*惹かれ合う1つの魂 [#f08fcdd6] リハビリ兼ねてつくったお手軽短編です。 短編ほどの長さもないですけど。 [[青浪]] ---- どうしてみんな喧嘩するの? ”理想をかなえるために戦う。自分が望む世界を作るんだ。” 人を傷つけてまで叶えたい理想って? ”いずれみんなが傷つかない社会にすればいい。” 君が喧嘩で誰かを打ち負かして、嬉しそうにしてるけど・・・君が殴った人は泣いてるよ? ”そいつは理想のために邪魔だから・・・排除しても問題はない。” 君が誇りたいのは強さなの?腕っ節の強さ?それとも誰かを打ち負かす快楽? ”違う。どれでもない。俺が誇りとするのは理想とする世界だ。” じゃあその理想とする世界って何のためにあるの? ”・・・俺が仕える人のため。絶対に譲れない。” 君の言う理想のために多くの人が傷ついているとしても、君は理想の世界を作ろうとするの? ”・・・ああ。” そんな理想の世界は・・・砂上の楼閣に過ぎないよ。 ”貴様こそ・・・信念は無いのか?” 信念? ”貴様のようにただ現実論を述べているだけでは・・・世界を変えることなどできん。” 僕は・・・僕は世界を変えるなんて・・・思ってない。 ”腰抜けだな。一度世界を滅ぼしたというのに。” 僕は人間が理想のために多くの人を傷つけ、殺す場面を見てきた・・・ひとりひとりの現実を無視して・・・無理に争いを押し付けて。 ”ふん。お前はやはり俺とともにあるべきだ。その腑抜けた心をお前が持つ力相応に変えてやる。” 必要ないね。 ”俺とお前の力があれば・・・誰も傷つくことのない世界が出来る。” 嘘だ!一人二人の力で出来るような世界こそ、独善的で、傲慢だ! ”傲慢?独善?どうしてそう言えるんだ?” 押し付けた理想を・・・みんなは理想とは言わないよ。 ”じゃあどうすればいい?” 人々が少しずつ世界を変えていけばいい。僕たちの威厳や・・・力なんて必要ない。 ”それこそ多くの人が傷つき、無駄に時間を消費するだけだ。” 与えられた自由を充足できるほど、人間はバカじゃない。何度世界が破滅しようと人間は自分の力で、自由と平和を作ってきた。 ”ならば俺たちを祀る人間は俺たちに何を望む?” 外から世界を壊す者を・・・遠ざけてほしい、ということ。 ”俺たちは・・・人間たちの茶番をただ見守っていればいいということか。” 茶番でも・・・演者はいつも必死だよ。必死に劇を演じてる。 ”・・・俺と来る気はないのか?” 無いね。・・・違った信念は・・・違うがままのほうがいい。 ”そうか・・・” #hr 私はこそっと寝室を覗く。 ハクちゃんがすぅすぅ気持ちよさそうに眠ってる。ハクちゃん、ってのはウチの可愛いレシラムのこと。なんで私のパートナーになってくれたのか・・・良く分かんない。 仲はいいけど・・・伝説の、っていうのを全く感じさせない、ハクちゃん。 「寒いかなーっと。」 部屋にこっそり入ると、私はエアコンのスイッチを探す。ハクちゃんが丸まって少し寒そうだから・・・けどその前に私はハクちゃんの顔を覗いてみる。 「ん・・・」 私の接近に気付いたのか、ぱちっとハクちゃんが目を覚まして、その水色の澄んだ瞳は私をじっと見つめてる。 「あ、ごめん起こしちゃった?」 ハクちゃんはぷいぷいと首を横に振った。ちょっと気まずい。けど、私はそのまま身体をハクちゃんに倒した。 「もふもふー。」 私はハクちゃんの毛並みに抱きついて、わさわさと柔らかい毛並みを撫でる。ハクちゃんはすぐに顔を真っ赤に染めた。 「ふぁっ!やぁっ・・・止めてくださいよ・・・」 「どして?同じ女の子じゃない。」 そう。ハクちゃんは私と同じ女の子だ。口調は男の子っぽいけど、声色は完全に女の子。 「恥ずかしいじゃないですかぁ。」 ハクちゃんが恥ずかしがると私は余計にぎゅーと抱きつく。こんなことしたら嫌われるかな、と思ったけど、ハクちゃんは私が抱きついてても、にこやかにほほ笑んでくれる。 「ハクちゃんあったかーい。もふもふー。って・・・違う違う。」 目的をすっかり忘れてた私。抱きつくのをやめて、横たわるハクちゃんの目の前でしゃがんだ。 「どうしたんですか?」 「ハクちゃんが丸まってたから寒いのかなーって。エアコン入れにきたの。」 「大丈夫です。」 ハクちゃんは大丈夫、というけれど私は結局エアコンのスイッチに手をかけた。そしてハクちゃんの翼の下に身体を入れて、添い寝するような形になった。 「こうしたらハクちゃんも私も暖かくなるよー。」 笑顔の私。ハクちゃんは少し瞳を潤ませてる。 「ごしゅじんさま・・・」 「ご主人様なんて言わなくていいって。」 ハクちゃんはなぜか私のことを様付けで呼んでくれる。 「でも・・・」 「ハクちゃんと私なんだから・・・気を使ったりしなくていいの。突っついてもいいし・・・」 私はそう言いながらハクちゃんの頬にそっと触れる。ハクちゃんは目を細めて、ほほ笑んだ。 「ごしゅじん・・・」 様が無くなった。けど、何か物足りないなぁ。 「名前で呼んで?」 「え?で、でも・・・いいんでしょうか?」 「いいの。」 敬語でなんだか自信のなさそうなハクちゃん。とってもきょろきょろしてる。 「そんなにドキドキすることじゃないじゃん。」 「そ、そうですよね・・・」 ハクちゃんの白い毛並みをたーんと撫でて堪能しているうちに、私は少し、眠くなってウトウトしてしまいそう。 「トウコさん、風邪ひきますよぉ?」 「うん・・・ありがと。ふぁぁ・・・きもちいぃもふもふー。」 また私はハクちゃんの毛並みに身体を埋める。ハクちゃんはふにゃぁ!と時折可愛い声を出してぷるぷる震えてる。 「ハクちゃんのお腹あったかいなぁ。」 「僕も・・・トウコさんあったかいです。」 ハクちゃんは自分のことを僕、っていう。別に変だとか、そんな考えはない。キャラがあったほうが可愛いし。 「ハクちゃんって伝説のポケモンらしくないよね。イメージと違う感じ。」 私の言葉に、ハクちゃんは少し戸惑う。 「そ・・・そうですか?」 「うん。親しみやすいし。可愛いもん。」 可愛い、という言葉を聞いた途端、またハクちゃんは顔を赤くした。 「か、可愛くなんてないですよ・・・」 実にわかりやすいくらい照れてる。これ以上追い込むとのぼせてしまいそうなので、ここでやめておこう。 「僕は・・・」 「ん?」 ハクちゃんが今度は喋り出した。 「僕は伝説とか・・・そんなんじゃなくてトウコさんと一緒に居るだけで・・・楽しいですから。」 「ハクちゃん・・・」 ふと、私はハクちゃんと出会った時のことを思い出した。 Nの城・・・私はそこでくろっちとNが呼んでたゼクロムと戦闘になるか、というところで、ハクちゃんが現れた。 紆余曲折あってハクちゃんを仲間にすることが出来た。けど、Nが思いのほか強くて、手持ちのポケモンがほとんど瀕死になった。ハクちゃんはそんな中私のために一生懸命戦ってくれた。 傷だらけになって、かろうじて勝てた。 闘い終わって、ぼろぼろ泣いてた私はぼろぼろになったハクちゃんを抱き締めることしかできなかったけど・・・ハクちゃんも私をそっと翼で包んでくれた。 それ以来、どこに行くにもハクちゃんと一緒に行く。心が落ち着くし、ずっと昔からの親友だったみたいに。でもきちんと手持ちのポケモンも5匹居るけど。 「ハクちゃんは私が抱きついたりしても嫌じゃないの?」 「えーっ・・・とぉ・・・」 私の問いに、ハクちゃんは翼で頭を何度か掻く。答えに詰まってるけど・・・これはイヤってことを素直に言えないから・・・それとも実は嬉しいから・・・どっちなんでしょ。 「僕はトウコさんが好きだから。」 「ぶふっ!」 唐突な告白に、って同性じゃん。吹いちゃう。 「どして?」 興味津津、という具合に私はハクちゃんの顔を覗き込む。ハクちゃんは一度きょろきょろ目線を泳がせた後、はっきりと私を見た。 「トウコさんは・・・みんなに優しいですし。」 にこっと笑むハクちゃん。 「みんな同じように扱うんじゃなくて、違いを認めてくれる。」 「そ、そう?」 「はいっ。」 確信を持ったハクちゃんの答え。こんなこと言われると・・・私の方が照れちゃうな。 「トウコさんが誰よりも強くなっても・・・その強さに信念を感じるから。」 「信念・・・」 「弱いものを無下に扱うことは絶対しないって。」 私は手持ちのポケモンの数は誰よりも少ない。だから、強い弱いでパートナーを差別してたら、みんな私と同じ思い、夢を持ってくれない。 私が強くなりたいと思ったのは・・・信頼できる仲間と達成感を味わいたかったから。 「強くなるのは・・・仲間と一緒に歩んでいきたいからかな・・・これからも。」 「僕はトウコさんの強さを求める理由が何かってずっとわからなくて。」 えへへ、と笑うハクちゃんの頬に私は顔をくっつけて何度もすりすりと擦る。 「私は強くても弱くても、これからもみんなとずっと仲良くしていたいし・・・それに・・・」 「それに?」 ハクちゃんは相変わらず私に興味深げな視線を投げかけてくれてる。 「今の私があるのは、ハクちゃん含めみんなが居てくれたからじゃん。みんながいなかったら・・・私は挑戦すら出来てないから。」 「トウコさん・・・」 ばさっ・・・ハクちゃんは翼で私を覆うと、そのまま頭を私の胸に擦りつけてくれた。 「まだ・・・まだ上を目指さないと。世界は広いし。出発の準備も・・・」 「無理しなくてもいいですよ・・・自分のペースでやればいいじゃないですか。」 ハクちゃんが諭してくれて、とっても心が落ち着く。 「だね・・・その前にふぁぁ・・・寝ないと。」 「風邪ひきますよ?」 「ハクちゃんといれば大丈夫だから。」 私のわがままに、ハクちゃんは嬉しそうに頷いた。 「ハクちゃん、おやすみなさい。」 「トウコさん・・・おやすみなさい。」 そうして私はいつしか・・・眠りに落ちた。ハクちゃんの嬉しそうな笑顔を見ながら。 #hr 世界のどこか・・・ 漆黒の身体を持つポケモンと、緑の髪をたなびかせる青年が、草の生い茂る巨岩の上で夜更けを迎えている。 「はぁ・・・」 「どしたのくろっち?」 後ろから近づいてきた青年。くろっち、と呼ばれたゼクロムは物憂げな視線を青年に向ける。 「悪夢を見た気がした。」 「悪夢か・・・」 青年はくろっちのそばに座ると、頭を撫でる。 「僕はいい夢見れたよ・・・」 「あっそ。」 自慢と受け取ったのか、無機質な返事をするくろっち。 「悔しい?」 くろっちは何も答えない。青年は無邪気に言い寄る。 「でも・・・あの女の子可愛かったなぁ。」 「えっ?」 青年のセリフに身体をぴくっと震わせるくろっち。 「どの女の子だよ?」 「レシラムつれてた女の子。」 パシッ。くろっちは手で青年の頭を叩いた。 「今すぐ探しに行け。」 「え?」 戸惑う青年に、くろっちは迫る。 「お前は直情型のバカなんだから、思ったらすぐ行動することしか強みないだろ。」 「そ、そんな言い方!」 ぐいぐい。くろっちは青年の頭を掴んでぐらぐら揺らす。 「ちょ・・・やめて・・・」 「早く行動しろ。」 ぐいぐい・・・ 「わ・・・わかったから・・・」 青年は立ち上がり、くろっちの背中に跨る。 「わ・・・わかったから・・・く・・・首っ。」 さすがにやりすぎたかな?とくろっちは青年の頭から手をどける。 「さ、行こうか。」 その青年の言葉に反応したくろっちは青年が跨りやすいように腰を落とす。そして青年は立ち上がり、くろっちの背中に跨る。 「行くよくろっち!」 「ああ!任せろ!」 ぶわっと飛び上がると、くろっちは地平線の彼方めがけて飛んでいった。 ―違った思いは・・・一つになれるだろうか・・・ そう思いながら。 Do you want the story continue? ---- 文章表現が上手くできないなぁ。 最近本読んでないし。だんだんヘタになってく。 はて・・・どうしよう。 こんな作品でもよろしければ下にコメントを。 #pcomment()