます。 #pcomment(above)