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- 流れゆく運命 へ行く。
作者:[[DIRI]]
**流れゆく運命 [#z8463d34]
あれから……大体一年ぐらい経ったかな? 僕と彼女が再会したあの日。僕と彼女の二度目の思い出。冥界と現世が交わる場所で、生者と亡者が交わった。僕と彼女は違う世界に住んでいる。だから子を成す事なんて出来やしない。共に住むことすら許されない。僕は何度その掟を恨んだだろう。何度彼女に思いをはせただろう。いくら彼女のことを思っても、やはり彼女は思い出の中で笑うだけ。僕の求める思いを彼女が受け取ってくれることはない。だからこそ、僕は旅を続けている。危険に満ちた、死と隣り合わせに生きていける、そんな場所に……。僕は死を恐れない。死は僕にとっての運命だ。運命ならば僕は、もっともっと、運命に沿えるように動くのみ。僕と彼女は……運命の元に繋がっている。そう信じているから。僕とコウヤは、思い出で収まる気なんて、さらさら無いんだからね。
「……平和だ……」
そんな場所に僕はいました。こんにちは、お久しぶりですね。僕です、カルマン・アーヴァイン・ローゼンバーグです。お初の方もいるのかな? その人は初めまして。とまあ、メタは置いといて……。僕が旅に出た理由は危険な場所で、死と隣り合わせの所に生きていくという信念の元です。コウヤの元に早く行きたいというのも当然だけど、コウヤに良い所見せたいし、何よりこの弱虫毛虫な性格から抜け出したいんです。そんな場所で弱虫毛虫なんか生きていけないじゃないですか? 変われなかったら彼女の所に早く行けるし、変われたなら彼女がちゃんと僕に惚れてくれるかも……。そんな安易な考えです。ごめんなさい、僕頭使うのあんまり得意じゃないの。何てったって野生だもの。伝説ポケモンだけどね……。まあそんな感じです。でもね……危険の欠片もないんだよね、旅に出て一年程経ちましたが。確かにトレーナーの方々にはよく会いましたよ。ウインディは珍しいから捕まえようと躍起になってたね。でもさ、僕トレーナーの元でのうのうと生き続けるつもり無いんで、そう言う訳でモンスターボールはことごとく避けてあげますし飼われてるポケモンさんは叩きのめしてあげました。臆病だけど信念貫く時は強いの。元々遺伝で技一杯覚えてるしそれなりに弟のロッソとじゃれてたから筋力もありますし。ウインディ歩いてたらハンターさんが猟銃でバーンなんて事もあるんじゃないかなと思うんだけどそれがないんだよね。あれか? この辺一帯禁猟区域か? 人間さんも面倒な決り考えますね。僕は殺して欲しい訳じゃないけどそのくらいなら全然良いんですけど? とにかくこれじゃ危険の“き”の字もありません。野生同士なら殺し合いもよく起きるんだけどさ、僕の身長とかに見合うような大きな人その辺にいませんから。一年前から何でか知らないけどまた僕身長伸びました。現在208センチです。なんかトレーナーじゃなさそうな変な人間さんが僕の身長測ってました。害を加える気がないなら僕も何もしないからね……。あと体重とかも測らされましたし、虫歯がないかとか、毛艶がどうかとか……。あんまり聞かないけど、ポケモンウォッチャーって奴かな? ポケモンの生態を観察する人ですね。ポケモンを研究する博士とかに雇われてる人もいるみたいです。その人もポケモンは一応持ってたっぽいから戦おうと思えば戦えたなぁ、なんて今更ながら思ってます。でも食料になる木の実もらったし、それは失礼かな~、なんて。ポケモンフードももらったなぁ、あれ以外と味気ないです。不味くはないんだけどね。食料と言えば、最近は木の実の方が食べる機会無いんです。今はもっぱら獣肉です。兎とか手頃なのいるからさ。僕にしてみればのろまだし捕まえるの容易だね。肉もさっぱりしてて良いですよ。小さいから腹にたまらないのが玉に&ruby(きず){瑕};。まあ空腹のあまり牧場で牛さん頂いたこともありました。怖がらないから引っ張ってって人目に付かない所でおいしく頂きました。牛さんありがとう。肉は良いよ、牛さんの首に噛み付いて窒息させる時蹴られて滅茶苦茶痛かったけど。肉を食いちぎる時に顔中血まみれになるけど。今思えば毛がやばいことになってますね。ガビガビですよ。木の実食べ続けてたから昔は毛並みよかったんだけどね。まあいいや、なんか現状報告面倒になってきたんでとにかく場面を今の僕に戻しましょうか。
「こんな場所は僕の居場所じゃない……」
いつものことです。危険かなって思える場所にこの一年巡り会えません。そろそろ夕暮れですかね。寝床探しましょう。根無し草ですから手頃な場所見つけないとホントにやばいですから。寝る時ぐらいは寝心地良い場所が良いよね。でもね……最近寝るのがホントにダルいんですよ。寝る前にほとんど毎日ぐらいのテンポで一悶着ありますから。体力的にやばいんですよね。毎日のことなんでもうなれましたけど……。さて、この辺の茂みなら都合良いかな? 一悶着起こしてからさっさと寝よう。早めに寝ないとホントに体持たないよ。
「出てきたら? 昼からついて来てるのは分かってるよ」
そう言ったら、ロコン出てきましたね。ちっちゃいなぁ……。大丈夫だろうか? それが心配です。
「……キミも僕目当てかな?」
「そうだけど悪いか?」
高飛車な娘ですね。うん、初めてのタイプです。「意味が分かってるなら話は早い」じゃなくて……。
「僕はさぁ……なんて言うか慣れちゃったんだけど、キミそんな歳?」
「童顔なのはほっとけ! これでも私は19だ!」
さっさと炎の石探せば? そんな言葉はかけませんよ。僕優しいから。……なんちゃって。
「で? 経験あるの?」
「ある! ぐだぐだ言わない!」
えぇ……何だか理不尽……。いつもは僕がこのまま言い負かして、まあ、あわよくば何もなかったことにするんですけども……。このロコンはどうにも退いてくれなさそうです。勘弁して欲しいな、慣れてきたとはいえ心が痛むんだよ……。
「さすがに大きさ違いすぎるからどうなっても知らないよ?」
「その時は惚れた私が悪い」
なんて言うのかな……彼女は大物になる気がします……。とりあえず、さっさと終わらせますけどね。疲れたくないから。
「……攻める? それとも受け?」
「受けで」
あ、意外。攻めてくるもんだとばかり……。人を見かけで判断するなって事ね……。それはそれで良いんじゃないかな。
「じゃあ……キスからね」
そんな感じで彼女とキスします。無論Dが付きますよ。ディープなキスです。でもね、口の大きさもこっちがかなり大きい訳ですから彼女の方が舌を入れてくれないといけない訳です。入れてくれたら絡めてあげますとも。小さい舌はちょっと物足りないけど。1分ぐらいかな? そのくらいの間彼女と舌を絡めてました。早くも息が荒いですよ彼女。僕はまだ全然だけどね。コウヤのキスに比べたら興奮も全くしないから。
「……で、下の方舐めてあげようか? 嫌なら良いけど」
「……舐めて」
あくまで強気な言葉ですね。受けの割に。でもさぁ、体小さいから別のことしてみようかなぁ、なんて、ちょっとしたいたずら心が湧きます。ゴメンね名前も知らないロコンさん。ちょっといたずらに付き合って~。言っとくけど謝らないよ。要求してきたのはそっちです。
「ひゃうっ!? ちょっ……」
「僕は下の方舐めるとは言ったけど場所は特に言ってなかったよ?」
僕は彼女の身体を舐め回しています。うは、彼女の身体既に僕の唾液でべっとべとです。なんかそそられる光景ですね。顔の方舐めても既に文句すら言いませんよ彼女。なんか諦めてるっぽいです。僕そんなに言い訳しないよ? とにかく彼女は耳の先から尻尾まで僕の唾液にまみれてます。雌の身体は変な味。でもなんか興奮します。
「気持ち悪い……」
「ゴメンね」
お詫びにちゃんと舐めてあげますよ、キミが望んでた場所。
「あぁっ!」
「ここ舐めて欲しかったんだよね」
正直……コウヤと性行為したあの時はこんな事しませんでしたよ。だから雌の液の味とか知りませんでした。でもあれから経験積みましたからね、名も知らない雌で。無知な僕に結構色んな事してくれるんですよ。だから、秘所を舐めることも既に何度かやった事ある訳です。少しは慣れてるから彼女の愛液が溢れてくるのは大体感覚で分かります。ああ、もちろん味覚でもね。変な味します。においはちょっと僕の唾液のせいで届かないかも……。あ、でもにおいもしてきたね。徐々にだけど。
「はぁぁ……もうダメぇ……」
可愛い声出すね。とか思ってたら彼女イっちゃいました。痙攣してるけど大丈夫かな?
「大丈夫?」
「……バカじゃないの……」
なんでこんな事言われるんですか。教えて~アルムの森の木よ~。自重はしない。あえて。嘘です。
「……さっさと入れて」
「いや……そんな事言われても……」
そんなに興奮してないからなぁ……。大体入れるとかどうやって入れて良いのかわかんないし。大体60センチと208センチだよ? 無理あるでしょ。でも彼女も承知の上なんだよね。雌って時々怖い。強い雄に惹かれるんなら僕じゃなくてもいるじゃないですか……。
「つべこべ言わなーい!」
蹴らないで下さい。わかったから。
「一応言っとくけど……僕はホントに何一つ責任取らないからね?」
「わかってる」
「痛くても文句言わないでよ?」
「わかってる」
「妊娠とかしても僕は……」
「さっさとやれー!」
うるさいなぁ……。最終確認ぐらいさせて。こっちは気が気じゃないんだよね。出来るだけ外に出すようにしてますけど外に出しても妊娠する時あるって聞きましたし。ぶっかけちゃダメらしいですね。
「とりあえずゆっくりね……」
痛がってる声とか聞きたく無いじゃないですか? 僕はサディストじゃないです。どっちかって言うとマゾ寄りかな……。じゃなくて! 健全な雄です! でもコウヤにならどんなにいじめられても耐えられるって言うかむしろ快感です! ってコウヤのこと考えたら罪悪感湧くからこういう事してる時は考えないって決めてるのに!!
「……なにしてる、早く」
「んぁ? あぁ、うん……」
ホントにゆっくりと彼女の中に入れていきます。てかもう、ちょっとしか入れられないよ。せめてキュウコンに進化してくれないとさぁ……。キュウコンに進化しても110センチだけどね。それでもコウヤとはちゃんとヤれたから大丈夫なはず。
「……やっぱ無理じゃない? やめとこうよ」
「……そうして……」
やっぱり痛いんですね。わかります。
「はぁ……無理、痛い」
「だろうね」
さて、今日はもう終わりかな? だったらさっさと寝たいんだよね。寝不足なんです。昨日も襲われたもんね。ヘルガーでした。勘弁して下さい。
「じゃあ僕は寝るから。バイバイ」
「それはない。それはないね、それはない」
そんなに繰り返さなくても……。てかどういう意味だ?
「せめてイかせろ」
「一回イったじゃん……」
「もの足りん」
性欲に溺れてるんですね。本当にありがとうございます。僕は疼きもしないよ。
「あのねぇ……僕だって暇な訳じゃ……」
「雌が欲しているのに相手の雄は無視か? とんだ雄のなり損ないだな」
……怒って良いですか? いいえ、怒ります。僕から襲ってやるよちくしょう、気を失うまでイかせまくってやるぅぅ~! そんな感じでその日は彼女をイかせまくって僕もモノを舐められて何回かイってみたいな感じでいつの間にか寝てました。正直めっちゃ疲れたよ。疲れたけど、うん、気持ちよかったのも事実ですね。コウヤ、ホントにゴメン。でも久しく僕も満足出来ましたよ。今までの人達自分が満足したら終わりで僕の横で勝手に寝ちゃうからね。でも襲ったりとかしません。だってコウヤが一番だもの。そんな人達はとりあえず腕に抱いてやって一緒に寝てあげます。後戯です。それで、まとわりつかれないように朝早くに起きて移動します。何回かそれでしばらく付いてこられたからね。邪魔くさかったから引っ張り出して通りすがりのトレーナーの方に投げときました。まさしく『やせいの ○○が とびだしてきた !!』ですね。僕より早起きして僕のこと待ってる娘もいました。でも僕が旅の途中でどんな場所に行ってるかとか説明したらたいていどっか行きます。それでも付いてくる場合は叩きのめして追い返します。容赦しないからね。だって野生なんだもの。
「んぅ……ふぁ……」
おはようございます。今日も一日頑張りましょう。でも身体ベトベトだからとりあえず川に行かないとね。彼女どうするんだろうなぁ……。
「よう」
「ぅおっ!?」
びっくりですね。いきなり後ろから声かけられましたもん。てかあの娘ですね。
「遅いお目覚めだな」
「十分早いよ……。ほら今朝日でてきてるし……」
「遅い遅い」
くつくつ笑うってのは今の彼女の笑い方ですか? なんにせよ彼女は滅茶苦茶に早起きって事は分かりました。でもそれっきりです。
「……まぁ、とにかく僕は旅の途中だから。バイバイ」
そう言って立ち去ろうとしたら後ろ足になんか絡みついてきました。そうですね、彼女です。
「まあ落ち着け」
「まあ地面に足を着けて」
「とりあえず止まろうか」
「とりあえず放そうか」
こんなノリ突っ込みは誰も要求してません。後ろ足に両手両足でしがみついてるからホントに僕が歩いてると彼女浮いてるんだよね。重いんで止まるか……。
「何?」
「私を置いていく気か?」
何言ってんのこの娘……。
「昨日僕は何も責任は取らないからって言ったじゃないか」
「責任を取ってもらうつもりはない。ただ私を置いていくというのが私の気に障っただけだ」
意味分かんないです。助けて下さい。どの位助けて欲しいかって言うとホントに助けて欲しいです。え? わかんない? マジですか。
「とにかく! 私はお前についていくぞ!」
「やめてくんないかな……」
「どうして?」とか聞いてきたら僕のターンです。それから先僕のターンですよ。とりあえず速効魔法……じゃなくて僕の行き先を言います。
「僕はもっと危険な場所に行きたいんだ。死と隣り合わせみたいな場所に」
「なら私が一緒に行って守ってやろう」
「いや僕ボディガードとか要らないから」
「なに? 死ぬのが怖くないのか?」
カウンターマジッげほっごほっ……。
「僕は死を恐れない。死は僕の運命だ」
これでほとんどの人は帰るんだけどね……。
「……ほぅ、かっこいいな。惚れ直した」
ウギャァァァ……。まさかの自爆……。こうなったら切り札出すしかないじゃないか。いや、切り札って技を出す訳じゃないよ? 僕そんなの覚えてないからね。
「僕はさ……力ずくってのはあんまり好きじゃないんだけど……」
「ん?」
「あんまりしつこいようなら……ボコボコにして追い返してやる」
とか言って、そんな感じで数分後~。
「ほらほら、ボコボコにするんじゃなかったのか?」
「くそ……」
やられてる訳じゃないんだけど……。妖しい光を不意打ちで喰らってもはやどうしようもありません。しかも光が収まることを知りませんからね。混乱しっぱなしですよ僕。この状態昔コウヤに飛びかかっていじめられてた時と似てるなぁ。コウヤの場合僕が混乱してる間に木陰に隠れて石投げつけてきてたけど……。
「こんなもんで死と隣り合わせの場所? それはただの自殺行為だろ。死にたいのか?」
「僕は死にたい訳じゃない……」
「ならどうして危険な場所を望む?」
光が収まってきて混乱から何とか抜け出しましたけど、バイタリティの低下が激しくて戦意喪失しました。今は彼女に答えないと。
「臆病な自分を変えて……彼女に会いに行くんだ……」
「彼女?」
僕の思ってること全てを言って彼女が帰るのを期待するしかないね。
「僕の初恋の人だよ。二回しか会ったことはないけど」
「たった二回か?」
「悪い? それも僕は彼女のことが好きなんだ」
なんか自嘲したい気分だ……。
「夢に出てくるくらい好きだよ。だから僕は彼女のことが嫌いだ」
「あ? はぁ?」
困惑してますね。無理もないか……。
「最初に出会った時、僕は彼女に一目惚れして飛びかかってもみくちゃにしたあと彼女にいじめられてさ……。そのあと、彼女と遊んだ」
「…………」
「そのあと彼女……ハンターが来た時、僕の囮になってくれて死んじゃった……」
「え?」
困惑してる理由は多分二つ。『最初にあった時死んだならどうしてもう一度会ってる?』、『どうして死んでいる奴をまだ好いている?』。この二つだろうね。
「そして一年前……僕は彼女に再会した」
「死んだんじゃないのか?」
「僕は欲に負けて彼女を襲った。そしたら彼女に逆襲されたよ。僕と彼女は交わった……」
ダメだな……このロコンの言葉遮っちゃったよ。でもなんか止まんない……。
「コウヤは消えちゃった……。冥界と現世じゃ違いすぎる……。コウヤが僕と一緒に住むことも出来ないし、コウヤが僕の子供を生んでくれる事なんて絶対にない。だから彼女のことが嫌いで、それでも大好きなんだ……」
自分でも意味分かんないって分かってるんだけどね。止まりません。全く止まりませんよ。逆に今止めたら僕が壊れちゃいそうでさ。分かってくれなくて良いんだけど、言わなきゃ辛くて耐えられなかった。今までの人達は話の途中でどこかに行っちゃう。だから最後まで聞いてくれたのは彼女だけなんだよね。彼女も何だか不思議そうな顔してるけど最後まで聞いてくれたんだ。それが何だか嬉しくてさ。
「……ゴメン、訳分かんない話して……」
「まったくだ。でもわかった」
「何が?」って聞き返したら、彼女は何だか楽しそうに首を傾げてた。それがちょっと、昔のコウヤに似てる気がした。
「私はお前の中で一番にはなれないって事だ」
「?」
「お前の一番好きな雌はそのコウヤって雌なんだろ? だったら私は一番になんかなれやしない。それだったら私は一番を諦める」
「でも」と続く彼女の言葉。すごく楽しそうなんだけど、どこか寂しげな瞳が何だか僕を引き寄せてく。
「それなら私は……お前の二番目に好きな雌になる」
「え?」
「一番になれないなら二番になる。二番になれないなら三番に、三番も無理なら四番に。お前に好かれるなら何番だって良い」
そんな彼女の言葉が何だか染みてきます。ああ、なんか泣けそうな……。泣きはしないけどね。でも嬉しいよね。そんなに僕のこと好きだなんて思ってもみなかったもの。いつもみんな、性欲を持て余して僕の身体でそれを発散するだけだもんね。本気で好きになってくれた人なんて今まで一度もいなかったよ。それじゃあ彼女はなんで僕のことそんなに好きになってくれたの? 僕は何もしてないのに。
「……どうして、そこまで僕の何番かになりたいの?」
「好きだからだよ。決まってるじゃないか」
「どうして僕が好きなの?」
ちょっと迷ったみたいだったけど、彼女はこう言いました。
「顔が良い」
はいそうですか。結局顔ですか。今までの皆さんみんなそうでしたよ。顔が良いからって僕に言い寄らないで欲しいです。なんなんだよ、さっきまでの感情一気に冷めたよキミ。うわ~、萎える~。ちくしょう、さっきまでキミに抱いてた好意的な印象返せ。代金を払え、大体5万円ぐらい。いいえやっぱり、僕のキミの言葉に動かされた感情プライスレス。でもなんかムシャクシャするよね。くっそ~、なんか無いかな~。もっとさぁ、顔以外の内面的な……。
「パッと見あれも大きそうだったし?」
そうだね、入りませんでしたよ結局。自分の体型と比較してから考えてくれないかな。大体キミならガーディとかその辺が妥当でしょうよ。どうしてまたウインディにしたよ。しかも平均よりかなり大きめの。てかキミどこ見てんのさ。
「雰囲気優しそうだったし」
雰囲気ですか、なんてこった、結局僕が良いのは見かけだけですか。おいおいおい、そんなんじゃダメだよ。僕難のために旅してきたんだよ一年間。危険な場所を求めてですね。なんてこった。
「優しいのは雰囲気だけじゃなかったけどな」
そうですよ、僕は優しいんですよ。でもそれは自分に何かしら被害がないようにするためです。情けは人のためならずじゃないですけど、僕に何か責任問題とか持ち込まれたら旅どころじゃなくなっちゃいますから。ね?
「とにかく、プロセスは置いといてお前のことが好きって事に変わりはない」
「あぁ、はい……」
なんかまた&ruby(したて){下手};な感じになっちゃいました。今更ながらこの娘の話し方高圧的なんだよな……。なんか怖い。でも雌を怖いと思ってるのってなんか情けないな……。でも事実怖いんだし……ああ、自己嫌悪……。てか男っぽいんですよ話し方が。ボーイッシュだけどさぁ……。もうちょっと、あれだ、雌らしくしたらどうなんだろ。いや、個性ですから否定はしませんよ? 否定はしませんけど僕的にはこう……可愛い方が良いんじゃないかなと……。うん、個人的な嗜好です。ごめんなさい。
「わかったな? 私はお前が何と言おうがついていく。ついていって、あわよくばお前と結婚……」
「どこまで妄想してんの」
突っ込みたくもなるよ。何言ってんのこの娘ホントに。その笑顔なんなんですか。
「……とにかく、何言ってもついてくる訳ね……」
「そうだ」
「うざったいなぁ……」
「悪口言っても嫌いにはならんさ」
なんかこれ……普通なら嬉しいんだろうけどなんか、こう……あれだ……。ああ! 訳分かんなくなったよ!! どうしてくれんだ。今考えてた時間を返せ。あるいは僕が考えてたその答えを代わりに答えてくれ。
「私がうざったいなら、私はうざったくないようになれるよう努力する。それだけだ」
なんかかっこいいよ。逆にそこまでスパッと言えるキミかっこいいです。僕も見習いたい。
「じゃあ、旦那様、さっさと旅をしようじゃないか」
「旦那様じゃないって……」
なんかもう……名乗るのも面倒なんでこの娘引き連れて旅を続行することにします。なんて言うのかね、旅は道連れ世は情け。渡る世間に鬼はないですよ。鬼ばかりではないです。少なくとも彼女は僕のことを本気で好きになってくれて僕のこと守るとまで言ってましたからね。さすがに雌にまで守られるつもり無いですけど。とにかく彼女は仲間になりましたよ。「旦那様」って呼ばれるのはちょっと嫌だけど……。でもやっぱりそれは彼女が僕を好きだから言ってることであって、でもなぁ……話し方雄なんだよなぁ……。オマケに見かけも結構ボーイッシュだからなぁ……。パッと見だとどうしても同性愛者が二匹いるだけにしか見えませんよ。僕にそんな趣味無いです。彼女も多分。でもちょっとよく見れば彼女が雌って事は分かるから大丈夫かな。まあ、そんな感じで僕達は旅を続ける訳です。旅続けてますけど……。行為はないですね。入らないのが分かってるから彼女がヤりたがらないんです。いや、僕は要求してないけどね。コウヤが良いから。今までヤってきた中で一番コウヤが相性良いです。大体一週間ぐらい経ったかな? そのくらいは行為の話しすらなかったです。彼女何か、僕と出来なかったのがある種コンプレックスみたいになってるらしくて……。僕は悪くないよ? 僕は彼女に要求されたからやっただけであって、僕自身が望んでた訳じゃないです。今思えば誰もメロメロやら誘惑やら使ってこなくてよかったよ。そんなの使われたら自らの意思で襲っちゃうことになるから……。それはやだね。コウヤとヤりたいの。って言うかコウヤに僕で遊んで欲しい。僕は彼女の性玩具。……マゾ全開だなぁとか思いました。はい、僕はMです。本当にありがとうございます。青雲、それは、君が見た光。意味分かんなくてごめんなさい。言いたくなっただけです。いえ、脳内でなんですけどね。とまぁ、どうでもいい話は置いときましょうか。では、一週間経った僕達の様子からどうぞ~。
「旦那様、おやすみ」
「うん、おやすみ」
始めた場所がいきなり就寝タイムでごめんなさい。でもこの辺で良いかなとか思いました。だってここからがあれですからね。僕があれですからね、ピンチです。色んな意味で。
「ZZZzzzz……」
「寝るの早くて良いや。じゃ、そこの岩陰に隠れてる人~、さっさと終わらせよ~」
僕が雌と歩いてるの見てもまだ僕に言い寄ってくる雌がいるんですよ。でも寝る時までついて来たのは今日が初めてかな。それはそれで尊敬するね。どんだけ神経図太いんですか。教えてロッテンマイヤーさん。
「良いの? 彼女いるのに」
「彼女じゃないです……」
なんか面倒だなぁ……。この人もなんか気を使ってるし……。あ、この人はマグマラシです。なかなか美人ですよ。まあ美人じゃなかったらコメントしませんけどね。
「彼女じゃないんだ」
「仲間ですね、はい」
現状説明してる場合かよ。
「じゃあもう、起きたら気まずいし、さっさとやりましょうか」
「ええ」
目的が僕の身体ってのが分かるのはね……。ある種のフェロモンみたいなのを発してるからですよ。僕を襲いに来る方々が。それがね、今性欲に飢えてますみたいなそんな感じのあれを出すんです。あれってわかる? あれだよ、雄に刺激を与えるにおいと言いますか? そんなんです。でまあ、彼女とは楽しみました。だってあれですから、僕これでも襲われてるんです。一応和姦にしてますけど気分的には強姦です。コウヤと意外はヤりたくないんだからね。ホントはさ。でもね、彼女とヤったんですが……とんでもない失敗を犯してしまいましたよ。僕もだし彼女もです。
「んぅ……」
翌朝~。
「ん?」
あれ? 隣にマグマラシが……。
「あれ?」
あれ? 背筋に寒気が……。
「…………」
とんでもなくやな予感がしますね。それでもって嫌な予感程よく当たるんです。
「''だ~ん~な~さ~ま~?''」
「ひぃっ!!」
思わず悲鳴ですよ僕。そのくらいドスの利いた声でした。マグマラシの彼女も飛び起きましたね。そして現在の状況把握して滅茶苦茶動揺してますよ。
「私が寝ている間に見知らぬ雌とお楽しみとは良い度胸だなぁ?」
「い、いや、キミに怒られるような筋合い無いと思うんだけど……」
彼女ではないからね。大体キミだって僕の寝込みを襲おうとしてたじゃないか、一週間前。
「わ、私、ちょっと寂しくなっちゃったから一緒に寝てもらおうかなと思っただけで既成事実なんてありませんよ?」
うわ~、賭けに出たねマグマラシさん。吉と出るか凶と出るか……。
「ん~、そうか。へぇ~」
なんだその曖昧な……。竜が出るか蛇が出るか……。
「じゃあこのにおいは何かな? その辺の地面が濡れてるのはどうして? 旦那様とお前の下腹部がちょっとヌルヌルしてるのはどう言い訳してくれるのかなぁ? おい、''答えろ''」
その辺のチンピラぶってる奴より怖いんですけど。マグマラシさん半泣きじゃないですか。どうしようかな……。仕方ない、怒りを買うのは僕だけで良いですよ。ホントに赤の他人なんだから、このマグマラシさんは。
「う、うん、答えるからその……ね? あぁ、僕が答えとくからキミ帰って良いよ」
「え? でも……」
「ね?」
僕の親切心受け取って。じゃないと僕今すぐ殺されちゃう。
「そ、それじゃ、失礼します……」
マグマラシさんさようなら。無事な僕もさようなら。傷だらけの僕こんにちは……。
「…………」
……あれ?
「…………」
……彼女、何もしてきませんね? どうしたんだろう? とか思ってたら、彼女僕に抱きついてきました。ああ、ここから何かするんだろうな……。とか思って一分。何もしてきません。さすがに心配になってきた……。
「どう……したの?」
「…………」
答えないなぁ……。どうしたのかな? とにかく顔見せて欲しいんだけど。どんな顔してんの? 怒ってるならそれで良いんだけど……。
「ぇぐっ……ぐすっ……」
「え!?」
泣いてますね。これはどうも彼女泣いてます。びっくりですよ。彼女が今までこんな弱い所見せたことありませんからね。今までって言っても一週間ちょっとですけども。ホントに、どうすればいいのか分かんない。泣かれたことなんて無かったし、ちょっと彼女の涙に動揺してるし。大体彼女が泣いてる理由も良く分かんないんだよ……。聞いて良い空気じゃないのが困りもの。
「私とは……しないのに……」
「え?」
「私と……交尾してくれないじゃないか……」
え? ちょっと待って……。
「だ、だってキミが積極的になってくれないからじゃないか。大体キミとそんな事って言っても入らないし」
「入れば誰にだってするのか!? 会って数秒の奴と交尾するのかよ!?」
大声でそんなこと怒鳴らないでくれるかな……。大体そんな事言われるなんて心外だよ。
「私が……進化して大きくなればいいのか? 大きくなれば私と交尾してくれるのか?」
てかちょいちょい会話に“交尾”って単語混ざるのが不自然で仕方ないんですけど。なんか怖いですよ。僕性風俗で働いてる訳でもないんですけど。
「……旦那様、私は炎の石を探して進化する。旅をやめろとは言わない。でも私のこと忘れないで欲しい」
「え? ちょっと……」
びっくりです。助けて下さい。
「それじゃ」
「ちょっ、えっ!?」
相変わらずダメな僕です。本当にありがとうございます。まるでダメな雄。略してマダ雄ですよ。マダ雄さんは去りゆく彼女を見送ることしかできません。今更ながら最低だなと思います。自分のことなんですけどね。最低だぜ僕。だって急に「私は進化するために旦那様と別れます。でも忘れるな」ですからね。いや、ちょっとわかりやすく変えましたけどこんな意味です。それだったらなんかあるんじゃないかなとか思いますけども。「その時待ってるよ」とか「忘れないよ」の一言でも言ってやればかっこいいのにね。僕はかっこよくないんです。みんなが言ってるように見かけに中身が伴ってないんです。有名無実です。ありがとうございます。大体根本から言ってやれば彼女を引き留める理由なんて全くないんですよね。彼女は勝手について来てるだけですからね。僕としてはいなくなってくれた方が良いんですよね。食料を分けてやる必要もなくなるし。……でもね……でも僕、ダメなんだよね。ホントダメなんですこれ。僕的にないんですよね。だから僕は行動します。僕ってばちょっとかっこつけちゃうかもしんない。でもね、僕やんないとどうかなっちゃうからって割り切って下さい。お願いします。
そんな感じで、僕結構走りました。風下の方でよかったよ。においで行ってる方向分かんなきゃダメな作戦な訳ですし。あ、来ました~。
「…………」
どんだけ俯いてるんですか。あ~あ、「キミが行った方向に僕もたまたま来ただけだよ?」って言えなくなっちゃったじゃんか……。まあいいや、後は野となれ山となれ。
「イテッ」
僕の足にぶつかったね。結構強かに。
「悪い、前見てなくて……。っ!?」
はい、その表情頂きました。ボーイッシュなお顔が可愛いですよ。
「旦那様!? どうして……」
「あのね……僕ああ言う事言われるとホント弱いの。それに、キミの涙もあったしね」
赤くなっちゃって……可愛いなぁ~。ギャップサイコー! ゴメン。でも可愛いのは事実です。
「進化したキミも、見てみたいしね」
「旦那様……」
抱きついてきました。また泣いてますね。雌の涙は雄を動かすための最強の武器ですからね。なんでも出来ますよ今の僕なら。でもなんかちょっとなぁ……。さすがに言いたいことあるんです。
「旦那様って呼ぶのやめてくれないかな? 僕はカルマンだよ。カルマン・アーヴァイン・ローゼンバーグ」
「カルマン……。良い名前だ。でも、旦那様って呼ぶのはやめない」
あ、その笑顔の時は何言っても聞かないんだよね。この一週間のうちでそれが分かるぐらいになりましたよ。てかホント、一週間お互いの名前知りませんでしたからね。僕はまだ彼女の名前知らないんで今から聞きます。
「それで、キミの名前は?」
「私はアズサ。アズサ・ロン・アルクだ」
なんでミドルネームがロン? 良いけどね、別に。伯父さんか誰かの名前もらったんでしょ。僕はご先祖様からもらいました。そう言えば……コウヤの本名を半年ぐらい前に思いだしたんだけど、コウヤは“コウヤ・ディユー・ニュイ”とか言う変な名前でした。変とか言ったらコウヤから嫌われるかな……。ディユーはまだあれだけど、ニュイは……。そんな事言ってもファミリーネームは変えられないし……。ちっ、コウヤ・ディニュー・ローゼンバーグになればいいのに……。
「とにかくアズサ。炎の石を見つけてキミを進化させてあげないとね」
「その時は交尾してもらう」
「あ、はい……」
あの笑顔だったんで。もう仕方ないんです。抵抗してもきっと一年前コウヤが僕を押し倒した時みたいな不思議な力が働いて僕襲われちゃうんですよ。教えておじいさんって言ったのにおじいさんは無情でした。アルムおんじめ、一生チーズでも作ってろ。
そんな感じで二日経ちました~。彼女が楽しそうにしてるの見てるとすごく倦怠感感じますぅ~。大方脳みその中で僕とあんな事やこんな事してる妄想でも繰り広げてんでしょうねぇ~。勘弁してくんないかなホントにさぁ……。僕はコウヤが一番なんだってば。二番とか三番と関係ないの。でもアズサは必死になってくれてるんですよね。僕の気が惹きたいがために。頑張ってる娘をはねつけるのもどうかなぁ~、って……。こんな事言ってたら完全に彼女のペースなんだけどね……。でも仕方ないじゃないか。僕ってそんな子なの。それでまぁ、炎の石探しなんですけど、一応見つかりましたよ。見つかったんだけど……。
「どうやって取る?」
「多分“取得”とかの取るを言ってるんだろうけどどう考えても“窃盗”とかの盗るじゃないと無理です」
何でかって言うと人間の住んでる街の入り口近くにある店のショウウィンドウに飾ってあるんです。幾つか。他の石もありますね。水の石、雷の石、リーフの石……。炎の石だけあれば良いんだよね。作戦練るとしましょう。
「ショウウィンドウぶっ壊して盗ってきてくれ」
「随分一直線な考え方するね……」
「ポケモンの私達が人間の金持ってる訳無いだろ。何か? 働いて稼げとでも言うのか?」
言っとくけどキミのために手伝ってやってるんだからね? 僕がやらなくたって良いじゃないか。キミが困るだけなんだしさ。
「危険が怖いのか?」
「……ああはいはい、なるほど」
そう言うことですか……。意外と考えてますね。作戦は要りませんね……。
「とりあえず、僕が炎の石を盗ってくるからアズサは援護して」
「わかった」
そんな感じで僕は町中に突進、アズサもそれに続きます。そんでもってガッシャーンとショウウィンドウぶち破ります。痛いな結構……。分厚かったよ。思いっきり警報鳴ってます。うざったいなぁ……。あ、なんか警備のゴーリキー来たんで火炎放射~。燃えろ燃えろぉぉ~。って、本題は炎の石です。さっさと頂いちゃいましょう。ご丁寧に箱に入れてありますよ。宝石じゃないんだから……。一つ……いや、二つ。持ってて損はないですから。そろそろ退散しますか。
「アズサ、行くよ!」
「了解!」
妖しい光使ってから来たね。なるほど、頭良いんですね。ああ、なんか負けた気分……。
「旦那様!」
「のぉぉっ!?」
足払い喰らいました。転けたら頭上をかすめる何かが……。あ、銃弾ですね、ありがとうございます。アズサの判断力すごいな……。てかこれ以上はアズサも危険だね。彼女を危険にさらす理由もないから僕の一年間の旅がただブラブラしてただけじゃないって事教えてあげましょうか。
「アズサ! 乗って!」
「え? ああ!」
乗られたけど、ほとんど重さ感じません。ロコンって軽いなぁ……。そんな感想は置いといて、僕の全力見せてやる。
「さあのろまな人間共! 僕について来れるかな?」
神速、発動!! ヒャッハ~!! 僕の足は誰にも負けないぃぃ~!!
「だ、旦那様ぁぁ~!」
「しっかり掴まってて~!!」
大体一分で街が点になりました。追ってこないだろ、さすがに。茂みの中に身を隠してることですし?
「ゼェ……ハァ……ど、どうだ僕の全速力……」
「お疲れ様……」
アズサもなんか疲れてるね……。頼むから吐かないでね。
「さあ、旦那様。例のものを」
「ああ、はい」
ゴメン、ちょっと僕の唾でベトベトかも。なにせ口の中に入れてたもんで。でも箱だけだから大丈夫だよ……。
「やった……炎の石……これで私も旦那様と……」
「そういや目的それだったね……」
スキップでもしだしそうなアズサは可愛いですよ。可愛いですけど、これから先のことを思うと気が重いです……。何てったってアイドルじゃないですけど。何てったって交尾ですからね。さっさと終わらせたいです。
「じゃあアズサ。さっさと進化して。さっさと終わらせようよ」
「……旦那様」
なんだよ全く……。
「何?」
「ただ進化して交尾って……なんかつまらないと思わないか?」
思わねぇよ。
「そうだね」
「……私、良いこと思いついた」
「すごいやな予感する」
「大丈夫だって」
それが一番無責任で怖い言葉なんだけど?
「旦那様。私は旦那様に犯されながら進化したい」
……ゴメン、口調崩すね。バカかお前はぁぁ!? 今回はこれだけで結構です。でもね、何を言い出すかと思えばキミ。「犯されながら進化したい」ってキミ……。え? どこの変態? どこの快楽主義者ですか? SMなんかよりよっぽど変態じゃないですか。良いですか? 二段階進化が出来ないポケモンにとって進化って言うのはとても神聖なものなんです。一部の地域では進化する時に儀式を行ったりすることもあるんですよ? 神聖なものだから成人するまで進化を禁じるって所があるのも聞いたことがあります。だから僕は言うことにしました。
「進化って神聖なことだって分かってる?」
「だから子供を作るために神聖な行為と同時に行って神聖さを二乗してやる」
掛けないで二乗しますか。てかその言い訳……。もう良いです、またあの笑顔だ。ダメだダメだ。逃げなきゃダメだよ逃げなきゃ。でも無理。黄色い一つ目じゃなくて、意地悪そうな笑顔に全く歯が立たない~。あ~!! 無理だ、無理だ、僕の実力では~、無理だ、無理だ、クリア出来ない。飛ばして飛ばして~……。ダメなのか! ダメなのか! ダメなのか! ダメなのか! ダメだー!!
「どうするの?」
「旦那様がいつもやっていた通りにするがいい」
「僕がプレイボーイみたいになってない?」
「違うのか?」
「認めたくないけど違わないよ……」
ある時から逃げるよりさっさと交尾してやった方が簡単に終わるじゃないかって事に気が付いて、来たら少しは抵抗しますけどさっさとヤってましたもんね。でも今の言葉なんかグサッと来た……。
とにかくおっ始めました。アズサを下にするのはさすがに危険なんで僕の上に乗ってもらってます。その状態でキスですね。無論ディープキス。彼女の舌ってあれなんです。逆上せそうなぐらい熱いんです。コウヤの舌は彼女が死んでるって事もあってひんやりしてたけど、アズサの舌はコウヤの舌の真逆ですね。コウヤの唇は甘酸っぱかったけどアズサの唇はただ甘いんです。その辺も違うなぁ。え? 他の雌? 知らないよ。僕全く興味ないし。いちいち覚えてやる必要とかないし。そんなことは置いといて、キスが終わったら本格的に愛撫始めます。尻尾は一週間のうちに触られるの極端に嫌がってるんで触らないことにします。尻尾を弄られるのが気持ちいいって人もいたんだけどね。となると、胸しかないね。ちょっと抱き上げる感じにして触らせてもらいます。
「ぁうっ……む、胸はやだ……」
「なんで?」って聞こうと思ったんだけど……。あぁ、はいはい……分かりました……。
「貧乳気にすること無いと思うよ?」
「気にしてることを言うな!」
だから気にすること無いって言ったんじゃ……。ああ、もう良いです。僕が悪かったですよ。はいはい。
「弄る所もう下の方しかないんだけど?」
「弄れよ。好きにさ」
だそうです。また地雷踏んでるの知ってますか?
「ひゃぁうっ!?」
「場所は特に言ってないよ?」
尻尾弄らせてもらいました。六本の尻尾……ふさふさしてて良い感触です。どうやら右から二番目の尻尾が一番感じてくれるらしいですね。尻尾多いと大変そうだぁ……。
「あぁ……だ、旦那様ぁ……うあぁっ!」
イきましたね。わ~、僕の身体濡れちゃったよ……。恍惚とした顔が一番綺麗に見えるらしいですね。それ、わかります。
「旦那様ぁ……旦那様にも快感をあげる……」
「あれ? 口調変わってない?」
無視ですね。ありがとうございます。あれですか? クーデレ? ツンデレ? どっちでも良いけどギャップってやっぱりすごいなぁ……。とか思ってたらね、アズサが僕のモノを舐めてました。正直誰かをイかしてもそれほど僕興奮しなくなっちゃったんですよね。だってコウヤをイかせなきゃ僕満足出来ないもん。だからモノはそんなに大きくなってませんよ。それをキミ、急に舐められたら大きくもなりますよ急激に。驚くなよアズサも。一回見たことあるだろ。
「んっ……んぅっ……」
「あっ……ぁはぁ……」
コウヤはすぅっと撫でる感じに舐めてましたけど、アズサの場合は丹念にペロペロと舐めてくれるんです。これで喘がない雄いるなら出てきてくれ。そして喘がない方法教えてくれ。頼みます。
「旦那様……気持ちいい……?」
「う、うん……」
彼女、なんて言うのかギャップが強すぎて惹かれる。どう考えてもサドっぽいのにご奉仕してくれてます。ありがたいのかどうかは別なんですけど……。てか限界です。出しますね。え? 何って……分かってるくせにぃ。
「ぅあっ! はぁ……!」
「ぁんっ……」
先日も見ましたが、どうも自分の精液で相手がベトベトになってるのは興奮します。顔に真っ白な液がたっぷり付いててね、身体にもかかっててそれが垂れてる……。あぁ、興奮する……。僕も変態かなとか思ってます。
「旦那様……ありがとう、おいしいよ……」
「無理しなくて良いよ……」
アズサったら僕の精液舐めてますからね。「おいしいよ」って、そんな訳無いでしょ……。
「無理なんかしてない……旦那様が出してくれたんだもん……」
「……アズサ……」
抱きしめちゃうよ、思わず。なんて言うのかな……嬉しい、そうだね、嬉しいんだよ。普通嫌がるよね。今まで嫌がらなかったのってコウヤぐらいだよ。他の雌達は嫌そうな顔してたもん。本当に僕のこと好きじゃないとこんな事してくれないよね。
「……じゃあ、始めようか……」
「うん……」
このまま騎乗位で……と思ったら、彼女が止めました。
「それだとこの前と同じになっちゃう……。後ろから来て……」
あれですか、後背位ですか。それって子供作る時にやる奴ですよね。人間は正常位らしいですが? 僕達獣にとっては後背位が実は一般的。でも僕今まで正常位と騎乗位しかやってきませんでした。後背位は初めてだな……。とにかく彼女を下にしてと……。
「炎の石はここに置いとくから、タイミングは自分で決めて」
「うん……」
ここまで小さい人が相手だとやりにくいな……。だって覗き込まなきゃ見えないもん。でもね、彼女がヤること望んでますからね。ヤってあげましょう。もちろんゆっくりとね。
「っ……んっ……」
「大丈夫? 炎の石使うなら早く使ってね」
この前騎乗位でヤった時よりは入りやすいかな……。でもやっぱり少ししか……。
「旦那様……私が進化を始めたら一気に入れて……」
「え? 大丈夫なの?」
「大丈夫だから……」
そう言ったら、アズサは炎の石に触れました。石から発生する特殊な光線が彼女の身体に変化を与えていきます。アズサの身体が燃えるように熱くなっていきました。それと同時にアズサが光に包まれます。まだ何となく分かるんだけど、目が『早く』って言ってるんですね。了解しました……。一気に入れますよ、一気に。
「っ~!!」
あれ、声でてませんよ? え? 大丈夫なのホントに? 僕滅茶苦茶不安なんですけど。でも……彼女の中ってすごく熱くて気持ちいいんです。だから思わず……腰振っちゃいますね。あ~、僕も性欲の塊……。コウヤとは違うね、やっぱり。コウヤは締め付けが強いんですけど……アズサはなんか……吸われてるような……そんな感じが。てかアズサはまだ進化の途中ですよ。意外と進化って時間かかるんだよね。特に石使ってる人って。体鍛えてレベル上がったら進化って人は十数秒なんだけど、石使って進化する人とかは数十秒かかることもあります。個人差なんだけどね……。僕の場合は「あれ?」とか思って動揺してたら大体20秒ぐらいで進化しました。前も言ったけど僕11歳で過失の進化を遂げました。彼女はもっと時間がかかるっぽいです。まぁ、交尾してるから変な風にならないようにしてるのかもね……。でもアズサの身体は光の中でほとんどキュウコンの形になってきてますよ。彼女の身体に触れてて分かるんですけど、膨れるような感じで変わっていくんだよね。なんて言うのかな、こう……もわっ? ずわっ? そんな感じで……。わかんないよね。説明下手でゴメン。でもこれだけは説明出来ます。僕は進化してる最中の彼女を犯してて、結構限界近いです。
「っく……アズサ……だ、出すよ……」
「旦那……様……」
そう言えば思いだしたけど、進化してる最中って声出したり動いたりほとんど出来ないんだよね。損なんだからさっきも今もあんまり声でてなかった訳ですか……。とりあえず、出します。進化してる最中の彼女の中に。
「ぅうぁぁぁっ!」
大丈夫かな……。色んな意味で。あ、進化終わったっぽいです。案の定彼女倒れ込みましたけどね。
「はぁ……はぁ……旦那……様ぁ……」
「はぁ……はぁ……」
とにかくモノ抜いて……彼女の隣にぐったり……。
「ありがとう……旦那様……」
「お礼とかいいよ……」
新しい身体のアズサは僕に抱きついてきた。
「旦那様……愛してる……」
嬉しいよね……そんな事言われたらさ……。
「旦那様の子供……生みたい……」
そんなに僕のこと愛してくれてるんだね……。
「……そう」
……だったら、僕も応えてあげなくちゃ……。
「……アズサ……」
抱きしめてあげて……言わなきゃね……。
「旦那様……」
僕はアズサを抱きしめた。コウヤの時とは違うけど、それでも、同じような感情を込めて。
「綺麗だよ」
彼女の新しい姿に言葉を贈って、他にももっと言葉を贈る……。
「嬉しい……」
素直な彼女にだからこそ、僕はこの言葉を贈るんだ。
「愛してるよ、アズサ」
彼女はこれで良いって言ったよね。
「二番目に、だけどね」
「……二番目になれた……」
嬉しそうな彼女の顔。意地悪そうな笑顔じゃなくて、本当に嬉しそうな満面の笑み。僕のことを彼女は愛してくれる。僕も、彼女より愛する雌がいるけれど、彼女のことを愛している。それだけのこと。それだけのことだから、何よりも愛おしくて、誰にも奪われたくない。奪おうとする奴がいるならば、僕は力の限りそれを阻止する。彼女が僕を愛してくれているから。僕も彼女を愛しているから。僕達は流れの違う運命をたどっていた。でも今、一つになったんだ。
「僕の旅は危険だけど……ついて来て欲しい、アズサ」
「当然」
そんな事を言う彼女は、僕なんかよりもずっと頼もしい。そんな彼女だったからこそ、僕は惹かれてしまったのかもしれない。でも、彼女は頼りない僕に寄り添って寝てくれた。約束だったからじゃない。そんな約束してなかったよ。僕は彼女と交わることだけを約束した。でも肉体的な事じゃ終わらせられないような、そんな気もする。色んな事を考えながら、僕は彼女を腕に抱いて眠りについた。
「旦那様、ほら、朝だぞ」
「んぅ~……」
「ほらほら、今日も朝日が綺麗だぞ」
「キミには負ける」なんて言ったらどんな顔するかな? 試してみたいけど、なんか恥ずかしいからやめた。
「アズサ……身体の調子は大丈夫?」
「もちろん。毛の艶も良いし、身長も高い。まぁ……相変わらず胸は小さいけど……」
ちょっと残念そうにしてる彼女を思わず笑ったら小突かれた。
「あと、ちょっとお腹がな。変な感じだ」
「え? ちょっと、大丈夫?」
可笑しそうに笑うキミはやっぱり可愛くて綺麗だよ。
「多分大丈夫だよ。それよりほら、日は短いぞ? 早く旅、続けよう?」
頼もしく見えるその姿、これからもずっと見られるよね?
「そうしよう。じゃあ、行こうかアズサ」
今感じてるこの感じ、ずっと続くよね?
「ああ、旦那様。私はずっとついていくよ」
流れゆく運命は、僕らを共にさせてくれているよね……。
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あとがき
はい、寝不足のDIRIです。
よくやるなと友達に言われます。無理をするなとも言われます。でもやっちゃうんですよ。これが私の性(笑
今回はいかがだったでしょうか? カルマンはコウヤの他に共に生きていける雌を見つけた訳なんですけども…。
やはりカルマンの中ではコウヤが一番なんです。アズサも二番目に甘んじて良いって言ってる訳なんですよ。私は多分、二番手になれって言われたらばっくれますね。独占欲強いので(笑
カルマン、モテモテですよね。今更思いましたけど。見かけはかっこいい子なんです。ホントに。ジャ○ーズにいる連中の中の良いパーツを全て集めて作ったような、そんなイメージの子です。中身はヘタレなんですけどね(爆
運命シリーズはまだまだ続きますので、期待せずに待っていて下さい。では。
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#pcomment(コメント/流れゆく運命,10)