ウィラン(カイリュー♂) ガノフ(ボーマンダ♂) *誓いの翼 [#e9165fa8] writer――――[[カゲフミ]] 開けた高原の真ん中に俺は蹲っていた。背の低い草花が地面を覆っているから、寝心地はなかなか。 投げ出した首や尻尾、お腹に伝わってくる柔らかい葉っぱの感触が心地よい。もっとも、今は目を閉じているだけで眠ってはいなかったが。 起きたところでこれと言ってすることがないのだ。今のところ腹は減ってないし喉も渇いていない。 空腹を感じたなら、そこら辺の木になっている木の実を齧ればいいし、乾きを感じたのならこの高原に隣接する山からの湧き水を飲めばいい。 俺がその場に顔を出せば大抵のポケモンは、先にどうぞ、みたいな感じで譲ってくれる。進化したばかりの頃よりは大分ましになったが、未だに恐れられてるんだろう。 ま、ボーマンダである俺はなかなかの強面だと思うし、鋭くしているわけではない目つきも、他のポケモンにとってはそう見えてしまうのだから仕方がない。 四肢の爪や口元の牙も、体の小さなポケモンからすれば自分の身を脅かす凶器以外の何物でもないだろうし。 進化したての頃はわけもなく怖がられたり泣き叫ばれたりして、大変だったこともある。さすがに今となっては多少は慣れたらしく、俺の姿を見たら逃げろ的な流れは落ち着いていた。 自分で言うのもなんだけど、俺は外見ほど怖いポケモンじゃない。良いポケモンだ、と堂々と胸を張って言えるほど面の皮は厚くないが、それなりの優しさは持ち合わせているつもりだ。 とは言え、こんな姿をしているとそりゃあ色々ある。因縁をつけられて絡まれたことも何度か。大抵の場合は睨みを利かせて爪を振り上げる真似をすればかたがついたが。 極端に怯えられたり、柄の悪いポケモンに目をつけられたりするのは気持ちのいいものじゃなかったけど、ここの居心地は悪くない。何となく一目置かれてるような雰囲気は嫌ではなかったのだ。 ただ一つ、問題点を挙げるとするならば。これはきっとこの高原に限ったことではないだろう。 どこに行っても同じこと。最初のうちは真新しくて何かと興味を惹かれはするが、そのうち飽きてしまう。 俺はひどく退屈していた。この高原も、風も、空も、太陽も。何も代わり映えしない。同じようにありふれた毎日が過ぎていく。 だから今俺は目を閉じて、周囲の音に耳を澄ましている。住み慣れた場所ならば視覚に頼らずともある程度周辺の様子は把握できてしまう。 少し離れた草むらがかさかさと動いているのは、その音の大きさから考えてマッスグマ辺りが横切りでもしたのか。その予想が当たっているか当たっていないかは分からない。 しかし、こうやってただ耳を澄ませてその音が何なのか想像を働かせるだけでも、それなりの暇つぶしにはなるのだ。 「……?」 ふいに、俺の顔に風がぶつかる。自然に起こった風じゃない。翼を持ったポケモンが羽ばたいて生じたもの。直後、地面に足をつけた音が。 随分と近くだ。ずしりと重みのある音、かなり大きなポケモンを思わせる。この高原には好き好んで俺に近づいてくる奴なんていない。 わずかだけど俺の鼻孔を介して伝わってくる懐かしい匂い。きっとあいつだろう。その来訪者の姿を予想しつつ、俺は頭を起こしながらゆっくりと目を開く。 柔らかい黄色を主とした体色。腹部は俺と同じドラゴンポケモン特有の厚みのある白い表皮。頭には一本の角と触覚らしきものが二本。 そして背中には、青空を思わせる爽やかな色合いの翼をもつポケモン、カイリューだった。何の躊躇いもなく、にこやかな笑顔で俺の方へ歩いてくる。 「久しぶりだね、ガノフ」 「……ああ、そうだな、ウィラン」 本当に久しぶりだ。俺がボーマンダに進化する前は、彼もちょくちょくこの高原に来ていたんだが。進化してからは数えるほどしか会っていない。 ぱったりと音沙汰がなくなったものだから、最近ではウィランのことを忘れかけていたほど。最初のうちはどうしたんだろうと気にかけてはいたのだが。 「もしかして、起しちゃったかな?」 「いや、寝てなかった。目を閉じてただけだ」 傍から見れば眠っていたように見えることだろう。ずっと目を閉じて動かないポケモンが、暇つぶしに周囲の音が何なのか耳を澄ませているなんて気が付く方が難しい。 「それならいいんだ。でも、目を閉じたまま何やってたの?」 「周りの音を聞いてた。音だけ聞いて、それが何の音か想像するんだ。要するに……暇つぶしだ」 「へえ……なるほど」 ウィランは笑顔のまま小さく頷いて見せる。納得していたのか、それとも小馬鹿にしていたのか。 彼はいつも穏やかな物腰で優しげな笑顔を絶やさない。話すだけでどことなく和ませてくれる。愛想がない俺とは対照的だ。 だが、常に笑顔というポーカーフェイスでもあるので、胸の奥で何を考えてるのか分かり辛い面もある。俺の中でウィランはそういう認識だ。 「面白い?」 「それなりには。言っただろ、暇つぶしだって」 俺とは昨日も会ったかのような、前と同じ雰囲気でウィランは俺に話しかけてくる。以前は俺ももっと会話を繋げられていたような気がするのだが。 久々に彼と話をすることによる戸惑いか。なんの音沙汰もなかった彼への苛立ちなのか。いつの間にか言葉の中に棘を含んでしまっていた。 「ウィランの方こそ、何やってたんだ?」 「まあ、いろいろあってね……。しばらく来れなかったんだ」 「……そうか」 少しだけウィランの表情が陰る。彼の言ういろいろってのが何なのか気にはなった。気にはなったが、本人が話そうとしてないなら無理に聞き出すべきじゃない。 野生で生活してれば色々ある。ウィランも俺ほどではないだろうが結構目立つ存在だ。他のポケモンとのいざござがあったとしてもおかしくなかった。 これは自分に置き換えた場合だが、俺も他のポケモンとの揉め事をウィランに聞かれたとしてもこと細かく話す気にはなれないからだ。 俺が思いつくあまり語りたくない事柄と言えばそれぐらいだ。もし別の理由で彼がここに来られなかったというのなら、全くもって俺には見当がつかない。 「ねえ。退屈してるなら、久々に一緒に飛んでみない? 天気もいいし、気持ちいいよ。気分転換にどうかな?」 そう言って空を見上げたウィランに釣られて、俺も天を仰いだ。透き通るような青空の中にぽつぽつと小さな雲が点在している。 最近空を意識して見上げたことなんてなかった。天気によって表情は違えど、結局は代わり映えのしない同じ高原の空。 いくら今日の空が清々しい蒼天でも飛び立とうという気は起らなかった。 「……悪い。生憎今はそんな気分じゃないんだ。この辺の空は飛びつくした感があるし、飽きちまってな」 「暇つぶしにちょっと飛んでみようかって気にもならない?」 「誘ってくれたのはありがたいが……すまん」 そんな俺の返答に、ウィランは小さくため息をついて肩を落とす。久々に会った相手がこんな素っ気ない反応じゃ、そういった態度もとりたくなるか。 退屈そうな俺を見かねての行動だったのだろう。ウィランには何となく申し訳なかったが、俺の気が乗らなかったのだから仕方がない。彼の前で自分の気持ちに嘘はつきたくなかった。 「そっか。じゃあ、僕の話でも聞いてくれないかな?」 「話?」 「うん。ちょっと昔の話さ。暇つぶしにはなるかなと思って」 俺がまだ首を縦にも振っていないのに、ウィランはどかりと腰を下ろして語る気満々だ。ここで俺がそんな気分じゃないと突っぱねたとしても、彼は押し通しそうな気がする。 笑顔を崩してはいないものの、ウィランの瞳には有無を言わせないような強い意志が宿っているように見えたからだ。どんな話をする気なのかは知らないが、まあ暇つぶしにはなるだろう。 「……聞こうか。退屈しのぎにな」 「ふふ、聞いてくれるなら君の趣旨はなんだって構わないさ」 俺の態度はとても話を聞く側のものではなかったが、そんなことで腹を立てるウィランではない。それにしても、なんだか妙に自信ありげだな。 よっぽど話の内容に俺を退屈させないという確信でもあるのだろうか。そうこう考えているうちに、ウィランは話し始めた。穏やかでゆっくりとした、どこか聞くものを和ませる口調で。 ◇ 緑の匂いを含んだ心地よい風が僕の体を優しく撫でていく。やっぱり空を飛ぶのは気候の安定した日じゃないとね。 ここ最近ずっと雨続きでなかなか飛べなくて退屈していたのだ。雨の日も飛べないことはないけれど、体が濡れるのは嫌だし、何より視界が悪いので危険だ。 雨の後の快晴ということもあって、空気が良く澄んでおり遠くの山々まですっきりと見渡せる。 目前に広がっているのは壮大な景色。他のポケモンと比べれば体の大きな僕だけど、空の中では本当にちっぽけだ。 すぐ近くの山のふもとには大きな湖が。その先には人間たちが暮らしていると思しき建物がぽつぽつと見える。そこから少し離れた所にある草原のような土地は牧場か何かだろうか。 空から風景を拝めば様々な情報が伝わってくる。別にその場所に直接訪れるわけではないけれど、どこに何があるのか何となく記憶しておくことが、僕は好きだった。 さて、ちょっと翼が疲れてきたかな。久しぶりの飛翔だったから調子に乗って強く羽ばたき過ぎたみたいだ。どこか休憩できるところがあればいいんだけど。 近くに見える山は木々に覆われていて休息には適さない。速度を落としながら木にぶつからないように山の斜面に着地するのはかなりの技術を要する。 それに、急斜面は体重の重い僕だと足場が崩れてしまう恐れもある。そうなってしまえば一休みどころではない。平坦な場所が翼を休めるのにはもってこいなのだが。 「ん……?」 僕の右手に見える山の斜面。そのほとんどが青々とした木が密接するように立ち並んでいたが、一か所だけ柔らかな黄緑色をしている。 開けた土地だ。高い木に邪魔されないで日が差し込むから、背の低い草花が成長している。萌え出たばかりのようなふんわりとした黄緑色はその証。 遠目に見ても割と平たい大地に見えるし、あそこでなら休憩できなくもないだろう。もし、他のポケモンの縄張りだったりしたらまずいけど、飛びっぱなしじゃ翼にも負担がかかる。 縄張りの存在については、まずあの高原に降りてから様子を見てみることにしよう。僕は翼の角度を変えてスピードを落としながら、ゆっくりと下降していった。 予想したとおり、全くと言っていいほど傾斜のないなだらかな高原だった。ここでなら十分翼を休めることができる。 僕は開けた高原の中央付近まで低空飛行し、二、三度翼を羽ばたかせて完全にスピードを落とす。周辺の草花が巻き起こった風に煽られて靡いていた。 そしてそっと地に足を付ける。踏んずけてしまった植物には心の中でごめんねと言っておいた。ここの土壌は栄養分が豊かなのか、どこにも地面が剥き出しの個所が見当たらなかった。 出来ることならそういった場所で休憩したかったところだけど。ないならしょうがない。僕に踏みつけられた草花はより強く育ってくれることを信じることにしよう。 「…………」 ぐるりと辺りを見回してみる。僕が今立っている、淡い緑の草原が途切れ始めるとそこからは徐々に林が顔を出し始めていた。中には見覚えのある木もいくつか。 おいしい木の実のなる木だ。僕が住処にしている山でもよく生えている。 きっとここには、他にもたくさんのポケモンが生活しているのだろう。この草原にも僕以外の誰かが通って行ったような跡がいくつも残っている。 まだ見ぬ彼らの気配がひっそりとしているのは、見慣れない来訪者である僕に用心してのことか。 僕は悪さをするつもりなんてないけど、自分のよく知らないポケモンが突然現れたらまずは疑ってかかるのが正しい判断だ。 カイリューである僕は体の大きさもあってか、どちらかと言えば警戒されやすい。できるだけそんな印象を与えたくないから、にこやかな笑顔を絶やさないようにしている。 作り笑顔と言えば聞こえは悪いかもしれないけど、これで少しでも他のポケモンとのトラブルを回避できるのならばもうけもの。初対面ならば笑顔が本物か偽物か見破られない自信はある。 さて。僕がここに降り立ってから少し経つけど、未だに他のポケモンが近づいてくるような気配は感じなかった。と、言うことはここは誰の縄張りでもないって認識でいいのかな。 たとえ誰かの縄張りだったとしても、僕がその気になれば力で押し通せないこともないとは思う。 でも、そんな暴力的なのは嫌だ。まだ持ち主がいないと断定するのは危険な判断だけど、その方が僕にとってはありがたい。 「……ん?」 ふと、僕の背後でかさかさと草の擦れ合う音が聞こえた。風によって立てられたものじゃない、流れが不自然だ。誰だろう。音の大きさから考えるに、そんなに大きなポケモンじゃないとは思うけど。 僕はくるりと振り返る。一瞬、誰もいないのかと勘違いするところだった。視線を少し下に移してようやくその姿を確認する。一匹のタツベイが上目づかいに僕を見上げていた。 体は小さいながらもその眼光はなかなかに鋭さを含んでいた。睨んでいる、と言ってしまうと少々言葉が過ぎるかも知れない。もしかして、ここはこのタツベイの縄張りだったりするのだろうか。 「あ、もしかしてここは君の縄張りかい? そうだったらごめんね、知らなかったから……」 「いや、ここは誰の縄張りでもないと思うぜ。でも見かけない顔だな、誰だ……あんた?」 初対面の相手にいきなりあんた誰か。まだ幼い雰囲気だから悪気があって言ったわけじゃないとは思うけど、あまりいい気分はしない。 ここが誰かの縄張りではなかったという嬉しい事実よりも、このタツベイに遠慮もなくあんた呼ばわりされたことの方が印象に残ってしまっていた。 彼から見れば僕は相当大きく映っているはずだけど、全く動じる様子がない。自分に馴染みのない、体の大きなポケモンだ。怖がったり警戒したりしてもおかしくないのに。 初めて会ったポケモンには何かと緊張させてばかりだったのだが、彼のようなタイプは珍しい。僕に対して一歩も退かない堂々とした態度はなかなか興味深いものがある。 肝が据わっているのか、あるいは無警戒なだけなのかは分からない。だが、何にしてもこのタツベイは他のポケモンとは違った何かを持っている気がしてならなかった。 「僕はカイリューのウィラン。君と同じ、ドラゴンタイプのポケモンだよ」 「カイリューのウィラン、か。俺はタツベイのガノフってんだ。よろしくな」 そう言って彼はすっと手を差し出す。握手のつもり、なんだろうか。もちろん目一杯腕を伸ばしてもこの体格差だ。僕には到底届かない。 口調はとても丁寧とは言えなかったけど、なかなか気さくなのかもしれない。ちょっと遠いけど、彼の手はしっかりと受け取っておくことにしよう。 僕は前屈みになって右手を差し出しタツベイの手にそっと触れた。まだ爪も生えそろっていない幼い手を、僕の爪で傷つけないように慎重に。 「よろしくね、ガノフ」 「おう……」 頷いた後、ガノフは再び顔を上げ僕の方をじっと見つめてくる。彼の視点では見上げなければ僕と目を合わすことができないとはいえ、その眼差しはただ見ているだけではない熱い何かを感じる。 よくよく見ると彼は僕の顔ではなく、翼を見ていたことに気がつく。そんなに凝視するほど物珍しいかな。鳥ポケモンも形質は違えど、僕と同じものを持っているはずだけど。 「これが気になるのかい?」 そう言って僕は翼を一度、ふわりと羽ばたかせてみる。直後、緩やかな風が巻き起こり僕の足元の草花を、そしてガノフを包み込んでいく。 数秒間、僕達の周りを小さな風が渦巻いていたが、一度羽ばたいただけで発生する風は微弱なもの。僕が起こした空気の流れは、自然の風に飲み込まれてあっという間に消えてしまった。 風がなくなった後、ガノフはぽかんとしていたが、やがて僕を見る表情が驚きと羨望の入り混じったものへと変わる。そんなに興味を惹かれるものなのだろうか。 「まあな。あんたが飛んでくるところ、見てたから。……すげえなあって」 僕が自己紹介してもやっぱりその呼び方は入るわけか。まあいいや。ここまで躊躇なしにさらりと言われると、むしろその響きに小気味よさすら覚えてしまう。 「そうかな。他にも空を飛べるポケモンはたくさんいるよ」 「そりゃ……そうだけど。空を飛びたくても飛べない俺からすれば、すげえ……羨ましい」 「空が好きなのかい?」 「そりゃあもう。いつ見てもでっかくて、どこまでも広がってて。晴れた日なんて、ずうっと見てたら吸い込まれてしまいそうなくらい綺麗で……」 空について興奮気味に語るガノフ。彼の表情はとても生き生きとしている。もちろん僕も空は好きだったが、彼の熱意には到底敵いそうにない。 そういえば、タツベイという種族は生まれた時から空を飛ぶことを夢見ているって聞いたことがある。だとすれば、おそらくガノフも。 「なんて言うか、飛ぶことに……空に憧れてるんだ。いつか、いつか自分の翼で空を飛んでみたいなあって」 ガノフは空を見上げる。その瞳はとてもきらきらとしていて、なんだか眩しいくらいだ。そういった情熱を持って、空を見たことなんてあっただろうか。 僕も昔は空を飛ぶことができなかったけど、そこまで空を飛びたいとは願っていなかったような気がする。 やっぱり種族の違いによるものなのだろう。ガノフの空へのひたむきな気持ちは、見ているこっちまで熱くさせてくれる。 何だか無性に彼を応援せずにはいられなくなってきて。僕はほとんど無意識のうちに、ガノフに前向きな言葉をかけていたんだ。 「素敵な夢だね。きっといつか、君も空を飛べるようになるよ」 「ほ、ほんと?」 彼の顔がぱあっと明るくなる。僕の言葉を根拠のない励ましだとは受け取らなかったみたいだ。純粋なんだなあ。微笑ましいくらいに。 もちろん僕は嘘を言ったつもりはない。タツベイの種族の最終進化形はボーマンダ。僕と同じ、ドラゴンタイプと飛行タイプを併せ持つポケモンだ。 ガノフが成長すれば、空を飛ぶことなんて容易になるはず。さすがにいつ飛べるようになるのかは僕にも分からなかったけど。 「ああ。もっと君が大きくなったら、だけどね」 「そ、そうか。俺が……空を飛ぶのかあ……」 うっとりと、酔いしれるかのように空を見上げたままにやけるガノフ。タツベイのままでは到底無理だが、ボーマンダに進化すれば、そりゃあ飛べるようにはなるだろう。 だけどそれが一か月先なのか一年先なのかははっきりしないところ。もしかすると僕は彼に曖昧な希望を持たせてしまったのかもしれない。 まあ、気の持ちようって大事だ。何事も前向きに考えていると、本当に良い方向に転がったりすることだってある。 いつかの未来に彼が飛べるようになることを教えてしまったことは、間違いじゃなかったと思いたい。 「な、なあ、ウィラン。もし俺が……俺が空を飛べるようになったらさ、どっちが速く飛べるか競争しないか?」 「……僕が、君と?」 「ああ。まだずっと先かもしれないけどさ、いざ飛ぶとなったらきっと誰にも負けないぜ」 まだ自分に翼すら生えていないと言うのに。その根拠のない自信はいったいどこから来るのだろう。あまりに堂々と言うものだから、僕は思わず笑ってしまっていた。 「な、何だよ。まだ飛べもしない俺との勝負は受けられないってのか?」 「いや、そんなことないよ。今すぐってわけじゃないけど、挑まれた勝負には変わりない。受けて立つよ、ガノフ」 こんな挑戦を受けたのは生まれて初めてだったけど、同じドラゴンタイプで翼を持つ身としては引き下がるわけにはいかない。 将来の彼との競争か。ガノフの空に対する情熱は僕よりもずっと強い。それがスピードに繋がるか否か。これはなかなか面白くなりそうだ。 ガノフと競い合いたいというよりも、どちらかと言えば興味本位の方が優先されていた気がする。こんな不純な動機だってばれたら彼に怒られるな。 もちろん、受けたからには負けるつもりなんて毛頭ない。勝負の時は全力を尽くすつもりだ。彼に勝ちたいという意気込みに偽りはなかった。 「よっしゃ。約束だからな、ウィラン!」 「ああ、約束だ」 「おーし、今日からまた特訓だ。しっかり体を鍛えとかないとな」 そう言ってガノフはぴょんと飛び上がってみせる。小さいながらもそのジャンプ力はなかなかのもの。自分の身長くらいは飛べてたんじゃないかな。 今までも彼なりに努力はしてきたのだろう。足腰は結構鍛えられてそうな雰囲気がある。空を飛ぶ時の速さと関係があるかどうかは、ちょっと疑問が残ったけど。 でも、将来飛べるようになることを知った上でなおも努力の姿勢を崩さないのは立派だ。 いつか飛べるようになるんだったら別に今頑張らなくても、とやる気を喪失してしまう可能性だってあったはずなのに。 そういった部分に彼の光る素質を感じる。その幼い体には、将来僕をも凌駕するような能力が秘められているのかもしれない。 「ふふ。君と空を飛べる日を、僕も楽しみにしてるよ。さて、と」 ガノフと話していたおかげで、大分翼を休めることができた。もう疲労感は残っていない。住処まで飛び続けても支障は出ないだろう。僕はふわりと翼を広げる。 「……もう、行っちまうのか」 ガノフと話していたおかげで、大分翼を休めることができた。もう疲労感は残っていない。住処まで飛び続けても支障は出ないだろう。僕はふわりと翼を広げる。 「……もう、行っちまうのか」 「ちょっとした休憩のつもりだったからね。暗くなる前には戻らないと」 僕の住んでる山からここまでは結構距離があったからな。住処を飛び立ってから、太陽の傾きを感じられるくらいには時間が経っている。 夜の飛行は慣れないので、あまり馴染みのないこの土地では危険だ。とは言っても、この日の高さならば夕方になるまでには戻れるだろう。 帰る準備をし始めた僕に、ガノフは名残惜しそうな眼差しを投げかけてくる。僕としてももう少し話していたいくらいだ。彼との出会いは僕に新しい風を吹き込んでくれたのだから。 「ウィラン、忘れんなよ」 「もちろん。毎日ってわけにはいかないけど、また様子を見に来るからね」 「ああ、次に会うときは特訓の成果を見せてやるからな!」 成果と言っても、ひたすら体を鍛えるだけでは大きな進歩とは言えないだろう。進化して姿形が変わりでもしたのならば、それは目覚ましい前進だ。 果たしてそれがいつになるのかは僕にも彼にも分からないけれど。なんだか僕の方までわくわくしてきた。これからはガノフの成長に期待しつつ、暖かい目で見守ることにしよう。 ◇ 昔の話、とかウィランは言っていたが。思いっきり俺のことじゃないか。まだタツベイだった頃、俺がウィランと初めて会った時のことだ。 突然高原に現れた見かけないポケモンに、他のみんなは警戒して近づこうとしなかったけど。こんな高いところまで飛んでこれたってのが、当時の俺からすればとんでもなく凄いことで。 そのポケモンのことがどうしても知りたくて、自分から近づいていったんだ。遠慮なしに色々と聞いたりしたから、ウィランからは馴れ馴れしい奴だって思われてたかもしれない。 俺もまだまだ幼かった。毎日と言っていいほど空のことばかり考えてて。翼を羽ばたかせることを夢見て、晴れていようと雨が降っていようといつも見上げてばかりだった。 どうしてウィランから話を聞かされるまで、俺はきれいさっぱりその時のことを忘れていたんだろう。あんなに飛ぶことに情熱を注いでいたのに。 「今思えば、あんないつになるかも分からない勝負、よく受けてくれたよな」 「あんなことを言われたのは君が初めてだったし、翼をもつ僕としても引き下がりたくはなかったんだ。まあ、面白そうだったっていう興味本位ってのもあったけどね」 やっぱり興味を惹かれたってのもあったか。タツベイの俺は自分のことだけで手一杯でそんなことを考える余裕なんてなかったけど、今なら何となく分かる気がする。 別に今更腹立たしいとは思わなかった。誰だってつまらないことよりは面白いことの方がいいだろうし。 興味深い新たな事柄があれば、軽い気持ちでちょっと関わってみたくなってもなんら不思議じゃない。 「そして見事ボーマンダに進化した君は、約束通り僕と勝負して……勝ったじゃないか」 「……そうだ。俺はあんたに勝った」 遥か彼方の山。この高原と同じような開けた場所。そこが競争の目的地。俺もウィランも精一杯翼を羽ばたかせて、一心不乱にそこを目指した。 本当に微妙な差だったと思うが、地面に足をつけたのは俺の方が僅かに先だった。ウィランも自分の方が後だったと認めて、笑顔で俺におめでとうって言ってくれたっけ。 でも、どうしてだろう。勝負して勝てた時、すごく嬉しかったはずなのに。その時の喜びを思い出すことができない。彼に勝ったという事実でさえ、ひどくあやふやで心の中でぐらぐらと揺れていた。 「ずっと憧れだったウィランに勝った時……俺は自分が飛ぶための目標を見失ってしまったのかもしれない」 絶対に負けない。少しでも速く飛んでみせる。勝負する前は飛翔にかけての熱い想いがあった。それはタツベイの頃からずっと積み重ねてきたもの。 だが、ウィランという目標を越えた先には何も、何も見えてこなかった。一点の光を目指していたのに、辿り着いた先に広がっていたのは果てのない暗闇。 勝利の余韻が徐々に冷めていくにつれて、空を飛んでも楽しいと思えなくなってきたんだ。さらには、どうして俺は飛んでいるんだろうという疑問まで浮かんでくる始末。 あの頃の熱い気持ちも、眩しいぐらいに光って見えていた大空も、今ではすっかりその輝きを失って色あせてしまっていた。 たまに空を見上げてみても、白と青の色取りが俺の頭上に無意味に広がっているぐらいにしか感じないのだ。 「あんたがぱったりと来なくなってからは、俺は飛ぶことの価値を見いだせなくなってしまっていた……」 ウィランに責任を押し付けるつもりはなかった。ただ、俺が道を見失ってしまう前に彼が来てくれていて、俺がこの迷いを打ち明けられていたら違っていたかもしれない。 何とかしてこのもやもやを打ち払いたくて、あちこちの空をがむしゃらに飛び回ってみたりはしたのだが、何も得られなかった。飛べば飛ぶほど煮え切らない気持ちばかりがどんどん大きくなって。 自分でも気づかないうちに深みに嵌って抜け出せなくなっていったんだ。まるで青空の中、不自然にぽっかりと空いた落とし穴に落ちていくかのように。 「俺の方からウィランに会いに行こうって思ったこともあったが……考えてみりゃ俺はあんたがどこに住んでるのか知らなかったんだよな」 「ずいぶん離れた所だから、口で伝えるのは難しいからね。君がボーマンダに進化したら案内しようって思ってたんだけど……」 そう言えば、ウィランがどこに住んでいてどんな生活をしていて、どんなポケモンの知り合いがいるのか俺は知らない。 何かにつけて俺は自分のことばかり話していたけど、そのことに対して彼は文句も言わずに優しく頷いてくれていた。 空を飛ぶことで頭がいっぱいで、全く周りが見えていなかったんだなとつくづく思わされる。本当に今じゃ信じられないくらいに。 「……ごめんね。突然来なくなったりして」 「何で謝るんだよ。いろいろあったんだろ? なら、仕方ないさ」 ウィランにはウィランの事情があるはず。来てくれなかったことを残念に思う気持ちはまだ残ってはいたが、彼を責めるのは筋違いというものだ。 ふと、ウィランの表情が陰る。いつもの眩しいくらいの笑顔はどこへ行ったのかと思うほど、儚げで寂しげで。こんな顔をしている彼を見るのは初めてだった。 「本当は来ようと思えば来られたんだ。でも、ガノフと今まで通り接することができるか自信がなくてね……」 「どういうことだ?」 「……あの日、ガノフの挑戦を受けて勝負して、負けて。僕は悔しくてたまらなかった」 俯いたまま話すウィランの声が微かに震えている。あの時ウィランが悔しがってたような感じはなかった気がするんだが。 情けないことに、勝ったことで有頂天だった俺はその時のウィランがどんな様子だったかほとんど思い出せなかった。 「僕に勝ったってすごく喜んでる君に、その場ではおめでとうって祝福したけど……本当は歯を食いしばりたいくらい、地団駄を踏みたいくらい、本当に悔しかったんだ。 飛ぶことに関しては僕も結構自信があったし、まさかボーマンダに進化したばかりのガノフに負けるわけがない、なんて慢心ももちろんあったと思う。 タツベイの君に勝負を挑まれた時に、ほとんど自分が勝つつもりで引き受けていたからね。そこでの敗北はかなり応えた。ショックだったよ」 言われてみれば確かにウィランは余裕綽々といった感じでいつも堂々としていて、揺るがない自信を持っていそうな雰囲気がある。だからこそ、俺に負けたのが響いたのだろうか。 「負けを引きずったまま君に会いに来たら、僻みや妬みの感情を表に出してしまうかもしれない。 そんなのはみっともないし、それに……また勝負を挑まれるんじゃないか、また負けるんじゃないかって思うと怖くてさ。君から……逃げてたんだ」 ウィランは苦笑しながら俺に言う。以前はあんなにも大きく感じられて仕方なかったウィランが、なんだか今はとても小さく見える。 俺がボーマンダに進化して視点が変わったから、とかじゃない。俺にはない翼を持っていて、空を自在に飛ぶことができて、彼の存在は俺の中でとても大きいものだった。 一度勝負で勝ったとはいえ、ずっと彼に抱き続けてきた憧れの気持ちが消えたりはしない。こうして彼と再会するまで、俺の中のウィランのイメージは昔のまま。 だからこそ、怖かった、逃げていた、と後ろ向きな言葉を口にしている彼とのギャップを感じられずにはいられなかったのだ。 「なんて言うか……意外だな。ウィランでもそんな風に悩むことがあったなんて」 「ふふ。ガノフの目にはそんなに僕が完璧に映っていたかい? 僕だって迷ったり悩んだりすることもあるよ。君と同じようにね」 ウィランも、俺と同じ。いつも優しい笑顔を浮かべて、眩しいぐらいに輝いていたウィランばかりじゃない。落ち込んだりすることもある、か。 そうか、そうだよな。俺が一方的に彼を持ち上げていただけで、ウィランも俺と同じポケモンであることには変わりないんだ。 空に憧れて、空を飛ぶことのできる彼にも憧れるあまり、ウィランのことを理解しようとはしていなかった。彼の表面だけを見て、それですべて知ったつもりになっていた。 「俺の独りよがりだったよな。空を飛べるってだけでウィランに食い付いて、勝手に自分だけ盛り上がって……悪かった」 「謝らないで。負けた時はそりゃあ悔しかったけど、空を飛ぶことにこんなにも熱くなってる自分に気がついたんだ。何か一つのことに打ち込むのって、素晴らしいってね」 飛べることは素晴らしい。いや、素晴らしかった、だろうか。一日のほとんどをこの草原の真ん中で過ごすようになってからは、その気持ちを忘れてしまっていた。 だけど、まだ完全に消え去ってはいなかったんだ。ウィランの話を聞いたおかげであの頃の純粋で真っ直ぐな気持ちを少しだけ思い出すことができたような気がする。 「僕もずっと逃げてたわけじゃない。ガノフに負けてから僕なりに鍛えなおしてるつもりだ。自分で納得のいくような飛び方はなかなか難しいけどね」 なるほど。この空白の時間、ウィランはずっと鍛練していたというわけか。その成果の現われなのだろうか。 彼の背中の翼はぴんと張っていて生き生きとしている。俺の翼よりだいぶ小さいが、それでもずっと立派に見えた。 「またいつか、競争してみないかい?」 「……!」 競争。お互いに競い合うこと。タツベイの頃は俺から勝負を挑んだというのに、今ではその言葉さえ頭に浮かんでこなかった。 追い越さなければならない相手が隣にいる緊張感。力の限り翼を羽ばたかせて前に進む疾走感。ただ空を飛んでいるだけでは到底味わうことが出来ない。 心の底にしまいこまれていた記憶が、そっと浮かび上がってきたかのよう。競争、という言葉に眠っていた闘争心が燻り出していた。 「もちろん君が調子を取り戻した時にね。お互いに万全じゃない時に勝負して勝っても、すっきりしないからさ」 最近の俺はと言えばここから飛び立とうともせず、惰眠を貪りながら暇を潰す日々。今ウィランと勝負をしたところで、結果は見えているだろう。 ここしばらく翼を休めてばかりだったけど、ようやく出番が来たと伝えてもよさそうだ。 俺は背中の翼にぐっと力を入れる。くたりと寝そべっていた翼はぴんと立ち上がり、その存在感を露わにする。 「……いいだろう」 「約束だよ。勝ち逃げは許さないからね」 「誰が逃げるか。ウィランの方こそ連敗するなよ」 「もちろん。今度は僕が君をびっくりさせる番だ」 どちらも自信に満ち溢れた発言。ウィランはともかく、久しく飛んですらいない俺の口からこんな言葉が出てきたのだから自分でも驚きだ。 昔の俺は空を飛ぶことになると、何の根拠もない大層な自信を持っていたような気がする。まだ飛べもしないタツベイの時からウィランに勝負を申し込んでいたぐらいなのだから。 過信はもちろん良くないことだが、負けないぞという心意気と真っ直ぐに突き進む勢いは今よりも強かったはずだ。 精神面でも肉体面でも、飛ぶことを放棄していた間のブランクは大きい。以前、ウィランに勝った時のような調子を得ることができるか、正直自信がなかった。 ふと俺は、空を見上げる。透き通るような青空の中にいくつか雲が点在している。さっきよりも少し、雲が増えただろうか。 流石にいきなりは積み重なってきた感情の変化は起こらない。やはり綺麗だとは思えなかった。しかし、見上げた空に嫌な感覚は抱かなかったのだ。 タツベイの頃ずっと憧れていた空。ボーマンダに進化して、初めて自分の翼で飛び立った俺を迎え入れてくれた空。目標を見失って、目をそらし続けていた空。 俺がどんな感情を持っていようと、いつも空は変わらずにそこにいてくれる。同じ場所から俺をずっと見ていてくれている。大いなる存在。 ずいぶん長い間留守にしてしまったけれど、再び俺を受け入れてくれるだろうか。いや、大丈夫さ、きっと。 勢いよく大空に飛び立てば、昔と同じように俺を優しく包み込んでくれるはずだ。俺がどんなに変わっても、空は変わりはしないのだから。 「ウィラン、ありがとな。あんたのおかげで……もう一度飛べそうだ」 「ふふ、どういたしまして。やっぱり、ガノフはこうでなくっちゃ」 満面の笑みでウィランは俺に言う。太陽のように眩しくて優しげだけど、どこか自信に満ち溢れた笑顔。 捉え方によっては不敵に笑っているようにも思え、俺もぼんやりしていられないなという気持ちにさせられる。 さあて、今日からまた特訓だ。ウィランとの競争に向けて、少しでも翼を慣らして昔の調子を取り戻さないとな。 「どっちが勝っても、悔いの残らない勝負をしようね」 「ああ、望むところだ」 勝負は時の運。その時の気分や体調、風向きや天候などの自然条件によっても大きく左右されることもあるだろう。 どれだけ努力を重ねても必ず勝てる方法なんて存在しない。しかし、やるからには勝つぞという意気込みを忘れてはいけない。 そして、負けたとしてもああしていればよかったと後悔はしたくない。結果がどうであろうと、終わった後お互いに心からの笑顔でいられるような勝負になることを願って。 ウィランはもう俺の中での師匠でも先生でもない。 ずっと追いかけてきた彼の翼が、気がつけば俺のすぐ隣にあったのだから。 絶対に負けたくない、負けられない好敵手の翼として。 END ---- -あとがき せっかくの大会という機会なので、純粋にドラゴンポケモンを書いてみよう、ということに。 本当は競走シーンも入れたかったのですが、話の都合上ない方が区切りがいいかなあと思い今の形に。 やっぱり翼を持つドラゴンには自由に空を飛びまわっていてもらいたいという私の願望です。 投票してくださった方、最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。 【原稿用紙(20x20行)】 44.4(枚) 【総文字数】 14924(字) 【行数】 277(行) 【台詞:地の文】 18:81(%) 【ひら:カタ:漢字:他】 63:4:30:1(%) 【平均台詞例】 「ああああああああああああああああ、あああ。あああああああああ」 一台詞:32(字)読点:34(字毎)句点:42(字毎) 【平均地の文例】 ああああああああああああああ。ああああああああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。 一行:65(字)読点:48(字毎)句点:30(字毎) 【甘々自動感想】 わー、いい作品ですね! 短編だったんで、すっきりと読めました。 男性一人称の現代ものって好きなんですよ。 一文が長すぎず短すぎず、気持ちよく読めました。 それに、台詞と地の文の割合もいいですね。 「負けを引きずったまま君に会いに来たら、僻みや妬みの感情を表に出してしまうかもしれない。って言葉が印象的でした! これからもがんばってください! 応援してます! ---- 何かあればお気軽にどうぞ #pcomment(誓いのコメントログ,10,) IP:183.176.133.88 TIME:"2014-04-06 (日) 22:57:39" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E8%AA%93%E3%81%84%E3%81%AE%E7%BF%BC" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/33.0.1750.154 Safari/537.36"