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丑の日の定番食 の変更点


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この作品は&color(red){同性愛表現};を含みます。
そういうの大好きな人だけ読んでね。
* 丑の日の定番食[#E5000B]

 土用の丑の日という文化がある。
 この時期になるとチラシやら広告、Poketterでもこれを食べようあれを食べよう等と熱に浮かされた様に国民が一大イベントのセンセーショナルな話題に食いついて離れない。
 その中でも圧倒的な人気食の一つが前面にピックアップされるのだが、生憎と僕はそれに興味がなく、『う』の付く物なら何でも良いと考える俗説派である。
 そもそも僕は脂っこい物が好きではない。その為この日になるとうどんを食してイベントを終えるのが定例であったし、極論を言ってしまうとイベントそのものに興味が薄かった。
 丑の日に限らずあらゆるイベントに対して僕は熱くなれない。花火大会も祭り囃子も何もかも関心が薄かった。
 無味乾燥な男だと友達にからかわれる一方でそういうクールさも嫌いじゃないよとフォローも入るが、そういう人間関係すらも僕は稀薄だった。
 根暗な奴だと思われるだろう。僕も子供の頃はそう感じていた。
 だが成人し、社会に飛び立ち、職につけばそんな人間は何処にでもいる存在だと解った。
 僕は単に大人びすぎていただけだった。
 そういう子供は大人になっても変わらないか、大人になってから子供化する。
 僕は前者だった。そう、だったのだ。
 イベントや人間関係への稀薄さは相変わらずだが、ある一つだけを除けば僕は直ぐにでも童心に返る熱さを持っている。
 熱くなれる何かを見つけてしまった人間の熱中と依存性は凄まじく、病的な一面にさえ感じられるだろう。
 話を少し戻そう。『う』の付く物ならば何でも良い。
 うどんを食べてその日を終える。それがこれまでの僕だった。
 今は違う。僕を熱くさせる僕だけのイベント。
 それは我が家で行われ、今か今かと僕の帰りを待ちわびて放熱の時を窺っている。
 早足でプラットフォーム、モールを抜け、残すは一直線の帰路を駆けていくにつれ、早鐘を打つ胸中が全身に熱を走らせる。
 庭付きの家屋が徐々に視界の端へと建ち並び、何軒目かを過ぎてようやく自宅前に帰り付いた。
 深く呼吸を吐いてから玄関を押し開く。
 本来ならばセンサーライトが直ぐにでも暗闇を照らしてくれるのだが、敢えてこの日だけは切っている。特別という感性を重視し、ムードを高める為に必要な措置である。
 手探りかつ壁伝いではあるものの家屋の間取りはしっかりと体が覚えており、帰路の道中で片目を閉じていたので暗視が効く。
 ハンガーラックにスーツジャケット、ソファーベッドの片隅に手提げ鞄を起き、背もたれ越しにベッドの中を覗き見る。
 宵に溶けた灰色の毛並みは窓辺から射す月光を吸収して仄かに煌めき、柔毛の両手を自らの股間に埋め、背を丸めては荒げた呼吸を繰り返して這いつくばっている。
 囁くように彼の名前を呼ぶと蕩けた表情に熱を帯びた色の双眸が僕と合う。
 そっと忍ばせるような緩慢な指先が彼の頭頂部の冠に触れ、なぞり落ちて頬のラインへと零れていく。
 その感触だけで果てそうなのか全身を強張らせては期待の眼差しをちらつかせる。
 部屋の中に充満する牡の臭気にあてられ、眼下の色狂兎の淫らさに僕自身も呼応し、窮屈な枷から解放をせがんで張り詰めていく。だがまだ解放はしない。
 先に確認を済ませる義務が僕にはあるからだ。
「今日は何回&ruby(だ){射精};したの?」
 頬に置いた指先が兎の口端に触れる。
「一回?」
 人差し指が飲まれた。
「二回?」
 中指も。
「三回?」
 薬指も飲まれ、三本の指先を吸い食みつつ強目に甘噛む兎。
 伝う痛みにまだ射精したりない意思を感じ取り、口腔内で滑る兎の舌先を指腹で挟んで弄ぶ。
「不器用ながらも頑張ったんだねぇ。ごめんね、帰りが遅くなってしまって」
「ニィ……」
「お詫びにお手伝いをしたいと思うのですが、お隣宜しいですか」
「ニィ」
 指先が引き抜かれ、滑る熱が外気により冷めきる前に更なる熱源に触れる。
 彼を護る朱色の召し物の中へと指先が滑り込む最中、粘り気を帯びた粘液が我も我もと絡み付いては熱度を上げていく。
 一等敏感な先々に触れられ、燻る色が木霊へと変じて男の耳をくすぐった。
「早いね、四回目。でもまだ元気そうだ」
 指先が絡む度に淫靡な音が弾け、部屋中を充たす甘美な空気が濃くなっていくのを、男も牡も昂る熱に逸りながら呑み込まれていく。
 爛れた関係は重傷の火傷を心に伴い、冷徹な印象を纏わせる男の殻を溶かしていく。
 溶かし、融かされ、解けていき。
 融解する一人と一羽の。
 濃密な関係は今より一年前。
 土用の丑の日より始まる。
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「自慰中毒症のエースバーン、ですか……?」
 耳を疑う様な言葉に思わず聞き返したが、反応を見るにどうも間違いではないらしい。
 怪訝な顔を浮かべつつも対面する女性の話を聞こうと姿勢を畏ませる。
 バトルタワーを引退したポケモンの大半は余生をトレーナーと共に過ごしたり、希望であれば野生に返る個体もいる。
 然し全てのポケモンがそうとは限らず、中には問題を抱えてトレーナーから見限られるケースもあるという。
 そう言ったケースのポケモンをケアするのも彼女達の仕事にして使命なのだが、それでも人手が足りなかったり手に余る問題等は尽きない。
「彼は引退にはまだ早く、現役で通じる個体なのです。でも復帰はできず、有り余る闘争本能を発散するには代替行為が必要でした。そこで彼の元トレーナーは彼を生殖に宛がったのですが……」
「ですが?」
「彼はどうも異性に興味が無く、同性相手にしか行為を持ち掛けてこないんです。彼と同じ様な個体が他にもいれば話はまた違ったのかもしれません」
「成る程、話が読めました。そこから先の自慰中毒症に繋がると」
「どうか彼の助けになって戴けませんか? 色んな有志を募りましたが彼の事情を知るや難色を示して首を横に振るばかりです。このままでは彼があまりにも不憫でなりません」
 確かにまともな感性なら彼と付き合う事の危険性は想像するに易くない。
 下手をすれば貞操の危機を孕む一大事である。二つ返事ではいと言える程軽い問題ではないだろう。
「分かりました。お引き受け致します」
「はい……はい?」
 妙な空白が合間に挟まる。
「今、何と仰いましたか?」
「お引き受け致します、と」
「あ、ありがとうございます! でも、どうして?」
「理由なんてありません。僕は昔から世の中の様々な出来事に対して無関心です。人間関係も必要以上に築く事を好まないつまらない人間です。ここを訪れたのもたまたま貴女が有志を募ろうと呼び掛けている所を僕が通りがかった。それだけの出来事なんです。逆に訊かせてください。僕のような人間に彼を預けても良いと貴女は思えますか?」
「……大丈夫です。彼方は無関心な人ではありませんよ。そんな人はそういう質問をしないでしょうから。彼方を信用します」
「そうですか。ありがとうございます」
「でも、本当に気をつけて下さいね?」
「はい。何かあれば知恵をお借りしたいと思いますのでその際は宜しくお願いします」
「彼を宜しくお願いしますね」
「早速なんですが、僕はポケモンを飼育した経験がありません。彼とはどの様に接すれば宜しいでしょうか?」
「……これは、強敵だわ……」
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 六回目の吐精を迎え、弧を描く彼の火種が床を汚す。
 掌の中で跳ねる彼の牡は火掻き棒の如く熱を帯び、冷却を欲して時々指先を離すと催促を求めて彼に引き戻される。
 今回も又引き戻されるのだろうかと試しに離してやれば意外にも彼の催促は続いて来なかった。
 肉の硬さからしてまだ射精せるはずだが、どうしたのかと訝しむと彼の指は僕の指ではなく股間へと伸び、もう一つの火掻き棒との邂逅をせがんできた。
 そうきたか。
 彼との付き合いも長く、同じことを彼も思うのか僕らの合間には奇妙な連帯感が生まれていた。
 始めは彼を真っ当に立ち直るまで支えてやるだけの義務感だけで接していたのが、半年もすれば彼に興味を持つ自分がおり、処理後は浴場でこっそりと自身も処理している自分がいた。
 それだけならまだ良かったのだが、聴力の良い彼には全て筒抜けだった様で僕がそういう行為に勤しんでいる事を是と受け止めて以来、何かと彼からのお返しをその身に受けることが増えていった。
 不器用な彼には正直褒められた様な技術では無いのだが、何事も懸命なその様子が僕にはとても官能的であり、とどのつまりムードに酔って吐精するのが常だった。
 スラックスの留め金を上手く外せない彼に助け船を出して指先だけで外してやると、乱暴に布地を引き裂いて隙間を広げる。
 嫌な金属音の悲鳴が聞こえたが、この状況を天秤に賭けるなら安い代償であった。
 パンツごとスラックスを引き抜かれ、勢いで僕の体もソファーベッドからずり落ちて床に転がり落ちるが、彼は構わず剥き出された僕を待ち望んだ表情で舌舐って食みかかった。
 いつも急に襲ってくる彼の乱暴な奉仕は炎熱そのもので、火傷を伴う快楽に堪らず零れる上擦った声が自分の喉を焼く。
 溶鉱炉の如き口腔に時折当たる彼の歯が激痛を走らせ、反射的に全身を強張らせるもそれすら気持ちいい。
 呼吸が不規則に入り乱れつつも快楽を拾い集め、度々襲い繰る彼の噛み癖に僕は果てた。
 脳髄を焼き、シナプスを焼き切る暴力が全身に広がり、刹那的な快楽を置き残して現実へと帰る。
 背後の窓辺から射す月光が彼を照らした。
 口腔を大きく広げ、長い舌をすぼめて垂れ落ちる白濁液を零さず弄ぶその情景は酷く背徳的で、本来在るべきではなかった関係の先にある姿を顕現していた。
 そうして見惚れていると彼は下品にそれらを全て啜り、咀嚼して嚥下する。
 最後に口回りに残る残滓を一舐めする挑発的な姿は野性味の残る動作でそれすらも美しく僕を昂らせ、小さく彼を求めて名を呼んだ。
 長耳がぴくりとこちらを向き、次いで燃える&ruby(ルビーアイ){紅玉色の瞳};が不適に嗤う。
 長耳がぴくりとこちらを向き、次いで燃える&ruby(ルビーアイ){紅玉色の瞳};が不敵に嗤う。
 彼が立ち上がり、その反動で彼の牡も雄々しく眼前に突き出される。
 前進。前進。前進。
 嗚呼、意図を察した。
 つまり君はこう言いたいのだろう?
『次は俺のを舐めてよ』と――
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 後書
 ガン攻め兎ちゃんもいいよね。

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