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転入生は初めての彼女 の変更点


[[kzt]]です。今回はちょっとした恋の話。&color(red){官能的表現};があります。苦手な方は戻るボタンを。

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ポケモンの学校では良く噂が広がります。この学校には沢山の噂と怪しい謎があり、好奇心旺盛な子供達は解明すべく活動する生徒もいます。中でも特に好奇心があるミジュマルとその友達のヒトカゲは、噂を聞いてはワクワクが止まりませんでした。
そんなある日、学校にまた新しい噂が広がりました。しかし、今回は割とまともで「転入生が二匹も入る」という噂でした。
これは主人公ミジュマルとその新しい転入生のツタージャの話。



「今日は転校生がやって来るらしいぞ…」

「そう言えばそうだな。しかも二匹も転入するらしい」

既に教室では転校生の話で持ちきりだった。凄く騒がしくなっている教室内を歩いて自分の席に着くと、椅子に座って鞄から教科書やノートを取り出して少し錆びついて古くなっている机の中へと入れた。

「よぉミジュマル!」

突然後ろから僕を呼ぶ声がした。振り返ってみると、そこは友達のヒトカゲがいた。

「おはよー」と、僕は挨拶を返す。橙色の身体に、尻尾の先端の炎を揺らしてヒトカゲは僕の方へと近付いてきて口を開けた。

「ミジュマル、今日転入生が来るってさ!」

大きな口から発せられた言葉には不思議な説得力があった。しかしこの教室にどれだけ「転入生」という言葉が飛び交っているのかを分かっているのだろうか…?こんなにもうるさかったらそれ位の事はもう既に僕の青く小さな耳でも十分分かる。

「……知ってるよ?」

僕は上目遣いで言い返した。

「二匹も入るなんて珍しいよな。新しい友達が増えるともっと賑やかになるって思わないか?」

確かにそうだ。僕には友達がヒトカゲしかいない事を改めて感じる。もしも今日やって来るその二匹と友達になれれば、毎日学校が楽しくなるに違い無い。

「そうだね。どんな子なんだろう…」

色々と想像が浮かぶ。できるならフレンドリーで話しやすい子が良い。

「噂では二匹の内一匹は女の子(メス)らしいぜ?しかもその二匹は兄弟同士って言われてるぞ」

「女の子か~…」

ふと、僕に彼女がいない事を思い出す。できれば可愛くて優しい子が良いのだが…。それにしても兄弟関係はどうだろうか?どっちが上なのだろうか?

そう考えている内に先生が教室に入ってきて「もうすぐチャイムが鳴るから座りなさい」と、皆に言った。

「さて、皆はもう知っていると思うが、今日から新しいお友達が二匹も来るそうだ!」

先生がそう言うと、ドアを開けた。ちなみに先生はリザードンで、ヒトカゲとは親子関係なのだ。

ドアから二匹のポケモンが入ってきた。ヒトカゲの言う通り、一匹は女の子だ。体色は黄緑色、瞳は黒に近い茶色で尻尾は葉っぱの形だった。もう一匹の男の子は、背中は黒っぽい藍色で前側がクリーム色をしていた。

「えぇーっと、こっちはツタージャちゃんね。それからこっちはヒノアラシ君。みんな仲良くしてあげるように!」

「はーい!」

クラスの皆はとても嬉しそうな顔をしていた。やはり新しい友達ができるのが良いのだろう。先生は二匹を一通り紹介した後席に着かせ、朝の会を終わらせた。そして休み時間となる。
僕とヒトカゲは早速新しく入った二匹のもとへ行った。

「俺ヒトカゲっていうんだ、よろしくな」ヒトカゲがそう言った後、僕も挨拶した。

「あぁ、よろしく」

ヒノアラシが言った。

すると隣に座っていたツタージャが立ち上がり、僕の方に近付いて来た。一瞬何されるか分からなかったが、ニコッっと笑顔になって「あたしはツタージャ。よろしくね」と自己紹介をしただけであった。

僕はちょっとばかり緊張してしまい、身体が固まってしまう。なんとツタージャに一目惚れしてしまっていたのだった…。

「おい、どうしたんだよミジュマル。ミジュマル!」

「はっ…!」

ボーっとしている僕を呼び戻してくれたのはヒトカゲであった。すぐに正気に戻り、ツタージャの目を見る。

「あら、ミジュマルっていうのね」

「あ…、う…うん」

その後はどうしても話が出来そうにも無く、オドオドした僕は「ト、トイレ行ってくるね…!」と嘘をついて教室を飛び出し、すぐ近くのトイレへと駆け込む。

「どうしたんだ?アイツ…」

「さぁ…?」

幸いにもトイレには誰もいない。上がってしまった息を落ち着かせる為に深呼吸をした。鼻にトイレ特有の小便の臭いが入る。

(僕…どうしちゃったんだろう…、折角女の子と友達になるチャンスだったのに…。)

溜め息を吐き、用を足して教室へ戻った。すると丁度チャイムが鳴り、一時限目が始まる。僕の得意科目である数学の授業だが、集中して受けられるような気分じゃなかった。教科書とノートは開いても、肘杖をついてボーっとする。本当にどうしてしまったのだろうか…?
恐らくあのツタージャには僕の第一印象が「変なヤツ」という悪印象が焼付いたに違い無い。なんて勿体無い事だ。僕は酷く後悔した。

その後の授業は全て同じ様に頬杖付きで真っ白なノートを睨み続けているだけであった…。

「はぁ…」

そして昼休みになっても、僕のこの何時もと違う落ち込んだ気持ちは変わらない。

「あれ?ミジュマル、メシを残すのか?」

昼ご飯も喉を通らない…。よっぽど重症なんだと自分でも良く分かる。

「残すんだったらさ、俺にちょっとくれよ」

「良いよ……」

さっきから僕の頭の中はツタージャの事と、逃げ出した弱い心が激しく渦巻いていた。

気分転換として屋上に行く事にした。席を立ち上がって教室を出ようとしたら、後ろから声が掛けられた。僕を呼んでいる声が……。

「ねぇミジュマル君…、何処行くの…?」

何処かで聞いた事の有るこの声、持ち主は勿論あの子。一瞬体がビクッと震えて驚き気味な身体を一生懸命に向けようとする。後ろに向いて視界に映ったのはツタージャだ。

「何処って…、お…屋上へ……」

「…付いて行っても良い?」

「えぇ!?」

いきなり高くて大きな声を出してしまったせいなのか、クラスの皆の視線が僕とツタージャに注がれる。正直恥ずかしく、何より気まずい…。

明るく楽しい空気が一瞬にして静かで重い空気となった。この空間から早く出たい一心で僕は教室を飛び出す。

「まっ、待ってよ…!」

ツタージャは僕に走って付いて来た。

しばらく走ってようやく止まる。息を切らしながらもツタージャは僕に話しかけてきた。

「どうしてあたしから逃げるの…?もしかして嫌いなの…?」

茶色い瞳から涙がちょっと出ている。

「えっと…その、ごめん。一緒に屋上行こうよ…、だから泣かないでよ……ね?」

そう言いながらツタージャの手を握った。

「うん…!」

涙を拭いて縦に首を振った。泣き止んでくれて良かった…。

僕はツタージャの手を引いて屋上の階段を上る。一番上まで上ると、すっかり錆びついて重くなってしまった鉄の扉を力一杯押した。その扉は寒気の出そうな冷たい音を出しながらゆっくりと開く。

「わぁ~、広~い…」

雲一つ無い青い大空がとても眩しい。床は白いコンクリートのタイルで覆われていて、少し冷たい。

「こっちだよ」

僕は一番向こうまで歩き、町の景色が一望できる所へ行った。

「綺麗…」

「ここは僕のお気に入りの所なんだ」

いつの間にか緊張感はすっかり解け、自然に彼女と話をしていた。

「えっと…ツタージャ、あの時は…ごめん」

「ううん、もういいの」

しばらく沈黙が続いた後、先にツタージャが口を開けた。

「ねぇ、ミジュマル君」

「ん?なあに?」

僕はツタージャを見た。彼女の頬が赤くなっている事に気付く。

「あたしと…、その……もし良かったら付き合ってくれない…?」

「…ッ!?」

突然の告白に息を呑んだ。まさか出会ってまだ初日にも関わらずこんな事を言われるとは思っていなかった。

「ど…どうして急に…」

顔が真っ赤になり、火が出そうになる位だ。

「あたしの事…もしかして好きじゃ無い?」

「そ、そんな事無いッ!嫌いじゃないよッ!」

「ふふふっ、やっぱりミジュマル君って面白い子ね」

ツタージャが笑った。彼女の笑顔を見るのは初めての様に感じた。なんて言うか…、可愛い…。ただそれだけだ。他に何も無く、純粋で可愛いとびきりの笑顔で笑った。

「あたし、ミジュマル君の事好きなの…。だから付き合って欲しいの。良いよね?」

「うん。僕嬉しいよ」

「あたしも嬉しい!」

そう言って僕に抱き着いてきた。そして彼女の軟らかい唇が僕の頬に当たった。思わず気絶してしまいそうな気持ちになる。

するとツタージャは僕の頬に当てていた唇をずらして僕の口に重ねた。濃厚で気持ちの良いキスだった。何時までもこうしていたい…。

「んっ…」

「んんん…ぷはぁ」

先に口を離したのは彼女の方だった。

「ねぇ、今度…一緒に遊ばない?」

「いいよ、どこに行く?」

デートのお誘いだろうか?ちょっと期待しつつ、返事を待っていた。

「ミジュマル君の家に行きたいな~…」

「ふんふん…、僕の家にデート……ってえええぇ!!?」

なんなんだ?「僕の家にデート」って…。ちゃんとした言葉になっていない。デートは普通、男性と女性が一緒に出掛ける事を言うんだ。それなのに家へデートに行くとは矛盾している。

「行っても良いでしょ…?」

「良いけど…」

僕は静かに頷いた。

「じゃあ、また今度ミジュマル君の家、教えてね」

「うん…!分かった」

そう言った瞬間の事だった。なんとチャイムが鳴ったのだ。

「あぁ!チャイム鳴っちゃったね…」

「大丈夫、このチャイムは予鈴だから急いで戻ればまだ間に合うよ!行こう!」

「うん!」

僕はツタージャと手を繋いで教室に急いで戻った。


つづく


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IP:111.89.30.102 TIME:"2015-05-24 (日) 14:18:18" REFERER:"http://pokestory.dip.jp/main/index.php?cmd=edit&page=%E8%BB%A2%E5%85%A5%E7%94%9F%E3%81%AF%E5%88%9D%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%AE%E5%BD%BC%E5%A5%B3" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko"

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