[[MMH``F]] 注意! この作品には官能的な内容が含まれます。18歳以下の方はご遠慮ください。 2作品目です。楽しんでいただけたら、と思います。 ---- 「よし、イムルにソーレ。花見に行こう」 「は?」 その決定は唐突だった。 普通にリビングでくつろいでいた僕、ブラッキーのイムルと、ちょうどリビングに入ってきたエーフィのソーレは同時にアホみたいな顔をした。 時は春。 心地良い風が辺りを撫でていく。どことなく甘い香りが漂っていた。 「いやー!やっぱり外はいいな!」 ご主人のメイロウは外に出た途端にそう叫んだ。その両手には沢山の荷物がある。 準備を見る限り、7割は食べ物だ。そんなに食べられないだろうに……。 「でも、ご主人。この近くに花見が出来る場所なんてあったっけ?」 僕が聞くとご主人はフッフッフと笑って答えた。 「この間見つけたんだ。森の中に沢山の花が木に咲いているのをな」 ご主人は思い出すように言う。 「あれは綺麗だったぞ。花びらがひらひら舞って……あたり一面ピンク色でなぁ……」 「……なんか気持ち悪い顔をしているわよ」 「気持ち悪い!?」 ソーレがご主人にさらっと言う。ま、まあ確かにちょっと……だったけど、ストレートすぎる。 「ご、ご主人……大丈夫?」 「こ、心が痛い」 「なんでよ?本当のことを言ったまでじゃない。ね?」 ソーレが僕に向って笑顔で言った。 あの日……僕らが出会い、交わった日から、ソーレはたまにこうやって笑ってくれるようになった。 「あーあ、いいな、イムルは。何があったんだろうな、あの日」 ご主人がひねくれたように言った。 「俺には笑顔を向けてくれないのか?」 「変態なんかに向けられないわ」 この一言でご主人は完璧に黙ってしまった。 「ご、ご主人、元気だしてよ!ほら、ただ第一印象が悪かっただけで」 「そうですよね、イムル君がコードに引っかかったからねー」 「う……」 「イムルに当たらないでくれる?変態さん」 ソーレがご主人をすごい目でにらみつけた。 「す、すいません……」 ご主人は素直に謝った。そうだよね、あんな目で見られたら…… 「さ、花がある方はどっち?」 ソーレがキョロキョロ周りを見た。色々言ってるけど、なんだかんだで楽しみにしているのかもしれない。 「ああ、こっちだ」 ご主人は気を取り直して歩き出した。 「うわぁぁ……」 あたり一面、ピンク色……ご主人が言った言葉は正しかった。 その場所は素晴らしい景色でいっぱいだった。 何故、今までここの存在に気付かなかったのだろう。 森の中の少し開けたスペースの中心に大きくて太い木が一本立っていた。 その木には今、沢山のピンク色の花が咲いていた。それが風に舞い、花びらが落ちていく。 一度見たら、忘れられない風景だった。 「凄い……綺麗……」 ソーレも驚きと感動の声を上げた。 「そうだろう?俺が見つけたんだぜ、俺……」 ソーレと僕はご主人が言い終わる前に花の咲く木に向って走りだした。 ごめん、ご主人。どうしても走りだしたくなっちゃったんだ。 ソーレのほうが早く木の下へと着いた。 その後に僕が息を切らして追いついた。 「わあ……真下だとまた迫力が違うわ……」 「そ、そうだね……ソーレ、君足が速いな……」 僕はもう少し体力をつけたほうがいいのだろうか……? 「ま、まっでくれよ~ふだりとも~!!」 ……まあ、ご主人ほど体力は落ちていないか。ご主人は普段全く運動しないから。 ご主人の仕事はボックス管理人。と言っても代理だけど。 ボックスとは僕たちポケモンたちを預けておく所だ。手持ちの6匹以外のポケモンを捕まえた時とかにポケモンセンターで通信すれば一瞬でこのボックスに送られるという優れものだ。 ご主人は人々が個人的に持っているボックスを管理している。まあ、代理だけど。 管理するって言ってもたいていやることなんてない。 今はボックスを使う人はあまりいない。トレーナーとして旅にでて、ポケモンを集める人自体がここ数年でめっきり減ったからだ。 最近一度壊滅したロケット団が復活したという噂も関連しているかもしれない。 ロケット団は昔ポケモンを悪事に使い、人々のポケモンをさらったりしていたらしい。そのことで沢山の人が自分のパートナーを失ったみたいだった。 しかしそんなロケット団はたった一人のトレーナーによって、壊滅させられたのだった。 そんな経緯により、ロケット団は異常にトレーナーを敵視すると言われたのである。 現にご主人だってボックス管理人(代理)なのにこうして僕らと一緒にいる。ボックスがあまり好きじゃないらしい。 仮にもボックス管理人(代理)なのに…… 「なぁ、イムル。 心なしか俺、今凄くバカにされている気分になったんだが……」 「え!?いやいや、バカになんてしてないよ!?」 「そうかぁ?」 ご主人が疑り深く聞いた。 「も、もちろん。代理だって十分……」 「代理?」 「い、いや、なんでも!」 「私はいつもあんたのことバカにしているわよ?」 「ヒドイ!」 そんな会話をした後、ご主人は木の下にシートを敷いて、お弁当を広げた。 「うわぁ今日は凄い凝ってるね!」 「だろー?」 ご主人が出したお弁当はどれもこれも美味しそうだった。 「やっぱり花見と言ったら食い物だ!弁当だ!だから張り切ったのだ!」 「そういう物なの?」 ソーレは首を傾げた。 そして何故かご主人が自信満々に答えた。 「そりゃもちろん!ソーレは花見に来たことがないのか?」 「え……まあ、初めてかしらね」 ソーレが落ちていく花びらを見ながら言った。 「でも……いいわね、花見」 「そうだよね。凄く、綺麗だし」 「私、イムルと出会わなければ、花見なんて言葉知らないままだったのかもね」 ソーレが微笑みながら言った。 その横顔はなんだか少し寂しそうにも思えた。 だから、だろうか。 僕はソーレの手を握ってしまったのだった。 「!イ、イムっ」 ソーレが一気に顔を赤くする。 「ソーレ、僕はソーレに出会えて幸せだよ……」 「い、いきなり何?」 「でも……ソーレは幸せじゃないの……?」 僕の言葉にソーレは小さく答える。 「そんな訳……ないじゃん……」 そう言ってソーレは僕の手を強く握り返した。 「幸せすぎて、私……」 ソーレと僕の目が合う。 そして…… 「ひゅう、お二人さん、お熱いねえ。……でも俺のこと忘れないで」 ご主人が僕とソーレの間に涙目で割って入ってきた。 「俺の目の前でイチャイチャしないで……泣けてくるから」 「ご、ごめん……ご主人……」 僕らは慌てて手を離した。 なんだか気まずい。 するとご主人は少し考えてから大きな声で言った。 「よし、お前らー!ちょっときのみ取ってこーい!」 「はっ?何でいきなり!?」 ソーレがご主人に講義した。だけどご主人はそのまま続けた。 「いいから取ってこい!この先に良いきのみが生ってるを見た……気がするんだ!」 「気がする?そんな理由だけで……」 「行ってくれよぉ!」 何時に無くご主人が必死に頼む。 「い、行ってあげようか……ね、ソーレ?」 見ていられなくなって僕が言った。 「まあ……イムルがそこまで言うなら……」 ソーレは嫌そうだったが、僕と2人でご主人が見たというきのみの生る場所へ向った。 「この森……本当に広いのね。私あの時何時間も森の中を走り続けた気がしたもの」 「そうだね……だいぶ広いよ。街まで2時間くらいかかるもん」 僕がそう言うとソーレが呆れたように言った。 「ふぅん、でも何でこんな森の奥に住んでる訳?不便で仕方がないでしょう?」 まあ、もっともなんだけど…… 「いや、何かご主人、人が沢山いる所って苦手らしくてさ……ポケモン達とふれあえる森の中に住みたいって昔から思ってたんだって。それで、ここに住むことにしたって前に言ってたよ」 「へえ……そうなの」 ソーレはそれからこの話題に興味をなくしたようにすたすたと歩いていってしまった。 僕もそれについていく。 『……い……ら……』 「……?」 ふと、何か聞こえたような気がした。 『わた……ど……よ……』 あまりよく聞こえないが、なんだか歌を歌っているようだった。 「?どうしたの?」 ソーレが立ち止まった僕を不思議そうに見ている。 「歌が……聞こえる?」 「歌?」 本当に微かな声だったが、とても綺麗な歌声だということは分かった。 「こっちから……聞こえる」 僕は歌の聞こえる方へと走りだした。 「あ、待って……」 ソーレも慌てて後について来た。 歌が聞こえる方向に近づくにつれ、声がはっきりと聞こえてくる。 その声はまるで天使のような歌声だった。 『私は今、何処にいるの?迷い込み1人寂しくいるだけ……』 しかし、歌っている歌詞はどことなく悲しい響きだった。 『村を追われていつまでも……』 『走り続けたいつまでも……』 広い草原に出て、僕らはやっとこの歌を歌っている人を見つけた。 そこにいたのは……1匹のリーフィアだった。 体には小さな傷がいくつもあり、なんだか薄汚れていた。 しかし、その横顔は幼さが残っている、かわいい顔だった。 「え……リーフィア……?」 隣のソーレが驚いたように言った。そして少し考えた後首を振った。 「まさか……ね」 僕は不思議に思ったがすぐに興味がリーフィアの歌う歌へと移ってしまった。 『きっと……迎えにくるよ……それまで信じて』 こんな綺麗な歌声にも関わらず、僕たち以外この歌を聞いているポケモンは居なかった。 もう少し近寄って聞こうと思い歩きだした時、足元に落ちていた細い木の枝を踏んでしまった。 ぱきっ あまり気にするような音ではなかった。 しかし、リーフィアは歌うのをやめてこちらを向いた。 そしてリーフィアは目を見開いた。 「あ……えっと……どうも」 「聞いてたの!?」 リーフィアは僕の間抜けた挨拶を無視して凄い勢いで聞いてきた。 「え、ま、まあ……いけなかったかな……?」 「聞いちゃったんだ……私の歌を……」 リーフィアが肩を落として言った。 「そ、そんなに落ち込まなくても……?凄く綺麗な声だったし……」 僕がそう言うとリーフィアは一瞬顔を赤くしたがすぐに困った顔をした。 「そういうね、問題じゃないんだよ……」 リーフィアが小さく言った。 そして勢い良く頭を下げた。 「まず謝っておくね!ごめんなさい!」 「は?」 謝られても何がなんだかさっぱりだった。 「な、何でいきなり!?君は何も……」 僕が言うのをリーフィアは前足を突き出して止めた。 「違うんだ……そうじゃなくて……」 リーフィアは一度言葉を切ってから、言った。 「もし……これから不幸なことがあっても……全部、全部私のせいだから……!」 これこそ、訳の分からない言葉だった。 「えっと……それで、何だっけ?」 「あ、私の名前はグリアです!」 グリアと名のるかわいらしいリーフィアは元気良く言った。 「いやね、そうじゃなくて……名前はさっき聞いたよ」 「そうだったっけ?じゃあ何を?」 グリアはきょとんとして僕を見つめた。 「だ、だから……」 「さっきの言葉の意味が知りたいの」 「そうそう」 おろおろしている僕を見かねてか、ソーレがグリアに向っていった。 「あ……」 グリアはちょっと考えてから思い切ったように言った。 「これから言うこと……信じて。私、普通の村に住んでいたの。あ、ポケモンだけの村ね。その中で私は本当に普通のリーフィアだった。沢山の自然に囲まれて、村の仲間たちは優しいし、食べ物も美味しかった。でもそんな平和な村に……人間たちが入ってきて……攻撃してきたの」 グリアは嫌な事を思い出したように顔をしかめた。 「人間たちは皆同じ黒い服を着ていた。私たちは訳も分からず逃げ回った。でも人間たちの連れていたポケモンが強くて、私は攻撃を受けて気絶したの。……目が覚めたとき、目の前にあったのが黒い服を着た人間の顔。しかもいっぱい……人間は私に歌えって言ったの。私、怖くって訳も分からず歌ったの……そしたら」 グリアの目にはもう溢れてしまうくらいに涙が溜まっていた。 「そしたら、私の目の前にいた一人の男が……いきなり倒れたの……そしてその男は笑いながら……『実験は……成功だ!』って叫んで、そのまま……死んでしまったの」 そう言ってグリアの目から涙がぽろぽろ溢れた。 「そんな……?でも、グリアが歌ったからその人が死んだって言い切れないんじゃ……」 僕が言うとグリアは首を振った。 「ううん……その後、私は沢山の人の前で歌わされた。時にはポケモンの時もあった。その皆が……死んだ」 「……」 「私の歌を聞いた人たちは皆持病を持ってたの。心臓病、肺、頭……いろいろ。それが私の歌を聞いて突然進行して、死んでしまう……」 「じ、じゃあ持病を持っていなければ関係ないんじゃ……」 「もし、持病を持っていなかったら……その人は、不幸に、なるの……」 グリアは涙を溢しながら途切れ途切れに言った。 「だ、だから……不幸に、ひっくっなったら……私の……せい……だからぁ……」 「グリア」 グリアが言葉が出ないくらい泣いてる時に、今まで全くしゃっべていなかったソーレが短く言った。 「……ひっぐ……?」 グリアが泣きながらも顔を上げてソーレを見た。 「グリア、あなたのせいじゃないわ……大丈夫、違うから……」 ソーレが……それは優しく、グリアに言った。 「う……わあぁぁぁぁぁん!」 グリアが我慢できなくなったようにソーレに抱きついた。 「う、うっ……ううっ」 「……」 ソーレはグリアを受け止めて黙って抱きしめていた。 「私の……せいだよ」 「……?」 誰かが、そう言った。とても小さい声で。 僕にはそれをどちらが言ったのかは分からなかった。 グリアも落ち着いてきた頃、僕は思い切って聞いてみた。 「ねえ……?グリアはどうしてここにいるの……?その黒い服の人たちに捕まっていたんじゃ……」 さすがにちょっとだめだったかなと言ったことに後悔したがグリアは答えてくれた。 「分からない……分からないの。ある日、目覚めたら外だった。私はそこから逃げた。これで自由だって喜んだよ。もう歌わないって思った。でもね……何故か私……3日以上歌を歌わないと……無性に歌いたくなってしまう……何でだか分からないけど。だから私は誰もいなそうな森の中や洞窟の中で歌うことにした。……今日もそうだったんだけど……ごめんなさい」 「いや、謝らないでよ。ね?」 「そうよ。謝る必要は無い。逆にイムルに謝ってほしいくらいね」 ソーレがさらりと言った。 「ええ!?僕が、何で!?」 「いいじゃない、なんとなくよ」 「なんとなく!?」 「ええ。悪い?」 当然のように言った。当然のように……。 「ひ、ひどいよっ……」 「あははっ……」 すると何故かグリアが笑った。 「可笑しいなぁ、2人は仲がいいんだね」 「え……いやぁ」 「大丈夫よ。そんなに仲良くないわ」 「えええっ!?」 「あははっ」 グリアはとても元気良く笑った。絶対に笑ったほうがかわいい。 「じゃあさ、もしかしてこれから行くところ無い?」 僕がグリアに言った。 「う、うん……」 グリアが下を向いて言った。 「それなら、僕の、ご主人の家にいたらどう?」 「ええ!?そんなことできないよっだって私は……」 グリアは勢い良く首を振った。 「そんなの関係無いよ。ご主人だってそう言ってくれるから、ほら!」 「え、ちょっ……」 僕はグリアの前足を引っ張ってご主人が待っているピンク色の花が咲く木へと向った。 「あ、まあいいんじゃね?」 それがご主人の答えだった。 「え?い、いいんじゃねって……私のせいで、死っ……」 「んなの信じねぇ。大丈夫じゃん?」 「はあ?だからっ!」 グリアが少しキレそうになった時、ご主人が人差し指を立てた手を前に出して言った。いや?命令した? 「ノンノンノーン!あなたに拒否権はナッシーング。俺の家で住め。そして俺と寝ろ!」 「何でよっこの変態!言っていい事と悪いことがあるでしょう!この変態!」 「ソーレさん、変態って2回言いましたよ!?ひどくないっすか?ね、イムル!」 ご主人が何故か僕に振ってきた。 「いや……今のは……ご主人がへん……ごほごほっ」 「イムルまでっ!いいじゃん!リーフィア好みなんだよ!」 そう叫ぶご主人に、完全に引いてるからね、グリア。 「まあ、部屋は別にするとして……歓迎するよ、グリア。僕らの家に」 「いいの……?本当に?」 「もちろんだよ!ご主人はあんなんだけど……いい人だから。気にしないよ」 僕が言うとグリアは泣き出しそうな顔で言った。 「あ、あ、ありがとう……」 「ここが、俺達の家だ。結構でかいだろ?」 「うわぁ、すごい!」 グリアは家を見て目を見開いて驚いていた。 「部屋は沢山あるから。後でグリアの部屋もあげるさ」 ご主人がグリアに言った。 ご主人はさっきソーレに散々ひどいことを言われて、グリアをご主人の部屋にいさせることをあきらめたみたいだ。 「じゃあ、中に入ろう。僕がいろいろ案内するよ」 僕が言うとグリアは笑顔になった。 「うん、ありがとう!」 僕はそれを見て笑顔を返した。 「ぐふっ!?」 その後何故かソーレの長い尻尾で顔を叩かれたけど。 「……で、ここがリビング。これで1階は大体案内できたかな?2階は僕らの部屋があるだけだし」 「本当に広いね、この家。覚えるの大変そう」 「いや、でも使っている部屋は少ないからね……だって住んでるの3人だけだから」 「そっか……。あ、ねえ?私の部屋ってどこになるのかな……?」 グリアがきょろきょろしながら言った。 「え?うーん、きっとどこでもいいと思うよ?」 僕がそう言うとグリアが少し恥ずかしそうに言った。 「じゃ、じゃあ、私選んでもいい?」 「うん、いいよ。何か気に入った場所でもあった?」 「う、うん……その、私、イムルのと……」 「そこは私の部屋よ」 ソーレがいきなりグリアの後ろから現れた。 「ふえ!?ソ、ソーレ!?びっくりした……」 「ソーレ?どうしたの、いきなり!僕もびっくりしたよ」 そういうとソーレは頬を膨らませて言った。 「いいじゃない。ちょっと……ひ、暇になったのよ。決して寂しくなったんじゃ……」 ソーレが言うと、グリアが心配そうにソーレに聞いた。 「ソーレの部屋って……イムルの……隣?」 「そうよ」 グリアは少し落ち込んだ顔になったが、すぐ立ち直った。 「じゃあ、その隣で!ソーレの部屋の隣!」 グリアが凄い勢いで言ったので、僕は驚きつつ言った。 「う、うん。分かった。ご主人にそう伝えておくよ。その、部屋には本当、何も無いから……見てきなよ一応」 「分かった。どこ?」 「2階の右側の……奥から3番目かな?」 「うん、じゃあ見てくる!」 グリアは元気よく言って、走って階段の方に消えていった。 「グリア、元気になってよかった」 僕が微笑みながら言うと、ソーレが僕の顔をじっと見た。 「な、何……?」 「…………バカ」 「はぁっ!?」 「バカ、イムルのバカ。ほんっとうにバカ」 何故かソーレが僕に向かってバカを連呼する。 「え?え?何?僕ってバカ?」 「そうよ!バカ、何で分からないの?」 「わ、分かるって何を?」 「分からないからバカなの。もういい」 ソーレはそう言ってリビングを出ていってしまった。 「んんー?どうした?今何か、ソーレが……?」 そう言いながら、ご主人が入れ替わりで入ってきた。 「ああ、なるほどねぇ……」 僕がご主人に事情を話すとにやにやしながら言った。 「僕、何か悪いことしたかな……?」 「うーん、なんていうかな……俺はイムルが羨ましいな」 「何言ってんの、ご主人。全然よくないって。もっときちんと考えて……」 僕が困りながら言うとご主人が僕の肩を掴んで言った。 「一言で言うなら“女心は難しい”だ、イムル」 「はあ……?」 「じゃ、俺はこれで」 ご主人はそう言った後、自分の部屋に戻ろうとしてしまう。 「ま、待ってよご主人!それじゃ答えになってないって」 「自分で考えな。どうすればソーレが喜ぶかね」 そう言って、ご主人はリビングを出て行ってしまった。 「ソーレが喜ぶこと……?」 僕はあれからずっとこのことを考えていた。 「うーん、うーん……というより……どうしてソーレが怒ってるか、わからないんだよね……」 僕はため息をつきながら言った。 何でこんなことになったのか…… 何か悪いことをしただろうか? 何か変なことを言っただろうか? 考えてもなかなか答えを見出せなかった。 「……外で考えたほうがいいかも……」 そう思い、僕は外に出てぶらぶらすることにした。 「はぁ……」 散歩に出かけて約1時間。 もうアイディアは出尽くしていた。 「一緒に食事?いや、いつもしてるじゃん……話をするとか?……何話せばいいの?」 ソーレと一緒に住むことになってから、こんなふうに怒って話さなくなることなんて無かった。 だからこそ僕はこんなに動揺してるのかもしれない。 これから、ソーレと一生話せなかったら……そんな、悪い方へばかり考えてしまう。 「本当に……ダメだよなぁ、僕」 そんなふうに、考えながら歩いていたからかもしれない。 いつもなら行かない方へ行っていたからかもしれない。 僕は…… 「うわあ!?」 足元にあった大きな穴の淵のところで足を滑らせてしまった。 「う、うう……?」 足を滑らせた僕は、穴に落ちてはいなかった。 誰かに、前足を……? 「!グリア!?どうしてここに……」 「んっあまり動かないで……今引き上げ……」 グリアがそういった直後、グリアがいた穴の淵の所が、崩れた。 「きゃあ!?」 「わっ」 そのまま2人は落ちていってしまった。 真っ暗の中、上には上がってきた月が見える。 ああ、今日は半月だ。 とても綺麗に輝いて僕らを照らしている。 「いたた……」 僕はむくりと起き上がった。 背中のほうが痛い。背中から落ちたね、これは…… ふと気づくと、僕の腹の上あたりに気絶しているグリアの姿があった。 そういば落ちるときに咄嗟に庇ったっけ…… 「う、ううん……?」 そう思い出していたとき、僕の腹の上のグリアが起きた。 「あれ、私……」 グレアは思い出しているのか少し停止していたが、しばらくして泣きだした。 「え、あ、何で泣くの!?」 「ひっく、ごめんなさい……私……また……」 また……迷惑をかけてしまった、なんて考えてるのだろうか。 「そんな、今のは君が悪いわけじゃなくて、むしろ足を滑らせた僕の責任でしょ?」 「違うよ……だって、足を滑らせたのは、私の歌を聞いたせいで……」 それこそ、違うと思うんだ。 僕はもともとおっちょこちょいだし、足を滑らせるなんてこと、いつも…… 「あ、だから……その、違うって……」 そう思ってるってこと言いたいのに、うまく言葉にならない。 それに、穴は思っていたより狭くて、グリアの顔はすぐそこにあった。 こんなときなのに、顔が赤くなってしまう。 「グ、グリアは何でここにいるの?たしか部屋を見ていたんじゃ……?」 話題をずらしてしまった。こんなこと、あとでも聞けるのに…… 「窓から、イムルが出て行くのが見えたから。危ないことにならないかなって……」 グリアは悲しそうな顔を一瞬して言った。 「私の、歌のせいで……」 ああ、この言葉、グリアと出会って何度聞いただろう。 僕は短く息を吸ってから、グリアをまっすぐ見て、言った。 「グリア」 「ん……?」 グリアも目にたくさんの涙を溢れさせながらこちらを向いた。 「グリア、僕と、1つだけ約束してくれないか?」 「約、束?」 「うん。もう、自分のせいだとか、歌ったせいだとか、言わないこと」 「え……」 グリアは赤くなった目を見開いて言った。 「グリアの歌はさ、凄く、凄くきれいなんだよ……?どうしてそんな歌のせいで不幸になるの?」 「で、でもっ……」 「今まで、グリアの歌を聞いたから死んだなんていうの、僕は信じないから。不幸になるなんていうのも」 グリアはあっけにとられていた。 口を開けたまま止まっていた。 「だからさ、これからも歌って?そのせいで……なんて思わないで」 「イ、イム、ル……私……私……」 グリアの止まっていた涙がまた溢れ出した。 「歌って……いいの?」 僕はグリアに笑顔を向けながら言った。 「もちろんだよ!」 その後、グリアはたくさん泣いた。 大粒の涙をたくさん流して…… 「ねえ、イムル……私も、ひとつだけ……お願いなんだけど……いい?」 グリアがようやく落ち着いてきたころに小さく言った。 「え?何?僕ができることなら」 「あ、あのね……こ、こんなこと言っていいのかな……」 グリア躊躇していたが、意を決したように言った。 「私と、エッチ、してくれる?」 「は……?えっと……は?」 僕は今、自分でも分かる位に動揺している。 この子は今何と言ったか。 たしか……? いや、まさか……? 「だ、だから……私と、エッチして……くれる?」 言っている本人も恥ずかしいのか顔を赤らめ、ちょっと斜め下あたりを見ている。 「いや、僕は……と、というよりも何で……僕なんかと……」 「私……イムルのこと、好きだから」 僕のことが好きだって? いやいや、だって僕何もしてないし。 「私のこと、きらい……?」 グリアが上目遣いで聞いてきた。 それを見てドキッとしてしまう自分がいる。 「そそ、そんなことは、な、ないけど……それと、これとは……ねえ……?」 「イムルには他に好きな人、いるの……」 「それは……」 どうして僕、ソーレだ、って一気に言わないんだよ。 別に疚しくなんてないじゃないか。 僕は本当にソーレが好きなはずなのに。 「……居ないなら……私と……」 「い、いや!ちょっと待って!」 僕はグリアの言葉を遮って言った。 「あ、あの、僕、グリアのこと好きだけど……あの、なんていうのかな。その……普通に、友達としての……」 僕がそこまで言った時、瞬間的に両肩を掴まれそのまま後ろへと押し倒された。 「わっ!?」 僕は仰向けの状態で押し倒した相手を見た。 「ど、どうしたの……グリア、いきなり……」 「イムルが、友達って言うなら……私、今から、イムルに好きになってもらえるように、頑張る」 「え……あ、うん……?」 僕はなんとも間抜けな返事をしてしまった。 言ってから、恥ずかしくなる。 でも、好きになってもらうとか、どうやるんだろう……? そんなことを考えていると、突然、下半身からの変な感覚に襲われた。 「ひゃう!?」 視線をずらしてみるとなんとグリアが僕の下半身を探っていた。 「グ、グリア!?そんな、とこ……ひゃっ!?」 グリアは僕の言葉など聞かず、黙々と探って……ついに僕のモノを見つけた。 「グリア……っ」 「イムルの、少し大きくなってるね。……感じてくれた?」 「……!や、あの……」 僕は恥ずかしくて目を逸らす。 「じゃあ……もっと気持ちよくしてあげる……」 グリアがそう言うと僕のモノのところへ移動した。 「グリアっだ、から……うあっ」 僕は反論しようと思ったが、うまく力が入らなかった。 「んっ、ん……」 グリアが僕のモノの先端部分を綺麗な舌で舐める。 凄く気持ちよくて、なんだか自分が分からなくなる。 グリアは先端から側面に沿って舌を這わせた。 「ひゃああぁぁ!」 僕は今までに感じたことのない快感に思わず体を反らせてしまった。 グリアは僕の反応を見た後、両前足を使って僕のモノを扱き始めた。 それと同時にグリアは口にモノを咥えて上下に動かした。 「う……くっ」 グリアが上下に動くたび、僕に快感が押し寄せる。 「グ、グリア……僕、もう駄目だ……から……」 離れて、と言おうとしたが間に合わなかった。 「う、ああぁぁぁ!」 僕はグリアの口に向けて射精してしまった。 「ん……ぐっ」 グリアは僕の精液を一生懸命飲もうとしていたが、幾らかは追いつかずに下の地面に零れ落ちていた。 「はっ、はっ……イムル……気持ちよかった……?」 「え……あ、うん……」 ここで嘘を言ってもどうしようもない。……体は正直だから。 「……イムル」 グリアが小さな声で僕を呼んだ。 「え?な、何?」 「あの、さ……ごめんなさい。私……イムルのことが好きで……好きになって欲しくて……いきなりこんなことして。……私のこと嫌いになったよね……?」 グリアの声は今にも消えそうなくらい小さかった。 「な、嫌いになるはずないじゃないか!」 実際、気持ちよかった訳だし……グリアにあんなことされて、彼女を嫌いになる男なんているだろうか。 「本当?」 「もちろんだよ。嫌いになったりしない」 グリアは少し考えて遠慮がちに言った。 「な、なら……私とひとつになってくれないかな……?」 「え?あ、えっと……」 僕はさっきも言われたばかりなのにやっぱりおろおろしてしまう。 僕が戸惑っていると、グリアはぽつぽつと話し始めた。 「私さ……誰かを好きになるだなんて暇はなかった。私、ずっと1人でいろんな事から逃げていたんだけど……そんな私を、イムルは笑顔で迎え入れてくれた。私に歌っていいって言ってくれた……私そう言われた時、すっごく嬉しかったんだ。同時に、イムルのこと、大好きになった」 グリアはそう言った後僕をまっすぐ見た。 「私、イムルのこと、大好き。出会ってほんの少ししか経ってないのにね、大好きなの。……私は強情なのかもしれない。考え方も独りよがりかもしれない。……こんな私でもずっと一緒にいてくれる……?」 僕はグリアの真剣な目を見た。 そんな目をされたら断れないよ……。 「う、うん……」 僕がそう答えると、グリアは驚きとうれしさが入り混じった顔をした。 ……僕は結構浮気者なのかもしれないな。 「これでいい……?」 そう尋ねるグリアは今、僕の目の前で仰向けになっている。 「たぶん……」 僕は自信無く答えた。 なんせ、僕はこのような行為をするのは人生でたったの2回目なんだから。 「じゃあ……いくよ?」 「うん……」 僕はグリアの答えを聞いた後、グリアの秘部に顔を近づけた。 そのピンク色の割れ目はもう既に少し濡れていたからか、ほんのりと甘い香りがした。 そんな割れ目を舌で一筋舐めた。 「ひゃっ……」 グリアが小さく声をあげたが、僕はそれを気にせずに舐め続けた。 「んっああ……」 しばらく舐めていると、僕の唾液とグリアの愛液が混ざり合い、ぴちゃぴちゃと音を立てた。 「っ―――あぁ」 僕は続いてグリアの陰核を攻めたてた。 グリアはそれに反応して少しだけ体を振るわせた。 「イムル……いいよぉ……」 そしてそのまま舐め続けていると、グリアが大きく仰け反った。 「んんんああああぁぁ!!」 どうやらグリアもイったようだった。 「はぁ、はぁ……イムル、お願い……」 「う、ん……」 僕はイムルの上に覆いかぶさるような体勢になった。 僕のモノは先ほどのグリアの秘部から香る匂いを嗅いだからか、また大きくなっていた。 「じゃあ……いくよ?」 「うん」 僕は狭いこの空間でごそごそと動いた。 グリアの秘部の穴であるだろう場所を何とか見つけてゆっくりと――――入れた。 「ああ……」 「う、あ……」 二人がほぼ同時に声を上げる。 ついに、ソーレ以外の女の子とやってしまった。 少しだけ後悔の念が押し寄せる。 しかし今はこの快楽の溺れていくしかなかった。 そのまま入れていくと僕のモノの先端がグリアの一番奥に着いた。 「っ……じゃあ、動くよ?」 「いいよ……」 僕はグリアの返事を聞いてから動かし始めた。 「ふぁああ」 グリアは奥を突かれる度に声を上げた。 それと同時に繋がった部分からは水音が響いた。 「グリア……」 「イムル、私……」 そう言ったグリアの目には涙が溜まっていた。 「どうしたの?」 僕は一旦動きを止めてグリアに尋ねた。 どこか痛かっただろうか。 「わ、たし……うれしくて……イムルと、一緒になれて……」 そう言いつつグリアは溜まった涙を拭った。 「ごめんね……もう平気」 グリアは僕に向けて笑ってくれた。 僕は複雑な気持ちでグリアへと笑い返した。 そして二人で頷き合った後、再び動き始めた。 「あ、んん……イムル、私……もう……!」 「僕も……だよぉ!」 僕は快楽に任せてどんどん動きを早めていった。 そして―――― 「ああああぁぁぁ!」 「う、ぐぅ……ああぁあ!」 ――――僕らはほぼ同時にイった。 「イムル……本当に……大好きだよ……」 グリアの声が穴の中に反響した。 To be continued ---- 更新しました。 本当に遅くなってしまい、申し訳ないです。 少しスランプに陥った、といいますか……ごめんなさい、言い訳ですね。 これからも頑張って続きを書いていきたいです。 そしてグリアの強引さが怖いです……(自分で言うな) まだまだ途中。頑張って書きます。 あとがき やっと書き終わりました! いやあ、ここまで長くなるとは予想していませんでした(・・;) もう少し短い予定だったのですが… それに、執筆時間も掛かってしまって…待っていてくれた皆様、本当に感謝する限りです! このお礼はやっぱりもっと早く執筆できるようになることでしょうかね。 グリア編も終わりましたので、次へと向かいましょう。 ありがとうございました! ---- 何かあれば、どうぞ。 #pcomment IP:222.159.163.249 TIME:"2011-11-02 (水) 02:27:27" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?guid=ON" USER_AGENT:"Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; YTB730; GTB7.1; .NET CLR 1.1.4322; AskTbIMB/5.12.2.16749)"