ポケモン小説wiki
僕と彼女の楽しい夜ご飯 の変更点


#include(第八回帰ってきた変態選手権情報窓,notitle)

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 彼女は食が細い。
 彼女がニャビーだったころからの付き合いで、元々よく食べるほうではなかったのだが、彼女は進化してから余計に食が細くなった。
 ニャヒートに進化して体が大きくなればその分多く食べるのは当たり前だろうに。
 それはもうダイエットとか、精神的に問題があって拒食症だとか、そんな理由もへったくれもあるもんじゃなく。
 彼女はとにかく物を食べたがらない。
 だからこうして彼女の健康を守るためにたまに、いや、頻繁に食料をもってねぐらに訪れるのだ。
「ごちそうさま」
「……まだほとんど残ってるじゃん」
 食べ残しとは言えないほど配膳されたままの食料を前足で指す。
 早々にごちそうさまを言ったニャヒートは、僕が持ってきた少量の肉こそ口にしたものの、栄養の補助にと持ってきた木の実はほとんど手を付けていなかった。
 本当は肉ももっと食べてほしいのだが、そうもしてくれない。好き嫌いの問題ではなく、強いて言うなら食べることそのものが嫌いという有様だ。
 僕がレパルダスだから食料の集め方に不満があるのじゃないか、とも考えたから常日頃から正々堂々清廉潔白な狩猟と採集を心掛けている。効果は……僕がねんりきを受けるくらいかな……。
 まあ、いつものことなのだが。
「でももう食べたくないし」
 テンションが低いというか、気分が暗いというか、ニャヒートはいつも表情も声のトーンも低い。
「でもせっかく持ってきてくれたものを残すのも悪いよね」
 と言って何事に対しても無気力かというとそうではない。
 あくまでも興味を示さないのは自分の口を動かして食事をとることという非常に限定的な行為のみ。 当然彼女にだってお気に入りの行為や琴線に引っかかるイベントはいくつかある。
 ……そのうちのいくつかは僕を困らせてくる厄介なものだけれど。
 ニャヒートが残されたきのみと、僕の顔を見ること二往復、それから僕の方だけを見てにっこりと笑った。あ、これは。
「ね、飲ませてレパルダス」

 ◇

 一部のポケモンの母親は、消化器官の未発達な子供に食物を与えるときに自分の歯と唾液でよく混ぜてから口移しで与えるという。
 レパルダスは当然母親ではなく、ニャヒートは立派な成体だったが――
 なんでこんなことをするようになったかと言えば、頬がコケて腰骨が浮いてきた彼女にどうか食べてくださいと懇願したときに『食べやすいようにしてくれたら』という注文をされたので、それに応えただけだ。
 オレンのみは、おそらく地上で最もよく見かけるきのみである。何もしなくても食べられるくらい柔らかい。そして皮ごと食べれられる。味はいたって普通で尖ってどの味が強いというのがない。
 ぐちゃ…ぐちゃ……
 飲み込まずに咀嚼するだけというのは、案外難しい。
 それも栄養のある果汁を飲まずにというのだから難易度はさらに上がる。
「ん」
 んあ、とニャヒートが大口を開ける。そろそろおいしい唾液希釈オレンジュースになったと踏んだのだろうか。確かにオレンのみはそんなに硬くないからすぐにミキシングできる。
 口で返事ができないから、目で合図して口を近づける。
 ニャヒートの口の中が丸見えだ。舌触りのよさそうな門歯と、触ったら切れてしまいそうな犬歯。そこを超えたら煽情的な舌が涎を垂らしてうごめている。心臓が早鐘を打っているのがわかる。ただの口移しだぞ、これは。
「どうしたの?」
 ボケっと見ているから怒られてしまった。きっと何をしてたかバレているだろう。でも彼女は意地悪だから、絶対に気持ちを汲んでくれない。
 開けた口を全て覆うように。一滴でもこぼしてしまったらもったいないから。文字通り目と鼻の先まで近づいた彼女の目と自分の目が会う。
 ごくりと喉を鳴らして彼女が一口目を飲み込む。目をそらさずに、次の一口を送り込む。ところが彼女は待たないよとばかりに舌をこちらの口腔に侵入させてきた。
 潰れきっていない果肉をかきとり、でこぼこした頬肉をざらざらした舌がはい回る。奥歯を擦り、犬歯を撫で、切歯をくすぐってくる。歯を舐められるのはくすぐったくて、そして不意打ちだ。
 僕が困惑して目を白黒させているうちにさっと侵入舌が引いていく。ニャヒートの目が笑っている。まだ口は繋がったままで、もう一回、と言っているようだった。
「……君ねえ」
「ん? 何?」
 先に口を離したのはこちら側。文句の一つも言ってやろうかと思ったがあまりに悪びれる様子がないのでその気が失せた。
 口の中に残された唾を飲み込むと薄くなったオレンジュースの味に紛れて微かに彼女の香りが喉の奥から鼻に抜けてくる。耐えられずにもう一度唾をのんだ。
「次ね」
 ネコブのみ。なかなか珍しい部類に入るのではなかろうか。実を砕けば砕くほどねばねばどろどろした糸を引くが、これに栄養があるらしい。
 彼女が飲んでくれるようになるべく細かく、なめらかに。
 唾液と実から出た粘液が程よく混ざり合って噛むたびにぐっちゃぐっちゃとみっともない音がする。この際は構わないさ。
 歯ごたえのあるシャキシャキした繊維質があらかたなめらかなとろろ状になったところで、彼女に見せる。
「ん。ちょうだい」 
 口を付ける。接吻ではないので、ふたりとも目を開けたまま。特に僕はつとめて官能的な雰囲気を出さないように。
 舌でとろろを押し出すと、彼女がそれに応えて掻きとってくれる。ただし、僕の舌の上から。さっきは頬と歯だけを舐めていたのに対して、今度は舌を。
 舌は体中のどの器官の中でも1、2を争うほど鋭敏な感覚を持つ器官だ。鈍感な歯や頬の比ではない。
 じわりとただの食事では起こらない感覚が舌の根から沸き起こり、カラダがいけない熱を帯びるのを感じた。
「っ、……」
 咄嗟に顔を離してしまった。口と口を繋ぐように引いていたネコブの架け橋が一瞬だけ耐え、そして落ちていった。
 ニャヒートが少し目を丸くした。気まずくなった僕は俯いて毛づくろいをする。粘液は放っておくと毛を巻き込んで面倒なことになるしね。
 ちらりと、自分の顔を均す前足の向こうを覗く。ニャヒートは何事もなかったようにそれを味わっていた。
 白く泡立つねばねばするそれは、僕がよーく注意して咀嚼したから彼女がこれ以上噛む必要はないものに仕上がっていたはずだ。なのに。
 くちゅ。くちゅ。
 しかし彼女はそれを噛んだ。それも、臆面もなく音を立てて見せつけるように。
 口を開けるたびに白くてドロドロした繊維質から粘液が透明な糸を引き、そしてちぎれていく。先ほど口と口を繋いでいた橋のように。

 ごくん。
「はっ」
 飲み込んだのはきっとほんの短時間過ぎてからだったが、見入ってしまっていたせいでやたら長く感じた。毛づくろいをしていた前足の動きが止まっているのだから、うっかり見とれていたことは彼女に丸バレだろう。
 ニャヒートが鼻で笑う。そりゃバレるわな。
 俯いてブー垂れる。ニャヒートが頭の上に顎を乗せてきた。柔らかい喉笛の感触。
 たっぷり出た唾液の、特有のねっとりとした臭気が僕を包み、吐き出される熱気が耳を浮かした。
「ね、わたし、まだ飲めるよレパルダス」
 酸っぱいきのみは口の中をさっぱりさせて食欲増進。ニャヒートに効果があるのかは微妙なところだけど。
 イアの実は大きくて食いでがあって、その上とても柔らかい。下手につつこうものならそこから腐る。といっても、まあその点は問題ない。僕が慎重に選んで運んできたんだから。
「君、すっぱい味は大丈夫だったよね」
「うん」
 今度のきのみは果汁があまり出ない代わりに、柔らかいもののしっかりした果肉が特徴となる。半分固形だけど、きっと飲み込んでくれるだろう。
 どんなものでも柔らかい肉に歯を立てるのはそれだけで触覚的快感だというものだ。ニャヒートはあまり好きではないらしいが。とろけるほど柔らかく、しかし無数の毒針が刺すようにちくちくぴりぴりとすっぱい。すっぱいきのみの代表だけある。
 最後は舌で押しつぶせるくらいになるので、そこで捕食者交代。 
 濡れた鼻同士がぶつかって、三度隆起した鼻下を重ねる。
 悪戯しようとしてくるニャヒートの舌に塊で残ったイアを押し付けて躱し、すぐに口を離した。
「大きすぎてまだ残ってるからね、次行くよ」
 まくし立てられては仕方がないとあきらめたようにニャヒートが口を動かす。今度は見せびらかすように開いたりはしない。不貞腐れたように黙々と胃の中へ押し込んでいる。
「はい、次」
 ここが責め時と閉じたままの唇を重ね、舌で無理やりこじ開ける。
 まだいくらか塊が残っていたが、構わず押し込んだ。抗議してくる小賢しい舌を切歯で捕まえて、体重をかけながらニャヒートを覆う。
 お残しは許しませんと、圧をかける。すっぱい小爪がお互いの歯肉を切り刻んでいるころだろう。
 きちんと食べきることができたら労わってあげよう。そう思いながら、捕まえているニャヒートの舌先を弄んだ。

 うぐっと喉に詰まらせた音がした。そういえば舌を出したまま物を食べるのは困難だった。慌てて解放してやる。
 ニャヒートは自由になった前からの圧力に泳ぎ、喉を犯したイアを吐き出した。そのままむせている。
 吐き出されたイアを口に含むと、ニャヒートの唾液で酸っぱさの角が取れ、仄かな甘みさえ感じた。
「もったいないでしょ」
 苦しみから解放されたニャヒートは少し涙目になっていたが、ニャヒートはそれをぬぐうといつもの気だるそうな表情に戻った。

 ◇

「まだ飲み足りないな」
 飲欲旺盛で非常に良い傾向である。レパルダス君はうれしい。イアの実効果かしら。
 ……と、飲み足りないと言われてももう用意してきた夕食はすべて与えてしまったわけで。
 僕は敷物代わりにしていた大きめの木の葉っぱをどけると、相変わらず眠そうな表情のニャヒートを一目見て観念した。
 僅かに、目が輝いている、ような気がした。
 何故なら、これはふたりの間の符牒だから。さっき奪いかけた主導権をあっさり奪い返された気分だ。
「……分かった」
 ニャヒート族は、というよりごく一部の進化の遅いニャビーに限っては、ヨツアシにしては珍しく吸血をするらしい。
 栄養を取らないから成長の遅かった彼女は条件に当てはまる。彼女が吸血をするのを知ったのはつい最近で、こうして食事のお節介を焼いているときに知った。
 冗談半分に、あなたの血なら飲めるよと言われたから。
 その時に、深く考えずに、売り言葉に買い言葉。じゃあ飲んでもいいよと返事をしたらそのまま首筋に噛みつかれた。
 そのあとのことはよく覚えていない。貧血で頭が呆けるのと、感覚がマヒして眠りに落ちるような心地よさの二つの記憶消去を食らって、ただ彼女に生き血を捧げたという事実だけが精神と身体に刻まれている。
 自分も血の乾かない獲物を捕るからなんとなく血にも栄養がありそうな気はするが、血だけで味わおうとは思えない。
「どうぞ」
 レパルダスは全身のしなやかな筋肉が自慢だ。首筋とて例外ではない。
 既に何度か噛まれたことがある。初めのうちはお互いに下手くそで、噛み痕が腫れたり浮いたりしていたが、今ではそんなことはないくらい上手くなった。
 そんな首筋を差し出した。かみ砕かれたら間違いなく昇天してしまうので、彼女を信頼していることの裏返しでもある。今更だが。
 ニャヒートが歯を立てる。自分と同じ、ヨツアシによくある四本の尖った歯がさらさらした毛をかき分け、自慢の筋肉の鎧に到達する。
 ごめんね、と小さく呟いて、つぷ、と四か所一緒に皮膚を貫いた。
「んっ……」
 痛くはない。むしろ適度な痛覚への刺激は快感になり得る。段々歯の厚い部分が肉と肉の間に食い込んでくるのがよくわかる。肉の繊維と繊維の間、硬い血管の通り道。鋭い獣の牙が穴をあける。
 これがきゅうけつのなせる技と思うと少し恐ろしいが、彼女には敵意はないので問題ない。はず。
 じゅるり
 口をつけて、吸い上げる。
「んん……」
 エロいことしてるんじゃないんだぞ。しかしつけられた口のあたたかさと柔らかい質感が心地いい。
 視界の端の外で、恐らく目を瞑って一生懸命自分の体液を啜っているニャヒート。とても官能的で厭らしい。わざとやってるんじゃないか。いやそういえばわざとだった。
 吸い上げるたびに水音がするのだ。
 心では分かっていても気分が煽られる。
 血の気は多い方ではないと思う。少なくとも自覚はない。しかし変な感情と歪な興奮によって全身に送り出されるはずの血液がどうも上半身にばかり優先して送り出されている。
 貧血とはまた違った感覚で頭がくらくらする。やわらかく口をつけられている首筋は血が抜けていくにつれて鋭敏だった感覚が徐々に薄れていき、恐ろしい気もするが痛みが程よい快感へと変わっていく。
 目の端からも見えない位置。そこで僕から出される体液を啜る彼女。
 想像の中には、いつもクールというかダウナーな彼女が、この時だけは必死になって血を吸おうとする姿。いじらしい。いくらでも血なんか差し出してしまう。干からびて死んでしまうって? 彼女はそんなことしないと信じているよ。
 ニャヒートが喉を鳴らす音がする。意識がうまい具合に混濁し、判断力が正常を割ってきたのだろう、僕の頭も幸せ物質で満たされてきた。
 快なるかな。首筋に開けられた穴から出ていく自分の体の一部と、絡められた尻尾の先の幸せ。ニャヒートよいつの間に。
 昇天と隣り合わせの心地よさ。万人が味わえるわけではない、特別の感覚。
 時間の概念も消えて飛び、視界はぼやけて瞼が落ちる。もはや自分からは吸血を止めることのできない領域に達した。状態としては、非常に危険。
 が、そこは二匹の経験と、絆。ニャヒートは「これ以上はヤバイ」というラインを分かっている。牙が引き抜かれる感触が混濁していた意識を呼び戻す。何とか体を支えていた緊張が解けて、ぺたりと座り込んだ。
 けぷうと血と一緒に腹に入った空気を追い出したのだが、不思議と下品とは思わず、むしろかわいいなと思ってしまった。
 そして、傷跡を舐めてくれる。犬歯が奥の奥まで入っているから案外深いが、吸血をするポケモンの唾液には出血を止めるのを抑制する何がが含まれているらしい。血はまったく止まらない。
 止まらない血は、吸血族同士の愛情の証だというのを、どこかの友人に聞いた覚えがある。

 ◇

 健康なポケモンなら、血を吸われてもしばらく休めば元気に回復する。比較的長く休養を取ったので、さすがに首筋の血も止まっている、ように感じた。
 休憩している間、ニャヒートは傍らでずっと僕のことを見下ろしていた。うんともすんとも言わずに。
「よいしょ……もう大丈夫だよ、これからどうする?」
 立って体を伸ばす。ニャヒートが耳の先から尻尾の先まで舐めまわすようにねっとりと眺める。さっきからずっと見つめられていて、ちょっと悔しい。
「……今日はもう少し飲みたいな」
 ついに来た。相変わらずトーンは低いままだが、ふたりにとってこの言葉が持つ意味は大きい。
 思わずごくりと生唾を飲んでしまった。
「……分かった」
 習慣とは悲しいもので、血を吸われた後にお代わりをされると既に熱を帯びていた下半身がついにあらぶりだす。この要求は毎度ではないが、といって一度や二度でもない。
 肉を差し出しきのみを差し出し血液まで差し出したら、もう飲ませられるものといえば一つしかない。
 精液の成分と無精卵の白身の成分はよく似ているらしい。ということは精液にも栄養たっぷりというわけというわけで。
 それもきのみや血にはない栄養素が詰まっている。……ような気がする。
 栄養バランスを考えたら決しておかしくはない。ただ一点、それが精液であるということを除けば。
「うっ」
 スリットから顔を出した赤黒い肉棒を差し出すように横たわると、彼女が口をつけた。
 肉棒を咥えている。否、味わっている。
 舌使いとか口腔の内壁とか、そういったテクニック的なことはまるで問題じゃない。
 たまに例の冷たいような無気力のような半開きの上目で僕の顔色を伺ってくるのがたまらない。
 気持ちよくは勝手になるさ。
 彼女だってニャヒート。舌がじゃりじゃりしているのは先ほど口移しで食べさせた時のとおり。痛いんじゃないかって?いやいやいや。
 初めて咥えられたときは確かに痛かったかもしれない。
「すごいね、先走り」
 最初に精液で栄養補給なんてことを言い出した変態は誰なんだろう。僕と彼女の場合は……忘れた。僕が彼女を困らせるために言った気もするし、彼女が僕を困らせるために言った気もする。
「でも、先走り汁には栄養がないんだよね」
 膨らんだ僕の精子製造&貯蔵庫に、柔らかいものが触れる。前足の先っぽの裏にあるぷにんと膨らんだ肉の塊。
 それで玉をいじられたら辛抱できたもんじゃない。
「出るっ!」
 言うが早いか、僕の肉棒は一瞬の爆発的快感とともに精液を吐き出した。すまん子種よ、飢えたニャヒートの糧となれ。
「んっ……んぐ……」 
 我ながらかなり溜め込んでいたらしくびくりびくりと海綿体が脈を打つたびに体内の睾丸から作りすぎて余った精液が送り出されて行っているのが分かる。
 精子本来の役割ではないが、彼女の血肉となるならば彼?らも本望だろう。
 しばらく止まらぬ精液を、ニャヒートは健気にもずっと棒に食いついて離さず、全て口の中に入れた。
 ……精液以外にもこれだけ欲を見せてくれるといいんだけど。
 口を離してもまだ飲み込み切れないか喉に引っかかった様子で、最後は喉を鳴らしてごくんと飲み干した。
 この間僕は様子を眺めながら射精の余韻に浸っていたわけだが、一発、それもそれなりの量を出したのに熱が収まる気配はなかった。

 ところで、精液って本当に栄養あるのか?
 
 ◇

「困ったな。お腹はいっぱいになったのに、まだ残ってるや」
 そもそも食事の役割はただの栄養補給だけではない。仲のいいもの同士で集まり、親睦を深めて団欒する、コミュニケーションの場でもある。
 そのコミュニケーションには、体と体のコミュニケーションも含まれているのだろうか。親睦はきっと深まる。
 なお、まだ残っているとは、その、食卓の上に用意された食事がということで、今回の場合は、つまり、まだ精液を出せるほど僕のアレが怒張していたということで。
「……じゃあ、下の口で食べようか」
 断っておくが僕がやりたい盛りの発情レパルダスだというわけではない。決して。おそらく、多分。
 自分で言っておきながら下の口ってなんだよ、ただのエロガキじゃないか。
「いいよ、もっと飲ませて?」
 言うが早いか、ニャヒートが地面に転がり、”下の口”を前足で広げる。
 なるべく冷静を装ってはいたが、この状態になってなお我慢しろというのも酷なもの。できる限り優しく覆いかぶさり、十分スキンシップとコミュニケーションを取ってから欲望を世話してもらおうと思ったが、内なる野生がそれを阻む。
「ふふ、つらそう」
 理性が崩壊しそうだ。でも、まだ早い。ニャヒートに、我慢を吹き飛ばしてもらいたい。
 中々行動をおこさない僕にしびれを切らして、ニャヒートが千尋の谷の崖の前に立っている僕の本能を、背中から突き飛ばした。
「壊しても、いいよ」 

 ぶっちん

 飛んだ。ちぎれて飛んだ。今までニャヒートを傷つけまいと必死に耐えてさせてきた理性なるものが。それはもうぶっつりと。
 ニャヒートの一番美味しい雌の味がするところにむしゃぶりつく。
「あはは、すごい」
 雌特有の割れ目は濡れ方はいまいちだったが、それでも濃い雌の匂いを醸していて、僕のやる気をとにかく引き上げる。
 行儀だとか礼儀だとか、普段の食事の時は同席の相手と気持ちよくいただけるように気にすることもあるけど、今は違う。さながら狩りで他のヨツアシを捕まえて、そのまま貪り食らう時のような乱暴で無作法な。
 割れ目に舌を突っ込み、舐めあげる。官能的な味のする愛液がとめどなく溢れ、僕はそれを存分に味わう。
 ぱっくりあいた腔の内側の肉が蠢き、中を這う舌でそれに呼応して愛撫する。息継ぎのために顔を離すたびに分泌された粘液がぬるりと糸を引き、泡を立てて股の間から垂れていった。
 ニャヒートは何も言わないが、カラダの反応を見ていればたのしんでくれているというのはよくわかる。
 ぷっくりふくれたいわゆる舌の口の唇の部分に口づけをする。彼女のそこが反応し、次の行動を待ちわびていた。
 強すぎる雌の匂いに、鼻も頭も完全にバカになってしまった。
「もういいよ」
 レパルダスの短い舌では、いや、仮に舌がもう少し長かったとしても、腔の奥にある、一番快感を得られるところには届かない。
 つまりニャヒートは大きな波で押し寄せる快感ではなく、もどかしくも心地よい小刻みな快感に酔わされていた。
 ……そろそろ、大きくいかせてほしい、と。
 ニャヒートが立とうとする。ヨツアシの下の口での食事と言えばこの体制。尻と穴が丸見えになる。突き出された淫腔が勝手に閉じたり開いたりして、非常に煽情的だ。
 すると何で下の口なんて言うんだろう?後ろの口では?
 ちょっとだけ湧いた雑念はすぐに増幅した感情と欲望に振り払われる。今はとにかくニャヒートを犯したい、じゃなかった、下の口に肉棒を喰わせたい。
 後ろから覆いかぶさるようにして、肉棒を腔に当てがった。
 ごくりと、ニャヒートと自分が喉を鳴らす音が聞こえた。

 ◇
 
 肉棒を、突き刺すのは一瞬。多分今ニャヒートの意識が一瞬飛んだ。
 その時だけ膣中がぎゅうと締め上げられたので、軽く飛んだらしい。
 そして、すぐに次の攻撃で、彼女の意識を取り戻す。抜くふりをして、再び奥深くへ。
 彼女の顔こそ見えないけれど、堪えきれずに胎から空気が押し出されたような声を上げている。
 乱暴に、それこそ壊れてしまいかねないように。食べないせいで、こんなに華奢だから。普通に交尾しているだけでも、慎重に取り扱わないと壊れてしまいそう。
 彼女を背中側から征服するように見下ろして、腰を入れる。子宮につながる膣腔が肉棒を大歓迎してくれて、極上の愛撫をしてくれる。
 腹の底にだんだん熱が溜まる。気分は最高潮だ。
 彼女のたてがみは感覚器官。普段は周囲を探ったりするためのものでも、気分が昂ってくると、こういう器官は性的に敏感な部位になることが、よくある。
「……っ!」
 彼女の体がびくりと跳ねる。たてがみを歯を立てずに咥えただけで、これだ。
 下の息子を咥えていた口がびくりと収縮する。彼女が軽くいったらしく、穴の奥から、甘い分泌液が肉棒を押し出そうとして迫ってくる。
 ニャヒートが落ち着くまで力を抜いて待つ。僕のムスコは元気溌剌でいまだに彼女の中でいきり立っていた。どう扱うかは彼女次第。
 息を整え、あらかた頭の中もすっきりたであろうタイミングで、彼女が呟いた。
「レパルダス、かお、みせて」
 彼女も負けていない。僕が彼女に溺れて情けない顔をしている姿を見ておこうという算段だろう。いつものことで、僕はいつも情けない姿をさらすことになっている。
 体力は使ってもまだ動けるニャヒートが仰向けになる。膣に絡めとられた肉棒がゴリゴリ刺激され更なる快感へ。でも射精はできない。
 バカなことを考えていると、ニャヒートと目が会う。この仏頂面を涎と涙でぐちょぐちょにしてやりたいという欲望が沸き上がる。彼女の方にも方向は違えど同じくらい危険な欲望が湧いたことだろう。
「わ、いっぱいいっぱいって感じ」
 ニャヒートが体を起こして耳元に顔を近づけた。こっちが乱暴に打ち付けているのにどこからそんな力が湧いてくるのだろう。明らかに、挑発している。
 ニャヒートの熱い息が耳にかかる。というより、息を吹きかけられてぞくりとした。全神経が膣中に入れていた肉棒から耳の方に呼び戻される。
「ちゃんとたっぷり飲ませてね」
 上半身と下半身の、それぞれ別の部位が熱を帯びる。
「そういうこと言うと……覚悟してよ」
 上半身は心臓の早鐘で、なめとられていっときは収まった首筋の吸血痕からまた血がだらだら出てくるのが感覚でわかった。
 下半身は睾丸から相手を孕ませよう孕ませようとする熱い精液の沸き上がりで―平たく言えば、興奮させられた。強制的に。限界を超えた、さらにその向こう側まで。
 彼女は煽り上手。いつも手玉に取って僕の持つ全てを、文字通り搾取する。
 先ほど上の口で彼女に吐き出したのとは比べ物にならない量を吐き出した。彼女も絶頂してくれたらしく、膣が奥から押し戻そうとしてくるが、そうはいかない。
 こちらの肉棒は奥の奥に到達したきり、すべてニャヒートに飲ませるために不退転のまま吐精を続けている。
「おなか……いっぱぁい……」
 永遠とも思われるお互いの絶頂の一瞬が終わると、絞り出すように愉悦の声を上げ、恍惚の表情に満たされるニャヒート。僕も全てを出し切って飲ませるものがなくなったところで、緊張の糸が切れた。


 ◇

「このままだとわたし、タマゴを産んだら衰弱死しちゃうなあ」
 あっけらかんとした表情で、しかしなかなか深刻なことをポロリと漏らすニャヒート。
 行為を終えてお互いに熱が引いたところで、再び向かい合う。いつの間にか夕食にふさわしい時間はとうに過ぎて一日を終えて休息するか、夜の狩りに繰り出すかという時間帯になっていた。この時間はまだ寒い。
 せっかく二匹で仲良く暖まったのに、とは言わないけれども。
「これからもレパルダスにちゃんと食べさせてもらわないと」
「それ、その通りの意味にとっていいの?」
 今日大量に&ruby(・・・・){いろいろ};注いでやって見た目ぽっこり膨らんだお腹を撫でながら、彼女が続けた。
 体力を使い切ってしまったから今日はもう寝ることになるだろう。だからこれは寝る前の仲を深めるためのトーク。
 お互いにだらりと足を投げ出し、地面に顔を押しつぶしながら見つめあう。
「その通りの意味でとってもいいし、その通りじゃない意味でとってもいいよ」
 真意を図りかねずに返す言葉がなくなってしまう。ニャヒートが返事を待ちくたびれて先ほど吸血した僕の首周りを食む。この細い身体のどこに、行為そのものに加えてこれくらいのスキンシップをするほどの元気があるのか。
「……じゃあこれからも頑張って食料を取ってこないとね」
「もっと量が必要になるかもね」
 首筋から、顔へ。ニャヒートが毛づくろいをしてくれる。当たり障りのない返事をしたら、即ことばが返ってきた。
 さあどうしたことか。食料を取るのは当たり前。もっと量が増えるのはうれしいことだが、それはどのくらい? せいぜい一匹で食べる量が増えたくらいか、それとも。
「ニャヒート、それはどういう意味かな?」
 ニャヒートはまだニャビー族の第二進化だ。ニャヒートにはもう一つ進化がある。そうなったら確かにもっと量は必要になるだろう。
 でも、ここまでの話の流れでそんな意味なら不自然すぎる。
 といって、そんな甘い話になるのもそれはそれで不自然だ。
 ひょっとしてからかわれてるんじゃないか。彼女にはそういう癖があるから。今だって僕のヒゲを折り曲げて遊んでいる。
 ニャヒートはクスクス笑っている。きっと変な顔をしていたのだろう。毛づくろいでは梳かせないくらいカチカチに固まった、変な顔を。
「こういう意味」
 ニャヒートが密着する。首を伸ばし、音を立てて鼻先に唇を触れさせた。彼女の首に下げる炎袋は、最高に熱かった。
「これからもよろしくね、旦那様」

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**%%あとがき%%敗者の弁 [#8bnMniI]
**あとがき%%敗者の弁%% [#8bnMniI]

書いた人は私だ。[[pt]]だ。
というわけで初めての人はこんにちは。
『変態選手権では』初めての人にもこんにちは。
え?オメー前もいただろって? ナンノコトヤラ…

変態選手権ということでドエロいものを書こうと思いました。
いやあしかし変態には上には上がいるもんですネ……。
変態選手権ということでドエロいものを書こうと思いました。結果口移しだけで半分死んだのですが…(
いやあしかし変態には上には上がいるもんですね……。
発想勝負で何が飛び出すか分からないと話にならないということでキャプションも意味不明、用意した二匹も絶対普通にエッ〇するだけだろうという状態を作りました。
どうでもいいけどウィダーinゼリーって人間のような栄養補給をする動物には画期的ですよね。

しかし小手先だけの技とエロさではいけませんな。結果が如実に表しておる。
投票してくださったお二方にはありがとうございました。

**コメント [#8J1crIR]
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