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月下翡翠第5話 の変更点


作者:[[28×1]]

月下翡翠 第五話
第五話 4日目

ムックルたちのけたたましい鳴き声で、ようやくリーフィアはうっすらと目を開けた。 
どうやら疲れて、川から出たあと濡れたまま寝てしまったらしい。シーツにはくるまっているが、やたら寒い。 
リーフィアはその寒さをどうにかしようとシーツを手繰り寄せるが、なにせ薄いシーツのことである、若干暖かくなる程度だ。 
この西向きの部屋は太陽が当たらず、夜はだいぶ冷えるということを改めてリーフィアは思い知った。 
が、草タイプということも含めて、この部屋では寒くてたまらない。陽光が入ってこないため、温まらないことも要因だ。 
「・・・寒い」 
リーフィアは口に出してみるが、より一層寒さが身にしみるだけだ。 
と、ふと隣の部屋――マグマラシの部屋へのドアをみつめる。ほんの少し開いたドアからは、すこしだけ陽光が差し込んでいる。 
――あちらは、東側。 
外で風に当たるよりは、隣の部屋のほうがいい気がする。暖かい陽光のもとにいれば、温まるかもしれない。この冷えた体も――。 
そう思った彼女は、疲れがたまっていて、しかも凍えた体を引き摺って、隣の部屋へのドアへと向かう。 
「失礼します・・・」 
冷えた口から出た声は震えていたが、それでもマグマラシに聞こえないことはなかったようだった。 
そのままドアを開けると、さっと暖気が彼女をつつむ。冷えた体にその空気はひどく暖かい。 
マグマラシはその暖かい部屋の中で、陽光を浴びてまぶしそうに目を細めながら、ベッドの上に横たわっている。 
「どうした?」 
リーフィアは冷えた体いっぱいに陽光を浴びながら、なお震える声で答えた。 
「濡れたまま寝てしまって・・・凍えてしまったのでこちらですごさせていただいていいですか・・・?」 
彼はその返答で、改めてリーフィアの体をじっくりとみつめた。 
開かれて輝いた瞳は疲れそのものをあらわしていて、体は震えて、唇には血の気が少ない。 
彼女をあちらの、西側の部屋においておくのは殺生というものだろう。とすると、ここで休ませるのが本道だ。 
が、彼は少しばかり悩んだ。 
彼女をここに置けば、彼は我欲に身を任せて彼女を押し倒してしまうかもしれない。そのまま犯してしまうとも知れない。 
そうしたら、この凍えて疲れた身の彼女は逃れることができず、彼女の心を傷つけてしまう。 
―ーでも。彼女をここで見捨てれば、それこそ彼女はどうなるか分からない。 
ここに置いておくしかない。自分を、性欲を押さえつけてでも。 
「ああ・・・うん、いいよ」 
「ありがとうございます」 
凍えた声だけれども、お礼を言った彼女の顔には満面の笑みが浮かんでいた。 
その可愛らしさに反応してマグマラシの体がドクン、と高鳴ったが、自我を保とうとして彼は目を強くつぶる。 
彼女は陽光がよく当たる窓辺までやってくると、そのままそこに横になった。 
と、やはり疲れているのか、彼女はそのまま静かな寝息を立てながら眠りについた。 



そんな彼女の寝顔をじっと見て、彼は深い眠りについているかどうか、すこし揺り動かしてみる。 
彼女は起きもせずに、ただ少し唸っただけでまだ眠っている。毎日行為を続けているために、ちょっとやそっとでは起きない。 
と、彼はシーツをのける。昨日と同じくまた夢精していたが、今日ばかりは彼のモノは勃起していなかった。 
彼は一度ベッドから降りると、リーフィアを起こさないように静かに抱き上げてベッドの上に寝かせる。 
その隣に座ると、寝返りを打って自分のほうを向いたリーフィアの寝顔をみつめた。 
閉じた瞼の奥に隠れた綺麗な茶色の瞳を想って、彼女の頬に静かにキスをする。 
さすがに昼から行為に至るわけには行かなかったが、彼はゆっくりと、起こさないよう彼女の後ろ足を開かせた。 
蜜の出ていない、普段の彼女の性器があらわになる。 
桃色をしたそれは、複雑だけれどもまだ汚されていないがゆえに彼女らしい清らかさがあった。 
彼はそれをずっと見た瞬間に犯したくなる衝動に駆られたが、歯を食いしばってそれを抑える。 
と、彼は股間に熱い感覚を覚えた。 
自分のモノを見ると、もうすでにそれは太く長くなって亀頭が見えていた。 
彼は自分のモノを握り、扱き始めた。 
シュッシュッシュッシュ・・・ 
「あ・・・ぅあっ・・・ん・・・が・・・」 
隣にいるリーフィアの寝顔、そしてアソコを見ながら扱いていくうちに、彼のモノは透明な液体を吐き出し始めた。 
けれどもなお彼は、取り付かれたかのように扱きあげ続ける。 
シコシコシコシコ・・・ 
「んぁ・・・あ・・・ぐ・・・あ・・・」 
切れ切れに浮かぶ言葉は、まるで彼のモノを抑制するかのように出る。 
硬くなり、膨らんで血管が浮き出すほどになった彼のモノは、すでに出る直前の痙攣が始まっている。 
と、彼は隣に寝ているリーフィアを見て我に返った。 
このまま射精してしまえば、必ずリーフィアにかかってしまう。 
彼は自分のモノの根元をつかんだ。そしてそのまま強く握る。 
精虫の勢いは治まったが、いまだに彼のモノはビクンビクンと振動するが如く脈打っている。 
それも治まったところで、彼は新しいシーツを引っ張り出して、隣で静かに寝ているリーフィアにかけてやった。 
そしてそのまま彼女の優しい寝顔にキスをする。と、ぴくん、と動いて彼は動揺したが、寝返りをうっただけだった。 
「・・・リーフィア、寝顔も可愛いな」 
寝返りを打った彼女の顔を見つめてそう呟いたあと、彼はベッドから立ち上がってドアのほうに向かう。 
しまっていたドアのドアノブをつかんで引きながら、マグマラシは振り返ってリーフィアに向かって言った。 
「出かけてくるよ。そのまま・・・おやすみ」 
ドアの閉まる音がして、部屋は鳥たちの声で満たされた。 



彼女はマグマラシが出かけたことを確かめると、耳をぴくっ、と動かして寝返りを打った。 
そのまま茶色の濡れた瞳を開いて、しまったドアを見つめた。 
すると勢いをつけて起き上がって、彼女は頬に前足を触れる。温まった彼女の体は、頬に触れてももう冷たくない。 



その頬には、マグマラシが与えた優しいキスのぬくもりが残っていた。
思えば彼女はマグマラシと何度唇を重ねただろう。そのたびに別の感情を抱いていた気がする。 
一番最初にキスをしたのは初日のことだった。ファーストキスをマグマラシに捧げたときには、悔しさが混じっていた。 
でも、二回目・・・昨日の晩のときは、甘いような、不思議な味がして。 
三回目は自分から彼の唇を奪った。舌を絡ませたいやらしいディープキスは、彼女が求めていたものそのものだった。 
そして、今のキス・・・唇ではないけれど、確かに感じたマグマラシの温もり。 
そのマグマラシの温もりには、彼女への優しさが混じっている。 
「でも――」 
毎度毎度思う。彼女にこれほど優しくしてくれるのは、ただ好意だけなのか。 
ただひとえに「優しさ」というにはなにか足りない、違う感情がその中に含まれている気がする。 
一番最初に体を預けたときよりも、今のときのほうが、――何か、愛しげな。 
彼の目つきも、前はただ「性の捌け口」としかいえなかったが、今は本当に、身を委ねていると思ってしまう。 
彼の目は――そう、恋人に行為をするような、そんな目をしている。意地悪なときは、なにか悪戯をしたような目を――。 
と、彼女はくすっと笑った。 
「私もきっとマグマラシさんと同じだわ――」 
前は自分の住処を焼かれた、壊された「仇」で、憎んでもいた。 
前はいやいや身を捧げていて、心から「やめて」と思っていた。自分の性器をいじらないでほしい、と。 
でも。 
今はまったく違う。 
昨日も思ったように、今はマグマラシに淫らにしてもらいたいと思っている。 
乱れさせてもらいたいと思っていて、今は自分が「性の捌け口」としてマグマラシと夜を過ごしている気がするのだ。 
それは「互いが性行為を求めている」状態になっているとしか言いようがない。 
そこはもはやマグマラシと同じ―― 
と、ここまで考えたところで彼女は耳をぴくん、と揺らした。 
昨日、テイルと約束したことを忘れていた。 
「明日も畑、果樹園の仕事を手伝う」という約束を果たさなければいけない。 
となると、出かけなければ―― 
彼女はベッドから起き上がって、マグマラシがかけてくれたシーツを丁寧にたたむ。 
そしてベッドから降りて、マグマラシが出て行ったのと同じドアの前へ向かった。 
そのドアを開けると、そのままふりかえる。 
「出かけてきますね、マグマラシさん」 
そういうと彼女は踵を返して、ドアの向こうに姿を消した。 



外に出たマグマラシは、思い切り背伸びをした。腕を伸ばして、足を伸ばして。 
そんな暢気なことをしているかと思うと、その炎の色をした目を尖らせて、体に炎を上がらせた。 
「ふ~、家の中にいると炎をつける機会もないな・・・。リーフィアもいるし」 
そう呟いて、マグマラシは家の隣にある林に向かった。 
林とはいっても、広さは結構ある。森というにはすこし物足りないために林といっているだけだ。 
そしてそのまま林の中を走って突っ切る。 
途中に茂みに突き当たったりはするが、それでも気にせずにマグマラシは走った。 
そうして走った先で、彼はいきなり足を止めた。というより、それ以上走ることはできない。 
彼の足元には崖があり、その先、彼の目の前には、見慣れた街が広がっていた。都市といっていいほど、規模の大きな街が。 
マグマラシはじっとその様子を見つめていたが、突然踵を返してその街に下りる道を下り始めた。 
坂となっていたところは平地となり、平地に草むらが現れるようになり、彼はスピードを弱めていく。 
そして草むらは芝生となり、芝生もいつかはアスファルトとなって地面をつつんでいた。 
もはや街だ。人々が、ポケモンが歩き、ビルはあちらこちらに聳え立っている。彼は走るのをやめて歩き出した。 
歩いているといっても、彼は目立つようなことはない。この都会ではポケモンが歩いている姿も見かける。 
公園の噴水の近くにはマリルがいて、ミミロルがいて、ライボルトが―― 
「!」 
そのライボルトが目に入ったとたんに、マグマラシは炎を吹き上げた。 
青いはずの体毛は黒く、深紅ではなく群青の目を持つ――そのライボルトは、誰の目から見ても色違いだと明らかだった。 
その色違いだという事実は、何よりもマグマラシの知り合いだということに他ならない。 
彼は走って公園の柵を飛び越え、芝生の上を、そのままライボルトのもとまで駆けていった。 
ライボルトはその音に気付いたのか、顔を上げてその瞳にマグマラシを映す。 
「――ブレイズか」 
ライボルトのその口から、マグマラシにそう低い声で尋ねられた。 
「その名で呼ぶなッ!」 
当のブレイズ――マグマラシは、ぶっきらぼうにそういうと、色違いのライボルトの横に腰を下ろす。 
と、ライボルトはすぐに立ち上がってマグマラシにこう告げる。 
「ここだと目だって仕様がない。――あのベンチのあたりが人通りが少ない。そこへ向かおう」 
ライボルトはその俊敏な足でベンチのほうに向かう。そして遅れてマグマラシも駆けていく。 


なるほどベンチのところはちょうど大通りから木で死角となっていて、人目が少なくなっている。 
その木の根元に二匹は腰を下ろした。マグマラシは苛立っているのか、落ち着きがない。 
「ブレ・・・いや、マグマラシ、この人里に下りてきてどうしたんだ。お前は森にいるはずだろう」 
低い声でたずねたライボルトは、何かを知っているかのようにその深い海の色をした目でマグマラシを見つめる。 
一方のマグマラシの紅蓮色の瞳はライボルトではなく空を見つめていた。 
「お前が知らなくてもいい話だろう、ボルト」 
ボルトと呼ばれたライボルトは、フン、と鼻で笑うと、そのまま口を開いた。 
「ルイに会いに来っ・・・」 
「誰があんなクソ主人に・・・!」 
言いかけたボルトを遮って、マグマラシは憎悪の表情を浮かべてはき捨てるように言った。 
それを見てボルトはため息をついた。 
「まったく・・・確かにルイは冷たい・・・だがお前はどうなんだ?」 
「俺のせいじゃない。俺の・・・潜在能力のせいだ。ルイはただ「強い」・・・もしくは「珍しい」ポケモンだけを求めている。俺はお前みたいに色違いじゃない。だからルイは必然的に強さを求めた」 
マグマラシはボルトの黒い毛並み、蒼い目を見ながら話す。ボルトは大人しくルイというトレーナーの話を聞いていた。 
「・・・ボルト、知っているか」 
マグマラシはいきなりボルトに質問を振る。ボルトはいきなり振られた質問に戸惑い、また質問を返す。 
「何をだ?強さについてか?」 
「そうだ。・・・ポケモンの強さを構成するのは、まず努力。これはたくさんバトルを繰り返してたまっていく。次に基礎。そのポケモンが種族で振られた能力だ。で、この上に俺たちがレベルアップしたりして能力を重ねていくわけだが・・・」 
ここで深くマグマラシはため息をつく。ボルトは興味深げにマグマラシを見つめているが、その瞳は明らかにマグマラシを探っていた。 
「もうひとつ土台がある。これが一番重要といえなくもない。――これが、潜在能力だ。これは生まれたときから決まっている。誰にも左右することはできない」 
「・・・だから、だからルイはお前を捨てたって言うのか?!そんな理由で、俺の親友を見限ったっていうのか?!」 
ボルトはショックを受けたように毛を逆立ててマグマラシにそう叫んだ。マグマラシは改めて「捨てられた」事実を認める。 
「ああ。・・・あのクソ主人はなんだとも思わねぇ。俺に兄弟がたくさんいたのはそのせいだ。――たくさんのマグマラシの中から選別して、一番強いマグマラシを育て上げる。残りは全部淘汰、つまり森に捨てる。・・・そういうやつだ、あのクソ主人は」 
マグマラシは憎悪をこめてそう吐いた。捨てられた、その言葉が強くマグマラシを表している。 
力が抜けたようにボルトは地面を見つめていて、その目は明らかに衝撃と否定の心の色だった。 



「ただいま」 
黄昏時にはまだ明るい時間に、畑から帰ってきたリーフィアはドアを開けた。 
家の中はまだ陽光が差し込んでいて明るいが、一切物音がしない。聞こえる音といえば、外で鳴く鳥と、自分の足音だけだった。 
「出掛けて帰ってきてないみたい・・・」 
彼女は自分の部屋に入って、朝とはうって変わって西日で暑い中ベッドの上に倒れた。 
倒れた姿勢ではとどかないかと思われたが、かろうじてカーテンの端をつかみ、そのまま手前に引くと、陽光が薄まる。 
そうして出来た、柔らかな光の世界で横たわっていると、段々まぶたが重くなってきた。 
けれども、そんなときにドアが開く音と、ただいま、というマグマラシの声が聞こえた。 
リーフィアはとっさに体を起こしてドアを開け、マグマラシのいる玄関へ向かう。 
「おかえりなさい」 
彼女はとりあえず笑顔を作ったが、なにかマグマラシは不機嫌な様子で、顔を伏せたまま無言で自分の部屋に入っていった。 
何故なのか分からずに彼女は戸惑ったが、とりあえずマグマラシの部屋へのドアを前足でノックする。 
と、「はい」と、また不機嫌そうな声がドアの向こうから聞こえ、彼女はすこし怯んだが、すぐにドアを押し開けた。 
ドアが開いた先には、すでに日陰になった部屋で、マグマラシがベッドの上に座って窓の外を眺めている。 
その表情の真剣さに怯えながら、彼女はゆっくりと顔色を伺ってマグマラシの脇に腰掛けた。 
「どうなさったんですか・・・?」 
リーフィアは彼の顔を覗き込みながら話しかけた。マグマラシは彼女の顔をじっと見つめたあと、顔を伏せる。 
そのあとはどうということもなく、ただただその炎のような瞳に悲愴の色を浮かべていた。 
「・・・リーフィアには話してなかったな」 
改めてマグマラシは口に出す。その低い声には、かつて彼女にかけられたどの言葉にも存在したぬくもりが、欠片もなかった。 
その冷たく、けれども憎しみがこもった怒りの声の裏側には、どうしようもないほどの悲しさが隠れている。 
今までになく真剣な表情をしたマグマラシの顔を覗き込んで、リーフィアは心配そうにしていた。 
「俺はリーフィアみたいにこの森にもとから住んでたわけじゃない。もともとは都市に住んでいたんだ。――お前も知ってるだろう、この奥に街があることを」 
リーフィアは耳を立てて「街」という言葉に敏感に反応する。街は、彼女が見た中で一番汚い場所だった。 
一度だけ、たった一度だけ街に転がり込んだことがあったが、そのときイーブイだった彼女は酷い目にあったのだ。 
彼女の、普段は明るく可愛らしい顔に絶望の表情が浮かんだのを見て、またひとつため息をつき、マグマラシは続ける。 
「俺は根っからトレーナーのポケモンだ。タマゴから孵されて。ずっとそのトレーナーを信頼していたが、それとは反対に、トレーナーは俺のことなんか何も考えていなかった」 
トレーナーという言葉はリーフィアははじめて聞いたが、すぐにその言葉の意味を理解して、そしてトレーナーと彼の関りを理解した。 
信頼が裏切られるということは、何よりも辛い。それは何度もリーフィアが体験したことだった。 
「トレーナーは強いものだけを手に入れようとして、俺は精一杯がんばった。・・・でも、期待にこたえられず、俺はここに独りだ」 
彼は自分に対する嘲笑を浮かべて、でもその紅い目の絶望を見せながら、そう話し終えた。 
いつも温もりを与えてくれた彼が、そんな暗くて冷たい過去を持っていたことを知って、彼女はその目を曇らせた。 
その瞬間に、マグマラシの唇に暖かいものが触れた。彼は驚いて目を見張る。 
彼の目に映ったのは、リーフィアのまるい濡れた瞳。彼女はマグマラシと唇を重ねていた。 
こんなときにキスをしたのは初めてで、二人とも不思議な感触を味わいながら、体を寄せていた。 
やっとリーフィアが口を離すと、真剣そうに彼に訴えた。 
「独りじゃ・・・独りじゃありません。私が・・・そばにいますから・・・」 
そういって静かに泣き出した彼女をマグマラシは抱きしめた。互いのぬくもりが、互いの体に沁みていく。 
「ありがとう・・・」 



マグマラシはそのまま泣きじゃくる彼女の体を抱きかかえてベッドを立ち、そのまま隣の部屋に向かう。 
隣の部屋は黄昏が支配している。柔らかな夕日色が彼女の体を、そして彼をつつむ。 
そのままベッドのほうに向かうと、静かに彼女の体をベッドに寝かせる。 
泣いている彼女は、今まで見たどの表情よりも清らかで、可愛らしくて、・・・美しかった。 
「・・・気が治まるまでゆっくりおやすみ。」 
マグマラシはそう彼女の顔に言うと、彼女は返答の変わりに嗚咽を漏らした。 
濡れた大きな目はマグマラシを見据えて、そしてまたあふれた涙を、今度は彼の手が拭う。 
彼はそのままベッドをあとにして、自分の部屋へのドアを開けた。 
「ありがとう、リーフィア・・・」 
陽光できらめいた深紅の瞳に浮かんだのは、涙だったのか。 
彼はそのままドアを潜り抜ける。そしてなるべく音を立てないようにドアを閉めると、ゆっくりとベッドのほうまで歩いた。 
ベッドには彼女の涙の染みができていたが、彼は気にせずそこに横になる。 
「ふっー」 
彼はひとつ息をついて、影の中に現れた自分の影を見つめた。そしてそのまま隣の部屋へのドアを。 
隣の部屋からは、まだ完全に泣き止めていない彼女の嗚咽が聞こえてくる。 
と、マグマラシはまた彼女のことを思い描く。瞼を閉じれば、その闇の中には幻想のようにリーフィアがいた。 
今までは、本当に「淫らな姿を見たくて」リーフィアと夜を共にしていた。感情はあまりなかったかのように。本能的に。 
その彼女の心境は、彼にあらわされることはなく、今まで過ごしてきた。 
でも、今日、彼にやっと彼女は近づいてきた。距離が、溝が埋まっていく。そんな気がして。 
「リーフィアが心配してくれるなんて・・・」 
隣の部屋には聞こえないように彼は小さくつぶやいて目を開く。 
今まではただ、片思いの如く彼女を想うだけだった。ただただ、叶わぬ夢を思い描いていた。 
けれども、彼女は彼のことを想っていた。少しでも気にかけてくれていた。傍らにいていいと、むしろ傍らにいたいと思ってくれていた。 
自分と彼女との距離は徐々に狭まっていることを感じて、彼は不思議な心境だった。 
自分は本当は憎まれていいはずだった。むしろ憎まれるはずだった。 
彼女の夢を、彼女の未来を、彼女の故郷を壊した犯人だとして、恨まれるはずだった。 
でも、自分は彼女に恋をして、そしていつしか彼女も彼に信頼を置いている。 
それに不思議な、運命とも言えるようなものを感じて。 
「いつか・・・結ばれるときが来るのか・・・?」 



黄昏の太陽はすでに地平の下に隠れて、その光の尾を追うように満月――にはすこし足りない下弦の月――が昇る。 
その明るい青の光を受けながら、あるものは眠りにつき、あるものは目覚めを遂げた。 
そして月明かりの中に声を響かせる。ホーホーの声が、ヨルノズクの声が、ヤミカラスの声が。 
そのなかで、マグマラシも起き上がって、東向きの窓から差し込んだ満月の光を確かめながら、光が示すドアを開け放った。 
静かに開いたドアのから、まだ泣きつかれて寝ているリーフィアが見える。 
安堵したかのように見える彼女は、その目端に涙を残して寝息を立てていた。それさえも外に響く取りの声に飲み込まれ闇に消える。 
マグマラシはその中で、その部屋の電灯をつけた。発電所から送られているそれは、この部屋を明るく照らす。 
と、光に反応してリーフィアが耳を動かした。薄く開いた目をぱちりと瞬きさせると、その眩しさでまた目を瞑った。 
マグマラシはそんなリーフィアの隣に座って、彼女の顔を覗き込む。眩しさになれて見開いた彼女の瞳が、その顔を映した。 
「マグマラシさん・・・」 
寝ていた彼女のその声を聞くと、マグマラシはそのまま顔を近づけて彼女の唇を奪った。 
リーフィアは目を細めて、マグマラシを下を重ね、絡めさせ、吸って、キスを堪能している。 
マグマラシもまた、リーフィアの体の、唇の、舌のぬくもりを味わって、もっと深く吸おうとした。 
そしてその間にも、マグマラシはリーフィアの額の葉を撫でさする。そこは、彼女の性感帯であると、彼は分かっていた。 
葉を撫でられるたびに、彼女は感じて体をピクッとはねさせた。そのたびに彼女の呼吸が荒くなるのを彼は感じる。 
やっと口を離したときには、リーフィアはすでに息を乱していた。はあ、はあ、と正しいリズムのそれに、初日のような拒みはない。 
マグマラシとリーフィアの間にかかった透明な橋は、光にきらきらと輝いて、二人の心の架け橋を認めていた。 
その銀色の橋がようやく消えると、彼は彼女の秘部に手を伸ばした。 
くちゃ・・・ 
「きゃっ・・・」 
「もう濡れてるぜ・・・」 
彼はすでに蜜の出ている彼女のアソコを割れ目に沿ってゆっくり指を這わせる。 
時折卑猥な音を立てるたびに、彼女は感じているのが分かった。そして彼も・・・。 
つ・・・つつ・・・つ・・・ 
「あ・・・ひゃぅ・・・ふあ・・・ぁ・・・」 
「・・・相変わらずかわいい声で鳴くな――」 
彼はリーフィアが立てる声を聞きながら、彼女のアソコをなぞっている。蜜はすでに彼の指をベタベタにしていた。 
彼女は感じるたびに耳を立てるが、その感覚は段々短くなっていく。 
「もうすぐだ・・・」 
「きゃぅ・・・・あぅ、ぁ・・・あっ・・・にゃぅっ、はぁっ・・・」 
彼がそういった理由は、彼女には分からなかった。それどころか、自分の喘ぎ声で聞こえたかどうかも分からない。 
それをいいことにして、彼はついに「それ」にたどり着いた。 
「!!!あぁッ!!!」 
ビクン!とリーフィアの体が跳ね上がった。アソコは縮んで、蜜があふれる。 
クリトリスに触れた彼は、その彼女の様子を見て笑う。 
「軽くイった?・・・やっぱりやわいな、お前のここは」 
そのまま彼はクリトリスをこすり続ける。そのたびに彼女は、先ほどとは比べ物にならないほどの快感の嵐に見舞われた。 
興奮と快感で高潮した彼女は、荒い息の中で切れ切れに鳴いた。 
「あぁッ!やはっ・・・きゃぁっ!・・・ふあ!うああぁッ!」 
段々激しくなる彼の行為に比例して、彼女の喘ぎ声も段々大きくなっていく。 
彼女の大きく開かれた足は汗をかいて、そして我慢しようと痙攣している。 
が、ここで彼はクリトリスをつまんだ。 
「!!!!ぁああ゙あ゙ッ!!!!」 
ビュルルルルッ!ビシュシュシュッ!! 
彼女が噴いた潮でマグマラシの毛並みはテラテラと光るほどにベトベトになり、そのままリーフィアは目を細めて乱れた息をした。 
潮を吹いたあとの彼女の性器はヒクヒクと痙攣して、溢れた愛液がトロトロと太ももを伝ってシーツにこぼれている。 



と、彼は不意にその太ももから蜜を掬い取って口に含んだ。舌の先に甘酸っぱいような愛液独特の味がした。 
もう一度掬おうとしたときに、リーフィアが起き上がった。 
「な、何してるんですか?くすぐったいですぅ・・・」 
一度高潮した後のリーフィアの息には乱れ一つなかったが、先ほどと同じくらいまで顔が赤くなる。 
彼は今度は太ももではなく、彼女のアソコから直接蜜を掬い取って舐めた。 
「ひゃぅっ!・・・そんなの舐めたら・・・」 
彼女は、自分の分泌液が彼の中に入るのをみると、とっさに足を閉じた。 
「おいおい、汚くないさ。お前の体から出たものだしな」 
彼はリーフィアのピッタリと閉じた足を開かせると、開脚した足の中の桃色の性器を見つめた。 
「あぅ・・・そ・・・そんなにジロジロみないで下さぃ・・・」 
そういわれても、今もなお蜜が溢れ続けるそれに目を奪われて、マグマラシは改めて顔を近づけて凝視した。 
が、未だ性器を見られることに慣れていないリーフィアは、顔を真っ赤にして前足に力を入れ、何も言うまいと我慢している。 
じっくりと秘部を観察するマグマラシは、蜜に濡れた一枚一枚の襞をよく見つめ、つぶやいた。 
「女性器っていうのは花に譬えられるんだけどな・・・」 
彼は見られて感じているリーフィアのアソコを開いて、まだ貫通していない穴を見つけた。 
「~~~!」 
"蜜壺"――膣、つまりリーフィアの『中』へと続くその穴を見られて、彼女は声にならない声を出してシーツを握りしめる。 
そんなリーフィアを、そして彼女のアソコを見て笑いながら、先ほどの続きをつぶやいた。 
「こんなに綺麗な花を見られてよかったと思うよ」 
彼は"花"に口付けをすると、我慢しきれなくなったリーフィアが喘いだ。 
「!っあ!!!」 
と、さっきまで止まっていたアソコはまた痙攣しだして、快楽を求めていることを曝け出した。 
それに対応するかのように、マグマラシはまた動き出した。 
彼は口を開いて舌を突き出し、彼女のアソコに口を近づけていった。 
ピチャ・・・ 
「!!!」 
彼女は指で触れられていたときよりも断然強い感覚が、彼女の性器に現れた。 
最初は快楽で何がなんだか分からなかったが、なんとかマグマラシの舌が自分のアソコについたことを確認する。 
舌は彼女の割れ目を上下して停滞していた。 
「あ・・・ア・・・っあ・・・う・・・」 
「感じてるな?いい子だ・・・」 
指よりも暖かい、湿ってざらついた舌は、彼女の蜜を舐めとるように彼女のアソコを動き回った。 
ピチャァ・・・ピチャァァ・・・ 
「!アッ!・・・ぁ・・・!・・・ひぃっ!フぁ、ア、あっは!きゃぅんッ!!」 
ビクッビクッと彼女の体は声を出すたびに反応して飛び上がり、舐めても舐めても追いつかないほどに蜜がアソコに溢れる。 
それでも彼の舌はとどまらずに上へと向かっていった。 
ピチャ、ピチャァ・・・ピチャァァ・・・ 
「あっ、アッアァっ・・・イっちゃうよ・・・!ふぁ・・・ァ・・・!」 
彼女の荒い息がはっ、はっ、と短く、途切れることなく続くが、その中には喘ぎ声が、そして舐める音が混じる。 
常に彼女を刺激し続ける舌の動きが一度止まり、マグマラシが笑う。 
「絶頂か?まだ限界に行くには早いぜ・・・ほら・・・」 
彼は一度愛液にまみれた口を腕でぬぐうと、また性器の近くへ行く。 
が、舐めずに、その場でリーフィアに囁いた。 
「お前の一番感じるところ・・・クリトリスだろ?」 
ドキッ、と胸が高鳴って、彼女を緊張がつつむ。それをいいことにして、彼の舌の先端が、クリトリスへ届いた。 
「!!!あッ!!!」 

大きく声を上げた彼女はまだイっていないが、それでも確かにブルブルと震えていることは確かだ。 
彼の舌は、先ほどのようにゆっくり舐めたりはせず、せかすように動いた。 
ペロペロペロ・・・ 
「いやあぁ!イっちゃう!きゃあああ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」 
彼女は先ほどの比ではないが、それでも大量の潮を吹いた。真っ赤な顔の彼女はべそをかいて足を開いている。 
が、その足の間にいたマグマラシの顔はベトベトだ。 
「あっ・・・!ごめんなさい・・・!!」 



呆然としているマグマラシに謝って、リーフィアは起き上がった。そのまま顔を彼に近づける。 
マグマラシは硬直して動かない。驚いたのか、それとも怒っているのか。それが分からない彼女は心配になった。 
「!」 
と、マグマラシの顔に生暖かいものが触れる。やっと我に返った彼の目は、必死で自分の愛液を舐めているリーフィアを認めた。 
「いや・・・リーフィア、いいよ、怒ってないから」 
彼は近くにあったシーツで自分の顔をぬぐう。と、べそをかいているリーフィアをみて笑った。 
「心配してくれるお前がいてくれて嬉しいから」 
彼はゆっくりと腰を上げてベッドを立つ。そのままの姿勢で彼女に軽くキスをして、 
「おやすみ」 
それだけを言って部屋を出た。 



川に出た彼女は、改めて自分の股間を見た。 
そこに見える桃色の自分の性器は、マグマラシが舐めてくれたおかげであまり汚れていない。 
と、今晩のことを思い出してみる。そして順に、昨日、一昨日と・・・。 
今日のマグマラシは、いつもよりずっと優しかった。 
「・・・好き、なのかな」 
それは彼女のコトなのか彼のことなのか、分からないまま闇の中に消える。 
彼女は川を出て、今度こそ凍えないように体を草でぬぐった。 
そしてそのまま家のドアをあける。 
――彼女のことをずっと見つめているものがいるとも知らずに。 



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#pcomment(月下翡翠:米ログ,10,)
#pcomment(月下翡翠:米ログ)
以下↓旧コメント

"クソ主人"ことルイの、個体値による選別。身に覚えが・・・・・・・・・ -- 三月兎 (2007-07-14 02:29:45) 
私はあまり個体値を気にしませんので[ブラボー,Oh,ブラボー] -- 名無し (2007-07-15 02:15:07)

IP:61.7.2.201 TIME:"2012-12-06 (木) 22:05:44" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?guid=ON" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64) AppleWebKit/537.11 (KHTML, like Gecko) Chrome/23.0.1271.95 Safari/537.11"

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