[[同的6]]の続きです。ややモチベーション下がり気味です。 また変なの入れてしまいました。♂レイプ的・・・まあ[[同的3]]と同じ感じです。 #hr 「ふぁぁ・・・いま何時だろ・・・」 僕はまだ暗いのに目が覚めた。いつもならずっと朝まで寝てるのに。よっと、という声を出して手元に目覚まし時計を手繰り寄せる。 「まだ3時半じゃん・・・まだ寝れるかな・・・」 寝ようと思って僕は布団を深くかぶった・・・でも緊張してるわけでもないのに・・・寝れない・・・ ぐ〜、とお腹が音を立てる。僕のお腹は何か食べるものを求めてるみたい。 「はぁ・・・お腹すいたけど・・・もういいや。顔も合わせづらいし・・・でもなぁ・・・」 僕はこっそり風呂場に向かう。汗がベトついて気持ち悪いからだ。 「真っ暗だ。まぁ、寝てるよね。」 風呂場に着くと脱衣場で汗まみれの服を脱ぎ、仰向けになってシャワーを浴びる。音をたてないように慎重に。僕の目に風呂場の天井が目に入る。 「綺麗だな・・・カビてるかと思ったのに。」 じゃばじゃばと水が僕の身体を流れていく。満足した僕は身体を乾かして再びベッドに横になった。シャワーを浴びて少し疲れたのか再び眠りに落ちた。 「ん?」 僕はちらっと時計を見る。 「うわぁぁっぁぁ!遅刻する!」 時計の針はすでに7時半。試合の準備をしないといけないので、いつもより早くいかないといけない。すっかり眠ってた。 僕は急いで制服に着替えてカバンを持って家を飛び出す。 「いってきます!」 「おい・・・ごは」 「そんな時間ない!」 「ぉぅ・・・じゃあいってら・・・」 父さんは少し申し訳なさそうに僕に声をかけた。でも僕はそれどころじゃない。四肢を存分に動かして4足で走るマックスのスピードで走る。 「うりゃぁぁぁぁ!」 思わず声が出る。とにかく時間がないのだ。するといつもより早く学校に着いた。 「はぁ、はぁ・・・もうみんな来てるかな?」 僕は部室に急いだ。 がちゃがちゃ・・・鍵閉まってる・・・ 「あれ?そこまで遅かったかな?」 僕は鍵を取りに事務室に向かった。 「すいませ〜ん。アーチェリー部の部室の鍵をお願いします。」 「おう!朝から早いね!」 事務員のグラエナさんは機嫌がよさそうだ。 「へ?早い?」 「おぅ・・・だって・・・まだ7時半だぜ?」 「え?」 僕は事務員さんに時計を見せてもらった。事態がさっぱり理解できない。うーん・・・僕の時計が早かったって話かな? 安堵すると途端にお腹の虫が騒ぎだす。ぐぅ〜・・・ぐ〜・・・ぎゅるるる〜・・・はぁ、うるさいって。昨日のお昼から何にも食べてないからなぁ・・・ 財布を見てもお金があるにはあるけど・・・今からだったら食べたら遅くなるし・・・何か飲むもので我慢しよう。 「どうした?朝食べてないのか?」 げっ、聞かれてる。 「は、はい・・・」 事務員さんは少し困った顔をして僕を見た。 「売店はまだ開かないぞ。・・・耐えれる?」 事務員さんは僕のことを心配してくれた。 「大丈夫です。試合の記録ですし・・・」 「そっか。じゃあ試合が終わるまでの我慢だな。」 「ありがとうございます。」 事務員さんも安心したのか僕を笑顔で見た。僕は鍵を貰って部室に戻る。 ガチャッ・・・ぎぃ・・・鍵を開けて部室のドアを開けると僕は荷物をポイっと投げ出して昨日していた記録の準備をもう一度確認する。 ぐぅ〜ぐるるるる〜ぐ〜・・・空腹も頂点に達したのかとてもうるさい。30秒に一回くらいのペースでお腹の虫が鳴いてる。 「誰もいなくてよかった。」 「誰が?」 「ふえっ!」 誰かいたー!びっくりして振り返ると、眠そうにしてるケイがいる。 「おはよう。」 「おはよう・・・」 ぐるるる〜・・・お腹の虫は収まる気配がない。 「お腹痛いの?」 げっ、気付かれてるし。 「あ、いやね・・・空腹です。」 「食べてないの?」 ケイに昨日からの出来事を詳細に話す。 「ははぁ〜。大変だね・・・ダイエットでもしてんのかと思った。」 「そんなわけないでしょ?」 「だよね・・・でもシャオも軽いから。でも昨日の昼から何も食べてないんでしょ?」 「うん・・・」 「まぁ、今日試合だし。記録だから我慢すれば?私がお弁当でも・・・って思ったんだけど今日私は売店でお昼買おうかなって思って持ってきてないんだ。ごめんね。」 「いやいいよ。そんな選手に迷惑かけらんないし。」 「ふぁぁ〜私が朝早く来たつもりでもシャオはもっと早く来てたんだね〜・・・時計の故障で。」 「そう。」 「シャオらしいじゃん。」 ケイはそう言うと僕をニッコリ笑顔で見た。ぐるるるる〜・・・雰囲気ぶち壊しだ・・・さすがのケイも苦笑している。ぐぅ〜・・・ 「はぁ・・・さてと・・・記録用のホワイトボード出さないと・・・」 「そう焦らなくてもみんなが来てからでもいいじゃん。」 「うーん・・・でもね・・・お腹がね・・・」 「あぁ。そっか。」 ぐるるるる〜・・・もうやだ・・・止まらないね・・・ほんと。病気なんじゃないかな・・・ 僕とケイは急いでホワイトボードをレンジに出して、あとはみんなが来てできるのをするだけ、っていう状態にまで準備をした。 もちろんお腹の虫はおさまらない。 ぐ〜きゅるる〜・・・ 「はぁ・・・どうやったらおさまるのか・・・これじゃ記録できないよ・・・」 「・・・シャオ・・・我慢だね。」 ケイはもはや楽しんでる。一言一言に笑いが含まれてる。笑いを必死に隠そうとしてるのがよくわかる。 「ちゃんとストレッチしてよ?」 「わかってるって。」 結構時間がたったけどなかなかみんな来ない。30分たってもケイと僕だけ。 「おう・・・あれ?シャオ・・・とケイ?」 ゼロが眠そうにやってきた。 「あ・・・ゼロ早いね。」 「・・・ああ。ところでお前らなんでそんなに早いの?」 「なんでだろうね〜。」 「時計が壊れてたからね。」 「ふつう時計壊れたら遅れるもんだろ。まぁいいや。」 ゼロは弓を準備するとケイと何やら喋ってる。僕はお腹の音を聞かれまいと必死に隠す。ぐぅ〜・・・ 「シャオ、おはよう。」 「わぁっ!」 フィーアだ。僕はいきなり声を掛けられてびっくりした。周りが、っていってもケイとゼロだけだけど、僕を痛い目で見る。 「そんなにおどろ」 ぐ〜きゅるる〜 「どしたの?お腹すいた?」 「うん・・・」 「・・・はい。っていってもお茶だけど。」 フィーアは僕にお茶の入った水筒を差し出す。 「ありがとう・・・そういえば飲むもの買うの忘れてた。」 貰ったお茶を少し飲んでフィーアにお礼を言って返す。 ぎゅるるる〜 「少し落ち着いたかも。飲むもの買ってくるから。」 「ああ。気をつけて。」 「ありがと。」 僕はまだあいてない売店前の自販機でペットボトル入りのスポーツドリンクを2本買って部室に戻った。部室に戻るとみんながもう来ていた。 「準備するよ。」 「あい。」 その後は僕もお腹の音がおさまり、てきぱきと準備をすることができた。 「なぁシャオ。俺って何したらいいの?応援も出来ないし。」 ゼクスが不安そうに聞いてきた。 「うーん・・・審判の補助か、記録をホワイトボードに書いていくかのどっちかかな?」 「ありがとう。」 「シャオ、ゼクス!相手校さんが来てくれたみたいだから、校門まで迎えに行ってくれない?レンジにもう案内してくれていいから。」 ノインが選手じゃない僕たちに用事を作った。 「わかった。シャオ、行くよ。」 ゼクスが元気に駆けだす。お腹がすいてどうしようもない僕も負けじと駆けだす。 対戦校さんの案内も終わり、レンジには対戦校さんに何かあったときのために僕とドライが残った。 「シャオ〜・・・どうしたの?お腹すいてるみたいな顔してるけど・・・」 「へ?なんでわかったの?」 「そりゃ・・・なんか目が訴えてるから。私を食べたらダメだよ。」 「何言ってるの?はぁぁ・・・」 「暇だよね〜。記録の準備もう出来たの?」 「そりゃぁもう。そこのテントの机の上に全部置いた。」 僕はレンジに設営したテントとその中の記録席を指さした。 「準備いいよね。まぁ経験からしてできて当たり前か。」 「♂♀が同じレンジで試合するから少し面倒くさいけどね。」 いい天気の中僕たちは他愛のない会話をして時間を過ごす。 みんなが集まってきた。 「そろそろかな。」 「何が?」 ドライが僕に聞く。 「まぁ見ててって。」 僕は記録席に向かい、スコアカードの数を数える。 「えーっと♂8枚か・・・うっし、2校で16枚だ。♀は5枚と5枚の10枚だな。」 ノインとヌルが記録席にやってきた。 「はい、ノイン、ヌル。スコアカードです。がんばってね。立ち順表もちゃんと持ってる?」 「当たり前だろ・・・ってない?・・・あ、あった。ごめん。」 ノインは焦ったがヌルは少し笑ってる。相手の部長さんと♀1的の方にもメンバー表を渡して一応朝の仕事は終わり。 「シャオ〜!」 ケイが僕を呼ぶ。 「ストレッチしてよ。」 「わかった。」 ケイは相変わらず硬そうに動く。 「いだいいだい・・・シャオ痛いって。」 「これ出来ないとほかのもできないって。」 僕は順序よくケイの筋肉をほぐしていく。 「う〜気持ちいい〜。さすがシャオだぁ〜・・・」 「終わったよ。」 僕はケイから手を離した。 「ありがとうっ!これで今日も580狙うよ〜。」 「がんばって。」 そうは言ったものの・・・お腹すいたなぁ・・・お腹は鳴りはしてないけど・・・いつまた鳴るのか・・・ 審判から試合の説明、形式の話が延々あっていよいよ試合は始まる。 対戦する学校は決して強くない。みんなの点次第では十分射程圏内だ。リーグが違うから対戦することはリーグ戦ではないけど。 「先攻50m一回目・・・」そのアナウンスがあり、いよいよ試合は始まった。僕は記録席でただボーっとしとくだけ。対戦校さんで選手じゃない方とも話がはずむ。 6本射ち終わったのか後攻のチームがどたどたと記録席に駆け込んでくる。 「えーっと、♂先攻1的の方・・・一回目35点でした・・・」 そんな声が延々と続く。僕はひたすらペンを動かして記録用紙に記入していく。そして片方の記入が終わると電卓をダカダカと叩いていく。 「電卓速いですね・・・」 「もう慣れです。」 なんてのもいつもの試合の会話だ。そして相手方の記録さんと点数の照合をして間違ってなければ・・・ 「ゼクス・・・これホワイトボードに書いて。」 「ええぅ・・・パシリかよ・・・」 「暇でしょ?」 「うーん・・・」 とゼクスに丸投げ。暇なヤツがいるとこういう芸当も出来るから記録は楽といえば楽だ。間違いは許されないけど。 「シャオ。50m終わったけどどうよ?」 計算が終わってゼクスにホワイトボードに書いてもらってるとノインが声を掛けてくる。 「30mうまくいけばね・・・」 「そうか・・・フィーアがちょっとな・・・150ちょっとでは・・・」 「まぁ左で射って初めてだから。30mで280出たら430か・・・まぁ重圧掛けたらダメだよ。」 「だよな。俺ががんばるか。」 「ノインも全部背負っちゃダメだよ。」 ノインは笑い飛ばして30mの準備をしている。フィーアのほうをちらっと見たけど少し落ち込んでるみたい。 「先攻30m一回目・・・」 30mが始まった・・・空腹も少しおさまってきたな・・・ってこれってダメじゃん。 「ふぁぁ・・・」 こういう仕事も集中力が大事だから・・・いくら暇とはいえね・・・ハイレベルではないけど一応競ってるわけだから・・・ドライを見たらドライはすごく元気だ。 「うーん・・・」 「点が合わないね・・・」 どうしよう・・・記録用紙の点が合わないぞ・・・僕はあわてて電卓をダカダカ叩く・・・僕はあってる・・・ってことは向こうさんのミスか選手のミスか・・・ 「あっごめんなさい。こっちの計算ミスでした。すみません。」 「いいですよ。サインしないと。」 記録用紙に一度記入した得点が間違ってた場合、公平を期すために相手校の記録のサインが必要になるんだよね。面倒くさいけど結構大事。 「ゼクス〜。早く書く。」 「待ってよ・・・」 退屈しのぎにゼクスをせかしてみる・・・面白くない。 「先攻30m12回目・・・」 もう終わりか・・・結構短かったな。みんな矢取りで激走してたし、大きなミスもなかったし・・・早かった。 ピッピー・・・ 「終わった。」 試合は終わった。でも記録はこれからが一番忙しい。なぜなら最後の点の報告が来るからだ。 「よろしくお願いします・・・えーと♂先攻8的のかた6回目48点30mトータル288点グランドトータル441点でした。お疲れ様でした。」 というのが8*2+5*2回ある。めんどくせぇ・・・計算もしないといけないし。 「どうでしたか〜?」 対戦校さんの記録係が点数の確認をしてる。僕も電卓をダカダカ叩いて検算をしてる。 「ふぅ・・・間違ってないねぇ・・・」 「よかったぁ・・・」 点数の確認が終わると最後はみんなを並べて結果の発表・・・ 「結果を発表します。先攻、♂ジョウト第5学校、4013点、後攻、♂オレンジ第1学校、4032点、♂はオレンジ第1学校を勝者とします。」 みんなは結構がっかりしてるみたい。 「♀、先攻オレンジ第1学校2720点、♀後攻ジョウト第5学校2751点、♀はジョウト第5学校を勝者とします。」 ♀の方をみたけど・・・なんか微妙・・・ 僕は結構いい線いってたのにな〜と思いながらそそくさと後片付けを始める。 なんか知らないけど・・・休部が決まってから片づけをやたら対戦校さんが手伝って・・・というかしてくれる。優しいよね。 「シャオ〜〜〜。」 むぎゅう・・・またいつものノインかなぁ???僕は後ろを見た。暑い暑い。ケイだ・・ 「ケイ・・・お疲れ。」 「ありがとう〜。目標達成!584だったぞぉ〜!」 「すご〜い・・・僕から見たら雲の上だね。」 「でしょ。」 ケイがいうと嫌みに聞こえないからケイの実力も大したもんだ。 「あれ?なんか言いあってる・・・」 ケイがあわてて僕から離れて的前のほうに走って行った。僕もあわてて後を追う。 「だから・・・なんで監督は・・・」 ゼクスが監督に詰め寄ってる・・・監督は何も言わない。ゼクスはキレる一歩手前みたいな感じで監督に詰め寄る。ノインが必死に止めてるけど・・・ 「ゼクス・・・ダメだって・・・落ち着けって!」 「ノインは黙ってろ!これは俺の問題なんだよ!」 ノインが止めようとするとゼクスは容赦なく殴る姿勢を取る。 「なんで監督は今日の試合にフィーアを出したんですか!441だったんですよ!俺かシャオなら勝てた!俺なら今日470は最低出せた!」 ゼクスは僕の名前を出した・・・ 「シャオ・・・止めないと・・・」 「わかってるって。」 ケイは止めるよう促す。僕はゼクスの怒りに触れないようにそーっと近づく。 「シャオ・・・危ないって。」 「でも・・・」 ノインは僕を止める。 僕は2足で立ちあがってゼクスに覆いかぶさるように止める。 「ゼクスダメだって。いくら今日負けたからって監督に手出したらダメだって!」 「シャオまで俺を止めるのかよ!おまえは何も思わないのか!」 「そんなことないけど!とにかく今は」 ドンッ・・・鈍痛が空腹の僕の腹を直撃した・・・僕は飛びかけた意識を必死でつなぎ止めて目の前を見る。ゼクスの右ストレートが僕のお腹に突き刺さってる・・・ゼクスは僕に本気で殴ってきた・・・ 「うぅっ・・・うぅぅ・・・」 「ちょっ、シャオ!」 ノインの僕を呼ぶ声が聞こえる。 痛い・・・吐き気と腹痛で動けなくなった僕は情けなくその場に倒れこんだ。目の前ももやがかかってはっきりしない・・・どうもみぞおちにクリティカルヒットしたみたい・・・ ドサッ・・・ 「シャオ!シャオ!」 ゼクスも僕の異変に気付いたのか必死に身体を揺さぶってくるけど・・・動けない・・・ 「ふぁ・・・ん?」 視界がはっきりしてきた・・・白い天井?が見える・・・仰向けで寝てるみたいだ・・・うぅ・・・まだお腹痛いし・・・とりあえず四肢を動かすか。 もぞもぞ・・・ 「あっ!気がついた?」 だれだろう・・・♀の声だ・・・いてて・・・お腹が痛くて起きるのが難しいなぁ・・・誰かが身体を揺さぶってくる。いでで・・・ 「シャオ!シャオ!監督・・・シャオ、気がついたみたいです・・・」 聞き覚えのある声が僕の耳元でずっと響いてる。 「おい・・・大丈夫か?」 監督の大きな体が目に入る。 「監督???」 何とか出る声を僕は絞り出す。 「ああ・・・大丈夫か?」 監督はすごく心配そうに僕を見る。監督がこんな顔してるところ見たことない・・・ 「少し、痛いです・・・」 「そうか・・・ちょっと後頼む。すぐ戻ってくるから。」 そういうと監督は僕の視界から姿を消した。 「シャっ・・・シャオ・・・ごめん・・・私が止めてなんて言わなかったら・・・」 その声が誰かはっきりと思い出した。 「ケ、ケイ?」 「ごめん・・・ほんと・・・」 「ケイは悪くないっていてて・・・」 ついついお腹に力が入る。 「シャオごめん・・・起きれる?」 「ちょっと待って。」 僕はお腹以外のすべての筋肉に力を入れる。 「よっと・・・いでで・・・」 どうにか起き上がることができた。 「シャオ・・・大丈夫?」 ケイが目を潤ませて僕を見てる。凝視してる。 「そ、そんなに見ないで・・・顔に何かついてる?」 「何もついてないよ。ただね・・・シャオの顔色がだいぶよくなったなぁって。」 「そんなひどかった?」 「うん・・・血の気が無くなってたし・・・お腹抱えたまま倒れて意識失ってたから・・・」 自分で起こしたコトではないとはいえ僕は少し恥ずかしくなる。 「医務室の先生がいろいろ調べてたよ。制服のシャツのボタン開いたままでしょ?」 「え?・・・わっ・・・」 僕の制服のシャツのボタンが全開になってて、下に着てたTシャツの柄がケイに見えてる。 「まぁ・・・何もなくてよかったけど・・・医務室の先生が心臓震盪だって大騒ぎしてたから・・・上の服脱がせて電極当ててたよ。何もなかったからすぐ外したけど。」 「そんな大変なことが・・・」 「もっと聞きたい?」 僕は少し迷った・・・まぁケイはすべてを知ってそうだし・・・聞いてもいいかな・・・ 「お願い。」 ケイの顔はますます深刻さを増す。 「うーん・・・とは言ったものの・・・シャオが倒れてすぐにノインが医務室に行ってくれて・・・倒れたシャオを放っておいてゼクスはそのまま職員室に連行されてったけど・・・」 「ゼクスに悪いことしちゃったな・・・」 「でもあのまま止めなかったら、ゼクスにはもっと悪いことが起きてたと思うけどね。」 「悪いこと?」 僕は退学の2文字が頭をよぎった。 「多分シャオの想像した通りだと思う。監督はそれで今職員室でゼクスを何とか引きとめてると思うけど・・・」 聞かなきゃよかった・・・でも聞いとかないと絶対後悔するよね・・・ 「私ね・・・ずっとシャオのこと呼んでたけど効果あった?」 「おかげで今起きてるけど。」 「だよね~。」 ケイは深刻な顔を少し綻ばせた。 「そうそう。シャオのお父さんと喋ったよ。」 「うぇ?」 「電話したんだよ。このまま意識戻らなかったら病院にそのまま運ぶって。つい5,6分くらい前かな・・・でもまぁ起きたし・・・」 ってことはもうすぐ来るのかな・・・はぁ・・・顔合わせづらい・・・ 「どうしたの?」 「いやね・・・」 昨日けんかしたことをケイに喋った。 「ああ・・・そういえばすごく心配そうにしてたからね・・・ご飯食べてない!って。」 「まぁでもご飯食べてたらあの場で吐いてたかもね・・・それこそ命の危機かも。」 「そっか・・・地獄の中で天国を見たって感じだね・・・だとしたら今が天国かな・・・」 ケイは何となく僕を慰めてる気がする。お腹痛いのは変わらないけどね・・・ 「うぅ・・・お腹すいたけど・・・お腹痛くて食べれるかな・・・」 「あ・・・そうだちょっと待って。」 ケイは自分の持ってきたカバンをがさごそ探ってる。 「ほれ!パンだよ!」 笑顔で菓子パンを差し出した。 「え・・・いいの?」 「ただではあげないよ。」 「なにそれ?」 ケイはおもむろにパンの包装を破いた。そしてパンを取りだすと一口大に裂いた。 「ほれ。たべなはれ。」 「何その方言?」 僕は手で取ろうとする。 ばっ!ケイは手を下げた。 「結局くれないの?」 「ほらぁ~ちゃんと口で取らないと・・・ねっ?」 ねっ?じゃないよ。うわ・・・誰かに見られたらどうしよう・・・っていっても誰もいないか。 「はひ・・・」 ぱくっ・・・僕は口をあけてケイの手の先のパンを咥えた。 「ほらほら~まだ次があるよ~。」 「へっ?ずっとこうやって食べるの?」 「ほらぁ~食べないと・・・ね?」 「はい・・・」 また僕はケイの持ってるパンを口でくわえてまた食べる。口がぱさぱさしたのか水気がほしくなる。 「水・・・って僕の飲み物部室に置いたままだ・・・うっ・・・あいだだだだだだ・・・」 僕はベッドから降りようとするけど、その前にお腹の痛みであきらめざるを得ない。 「ダメだって・・・まだ動いちゃ。はぁ・・・ホントにダメな仔だねぇ・・・シャオは。」 ケイは少し心配して、それでも少し笑って自分の水筒をカバンから取りだす。 「ちょっと待ってね~。」 そう言うとケイは水筒を開けて自分の口にお茶を含んだ。何をするんだろうと僕がぼけーっと見ているとケイは口をお茶で膨らませて僕のほうに顔を向けた。 「ほへ・・・ひゃほほふひほわはひほふひひ・・・」 なんとなく言おうとしてることはわかるけど・・・恥ずかしいよ・・・ 「はひゃふ!」 「うん・・・」 僕はゆっくりとケイの口に自分の口を近づけていく。 「んぐ・・・んぐ・・・・・・げほげほ・・・」 僕の喉にケイの口のお茶が・・・勢いが結構あったのか溺れそうだ・・・ 「どう?」 「げほげほ・・・うん・・・大丈夫・・・」 なんでケイはこんなことしたんだろうか・・・意地悪にしてはなんか微妙だし・・・ケイらしくないっていうか・・・ 「はぁ・・・ごめんねホントに・・・」 「いいって。気にしてない。ホントに。」 僕は少しうつむいた。ケイにこんなこと言われるなんて照れくさかったし。 「まだお茶飲みたい?」 「え・・・うん・・・でも自分で飲むよ・・・」 「ダメだって。面白くないじゃん。」 なにそれ?ケイのいう面白さってのはなんなんだろう・・・気になる。ただおちょくってるっていうのとは全然違うし。 「ほひゃ・・・」 ケイはまた僕に口を差し出すように言う。僕も少し照れながらケイの言うとおりにする。 「んぐっ・・・」 お茶と一緒になんか硬いものが・・・って・・・舌?ケイは僕の口に舌を入れてきた。しかもしつこい。ケイってもしかして・・・その答えを僕は確かめようとした。 「んぁっ・・・」 僕は舌をケイのにからませた。ケイもどんどん僕の舌を蹂躙してくる。試合に出たばかりの汗と土の香りがケイからしてくる。 「んふぅ・・・んぁっ・・・」 ねちゃねちゃと濃厚なキスをケイは僕と交わす。僕はずっとケイは本気なのかなって考えてた。 「あいだだだだだ!」 ケイは僕を押し倒そうとした。お腹の痛みで僕は叫んだ。 「あっ!ごめんシャオ!悪気はなかったんだけど・・・」 口を離したケイは照れて僕に謝る。 「ケイって・・・」 「な、なぁに?・・・」 ケイはブースター特有のオレンジの顔をさらに赤くして僕を見る。 「いたずらが好きなの?」 ばしっ!ケイの怒りの鉄拳が僕の頭に炸裂する。 「そんなわけないでしょ!」 「ごめん・・・冗談。ケイ・・・僕はケイが・・・」 「好きだよ。」 ケイは僕の言葉を遮った。 「私は入部して始めてシャオを見たとき・・・なんか頼りないなぁって思ったけど、一緒に練習を重ねていったらそんなシャオが好きになっちゃった。」 「ケイ・・・」 「私と、付き合って!断ったらお腹叩くよ?」 脅迫してるつもりなのかなぁ・・・脅迫に聞こえないものなあ・・・ 「ぜひ・・・っていうかこっちこそよろしくお願いします。」 もう死ぬんじゃないかっていうくらい照れた僕は返事をした。ケイは僕の返事を聞くと特有の人懐っこい笑顔で僕を見た。 「シャオ・・・私はシャオが鈍感すぎて・・・まぁそこもシャオを知ったらシャオの魅力になるかなぁ?」 でれでれでケイは僕に話しかける。そういえば記録会・・・あの時ケイは好きな♂、そいつは気付いてないって言ってたなぁ・・・僕か。ああなるほど、納得。・・・だめだこりゃ・・・ 「うれしいけどお腹痛い・・・」 「動かないほうがいいね。まぁもうすぐ誰か来るでしょ。ところで・・・この前みんなで遊ぼうとか言ってたけど・・・出来なさそうだよね・・・」 「そうだよね。とりあえずゼクスと引き留めないと・・・フィーアも落ち込んでると思うし。」 「♂ってダメねぇ・・・♀はそんなことないからね・・・ただドロドロとかはあるけどね。」 笑顔でケイは言った。怖いって。 「まぁ今の話じゃないけど。先輩のいじめとかねぇ~。」 「怖いよホント。」 「うん?経験してみたい?ゾクゾクするよ?血管がね。ウチは休部決定して全くそういうのなかったけど他の部はひどいとこあったみたい。廃部した某武道系とか。」 「いいって。その話は。ほんと怖いって。」 ケイは話をどんどん進める。もうやめてほしい・・・ほんと怖い・・・廃部したって実話じゃん・・・ 「ね~、こわいでしょ?」 「うん・・・」 ケイは僕の寝てるベッドに座り何とか起きてる僕の身体をずっと支えてる。ほんとにケイの子供になった気がする。 「シャオはさぁ・・・私より前に好きな♀とかいなかったの?」 「へ?」 なんか不安だな・・・答えようによっては命が危ないな。ケイは声で僕に迫ってくる。 「うーんとね・・・僕はつい最近まで興味なかったからね・・・ほんとのところ。」 「え?」 「ずっといじられキャラだったでしょ?だからあんまり部とか、クラスとかのポケモンに興味持てなくて・・・」 「そうなんだ・・・てっきり気にしてなくてデレデレしてんのかと思ったら違うんだ・・・」 ケイは少し憐れんで僕の頭をなでる。 「でもケイがこの前の試合で一緒に手伝ったりとかしてくれて、好意を持てるようにはなったと思う。」 「シャオ・・・シャオ~~。」 僕の体をギュッとケイはつかむ。お腹に思わず力が入った。 「いだいっ・・・」 「あ、ごめんすっかり・・・早く良くなってよ・・・遊ぼうよ!」 「ケイって遊ぶの好きなの?」 「ウチが厳しいの。親がね~。ホント。私は遊びたいし。♀同士でもあんまり遊べないから。部のみんなと始めて仲良くなれたって思う。」 ケイは少し悲しそうな顔をする。 「ここ2、3カ月、親がすごく優しいの。あそびに行ってもいい?って言ったらほとんど何も言わないし。なんでだろうね?」 「さぁ?」 「さぁ?じゃないよ。まぁ遊びすぎるのもね。私って・・・みんなから避けられてるような気がしてた・・・部に入るまで・・・でも今は幸せだけど。」 「よかったじゃん。」 「よかったじゃん、じゃないよ。シャオの脳にはボキャブラリーってモノは無いの?」 「あるよ・・・ただそれをつなぐ会話術がないんだよね。」 「話術なんてどうでもいいじゃん。話したいと思う気持ちが大事だよ。ね?」 そう言うとケイは僕の耳元にそっと口を当てる。 ガラガラ・・・ 「あっ・・・」 医務室のドアが開いてそこには保険士のエレさんがいた。僕たちはあわててはなれる。 「いてて・・・」 「仲いいのはわかるけど・・・怪我してるんでしょ?」 エレさんはデンリュウで、この学校で一番の大人の美人ってみんな言う。メガネと白衣がすっごく似合っている。笑顔が可愛いらしい。 「ごめんなさい・・・」 「いいの。シャオ君だったよね?」 「は、はい。」 僕は緊張で身体が震える。エレさんは看護師の資格を持ってるのに教員免許も持ってる異色の保険士さん。勉強を教えるのもうまいってのがもっぱらの噂。 「んじゃ、お腹見るから。出して。」 「えぇ?」 「早くTシャツまくりなさいって言ってるんだけどね~。」 口調からしてエレさんは少し怒ってる?僕はビビってTシャツを胸までまくる。エレさんは僕のお腹をまさぐっていく。 「ひゃっ・・・いっ!・・・」 「こらこら・・・でも身体がすごくびくびくしてるね。」 エレさんは毛をいじって地肌を見えるように手を動かした。 「ふぅ~。・・・痛い?」 「まだ少し。」 「少しどころじゃなさそうだけどね。」 「へ?」 「どうしよう。2つ手がある。1つは病院直行。もう1つはここで出来るだけ見て病院行く。」 「結局病院じゃないですか。」 「うん・・・まぁ内臓にダメージがあるかもしれないし。精密検査を受けることをお勧めするかな。」 「そんなに悪いんですか?」 ケイはすごく心配そうに尋ねる。 「まぁ可能性だから。少し地肌も蒼いし・・・ほれ。」 「いっ!」 エレさんは僕のお腹の毛を少し引っ張った。でも毛以上にお腹の痛みが大きい。ケイは何を見たのかうつむいて少し沈黙した。 「・・・はぁ、シャオ・・・無理しないでって。」 「してないけどなぁ・・・いだぁっ!」 僕のお腹をケイが叩く。痛い・・・涙が出た。ケイを見ると肩が震えてた。 「お願い・・・だから・・・」 「じゃあ、叩かないで。ホントに痛いの。」 「さっき少しだけ痛いって言ったじゃん。」 「それは・・・そのね・・・我慢してた。」 とうとう僕は本音を漏らす。ホントに痛いんだって。 「病院行こうか。」 エレさんは僕に迫る。 「行ったほうがいいよ。」 「だよね・・・でもその前にゼクスに会わないと。」 「え?」 ケイが驚いて僕を見た。 「何があっても引き留めないと。」 「そう・・・だね・・・動ける?」 「まだちょっと無理かな。」 四肢はぴんぴんなのにお腹だけがすごく痛い。 ガラッ・・・ 「おいっ・・・」 父さんの太い声が医務室に響く。 「あの?どなたです?」 エレさんがちょっと迷惑そうに聞く。父さんは少し恥ずかしがっていた。 「あ・・すみません。シャオの父親です。」 「あ、そうですか。よかった。一応病院に連れてってください。」 「そんな悪いんですか?」 「ええ、まあ最悪を考えれば行くのがベストだと思います。筋繊維がダメージを受けてるか、内臓にダメージを受けてる可能性がありますので。」 父さんはそれを聞くと少し顔の色を失う。 「できれば安静にして運びたいんですけど・・・シャオ君自身の意識がありますので、今のうちにこのまま病院へ行かれるべきです。」 「わかりました。シャオ、行こうか。」 父さんはそういうと僕の寝ているベッドに近づき、僕をおぶるような形で乗せる。 「いだだだ・・・・」 「痛いか・・・どうすればいい?」 「そうですね・・・あまり動かさないように。」 「シャオ、がんばって。私がゼクスを引きとめるから。」 無言のまま僕は父さんに連れられて病院へ行った。そこではあまり時間を取られずすぐに何やら怪しい機械にかけられたり、何度も触られたりした。 ベッドに寝かされてる僕。壁越しに何か声が聞こえてくる。 「お父さん、安心して下さい。」 「え?ホントですか?」 「ええ。調べたところ筋組織のダメージを見つけましたが、内臓にはそこまでダメージはないみたいです。このまま帰っても大丈夫ですよ。」 「ありがとうございます。」 その会話が終わると、父さんが僕の前に来た。 「帰ろっか?」 安心した僕は快諾する。 「いいってはずかしいよ・・・」 「痛いんだろ?だったら行きと同じ格好で送ってやるよ。」 父さんは行きと同じように僕をおぶった。恥ずかしくて顔から火が出そうだった。 「ほれほれ~夕焼けだぞ~。」 「・・・・もういいって。」 「懐かしいんだよ。こうやっておぶるのも久しぶりだから。もうすぐ家だぞ。」 父さんは相当懐かしんでた。僕は家に帰ると自分の部屋のベッドで寝ていた。ってか寝かされてたね。 「はぁ・・・なんか今日はうれしいこと8割嫌なこと4割・・・で120%か。」 がちゃっとドアが開く音がした。 「おい、お友達だ。」 「え?」 僕は痛い身体を引きずって玄関に向かう。疲れ切った顔のケイがいた。一回帰ったようで私服だ。 「ケイ・・・ゼクスは?」 「それが・・・明後日もう一回話しあうって・・・それで監督が私がシャオの家に行くって言ったら、シャオも来てほしいって言ってた。」 「僕が?」 「うん。たぶんシャオが引きとめようとしてたの知ってたみたい。」 「そっか・・・」 「そうそう、大丈夫だった?よね?」 「おかげ様でなんとかね。」 「よかったぁ・・・・」 ケイはすごくうれしそうに笑顔で視線を僕に投げかける。 「エレさんも来てほしいって、私も行かないとね。」 「なんで?」 「ついでに練習したいし。」 「そうだね。オフっていっても一応練習しないと。」 ケイは真面目だよね・・・ほんと。 「っていうのは嘘だよ。」 「え?」 嘘かいっ!心の中で突っ込みが炸裂する。 「っていうかまだ制服だったんだね。シャツ、くしゃくしゃだよ。ま、私の伝言係としての仕事はここまで。」 そう言うとケイは僕にゆっくり近づいてくる。僕は一抹の不安を抱きつつ、その場にとどまる。 チュッ・・・ 「じゃね!あさってまでに痛いの治してね。」 ケイは僕の頬に唇を軽く当てると笑顔で帰って行った。僕は着替えようと家に再び入ろうとする。その時・・・ 「シャオ!シャオ!」 僕を呼ぶ聞きなれた声・・・フィーア?振りかえるとまだ着替えてないのかフィーアがいた。 「フィーア・・・どうしたの?家近いから着替えればいいのに・・・」 「そん、そんなんじゃない・・・」 フィーアの様子がおかしい・・・僕は家に入れることにした。 「入ったら?」 「・・・うん。」 フィーアは少し遠慮がちに僕の家に入ってくる。 「お邪魔します・・・」 「おう、いらっしゃい。なんだ着替えてないのか?」 父さんはすっかりご機嫌だ。喧嘩もおさまったし、僕も元気だし、父さんにとって一石二鳥だよね。この状況。 「ちょっとフィーア・・・僕の部屋行く?」 コクリと小さくフィーアはうなずいた。僕はフィーアを自分の部屋に連れていく。痛いけど・・・我慢。 「どうしたの?様子が変だよ?」 「シャオ・・・シャオ・・・お、俺・・・俺・・・」 フィーアは今にも泣きそうだ。僕は何も言わない。ベッドに座ってる僕の前にフィーアを連れてきてとりあえず泣いた時のために態勢を作った。 「うっ・・・うっ・・・うっ・・・」 フィーアはお腹に当たらないように僕に顔を沈める。声を押し殺して号泣している。 「おれ・・・ほんとに今日・・・でるんじゃ・・・うっうっ・・・」 「フィーア・・・」 「そうすれば・・・シャオもこんな目に遭わずに済んだし・・・ゼクスも・・・うぅっ・・・」 その声から僕はフィーアの大きな後悔の念を感じた。 「僕、言ったじゃん。フィーアが満足する点数射ってくれたらいいよって。射てた?」 「うっ・・・うっ・・・ぜんぜん・・・うっ・・・うっ・・・」 結局その日は朝までフィーアをあやしつつお腹が痛いから寝れないって悩みつつ・・・起きていた。 「眠い・・・」 「シャオ、おはよう・・・」 「眠い・・・」 「昨日は・・・ホントに・・・」 「眠い・・・」 「シャオ・・・?」 「眠い・・・」 「シャオ!」 「眠い・・・」 「ったくもう・・・」 「ぎゃぅっ!」 僕は眠い眠いと言ってるうちにフィーアにモノを握られた。 「痛いよっ・・・」 「ごめんごめん・・・なんか泣いて寝てすっきりしたらムラムラしてきたんだけど。」 その言葉に嫌な予感がする。 「や、やめてよ・・・フィーアには彼女いるじゃん・・・僕は・・・♂だしちょっと・・・」 あんだけ散々やられときながら僕はまだそんなことを盾に防戦してる。 「いやいや悪いようにはしないからね・・・」 「なんで僕が被害に会わないといけないんだよぉ。フィーアが自分でトイレで出したらいいんじゃんか!」 「出してるんだけどね・・・いっつも。最初に医務室で襲ったときとか・・・」 フィーアは僕の予想を超える性的に変な奴だ。前で十分わかってたけど・・・さらなる恐怖が僕を襲う。背中がぞくぞくする・・・ 「で、でもさ。ここは僕の家だよ・・・父さんもいるしさ・・・」 「そうだね。でもどっか出かけて行ったみたいだけど。」 「うそ!?」 僕はフィーアを振り切りリビングに向かう。確かに誰もいない。父さんの寝室も、書斎も、トイレも・・・終わった・・・いやだがまだ外に逃げれば・・・ しかし残念。玄関にはフィーアがニコニコ笑顔で立ってた。 「さ・・・どうする?」 「やめてください・・・」 「なに?」 「やめてください・・・」 「そう・・・じゃあ制服のズボンに出すのはやめてあげる。」 なに考えてるんだろう・・・さっぱりわからない・・・そう言えば僕制服のままだ・・・シャツを着て学校のズボンを履いてる・・・なんとなーくこのまえの医務室の出来事を思い出した。 「ちょとちょとちょと・・・引っ張らないで・・・・」 フィーアは僕をリビングに引っ張っていく。 「シャオはね~服の上からしごかれるのがすきみたいだからね~。ほらほら」 「ひゃぅっ、やめてっ・・・」 僕のモノをゆっくりと服のズボンの上からしごくフィーア。すごく愉快そうに僕のをしごいている。 「最近出して無いんでしょ?じゃあ出してあげる・・・すごく元気だよ。もう大きくなってるし・・・」 「さわったら・・・ぅぅ・・・そりゃっ・・・ゃっ・・・ぉおきくなるでぇしょぉ・・・」 「そう?僕のも触る?」 「そう?俺のも触る?」 「ゃだっ!」 フィーアはこういうとこなかったらホントにいいやつなのにな・・・僕はフィーアにいいようにモノをしごかれて無抵抗になった。抵抗するのを諦めた。 「どう?気持ちよくなったでしょ?でもね」 「やだっ・・・」 フィーアはうつ伏せになった僕の下半身を無理やり起こす。 「ふふ・・・ズボンには出さないって言ったから、約束は守るよ。」 膝をつく姿勢になった僕の浮いた腰にフィーアの手が回る。フィーアは素早くベルトを外してズボンをひざ下まで下げた。手はフィーアの足が抑えてるし僕は余計に動けなくなった。 「ふふ・・・自分で首絞めてるよ・・・」 「なぁぅ・・・ぁぅ・・ぁぅ・・ぁぅ・・・」 パンツの上からフィーアは僕のモノを皮を上下にするようにしごく。その動きはいやらしく、しつこい。モノがパンツとの刺激で少し痛む。 「ぁぅぁぅ・・・ぁぅぁぅ・・・ぁぅ・・・ぁぅ・・・」 僕ははしたない声をあげないように必死に声を殺すけどフィーアの執拗な責めでそれすら出来ない。 「ふふっ・・・なんかパンツに染みが出来てるよ。もう出るの?ふうん・・・」 そう言うとフィーアは僕のものから手を離した。代わりに腰をがっちりつかまれてる。フィーアは僕の下にもぐりこんだ。 「シャオの毛・・・ふさふさだねぇ・・・ちんちんもみえないくらいだね・・・」 シャツがはだけてお腹の薄く黄色を帯びた毛をフィーアは触ってくる。 「いたた・・・」 昨日のところがまだ痛む。 「あ、ごめん・・・続きやるね。」 「な、なにするのさ・・・ひゃうっ・・・」 フィーアは僕のものをパンツの上からしゃぶっている。こんなことして何が楽しいのかと思いつつもフィーアは僕のモノに涎をどんどん塗りたくってくる。 「ふふ。さて続きするかな・・・」 「ゃぅ・・・ぁぅ・・・ぁぅ・・・」 フィーアは態勢を僕の後ろに立つと体重を僕の腕が支える形になるように身体を僕に預ける。ねちょねちょという音を出してパンツとモノをフィーアはしごき始めた。 「ぁぁっ・・・ぁぁっ・・・ぁぁっ・・・」 「どうしたの?ちんちんひくひくしてるけどほしいのかな?もっとあげようかな?」 「ぁぁっ・・・ぁぁっ・・・ぁぁっ・・・ぁぁっ・・・」 僕はフィーアの言葉に反応することもできない。なぜなら腕にフィーアの体重がかかってすごくきついからだ。でもあたまはまた真っ白になりそう・・・ ねちょねちょねちょ 「ふぅぅっ!ぁぁぁっ・・・ぁぁぁぁっ・・・ぁぁぁぅ・・・」 「もう出るの?いいねぇ・・・じゃあ出すね。」 「ぁぁぁぁぁっ・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」 僕はその瞬間に意識もモノもはちきれるのを感じた。僕のものは元気にパンツに精を放ったみたいだ。 「出しちゃったんだね・・・いやらしいなぁその身体。シャオは♂なのにエロいな~・・・」 フィーアは羞恥心を無意味に煽ってくる。うつ伏せの僕は濡れて染みの大きくなったパンツを見るしかなかった。モノは大きく躍動したあとその動きを次第に小さくしていった。 「じゃ、俺、トイレ借りるから。その間にパンツ変えといてね~。」 フィーアはトイレに行った。僕は泣きそうになりながらパンツを替えた。染みの大きなパンツは気付かれないように洗濯もののかごに放り込んだ。 「えぐっ・・・えぐっ・・・」 僕はリビング戻るととうとう泣きだしてしまった。 「どうしたシャオ?泣いたりなんかして。もっとやってほしい?」 「そんなわけないでしょ!」 涙声でキレる僕。フィーアもさすがにあちゃーっていう顔をして僕に謝る。 その日僕は結局フィーアと遊んでた。フィーアはこういう変なところが出ないと僕には本当に優しいから。僕もフィーアのそういうところに弱い。 次の日僕は朝からのんびりしてた。ケイが来ることもすっかり忘れて。 「お迎えが来てるよ。女の子。」 「え?うわ、もうこんな時間だ・・・」 僕はあわてて準備を済ませる。 「ごめん待った!?」 「シャオ・・・忘れてたでしょ?」 「ううん・・・忘れてるわけ・・・ない・・・」 僕はケイの横に立つ。痛みが完全に収まってないお腹にケイのねこパンチが炸裂する。 「うぐっ・・・」 「素直に忘れてました、って言ったらストレートでパンチしてあげたのに。素直じゃないなぁ。」 「ごめん。」 「いいよ。許したげるけど、今日1日言うこと聞いてね?嫌とは言わせないよ。」 ケイは顔を傾けて僕の顔を見る。逆らえない。 「はい・・・」 「そんな・・・へにゃなことは・・・いわないよ・・・」 「何も期待してないから。」 デレデレのケイをあしらう僕。少し後悔は残る。 「ちょっとは期待してもいいじゃん?」 ケイはすっごく嬉しそうだ。僕たちは学校へ向かった。ケイはどうやら僕の付き添いをしてくれるみたいだ。部活に行くって言ってたのにな。 「先に職員室だよ。監督が待ってるし。」 「ゼクスはもう来てるのかな・・・」 僕たちは休日の学校を職員室に向かって歩いている。元気な運動部の練習する声が聞こえた。職員室の前にさしかかると監督が僕たちを見つけてくれた。 「おう!シャオにケイ・・・来てくれたのか・・・」 「まぁね。シャオのゼクスを思う気持ちに負けちゃった。てへ。」 ケイはわざとこういうしぐさをしてるのかな・・・自然だったらかなり可愛いけど。そうこうしているとゼクスの影が見えた。 先生はゼクスを迎えた。 「ゼクス!」 「シャ・・・シャオ?・・・ケイまで・・・」 ゼクスは僕がいたのがよっぽど信じられなかったのか、すでに目を潤ませている。 「シャオ・・・ごめん・・・」 「ゼクス。いいのもう。だから絶対部活に残って?」 「シャオ・・・ありがとう・・・」 僕が少し声をかけるとゼクスは監督とともに職員室に消えていった。僕たちは心配そうに職員室のほうを見ていた。 「この間に、医務室行ってきたら?」 ケイは僕にそう言う。僕もそう思った。 「じゃあ、行ってくるから。」 「待って。」 行こうとする僕をケイが引き留めた。すると近寄ってきて笑顔で言う。 「私も連れてってよ。」 「え?いいけど。退屈だと思うけど。」 「そんなことないよ。」 「そかな?」 「うん!」 ケイも僕もデレデレしてる。医務室までの道のりはとってもドキドキした。 ガラガラ・・・僕は医務室の白いドアを開ける。 「こんにちは~・・・」 「あ?いらっしゃい・・・待ってたよ。」 エレさんは僕ににこっと挨拶をすると、僕にベッドに横になるように言った。僕もそれに従う。 「さっ、お腹見せて?」 「はい・・・」 僕は制服のシャツのボタンを外して、Tシャツを胸までまくる。僕の胸の白い毛がエレさんによく見える格好になった。 「痛かったらすぐ痛いって言ってね?」 「はい・・・」 すっごくドキドキする・・・ケイもこっち見てるし。エレさんの手がゆっくりと僕のお腹に近づいてくる。 「ひゃっ・・・ごめんなさい。」 手が冷たかったのでついつい声を出してしまう。すっごく恥ずかしくなった。 「ごめんごめん。さっき手洗ったばっかりだったから、手冷たかったかな?じゃあ続きするから。」 「はい。」 ゆっくりとエレさんは僕のお腹を撫でるように触っていく。顔は真剣そのもの。僕はくすぐったくて少し身体を動かすけど、そのたびに怒られる。 「いっ・・・」 「痛い?」 「大丈夫です。」 「ホントに?」 「いだだだ・・・」 痛くないふりをしても容赦なくぐいぐいと押してくる。そのたびに身体はのたうちまわるような痛みに襲われる。 「痛いじゃないですか・・・」 「痛くないって言ったから確認のために押したんです。」 「・・・」 エレさんはにこっと笑顔で押し黙った僕を見る。 「いっ・・・たいです・・・」 「ふふっ。」 エレさんはゆっくりと手を動かしてくる。 「はい、おしまい。起きて~。」 「ひゃい。」 僕は身体を起こしてTシャツを戻して、制服のシャツのボタンを締めていく。顔をあげるとケイがずっと僕をまじまじと見つめてる。 「ボタン、かけ違えた?」 「ううん。あってるよ。」 「なんか変?」 「全然。ただシャツがはだけてるのが可愛いな~って。」 「・・・」 ニッコリ笑顔で僕に言うケイ。ケイは僕をどうしたいんだろう・・・顔から火、出そうだよ。 「えっと。」 エレさんが口を開く。気まずい。 「まぁ、異常はないかな。痛いのは次第に気にならなくなると思うよ。」 「ありがとうございます。」 「いえいえ。」 エレさんは照れくさそうに頭を何回か掻いた。ケイは僕が腰掛けてるベッドまで来て前肢を差し出した。 「ほれ。早く起きないと。職員室行こうか。」 「そうだね。よっと・・・」 僕はケイの手を取って立ち上がった。エレさんに一礼すると、僕たちは医務室をでた。 職員室の前に着くと、ゼクスと監督が何やら話しあっている。 「監督・・・」 僕は監督に声をかけた。 「シャオか。よかった・・・いいところに。」 監督はゼクスのほうに目をやる。ゼクスはうつむいたままだ。 「ゼクス?」 「シャオ・・・ごめん。俺・・・部活に残っていい?」 ゼクスは申し訳なさそうに聞くけど、僕は快諾する。 「当たり前じゃん。また、競おうよ。」 「シャオ・・・ありがとう・・・っ・・・ぇっ・・・ぇっ・・・」 ゼクスは僕たちの目を憚らずに号泣した。 「シャオ・・・ごめんな。本当・・・俺がちゃんとお前をメンバーに入れてたら・・・」 監督も申し訳なさそうに僕に話す。 「でも・・・」 僕が監督に反論しようとすると、監督が止めた。 「シャオ。俺は自分のセオリーに反して、あの時フィーアをメンバーに入れた。でも、負けた。ゼクスを見てると、まだやれるんだ、そう思えてきて、なおさら後悔がでてくる。」 「へ?」 「まだこのチームの戦いは終わってないんだって。これからまだまだやれるってことだ。」 「監督・・・」 監督の言葉で僕は奮い立った・・・今奮い立つ場面でもないけどね。 「シャオ~・・・ありがとうっ・・・ぅぅっ・・・」 ゼクスは照れくさそうにお礼を言うと涙声のまま帰って行った。 「さてと、シャオ。帰ろうよ。」 「部活するんじゃないの?」 僕がそう言うとケイはにこっと笑う。 「遊びに行きたいの~。」 「どこ行く?」 「・・・ぇぇと・・・」 ケイはずいぶんと無計画だったみたい。 「シャオは行きたいところないの?」 「うーん・・・財布と相談かなぁ・・・」 僕は財布の中身を確かめて、ケイのほうを見た。 「よし、スポーツショップ行こう。」 あんまり余裕ないけど、映画とかじゃなくて買い物なら何とかなるかな?僕はそう思った。 「うん!行こう行こう!」 ケイもはしゃいでる。 ぐいっ・・・ケイが僕を引っ張る。ケイは僕の父さんがいるスポーツショップに僕を引っ張って行った。 「うわぁ・・・いろんなものあるね。」 「アーチェリーのところ行こうか?」 「ううん・・・野球のところ行こうよ。」 まさしくケイは遊びに来たっていう感じだね。野球のコーナーに向かうと、大きなパネルにサウスポーのピッチャーが映っている、 「このバンギラス・・・監督に似てるよね?」 ケイが面白がって言う。 「似てるけど、このピッチャー、結構有名だよ?監督よりは有名かな?」 「へー・・・」 すると後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。 「このピッチャーはクリフっていうんだぞ。知ってるだろう?」 「・・・父さん?」 僕が振り返ると、スーツに身を包んだ父さんが立っていた。 「ふっふ・・・シャオにも彼女ができるとはなぁ・・・」 「あ、この前はどうも・・・医務室にいたケイです。電話でお話ししましたよね?」 「ああ・・・この前はお世話をおかけしました。元気ですか?」 ケイが父さんにあいさつをした。父さんはデレデレでケイと喋っている。 「ところでシャオ。野球でも始めるのか?」 「え?そんなわけないでしょ。」 父さんもやっぱり、といった表情をした。 「シャオって左投げなの?」 ケイが興味を持って聞いてきた。 「まぁね。でもここ数年ボール触ってないけどね。」 「ってことは・・・ノーコン?」 痛いところをケイはついてきた。 「なんでそうなるかな・・・まぁそうだけど。」 「私、バッティングセンターにヌルたちと行ったことあるんだけど、全然打てなくて・・・シャオなら打たせてくれるよね?」 そう言うとケイは目をキラキラ輝かせて僕を見てきた。 「ノーコンだって言ったのはケイじゃん。」 「公園行こう!」 「おっ・・・いいねぇ。じゃあバットとボール。買っていきな!」 父さんが僕に一番安いボールとバットを渡した。僕はしぶしぶ買う。ちゃっかりしてるなぁ・・・父さんは。 「グラブは?」 「ああ・・・取らなかったらいいんじゃね?ちょうどあそこの公園ならそんなに広くないし、拾えるだろう。」 「父さん・・・ありがと。」 「毎度ありっ。」 僕は父さんに軽くお礼を言うと、バットを背負って、スポーツショップを出て、父さんの言う公園に向かった。 「シャオってさ、スポーツ苦手だったよね?」 「うん。好きなことは好きだけど・・・」 ケイの質問に、僕は少し落ち込む。 「いいじゃん。好きなだけでも。」 そう言うとケイは僕の頭の毛を何度か撫でた。 目の前にはバットを構えたブースター・・・のケイ。僕はボールの縫い目に爪をかけて投げるモーションを取る。 「こいっ!左キラーのシャオ!」 ケイは野球選手になったかのようにのりのりだ。僕たちは制服のせいで少し動きづらいけど。ケイの目は鋭く、まるで本当に強打者みたい。 「よしっ!」 僕はそう言うと足をあげて、身体を前のめりにして腕を振った。久しぶりなのにボールはうまく飛んでくれたみたいだ。ケイはバットを振る。 カキン! その音がすると、僕はボールを目で追う。どうやら前に飛んでないみたい。 「あぁー・・・残念。もう一回!」 悔しそうな声でもう一度僕に投げるよう言ってきた。僕は再び構えて・・・投げる。 カキーン! 今度は芯に当たったみたいでボールは僕を越えて飛んで行った。ケイは嬉しそうに僕の周りを一周した。 「やったぁ!初めて打てた!」 僕は急いでボールを拾いに行く。この公園は僕たちしかいない。だからケイも思う存分バットを振っている。フェンス前に転がっているボールを拾うと僕はダッシュでケイの元へ行く。 「まだまだやる?」 確認を取る僕。 「あたりまえじゃん!ぼっこぼこにしてやる!」 嬉しそうに言うケイ。僕もにこっと笑って再び距離を取る。 「今のところ打率10割だよ~。」 僕を挑発するケイ。 「そんなこと言うと、変化球投げるよ。」 「いいよ~。きなよ~。」 余裕で答えるケイに、僕はかすかな記憶を掘り起こして、カーブの握りをする。再び構えて、投げる。ボールはケイの手前で落ちた。 ブン! バットが空を切る音がした。 「打てないよぉ!」 ケイが怒った。僕はごめんごめん、と謝るとケイからボールを受け取った。 結局、この日は日が落ちるまでケイのバッティングに付き合っていた。 ケイの家の前で話をする僕たち。 「すっごく今日は楽しかった。ありがと。」 「また遊ぼうよ。」 僕はケイに次の約束を、催促したわけではなかったけど、そう言う風に聞こえる言葉を言った。 「当たり前でしょ。シャオと遊んでたら楽しいから。」 そういうとケイは唇を僕の頬にあてた。ケイのぬくもりが伝わる。 「じゃね!」 「うん。」 僕はケイが家に入ったのを確認して、帰路に就いた。 「ただいま・・・」 僕が家に帰ると、父さんももう帰ってきてたみたい。 「おう、お帰り。ご飯、もう出来てるぞ。」 父さんは僕をリビングに連れていくと、ご飯を食べ始めた。 今日あったことを父さんは聞いてきた。僕が話をしてる間、父さんは終始ニコニコしていた。 そのあと僕は、風呂に入って、眠りに就いた。 思えば・・・その日がケイとの初デートだったんだなぁ・・・