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大都会夜之事情 の変更点


作[[呂蒙]]
<注意>
 このお話には、18禁的な表現、場面が、描写があります。NGな方はお読みにならないでください。
 注意書きを無視されて不測の事態が起きた場合、作者は責任を負いかねます。 






 ある春の日のことである。彼岸も近づき、寒い日の中にもちらほらと暖かい日が見られるようになった。
 結城は、大学の長い春休みを利用して海外旅行の計画を立てていた。年1回の楽しみである。お盆やゴールデンウィークとは違い、学生だけの特権である。しかも、旅行先によってはオフピークであるため、人ごみに煩わされることなく、名所を回ることができる。
「ご主人、今度はどこに行くわけ?」
「国で言うと、ルーマニアかな。ブラム=ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』の舞台となったブラン城だ。首都は治安が悪いから、隣国のハンガリーから国境を越えるつもりだ」
 結城は1人旅が好きだったが、一緒に暮らしているフライゴンのナイルはいつも連れていっている。さすがに1週間も置いておくわけにはいかないし、預けるとなるとそれはそれで面倒だった。見た目や強さはどうあれ、ドラゴンタイプのポケモンである。中々、預かり手がいないというのが実情だった。実家に置いていくという手もあるが、それはそれでかわいそうな気がした。
「ドラキュラねぇ……。本当にいた人物なわけ?」
「本当にいたわけではないけど、モデルになった人物がいるな。今のルーマニアの南半分ってところかな、このあたりを統治していたワラキア公・ウラド3世だな」
 結城は紙に図を書きながら、説明した。ワラキアというのは、今から5、600年ほど前にあった国である。西にハンガリー、南にトルコという超大国に挟まれ、いつ押しつぶされても不思議ではなかった。
「ふーん、それで?」
「ワラキア公・ウラド3世は、国内の産業を保護し、また、3万の兵で15万のトルコ軍を撃退するなど勇敢な領主だったわけだ」
「で、そんな人が何で吸血鬼?」
「その一方で、外国人を追放したり、罪人や捕虜を容赦なく串刺しにしていたからな。そういう恐怖政治ぶりが、誇張されて後世に伝わったんだろうよ。優秀な領主ってのは、隣のトルコやハンガリーにとっては脅威だったわけだし、一種のネガティブキャンペーンだな」
 微罪でも、容赦なく串刺し刑にされてしまうため、国内からは犯罪がなくなり、金目のものが落ちていてもネコババするものはいなくなったという。実際のところ、有能な為政者か、猟奇的で残虐な君主であるか、評価は真っ二つだという。
「悪いことしまくりの悪の親玉の方がまだかわいく思えるな」
「ナイル。今と比べてどうするんだよ。ろくすっぽ人権とかいう概念がない時代なんだから、今と比べたら残酷なことだらけだろ。ひょっとすると、お前なんかもウラド公のディナーになってたかもしれないぞ? 当時はポケモンを保護する法律とかなかっただろうし」
「……何が言いたいの?」
「お前、おいしそうだもんな、お腹もちょっと出てるしね。良い肉が取れそうだもんな」
 どういうわけか、カイリューであったり、フライゴンであったり、足に短い手、翼という、ドラゴンの標準体型ともいえる姿をしたポケモンはお腹が出ているのが結構いる。太りたくて太っているわけではなく、元々のものらしい。
「えー、別に太っているわけじゃないし、この前の健康診断でも何ともなかったでしょ?」
「そうだったかな? まあ、あっちも元気なようだから、心配ないだろ」
「……」
 飛行機のチケットも予約して、あとはスーツケースに荷物を詰めて出発の日を待つばかりである。
 そんな時、結城の携帯電話に着信があった。彼の友人、阿南からである。
「はい、もしもし? あ、みなみか?」
「あ、結城、突然で悪いけどさ、明後日から2日間ミナを預かってくれない?」
「え? お前んとこのリーフィアか? そりゃあいいけど、何でまた?」
「親戚が亡くなったから、葬儀をするんだけど、1人で置いとくわけにはいかないから……」
「近所に頼んだら? わざわざうちまで預けに来るのは面倒だろ?」
「葬儀場が相州地区だからさ、隣だろ?」
「まぁー、いいか」
 頼まれると、嫌とは言えない性格の結城。あのリーフィアはちょっと性格がキツいので内心イヤだな、とは思っていたが、友人の頼みなので断れなかった。
「ところで、サザンドラのサザンはいいのか?」
 むしろ、家でお留守番というわけにはいかないだろう、と思っていたが、定期健診とかで明日から、3日ほど検査入院するらしい。どうしても、あちこち調べるから時間がかかってしまうのだという。
 かかった費用はこっちに言ってくれれば払うといっていたが、結城はそんなつもりはなかった。このくらいは交際費で必要な出費とするべきだろう。結城は普段から少しケチなところがあったが、交際費はケチらなかった。
「電話、みなみさんでしょ? 何て、言っていた?」
「あいつの家のリーフィアをしばらく預かってってさ」
「まあ、いいんじゃないの?」
 ナイルは嫌がる素振りを見せなかったので、結城にとっては、その点は助かった。それに、海外旅行の出発は1週間後だったから、旅行の日程は変更する必要はないだろう。旅行の日程を変更する必要が出てくれば、さすがに結城も断ったことだろう。
 
 2日後、喪服姿の阿南が家にやってきた。
「それじゃあ、ミナを頼んだ」
「ああ」
 まだ午前中で時間も早かったため、結城は、ぼさぼさの頭にパジャマ姿だった。夜更かしをしたため、阿南がチャイムを鳴らした音で目を覚ましたのである。寝起きだったこともあり、どうしても対応がぶっきらぼうになってしまう。
「しかし、首都の鉄道は複雑だな。駅は迷路みたいだし……」
「あ、そう」
 鉄道を敷くための土地がない。となると、どうなるか。地下にトンネルを掘って、そこに鉄道を通すしかないが、それも限界に近づきつつある。そのため、地下深くにトンネルを掘ったり、狭い隙間にムリヤリねじ込むように路線が敷かれたりする。結局それが、駅が迷路のようになっている原因の一つだった。が、今の結城にとってはどうでもよかった。とにかく、もう少し寝たかったのである。
 喪服を着た阿南は帰っていった。
 とりあえず、明日阿南がミナを引き取りに来るまで、どう過ごすか、結城は考えた。眠かったが、二度寝を断念し、顔を洗って、寝癖を直した。
(折角、大都会まで来たんだ。都心見物も悪くないかな)
 簡単な朝食をとり、まだ寝ていたナイルを叩き起こす。
「んー、なんだよ~…」
「今日は出かけるから、早く起きろ」
「急だなぁ……」
 しかし、出かけると言ったものの、果たしてどこへ行けばいいのか? 首都圏に暮らすようになって大分日が経ったが、どうも人混みやラッシュは苦手だった。今日は休日のためラッシュの心配はなかったが、観光客でごった返すのは目に見えていた。
 結局、妙案が思い浮かばなかったので、部屋を掃除しながら考えることにした。観光の目玉の一つが「歌舞伎」だったが、映画と違い、1つの演目の上映時間は数時間になるという。それに、興味関心がなければ、退屈なだけだ。第一、最近は人気が高いとかで当日行って中に入れるかどうかも怪しかった。入れなければ無駄足になってしまう。
 いきなりどこかへ出かける、というのも難しいな、結城は思った。掃除しながら、考えた結果、夕飯はどこかへ食べに行く、という無難な案に落ち着いた。首都には様々な飲食店があり、中には異国情緒あふれる店もある。そういったところで夕飯をとるのも悪くないだろう、そう考えたのだ。

 昼食後、結城は甘いものが食べたくなり、近くのコンビニエンスストアにミナを連れていった。
「今のコンビニっていろいろ売っているのね。下着まで売っているし。あ、こんなものも……」
「そりゃあ、何でもできる便利なところだからな。24時間開いているし。欲しいものがあったら、籠に入れなよ」
「薬とかもあれば便利なのに……」
「それは同感だけど、薬剤師がいないと薬は売ってはいけないという規制があるからな」
「上州と違って、駐車場は狭いのね、大きいトラックが止まれないわね」
「まあ、そもそも土地がないからね」
 この国の10人に1人は、首都に住んでいる。典型的な一極集中であり、それは無理からぬことだった。一方地方の場合は、土地に余裕があることに加え、大型の長距離トラックが止まることも珍しくなく、どちらかというとサービスエリアのような役割を果たしている。確かに上州の実家は広いし、空気もそれなりに綺麗だ。環境はいい。だが、やはり少々不便である。便利な都会暮らしに慣れてしまった結城は、学校を出た後も田舎に帰る気はなかった。
 その後、自宅に戻ると、買ってきたシュークリームを食べ、ブラックコーヒーを飲んだ。

 夕飯は近くにあるビアホールでとることにしていた。さすがにずっと家にいるのも退屈だったし、何より、夕飯を作るのが面倒だった。
 結城はミナとナイルをビアホールに連れていくと、サラダと肉料理、ジャガイモ料理、それぞれの酒を頼んだ。日頃の憂さ晴らしをするためなのだろうか? まだ、遅い時間というわけではなかったが、それでも店内は賑わっていた。
 やがて、料理が運ばれてくる。
「好きなだけ、飲み食いしていいぞ。今日はオレの奢りだ」
 結城はビールや料理を口に運びながら、そう言った。
 店で1時間ほど食事をし、結城は代金を支払った。財布から何枚か紙幣をとりだし、勘定を済ませる。
(ちょっと、使いすぎたかな。まあ、たまにはいいか)
 おつりの小銭を受けとりながら、結城はそう思った。

「結構飲み食いしたね」
「ああ、でもハッピーアワーと被ったから、酒の1杯目は安く上がったな」
 ナイルとそんなことを話しながら帰路についた。
 結城は家に帰ると、パソコンを弄りながら、旅行先の情報を集めていた。

 それぞれ風呂も済ませ、結城はさっさと寝てしまった。結城はいつも寝るときに耳栓を使っていた。家が線路沿いにあるため、どうしても一日中電車の音に悩まされる。普段は気にならないのだが、寝るときに電車が通過すると、その音で目が覚めてしまうからだ。もっとも、朝は熟睡しているためなのか、始発電車が走ってきたからといって目が覚めることはなかった。
 結城は、ナイルとミナにベッドを使っていいと言い、実家から持ってきた寝袋に入って寝てしまった。
(異性と同じ寝床で寝るのか……。なんか落ち着かないな……)
 ナイルはそう思いながらも、横になった。しかし、眠ろうと思って目を閉じても、すぐに目が覚めてしまう。異性がすぐ傍にいるためなのか、妙にドキドキしてしまう。
(やっぱり、眠れない……。って)
「ねえ……」
「え?」
「たってるよ」
「あっ、それは……」
 ミナに見られてしまった。オスだから無い方がおかしいのだが、やはり、性器としての役割を果たせる状態のものを見られるのは恥ずかしかった。
 ナイル自身もさっきから気付いていた。放っておけば、元に戻る。理性的に考えれば、そうするのが一番だった。一戦交えて、寝床を白く染めれば、疲れ切って、眠れるかもしれない。だが、そんなことはできない。しかし、体は正直である。一体どうすればいいのか?
「抜いてほしいんでしょ?」
「……」
 ナイルは顔を赤らめながらも、黙って肯いた。ミナが寝ている時に襲い掛かるよりはいいではないか、そう思ったからだ。抜いてもらわないと、理性というストッパーが外れてとんでもないことをしてしまいかねなかった。
 ミナがナイルのモノを刺激していく。そっと舌を這わせ、ナイルの抵抗力を奪っていく。
「は、はうぅぅ……。はあっ、はっ……。や、やめて……」
 刺激で顔の筋肉が弛緩してしまい、締まりのない顔になりながらも、何とか言葉を絞り出す。本当は抜いてほしい。だが……。本能と理性のせめぎあいが続いていた。
「あ、出てきたね。透明でネバネバしたのが……」
「も、もうダメっ、げ、限界ぃ~」
「え? ちょっ……」
 耐久力があまり高くないナイルの堰は決壊してしまった。モノから飛び出す粘液が、ミナをクリーム色の体毛を白く染めていく。
「ご、ごめん……。気持ちよすぎて」
「じゃあ、第2ラウンドね」
「へ?」
 ナイルのお腹に乗り、ぐいっと顔を近づけるミナ。触れ合う体と体。
「あれ、顔赤いよ」
「そ、それは……」
 異性との交流経験が少ないナイルには刺激が強すぎたのである。もっとも、経験が多すぎるのも考え物だが。
「ナイルので、私を……。満足させてよね?」
「もぅ、勝手にして」
 どうせ「嫌」と言ったところで、何かしらのことをされるのは目に見えていた。
「んっ、んんっ」
 横になっているナイルのお腹に前脚をついて、体を沈めるミナ。
(うわぁ、雌の中ってこんな感じがするんだ……)
 ナイルのモノが挿入され、挿入されたモノは、ミナの体内で締め付けられている。締め付けられたかと思うと、締め付けが緩み、またきつくなってくる。この繰り返しだった。この体全体が蕩けるような感覚。もはや、理性や我慢の文字はナイルの思考回路にはなかった。あるのは、本能もしくは欲望のみ。
「やっぱり、ドラゴンだからおっきいのね……」
 普段なら、体の大きさが違うから、といった返しができるのだが、こんな状況ではそれも不可能だった。
「あ、あははは、もっと満足させてあげるよ……」
「え、ちょ、ちょっと、やめて!!」
 ナイルは、体を起こすと、両手でミナの体を掴み、腰を動かした。締め付けられているモノに自分で刺激を追加するナイル。子孫を残そうとするエロ成分100%のドラゴンが自分のモノを相手の中で果てさせようとしていた。
「いっ、痛い! もうちょっと加減して!」
「うっ、ああっ、もうダメ、また出る!」
 ナイルはミナの体内での締め付けに耐えられず、再び、モノから白濁を放った。

 それから、ナイルの記憶は途切れてしまった。ちょうどその時、ミナが起きてきた。
「あ、おはよう。結構激しかった……。ナイルってSなの?」
「いや、そっちがやろうって言ってきたんじゃん!」
「あと、それ、外したら?」
 ナイルが自分のスリットを見ると、何が挟まっていた。引っ張ってみるとゴムでできた袋のようなものが出てきた。口からは白濁がこぼれている。
(こ、これって、もしや?)
「よかったわ、避妊具つけておいて。大都会のコンビニってこんなものも売っているのね」
 ナイルはほっとした。万が一、相手を妊娠させてしまったら、とんでもないことになる。詫びれば済む問題ではないのだ。ヤっているときはそんなこと微塵も考えなかったが。

 やがて、結城が起きてきた。そして、ナイルの顔を見ると、こう言った。
「お前、鼻血出てるぞ?」
「へ?」
 洗面台の鏡の前に立ってみると、確かに、鼻の穴から血が出ていた。もっともその時はすでに固まっていて、茶褐色になっていた。
「エロい夢でも見たんじゃないのか」
(中らずと雖も遠からず、かな)
 朝食を済ませると、阿南がやってきて、ミナを引き取っていった。
「悪るかったなぁ、突然のことで」
「いやいいよ。困った時はお互い様だからな」
 阿南が帰ると、結城はこう言った。
「ナイル」
「ん?」
「お前も立派なオスだよな」
「何が言いたいの?」
「いや、別に?」
 何を言いたいかは分かっていたから、ナイルはあえて何も言わなかった。


 終わり




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