スラストの恋日記 Projected by メルティ #contents ---- *前書き [#f109f4d7] このお話はとある一匹のポケモンが人間に恋を抱く物語。決して結ばれることを許さないポケモン界と人間界の法律。 それでもその人のことを忘れることが出来ないポケモンの切なく優しい物語。 **1ページ目 [#a63e2f9c] 私はカノコタウンで初めてマスターの手持ちになった時、最初はただの駄目人間だと思って冷たく接し続けた。 カラクサタウンに着いた時、プラズマ団が変な演説をしていた。ポケモンの解放、とか。その時、私は気付いた。いや、思い出したって言った方が正しいのかな? プラズマ団は私の家を焼き払ってお母さんと姉さんを殺したんだ。真っ赤に燃えあがる炎を私は茫然と見ていた。なんで、なんでそんな事を――――――。 いつしか私の目の端には涙が溢れていた。そんな時、マスターが私を抱きしめてくれた。泣かない事が強いわけじゃない。きっとお母さんは無事だよ。 そう言ってくれて私はマスターの胸の中で思いっきり泣いてしまった。きっとそこから好きになってしまったのかもしれない。 普段は何もしない人なの仲間の事を一番に考えてくれる優しい心の持ち主。そんなマスターが私は好きになった。 でも、それは許されない禁断の道。許されるはずがない異種族との結婚。人間のマスターとポケモンの私では違いがありすぎる。 でも、忘れられない。マスターへの恋心。イケナイと分かっていても、諦めきれなかった。 ---- ***2ページ目 [#yd42c047] 「はぁ――――――…………」 &ruby(さざなみ){漣};の音が気持ちいい別荘みたいな場所、サザナミタウンに私達は来ていた。なんでそんな別荘みたいな町にいるのは後で話すとして。 季節は夏ということもあって辺りにはたくさんの人がいる。それを窓から見つめる私は大きく溜息を吐いていた。 私が見つめている方向にはマスターと、そのお友達。フロウさんと、チェレンさん、ベルさんが、海で水の掛け合いをしていた。 「(メモ)どうしたのスラスト。」 この子はグラスちゃん。いっつもメモに書きながら話している理由はただ恥ずかしいからみたい。初めて会った時には普通に話していたけど直ぐに顔を紅く染めて その後はメモで話すことが普通になっちゃった。種族は私と同じ蛇に分類されるんだけどわたしはジャノビーでグラスちゃんはジャローダ。 って言っても特別変異って進化の時に稀にある病気みたいなもので姿形は進化元とあまり変わらずに能力だけジャローダの様に強化されている。 どうして私が進化しないのは病気みたいだって言ってたけど私は別にこのままでいいって思ってるからいいんだけど。因みにフロウさんの手持ちです。 彼女の主力技は驚くことなかれ。格闘系の一種で草の技に独自でアレンジした格闘技を使うって凄く珍しい戦い方をする。 「ううん。何でもないよ」 「(メモ)そう? てっきりボクは恋に悩む少女って感じしたけど。」 「うへ!? ち、違うよグラスちゃんっ! 私はただ楽しそうだなって見てただけです!!」 「(メモ)くすくす。可愛い乙女で。」 期待通り、と言わんばかりなグラスちゃん。はぁ……。どうして私はそういうのが出やすいんだろう……。 「こぉら、グラスちゃん。スラストちゃんをからかうのもそれくらいにしておきなさい」 穏やかな声で言うのはダイケンキのウィレッジちゃん。とってもお人好しで、 どんな悪い人でもほいほい付いて行ってしまうくらいに人を疑うことを知らないお嬢様みたいな性格で 普通のダイケンキの両前脚にあるホタチの&ruby(つるぎ){剣};は左脚に一つだけしか無くて、 もう一方の右脚には、なんと傘が入っている。雨の日はこの傘をエンブオーのフィート君に持たせて会い合い傘みたいのをしている。因みにベルさんの手持ち。 「俺も泳ぎたかったのになー」 この子がフィート君。いつでも本気で接してくれるいい子。何事にも本気で機械系以外は料理も案外得意。&ruby(こぶし){拳};を炎に宿して強力なパンチを繰り出す 何気なく手芸も得意でマスター達の服がほつれていたりするとその場で三十秒で直す凄腕。チェレンさんの手持ちです。 「だめだよぅ。フィートちゃんは炎タイプだからすぐに溺れちゃうよ~」 「あーもう! 俺が炎タイプじゃなかったらなぁぁぁ!!」 「(メモ)そもそもポケモンは遊泳禁止って書いてあるよ。」 なんでポケモンは遊泳禁止なのは、昔にポケモンがここで大暴れしたからみたい。私も入りたかったなぁ……。 ---- ***3ページ目 [#u3c6f719] みんなお談笑してる内に照り続けていたお日様の太陽は海に沈みかけて東からはお月様が闇を支配しようとしていた。 「ただいまー」 「おかりなさい、マスター」 日中は話しかける事が出来なかったマスターに、私はここぞとばかりにマスターと話すことにしよう。 「どうでしたか? 皆さんとの海」 「あぁ。楽しかったよ。でも……僕はフロウ達だけじゃないスラスト達とも一緒に遊びたかったけどな」 「……すみません」 「? どうしてスラストが謝るんだい?」 それは……。ソウリュウシティ横のデパート福引のキャンペーンがあった時の出来事。その時は珍しくフロウさんと私ががデパートに買い出しに来た時、 福引がやっていて、初めはフロウさんが一回やったけど白の玉が出てはずれ。二回目に私がやってみたんだけど…………。 どうせ当たらないだろうと思って適当に回していたら……なんと、出てきたのは金色に輝く玉。一等賞の証が出てきたのです。 そしてその一等賞の景品がサザナミタウン三泊四日。しかもペア四人分。それから意気揚々とサザナミタウンに来たのですが……。 ご覧のあり様、ポケモンは遊泳禁止。私とグラスちゃん達はとてもつまらない旅行になってしまったのです。 「なんだ。そんな事気にしてたのか。いいんだよ。スラストが僕達の事を想ってくれただけでも。 ありがとう、スラスト。僕達をサザナミタウンに連れて来てくれただけで感謝だよ」 「……ありがとう、ございます。マスターにそう言ってくれれば少し心が軽くなりました」 「そうかい。それはよかった」 マスターはそう言うと多分、疲れたからか欠伸をして、 「あっちの部屋で休んでるから、何かあったら起こしてね」 それだけ言ってから自分の部屋に戻って行きました。フロウさん達も同様に欠伸をしながら部屋に戻りました。 「(メモ)フロウ達、相当遊んだみただね。」 「そうですね。とっても疲れてました」 「よく遊び、よく寝るとはこの通りだね~」 「俺は遊び足りないっ!!」 そんな下らない話をしている内に私達もそろそろ寝ようかという話になり、私達はそれぞれの部屋に戻って行った。 ---- ***4ページ目 [#sd878e27] それぞれのマスターの部屋に行って寝静まった頃、私はまだ眠れずにいた。理由は単純、 私がマスターの事を考えている事とマスターと隣で(といっても距離はすこしあるんだけど)寝ていることです。 眠れない。どれだけ瞼を閉じても結局は目が覚めてしまう。これは……なんて言うのかな。そうだ、 モンOンで例えるとヒプノック対策で眠り防止のスキルを付けていざ眠鳥退治に! と声をあげて樹海に行ったものの、 相手は全然眠りの液を吐かずにクエストクリア。みたいな。不完全燃焼って言うのかな? マスターと泳げると思ってこの町に来たのにポケモンは遊泳禁止。 こういうのが不完全燃焼っていうんだろうな。準備万端なのにそれを&ruby(ことごとく){悉く};崩されて行き場の無いこのやる気。どうしようも出来ないよ。 …………気分が落ち着かない。隣にマスターがいるってこともあるんだけど。ここは&ruby(ひとまず){一先ず};外に出て気分を落ち着かせよう。 #hr 夜のサザナミタウンは昼間とは打って変わってとても静かな町になった。夜ということもあってか、人気が全くない。街灯も殆ど無いからとても暗い。 ……なんだか怖い。はやく気分を落ち着かせて帰ろう。そう思った時――――――。 「やあ。キミ一匹かい?」 男性の声が私の耳に入ってきました。こ……これは、もしかして……!! 「勘違いしないで。ボクは性犯罪者じゃないから」 「ひっ!!」 な……何この人……っ。私の心の中を読んだ……? 「大丈夫。キミの主人はボクの事をよーく知っている」 「ふえ?」 この人……。マスターの知り合い……? 誰? 「さ、こっちに来てごらん」 そう言いながら謎の人は歩き出した。 「あ……」 私もその人を追いかけていた。どうしてだかは解らない。何故か、体があの人に導かれる様に動き出していた。 #hr 謎の人に連れて来てもらった場所は星が輝き、遠くにある大海原を見れる絶景の場所でした。 「……ここは?」 私はすこし戸惑いながらも話しかけます。 「ここは、昔に星が降ってきたって言われてる場所だよ。多分、ボク以外殆ど知られていないと思う」 「な……。なんで、私をここに……?」 「それは――――――、いや、何となく。かな?」 謎の人の謎な言葉の間に変な疑いを覚えながらも心の中で納得させる。 「ここはね、夜明けが一番綺麗なんだ。キミが大切に想う誰かをこのとても綺麗な場所に連れていけば何かが変わるかもしれない。 それじゃ、ボクはこれで。行くよ。…………」 最後の言葉をうまく聞き取れなかったけど、やがて人の気配が消えて、その場にいるのは私一匹だけになるのを気付くのに時間は掛からなかった。 「私の大切に想う人…………」 ---- ***5ページ目 [#ocffc339] それから私は眠らずに起きていた。私の、大切な人に想いを伝えるために。時計はⅤの字を指す。窓のカーテンから漏れるのは太陽の光。もうすこしかな? 「…………よし」 決めた。覚悟を。かなり不格好な言葉。でもそれが私の気持ち。すべての想い。 「……っ、マスター。起きてください」 「くー…………んー…………」 「マスター、マスターってば」 「……んん。んんんん――――――、なぁに……スラスト」 顔がこれまでにないくらいに紅くなっている気がしたけど、もう止まれない全速前進っ! 「あ、あの……ちょっと付き合って欲しいところが」 「付き合って……あぁ、うん……いいよ」 心の中でほっとする。まだここからが勝負なんだから。 #hr 私はマスターの手を繋ぎながら星の降った丘に行く。すごく顔が赤いけど、気にしない。 ふとチラリとマスターのいる後ろを振り向いてみたら、マスターもすこし紅くなっていた。 ……見えた。謎の人に案内してもらった丘。とても綺麗だ。上空はまだ黒く染まっているけど、東からは太陽が昇り始めてオレンジ色の空模様。 まるで、時の狭間にいるような感覚、太陽と月が隣にいるみたいに感じた。そして眠らずにこうして立っているのが不思議なくらいだった。 「…………綺麗、だな」 すっかり眠気が覚めたマスター。この景色を見て言葉にはあまり表現しないけど、感動しているみたい。 「マスター。お話があります」 いつになく真剣な私の声にマスターもすこし緊張しながら、どうしたんだい、と問い掛ける。私はすぅ、とすこし深呼吸しながら――――――私の気持ちを告白する。 「……私は、以前人間に自分の家を焼かれて、一度全てを失いました。そのあと、私はカノコタウンに辿り着いて、そこで私はマスターと出逢いました。 最初はただの駄目人間だと思って冷たく接し続けました。けど、カラクサタウンでプラズマ団の演説が終わって住人達はポケモンを野生に返そうとしました。 その時、マスターはそれを必死に止めようとしましたよね? でも、その想いは伝わらずに結局は返させてしまった。その時、私は気が付きました。 マスターはただの駄目人間じゃない。ポケモンの事を考えて行動する、優しいマスターだって。その証が、サンヨウシティに行く途中で話した、私の過去です。 その話を聞かされて私はマスターが軽蔑してしまうんじゃないのだろうかって思ってました。けど、それも違った。マスターは抱きしめてくれた。 一緒に探そう、キミのお母さんを。そう言ってくれました。その時の私の心は張り裂けるくらい嬉しかったのです。人間がここまでしてくれるなんて。 私は…………私はっ!!! マスターの事が好きになりましたっ!! あの時から、ずっと!! 今もっ!! 私はっ!! マスターの事が好きですっ!!! 世界で一番っ!! 誰よりもっ!!」 …………。…………。返事が、こない。流石に引いてるよね…………。人間に恋をするなんて…………。怖くて顔が上げれな―――――― 「…………ぁ…………」 「――――――僕もだよ。スラスト、キミの事が大好きだよ」 「……そ、それな……ら、……き、キス……を」 そう言った二秒後。私の唇に柔らかけて温かいものが触れた。 「…………これからも、よろしく、な? 僕の大切なパートナー、スラスト」 「……はいっ、マスター」 ---- ***とある一人と一匹の記録 [#pb56c157] 「……スラスト君、うまくいったみたいだね」 新緑色の髪が長い青年は呟く。 「それにしても……主、よくあやつらの居場所が解ったな……。我ならもう数分掛かると思っていた」 青年を上に乗せている白く凛々しいポケモンも呟く。 「そうだね。何故ならボクはフェレーンの――――――」 ---- ***後書き [#xa4b904e] どうも。メルティです。最近夏休みの課題手につけてないけど気にしないメルティです。 最近、BWやってないなー。今は昔のポケモンに大ハマリでして。時探とかPtとか。 普段活動している方でも作品は置いてあります。でもこっちに置いた作品はないかな。 ポケモン、楽しいですよね。それでは、また会う日に――――――。 ―――― ***コメント [#u78c6502] ご自由にどうぞ。指導などアドバイスなど感想などetc #comment(パラメータ); IP:223.217.199.248 TIME:"2012-02-07 (火) 18:22:41" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%81%8B%E6%97%A5%E8%A8%98" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.0; Trident/5.0)"