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救世のそのあと の変更点


‼ポケダンマグナゲート二次創作
!主人公総受け
!性別捏造あり
!何でも許してくださる方向け
!R-18要素あり
まえがき
はじめましての方ははじめまして、何度もお読みいただいている方にはありがとうございます、特ルリ(とくるり)と申します。
本作は某支援サイトにおいて書かせていただいたポケダンマグナゲートの二次創作であり、主人公が徹底的に愛されるお話となっております。
リビドーを込めて書きましたのでよろしければお読みいただけましたら幸いです!
今回も見てくださった全ての方に感謝を、ありがとうございます!




「救世のそのあと」

「なんのために自分が住む場所を守るのか」には様々な理由がある。
文明を持たぬ時代より、ひとはーその形は仲間であったり、何か物品で合ったりと形はあれど―どうあれ自分を自分たらしめる「場所を」を守りたいと思って戦っていて。
文明を持たぬ古来より、それが報われぬ結果であっても自分の本意でなくとも「そういうもの」として受け容れるほかはない。
……けれども。

「……ミジュマル、今日も無理したの?ダメだよほんとに……」
「そ、それは……ごめんなさい……」
向かい傷が絶えないミジュマルがいた。
彼は望んだ、「自分の『場所』を守りたい」と。
彼は願った、「自分にとっての『場所』は同じ場所に住んでいる仲間である、仲間を助けたい」と。
歴史上そのような存在に対しての周囲の反応はさまざまである。謂れのない排斥や、奇異の目で見られることもあろうが……彼を取り巻く者は、そこまで無情ではない。
「ほら、傷口出して……手当してあげるから、ん……」
「ひゃ……っ?!」
寧ろその逆であり、社会全体から過剰とも思える愛情を注がれていた。
「あ、あのっ……!傷を消毒してくれるのはいいけれど、ちゅーする必要……あるかな……っ」
「あるよ……ふふっ」
甘く啄むように接吻するのは、ミジュマルとおそらく一番長い時を過ごしているであろうピカチュウ。
遠い場所では、このような存在のことをパートナーと呼ぶこともあるそうだ。
「ミジュマルがみんなに良くしてくれているんだから、ワタシはミジュマルによくする……ね、単純でしょ!」
「そ、そうかもだけれどっ……」
身を捩りそうになり、必死に耐える爪先。
親愛のキスにしては聊か情が籠りすぎている、微かに発情したような熱気さえ感じる舌の交わり。
異性に対して「そうされる」ことにいまだに慣れないのか、その過剰なる愛情に……彼は戸惑いを隠しきれないながらも悪い気持ちではなかった。
「……ん……ふ……うふふ、きもちよかったかな……?膝ががくがくしちゃってるじゃない……」
いやらしいことをしたわけでもない、とそう思いたい。
必死でそう言い聞かせていながらも……やはり、こうされるのは恥ずかしいことであった。
「あ、ああもうっ……からかわないでよね……」
―後で彼女のその感触を思い出して独りで自慰にふけり、気持ちよくなっているのであろうか。
―それを伺い知ることはできないし、そうであろうとなかろうと……愛情を拒絶していないのは事実だ。
―このピカチュウからだけではない。
―彼が住んでいる地域全域に居るポケモンから、である。

―嘗て、「ポケモンの愚かしさ」ゆえに世界を滅ぼそうとしたものがいた。
「なんだ、文句があるのか」
「モンクじゃありませんけれど……たまには私と彼が遊ぶのでもいいじゃないですかー!!」
―嘗て、「ポケモンの優しさ」ゆえに世界を救う手助けをしようとしたものがいた。
「あ、あのー……僕を巡って争うのは……ってこんなベタなセリフなんで言わなきゃいけないの……」
二項対立は決して相容れず、互いに互いを亡ぼすことまで有り得た未来であったが。
今まさに取り合いが発生している「彼」の存在により、それはいくぶんか……否、かなりほほえましいものになっていた。
「貴方とミジュマルは世界を救うご大層な冒険で十分一緒にいただろう、私は殆ど彼との時間を過ごせていない これからだ」
「……それは納得いくのですが、やっぱりミジュマルさんと話せないのは寂しいですー!」
「……ならば、この場で!決着をつけるか」
「えー、争うんですかー?……ああ、そういう方法でなら……イイですね、ふふ」
「……えっ?」
突如、ミジュマルの方にサザンドラとムンナは向き直る。
「ミジュマル、知っての通り……私は「さいみんじゅつ」を覚えることが出来るポケモンだ、お前の望むえっちな夢を見せることだってできる」
「そういうことなら……私は夢の中に入り込んで、彼の望むような夢のシチュエーションで気持ちよくしてあげましょう~」
「あ、あの待って、そういうものじゃ……な……」
―あわれ、眠りに落ちた王子様。
―何もない空間に、その怒張を膨らませる。
―きっと、もう今日の欲が枯れ果てるまで、その檻からは出してもらえない。
対立するもの同士であった存在さえ、結び付ける愛でもって。


―風のごとくやってきて。
「ミジュマルさん、ワタシたちの旅にちょっと付き合ってくれない?」
―風のごとく、彼を一時攫ってゆく。
「遠い遠い大陸に「そらのいただき」っていうのがあってね、そこの頂上から見た景色が素晴らしいらしいのよ」
「ラプラスの定期便を使えば日帰りで行けるそうだ、オレたちと一緒に行こう」
エーフィとブラッキーは、ミジュマルにとってはそういった存在であり。
ミジュマルとピカチュウのお陰で世界が平和になった後の彼女たちにとってみれば恩人と共に世界中を回りたいというだけの、純粋な気持ち。
「……ホント、世界ってまだまだ果てが知れないわよね」
「そうだな……この景色も、いつか思い出になるんだろうな……オレたち3匹の、な」
「……そうですね!」
知らぬ樹海、知らぬ山道、知らぬ洞窟、知らぬ雪原を抜け。
夢のような花の果て、高台より見える高原に辿り着いた、そらをかける者たち。
エーフィ達をある時は守るように、ある時は守られるように進むのは……きっとミジュマルがずっとやってきたことであろう。
「……ほんとにきれいですね……」
「……えへへ、ミジュマルさんにくっついちゃいましょ」
「ちょっとここは寒いからな……いいな、それも」
「あ、あの……いえ、なんでもないです……」
―些か、彼女らが寄り添ってくることに対して困惑してはいるのであろうが。
「ミジュマルさんってかわいいですよね、こんな小さい子に……世界の命運が託されていたと思うと、ちょっと同情してしまいます」
「……オレたちよりずっと若い彼が出来たんだ、ならオレらもできないことはないだろう……な?」
「そ、そんなことないですよ……ただ、その……」
相手の緊張を楽しむように、密着したエーフィは尻尾でミジュマルを引き寄せる。
「あ、あの!!あんまり近くに……うう……」
「ん……よしよし、ブラッキーも撫でてあげたら?」
「オレもか……うむ、よしよし よく頑張ったな本当に……これから、様々なものを見て経験してゆくといいだろう」
……そのまま尻尾で撫でられることが恥ずかしいのか、はたまた少し興奮しているのか……はにかむように微笑みながら……彼らは、そらをみていた。



「……で、さ、エモンガってやっぱり……ミジュマルが好きなの?」
唐突なる地雷の爆発。
赤面する1匹のエモンガ。
はじまりはほんの些細な、寝静まった世界でのパジャマトーク。
ちいさなガールズの、誰にも邪魔されないひそやかなる話。
「は、はあ!?なんでだよ、なんでそうな……」
「……やっぱりそうなんだー……ふふ」
ミジュマルのパートナーたるピカチュウと、彼を兄貴分の様に支えていたエモンガ。
情に厚く度胸もある完璧な兄貴分のような「彼女」もまた、思慕を抱く1匹のポケモンであることに変わりはない。
それはきっと生物であれば宿命として持つもの。
……それがたまたま、すでに相棒という意味でのパートナーとしてのピカチュウがいるひとであっただけ。
「そ、そんなつもりはねえよ、ねえからな!!だいたいお前もミジュマル好きなんじゃないのか?!」
「うん、好き!とっても好き」
―でもね。
月に乗るように、藁の寝床でごろごろと転がってピカチュウは話す。
「でも……誰がミジュマルを好きでも、ワタシはいいと思うんだ」
彼に向けられている好意を、彼に向けられている善意を、戸惑う彼を。
彼を、かれを。
見つめて微笑むのが、きっとピカチュウという存在。
「誰かがあの人を好きになってくれるってことは、それだけ彼が魅力的ってことでしょ?」
月光のとばりと共に。
星のまたたきと共に。
彼女は、エモンガにそう屈託なく言い放つ。
「……まあ……そりゃ……」
―好き、だけれど。
それは、それはそれはちいさな声。
兄貴分としてのプライドを保ってきたエモンガがあげる、ちいさな声。
それでも、ピカチュウは嬉しそうに頷く。
「そうよね!……じゃ、ちょっとイメージを変えてみる、エモンガ?」
「は?い、イメージ……?」
そっと。
小さな影が、小さな影に歩み寄った。

「似合ってますよ!かわいいリボンですね……!」
「お、おいあんまりからかうな!オレはただ……ピカチュウのやつに言われてだな、いやその……」
「イメージを変えてみたの!どう、似合ってるでしょエモンガさん!」
しどろもどろになる「兄貴」を心の底から褒めるミジュマルを前に、ただエモンガは羞恥と困惑の渦に飲まれて地上に降りてしおらしくしていることしかできず。
それを優しく見つめながらも……「女の子なんだからかわいくしてもいいと思うの」とパートナーたるものは嘯いていた。
穏やかな風の吹く、楽園にて。

「なんのために自分が住む場所を守るのか」には様々な理由がある。
文明を持たぬ時代より、ひとはーその形は仲間であったり、何か物品で合ったりと形はあれど―どうあれ自分を自分たらしめる「場所を」を守りたいと思って戦っていて。
文明を持たぬ古来より、それが報われぬ結果であっても自分の本意でなくとも「そういうもの」として受け容れるほかはない。
……けれども。
けれども、中にはこのミジュマルのように徹底的に、本人が思う以上に報われることもある。
それは世界を救った褒美なのか、世界を救ったゆえの重荷なのか。
いまだ戸惑う彼は……まだその着地点を探していると、しても。
 



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