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Memory  Lost existence 再開と巨神像 の変更点


第十三章目。この前までのグダグダな説明は終わり……のはず。 [[春風]]

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俺たち二人が負傷してから、一週間が過ぎた。俺もミナモもほとんど完治して、今までのように動き回れるほどになった、そして、もう出発という時に、俺たちはセレナからとある提案をされた。

「…はぁ? 一緒に来るのか!?」
「ああ、俺はあの連中どもが考えていることをもっと知りたくなった、神官のこともな」



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「…まあいいんじゃない? 仲間は多いほうがいいって言うし、悪い人には見えないからね」
セレナを仲間にするかどうか考えこむ俺に対して、ミナモは彼と一緒に行くことを提案する。自分の傷を治してくれたセレナを、彼女は結構気に入っているようだ。
「でもさ、助けてくれたことはいいけれど、一緒に行くとなると……」
「いいのっ、あんたもあたしの敵の人間側だったけれど、仲良くなっちゃえば関係ないじゃん」
ミナモは俺の意見を完全に無視し、セレナを連れて行こうとする。確かに仲間は多いほうがいいが、俺からすると彼は逆に楽団や人間の情報を知りすぎていて、逆に危険に感じる。まぁ、彼は少なからずも自分が人間や楽団と敵対しているようなことを発言しているが、それでも完全に信用することはできない。
「じゃあ決まり~。それじゃ、行くよ!!」
ミナモは半ば強引にセレナの加入を決めると、西の方角に歩き出した。
(…なんだか複雑だけど、まぁいいか)
歩いていくミナモの背中を眺めながら、俺は目を細める。一時はミナモがどうなったか気になったが、回復してくれてとても嬉しい。

そして、歩いていくミナモの後を追いかけようとしたとき、俺の中で一つの疑問が生まれた。
「…そういえば、ここってどこなんだ?」
よく考えたら、俺たちは気絶している間にここに来た。そのため、ここがどこなのか把握できていない。
「……ここは、山脈地帯を抜けた後の場所だ、位置的には特に離れているわけではない」
後ろから声を掛けられて、振り向いたところにいたのは、セレナだった。
「わっ!? びっくりさせるなよ!!」
「驚かせているわけではない、ただ後ろから声をかけただけだ」
あいかわらずセレナは無表情だ。それに全く気配もないし、無表情ゆえ感情を読みにくく、少しだけ不気味だ。

「…それよりセレナ、お前が言っていた集落ってどこにあるんだよ?」
俺は重要なことを忘れていた、セレナの言う隠れ里のような場所を知っておくことだ。ミナモにその話をしても、彼女は「楽園じゃないのなら、行く意味なんてない」と、きく耳も持たなかった。そのため俺が位置を把握して、そこにミナモを連れていき、エデンだと信じ込ませる作戦で行くしかない。セレナが付いていることと、元から俺たちが西に進んでいる為そこまで難しくはなさそうだが、念のため聞いておいておこう。
「この国の首都、すなわち人間たちが住んでいる大都市、その近くに位置する森の中にある」
「首都って言うと、コラプトシティか!!」
コラプトシティ、そこには主人に連れられて行ったことがある。バトル大会とかいう物に出るために行ったのだがかなり空気が汚い。しかも目もくらむような光で夜でも町は真昼のように光っており、周りの景色は高すぎる摩天楼の群れで覆い隠されていて、鬱になりそうな最低の町だった。しかも主人は一回戦で敗退し、彼のひどいやつあたりを受けた覚えがある。
「嘘だろっ!! あんな汚い場所に理想郷があるなんて、信じられるか!!」
「いや、嘘ではないし汚くもない。近いと言ってもだいぶ距離はあるからな、それに……」
セレナはふふっと鼻で笑うと、自らの前髪をかき分けながら言う。
「……俺は一度も理想郷とは言っていないぞ、似たような場所とは言ったがな」

遠くで何やら文句を言いながら待っているミナモを見つめながら、俺はセレナの意味深な話に耳を傾けていた。
「俺としては居こごちが悪くはない所だったが、多分お前たちが考えるような楽園ではない、ただ、ミナモを匿えそうな場所だと言うだけだ。期待するなよ」
「……今さらそう言われたって…」
「そう期待するなって意味だ、酷い場所ではないから安心しろ。それより、早く行かなくていいのか?」
「あっ…ああ……。」
確かにこれ以上ミナモを待たせると、彼女の機嫌が最悪になる。俺は急いでミナモのもとに走り寄った、が…。
「……うっ!? 痛てぇっ!!」
いきなり後ろ足に痛みが走り、俺はその場に倒れこんでしまった。
「えっ!? ちょっと大丈夫なの、ルーク?」
ミナモが向こうから走り寄って、俺の足を覗き込む。俺もこわごわと後ろ足を見てみるも、外見だけでは異常は見当たらなかった。
「おそらくまだ完治していなかったようだな、内出血でも起こしたんだろう」
セレナも俺に駆け寄り、怪我の推測をする。彼の言っていることはよくわからなかったが、まだ完全ではないようだ。
「急げとは言ったが、これではゆっくり進んだ方がいいな。どこかこの先の集落で休むか……」
「それがいいね、セレナ。…ほら、こんな時にセレナがいたほうがいいじゃん、ね?」
確かにそれはミナモの言うとおりだが、俺は少し嫌だった。
だって、ミナモはセレナのことを気にいっているし、何だかあいつが、セレナに取られてしまうような気がしてならないからだ。別に、彼女のことが気になっているとかじゃないけれど、なんだか……。
「凄く痛かったら、セレナに言った方がいいよ」
ミナモは何も知らずに、俺の顔をじっと見つめる。そんな彼女の顔を見ると、なぜか少し戸惑ってしまう。

何故だかよくわからないけれど、彼女を一人占めにしたいっ!!と、思ってしまう。人間の元から助け出してくれた感謝から来るものだろうか、それとも……。


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…変な心のもやもやを打ち消そうとするように、俺はそれからあえてペースを速めて歩いて行った。
「そんなに歩いて、大丈夫なの?」
ミナモが心配そうに、いちいち聞いてくる。彼女の気持ちはありがたいが、俺は早く先に行きたかった。
幸いにも、足の痛みはあれから全くない。セレナは休めと言っているが、これならその必要はないようだ。
「一番近い集落までどのくらいなの? ルークを休ませなきゃ」
「…わからないな、俺は何でも知っているわけではないからな」
どうやら二人は俺をどうにかしてでも休ませたいようだ。別に大丈夫だと思うけれど、ここは二人の言うことを聞いて、集落で休んでいく方がいいだろう。

「…と言っても、次の集落までの場所はわかんないんでしょ? これじゃ野宿かもね。幸い森の中だから人間に見つかる危険はないけれど……」
ミナモはやけに嫌そうな声で、野宿という言葉を口にする。俺を気遣ってくれているのだろう。
「別に俺は構わないけれど…」
「でも、外はいろんな汚いものがあるでしょ? そんな所で寝たらばい菌とか入っちゃって、衛生的に良くないじゃん。ルークもあたしも病み上がりだし、セレナだって目、悪いんだしっ!!」
ミナモは真顔で失礼なことを口にする。彼女にしてみれば本気でセレナの目を心配している様だが、セレナはあえて不自然に髪を伸ばしているのだから、自分の目のことをかなり気にしているのだろう。彼は不機嫌そうな表情でミナモを睨みつけている。
「余計な御世話だ、別に不自由はしていない」
「そうかな…? でも医者が言うことだし、大丈夫か……気にしてごめんね」
ミナモはまたも真顔で答える。いいかげんセレナが別の意味で言っていることに気づけよ…。

「でもさっ、セレナって見かけと違っていろんなこと知っているし、尊敬するよ。…うちのルークなんて、文字も読めないのよ」
さらにミナモは真顔でセレナのことを褒める。確かに彼女の言っていることは本当だが、俺は少しだけムッときた、自分が文字を読めないことを面白半分に言われたことじゃない、ミナモがセレナのことを褒めたこと、つまり嫉妬心から来るものだった。
「…うーん、なんでだろう、セレナって何だか頼れるお父さんって感じがする。なんとなくだけれど」
そう言うとミナモは、いきなりセレナに体をすり寄せた。

「………!!!??」
突然の出来事に、驚きと怒りで俺の背中から炎が噴き出した。ミナモは冗談半分でやっているのだろうが、彼女が他の雄と体をすり寄せている所を見せられるなんて悔しすぎる。なんだか今まで一緒に旅してきた俺の立場がなくなってしまうような気がするし……。
「ちょっ、ちょっと何怒ってるのルーク!?」
ミナモも驚いて、さっと後ろに身をひるがえす。
「…別に、怒ってないよ」
そう口では言うが、逆に炎は勢いをどんどん増していく。その俺の反応の意味に気づいたのか、セレナは俺の隣まで来ると、俺の右肩に前足をぽんと置き、小声で話しかける。

「安心しろ、俺はミナモに何の感情も持ってないさ」
そうセレナは言うが、何故か俺は怒りを静められなかった。
「…怒って無いって言っただろ」
そう言ってセレナの手を払いのけると、俺は背中から炎を噴き出したままどんどんと先に歩きだした。自分でも理不尽に怒っていることはわかっているが、ミナモが他の雄とくっつくと嫌になってしまう。何故だろう? 前までこんなことはなかったのに…。
「ちょっと!! あたしが文字読めないって言ったから? だったら謝るよ!!」
後ろからミナモの声が聞えるも、俺は構わず歩き続けた、無心で歩いていれば、この苛々もやがて消えてしまうだろう。


……そう思いながら前を歩いていると、いきなり俺の目の前が一瞬見えなくなり、そのあと吹き飛ばされて派手に仰向けで転倒してしまった。
「…痛って……、何だよ一体…?」
顔面に鈍い痛みが走る、おそらく俺は目の前にあった何かにぶつかってしまったようだ。
「全く、ついてねぇなぁ………」
ぶつくさ文句を言いながら、俺は立ち上がろうと体を起こしながら上を見る、その時、俺は一番見たくないものを見てしまった。
後ろ脚だけで立ち上がる長細い体、その両編には長細い二つの前足を持つ生物。ちょうど上手い具合に後ろに太陽が出ていたため、逆光で詳しい姿は見えなかったが、間違いない、人間だ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は驚きのあまり悲鳴を上げて、みっともない姿勢のまま後ずさりをしてしまう。
「…何よ、そんな声出して」
後ろからミナモの声がする。おそらく二人が追いついてきたのだろう。

「人間だっ、二人とも逃げろっ!!」
どうにか立ち上がると、後ろにいるだろう二人の方を向いて大声で叫ぶ。しかし、等の二人は無表情のまま、その場で立ち尽くしていた。
「……ねぇ、人間って、その変な石像のこと?」
「へ? 石像?」
ミナモに言われて恐る恐る後ろを振り向くと、確かにそこには人間の姿は無く、代わりに奇妙な石像が一体、ぽつんと建っていた。

「…あれ? 人間だと思ったのになぁ」
落ち着いて石像を見てみると、その石像は確かに人間の形をしてはいるが、投身は小さく、俺やミナモぐらいの背丈で作られていた。また外見も全く違っていて、人間にしては短すぎる後ろ足に逆に長すぎる前足、ところどころに岩のような模様が刻まれている体、頭部は小さく、顔には一般的な目鼻の代わりに点のような無数の模様がつけられていた。
「まさかこれを人間だと思ったのぉ? 似ているのは二本脚で立てるぐらいじゃん」
ミナモは石像を触りながら、からかうように笑う。俺は恥ずかしくて、赤面したまま何も言い返せなかった。とくに理由もないのにキレて先に行った結果、石像にぶつかってビビるなんて、間抜けすぎる。

「でもそれにしてもさぁ、この石像って一体何なの? 一度も見たこと無いけれど……」
そう言いながらミナモは、石像に触れていた前足を放す。確かにミナモの言う通り、俺もこんな生物は今までで一度も見たことがない。
「…多分、土地神じゃないかな?」
今までずっと黙っていたセレナが口を開く。その言葉もこの石像のように、初めて知ることだった。
「トチガミって、この石像の名前か?」
「いいや、違う、土地神というのはとある種族が地域ごとに信仰対象としている神のことだ。アルセウスの宗教などとは違って、今ではほとんど信じる者はいない、さびれた神がほとんどだ」

さびれた神? 神様にも人気とかあるのだろうか。
「……で、この土地神はなんて言う神様なんだ?」
「さあな、俺の知る限りではこんなのは見たことがない、そもそも今でも信仰対象になっている土地神はごく少数だからな、きっと歴史に付いていけなくなって、死んだ神の一つだろう。……神は人がいてこそ神だからな、仕方ないことだ」
淡々と無表情のまま話を進めるセレナ。彼らしく、神仏を軽視した言い方だった。
「神様も、忘れられちゃえばおしまいなんだね」
不意に、ミナモが悲しそうな声を上げる。
「アルセウスだって、忘れられていたらよかったのに、そうすればあんなこと起きなかったし、あたしやルークがこんなに苦しまなくたってよかったんだから……。神様って、残酷だね」

「いや、神は残酷ではない、残酷なのはそれを信じる者たちだ」
再び、セレナが口を開いた。
「神や宗教を信じすぎた者は、時折暴走を起こす、その暴走にお前は巻き込まれたんだ……皮肉なことに、いつの時代も宗教による暴走が起きなかったことはない。俺は神自体不要な物じゃないと思うが、宗教のせいで悲劇が起きるのなら、この神のように忘れ去られたほうがいいかもな」
そう言うとセレナは、無表情のまま石像をじっと観察しだした。
「なんだか、暗い話になっちゃったな」
無言のまま、下を向いているミナモに話しかけたが、彼女は何も言い返さなかった。きっと、辛かった過去を思い出しているのだろう。
だとしたら無暗に話しかけようとするよりも、少しそっとしておいた方がいいだろう。そう思った俺は後ろに下がってその場に座り込んだ、その時だった。

後ろから何かが突進してきて、俺の背中にぶつかった。そしてそのまま背中を押されて俺は前のめりに倒れ、顎を強く地面に打ってしまった。
「…なっ、何だぁ?」
驚いて立ち上がろうともがくと、俺の目の前にぬっと幼いイーブイの顔が現れた。しかもその少年の顔に、俺は見覚えがあったのだ。
「シ……シオンッ? どうしてここに!?」

二度目の激突の相手は、前に村まで送って行ったことのある、懐かしい少年だった。


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「シオン、どこにいるの? もう帰るよ…」
俺から見て、右斜め後ろの茂みをかきわけながら、もう一人のイーブイが顔を出す。
「……ラナ…?」
「え? ルークさん…どうしてここに?」
俺は自分の目を疑った。少し前に別れたはずの、ラナとシオン。こんなにも幼い姉弟が、なぜこんなところにいるのだろうか。
「…どうしてここにいるんだ!? 二人とも、お母さん達はどこに……」
この姉弟は人間に半分支配された集落から家族と一緒に抜け出して、親戚の住む場所に身を寄せようと向かったはずだ。それなのに、彼女たちが二人だけで行動しているなんて、両親の身にでも何かあったのではないか……?
「はぐれたのか!? 二人とも……」
しかし、心配する俺をよそに、ラナは少し考えると、にこやかにほほ笑んだ。
「大丈夫だよ。だって、私達もう新しい村についたもん」
「……え?」
「うん、この近くにあるの。それよりルークさんこそ何でここにいるの?」
……成程、この二人ははぐれたりしたわけではなくて、もうすでに集落に着いていたのか。どうやら俺の早とちりだったみたいだな…。

「…その子供達とは、知り合いなのか?」
いつの間にか、後ろに立っていたセレナが俺に訪ねてくる。
「…えっ、ああ…、昔いろいろあったんだ。詳しいことは後で話す」
セレナは話を聞くと、ふぅんと鼻を鳴らし、再び銅像の所に行ってしまう。
「ねぇ、何でルークさん達はここにいるの?」
ラナがもう一度、俺にここにいる理由を聞いてくる。
「…え、ええっと、旅の途中!!」
俺がそう言うと、ラナはにっこりと笑って、俺にこう言った。
「もしよかったら、私達の集落に、来てみない?」
「……えぇ!?」
突然の集落へのお誘い、普通なら休む場所も見つかって、嬉しいはずなのだが、俺は彼女の話には乗れなかった。
何故なら、俺達の中にはあちこちで問題を起こしているミナモがいる。知人が誰もいない所ならば、そこでミナモの素性がばれても、犯罪者が町に来た、という程度ですむが、これと同じことがラナ達の集落で起きた場合、俺達だけではなく、俺達を連れてきたラナ本人にも非難の声がかかるだろう。それだけは、絶対避けたい。

「…悪いけど、駄目なんだ……俺達には事情があって…」
彼女の気持ちは嬉しいが、迷惑はかけられない。休む場所はまた後で探そうと思い、俺はラナと目線を合わせ、断った、が……
「何言っているんだ、ルーク。そこに行くぞ」
俺の考えていることを知ってか知らずか、セレナはこう切り出して、その場で立ち尽くしているミナモの背中を角で軽くつついた。
「おい、もう行くぞ。何ぼーっとしているんだ」
セレナに背中を押されたミナモは、びくっと体を震わせる。
「おい、セレナ。俺達が行くと、迷惑に……」
「いいじゃないか、誘ってくれているんだ。それに、もともとどこかで休んでいくつもりだったじゃないか。それに、そいつらも連れて行く気満々だぞ」

セレナに言われて、見ると、俺の足にはシオンが取りついており、俺を引っ張って行こうと必死で力んでいた。
「…こんなになつかれているんだ、こいつらの頼みを、一つぐらい聞いてやれよ」
「………」
確かに、ここで断ったらこの子たちにとって、可哀想なことをしてしまうかもしれない。それに、人見知りのせいか、ずっと俺と距離を置いていたシオンがここまで誘ってくれているとなると、何だか断りにくい。
……ミナモのことは心配だが、二人の気持ちに応えてあげないと…という気がしてきた。
「わかった。でも、そんなに長居はできないよ」

「本当!? ……やったぁ!!」
俺がそう言うと、シオンは俺の足にぎゅっと抱きつき、喜びの声をあげた。
「…シオンは、ルークさんやミナモさんに、前から会いたがっていたの」
俺の言葉の喜ぶ弟の姿を見て、ラナは目を細めながら話す。
「私も、ずっと二人に会いたかった。助けてもらったことのお礼も言っていないし……」
そう言った後、ラナは俺の目をじっと見て、それから頭を深く下げた。
「あの時は、助けてくれて……ありがとう!!」

「……えっ、あっ、どういたしまして…」
いきなりお礼を言われて、驚きながら返事をする俺。その光景をセレナは無表情のままじっと見ていたが、その口元は少し緩んでいた。
「ルーク、そろそろあそこでずっと落ち込んでるミナモを連れてこい。この子たちはあいつとも知り合いなんだろ?」
「…えっ? まだあのままなのか!?」
驚いてミナモのほうを見ると、彼女はまだその場で突っ立ったまま、石像をじっと見つめていた……。





十三章終わり、[[Memory  Lost existence 遺跡の町で]]へ続く

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セレナがメインキャラに加わる展開、これ実は初めから予定していたのです。
本当はラナ、シオンの話が終わってすぐに登場させる予定でしたが、コラボの関係で遅い出演になりました。
他にも彼が医者であるというのは後付けで、当初は賞金稼ぎで、ミナモを狙うもなんだかんだなって仲間になると言う設定でした。




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