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砂漠の華 の変更点


*&color(#a86924){砂漠の};&color(brown){華}; [#z45d1021]

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俺はお前が好きだった

お前も俺を愛してくれた

それまで退屈で仕方がなかった日々も

お前と出逢って変わっていった

毎日が楽しくなった

太陽の熱も気にならなくなった

ニンゲン共の目も気にならなくなった


この乾いた砂漠に土砂降りの雨が降ったみたいに

俺の心は何かで満たされていった

お前のお蔭で俺は

生きる喜びを実感できた

俺はお前といてとても幸せだった


そんなお前に俺は幸せをあげられていたのだろうか

砂に水が染み込んでいくように

心を満たしてやることが出来ていただろうか

俺が感じた幾つもの感情を

お前も俺といて感じていたのだろうか

自分の未来を捨てて

俺の我侭に生きて

辛い思いのままいってしまったりしていないだろうか


お前がいくことになったのはきっと

俺がお前をしばっていたからだ

俺がお前を愛したせいで

優しいお前は俺を愛した

俺が孤独を恐れるようになってしまったから

お前は俺の側を離れずにいた

お前は何時でも俺を気遣い

俺を幸せにしてくれた

俺は初めての感覚に浮きに浮かれた

お前がずっと耐えていたことも気付かずに


俺がお前を干乾びさせてしまったから

お前は遠い空へと旅立ってしまったのだろう

お前を潤してくれる雲の奥へと

いってしまったのだろう

お前を苦しめていたのは俺だった

お前がいなくなって気付かされた


それなのに俺はまだお前を求めている

お前がいなくなった事が信じられなくて

お前に出逢う前は当たり前だった孤独が

怖くて切なくて寂しくて

俺の心の砂漠は嵐でめちゃくちゃになった

俺の乾いた砂漠を満たしていた一輪の&ruby(お前){華};も

その砂嵐に萎れていった


潤っていた俺の心はまた

お前と出逢う前のように

干乾びてゆく

華が枯れ 朽ち果てた時

どうなってしまうのかは解らない

ただひとつ願うとすれば

もう一度お前の側にいきたい

こんな我侭な&ruby(サボテン){覇王樹};野郎だけれど

今度こそお前を幸せにしたいから

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砂漠に咲いた一輪の華

遠いどこかの国はこの時期

死者が幾日間か帰ってくるとニンゲン共が言っていた

その時期に咲く紅い華

それは死者が姿を変えたものなのかもしれない

ニンゲン共の噂を頼りに

探し始めて幾日だろうか

一度として顔付きを変えない太陽

俺の身も心も乾かすほどの熱

歩き続けた俺のカラダは既に

萎れてひょろひょろだった


それでも俺は諦めず

ただただ砂を蹴り進む

ニンゲン共が言っていたその華が

お前であることを信じて

俺は

砂漠を突き進む

----

砂漠の嫌われ者だった俺

全身はトゲだらけ

顔つきも怖いらしくて

暑さで動かずにいる朝でさえも

誰も寄り付かない

ニンゲンと出遭うことがあれば

俺が何もしなくともバケモノだと罵られ

石を投げられる

俺と同じ覇王樹がニンゲン共を襲う((後を付きまとい狙っている))というだけで

俺も同類とみなされる

それでも俺は気にする事などなかった

お前に出逢うまではそれが

俺の当たり前だったから

孤独だけが俺の友達で

砂だけが俺の愛するものだった

お前と出逢って仲間の温かさを知った時

孤独がどれ程冷たいものだったのかを思い知った

孤独の辛さを知ってしまったから

お前がいなくなった今の俺の心は

吹雪いた雪山のように冷たかった

心に咲いた華も

凍り付いてしまいそうなほどに


だけどそれは俺にお前の大切さを

伝えてくれているようだった

俺にとって大切だったお前を幸せにする

それが今の俺にとっての最大の幸せになる

結局俺は自分の為に

お前を捜し求めているのかもしれない

こんな俺でもお前を愛していいのか

解らないけれど

そえれでも俺は

お前を必ず幸せにしてみせるから

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目の前で揺れる一輪の華

燃えるような紅い華

お前の頭に咲いていた二輪の花と同じ赤

見た目は全く違うけれど

それは確かに俺にとっての

お前と同じものだった


砂の黄色と空の青

お前がいなくなってからそれ以外の色を

目にすることは滅多になかった

懐かしいお前と同じ赤色

もっと近くで見たくて

俺は動かない身体を捩る

だけど砂は俺の身体を支えてくれず

捩った分だけ後に飛び散るだけ

日の出ている間も歩き続けた俺のカラダは

もう限界だった


熱く乾いた風に揺られる一輪の華

水など何処にあるのか解らないというのに

力強く根付いている姿はまるで

俺の為に水の少ない砂漠で暮らした

お前のように見えた


死者が生まれ変わるだなんてそんな話が

本当にある筈がないのは解っている

だけど

その華が本当はお前でないとしても

今はお前だと信じたい

俺の中では

俺のところにわざわざ帰ってきてくれた

お前であって欲しいから


やっぱり俺は自分勝手なんだろうな

俺は笑った

それが嘲笑であったとしても

確かに俺は笑った

お前がいなくなってから初めて笑う事ができた

ただそれだけなのに

俺は胸が熱くなるのを感じた

久しぶりに感じた喜びの感情だった


俺は泣いた

お前がいなくなった時以来

一滴も流していない涙を流しながら

カラダにも心にも

もう殆ど残っていない筈の水を流しながら

久しぶりに感じた悲しみの感情だった

こんなに心が震えたのは本当に久しぶりだった

悲しい筈なのに嬉しくて訳が解らなかった

お前といた時はこんなに充実していたのだろうか

こんな素晴らしい感情を俺だけが味わっていたのだろうか



もう過去に捉われるのはやめよう

俺はお前を幸せにする為に

ここまで来たのだから


これからはお前に

俺が味わってきた何倍もの幸せを

俺が与えてあげよう

喜びは共用し 悲しみは分かち合い

孤独は絶対に感じさせない

今まで辛い思いをさせてしまった分

鬱陶しいくらいにお前に寄り添ってあげよう

俺のことを嫌いになったって構わない

俺はお前を愛しているから


重たかったカラダが不意に軽くなった

&ruby(お前){華};の姿が薄れていくけれど

もう俺にはこんな眼もカラダも必要ない

どうせすぐに

また会えるのだから




ひとつだけ確認したいことといえば

こんな自分勝手な俺が

お前みたいな綺麗な女の側にいて

本当にいいだろうか








俺の言葉に答えるように揺れた華はまるで

笑っているお前のようにみえた






















熱い日差しが降り注ぐ砂漠

その砂の世界の何処かに

死者を奉る紅き華と

それを護るように生える

大きな大きな覇王樹が

あるという…













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はい、最後まで読んで下さって有難う御座いました![[トランス]]の素人短編、完結した中では四作目になりますが如何だったでしょうか(汗)
今回は変態様よりリクエストを頂いたノクタスで小説を書かせて頂きました。遅くなってしまって申し訳ないですorz

またしても私のカオス表現が満載の作品でしたので、内容がよく解らなかった方の為に簡単に説明させて頂きますと、孤独だったノクタスを幸せにしたキレイハナがお亡くなりに((水分不足によるもの))なり、彼女が死んだのは自分が彼女を砂漠に引き止めていたからだと悔やんだノクタスが、砂漠に咲いた彼岸花を彼女だと信じて探しそのまま力尽きあの世で幸せにしたという…大半の方が余計に解らなくなってしまったでしょうね(蹴
その前にあれだけの情報で相方がキレイハナだと気付いた方はいるのでしょうか(苦笑)最初は覇王樹絡みでマラカッチや、「砂漠の薔薇」の発想からロゼリアを考えていたのですが、私の地元で最近彼岸花が咲き始めたことで無理矢理考えた話の為、二匹では少々ズレが生じそうだったので…(汗)
しかし、はじめにリクエストを受けた時はマラカッチときゃっきゃさせるつもりだったので、気が向いたらこの作品の前日談、ノクタス×キレイハナの出逢いの方も書くかもしれませんです。今回のような作風は難しさを思い知ったのでやめにするかもしれませんが…(オイ

因みに彼岸花の花言葉は「悲しい思い出」「想うはあなた一人」「また会う日を楽しみに」などですね。殆ど表現できている自信はありませんが、少々秋の切なさのようなものを感じていただければと思います。

ノクタスが終始自己中心的でしたが、少し強引なところがある男性は今時人気だということで大丈夫でしょう。少しどころではないですが(汗

リクエストして下さった変態様、改めましてリクエスト有難う御座いました。そしてここまで読んでくださった読者の皆様方に、心よりお礼を申し上げたいと思います。有難う御座いました!

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苦情や質問、誤字脱字の報告、コメントなど何かありましたら此方にお願いします。本当に描写下手なのでアドバイスをして下さると助かります。どうか宜しくお願いします。

#pcomment(コメント/砂漠の華,,above);

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IP:122.133.232.247 TIME:"2014-01-03 (金) 03:59:04" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E7%A0%82%E6%BC%A0%E3%81%AE%E8%8F%AF" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 10.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/6.0)"

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