Written By 『[[カペラの倉庫。]]』 ※&color(red){警告};官能描写があるので、無理な方は他の小説をお探し下さい。 ---- -1- 少しだけ時間が止まっているように感じた。 スケッチブックが地面に落ちた時、僕はやっと現実へと引き戻された妙な感覚が襲ってくる。 目の前の大きめな花壇に植えられていたドウダンツツジ((落葉広葉樹。低木で、大きくても3m程。花は鮮やかな白で庭園ではよく使われる))が揺れていた。 真面目に見れば見るほど、ペンが思うように動かなくてさらに困ってしまっていた。 そんな僕を見つめるのは彼女だった。 「どうしたの? さっきから悩んでばっかりでさ……」 「別に、なんでもないよ」 ふーん。という表情をされてしまったので、そのまま僕は植物を描き始めた。 ◇◇ 嗚呼、昼休みってのは正直 学校生活の中で一番ヒマな存在だという事は承知の上だった。 この上、深夜までずっと数学の勉強をしていたから もう寝不足がずっと続いていて。 「ブラッキー!って寝てるし」 とタイミングの悪い時に、サンダースは決まって寄ってくるのだった。 「うるさいなぁ、昨日はテスト勉強のしすぎで眠れなかったんだよ」 と返事をしても「お前は偉いなぁ」と返される。 「それが普通だよ」 あっさり返したら、あいつも「ゲームが忙しくて」と随分呑気な答えを聞かされた。 こっちは大学に進学したいから一生懸命に勉強をしているのに。 「とりあえず頑張れよ! 俺も応援してるから」 「とりあえず頑張れよ! 俺っちも応援してるから」 応援された。というか、そっちは勉強しなくても大丈夫なのか? 呆れた。 そうサンダースが離れると僕はまた眠りたくて瞼を閉じる。 ふと、チャイムが鳴り始める。 せっかく眠ろうとしたのにと僕はがっかりしながらも、また勉強のする準備をしはじめた。 教科は数学…全然予習していないよ。もぉ、僕の馬鹿。 そんな事をずっと考えていて、眠りたい気分を我慢して必死にノートを写した。 時計は授業の終わりまで後30分―――。 少しだけ窓の外を覗けば、浮んでいるのは白い雲と地平線まで広がる青い空が美しくて。 -2- 「これでテスト範囲が終わったから、しっかり勉強してくるように」 チャイム音が鳴ってくれる、この音のおかげで自分は現実へと引き戻されてしまうのが辛い。 もうちょっとぼーっとした時間が欲しかったけれど、注意を受けなかったのも幸せに近かった。 次の授業が始るまで昼寝していてもいいか…と思いながらまた瞼を閉じる。 「また寝てるのー? ブラッキー君」 「最近ずっと寝てるから…流石夜行性?」 周りの女子が話しているせいで どうしても周りが気になってしまって眠れなかった。 しかし次の授業は移動教室のせいで、これほど体に鞭を打つのもどうだかとも思う。 サンダースも嫌々教科書を持って、二人で音楽室へと向かった。 次の授業、音楽か。 ◇◇◇◇ 「うあー、俺っち、すっげぇ音痴なんだけど」 「そんなの評価に関係ないよ。どうせ先生が見ているのは意欲ぐらいだよ」 「確かに。お前も歌えよ?」 「ばーか。音楽なんて口パクでだいじょーぶなんだから……」 いつもは真剣に教科書と睨めっこしながら歌っているのだが、眠いので今日は口パクで歌う事にしてみた。 授業なんてどうせ先生の説明や雑談だけで終わるから、あんまりにも退屈な授業でもあった。 今日は部活、やらなくてもいいかな。とか思いながらも、自分は先生の話を右から左へ受け流す。 「お前、部活行く?」 当然、答えはNO. サンダースの方は勉強より部活。部活よりゲーム精神の持ち主。 全くゲームに興味が無い僕にとっては、それはそれは未知の世界でもあったのだ。 「なんでさ」 「面倒だもん。人数だって少ないし」 「そうか。吹奏楽部だから男が少ないのか」 「分りきってる事を口走らないでくれる?」 怒り半分で僕はサンダースを軽く言った。まぁ、本当の事なんだけれど。 男で吹奏楽? って馬鹿にする奴はいるけど、そういう奴は何かに一生懸命になった事あるのかよ。と僕は言って見たい。 運動部だって面倒だし、帰宅部だと将来が危ない気もするから適当に部活に入ったのがこの部活。 「お前、行った方がいいんじゃね?」 「やだ」 二文字で返した。 サンダースも分った様な表情で僕をしげしげと見つめた。 彼がそんなに行け行け五月蝿いもんだから、二週間ぶりに言ってもいいかなと思ってもみたのだが。 -3- 掃除が終わり、LHR((Long Home Room の略。朝の会や帰りの会を差す。))も終わった所でサンダースとも別れ、僕はさっき音楽の授業をやった場所が部室なので其処まで行く事に。 部室の扉を開けようとするが鍵がかかっている…まだ誰も来ていないのか。 するとシャワーズが此処まで近づいてきて……。 「ブラッキー…凄い久しぶりに来たよね? この部活」 「うん」 同じ部活仲間のシャワーズとも感動の再会(?)を果し、僕と二人は入り口で立ち往生。 シャワーズは幼き頃からも仲が良いから、ずっとこの学生になっても仲は良かった。 シャワーズも運動が苦手でどちらかというと僕に似ている所も多々あるのである。 「そういえば、ブラッキーの楽器ってまだ決まってないよね」 「あ、あぁ。入部届け出してもそれから行って無いし」 「僕はもう決まってるし、大会に出る事も決まったんだ!」 「良かったね。僕はどうすれば分らないまま来ちゃったもんだからさ」 一応、クラリネットかオーボエを希望していたんだけどなぁ とか心で思いながらも 僕は部活にさえ来ていないので、誰一人として僕の顔を知るものはいないのだった。 確か クラリネットも全然いなくて、そもそもオーボエという楽器すらなかったっけ? と、シャワーズから聞き出して 僕はヒマすぎる時間を数分間 シャワーズと過ごす事となった。 ◇◇◇◇ 「シャワーズ君、こんちはーって、その子は?」 「こんにちは。この子は入部届けを出したまま、全く来ていないブラッキー君です」 「ふぇっ!? そういえば空気化している男の子いたよね? いいよ、入って」 「許可が下りたよ。入ってだって」 「はいはい……」 部活の部長なのかこのピカチュウ。それにしても自分達より年齢が下に見えるのは気のせいか。 恥ずかしい気持ちと不思議な気持ちが入り混じって、どうでもよいような感覚すら生まれる。 しかし、埃塗れな部室はどうしても長い時間掃除すらしていないような感じもする。 あまりに埃っぽい部屋のせいで咳き込む事も…得にこの床に引いてあるカーペット。 「ブラッキー君だっけ? 名前」 「はい」 「分った。入部届けだけ一枚多いってあの話。この子だったの?」 「あれですか? そうだと思いますよ」 「やっぱり!」 話についていけないまま取り残された感覚に駆られる――のは本当だったり。 楽器の事だって、部活の事だって分らないものだからもうどうでもいい様な気もするけど。 「楽器どうする? というか何をやりたい?」 「うー…、クラリネット?」 「もう人沢山いるから無理」 「じゃあ… オーボエ?」 そんなような会話が繰り広げて、一時間…沢山の部員が回りに集めっているんですが。 決まらずにどうすればいいと悩んでいる時にふと、…あ。 「オーボエでいいです」 なんの迷いも無く、それは決まった。 ---- 初めまして、カペラと申します。 小説を書くのは初めてですが、どうぞ、温かい目で見てやって下さい。 ※誤字脱字やおかしい点については教えてください。お願いします。 はい。官能有りですが、実際には吹奏楽ネタです。 なんか在り来たり…という方には少しオススメできなくて、微妙に読み手を選ぶかも。 今後に期待← というカタチでお願いします。 #comment