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二度と会えぬ人へ、第一章  魂の集まる場所 の変更点


官能入れない予定、とくに注意なし!!
あるとすれば駄文注意!!、by[[春風]]
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なんでだろう?、体中が痛いよ。
聞き覚えのあるサイレンが頭に響いて、悲鳴のように私の体を覆う。
確か私と御主人様が、いつもの道を散歩しているときに、鈍いブレーキ音がして、それで・・・。
となりにい御主人様が、私の名前を呼び続ける。
御主人様、体中が痛いよ、助けて・・・。
涙で濡れた私の視界が、急に暗くなった。
どんどん私を呼ぶ、御主人様の声が遠くなっていく・・・。








・・・私は、どうなるの・・・?





**二度と会えぬ人へ、第一章  ~魂の集まる場所 [#z1a8c92a]



次に目を覚ました時には、私は見知らぬ塔の中にいた。
自分はどうなってしまったのだろう、御主人様は・・・?
塔の中にはたくさんの墓石が並んでいる、この場所と、さっきの記憶からして、私はおそらく・・・。
・・・死ん・・・だの?・・・。
嫌だ、認めたくない、私は生きている!!
ふと視線の横に、御主人様が映る、私は思わず御主人様に駆け寄り、いつものように背中に抱きつく。
・・・だけど私の手は、御主人様をむなしくすり抜け、抱きつくことができない。
まさか・・・いや、何かの間違いだ。
御主人様は私をからかっているんだ、それか、これは夢・・・。
私は御主人様の顔を恐る恐る覗き込む、その目は墓石ではなく、別の何かを見ていた・・・。
「二度と会えなくなるなんて、信じられないよ、レイン。」
御主人様がつぶやく、そんなっ、私はここにいるよ、気づいて・・・。
違う、これは悪い夢だ、目が覚めたら、いつもと同じ一日が始まる。
私が自分にそう言い聞かせていると、御主人様は後ろを振り向く。
「御主人様!!」
私は声をあらん限りに叫んだ、しかし、御主人様に反応はない。
「レイン・・・。」
御主人様が帰ろうとする、私を置いていかないで・・・。
私は必死で御主人様を追いかけたが、入口付近で何かの力に引き戻され、尻もちをつく。
「そんな・・・御主人様ぁぁ!!」
私はほとんど鳴き声に似た声をあげる、それでも、御主人様は私に気付かず、塔から出て行ってしまう。
私は泣きながら、自分の身になにが起きたのか整理しようと、とりあえず御主人様が見ていた墓石に向かう。
「・・・!?」
その墓石に刻まれた言葉を見て、私の不安は確定してしまった。
『レイン、種族名リーフィア、6月21日没』
私はそのままへたり込み、声をあげて泣いた。

・・・私は、やっぱり死んでいたんだ・・・。

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「・・・辛いよね、可愛がってくれた主人との別れは。」
不意に背中に触れられて、泣いていた私はびっくりして振り返る。
そこには、やさしそうにほほ笑む雌のエーフィがいた。
「・・・あのっ、私は・・・。」
「やっぱり、唐突過ぎて理解できなかった?」
エーフィは、少し悲しげな表情を浮かべている。
「私・・・死んだの?」
「うん、そういうことだよ・・・。」
やっぱりそうなのか、私は、もう・・・。
「私はサニィ、あなたは?」
「・・・レイン。」
サニィは私の背中をさすりながら、私の置かれた立場について説明してくれた。
「よく聞いて、ここは死んだポケモンが埋葬される霊園、だから、未練を残して死んだポケモンが多く集まる場所でもあるの、私もそう、わかった?」
「うん・・・。」
確かに理解できた、だけど認めたくなかった。
「私は、これからどうなるの?」
「わからない、私たちは未練を断てば成仏できるようなんだけど、それが難しいの。」
「・・・。」
私の未練、それが何なのかよくわかる。
・・・もっと御主人様と一緒にいたかった。
「・・・んっ、えぐっ・・・ぐすん・・・。」
私は辛くなって、また泣き出してしまった。
「酷いこと言うけど、今話したほうがいいから、よく聞いてね。」
「・・・え?」
「あの男の子、もうここには来ないと思うよ。」
「えっ?」
わけがわからなかった。少なくとも墓参りには来てくれるはずだと思う、でも違うの?
「死者への思い入れがある程度なら、また来てくれる、だけど思い入れが強すぎると・・・。」
サニィが一瞬口をつぐむ。
「・・・もう、ここへはこれなくなる。」
嘘、御主人様ならまた来てくれるはず・・・。
「ああいう人は、ここに来ると昔の思い出を思い出してしまって、辛くなってしまうの、だから、ここへ来ようと思っても、辛さを忘れようとして、こなくなる、私は似たような人を何度も見てるから、わかるの。」
「嘘だっ!!、もう会えなくなるなんて、嫌だ!! 彼がこなくても、私が御主人様の所に行ってやる!!」
私は思わず叫んで、出口に向かって走り出す、が、またも見えない力によってはじき飛ばされてしまう。
「うう・・・。」
「私たちは未練に縛られている以上、もうこの塔からでられないの・・・。」
「そんなの、嫌だぁぁぁ!!」
私は大声をあげ、泣き叫んだ。
するとサニィは私を抱きよせ、私にやさしくささやいた。
「今は、気のすむまで、泣いていいよ・・・。」
「えぐっ・・・うぅぅ・・・。」
私はしゃくりあげながら、サニィの胸の中で、御主人様との幸せな時間を思い出す。
もっと、御主人様と一緒に居たい、御主人様には私の姿が見えなくても、近くに寄り添って居たい・・・。
だけど、叶わぬ願いなんだ・・・。
私は泣きながら、御主人様のことを思う。


・・・こうして、私の空っぽな生活が始まったんだ・・・。

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「・・・ひっく・・・ぐすんっ・・・。」
少し泣いたら、私は落ち着いてきた。
「・・・サニィ・・・私は・・・どうすれば・・・。」
「未練を断ち切る、それしかないね。」
「うぅ・・・。」
私の未練、それは、多分断ちきれない。
御主人様のことなんて、諦められないよ・・・。
「聞いておきたいことがあるの、あなた、死因は?」
「え・・・?」
自分の死因、そんなこと覚えていない。
だけど意識がなくなるすぐ前に、ブレーキ音が聞えたような・・・。
「多分、交通事故、車にはねられたんだと思う。」
「そう・・・。」
サニィは私の顔を覗き込む。
「私はね、人間と暮らしてたポケモンじゃないんだ。」
「そうなの・・・。」
「私はね、家族で森の中に住んでいたんだけど、あるとき・・・。」
サニィは一瞬口をつぐんだ。
「銃をもった人間が来て・・・後は、わかるよね?」
「・・・うん。」
人間にも酷い奴がいることは知っていた、だけどその被害者がこんなに近くにいるとは、いまいち信じられなかった。
「レイン、あなたはいいね、主人に可愛がってもらえて・・・、私は兄弟がたくさんいて、あまり親に構ってもらえなかったんだ、私の未練は、多分それ。」
「そうなの・・・。」
「だけど、私の両親はその時に死んで、しかも成仏しちゃったから、私はもう未練を断ち切れない・・・。」
「未練を断ち切れない幽霊は、どうなるの?」
「永遠にこの塔の中をさまようことになる。」
「え・・・。」
休むこともできずに、永遠に塔の中をさまよい続ける、それはとても辛いことに違いない、しかも、私の願望的な未練は断ち切りにくい、下手すれば、私も・・・。
早く未練を断ち切らなければ、この塔に縛り付けられてしまう。
でも、あきらめきれないよ・・・。
「サニィ、私たち幽霊のことを教えて!!」
私はサニィにすがりつく。
「わかった、じゃあ、見てて。」
そう言うとサニィは墓石に近づき、触れようとする。
けれどその手は、墓石をすり抜けて、虚空をつかむ。
「幽霊は、もうこの世のものではない、いわばマイナスの存在と言っていいの。」
急に、サニィは真面目な口調になった。
「だから、もうこの世の中にある全ての物質に触れたり、話しかけたりできない。」
・・・ということは、もう御主人様のぬくもりに触れられないのか・・・。
落胆した私をよそに、サニィは説明を続ける。
「そして、この塔から一歩も出られない。」
「どうやっても・・・。」
「うん。」
再び私は泣きだした、もう二度と、御主人様に会えないなんて・・・。
この塔の中で、永遠に空っぽな日々を過ごすなんて、そんなの嫌だよ。
私は、サニィに抱きついた、サニィといると、すこしだけ気持ちが楽になる。
「辛いけど、これが私たちの運命、運命から逃げてないで、戦わなきゃ。」
「・・・そうだね。」
サニィの話には、なぜか説得力がある。
私は涙をふいて、立ち上がった。

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サニィの案内のもと、、私はタワー内を上って行った。
私の墓がある一階には私とサニィ以外いなかったが、タワー上部には、たくさんの霊がひしめいていた
「・・・こんなに、霊がいるんだね。」
「うん、でもこれでも十年前と比べると少ないんだよ。
「ほんと・・・。」
こんな窮屈な塔に閉じ込められてて、成仏できる人もいるんだ・・・。
「ここにいる霊ははね、辛い体験をしてきた人が多いの、たとえば・・・。」
サニィがうずくまっているキモリの霊を指差す。
「あの子はね、今から12年前にトレーナーに捨てられ、そのまま飢死したらしいの、あの子の未練は、自分を捨てたトレーナーへの恨みみたいだよ。」
それからサニィはキモリの後ろで何か叫んでいるブーバーに目をやる。
「あの人は21年前に、交通事故で死んだみたい、彼の未練は、残された家族にあるんだって。」
「・・・。」
色々な時代に死んだ色々なポケモンたちが、ここでひしめき合っている、なんだか不思議で、とても切ない場所なんだなって、あらためて痛感した。
「・・・そういえば、サニィはいつから、幽霊になったの?」
「んー、だいたい2年前かな?」
「そんなに・・・。」
サニィが二年間もこの塔のなかで過ごしてたなんて、想像しただけでも悲しすぎる、なにも楽しみもないまま、自分自身の未練と戦い続けているなんて・・・。
・・・それに、自分も同じ運命になるなんて、考えただけで恐ろしい。
らせん状の階段が、私には悪魔の口内に見えた。
「気にしなくていいよ、成仏すればいいだけだから。」
サニィが私を気遣う。
「でも、サニィだって成仏できてないじゃん。」
「・・・そうだね。」
「別にそういう意味じゃ・・・。」
私は後悔した、自分を気遣ってくれたサニィに酷いことを言ってしまった・・・。
「・・・じゃあ、気晴らしに頂上へ行こうか。」
「・・・頂上?」



私たちはらせん状の階段を上って、頂上まで進んでいった。
「さ、ついたよ。」
そこは、なにもない空間・・・いや、大きな鐘がぽつんと立っていた。
空には星が輝いていた、事故にあったのは朝方、でも葬儀とかの時間もあったと思うから、本当は長い時が過ぎ去っているのかな・・・。
この星空を、御主人様と最後に眺めたのはいつだっけ・・・。
私はまたもや泣き出してしまう、そんな私の背中を、サニィは優しくさすってくれる。
「・・・ふぇ・・・サニィ・・・私は・・・。」
「辛いけど、頑張ろうね、一緒に。」
私は涙を拭くと、鐘つき台に目をやった。
「あの鐘は・・・?」
「この鐘の音を聞くと、この塔の中の霊を慰めることができるって、人間がおいてくれたの。」
「・・・本当?」
「さぁ、一年に何回か鳴るんだけど、悲しみは癒えない、でもきれいな音だよ。」
私は聞きたくなって、鐘をつく紐に手をかける、けれどもその手はやはり、紐をすり抜けてしまう。
「・・・。」
「ここだけは、外の世界を見ることができる場所なんだ、外を通る人とか、今みたいに星空を眺めたりとかね。」
「ふーん。」
私は塔の縁に駆け寄り、下を見る。
夜だからか人通りはない、それにここは墓場だから、夜なんて誰も寄り付かないだろう。
「うわっ!!」
身を乗り出しすぎたのか、私は塔から落ちそうになり、後ろに倒れこんだ。
「大丈夫?」
サニィが私の顔を覗き込む。
「平気・・・。」
あの高さから落ちたら、生きていればただじゃ済まないだろう、でも私はもう死んでるから・・・。
・・・でも、何か違和感が・・・。
「どうかした?」
「ううん、ちょっと不思議な感じがしただけ。」
「やっぱり、死んでいても落ちるのは怖いよね。」
「うん・・・。」

・・・死んでいても・・・落ちるのは?

・・・そうか、サニィのおかげで違和感の正体がわかったよ。
この塔からは出れないはずなのに、なぜ落ちそうになったのか・・・。
「サニィ!!」
私は思わず歓喜の声を上げた。
「・・・なあに?」
「私たち、この塔から出れるかも知れないよ!!」

「・・・えっ、何言っているの?ここから出れるなんて・・・ どういうこと?」
サニィは私の言葉が理解できていない様子だ。
「だってさ、私塔から落ちそうになったんだよ!! ・・・塔の下は地面だよね、ここから落ちれば、地面に着地できて、ここから出られるんじゃない?」
私は、この塔に来てから初めての笑顔で説明した。
「・・・悪いけど、意味、ちょっとわからない。」
サニィは私の顔色をうかがいながら、すまなそうに答えた。
「だからさ、ここから落ちれば、外に出られるよ、ほら、外に手が伸ばせるよ!!」
私は右前脚を塔の外の空間に伸ばし、外に出れるかも知れないことを、訴えた。
「・・・わからないけれど、あなたがそう思うなら、私も賭けてみるよ!!」
よかった、サニィは私の言うことを信じてくれた。
でも、同時に不安も浮かんできた、もし、ここから落ちても、外に出れなかったら・・・。
いや、もし途中で、どこかに詰まってしまったら、・・・空間のゆがみ みたいなのがあって、そこにぶつかってしまったら、私たちはどうなるのだろうか? 
・・・それに、私を信じてついてきたサニィに、取り返しのつかないことをしてしまう・・・。
・・・いや、今は考えることをよそう。
「・・・じゃあ、行こう。」
私はサニィと手をつなぐと、塔の縁から、地面へと落下していった。

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「きゃっ!!」

「やっ!!」

私たちは尻もちをつきながら・・・といっても、地面に激突した感じもなく、ふわりとしたものだったけど、
地面に落下して、短い悲鳴を上げた。
「・・・ここは?」
そこは、単調な塔の中でもなく、どこかに引っかかったわけでもなく、まぎれもない地面の上だった。
「やった、外に出られたよ、サニィ!!」
これで、御主人様のところに行ける、御主人様には私が見えなくても、御主人様のことを見守れる。
・・・そう、思っていた。

続く
「・・・やれやれ、ここから落ちた奴は、外に出た後、どうなるか知りもしないのに、はしゃいじゃって。」
「えっ・・・。」
ふいにどこからか声がして、私とサニィは思わず飛び上がった。
声の主の姿はどこにもない、この辺には隠れられそうなところもないし、・・・もしかしたら、幽霊は消えることができるのかな、生きている人は私たちのことは見えないし・・・。
「知りたいか?」
また、声がした、女性の声で、なんだか偉そうな口調だった。
「どういうこと、ここから落ちたポケモンたちは、どうなるの?」
サニィが、大声で、・・・でも心配そうに、質問に答える。
・・・でも、ここから落ちた人たちがどうなるのかは、私も知りたい。
「わかった、教えてやるよ。」
その声は、ゆっくりと、私たちに語り始めた。





「塔から出た幽霊は、一週間経つと、消えちまうんだよ・・・。」




終わり、二章に続く。
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はいどうも、春風だったりします!!
長編の人気のなさに落ち込んで、更新を停滞させて、別の長編を書きました (..; 。
今回はタワーオブヘブン内の「死者」を題材にしてみました。
僕は二年前大切な愛犬を亡くしまして、とても悲しい思いをしてましていて、だけど、
「もしかしたら生きている自分たちよりも、死んでしまった人たちのほうがつらいんじゃないか・・・?」
って思いまして、立ち直るきっかけになったんですよ。
自分はまだまだ周りに大切な者がいるけど、死者は全部なくしてしまうんですよ。
そして天国にも行けない人にとってみれば、それは生きている僕たち異常に辛いことなんじゃないかって。
本当に天国や霊魂や生まれ変わりがあるのか、死んだあとは有か無かわからないけれど、きっと辛いでしょう。
まあそんなこと思いながら、適当に書いていったわけなんですね。
まあそんなこと思いながら、書いていったわけなんですね。
暗い作品で、しかも原作崩壊ですみません・・・。
そんなことで、よろしくお願いします。

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