#author("2024-07-03T14:46:42+00:00;2024-07-02T01:49:57+00:00","","") #author("2024-07-08T05:41:10+00:00;2024-07-02T01:49:57+00:00","","") #include(第二十回短編小説大会情報窓,notitle) ※成人向け、&color(black,black){♂×♂、感覚共有、産卵};あり &size(30){''秘めたる穴のその&color(white,black){奥};で''}; ブルーベリー学園で寮生活をするオイラ。午後一のバトル学の授業を終えて部屋に戻り、共に汗を流した手持ちのウォーグルとオンバーンを労う。 「タケルのブレイブバードかっこよかったぜー」 乱れた羽毛を整えつつ汚れをタオルで拭き取ると、ウォーグルのタケルは甲高く鳴いて嬉しそう。 「ハヤテもおいかぜからのコンボバッチリだったな!」 得意気に鼻を鳴らすオンバーンのハヤテ。首元の白い毛並みを櫛で整えた。 他にも手持ちはいるが、飛行タイプ好きなオイラにとって、幼少から共に過ごしたこの二匹は特別な思い入れがある。進化が遅い事も相まって大変な思いもしたが、今はそれも勲章みたいな物だ。 きれいになった二匹から、惚れ惚れするかっこよさが滲み出る。タケルは自動車を軽々持ち上げるに相応しい筋肉の盛り上がりが羽毛を纏ってもよく分かる。一方のハヤテも特殊技メインながら力が強く、引き締まった体に浮き立つ厳つすぎず美しい筋肉の凹凸に目を引かれる。それでいて彼らは並の成人男性より背が高く、オイラが小さく見えてしまう。 「オマエらこれから秘密基地に行くのか?」 二匹はこくこく頷いた。テラリウムドームはキャニオンエリア内の、人間はおろか大半のポケモンが辿り着けない場所に、彼らのお気に入りの場所がある。今日も少し休んでからそこへ行くようだ。その間にオイラも他の手持ちの世話をしたり、教材の整理を済ませたりする。 部屋の中にある秘密の通路を開ける。テラリウムドームに直結するルートをハヤテが見つけて以来、彼らはここから飛び立っている。飛び立つ準備をするのを見て、オイラは手に握る小さな機械のスイッチを入れた。 目を開けると、隣にいるハヤテの姿が映る。オイラはタケルとシンクロしていた。こんな稀有な体験が出来るのも、学園の研究員からモニターとして貰ったシンクロマシンと呼ばれる小さな機械のお陰だ。絶賛開発中とあって頻繁にアップデートされ、その度使いやすくなってオイラはポケモンになりきれる日々を謳歌していたのだ。 「準備できたか?」 とハヤテがオイラ、即ちタケルに声を掛ける。シンクロ中は普段解らないポケモンの言葉も理解出来て新鮮である。 「おう、できてるぜ」 とタケルが笑顔で答えた。 ――あれ、おかしいぞ? オイラは途端に異変に気付く。 「ん? お前ご主人とシンクロしてるんじゃないのか?」 「いや? 全然シンクロしてる感覚がないんだけど」 その違和感はハヤテも気付いていた。おかしい。シンクロ中はタケルの心身を意のままに動かせる筈なのに。今のオイラは彼の中に意識がただお邪魔しているだけで、傍観しか出来ないような状態。彼らは揃って、オイラの「体」に目を向ける。目を瞑って座り込み、シンクロマシンのランプは正常に点いていた。 「お前じゃなくて他の奴とシンクロしてる?」 「きっとそうだろ」 待て待て、オイラの意識は確実にタケルの中にあるんだけど! シンクロするとすぐ分かるからって普段から事前に声を掛けなかったのが災いしたか。今までこんな事なかったから、恐らく最新バージョンのバグかなんかだろう。 「別にオレはそれでいいんだ。シンクロしてなきゃ存分にアレできるからな!」 「ま、まあそうだな」 視界や翼を動かす感覚など、五感は今まで通り共有されるも、思考が制御どころか共有すら出来てないので、何を考えているかは分からない。けどタケルが嬉しそうなのは分かった。それを目の当たりにして、オイラの意識を介さない、ありのままのタケルをこのような形で観察出来る貴重な機会だと確信した。幸いこれまで通りいつでもシンクロを終えられる感覚があるし、とりあえずこのまま楽しんでみる事にした。 「じゃあ行くか」 「おう!」 彼らは律儀に出入口を閉めつつ飛び立ち、テラリウムドームに続く縦穴を急降下した。 ドームに出てから侵入を阻むかの如き険しい山肌を縫って、彼らはキャニオンエリアを飛び続ける。今日の授業の事とか他愛もない事とか色々と話している。オイラとシンクロしてる時より口数が多い。ハヤテ、やっぱりシンクロ中は多少なり遠慮してたんだなと罪悪感。 そして山肌に現れる穴、これが入り口。入ってすぐに上へ向かう洞穴があり、道なりに飛んだ先の広い空間。こここそが二匹の秘密基地であり、オイラもシンクロを通して何度も訪れた場所。一角には彼らが作った大きな巣があった。タケルは早速巣に入って寛ぐ。彼は妙にウキウキしているが、何が一体そうさせてるのかまでは分からないのが憎い。 「ハヤテ、こっち来いよ」 「……ああ」 ハヤテは返事をして巣へと歩き出すが、何となく遠慮がちに見える。巣に入って隣の空いた所に座った。するとタケルはハヤテに身を寄せる。それに応えて、手と一体になった翼で包み込む。羽毛で飛翔の火照りが籠るがっしりした体から、毛の生えていない引き締まった体へと熱が移り行くのを感じる。 「今でも昨日みたいに覚えてるぜ。オマエと足を掴み合ってぐるぐる落ちてくあのひとときをな」 そんな話、初耳だ。ハヤテとシンクロした日もあったが、オイラにそんな事など一切話さなかった。ハヤテは小さく頷く。 「あんなに大胆でスリリングで、お前とより深くつながれたって実感できるウォーグルらしい求愛は、一生忘れられないな」 ――え、求愛!? って事はまさかオマエら……。 「せっかくツガイになって、ご主人とシンクロしてないってのに、シないなんてヤダぜ?」 つ、番!? 確かにオマエらが「なかよし」なのは分かってたけど、そこまで進展してただなんてオイラ今初めて知ったぞ! 思わぬ事実に仰天するオイラなど知らず、ハヤテに押し付けた体は、先の飛翔とまた違う火照りを孕んでいる。 「タケル……」 ハヤテの困惑が滲み出てるのが分かる。一息ついてから再びぽつり。 「またあんなことになっても、俺知らないぞ?」 「覚悟してる、いやむしろオレは望んでる。だから遠慮なくオマエをオレにくれ!」 ハヤテが尻込みする「あんなこと」の詳細が気になるが、兎に角タケルは積極的にハヤテに迫る。この熱い体と同様に、心の熱さも伝わる。確かに情熱的なバトルを好んではいたが、こんな場面でも発揮するなんてな。オイラの前で見せた事のない一面に驚嘆するばかりだった。 「やれやれ、そんなことを言われたらな。お前がそこまで望むなら、俺も一発覚悟を決めてやる!」 「ハヤテ……!」 突如彼らは激しい接吻を交わす。いや待て、まだ心の準備出来てないって! オイラが狼狽えた所でヤツらはお構いなし。開いた嘴の中に、ハヤテの肉厚な舌が入り込む。その感触や異なる唾液の味わい、乱れる息遣いはオイラにも否応なしに直接伝わって吐き気を覚える。まだベロチューなんてした事ないのに、一歩先を進む彼らに味わわされるなんて。それに何となく下半身が熱くなってくような感じもする。オイラは未だ接吻の感覚を受け止め切れずに混乱していた。 彼らの口が離れ、生臭く粘る糸が両口元を結ぶ。それをハヤテの鋭い手爪が切って絡め取ってから一舐め。先の尻込みとは一転、目は鋭く輝いた。 タケルはおもむろに背を向け、ハヤテが視界から消える。そして尾羽をぴんと立たせた。熱さを強く感じる部分が丸出しになる。 「ウズウズしてたまらないんだ……早くくれよ」 振り向いてハヤテを見つめる。これは……「ちょうはつ」なのか? ハヤテはそれに応えてか姿勢を低くして、その部分に顔を近づける。 「ぴゃっ!」 熱い部分を舐められ、タケルの身が跳ねる。混乱治まらぬオイラも身震いする感覚に襲われた。そこは排泄を司る孔。ぬるっとした物を感じたが、恐らくそれがジュクジュクした感覚の正体か。 「こんなに敏感にして……悪かったな」 ハヤテは舌先で執拗に攻める。や、やめてくれ、鳥肌立ちまくる! 鳥ポケモンのタケルにチンコがなく穴が一つだけなのは知ってたが、人間に当てはめれば金玉と尻穴の中間辺りが、感電したようにビリビリして変な感じ。でもタケルは次第に息を荒げていく。 今度は分厚く濡れた肉が、孔を押し開いて中へと入っていく。ぬるっとした物が中を抉じ開けていく感覚が、オイラには妙に気持ち悪い。なのにタケルは心地よさそうに戦慄き、火照りが強まるばかりだ。 ぬぽっと舌が抜かれ、タケルの孔はひくついて下半身が疼き出す。なんでこんな目に遭ってるんだろ、オイラ。 「これが欲しいならよ、ちょっと遊んでやれ」 興奮を隠し切れないハヤテ。腰を突き出して股間の縦割れから伸びる雄の証を見せ付ける。うげ、でっか! オンバットの時から何度か見た部分だが、進化して飛躍的に大きくなり、恐怖さえ覚えた程。 「あぁ、ハヤテのチンコ……!」 再びハヤテと向かい合い、翼で&ruby(いき){熱};り立つ巨雄を包み込んで扱き出すタケル。尿と体臭由来と思われる強い臭いがする。マジかよ、なんでそんな所……オイラだったら吐きそうになって拒絶しちゃう。そしてタケルは嘴と舌を駆使して先端を刺激する。弾力のある硬さを伝える一方で、舌が感じる癖のある塩気。オイラにはこれも受け入れ難く、悪心すら覚えた。 「ん、お、おぉっ!」 血管バキバキのチンコがドクンと膨らんで、ハヤテが嬌声を零す。反射的に腹が引っ込み、それに合わせて腹筋がよりくっきり割れる。初めて耳にした彼の低くも甘い声色。タケルの上目遣いで視界に入ったハヤテの顔。紅潮して目を細め、小刻みに呼吸する口元から涎を零す。タケルの胸が高鳴って、孔がヒクヒク反応するのを感じた。 ……はっとした。 そうだ、一連の行為を体感してるのは、「タケル」なんだ。ただ彼を通して見てるだけの「オイラ」じゃない。なのに思わぬ行為に混乱してつい気持ち悪いだの吐きそうだの、オイラの感覚や先入観に囚われてしまってた。現にタケルはハヤテとの行為で気持ちよくなってるじゃないか。 ありのままの彼らを目の当たりにしてるんだ。もっと知りたいなら、共有される彼の五感に素直にならなきゃ駄目なんじゃないか。その事に気付いた途端に、オイラが抱いていた拒絶が途端に薄れる。ハヤテのチンコの臭いは更に欲しがらせてしまう&ruby(かぐわ){香};しさに変換され、癖のある塩気は許容レベルになるどころか味わい深くさえ思わせてくれ、孔の刺激は途端に甘く痺れる物に変わって、ぽっかり空いた部分を埋めたい衝動に駆られ始める。そしてハヤテの低く甘い嬌声に雄の色気を覚え、紅潮して見つめるその表情に、初めて劣情を抱いてしまう。 タケルの頭をそっと撫で回すハヤテ。その感触がたまらなく快い。躍動に合わせて膨らむ長い尿道を通って先端から漏れ出たしょっぱい粘りは、独特の味わいを舌に広げ、欲求不満の孔をより熱く疼かせた。 「うぅ、もういいぞ、タケル……!」 チンコへの責めを止めさせたハヤテは、臭い立つ汗を滲ませて上気していた。 「もう焦らしやがって……」 タケルは再び尻を向けて尾羽を立てた。出口、いや入口が一層大きく開くのを感じる。オイラもドキドキしてきた。 「待たせたな」 逞しい体をしっかり掴み、孔に濡れたモノが押し付けられる。あんなデカいの、入るのかと刹那に過る不安。だがそれは一瞬にして消し飛んでしまう。 「う、うおぉぉ!」 太く拡げられながら、易々とハヤテの侵入を許す。チンコを入れる側よりも先に入れられる側を体験してしまうなんて。熱い体内は、即座に温度の低い侵入者を温める。 「ぐぅ、タケルマンコ気持ちいい……!」 挿入を続けながらも、内圧と摩擦に顔を歪めて&ruby(せんどう){顫動};するハヤテがオイラの目にも愛おしく映る。奥へ進むにつれ強まる膨満感と体内の甘い疼き。あの太さと長さが押し込まれればこうなるのも納得せざるを得ない。尻と鼠径部が密着し、オイラにとっては初めてながらご無沙汰と思われる彼らの凹凸の咬合が遂げられる。 「もう後には退かないぞ……!」 「オマエの情熱……中にぶちまけてくれ……!」 静かに燃え上がる秘事が、ひっそりとした洞窟で幕を開ける。マジでヤツら交尾してる、火照りを感じる中でオイラは感動すら覚えた。初めはゆっくり行われる抜き挿しで、中を蹂躙するハヤテの形が摩擦と拡張の刺激を伴ってタケルとオイラに伝わる。挿し込んで当たる鼠径部が、尻周りに心地よい快楽の波動を生み出し、それは隆々とした肉体を伝播して脳天へ至った。 「あっ……あ、もっとっ!」 聞いた事のない甘い鳴き声を嘴から発してよがる。勇猛で逞しい雄鳥のタケルがチンコ突っ込まれて雌みたいになってるなんて。オイラは驚きつつも酔い痴れていく。 「ううっ、タケル……! たまらないっ!」 一心不乱に腰を打ち付けて犯し続けるハヤテの余裕のないそぶりに、時々体内で脈打つ巨根からもたらされる雄の快感の強さが窺えて、男として共感しつつもその機会に恵まれないが故の恨めしささえ覚えてしまう。 「お前の、顔……見たいっ!」 雄鳥を掴む手に一層力が込められ、忽ち仰向けにされた。咬合に加わる回転の摩擦が、体内をジンジン熱くしてひくつかせる。視界一杯に入る、雄の営みに興じるハヤテ。筋肉の浮き立つ細身をフェロモン混じりの汗で濡らし、頬を赤く染めて潤みつつも鋭い眼光を向ける。普段見る事のない、力強くも艶めかしい雄の色気を纏った姿。駄目だ、こんなの見たらオイラ男なのに堕ちちゃう……! 「オレの中……オマエでいっぱいにしてくれ……!」 最早雌鳥と言うべき要望が嘴から零れた。同時に鳥マンコがキュッと締まってオイラにも性感のパルスが駆け巡る。 「仰せの、ままに……っ!」 ハヤテは交尾を再開する。たっぷり濡れた音が洞窟に響き、見え隠れするハヤテのチンコや鼠径部はぬめって糸を引き、火照った体内が彼らの淫液に汚れる事実を見せ付ける。どんどん奥へと届いていき、更に拡げられる度に摩擦の刺激が強まる。すっかり交尾に夢中になってしまって、もうオイラとかタケルとかどうでもいいくらいに気持ちいい! 「ぐあ……マンコやみつきに、なるっ!」 雄々しい細身を戦慄かせ、徐々に前屈みになっていく。 「うおぉ! 奥っ、きてる!」 蹂躙にひくついて喜ぶマンコに翻弄され、身をくねらせながら大きな翼をはためかせる。オイラの中で暴れるチンコが奥の何かに当たり、そこから猛烈なでんげきはが放たれて快楽の痺れをもたらし始める。 「くそっ! 限界が……!」 「あぁ、すご、すごいいっ!」 必死に歯を食いしばりながらも激しいピストンを止めない。段々強まる当たりに触発され、オイラの体内は熱くピリピリと、チンコの形に拡張されながらも、おねだりするように強く纏わり付く。嘴から甲高い嬌声が漏れ、目は涙で濡れる。そしてオイラの奥がとうとうチンコに抉じ開けられ始める。 「あ、ダメ! イっちゃうぅ!!」 開いた奥の扉から怒涛の快楽が溢れ出し、屈強な肉体が反射的に仰け反る。 「ピャアぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 甲高い声を発してオイラの中で何かが弾け、猛烈にマンコが締まってブシャッと何かがハヤテとの継ぎ目から漏れ出した。 「うおぉ! 孕めぇ!!」 締め付けられたチンコが急激に膨れ上がって、尿道がくっきり張り出すのを、絶頂の中で感じ取る。ハヤテが最も強烈な交尾の快感を得ると同時に、オイラの最も欲しい物が得られる力強いサイン。オイラの腹に、ハヤテの形が明瞭に浮き立った。 「ぬぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」 体を強張らせてけたたましい雄叫びを放ち、オイラの体が浮き上がりそうな程にハヤテが脈動する。そして到達した最奥に濃厚な怒涛が大量に噴射されるのが分かった。 「あぁ、すごいぃっ……!」 &ruby(リバーブ){残響};の朧気なハヤテの声を耳で拾いつつ、パワフルな侵入者に胎を満たされる激動に夢中になっていた。絶頂の硬直が解けて汗だくで脱力するハヤテは、事を遂げた雄の色香を放つ。それでも中々治まらない中出し。水風船みたいになってくのも、結構病み付きになりそうだ。 オイラの中で、大きさと硬さを急速に失っていくのが伝わる。ふう、と一息つくハヤテ。 「久々の交尾、めっちゃ気持ちよくてたっぷり出しちまった……」 名残惜し気に鼠径部を押し付け、それに合わせて孔の熱く燻る疼きが刹那に強まった。 「……おい、大丈夫か? タケル?」 ハヤテの言葉ではっと我に返った。いつの間にか心身共にタケルと&ruby(シンクロ){同調};してたのに気付く。情事に於ける予想外の事実に一驚を隠せない。 「ああ、&ruby((オイラ)){オレ};もすごい気持ちよかったぜ……」 我に返りながらも尚、同調した。未だ籠る熱に心地よく浮かされるが、タケルも苦痛に感じてないよう。ハヤテの手が丸く膨れた鳥腹を撫で回す。ハヤテはチンコを抜いてタケルの身を起こした。抜かれた穴は塞がらず、注がれた熱情が漏れ出るのを感じる。一旦巣を離れ、奥に貯めていた木の実を持ってきてタケルに差し出す。それを喜んで啄み、自然の味わいが口一杯に広がってオイラもそれを嗜んだ。 「あー、まだ早いけどなんか疲れた……」 「いいぞ。俺がそばにいるからゆっくり寝ろよ」 先の行為で乱れた羽毛を手櫛で整えつつ、ハヤテは微笑んだ。 「ありがとなハヤテ。愛してるぜ」 「俺も愛してるぞ、タケル」 二匹は睦言を交わして座り込む。ハヤテの強い体臭を、タケルの鼻が感じ取る。オイラはあまり好きじゃなく、臭う度に彼を洗っていたくらいだが、改めてタケルの嗅覚を介すると不思議と不快じゃない。逆に安心感を覚えさえする。 幸い明日は授業も用事もなく、マシンのバッテリーは充電したてでまだ長く持つ。このまま彼らを観察するのも一興だろうとシンクロを解かず、オイラは襲い来る眠気に身を任せた―― タケルの覚醒に合わせてオイラも目を覚ます。シンクロ状態で初めて夜を明かすが、状態は維持出来ていた。タケルは巣を出て基地内を歩き回る。だがその体は妙に重く感じた。昨日の交尾の疲れもあるだろうが、それにしては重くて、腹も張ってるような……。それに孔も何だかムズムズする。外から戻ってきたハヤテに交わした挨拶は、何となく明るく聞こえた。 「ハヤテ、やったぜ!」 嬉しそうに身を差し出す。ハヤテは腹周りをゆっくり擦った。 「お前まさか……できたのか、卵」 タケルは笑顔で頷いた。そうか、重かったのは卵が出来…… 卵ォ!!? おい聞き間違いじゃないだろな!? もし本当なら、オスしかいないウォーグル族の生殖に関する世紀の大発見かもしれないんだぞ!!? 「今日中は間違いないぜ。腹が張って産まれたがってるからな」 「そうか。で、産んだらどうするんだ? 前みたいにご主人の友達にやっちゃうのか?」 「んなわけないだろ! オレらの子供だぜ? 責任もってオレらで育ててく、その覚悟でオマエも交尾したんだろ?」 「ああ。それを聞いて俺も安心した。俺だって手放したくなんかないからな!」 どうやらマジモンらしい。てか以前ヤツらが卵を持ってきて、食うんじゃないかと思って友達にあげたのは事実だ。確かにワシボンが生まれたが、あれがまさか二匹の子供だったなんて……! これは彼らの思いを尊重してやらないとな。 「俺がついてるから、安心して産めよ」 「オマエがいると頼もしいぜ」 軽く口を触れ合い、腹の張りを感じながら巣の中でその時を待った。 膨れた腹が突如ぎゅっと痛む。 「産まれる……!」 タケルが身を震わせながらいきみ出す。意識の中ながら、オイラも合わせていきんでいた。長年の謎の手掛かりを、タケルを通じて体感する事になろうとは夢にも思わない。腹を摩るハヤテの手が温かく感じる。胎内で何かが開き、そこへ大きな物が動いて抉じ開けてく。それが通る場所は、先日立派なハヤテの侵入を許した場所に同じ。だが体を下りるそれは更に大きい。 「うぐうっ!」 ハヤテに身を寄せて全力で踏ん張る。収縮する痛みこそあるが、保健の講義で勉強した人間の命懸けの出産に比べれば、まだまだマシだろう。オイラ男だから経験してないし、したくもないが。 ハヤテは汚れた孔を見てその時を待つ。徐々に下りてく大きな質量。 「出てきたぞ!」 窄まった皮膚が徐々に膨れ、産み出す丸い形を作って突出するのが見えなくても分かる。そこから徐々に開く出口。ここまで幾度となくその大きさを痛感させられながら、渾身の力を込めていきんだ。最も大きく開いた刹那、するすると動き出してゴトンと巣の中に転がった。予想外にあっという間の産卵だった。 「やったなタケル!!」 「ありがと、ハヤテ……!」 秘められた生命の奇跡を目にして喜ぶ二匹。夢中になっていきんだオイラも、自分の事のように歓喜に満ち溢れた。 いや、喜ぶのは結構だが、この件について後でちゃんとまとめなければ。多くの謎に包まれてる雄性のみの種族の生殖に関する新たな発見に違いないのだから。とは言っても、純粋に産卵の成功を喜ぶ二匹には心温まっ―――― ――ブツッ 目を開けると、寮の部屋が映り込む。仮想空間に面する窓から射す日は高く昇り掛けていた。手に握られたシンクロマシンは、まだバッテリーがありながらスイッチが切れている。オイラ、シンクロしてたのか? だがそんな記憶が一切ない。遡っても、昨日のバトル学を終えて部屋に戻った所までしか覚えてない。 怪訝を抱えつつ立ち上がると、妙な不快感。見るとズボンとパンツの中が悲惨な事に。苦々しさと何も分からない不安に襲われながら、シャワールームで体と衣服を洗い、溜まった洗濯物と一緒に洗濯機にぶち込んで回す。座っていた所も綺麗にして消臭剤を噴きまくった。とりあえず授業も用事もないから勉強に支障はないとは言え、シンクロして何してたか分からないのは何ともモヤッとする。 秘密の出入口から聞こえる物音。ハヤテとタケルだ。昨日から秘密基地に行ってたんだっけ。にしてもあの不快な事象が結び付く要素なんて思い当たらない。出入口を開けると部屋へと飛び込んだ。 「おかえり。楽しかったか?」 彼らは笑顔で応えた。オイラはある物に目が行く。 「また卵なんて持ってきたのか」 どうせ食べるつもりなんだろうと手を伸ばそうとするも、彼らは遮った。また誰かにあげるつもりだったが、そうはいかないらしい。 「もしかして……オマエらで温めるつもりか?」 真剣な眼差しで、彼らは頷いた。どんな経緯か解り兼ねるが、彼らだって親心が芽生えてもおかしくない年頃だ。ここは彼らの意志を尊重してあげよう。 物置を漁り、以前の授業で使ったきりだった孵化装置を持ち出す。あいにく手持ちにほのおのからだの恩恵を得られるヤツもおらず、図らずも重宝するとは。体温の高いタケルが温めるつもりだったらしく、謎の機械に警戒したものの、授業で留守にする際に代わりに温めてくれる物だと説明したら、どうにか理解はしてくれたよう。生まれた後の準備は追々やるにして、ひとまず孵化させる環境は整った。 「……うわオマエら臭い! 順番に洗うぞ」 シャワーを浴びたばかりだが、まずは不機嫌なハヤテを連れて再びシャワールームへ。臭いは変わらないのに、今までと違ってそこまで嫌な感じがしない。それが何故なのか、オイラには見当が付かない。きっと失われたあの時間が関係してるのだろうが、それを紐解く術は皆無だった。再び服を脱ぎ、一糸纏わぬ姿でハヤテと共に中へ入って扉を閉めた。 ---- ロトロトロト…… ''未読 1件'' 件名:シンクロマシン緊急アップデートのお知らせ お世話になっております。シンクロマシン開発者の〇〇です。 お世話になっております。シンクロマシン開発者のシンクロミです。 先日アップデートしたプログラムバージョンv2.5.1において、重大な不具合が確認されたため、急遽リモートでv2.5.2へのアップデートを行わせていただきました。 仮にシンクロ中であった場合、自動で通常の終了プロセスを行ってからアップデートを行いましたが、不具合の内容上シンクロ中の記憶の欠如等が生じる恐れがございます。 もしアップデートに関わる重大な事態が発生しましたら、直ちにご連絡をお願い申し上げます。 なお、シンクロ中の記憶が喪失する事態が起きましても、復帰する手立てはございません。悪しからずご容赦願います。 引き続き、快適で刺激的なシンクロライフをお楽しみいただけるよう、開発を続けてまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。 取り急ぎ ---- 【原稿用紙(20x20行)】 30.8枚 【文字数】 9718文字 【行数】 214行 【台詞:地の文 台詞率】 74:99行 43% / 1460:8380文字 15% 【かな: カナ: 漢字: 他: ASCII】 5147: 1146: 2524: 999: 24文字 【文字種%】 ひら52: カタ12: 漢字26: 他10: A0% ---- *戯言&投票コメント返信 [#t11c709e] 結果は''1票で15位''でした。これに関しては単純に自分の技量が至らなかったことに尽きると痛感しております。 感想会等で、少なくとも3人は最後まで候補に入れていたことは把握しており、その全てにおいて1票をもぎ取れる一押しが足りずにそのチリツモでそうなったとなれば、慣れないことに挑戦したとはいえ悔しいものです。というより''他の皆様のレベルが圧倒的に上がっていて、自分は結局頭打ち''だったんですよね。皆様の作品を読んでてこりゃ票は取れねーなって。見事に的中しました。 懺悔してしまうとですね、今までは票を得るために(全てではないにしろ)意図的に何かしらの媚び要素を入れてたんですよ。今回はそれを一切しなかったので、これがwiki内での実力ってことになるんですね。精進します。 とまぁここまで後ろ向きなことを言いつつも、確実に1人の琴線には触れてくれたので、それは素直に嬉しく感じております。より多くの読者の心を掴める作品を書いていけたらいいなと切に思うところでございます。 ……それはさておき、 &size(24){''なーしてみんなシンクロマシンネタで書かねかったんかね!!?''}; エントリーした段階で絶対被ると思ってたんですよ。ところが蓋を開けたら自分しか書いてなかった件。wiki民絶対こういうの好きそうだと思ってたんですけど。 でも書いてるうちに気付いたんです。過去にポケダンネタで人間男→ロコン♀の官能あったじゃん。故にそのネタ自体に目新しさは感じなさそうだなと思って、今作の「不完全なシンクロ」という''クソ難しい''シチュエーションに至りました。 雄産卵も過去に書いたんですけど、あえて書いたのは前回の変態選手権感想会のアフター((アフターなのでログには残ってませんが、創作ネタの参考にと個人的にログ取ってました))で、ウォーグルも卵ができるでしょうなんて[[水のミドリ]]さんが言っちゃったものだからつい……本当にごめんなさい。 そして実はP-tanには珍しい「受け視点」の濡れ場に本格的に挑戦した作品でもあります。自分ちんちん大好きだからどうしてもちんちん主体の濡れ場になっちゃって、でも以前アンケートを取ったらケモホモ界隈では受け視点の需要が高いことがわかっちゃって、それなら多少なり書けた方がいいかなと思って、やってみました。 オチに関してなんですが、自分としてはあれが最も痛みを伴わない結末だったと考えています。もし仮に記憶が戻ったまま話が進んだら、感想会でも言った通りあまりにも悍ましすぎて自分には書けなかったです。それでいて記憶が飛んでもハヤテの体臭に対して不快感が薄れたりと、ちゃんと爪痕が残っているのがミソだったんです。わかってくれた人がいて、ありがたい。 お題の「きょう」は「(感覚)共有」で、不完全なシンクロという形でそれを軸に話を展開したんですが、理解できなかった方もいたようなので、その見せ方含め、技量不足だったのかなと感じています。もうちょっと露骨路線でいってみるか……。 ちなみに以下の場面 「今でも昨日みたいに覚えてるぜ。オマエと足を掴み合ってぐるぐる落ちてくあのひとときをな」 そんな話、初耳だ。ハヤテとシンクロした日もあったが、オイラにそんな事など一切話さなかった。ハヤテは小さく頷く。 「あんなに大胆でスリリングで、お前とより深くつながれたって実感できるウォーグルらしい求愛は、一生忘れられないな」 これはウォーグルのモデルである[[ハクトウワシの求愛行動:https://togetter.com/li/2301105]]です。彼らがこんなにも大胆な求愛行動で結ばれたなんて、ロマンチックですよね。 それと産卵シーンはTwitterで見かけたペンギンの産卵動画を参考にしました。体に対して卵でかすぎでしょ……。ウォーグルもきっとでっかい卵を産むに決まってます、ゆうもうポケモンだし。 ここからはコメント返信に移させていただきます。 -&size(16){''シンクロマシンをネタにするのは自分も考えてましたが、雄同士で書くとは! 終盤に主人公もシンクロしていくのが大層えっちでした。 (2024/06/18(火) 01:14)''}; ありがとうございます! この1票に救われました。シンクロマシンネタについては、なんでみんな書かなかったのって逆にこちらが驚くくらいでしたね……。 濡れ場における主人公の心情の変化及びクライマックスの「タケル」と書くべきところを「オイラ」と書いてしまうくらいのシンクロは、初稿の段階ではなかったものでした。その段階で8800字だからもうちょっと何か入れられるだろうと考えた結果、その心情変化を仕事中に思い付いて即座に反映させました。これがなければ冗談抜きで''&ruby(ダブルオー){W・ZE~RO~};''の不名誉な称号を頂くところでした。 感想会で2匹の関係性や営む感覚を受け入れた主人公がぐう聖とか胆力すごいとかコメントを頂きましたが、それも子供の頃から一緒に過ごして、色々苦労して並々ならぬ愛情を注いできたからこそできたんじゃないかなと、書いてて思いました。これも進化が遅いオンバーン、ウォーグルならではですよね。卵グループも一緒だし。 ---- -[[戻る>P-tan]] #pcomment()