人×ポケです。 [[ピカピカ]] ---- 「ヤバイな」 「うん、ヤバイね」 「どうするんですか?もしこの事があの方にバレたら・・・」 俺たちはある日届いた1つの手紙を見て驚きが隠せなかった。ただそのリビングのソファーに座ったまま唖然としていた。俺の隣にいる恋人達と。 どこかにある大きな屋敷。そこには一人の人間と二匹のポケモンがすんでいた。 その人間とポケモンは愛し合っていた。その噂は近所でも評判となっていた。 今から語られる話はそんな人間とポケモンのafter story・・・。 ---- 「今日から君達は僕の家族になるんだよ!!」 久しぶりだな、この夢も。これはあの二人を家まで持って帰っていった時の続きだよな? あの時は二人はどちらも緊張していたな。つーか驚いてたよな。 「どうかしたの?何か嫌だった?」 何も考えてなかった俺はそんな事を二人に聞いた。二人は俺を見て慌てて首を横に振った。 「ナオキ。その二人に名前をつけてあげたらどうだ?」 自慢の髭を撫でながら昔の父さんは俺に言った。 「お父さん。うん、そうだよね。何がいいかな?」 俺は悩みに悩んで考えた。結局名前を決めたのは俺の・・・ 「スイとレンなんてどうかしら?その二人は女の子でしょう?」 「あっ!!お母さん!!いい名前だと思うけど、どうして?」 いきなり出てきた母さんは俺の横を通りすぎて二匹の前に座った。そしてその二匹の頭を撫でながら俺を見て言った。 「この娘達、何か花の睡蓮みたいで綺麗な顔をしているじゃない?でもこの娘達は二人揃ってやっと本当の美しさを出せると母さんは思うな。だからスイとレン。二人合わせて睡蓮(スイレン)。どう?ナオキ」 まだ幼かった俺はあまりその言葉をよく理解できてなかった。今なら分かる気がするけど。 「うーん。よく分からないけど母さんがそう言うんだったら僕はそれでいいよ!!」 「そう。あなた達は?」 俺の了承を得た後、母さんは二人をニコッと笑って見つめた。二人は少し笑って小さく頷いた。 そうだ。これが俺とあの二人の出会い、そして名前を決めたあの日。 ---- (手紙から数時間前の事) ーチュンチュン・・・ー 雀の囀り(さえずり)とカーテンから漏れる光によって俺は薄っすらと目を開けた。 「夢か・・・久しぶりに見たなぁ、あの夢」 俺は目を少しばかりこすった。まだ眠い。もう少し眠っていたい。寝たの今日の2時だしな。 ダメだ、限界だ。今日の深夜の営みのせいで体がダルい。後30分は寝てよう。 俺は再び目を閉じ、布団を被った。 「起きろぉ~~っっ!!!!」 「ぐはぁっ!?な、何だ何だ?何事だ!?」 途端にお腹の辺りに少し重さがかかる。大した重さではないが、のしかかられた瞬間に少しだけ目が飛び出したかと思った。まぁ、おおよそ見当はつくけど。 「いきなり何だよ・・・スイ」 「何よその言い方?朝ごはん出来たからわざわざ起こしに来てあげたのに」 「もう少しやり方を変えてくれよ。身が持たないから」 俺はおでこの辺りに手を置いて悩み抱える姿勢になった。 「じゃあ・・・」 「んっ?」 「起きて。ナ・オ・キ?」 スイがいきなり猫なで声で俺にそう言うものだから俺は後ずさりした。 「うわぁっ!!何だよいきなり!?気持ち悪いなぁ」 「反応は分かってたけど何かやっぱりムカつく・・・。まぁいいわ。早く起きてね?冷めちゃうから」 「分かったよ。ありがとな、わざわざ起こしに来てくれて。スイ」 俺は無意識にスイの頭を撫でていた。スイは嫌がる素振りは見せないものの、顔を少し赤く染めて俺を見た。 「う、うん。分かればいいのよ、分かれば」 「はいはい」 スイは俺のベッドから下りてすぐさま部屋を出て行った。 「まったく・・・可愛い奴だなぁ・・・」 俺は少しにやけながら着替えを始めた。早くしないと朝ごはんが冷めるし、何よりあの二人に悪いからな。俺はすぐに着替えを終え、部屋を出た。時間はすでに九時を回っていた。今日が休みでよかったと思わずにはいられない。 階段を下りて俺はキッチンへと向かう。そこにはさっきとはまた違った雰囲気を持つもう一人のアブソル「レン」がいた。レンは俺がいることに気づいたのか振り返って俺を見てニコッと笑った。 「おはようございます、ナオキさん」 「あ、あぁ。おはよう、レン」 少し見とれていたせいか俺は変な挨拶をしていたに違いない。でもレンはそんな事を気にせずに俺に向かって笑ったまま言った。 「朝ごはん出来てますから食べてください」 「おう。ありがとな、レン」 「いいえ、どういたしまして」 姉とは大違いだな。どうやったらここまで違いが出るんだろうか。可愛さはどっちも同じなんだけど。まぁ、レンは母さんにいつもくっついてたからな、多分その影響だろう。 「・・・」 俺はそんな事を考えながら、不意にちょっと悪戯してみようと思ってレンの所へ足音を立てずに近寄った。そして後ろから強く抱きしめた。 「スキありっ!!」 「ふぇっ!?きゃんっ!!」 レンはビックリしたのかいつも以上に可愛い声を出す。俺はモゾモゾと手を胸元へとまさぐらせる。 そして少し軽めに揉んでみた。 「くぅっ・・・!!な、ナオキさん・・・こんなとこじゃダメですっ・・・」 俺はすぐに手を引っ込めた。レンはちょっと息が荒くなっていた。 「ちょっと悪戯してみただけだよ。ビックリした?」 「それは・・・当然ですよ・・・。だっていきなりされるんですもの・・・」 「ごめんごめん。相変わらずレンも可愛いなぁ」 俺がそんな風に言うとレンは顔を真っ赤にして黙りこくってしまった。 俺はレンの頭に手を置いてさっきと同じように撫でてやった。そしてテーブルへと向かい朝ごはんを見渡し、食べ始める。相変わらず美味しい。 俺は数十分もしないうちに食べ終わってしまった。食べ終わった食器を重ねてキッチンへと運ぶ。 キッチンにはまだ少し顔を赤らめているレンがぽーっとしていた。 「レン~?お~い?」 「はっ、はいっ!?何ですかっ!?」 レンはビクッと体を動かして慌てて俺を見る。 「ごちそうさま。美味しかったよ」 「え?あ、ありがとうございます・・・」 「はは、まだ気にしてるのか?さっきの事」 何だかシャキッと締まってないようだったので俺はレンに聞く。レンは恥ずかしそうにコクッと頷いた。俺はまた少し笑う。 「あんまり気にするなって。今じゃ毎日やってるようなもんなんだからさ?」 「ですけど・・・いきなりはあんまりですよ・・・」 レンはそういってまた黙りこくってしまった。 「悪かったよ。じゃあ今日のところはこれで許してくれるかな?」 「・・・?」 レンはきょとんとした顔で俺を見る。俺はレンの顔に自分の顔を近づけその唇を奪う(?)。 「っ!?」 レンは再びビックリして顔を更に赤らめたが、俺が唇を離すと何とも言えない様な顔で俺を見た。 「・・・・」 レンは恥ずかしくて何も言えなかったのかその場からすぐさまどこかへ行ってしまった。 やっぱり可愛い。スイも可愛いけどやっぱりレンも可愛い。 (幸せってこういう事を言うのかなぁ・・・?) 最近俺は随分と変わったような気がする。あの二人の影響だ。多分。 「いいなぁ・・・私もしてほしいなぁ・・・?」 「!?」 いつの間にか後ろにいたスイが意地悪な顔をして俺を見ていた。俺は一瞬ぎょっとした。 今までのことは全部見られてたのか? 「・・・見てた?」 「全部、ね」 俺自身もかなり恥ずかしくなった。レンの気持ちが分かった、ような気がした。 そしてスイが静かに歩み寄ってくる。どうすればいいかなぁ? 「してほしいのか・・・?」 とっさに出た言葉がこれ。別の意味にも聞こえるような気がしないでもない。 しかしスイの反応は意外なものだった。 「・・・うん。キス、してほしいな・・・」 そう言って目を閉じるスイ。こうすると全然レンと変わりない。 (やけに素直だな?まぁいいけど・・・) 俺はスイの唇と自分の唇を重ねる。レンと同じで柔らかい唇、それでいて温かい。 数秒もしないうちに唇を離した俺たちだったが、意外と長く感じた。好きな人としたからかな? スイは満足気に俺を見て言った。 「ありがと」 スイは一言そう言って俺に背を向けて別のところへ行ってしまった。 「どうしたんだろ?スイの奴・・・」 あまりにも素直すぎるのが逆に怖い。かといって気にしすぎるのも良くないか。 俺はひとまず気にしないことにした。朝刊でも取ってくるかな。 俺は少し伸びをした後、玄関まで歩いていき、ドアノブに手をかける。ドアノブを捻り外へと出た。 「少し寒いな・・・11月だもんな」 あの出来事からまだ一ヶ月しか経ってないのかと思うと少し変な感覚に囚われた。 それに今ふと疑問に思ったのだが、ポケモンと人で子供って出来るのだろうか?あまり近くにそういった状況に置かれている人っていないから分からない。もし生まれるとしたら人間?それともポケモンが生まれるのか?タマゴ?それともそのままポロリと出てくるのか? 考えただけで少し気持ち悪くなってしまった。何てグロテスク(?)な事を考えてるんだか俺は。 「朝刊朝刊・・・ってあれ?何だこの手紙?」 玄関の横にあるポストの中を見ると、朝刊に挟まれるように封筒が挟まっていた。そしてその封筒は朝刊を手に取った時にするりと地面に落ちた。俺はその封筒を手に取る。 「宛先人は・・・」 俺は封筒の裏のほうを見る。 「え~っと、差出人は・・・と。」 俺は封筒の裏のほうを見る。途端に背筋が凍りついたような気がして・・・ ーガチャッ!!バタンッ!!ドドドドド・・・・ー 勢いよくドアの開く音と閉まる音が聞こえ、更に凄い足音がスイとレンの耳に入った。スイとレンは自分の仕事を終えて、リビングにあるソファーに座って一段落していたところだったのでビックリした。そしてリビングに凄い形相をしたナオキが勢いよく入ってきた。 「どうしたの?凄い顔して」 「ちょっと怖いですよ、ナオキさん・・・」 スイとレンはのん気に茶を啜っていた。今、俺が大変な知らせを持ってきたというのに。 「・・・と、父さんから手紙が来た・・・」 俺がそういった瞬間スイとレンは同じタイミングでお茶を吹き出した。後でちゃんと掃除しとけ。 慌てた様子で二人が俺に近寄ってくる。俺はリビングのソファーの真ん中に座り、その左右に二人がそれぞれ座った。 「ナオキ?お、お父さんは何て・・・」 「今、読むから・・・」 俺は封筒の封を切り、手紙を取り出す。一枚の手紙が入っていた。俺はそれを声に出して読む。 「私の息子のナオキ、そして娘のスイとレンへ。今から帰ります。お土産買っておいたぞ。帰ってきたら私の積もる話でも聞いてくれ。それと、お前たちの普段の様子見なども兼ねてしばらくとどまる事にしたのでよろしく・・・お前たちの父さんより」 「・・・」 何これ?ヤバイだろ。あの父さんが帰ってくる。しかも二年ぶりに。 「ヤバイな」 「うん、ヤバイね」 「どうするんですか?もしこの事があの方にバレたら・・・」 俺は手紙を見ながら手が震えていた。それはもちろん隣にいる二人も同じだった。 「んっ?下にまだ何か書いてある」 俺は手紙の下の方に目をやる。そこにはP・Sと書いてあった。 「追伸・・・?お前たちがこの手紙を読み終えるころには私は家についてるはず・・・」 ーピンポーン・・・ー 「何ィィッッ!!?いつ出した手紙だコレ!?」 「ちょっと!!来ちゃったよ!?どうするの!?」 「おおおお落ちつけ!!普通に接すればどうって事はない!!多分・・・」 ーガチャッ・・・ー 「入ってきたぁっ!?インターホン押した意味なくね!?」 俺を含む三人はリビングでおろおろしていた。次第に足音が近づいてくる。やばい。まだ心の準備ができてない。こうなったら最後の手段しかない・・・!! 「スイ!!レン!!こうなったら・・・」 「「?」」 ーガタッゴトッ・・・ー 「・・・?」 リビングに次第に近づいていた足音の持ち主はリビングを見て沈黙した。 少し変な物音がしたことに疑問を持ったが、それ以前に今自分が見ている光景に疑問を持っていた。 「何をしているんだ?お前たちは・・・」 目の前には川の字になって床に寝そべっている三人。 「・・・昼寝・・・?」 しばらくの間その部屋にだけ沈黙が流れていたのは言うまでもない・・・。 数分後・・・ 「まったく・・・久々に帰ってきたというのに何をやってるんだか」 リビングのソファーに座っている父さん。その向かいのソファーに座っている俺とスイとレンの二人。父さんは深くため息をついてやれやれと言わんばかりに首を横に振る。 さっきのアレがあったせいで何か気まずい空気が流れている。何であんなことしたのだろうと後悔するばかりである。よく二人もやってくれたものだ。 「てか何でいきなり帰ってきたんだよ?しかも二年ぶりにさ」 俺が言うと、父さんは驚いた顔で俺を見て言ってきた。 「お前、分からんのか?今日は大切な日だろう」 「大切な日・・・?今日は・・・もしかして・・・?」 父さんは頷く。何てことだろう、すっかり忘れてしまっていた。正確には忘れたいが本心なのだが。今日は母さんの命日だ。母さんは俺が10歳の頃に病気で死んでしまった。当時の俺はまったく納得できずにしばらく塞ぎこんでいたんだっけ。 思い返すと脳裏に甦るあの記憶・・・ ---- 「お母さん!!お見舞いに来たよ!!」 母さんは見舞いに来る俺をいつも笑顔で迎えてくれた。本当は笑顔など作れないほど苦しかったはずなのに。でもいつも笑顔で俺の話を聞いてくれた。あの二人と何したとか、今日はこんな事があったとか。普段は一人で見舞いに行っていたけど、あの二人と一緒に来たこともあった。そしてそんな日々が何ヶ月も続いた。そんなある日母さんはこんな事を口にした。 「ナオキはいつも元気でいいね。母さん羨ましいよ」 「・・・?何言ってるのさ母さん!!母さんがそんなんじゃ治る病気も治らないよ!!」 「そうだね・・・ゴメンね、ナオキ。お母さん頑張るから」 何も知らない俺はそんな事を言った。もしかしたら母さんはその時もう悟っていたのかもしれない。 自分がもう長くないことを・・・ だからあんな事を言ったのかもしれない。 それから数日した日の事だった。母さんの容態は急変。手術室に運ばれていく母さんを見ていた俺は幼いながらもその時やっと事の重大さが分かった。母さんの病気は治るものではないのだと。 「お父さん。お母さん治るよね?」 「・・・あぁ、絶対治るさ。母さんを信じような」 父さんの服の袖を引っ張って、ただひたすら母さんの無事を祈った。手術室の近くにある椅子にしばらく座って待っていた。隣には今と同じように二人が座っていた。 スイやレンも心配を隠せずに落ち着かない様子だった。それもそのはず、父さんと同じように二人は母さんにも本当の娘のように可愛がられていたから。今の二人があるのは母さんのおかげでもある。家事の殆どは母さんに教えてもらっていた。だから二人にとっても母さんは本当の母さんのようなものなのだ。心配しないはずがない。当時の俺はその二人を慰めようとこんな事を言った。 「大丈夫だよ、二人とも。お母さんはこんな事で負けたりしないよ。だからそんなに落ち込まないで。二人にそんな顔されたら僕も落ち込んじゃうよ」 「ナオキ・・・」 「ナオキさん・・・」 二人は俺が言ったからなのか少しだけ元気になったみたいで俺にこう言った。 「そう、だよね・・・お母さんは負けないよね!!」 「お母さんは治ります。そうですよね?ナオキさん」 「当たり前だよ。だからずっと待ってよう、母さんの無事を祈って」 二人は頷いた。それから一時間、二時間と待った時だった。手術中のランプが消えた。中から医者が出てきた。とても深刻な顔をしていた。 「みなさん、残念ながら・・・」 「・・・そう、ですか・・・ありがとうございます」 「すみませんでした。私たちの力ではどうすることも出来ませんでした・・・」 医者の声は震えていた。父さんは拳を握り締めて震えていた。 「お、お父さん・・・?どういうこと・・・?お母さんは?お母さんはどうなっちゃったの!?ねぇ!!お父さん!!」 「ナオキ。残念だけど・・・母さんは、もう・・・!!」 俺は父さんの言葉を無視して手術室の中へと走って入った。後ろから二人も追いかけてきた。 台の上には母さんが乗っていた。心電図は一直線だった。 「お・・母さん?ねぇ、起きてよ・・・いつもみたいに僕の話を聞いてよ。笑ってよ・・・お母さん・・・」 俺は涙をポロポロと流しながらもう二度と目を開けることのない母さんに向かって言った。 二人は俺とは向かいに回り込んで母さんの顔を覗き込んだ。 「お母さん・・・ウソだよね・・・?私達まだ何もお母さんに恩返ししてない・・・」 「目を開けてください・・・お母さん・・・!!お願いです・・・」 二人がどんなに涙を流しても母さんは目を開けなかった。二人も目から涙を流していた。それからしばらくの間手術室には三人の泣き声が響き渡った。 あんなに悲しかった事はこれから一生ないだろうと思った。あんなに泣いたのも初めてだった。 母さんが死んだ・・・ 俺はその事実を認めたくなかった。でも認めざるを得なかった。なぜならもうこの世には母さんは生きていないのだから。俺と二人はしばらくの間すっかり塞ぎこんでしまった。立ち直るのにも数ヶ月はかかった。ある日俺は二人と母さんの墓の前で誓った。 「お母さん、俺はお母さんの分までしっかり生きるよ・・・だからずっと見守っててほしいんだ」 俺は胸に手を当ててそう言った。二人も俺と同じ気持ちだったのか、俺の横に立って同じ事をした。それから三年後だ。父さんが出張で海外へ行き、莫大なお金を俺に託して行ってしまったのは。 俺は今まで二年間あの二人とずっと暮らしていたのだ。母さんの分も。 ---- 俺はふっと我に返った。母さんとの思い出はずっと残ってるはずだ。俺やスイ、レンの心の中に。 もちろん父さんも。でも今まで母さんの命日を忘れたことなんかなかったのに、なぜ今は忘れてしまっていたのだろう。最近は色々なことがあったからだろうか・・・。 俺はレンがいつの間にか出してくれていたコーヒーを口に含んだ。口にはいつも以上に苦味が残った。そして口に苦味を残したまま、俺は父さんに問う。 「父さんはいつまでここに居られるんだ?」 父さんがきょとんとした顔で俺に逆に問う。 「何だ、帰ってきて早々。そんなに早く帰ってほしいのか?ん?」 「そういう訳じゃないよ。昔から俺はあまり父さんと接してなかったからさ。父さんの仕事の都合でね」 「ほぅ。そういう事か。うむ、手紙にはしばらくと書いたが、実を言うと今日含めて三日ほどしか居れん」 「み、三日・・・やっぱり仕事はまだ忙しいのかい?」 父さんは静かにうなづく。考えてみれば分からないことでもない。何てったって会社の社長だからな。ようするに俺は御曹司という奴。その内継がなくてはいけないのは目に見えてる。 もし継いだら二人との時間が取れるのだろうか? 今みたくずっと一緒に居られるのだろうか? 俺の頭の中で少し嫌な感覚がよぎる。今考えても何にもならないが、それでもやっぱり不安だ。首を横に振ってそれを振り払おうとする。 その様子を双子は心配そうに見ていた。 「大丈夫?」 スイが俺を心配してくれているのか顔をじっと見る。隣に居たレンも同じ顔をしていた。 「あ、あぁ・・・大丈夫。心配しなくてもいい・・・」 俺は平然を装う。実際のところ、かなり胸が苦しい。父さんも顔には出していないが、心配してくれているようだ。 「ナオキ、少し休むといい。母さんのお参りは明日行くことにしよう」 「父さんまで心配することないよ。俺は大丈夫だからさ」 俺がそういうと、父さんが顔に凄みをきかせて俺に言った。 「いいから休みなさい」 「・・・分かったよ。休めばいいんだろ・・・」 俺はリビングから一人だけで出て行った。後を追うようにスイとレンも来たのだが、それを父さんが止める。 「スイ、レン。少し残ってくれないか?」 「・・・はい?」 二人は元居た場所に再び戻る。そして自分の本当のではないが、父親の顔を見た。 父親は二人を見るなりため息をついた。 「スイ、レン。あの子は私が居ない間どうだった?しっかりやっていたか?」 二人は黙って頷く。 「そうか。あの子には昔から父親らしいことを何一つしてやれていなかったからなぁ・・・。さっきナオキが言っていただろう?」 「お父さん、でもそれは仕事が忙しかったから仕方のないこと・・・」 レンが父親にそう言ったが父親は首を横に振った。 「それは言い訳に過ぎない。もっと時間を割いてでも家族と接すればよかったと今になって思う。母さんにも悪いことをした。苦労をかけすぎていた」 「「・・・」」 二人は黙って話を聞いていた。父親は物寂しげな顔をして話していた。 「だから私はお前たち二人がこの家にやってきてくれて本当によかったと思ってる。お前たちが来てくれたおかげで、母さんやナオキは随分と明るそうにしていたよ。無論、私もだがね」 「「お父さん・・・」」 「それでだな、お前たちにひとつ頼みたいことがあるんだが・・・」 「何ですか・・・?」 父親はにっこり笑って二人に言った。 「あの子の傍にずっと居てやってほしい。あの子の支えにずっとなってやってほしい。幼いころからずっと一緒だったお前たちだったらあの子も十分過ぎるほどだろうに。どうかな?もちろん嫌だったらいいのだが・・・」 二人は顔を見合わせてきょとんとしていた。そしてすぐにクスッと笑って父親を見て言った。 「「はい、もちろんです」」 二人は声を合わせてそう言った。父親はまたにっこり笑った。 「そうか、ありがとう。私の娘たちよ」 父親は二人を自分の娘と言った後、二人の頭を撫でた。いつもナオキに撫でられるものと違い、二人はまた別の温かい温もりを感じていた。 そして二人は互いにこう思ったのであった。 この家に拾われて本当に良かった・・・と。 「そうだ、話は変わるがお土産を買ってきたんだ。もちろん二人にもな」 「えっ?何ですか?」 父親が大きなかばんの中から少し大きい袋を取り出した。スイとレンの二人はそれをじーっと見ていた。一体何が入ってるのだろうとワクワクする反面、変なものではないだろうかと思ったりもした。 「二人にはこれだ。メイドなんだからこういうのがあっても可笑しくないだろう?」 父親が取り出したものを二人はぽかーんと見ていた。別に変なものではなかったが、二人にとっては凄く役に立つものでもなかった・・・かもしれない。 「これ見つけてくるの結構苦労したんだぞ~?」 「・・・でしょうね」 レンが小さく呟いた。スイはそれを父親から受け取り少し口をへの字に曲げていた。嬉しくないわけではないが、かなり恥ずかしいものである。 「まぁ、とにかくナオキにでも見せてくればいい。多分喜ぶぞ。私は早速だがちょっと出かけてくるからな。なぁに、晩御飯までには戻るさ」 今、時刻は昼の12時頃。やっぱり社長はこっちに戻ってきても忙しいのだろうとスイとレンは思った。そして父親はソファーから立ち上がり玄関へと向かっていた。それをスイとレンは見送った。 「行ってらっしゃい、お父さん」 「気をつけて行ってきてくださいね」 二人がそう言うと、父親はにっこり笑って二人に言った。 「ありがとう、行って来るよ」 二人に言うと、父親は家の前の車に乗り、出かけた。 それから数十分後・・・ 「え~っと・・・レン?どうする?これ着てナオキに見せる?」 「・・・恥ずかしいけどせっかくお父さんが買ってきてくれたし、着ないわけには・・・」 「だよね・・・ナオキが見たらどう思うんだろ?」 二人は座り込んで目の前にある衣服を見ていた。 「今時、ポケモン用なんてあるんだね?」 「・・・一体誰が考えたんだろう、お姉ちゃん」 「知らないわよ。これ見てみなさいよ、パンツまでついてる」 二人はしばらくの間その衣服を見たままため息ばかりついていた。着ようか着ないか悩みに悩んでいたのである。 それから数時間が経とうとしていた・・・ 「・・・んっ?いけねぇ・・・休んでたらいつの間にか寝てたんだな」 ナオキは自分のベッドの上で目を覚ましていた。ふと時計の時刻を見れば、二時を回っていた。 「やけに静かだな?父さんと二人は何してるんだ?」 ベッドから立ち上がって部屋を出ようとする。そしてドアのノブに手をかけようとしたその時だった。ドアの向こう側から何か声が聞こえた。 「やっぱり恥ずかしいよ・・・」 「私だって恥ずかしいわよ・・・でも、もしかしたらこれでナオキが喜んでくれるかもしれないよ?レンだってナオキの喜ぶ顔とか見たいでしょ?」 「う~~・・・」 (一体何してるんだ?この双子さんたちは?) そしてドアを開けてみる。目の前には確かに双子が居たのだが・・・。 「「「・・・」」」 三人は共に無言だった。それもそのはずだった。ナオキが見た双子の格好は驚くものだった。 双子はメイドの格好をしていた・・・(しかもポケモン用の物) さっきの父さんと同じようにしばらくその場に沈黙が流れた・・・。 何で二人がこんな格好してるんだ?と思うのが普通の人だったらそう思うだろうな。 だけど俺は多分普通の人じゃないからこう思ってしまった。 可愛い・・・ たったその一言だった。 「スイ、レン?その服は一体・・・」 二人は顔を真っ赤にしたまま少し俯いた状態だった。二人にとっても凄く恥ずかしい格好なのではないかと思ったが、的中していたらしい。そんな事を考えてると、レンが言った。 「これは、その・・・お父さんがお土産にって・・・」 「はぁ?父さんが?何でまた・・・」 俺が素っ頓狂な顔をしているとスイがやっと口を開いた。 「私たち一応あんたのメイドやってる訳だからこれくらい持っててもおかしくないだろうって・・・そう言ってたよ」 「確かにそうだけど・・・普通、自分の娘にこんなもん買ってくるか?」 「ナオキさん、嬉しくないんですか・・・?」 俺が頭をポリポリ掻いていると、レンが突然聞いてくる。 「い、いや・・・嬉しくないわけじゃ、ないけどさ・・・てか俺のためにそれ着たのか?」 「!!べ、別にあんたのためにやった訳じゃ・・・!!」 「えっ?お姉ちゃん、ナオキさんのためにってその格好を・・・むぐっ!!」 「あんたは余計なこと喋らなくていいの!!」 スイはレンの口を手で塞いだ。二人は俺が図星を突いたからなのか、さらに顔を真っ赤にして焦りはじめた。内心俺のためにやってくれたのなら凄く嬉しい。俺はその感情を顔に出さないようにし、そして二人にちょっと意地悪っぽく聞いた。 「じゃあ何でその格好で俺の部屋の前に居たんだ?偶然にしちゃあちょっとタイミングが良すぎないか?」 「うっ!!そ、それは・・・」 核心をついたからか、二人はもう何も言えなくなり口を塞ぎこんでしまった。俺はチャンスだと思い、二人に言った。 「まぁいいよ。とりあえずベッドの上に座って」 「・・・?うん」 スイとレンはいきなりの俺の言葉に疑問を浮かべた顔をしながらも言うとおりに従った。そしてベッドの上にピョンっと飛び乗ると、二人は俺を見た。俺も続いてベッドの上に乗る。 「そういえば父さんはどうしたんだ?」 「お父さんなら出かけましたよ。晩御飯の前には戻るって言ってました」 「そうか・・・」 ちょうど良い。それなら聞かれる心配もないな。 「じゃあ今この家に居るのは俺とお前たちだけか・・・」 二人は黙って頷く。俺はニヤリと笑う。 「ちょ、ちょっとあんた何か変なこと考えてない?」 「だったらどうする?」 「!!だったらって・・・んっ!?」 スイの言葉は途中で切れた。それもそのはずである。俺がスイの口を自分の口で塞いだのだから。 舌を絡めてキスをしていると、レンが視界の中に入る。俺とスイを見てオドオドしている。 当然のことだろうな、いつもだったら俺から「やる」なんてことはしないからな。俺はスイを仰向けにしてから口を離す。俺たちの口の間には透明な橋がかかっていたが、重さによってすぐに崩れてしまい、スイの口元に垂れる。 俺は口元を拭ってからレンの方を見て言った。 「ヤッてほしいか?大丈夫だ、スイとヤッた後にしてやるからさ」 「な、何か今日のナオキさんいつもと違う・・・」 俺を見るレンの目は少し俺に対して怯えを感じていた。俺は気にせずに再びスイの方を見る。スイは少しの間キスをしただけなのにもはや息を荒くしていた。俺はスイの腰あたりに手を伸ばし、俯きにさせる。そして俺の顔の辺りまで腰を浮かせる。スイは「はぁはぁ」と息を荒げながら俺の顔を横目で見る。それを気にせずに俺はメイド服をめくってみる。そこにはいつもはないはずのものがあった。 「最近のものはよく出来てるな。パンツまでしっかりと作られてるなんてな」 よくそのパンツを見れば秘所の辺りが湿っている。俺はその辺りに指をつけて軽く押してみる。じわりとパンツは程よく湿りをさらに帯びる。 「キスだけでこんなに感じたのか?お前も相当いやらしいな」 「ば、ばかぁ・・・あんたが弄るからそうなっちゃったんでしょ・・・」 「はいはい、そうですか。じゃあもっと弄ってやるよ」 俺は適当に言葉を返してから、パンツを脱がさずに横から手を忍び込ませて秘所を直で触る。スイはピクッと体を震わせる。俺は表面を撫でつかせていた指を秘所に入れる。 「ふぁっ!!あっ・・・ゆ、指ぃ・・・入って・・・くぅ」 「こんなに濡らしちゃって。凄い締まりだな」 「んっ・・・そんなの指じゃ・・・わからないよ・・・」 「そうか。じゃあもう入れてほしいか?」 俺はズボンから自分のモノを取り出す。行為のせいか、俺のモノも既に収まりがつかないほど膨張していた。スイはそれを見て体を震わせながら恥ずかしそうにコクッと頷く。 「お望みどおり入れてやるよ・・・」 パンツを脱がさずにモノを近づける俺にスイは問う。 「ぱ、パンツ脱がさないの・・・?」 「たまにはこういうのもいいと思ってな」 俺はパンツを横にずらして秘所を露にする。さっき弄ったからか、スイの秘所は早くと言わんばかりにピクピクと蠢いていた。俺はそのままモノを秘所に宛がう。 ーグッ・・・ズブブ・・・ー 「あぁっ!!ナオキの・・・いつもより大きいよぉ・・・」 「当然だろ?お前たちのこんな可愛い格好見せられたら誰だってそうなるさ」 つい俺の本音が出てしまったが、スイはそれを嬉しそうに聞き返してくる。 「ほ、本当に・・・?可愛いと思ったの?」 「俺がお前たちに今まで嘘ついたことあったか?」 「・・・ない」 「だろ?それじゃあちょっと痛むかもしれないけど動くぞ?」 スイが黙って頷くと、俺は腰を振りはじめる。俺のはあまり慣らしてなかったが、それもスイの愛液でカバーしてもらっているからスムーズにモノは前後に動く。 ーズッ・・・ズッ・・・ー 一定のペースで腰を振ってはいるが、絶頂が近づくにつれその動きは早くなる。 「んぅっ!!あはぁっ!!ナオキ、いつもより・・・激しいっ・・・!!」 「スイの膣もいつもよりかなり締まりが良くてすぐにイキそうだ・・・」 隣ではレンが見ているのに、スイは派手に喘ぐ。俺の今の顔もきっとだらしなくなっているに違いない。それもレンに見られてるかと思うと結構恥ずかしい。今更思っても後の祭りだが。 少し気になった俺はレンの方をちらっと見る。 「っ!!?」 ちらっと見ただけだったが、一瞬にして俺の視線はそっちに釘付けになっていた。 「んっ・・・あふぅ・・・んぁ・・・」 レンは俺たちが居るにもかかわらず目の前で自慰をしていたのだった。パンツに手を入れて己の指で秘所を掻きまわしているのだから自慰と言って間違いないだろう。 恐らくは俺とスイの行為を見て我慢できなくなったからだろう。レンは顔を真っ赤にしているのに指の動きをやめない。俺は腰を振りながらもレンの自慰を見続けていた。 「くぅ・・・ナオキ、さんっ!!もう・・・ダメェッ!!あぁっ!!」 レンが体を思いっきり震わせると、パンツが凄い勢いで全体に湿っていくのがわかった。 俺はそのレンの絶頂を見た瞬間にスイの中に精を放ってしまっていた。ビュルビュルッと勢いよく音がしたのが分かるほど俺はスイの中に精を放っていた。 「あっ・・・あぁ・・・凄いよぉ・・・ナオキの精が沢山・・・」 スイも俺が放った瞬間にイッたらしい。ビクビクと体を痙攣させているのが何よりの証拠だった。 俺がモノを抜くと栓になっていたからか、スイの膣から少し精が逆流してコポコポと垂れてきた。 「はぁ・・・はぁ・・・」 一方レンも自慰をしてイッたからか、息を荒げていた。 「レン、そんなに我慢できなかったのか?自慰なんてして・・・」 「ご、ごめんなさい・・・お姉ちゃんとナオキさんを見てたら自然と手が動いちゃって・・・」 「いや、そんなに待たせた俺にも原因はあるからさ。レンは謝らなくていいよ」 そう言った俺はレンの頭を軽く撫でてやった。レンはしょんぼりとしたまま俺に頭を撫でられていた。やっぱり自分のやった事を気にかけているらしい。俺はどう言葉をかけていいか分からず、仕方なく最後の手段に出ることにした。 「レン、スイの上に乗ってくれないか?」 「ふぇ?・・・あっ、はい」 一瞬すっとぼけた返事をしたレンだったが、俺の言われたとおりにスイの上に乗った。スイは仰向きに、レンはうつ伏せの状態で体が重なり合った。もちろんそんな状態だから二人の秘所はぴったりと重なり合う。 「よし、それでいいよ・・・始めるとしますか。あっ、パンツは脱いでくれ」 俺が言えば二人は少し不慣れな手つきでパンツを脱いでいく。アブソルの手ではやっぱり難しいと今更ながらに思った。そしてやっとの事で脱ぎ終わると、二人は再び秘所を重ね、俺を少し涙で潤んだ瞳で見る。 「まずは確認だよな・・・」 俺は手を二人の秘所に近づけ、親指をレンの秘所に、人差し指をスイの秘所に入れた。二人の秘所は愛液のせいか俺の指を難なく受け入れ、奥へと進入を許した。 ーグププッ・・・クチュクチュ・・・ー 「は・・ぁ・・ひん・・・・」 「くぅ・・・あぁっ・・・ん・・」 二人は互いに喘ぐ。それが俺の耳に入るたびに俺の興奮を高める。 「それなりに二人とも濡れてるな。これだったら大丈夫そうだ」 秘所から指を抜くと手には二人の愛液が付いており、秘所から糸を引いていた。俺はその愛液を舐めとり、次の段階へと移る。 肥大化させたモノを二人の秘所が重なっている所へと近づける。 「多分ないだろうけど、苦しかったりしたら言えよ?」 二人は静かにコクリと頷く。二人の了承を得た俺は、モノを徐々に秘所が重なっている部分へと進入させていく。 「うっ・・・くぅっ・・・」 少しキツイが俺はモノを全て進入させた。二人の秘所が重なり合っていてとても熱い。同時にいつもとは違う締め付けも感じられる。 「こんなに締め付けられるなんてな・・・予想外だった。二人とも、そろそろ行くぞ・・・」 俺は今度は腰を前後に振る。いつもよりも水の弾ける音が大きい。快楽もぜんぜん違う。 「あぁっ!!こ、これスゴイッ・・・!!」 「気持ち・・・いいですぅっ・・・!!ナオキさん・・・!!」 「お、俺もだ・・・。二人の秘所が重なって・・・」 二人分の愛液が俺にかかり、滑りを良くさせる。淫音は部屋中に響き、何ともいやらしい。 背中、いや体中に快楽の電気が走る。それが絶頂へと近づくにつれ、俺の腰の動きは早くなっていく。 「んくぅっ!!わ、私また・・・イクゥ・・・!!」 「ナオキさん・・・私も・・・イキそうですっ・・・」 「俺もだっ・・・さ、三人一緒にイクぞ・・・」 そう言った俺はスパートをかける。そして絶頂は訪れ、俺はモノを出来るだけ奥へと行かせた。 「ぐっ・・・ううぅぅっ!!」 「「ああぁぁぁっ!!」」 モノから精が放たれると、二人の真っ白な毛に精がかかった。二人の真っ白な毛は、汗と俺の精でじっとりと湿っていた。俺は一先ずモノを抜く。ずるりとモノが抜くのを見た後、俺は横へと倒れこむ。二人は体を離した後、俺の両端にやってくる。 「はぁ・・・はぁ・・・」 「はふぅ・・・よかったよぉ・・・ナオキぃ・・・」 「私も・・・気持ちよかったです・・・」 二人はそう言って俺の頬を少し舐めた。くすぐったさと温かい感じが俺の疲れを一気になくした様にさえ思えた。 「少し休んでからだな。お前たちのそれを洗濯するのは・・・」 「うん、そうだね・・・」 「何だか今日は一段と疲れちゃいました・・・」 徐々に二人は目を閉じた。そしてすぐに静かな寝息が聞こえてきた。 「お休み。スイ、レン。今日は俺のためにありがとな」 俺は聞こえていないだろうが、小さい声でそう二人に言った。そして俺も少し休むために目を閉じた。父さんが帰ってくるまでには目が覚めることを祈りながら。 ---- あれから俺たちは何とか父さんが帰ってくるまでに起き、洗濯や後処理を終えた。だけど俺の部屋には少しだけ匂いなどが残ってしまった。バレなければいいのだけど。 まぁ、それから父さんが帰ってきて久しぶりに家族揃ってのご飯を食べた。それから今度はご飯を食べ終えて父さんの土産話や、昔のことなどを話した。そしていつの間にか時間は過ぎて、深夜になっていた。 「んっ?もうこんな時間か。明日の事もあるし、もう寝るとしよう」 「そうだな。あっ、父さん。その前に話したいことがるんだけどいいかな?」 「あぁ、構わないよ」 俺は二人を先に部屋に行かせて寝るように言った。二人は軽く挨拶をしてからリビングを出て行った。俺は再びソファーに座って父さんを見る。 「で、話とは何だ?」 「うん、実は俺さ・・・」 俺はいったん言うのをやめようと思ったが、でも今言わなきゃ駄目な感じがして口を動かした。 「俺、二人と付き合ってるんだ。スイとレンの二人と」 父さんはちょっと驚いた顔をしていたが、またすぐにいつもの顔に戻った。俺は父さんに今までのことを全て話した。30分ぐらいかかって俺は全てを話し終えた。 父さんはずっと黙って俺の話を聞き続けていた。そして俺の目をじっと見てこう言った。 「本気なのか?」 「あぁ・・・俺の気持ちは変わらないよ」 「ふむ。そうか・・・お前も、もうそんな歳になったんだな」 父さんは腕を組んでいたが、それを解いてから立ち上がり、母さんの仏壇へと向かっていった。そして仏壇の中から何かを取り出して再び戻ってきた。そして手に取ったものを俺に見せた。それは首にかけるアクセサリーみたいなもので指輪が付いていた。しかもそれが三つもあった。 「父さん、これは?」 「これは母さんからお前たちに渡してほしいと頼まれたものなんだ」 「母さんが・・・!?」 「うむ。母さんは死ぬ前に私にこれを渡してな。その時こう言っていたよ」 ---- 「あなた・・・これをあの子達に渡してほしいの・・・」 「これは指輪だね?なぜこんな物を・・・」 母さんはその時笑いながらこう言っていたよ。 「前にね、スイとレンから聞いたのよ。「私たちナオキと絶対結婚する」って。どっちがお嫁さんになるかで随分もめてたらしいけどね」 「ははは・・・。あの娘達らしいじゃないか」 「そうね。ふふふ・・・でね、ナオキも言ってたのよ。「僕、二人のことが大好きだよ」ってね。私ね、もしかしたらあの子達が大きくなったら本当に結婚しちゃうんじゃないかなって思ったの」 「そうか・・・そうかもしれんな。もしそうなったときは私たちで祝ってあげようじゃないか」 私がそう言ったら母さんはまた笑って言ったよ。 「そう出来たらいいわね。でも、もしかしたらあの子達が大きくなってるとき私は居ないかもしれない。だから、せめてこれであの子達を祝福してあげたいのよ。お願い、あなた」 そう言った母さんの目には薄っすらと涙が溜まっていてな、私は断るわけにはいかないと思って、この指輪を受け取った。 ---- 「それから数日たった日だな。母さんが死んだのは」 話を聞き終えた俺の目からは涙が止まらなかった。何度ぬぐってもぬぐってもボロボロ涙が零れ落ちた。こんなにも俺たちのことを思ってくれていた母さんに対して感謝の言葉もいえない自分が悔しかった。 そして父さんは俺の肩に手を置いて、言った。 「ナオキ、受け取ってくれるな?母さんからの贈り物を・・・」 「・・・あ、あぁ・・・!!もちろんだよ・・・」 俺は父さんの手からその指輪の入ったアクセサリーを受け取った。そして指輪をよく見てみると何か文字が刻まれていた。その刻まれていた文字は英語で書かれており、日本語で訳してみた。 私の愛しい息子 ナオキへ そして他の二つにも同じようなことが書かれていた。 私の愛しい娘 スイへ 私の愛しい娘 レンへ と、それぞれの指輪にはそう刻まれていた。 母さんのその最後の優しさに俺はまた涙を流した。俺の涙はあの日と同じくらい流れた。 俺はその夜は一睡も出来なかった。ただ、母さんの仏壇の前で座っていた。 こうしていれば少しでも母さんの近くにいられるような・・・ そんな気がしたから・・・ 「母さん、俺あの二人のこと今でも好きだよ。だからあと5年ぐらいしたら結婚する。そのときは母さんも式に来てくれよな。席、用意しとくからさ。約束だよ?」 俺は仏壇の前で小指を出して指切りをした。勘違いかもしれないけど、その時俺の小指に何か温かいものが触れたような気がした。 「・・・約束・・・したからな・・・?」 そして次の日、俺たちは母さんの墓参りにちゃんと行った。そこでも俺はもう一度約束をした。 ちゃんと届いてる、そう信じながら俺は固く約束した。 それからまた一日が過ぎて、父さんが帰ってしまう日がやってきた。 「今度はいつ帰ってこられるか分からないが、もし急用の時は呼んでいいからな?」 「大丈夫だって。父さんは仕事に集中してくれてて大丈夫だから」 「そうか?それならいいが・・・あっ、ナオキ。ちゃんと式には呼ぶこと」 「・・・っ!!わ、分かってるって!!」 俺が顔を真っ赤にして慌てると、父さんは笑った。 「大丈夫だ、呼ばれなくても行くから。じゃあ行ってくるぞ」 「行ってらっしゃい、お父さん」 「体には気をつけてくださいね?」 「うむ。ありがとうな、二人とも。ナオキをよろしく頼むぞ」 そう最後に言って父さんは家を出て行った。俺と二人は父さんの車が見えなくなるまでずっと手を振っていた。 「ところで・・・ナオキ?式って何のことかなぁ?」 「うっ!!べ、別になんだっていいだろ!!」 「えぇ~~っ!!気になるよぉ~教えてよぉ~」 スイは瞳を潤ませて俺を見る。騙されんぞ、ここは心を鬼にして(?) 「教えてほしかったら俺を捕まえてみろよ?」 俺はそう言って家の中へと入っていった。 「あっ!!待ちなさいよ!!追うわよ、レン」 「うん、お姉ちゃん」 二人も俺の後に続いて家へと入っていった。それからすぐに捕まったのは言うまでもないが。 だが、これでいいんだ。こんな普通の日常で。もし後を継ぐことになっても構わない。 ただ、今は・・・ この幸せがずっと続くのを願うだけ・・・ これから生まれてくる新しい生命と共に・・ ---- 後書き 無事終わりました。最後のほうは色々とありましたが 何とか終えられて良かったです。 ---- #pcomment