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災いを伝える者第屍話 英雄を愛した龍 の変更点


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''グロ注意''。

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焼け焦げた血の痕が生々しく、眼球の中の水分が沸騰し爆発した遺体や、五体を瓦礫に潰され胃やその中身を周りにぶちまけている遺体もある。
後は炭や挽き肉になり元が何だったのか分からない。
ただ一つ分かっていることは、僕は何も出来なかったという事だ。
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                 &size(35){災いを伝える者};第屍話 英雄を愛した龍
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「んー……流石永闘兵ね あれくらいの数で町一つを壊滅させれる」

そう言うとディーゼルさんは近くに倒れていた操り人形を蹴った。
それは確かに中身のある音だったが僕の耳には中身のない軽くて重い音に聞こえた。
どれだけ足掻いても、どれだけ逃げても、生まれてからずっと背負い続けているこの呪われた力は僕を見逃してはくれない。
結局、僕の訪れた土地は破滅の道しか辿れない。
自分では救えたと思っていても回避の出来ない破滅。
災いを運ぶ悪魔、頭では否定していた事だったけど本当は正しいのかな……?

ふと何かの気配を感じ、閉じていた目を開く。すると赤い二つの物体が目の前に現れた。

「カンガエゴトカ?」
「ええ、まぁ……」
「フム、ナカナカシンコクソウダナ アクマデヨソウダガ、ジブンノチカラノコトデナヤンデンノカ?」
「…………」
「アタッタミテェダナ」
「僕は、自分の力が嫌なんです この呪われた力が……」
「ダレガノロワレタチカラナンテイッタンダ?」
「え?」
「モノトカ チカラハ カンガエヨウニヨッテ ゼンニモアクニモナル タトエバ、ないふトカハソノダイヒョウダナ
 ツカイヨウニヨッテドッチニモコロガル」
「確かにそうですけど……」
「フカクカンガエスギダ クヨクヨシテルヒマガアンナラ アタマノナカ りせっとシロ!」
「ッ!」

確かにそうだ。ここで悩んでいても昔みたいになるだけだ。
説教をされて少し気持ちがすっきりとした気がする。

「…ぁ……ぅ…」
「ン? ナニカイッタカ?」
「いえ、何にも」
「フム、マァイッカ」

改めて辺りを見渡す。敵はすべて止まっている様だ。
自分の体を見てみると鮮やかな青い液体が前足や胸元、多分顔や鎌にもべっとりと付着している。
元は黒かったLkucy★starも所々青くなっていたり穴が開いていたりしている。

「…………ん?」

何か異質な気配を感じ、それのする方へと視線を動かす。
そこで僕の目に飛び込んできたのは巨大な火柱。炭と灰だらけのこの場所で熾きた炎にしてはあまりにも火力がおかしい。
おかしいのは火力だけではない。炎の色も普通ではなかった。

黒い炎、おとぎ話の中に出てくるあらゆる物を一瞬で絶望へと変える魔法の炎。
確か物語では……

『昔、昔、あるところにロールギアレという小さな王国がありました その国の近くには恐ろしい龍の棲む洞穴がありました』
『この龍は毎晩王国に飛んできては黒い炎という魔法の炎を国中に振りまき人々を困らせていました』
『そんなある日、アルバという一人の勇ましいゴーリキーの若者が龍を退治しに洞穴へと向かったのです』
この後、龍は自分を退治しに来たアルバに恋をしてしまい、想いを伝えようとするが自分の口から漏れだした黒い炎でアルバを殺してしまう。
そして深い悲しみと絶望に包まれた龍は我を失い国を滅ぼし自分すらを焼きつくし、最後に黒い炎が残り、世界中をさまよっているという内容だ。

このおとぎ話のせいで黒炎使いと言う炎タイプの変異種が迫害を受けた。
彼らの炎は上質な炭を作るのに必要不可欠だけどこの話が一般に知れ渡り危険な存在とされてしまった。
アブソル種だってどこかの国の昔話が間違って伝わり災いの象徴にされた。
それと同じように彼らも家や国を失った。

けどよく見てみればこの炎は黒炎にしては火力が弱い。鎌鼬で消せそうだ。
ちらりと後ろに振り返ってみたけど誰もこの炎に気が付いていない。
鎌に気を集中させ風の流れを徐々に変えていく。普通ならこのまま集めた風を鎌に密集させて飛ばすのだけど
今は炎を吹き飛ばすのが目的だからペンダントの石、風の結晶を利用する。
これはルギアの体内に蓄積されている、いわばルギアの力の源。
この石は強力な風を発生させる物だから今みたいな用途で真価を発揮する。

石から風を呼び出すために鎌から軽めの鎌鼬を当てる。
こうすることで石の内部で起こっている暴風のバランスが乱れて外に漏れだしてくる。
まぁ、この状態で炎に突っ込んだ方が簡単に消せるけどリスクがでかすぎるからやらない。
準備した鎌鼬にこの風を乗せ、融合させてから勢い良く鎌を振り下ろす。

道に敷かれたタイルを剥がし近くに転がってる操り人形を巻き込みながら黒炎にぶつかりそのまま黒炎もろとも近くの建物も無かったことにした。
流石に今の轟音にはみんな気付いたらしく後ろの方で絶句しているような気配が伝わってきた。

「一体何が起きたの!?」
「道を塞いでいる邪魔な物があったんで無かったことにしました」
「え……?」

ディーゼルさんはまさに鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして僕が行く手を阻む物を無かったことにした道を
呆然と眺めていた。

「なかなかやりますね 危うく巻き込まれるところでしたよ」
「!?」

突然後ろから声がして振り返ってみるが誰もいない。
警戒しながら辺りを見渡しているとLkucy★starの上に燕尾服を纏ったサーナイトが立っていた。
手には円形の金属板が鈍く光っている。その板には一羽の烏が拳銃の上にとまっているデザインのエンブレムが付いていた。

「御前ハ何者ダ? 見タトコロれじすたんすノめんばーデハナサソウダガ」
「ええ、私はレジスタンスではありませんよ 名乗るならば……そうですねぇ、第三勢力、とでも言っておきましょうか」

クスクス、とある意味気味の悪い笑い声が耳に届く。
だが、決して不快な気分にはならない。そんな不思議な魅力のある笑い。得体の知れない怖さがあった。

「ふむ、やはり不気味ですか この笑い方は癖なのですよ 直そうにも直せなくて」
「不気味ってこと自覚してるんならいきなり心を読まないで下さい」
「おっと失礼つい、いつもの癖でやってしまいました」

全く持って面倒な相手だ。
他人の心を覗ける力は役に立ちそうだけど使い所によっては面倒なことになる。
嫌われる原因になったり落ち込む原因になったり、便利とはやはり遠そうだ。

「なかなか酷いことをさらりといいますね」
「だから読まないで下さい」
「で、あんたは私達に何の用なの」

ディーゼルさんは不機嫌そうにサーナイトを睨みつける。
多分、Lkucy★starの上に乗られてるのが不愉快なのだろう。舌打ちをしながら降りろとでもいいたそうな感じだ。

「それは……」

そういうと突然Lkucy★starの上から消えた。それとほぼ同時に後ろから何かの気配を感じ取る。
振り返ろうとしたけど振り返られなかった。金縛りでも食らったかのように四肢が動かせなかった。

「貴女の実力が知りたいのですよ」

耳元でそう囁かれ、細くて長い指が頬を這う。
唾を飲み込もうと舌を動かしてみたら口の中がカラカラに乾いているのに気付いた。

『ヴォルフ!』
「ッ?」

存在を忘れかけていたナイトメアが僕の&ruby(ぎめい){名前};を呼ぶ、するとサーナイトが不思議そうに声を上げた。

「ヴォルフ? 何を言っているのですか、彼女の名前は……」
「アリシア・K・ガイトラッシュ、そう……言いたかったんでしょ……?」

正直、この名前を口に出したくはなかった。忘れたい自分の過去をため込んだ名前。そして僕が犯した罪を背負っている名前。
僕が僕であることを証明するためのもの
けど僕は自分が自分であることを偽り僕自身を騙すためにあえて偽名を本当の名の様に扱った。
だけど、忘れられそうだったのに今の一言で思い出してしまった。全てを……

「ありしあ…… 確カ風ノ巫女ダッタカ」
「自らの手で国を滅ぼした災厄の王妃ね、その話なら15のとき新聞で見たわ」
「ホンニンノマエデ ヨクソンナコトイエルナでぃーぜる」

ゑ?、とでも言いそうな顔でこっちを見てくる。
さっきまでの流れで理解してないのはある意味尊敬に価すると思う。
けど、一つ思ったのはあの人バカなんじゃ……

「バカは失礼でしょう ただ、頭が少し弱いだ……」
「黙ってて、踏むよ?」

出来る限り冷ややかな視線を注いでやる。
彼が誰であるかも思い出した、そのまま虫ケラを見るような目で見つめ続けてやると恍惚の表情を浮かべる。

「嗚呼、その蔑むような冷たい視線、私にとっては特上のご褒美ですよ」
「相変わらずの変態だねリム こっちはドン引きだよ」
「嗚呼、言葉責めも健在ですか やはり実力は衰えていないようですね アリシア様!もっと哀れな私を罵ってください!」
「はいはい終了終了 周りの四人が付いてきて無いからお預けね」

素早くアイアンテールで足払いをして目の前にきた頭を踏みつけてやる。
少しだけ口元がニヤけてしまう。やっぱりこういう事をするのは正直にいうと楽しい。
しばらく強めに踏んで遊んでいたが、ナイトメアの控えめな声で周りにいるのを思い出した。

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ドS女王光臨
[[第伍話>災いを伝える者第伍話 鋼鉄の鼓動]]に続かせる

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