ポケモン小説wiki
隔離病棟の夏休み 五日目深夜 side アス の変更点


作者:[[333氏]]


五日目深夜 約束 



深夜…僕はこの日、ルキの病室に泊めてもらった。 
…僕は、ルキのうなり声を聞いて目を覚ました。何事かと思ったら、ルキは薬を副作用で頭が痛くて眠れないらしい。 
時計を見たら深夜11:45…ね、眠い…。だけど、頭痛に苦しむルキを放っておくわけにはいかない。 
「ルキ…」 
僕は思い切ってルキに声をかけてみた。ルキは頭を押さえて涙目になっている。 
「ルキ、大丈夫?」 
「…頭いたいよぉ…」 
あまりの苦しさにべそをかいているルキ。…どうすればいいだろう…? 
ルキの額に手を当てるとちょっと熱い。微熱だ。 
とりあえず、タオルを水道で冷たくしてきて、ルキの額にのせてあげた。 
「どう? ルキ…」 
「……………うん…ちょっとよくなった…。」 
ルキは僕に無理やり微笑んで見せた。 
本当に楽になったかどうかは分からないけど、そのあとすぐに、ルキは寝息を立てて眠り始めた……… 
………………また目が覚めた。どうやらルキのベッドに寄りかかったまま眠ってしまったらしい。 
ふっとルキを見てみると、ルキは起きていた。僕の顔をじっと覗き込んでいる。 
「………! ルキ、起きてたの?」 
ルキは横になったままで、僕の顔をじっと見ながら言った。(寝顔も見られていたらしい) 
「うん…あんまり眠れなくって…」 
ルキ、さっきは眠ったように見えたけど、やっぱり辛くて眠れなかったみたいだ。 
「…ルキ、具合悪いの?」 
「…うん。あんまり、よくない…。鎮痛剤のおかげで、ちょっとは良くなったけど…」 
「そう…」 
僕が眠ってしまった後も、ルキはただ、眠ることも無く、本を読むこともなく、じっと夜をすごしていたらしい。もう一度、時計を見たら、2:25。本当に真夜中。 
ルキは朝まで起きているのかな? 退屈してないかな? 何か…僕にできること…ないかな? 
「ルキ、何か僕にできることない? ほしい物とか…何かしてほしいとか…できることなら、僕、何でもやるよ。」 
「何でも?」 
「うん。」 
どうして「何でも」の部分に食いついたのか分からないけど… 
「ルキ、何か、ある? 僕にできること…」 
「…………………」 
ルキは顔を赤くした。 
「?」 
「…………………」 
何か、して欲しいことがあるのかな? 
「遠慮しないでいいよ。」 
「…………………。」 
ルキがぼそっと何か言った。 
「? え、何?」 
「…………ぃ……。」 
「? な、何恥ずかしがってるの? 僕に頼みづらいこと? なら、看護婦さん呼んで来る?」 
クラさんでないにしても、看護婦さん一人くらいはおきているはずだ。でもルキは首を振った。 
「? …じゃぁ…何?」 
「……。」 
ルキは黙って僕に手招きした。 
「?」 
僕はルキに近づく。すると、小さなルキの声が聞き取れた。 
「……添い寝してほしい……」 



「―――――――!!!!」 
この予想外の欲求にはさすがに驚いた。 
添い寝!? 女の子と! (しかも自分が思いを寄せてる女の子に!!) 
「添い寝!!?」 
「…あ、い、いや、やっぱりいい!!」 
ルキは恥ずかしくなったのか急に顔を真っ赤にして言った。 
「ご、ごめん、変な事頼んじゃって…そ、そうだよね、添い寝なんて頼まないよね普通…あはは…どうかしてるのかな、わたし…ご、ごめんね、いいの。ちょっと寝ぼけてるみたい。や、やっぱりもう眠るね。」 
ルキはそういうと僕に背を向けてしまった。 
「ル、ルキ…」 
「い、いいの。気にしないで。」 
ルキは頭から布団を被ってしまった。きっと布団の中で顔を真っ赤にしてるんだ。 
「……………ルキ、ねぇ…」 
「………………。」 
「………ルキ…僕、どんなお願い事でも、真面目に答えるつもりだよ。」 
「………………。」 
ルキは黙って布団から顔を出した。まだ顔が赤い。 
僕は思い切って言った。 
「いいよ。添い寝しても。」 
ルキはベッドの奥に寄って、僕はその横に入れてもらった。 
仰向けに眠ると、天井が見える。ルキは生まれてからずっと、この風景を眺めながら過ごしてきたんだ。 
「…アス、こっちむいて。」 
ルキに言われて横向きになる僕。そうすることで、ルキと向かい合う。 
ルキのことをこんな近くから見るのは初めてだった。 
同じ布団でルキと一緒に眠る。なんだか不思議な気分だ。 
僕がルキをじっと見つめて、ルキが僕を見つめている…。 
ルキの顔を眺めると、やっぱり顔が整っていて可愛い。ちょっと恥ずかしがって赤くなってるのも可愛らしい。 
「ねぇ、アス…」 
ルキが話しかけてきた。 
「ねぇ、もっと寄ってよ。」 
「えっ……」 
僕はついついためらってしまう。 
僕がまごついていたら、ルキは僕の手をつかんで引っ張り寄せようとした。でも手に力がないルキは僕の腕を引っ張ることしかできない。 
ルキは必死に僕の手を引っ張ってくる。僕は無言で、ルキに寄った。もっとルキとの距離が縮まる。 
「アス…」 
「ん?」 
「……なんでもない。」 
僕達はしばらく、じっと見つめ合っていた。 



「アス…」 
「…何?」 
一体どのぐらい見つめ合っていたか分からないけど、突然ルキが言った。 
「アス…ごめんね…」 
「何が?」 
「…さっき…あんな事言って…」 
「?」 
「…『死んだほうがまし』なんて言って…」 
「あ…」 
「ごめんね…わたし…苦しくて…逃げたくなるの……ごめんね、わたし…弱虫なのかな…」 
そんなことはない。ルキは根性がある。だけど…ルキはたしかに強く根性はあるけど、いくらなんでも限界の苦しさになれば、逃げ出したい気持ちにもなってしまう。その気持ちは分かる。 
それは無理もない。生まれてから病気と闘っているのだから、投げ出したくもなることもあるはずだ。でも… 
「ルキ…いいんだよ。逃げたくなったら逃げてもいいんだよ…僕…少しでも…ルキを守ってあげるから…。でもね…どんなに逃げたくなっても……もしも先に道がなくても……死んだほうがましなんてことはないよ…。そこからだけは…逃げちゃダメだよ…。ルキ、約束して。辛くなったら僕に言って。僕にやつあたりしてもいいから。でも、『死んだほうがまし』なんて、もう絶対に言わないで。」 
「……………………うん。」 
ルキはちょっと涙目になってる。 
「…………………うん、もう、そんな事言わない…だって…わたし…」 
「ん?」 
「…………わたし、いま幸せだから………。」 
ルキが僕に擦り寄ってきた。すり寄るどころじゃない。僕に抱きついてきた!! 
「―――――――――!!!!」 
僕とルキの体が密着する。 
…生まれてから、今までこんなに興奮したことはない! 
リハビリのときとかによくルキとの体の接触はあった。僕も雄だからちょっとだけ性的な感情が沸いたこともないではない。…でも、そんなのとは比べ物にならないほど興奮する!! 
ルキの体は痩せて骨っぽいけど、でもやっぱり柔らかさを感じる。もっとふっくらしたら、どれだけ可愛らしいだろう… 
向かい合って抱きつかれ、心臓がドキドキいって止まらない。ルキの体とも密着しているから、接しているルキの胸から、ルキの心臓が高鳴っているのも感じる。 
ルキの吐息を感じた。ちょっと温かい。ルキの息もだんだん荒くなっている。ルキも興奮しているみたいだ。 
僕もルキの背中に手を回してみた。ルキも一生懸命僕の体に手を回そうとしている。これで、抱き合う形になった。 
ルキは僕にしがみつくもう片方の手で布団を引っ張った。 



二人で毛布に潜る格好だ。ルキがどういうつもりでやったかわからないけど…二人で布団を被っていると妙に興奮が高まる。布団の中という狭い空間に、二人っきり。真夏でただでさえむし暑いのに、サウナに入っているような気分だ。しかも互いの熱い吐息によって、布団の中はどんどん暑くなっていく。 
二人っきりの布団の中。 
………………はぁ……………はぁ……………… 
ルキの息が荒くなっている。僕の息もだ。心拍数がどんどん上がっている。興奮が抑えきれない。 
僕は自分で、理性を失いかけていることを自覚していた。 
ルキが愛しい。何に代えても、ルキを守りたい。ルキの力になりたい。そして、ルキと一緒にいたい。 
…暑い…まるで蒸されているみたいだ…布団にくるまって二人で密着しているのが、こんなに暑いなんて……く…苦しい…暑い……我慢できない…… 
「ぷはぁっ!」 
我慢できなくなって二人で布団をはいだ。 
外気が冷たく感じる。そんなに中は暑かったんだ。 
ルキの顔を見ると、ルキは暑さのあまり顔を真っ赤にしていた。そういう僕も、暑くて顔が真っ赤だ。 
「はぁ…はぁ…」 
「ふぅ……」 
酸素をたくさん肺に取り入れる。布団の中で、二人で酸欠になりかけていたみたいだ。 
「…アス、苦しかったね…」 
「うん…」 
ルキもとうぜん苦しかったみたいだ。 
「でもね、」 
「?」 
「わたし、とっても幸せだった。アスと一緒にいられて……ねぇ、アス、一晩中…一緒にいてくれる?」 
「う、うん…。」 
僕は約束をしてしまった…。 
いよいよ夜も更けてきた。 
…こんな状況で眠れるわけが無い… 
と思っていたけど、やっぱり夜遅すぎて、眠くなってきた。ルキは僕に抱きついたまま、幸せそうに寝息を立てている。 
このまま眠るしかないか。僕はそのまま、ルキと一緒に眠りについた。 



side ルキで見る 

 



--------------------------------------------------------------------------------
↓旧コメント

添い寝・・・(´Д`) -- 1は頂いた (2007-11-17 08:47:20) 
次も頑張って下さい!! -- コウ・ウラキ (2007-11-17 10:01:58) 
添い寝・・・、俺もしてもらいたいなぁ。(´ω`) -- 否です (2007-11-17 14:34:28) 
羨ましいなあ、添い寝とか添い寝とか添い寝とか -- 昆虫王 (2007-11-17 17:42:42) 
いいな?添い寝 -- 7火薬 (2007-11-19 16:38:08) 
添い寝・・・ハァハァ  -- mutsu (2007-11-28 00:30:22) 
333氏のページからうまくリンクできていないようだったのでページ名変更しました -- 火炎狐@神速更新中 (2007-11-28 08:11:45) 
添い寝ですか・・・懐かしいですね・・一度だけ好きな人とした事があります・・・。 -- ピカピカ (2008-03-18 16:51:41) 
333氏の小説は充実してますよねー。神だ!!! -- sgyk2000 (2008-07-27 20:03:26)

トップページ   編集 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.