ポケモン小説wiki
君の隣で笑っていたい の変更点


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writer is [[双牙連刃]]
短編小説第2弾! こつこつ書いてた物が出来ました!
自分の文章力の強化+官能表現の練習に書いていた物です。
ゆえに! &color(Red){官能表現が含まれています!}; ご注意ください!
因みに&color(Red){人×ポケ};です! 嫌な人はバックボタンを押してください。
では、スタートです。
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 部屋の窓から降り注ぐ朝日が、俺をまどろみの中から現実へと呼び戻す……。

「ご主人様ぁ、もう朝ですよぉ~」

……プラス、毎朝この甘ったるい声でさらに俺の覚醒値は上昇させられる事になる。
もう少しだけ寝ていたいんだが、

「起きてくれないや。じゃ~あ、今日はこうしちゃお~」
「うぐぉ!」

腹の上に突然の衝撃。毎朝毎朝こいつは……。

「重いって! 起きたから降りてくれよカイリュー!」
「おはよっ、ご主人様」

俺のパートナーのカイリュー。付き合いはミニリュウの頃からだからそれなりに長い。
俺を慕ってくれてるのは良いんだが、どうにもスキンシップがオーバーなのがたまにキズ。
今朝は俺の腹の上にダイビングを決めた後、両肘で頬杖を突いて面白そうに人の顔を覗き込んでいる。

「僕、お腹空いたよ。朝御飯ちょ~だい」
「俺、腹にダイビング決められて苦しいんだが……」
「愛情表現だから我慢して」

こう言われてしまうと後は何も言えない。
仕方が無いからベットから起きて朝飯の用意をしますか。
因みにダイビングはもちろん技ではない。技だったら俺は軽く死ねる。

「ふぅ、しょうがないな、起きるからいい加減降りてくれ」
「はぁ~い」

ふわりと体を浮かせ床に降りる。
いつ見ても便利な物だな。飛べるっていうのは。
俺も見てないで起きよう。寝そべってたらまた奇襲を受けかねん。
大して広くない部屋をテーブルなり何なりを避けながら台所へ。
冷蔵庫の中には……夢だけなら溢れてるぞ。うん。
食材は食パンとバターとりんごジャムだけだがな!

「今朝もトーストなんだから早く作ってよ~」
「ぐっ、分かってるよ」

貧乏学生の俺にはこれが精一杯。もっとましな物を食わせたいとは思うんだが……。
如何せん先立つ物が無い! 原因は俺の趣味のゲームなんだがな。
新作が出るとどうしても欲しくなる! この衝動を分かってくれる人は居るはず!
なーんて言い訳を考えてるうちにトースターから焼きあがった食パンが飛び出してきた。
これにバターを塗り、仕上げにジャムを塗れば……。

「ほら、出来たぞ。ジャムトースト」
「わ~い! いっただっきま~す」

出したとほぼ同時に皿の上からトーストは消えた。
どれだけ腹空かしてたんだか……健康な証だから良いけどな。
パクパクパクパク何にも言わずに良く食うわ。
……て俺の分まで無くなってる?!

「ちょっ、おいおい、俺の分は?」
「もう遅いもん。食べちゃってから言わないで」

はぁ……朝飯抜きですか。しんどいよ正直。
こいつは口の周りジャムだらけだし。それが何となく可笑しくて、

「ぷっ、くはは! 口の周り拭いとけよ?」

思わず笑ってしまう。

「ひっどーい! 笑うことないでしょ!」

ムキになってほっぺ膨らましてそっぽ向かれた。
その様子もなんとも微笑ましいもんだ。
こいつが居るから、こと笑いに関してはネタが尽きた事が無い。

「いいんだ~、そうやって口開けて笑ってるなら……」

ん? 何する気だ?

「こうしちゃうもん」

振り向くと同時に俺目掛けて突進してきたし!
俺は避けれません。避けると部屋が壊されかねないし。

「わ! 待った待った! んぐぅ!」

……朝一から本当に申し訳ない。カイリューからの熱烈なスキンシップの所為なんです。
俺とカイリューの口が重なりました。ついでに、舐め取ったんであろうジャムの味が口の中に広がってきます。

「……ぷはっ、これで朝御飯はいいでしょ?」
「良い訳あるかい! どうしてお前はそうオープンなんだ!」

ほんとにもう……ミニリュウの頃はもっとおしとやかだった記憶があるぞ?
それが進化する度に積極的な性格になっちまってまぁ。今や平然とこういう事をしてきますよ。
とりあえずご馳走様です。と心の中で言っておこう。
本人に言うと何を企てるか分からんからな。
俺の方は基本的に拒んだりはしない。キスくらいしかしてこないしな。ディープじゃないぞ。
が、やはり他人の前ではこんな事はしないしさせない。
こいつも理解しているのか、人前に出ると若干大人しくなる。あくまで若干だが。

「あはは! 僕の事笑うからだよ~! これでおあいこ♪」
「全く……そろそろ学校行くから支度しろよ?」
「オッケ~イ」

毎朝こうドタバタしている訳ではない……。
嘘です。毎朝こんな感じです。
ふぅ……起きて早々こんなテンションで良く一日持ってるもんだよ。
なんだかんだやってる内に登校時間が迫ってくる。
おっと、のんびりしてないでさっさと支度するか。

 落葉舞い散る中を制服を着た集団が歩いていく。
要は登校風景だ。登校時間が決まっている以上こうなるのは必然だよな。
季節柄、マフラーなりコートなりを着ているのがほとんどだ。
一方俺はというと……。
実は制服以外何も身に着けていない。
寒くは無いのかと聞かれたら答えはイエス。寒くは無い。
何でかと言うと……言わなくても分かってしまいそうだが、
カイリューが俺の首に抱きついた状態で歩いているからだ。

「ご主人様、あったかい?」
「あぁ、それなりにな」

実はかなり温かい。人肌ならぬポケ肌が密着しているから当然と言えば当然だな。
首に抱きつかれているからと言って苦しいことも無い。こいつ、常に軽く浮いた状態だから重さを大して感じないのだ。
傍から見ればデカいオレンジ色のマントを羽織っている感じだろうな。

「あ、あの子ポチエナ抱っこしてる。いいなぁ、僕も抱っこ……」
「流石に無理だからな? 絵的にも肉体的にも」
「ぶぅー、ご主人様のケチ」

膨れた顔がまた可笑しい。しかし、こいつはなんて事を要望しようとするんだ……。
自分より大きいこいつを抱っこしているのは目立ちすぎる。今でももうかなり手遅れなんだが。
それに浮いてないこいつを支えるのには俺の力は到底足りない。
今の状況もこいつが浮いているからであり、地面を歩いているこいつにこんな事されたら首の骨が逝ってしまう。

「あーあ、ハクリューの頃はご主人様に巻きつけたからもっと楽しかったのになぁ」
「俺は大変だったぞ……」

……うん、登校中もいつも通りだ。
こいつが居ると本当に笑えるし退屈しない。良いパートナーを持ったもんだと思う。

 さて、登校を終えて校舎内に入ってきた訳だが、教室はクラスの奴らと、そいつらの連れてきたポケモンの雑談で満たされている。
基本的に俺の学校は常時ポケモンを出していて構わないことになっている。
理由は、学校の売りがポケモンとのコミュニケーション能力の育成というなんとも先進的な物の所為だ。
先生方が「失敗した~」って言っている所を見た事もあるが……お陰で入学者は年々増えているそうだ。
先生方の失敗の理由はもちろん、授業中にポケモンからの授業妨害があるからなのは言わずもがなだな。
そりゃそうだろうな。隣に好きなポケモンが居て授業に集中していられる奴はそうそう居ないだろう。
ポケモン達だって、退屈な授業など聞いているより自分の主人と話したり、他のポケモンとバトルしたいと思うのが当たり前だ。
それでも何とかやっていけてるのは先生方の努力の賜物だろう。
……と、長くなってしまったな。俺も誰か話し相手を探すか?

「よぉ、今日も仲良さそうに登校してきたみたいだな」
「……見てたのか?」
「見ようとしなくても目立つんだよ。お前位だぜ? 大型ポケモン連れて歩くなんて」
「しょうがないだろ? 俺の手持ち、カイリューだけだし」

探さなくても隣の奴が話しかけてきた。一応、ダチの一人である。
こいつのパートナーは確かイワークだったはずだぞ? 人のことは言えないだろうが。

「お前はどうなんだよ? イワークの方が遥かにカイリューよりデカイ筈だろ」
「俺は彼女が乗せてくれるから良いのだ! それで全てが許される!」

訳ないだろ! とツッコミたかったが自分の世界にトリップしたようだから止めた。真性のイワーク馬鹿だ。
そういえばカイリューが大人しいな? ……と思ったらどっかの奴のピジョンと話ししてたし。
なかなかな状況だろ? 俺の学校はこんな感じでいつも賑やかだ。
先生方の苦労に思わず合掌してしまいそうである。

「よーしお前ら! 席に付けー! ポケモンは各自の主人の横で大人しくする!」

先生到着! おぉ、一声で静かになったよ……珍しいな……。
さて、朝礼を聞いてるのも退屈だよな。人の話ほど強力な睡眠薬はこの世に存在しないと俺は思っているよ。
う~ん、やっぱ眠くなってきた……少しくらいならバレないかな。
授業始まるまでだ! そう自分に言い聞かせて俺は夢の中へ……。

 「ご主人様~、おーい」
ん? なんか耳元で呼ばれたような?
「もうお昼だよ~、起きないの~?」
……よーしまずった! 寝過ぎだろこれ!
「うわ! そんなに寝ちまった!?」
「うん。途中で抱きついても起きなかったからビックリした」
「無防備な俺に何してんだよ……」
「もう、起こしてあげたんだからまずはお礼でしょ!」
「目覚まし役ご苦労さん」
「むぅ、ご主人様の意地っ張り! 素直にお礼くらい言ってよ……僕寂しい……」

カイリューの目に涙が薄っすら滲んできてるよ……。
起きて早々自分のパートナーから泣き落としを食らってる俺って一体……。
仕方ない、ここは妥協しよう。

「分かったよ……いつもありがとうなカイリュー」
「感謝してるならキスして」

…………。

「よし昼飯調達しなきゃな。購買のパンはまだ残ってるかな~」
「はぐらかした……」

当たり前だろ! 教室の端とはいえそんな事したらどうなる事か!
でも、拒否できない自分がここに居る。
こういう煮え切らない態度とるからこいつのやり方がエスカレートして行くんだよなぁ。
分かってはいるんだけどどうしてもはっきりさせる機会が無い。
機会があったとしても、どうしたらカイリューを傷付けずに済むかが俺には分からない。
昔からずっと一緒にいるこいつを嫌いな訳が無いんだ。でも、俺にはこいつに今の関係以上を望む程の度胸が無い。
現状維持……それが今の俺に出来る最良の策なんだと思ってるんだ。許してくれよ……。

「ん~、まあいいや! 御主人様の傍に居るだけで楽しいもんね! 早く昼御飯にしよう!」
「うむ! まずはなんか買わなきゃな。パン以外にリクエストあるか?」
「むしろパン以外なら何でも良いよ」

……貧乏な俺を許してくれ……。

 午後の授業も終わり下校時間になった。
へ? 結局昼飯は何になったか? そんな事誰も気にならないだろ?
……カイリューがカツサンド(200円)、俺が焼きそばパン(120円)になりました。
俺のほうが安いもん食ってんのはツッコまないで。自分で悲しくなってくるから。
仕送りで暮らしてる俺が悪いんだよな……バイトでもするか……。

「な~に悩んでるの御主人様?」
「……人生」
「あはは! 何それ~」

お前にも十分関係ある話なんだが……。

「そんなの悩んで暗い顔してないで笑いなよ~」

脇腹に潜り込まれた!? しまっ……。

「それっ!」
「うわっ! ちょっと待て! あはははははは!」
「うわ~、お前ら楽しそうだな」
「こいつが勝手にゃはははははは!」
「あー、その状態じゃまともに喋れんわな」

分かってんならカイリューを止めてくださいよ!
隣の席になった縁じゃないですか。そんな生暖かい目してなくていいから!
ていうかクラスの視線が痛い! 何? 全員で撃ち抜かないで! 俺のせいじゃないの!
もう早くお帰りくださ~い。これ多分しばらく終わりませんから。

「カイリュースト~ップ! ごめんほんと息できなははははははは!」
「御主人様の笑った顔面白~い」
「いや、ほんとに白くなってきてるから止めたげようか」
「へ? あ、ほんとだ」

ナイスだ友人! 一瞬、綺麗な川が見えるところだったぞ。
自分の相棒に殺されてたまるか! っていう精神で何とか耐えたけどな!

「お、おま! 加減を考えてくれ!」
「ごめ~んね?」
「舌出して謝っても駄目!」
「……お前ら本当に仲良いな? 俺と彼女ほどじゃないけど」

さり気なくノロケんな! そして教室内でイワークを出そうとするな! 教室が保たない!

「いや待て待て! もう俺らも帰るから外出てからボールから出せ!」
「む! 俺の愛は止められんのだ!」
「止める気無いから外まで待てと言ってるんだ!」
「そこまで待たせたら彼女に悪いだろ!」
「……待たせない方法で外に出れば良いんだな? カイリューいけ!」
「了解~窓から出すよ~」
「いや、ここ三階! 窓からって!」
「お前自身で選んだことだ……」
「ちょ、カイリューちゃん待って!」
「バイバ~イ」
「いやあああぁぁぁぁ……」

カイリューが窓の外まで出て友人を投棄した。
助けてもらってあれだが、己の行いを呪うがいい。
やれやれ、騒がしくしちまったな。さっさと帰るか。

 朝来た道を今度は家へと向かい歩く。
友人は玄関出てすぐの所で拾った。イワークに助けられてたから平気だろう。

「平気だからって窓からは無いだろ!」
「そのお陰でイワークに乗せてもらってるんだからいいだろ?」
「乗せて貰ってるのはいつもだ!」

イワークに苦労掛けている事を力強く言われてもな……。
当のイワークは苦笑いしてるぞ? 乗ってるこいつは見えてないだろうがな。

「なんか僕も御主人様おんぶしたいな~。乗る? 御主人様?」
「俺は別にいいよ。お前が疲れるだろ」
「僕の力強いんだよ? それくらいへっちゃらへっちゃら!」
「知ってるよ。でもいいって、大した距離じゃないんだし」

こいつに乗るのは主に里帰りの時。他の交通手段より断然早いし乗り心地も良い。
だからって普段から乗せてもらうと癖になるから自主規制。運動もしなけりゃな。
さて、家まであと少し。友人は相変わらずイワークの上でダラダラしている。
同じ方向だから一緒に帰っているがどっちも目立つよな。
片やイワークに乗った学生。片やカイリューに乗られた学生。
これが街の景観に溶け込むことは無いだろう?

「お、おい! 前見ろ前!」

突然友人が大きい声を上げ出した。
前? 確かに友人の方を見てたから後ろ向いて歩いてるけど躓くような物は無いはずだぞ?
違った。振り向いたら軽自動車がこっちに突っ込んで来てた。クラクションも鳴ってないぞ。
もうこれは逃げられない。そこまで気付かないとは俺も馬鹿だな。
……冷静に考えてもどうやら横にも上にも避けられそうに無い。カイリューでも飛ぶのに僅かなタイムラグがあるからな。
飛び上がりきる前に接触しちまう。
俺は避けられなくても……こいつまで巻き込まれない方法が一つある。
幸いなことに、もうカイリューは俺の首から離れている。俺を逃がす手段でも考えてるんだろう。

「カイリュー」
「御主人様何してるの!? 早く逃げようとしてよ!」
「ありがとな」

そう言って俺はカイリューを持ち上げ、空中に放り上げた。

「お前何して……」
「え?」

友人が驚きの声を上げる。
カイリューが何が起きたか分からないような顔をしてる。
その顔に俺は微笑みかける。
俺自身、これがこいつにしてやれる最後の笑顔にならない事を祈りながら……。

 次の瞬間、今度は俺が空中に投げ出された。
自動車にぶつかった時に右足が酷く鈍い音を立てて音信不通になってる。
その後フロントガラスの激突し、右腕もいかれちまったようだ。
右足は痛みすら無い。千切れ飛んではいないと思うが……。
ついでに言うと頭もぶつけちまった。今ある意識だって右腕からの痛みで僅かに繋がってるだけだ。
空が……凄く青く見える。
いつもより全然綺麗なのに笑えない。
そりゃそうだ。この先に待ってるものに先なんて無い。
この一瞬の重力からの開放が終われば俺に待つのは硬い地面だ。
半身が駄目になってる俺には助かる方法が無い。
ははっ、こんなときでも頭を掠めていくんだから俺らの絆も中々なもんだな。

なぁ、カイリュー。
お前は無事だよな? 確認するのは無理そうだが、俺が命賭けたんだから無事だろ。
俺が居なくてもお前ならやっていけるだろ?
親も面倒見てくれる筈だよな。俺が育ててたんだから。
……そろそろ終わり、か。
体から浮遊感が無くなっていくのが分かる。よくこんだけ飛んだもんだ。
後は地面までのフリーフォールが始まる。そして地面に着いたら俺終了。
若いよなぁ。もっと出来ることあったよな。
カイリューにも言いそびれた事あるし。
もう、どうしようもないな。俺空中だし……?
長くねえか? 一瞬てこんなに長いか?
暗いな……あ、目閉じてた。
俺どうなってんだ? 訳が分からん。

 目を開けてみたら俺はまだ空中にいた。
抱きかかえられる様にしてカイリューの腕の中にいるらしいな。

「御主人様!? 御主人様! しっかりして!」

覗き込むようにして俺にカイリューが問いかけてる。
良かった……何ともなさそうだ。

「だい……じょうぶ………だから……」
「御主人様?! 目閉じないでよ! 起きてよ!」

カイリューの目に大粒の涙が見えたから泣くなまで言いたかったんだけど、どうやら時間切れだ。
目の前が真っ白になっていく……。
最後に見れたのが、こいつの空みたいに青い瞳だっていうのでよしとしておくか……。

 意識が……戻った。
生きてる? んだよな。意識があるって事は。
この横になってるのはベットか? どうなってんだ?
体は痛くない、けど右腕と右足は動きそうに無いな。
固定されてる……ギプスか?
という事はだ、ベットが有って傷の手当が出来てギプスの装着が出来るところにいる。
つまり此処は病院か!

「気がついたのか? おーい」
「俺……生きてんのか?」

友人が隣の椅子に座っていた。
あれ、私服になってる。どの位時間が経ったんだ? 外は暗いみたいだが。

「二日で目が覚めて儲けもんだな。医者は一週間位掛かるって言ってたんだぜ」
「は? 二日も寝てたの俺?」
「寝てたってか意識喪失な。轢かれて生きてんだからついてるぜ」
「轢かれてる時点で運無いだろ」
「言えてる」

本当によく生きてたもんだ。
見れば、右腕はガッチガチにギプスで固定されてる。
右足もだな。

「その腕と足は骨折だと。右足のほうは複雑骨折らしいが、直れば元どうり動けるってさ」
「その腕と足は骨折だと。右足のほうは複雑骨折らしいが、治れば元どうり動けるってさ」
「そっか、助けられたみたいだな。サンキュ」
「それは反対向いてから言う台詞だぜ?」
「は?」
「いいからそっち見てみろよ」

言われた通りに首の向きを変えた。
……かったがスムーズには出来なかった。首超いてぇ。

「カイリュー……」
「そう。カイリューちゃんが此処までお前を運んだんだぜ? いやー見せたかったね。超スピードで空を飛ぶ姿、目茶苦茶カッコ良かったぞ」
「そっか、命の恩人、ならぬ恩ポケか」
「そういう冗談言えるなら大丈夫そうだな。あ、飯なんかは俺が上げてたから心配すんなよ」
「お前にも世話になったみたいだな。ありがとう」
「ダチだろ? 当たり前だ」

うわぁ良い奴だ。ヤバイ泣きそう。
普段とのギャップが激しい。どっちが素なのか気になる。
そんな事はどうでもいいか。

「おっと、そろそろリミットだな」
「ん? リミット?」
「お前面会とかした事無いの? 面会時間の終了」
「ああ、そういうこと」
「じゃ、俺帰るわ。あ、お前の親には学校から連絡入ってるらしいぜ。その内来るとさ」
「その内かよ……ま、心配させたから贅沢は言えないな」
「そうそう。カイリューちゃんにもちゃんと礼言えよな? 付きっ切りだったんだからよ?」
「分かってるよ。じゃあな」

後ろ向きに手振りながら友人は病室を後にした。
退院したら何か奢ってやろう。
さて……。

「もう寝た振りしなくていいぞ」
「あれ、バレちゃってた?」
「付き合い長いんだ。なんとなくな」

狸寝入り……そんな芸当まで習得しているとは思ってなかったがな。
大方、友人と俺に慣れない気遣いでもしたんだろう。

「えへ、御主人様には何でも分かっちゃうんだねぇ」
「あぁ、今のお前が無理に明るくしてるのもな」
「……分かっ、ちゃ、うんだ」

目が潤んでるんだから誰にでも分かるって。
さて、カイリューダム決壊まで、5……4……3……2……1……。

「うわああああぁぁぁぁん! 御主人様のバカー! どうして僕の事助けようとしたの!? 死んじゃってたかも知れないんだよ!?」

0、やっぱりそこ突いてくるか。答えるか? はぐらかしてもいいんだけど……。
いや、言うチャンスかもな。この状態ならおかしな事にはならないだろうし。

「お前に痛い思いさせたくなかったんだよ。その、大好きなお前にな」

言っちまった……うわ恥ずかしい! やばいって顔! レッドゾーン越える!

「う、ひぐっ、だからって自分が痛い思いしなくてもいいでしょぉ……僕が泣くのはいいの?」
「あの時は仕方なかったろ? それにもう泣くなって、お前は笑顔が一番似合う」

おっほぅ、自分の口の滑りの良さにビックリ。よくそんな台詞が出たな。普段なら絶対言わないだろう。
まぁ、事実ですけど? 泣いてるこいつ見てるのはやっぱりこっちとしても辛い。

「泣かせたのは御主人様なんだから泣き止ませて」
「へ? どうやって」
「……キス、しよう」

無茶を言いなさる。満身創痍の俺が体を起こせる訳無いだろ。
第一、此処病院! いつ誰が来るか分からん。そんな事できるか!

「大好きならいいでしょ? 体起こせないなら僕から……」
「いや、誰か来るかもしれないだろ? 此処では不味いって」
「大丈夫。もう後は夜中の見回り位しか来ないって看護師さん言ってたもん」

用意周到なことで……。俺は避けようが無いんだから受けるしかないよな? まぁ、いつもの奴だろ。それ位ならいいか。

「はぁ、どうせ俺は何にも出来ないんだ。好きにしろよ」
「……じゃあ、いくからね」

カイリューがふわりと俺の上に乗る。
重くは無い。いつもの通り制御して浮いてるんだな。
カイリューの顔が迫ってくる……。
う、いつも以上に恥ずかしいぞ。いつもは突撃してくるのを受けてたし。
カイリューもいつもは赤くなんてならないのに、今はそのオレンジ色の頬が赤くなってる。
見ている内に俺達の唇が重なりあった。

 柔らかい……そして温かい。
いつもはそんなの気にしないうちに離れてしまってたからな。
長い分、唇の感触が良く分かる。
あ、あれ? 何かが俺の口をこじ開けようとしてるだと?
もしかして、ディープな方しようとしてるのか?
……拒む必要は無い、か。俺はもう、自分の気持ちをこいつに伝えたんだからな。
迎え入れてやったら、カイリューの舌は俺の口の中を舐め回し始めた。
俺の方もその舌に自分の舌を絡ませる。
自分達の舌が絡み合って出る水音が何とも恥ずかしい位に二人だけの部屋に響く。
友人が扉を閉めていってくれなければ大変な事になってただろうな。
カイリューの額の触手? が舌が触れ合うたびに小さく震えている。
喜んでるんだよな?

 カイリューが口を離した。
二人の舌を唾液が繋いでいる。それも直ぐに雫となって布団の上に落ちた。

「満足……したか?」
「うん……ありがとう」

 流石にこれで終わりだろう。俺も病み上がりだから体力の限界が通常よりも遥かに早く訪れる。
というか病み上がってすらいない。これ以上のことは無理だ。
が、カイリューが上から降りない。その答えはどうやら一つだろう。

「御主人様、もっとしたいって言ったら、どうしてくれる?」

そう来たか。俺の体は気遣ってるが自分の高まった欲も何とかしたい。
葛藤の末の答えなんだろうな。

「この体で出来る範囲でならしてやるよ」

あぉ、言っちゃった! あ~あ、俺もぶっ飛んでるな。

「じゃあ、あの、その……弄って」
「ん~? 何処をだ? 言わなくちゃできねぇぞ?」

モジモジしてる所が可愛く写ったのが悔しいから苛めてやりたくなりました。すいません。

「えっと、僕の……あそこ……」
「何処よ? 脇腹か? それとも腹か?」

そういって脇腹と腹の順に左手だけでくすぐってやった。あの日の仕返しなのは言うまでもない。
プニプニとした触り心地がとても気持ち良い。

「にゃははははは! 止めて~、くすぐったいよ~!」
「どうだ? 弄るってのはこれでいいのか?」
「ひゃははは! 違う違う! 僕が言ってるのは僕の秘所の事! ……あ」

よーし自白完了! やっぱ俺達はこうでなくちゃな。やられっ放しは御免だ。

「よく言えました♪」
「う~、イジワルぅ~」
「悪い悪い。どうしてもこういうムードが苦手なんだ。許してくれよ」
「うぐぅ、正直に言ったんだからもう逃がさないからねっ」

そう言って自分の体を起こして俺の左手を自分の秘所まで持っていく。
俺の手がカイリューの秘所に触れた。

「あぅ! そ、そんな急に触んないで……心の準備が……」
「自分で持ってといて何言ってんだよ」

ゆっくりと普段は隠れているそこを撫でていく。
初めてながら俺もよくやるよ……本能の成せる技かね?

「あ、うぅ、気持ち良いよ御主人様ぁ」
「撫でただけでこんなになるのか……」

こいつの秘所から、止めどなく液体が流れ出し始めた。
これが愛液って奴か……なんか凄い。
こんだけ濡れてるなら指ぐらい入るかなっと……あ、入った。

「ふあぁぁぁぁ!? 何してるのぉ!?」
「いや、指入るかなと思って試してみたら意外とすんなり」

カイリューが大きな声出すから中で指動かしちまったよ? 入れただけでこれなのに不味いか?
でも、腹よりさらに柔らかくて、熱くて、気持ち良いかも。

「あぐぅ! 動かさないでぇ! 僕、イッちゃうよおぉぉぉぉ!」

快感に耐えられなくなったのか、カイリューの秘所から大量の愛液が噴き出して布団の上に広がっていく。

「ふひゃぁぁ、激しいよぉ……」

空中でフラフラしてる……頼むから気が抜けて落ちてきたりしないでくれよ? 本当に死んじまうぞ?

 「もっと気持ちよくなりたぁい……御主人様ぁ」
「え……まだ続けろと? 今だけでも大分大変な事になってんだぞ? どうすんだこの布団」
「僕が何とかしてあげるからぁ、此処、もっと気持ち良くしてよぉ」

カイリューが俺の顔の目の前に自分の秘所を持ってきた。
カイリュー壊れた? そんなに気持ち良かったのか……。
でもこれを顔の前に持ってきてどうしろと?
とりあえず見せてんだから見よう。……俺はポケモンのこんな所見てる……変態かもしれない。
実況すると、凄いです。愛液に濡れてテラテラ光ってます。さっき指入れた所為か僅かながら拓いてるし。
奥まで見える……ことは無い。途中で膜のような物がある。
一応授業で習ったが……処女膜って奴だよな。多分……。

「いやぁん、そんなに見ないでよぉ、恥ずかしい……」
「自分で見せといて今更だろ……」
「見せてるんじゃなくてぇ、綺麗にしてほしいのぉ」
「綺麗に……てまさか」
「舐めてぇ、御主人様ぁ」

そう言った途端にカイリューの奴が自分の秘所を押し付けてきた。
く、首が! 早く満足してくれないと窒息+首の痛みで気絶する!
気絶したらこんな状態のカイリューと布団が看護師の目に触れる事になる!
さっさとイかせて正気に戻ってもらはねば!
でも、舐めるっていう事は舌をこいつの此処に挿れるってことだよな?
大丈夫なのか? 指だけでこんなになってんのに。
とにかくチャレンジ! しないとこの状況は終わらない!

「ふ、あぅうう! 御主人様の舌が僕の中で暴れてるよぅ!」
「ん、ぐ……」

中を舐めてやってる訳だが、最初思ってたより悪くない。
中の柔らかさが指よりも遥かに分かって心地良い。
舌を締め付けられて驚きはしたが、それも結構気持ちよかったり。
これで反応しない自分の秘物が情けない……。
五体不満足なんだからしょうがないか。

「ふぅぅぅぅ! あにゃぁぁぁぁぁ!」

カイリューの方はもう何にも考えれないようだな。
そんならさくっと終わらせますか。もう首も辛いし。
俺は舌を動かすスピードを今出来うる限りの最大にした。

「駄目ぇぇぇぇ! 我慢出来ないよぉぉぉぉぉ!」

二度目の愛液の決壊。もちろん俺の顔面直撃。

「はふぅ、ふぅ……」
「ぶはぁ、やっと開放されたし!」

べっちゃべちゃだ。シーツも俺も。

「はぁ、御主人様、ありがとう」
「俺が礼言う前に先に言うなよ……言い辛くなるだろ?」
「なんで? 僕がしてもらったのに?」

分かってないのかよ! もう、さっさと言っちまおう。

「俺が助かったの、お前が此処に運んでくれたからなんだろ?」
「あ、あー! 忘れてた……」
「全く……ありがとう。お陰でまたお前と暮らせるよ」
「うん!」

お互い笑顔で向き合う。
これからもこいつと一緒に笑っていられるのが今は嬉しい。
また、こいつの隣で笑っていられる事が俺の幸せだ。

「さ~てと。着替えなくちゃね? 顔も拭かなきゃだし。後この布団も何とかこっそり変えなくちゃ!」
「わりい。頼むわ」
「えっへへ~、この続きは、退院してからね♪」
「……………………」

こいつの隣に居るのも大変そうだけどな。

        ~Fin~
----
後書き!
いやぁ、長くなってしまいました。
挿入無しの官能表現でしたがいかがでしょうか?
こういう作品もありだとは思うのですが、少し気掛かりになってはいます。
書き上げてから言う事でも無いですね。
次回作はこれがかなり頭を使う作品だったので、もっと気楽に書いた作品にする予定です。
では、またの機会まで、御機嫌よう……。
----
感想頂けましたらこちらまで!
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