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たった一つの行路 №131 の変更点


 15

「でりやぁーー!!」
「おぉぉぉぉっ!!!」

 バギンッ!!

「『メタルボール』!!」 

 ズドンッ!!

「『シザークロス』!!」

 ガガガガガッ!!

「『アイアンヘッド』!!」

 ドドンッ!!

「『メタルクロー』!!」

 バギギッ!!

「そこだ!!」
「『鉄壁』」

 ガギギギギギッ!!

「ならこれでどうだッ!!『アイアンヴァイト』!!」
「……。『ロストセフィティ』!!」

 ズドドドドドンッ!! ドガーーーーーンッ!!!!

 そんな感じで、ラグナとアウトのバトルは熾烈を極めていた。
 最後に放ったラグナのクチートの一撃の大技、『アイアンヴァイト』はハッサムの胴体をがっしりと挟みつけた。
 そのまま投げ飛ばすように叩きつければ、クチートの勝利は確定していたかもしれない。
 だが、アウトのハッサムの放った『ロストセフィティ』は見切れないほどのスピードで切りつけるスピード&パワーの技。
 ハッサムを挟んだのはよかったが、ハッサムの攻撃を受けて、放してしまい、吹っ飛ばされた。

「けっ!!なかなかやるじゃねぇか!」
「少年もまさかここまでやるとは思っていなかったよ」
「いつまでもいつまでも……ガキ扱いしてんじゃねぇよ!!『マウスバッド』!!」

 アイアンヴァイトが偽りの口で噛み砕く攻撃なら、マウスバッドは偽りの口でぶっ叩くアイアンテールのような技である。

「ハッサム、『スタンブレード』」

 真っ向から受け止める。
 ガギーンッ!!と凄まじい金属音が響く。
 だが……

「チィッ!!」

 クチートが気合でハッサムを吹っ飛ばした。

「決めろ!!『アイアンヴァイト』!!」

 だが、できなかった。

「オイ!?どうした?」
「確かにそいつのパワーは並外れているといってもいい。しかし、パワーだけじゃ私のハッサムには勝てないのだよ、少年」
「……何をしやがった?」
「『スタンブレード』は強烈な一撃を打ち込むことにより、相手を麻痺させる技だ。そのクチートはもうまともには動けないよ」
「それなら、これでどうだ!」
「……! 2匹目か」

 ラグナが2匹目……レントラーを繰り出すのと同時に、アウトもヘラクロスを繰り出す。

「レントラー、『雷牙<ライガ>』!!」
「ヘラクロス、『メガホーン』!!」

 ラグナに勝算はあった。パワー勝負でこいつに勝てる奴はいないと自負していた。
 だが、結局はラグナの大誤算だった。

「なっ!?」

 ヘラクロスがレントラーを軽く角で弾き飛ばしてしまっていた。

「ちっ……レントラー!!」
「レントラーばかり気をとられていいのか?」
「……!!」

 ハッサムがクチートを捉える。

「『サイレントブレード』!!」

 音も無く一瞬のうちにクチートは切り伏せられてしまった。

「ニャロー!!『回転雷牙<かいてんらいが>』!!」

 ハッサムに回転しながらのかみなりのキバで襲い掛かるが……

「回転しようが横からの攻撃には無意味だな」

 ヘラクロスが横からメガホーンで突撃してきて、レントラーを激しく打っ飛ばし、塔の壁に打ち付けた。

「っ!!」
「どうした、少年?威勢がいいのは口だけか?」
「……くっ……」

 ラグナは下を向いてぶるぶる震えだす。

「怖いのか少年?まぁ、これだけ実力の差を見せつけられれば、当然怖くなるものだよな」
「ケッ!誰が怖いって?」
「……!(こいつ……!?)」

 ラグナは笑っていた。

「久々に強ぇ奴と戦えて、武者震いしてきただけの話だ!最近は、雑魚みたいな奴としか戦ってなかったからな!」
「そうか……嬉しいのか」
「てめぇとの戦いなら、俺も死力を尽くして戦えそうだぜ」
「なら見せてもらおうか。少年の死力というものを」



 たった一つの行路 №131



 ラグナとアウトが睨みあう。
 アウト側は未だにヘラクロスとハッサムが健在。
 ラグナといえば、クチートとレントラーが倒れている……筈だった。

 バリバリッ!!

「いつの間に!?」

 ハッサムに10万ボルトが命中した。
 攻撃の主はレントラー。まだダウンしていなかったようだ。

「次のヘラクロスの攻撃で止めを刺してやる。『メガホーン』!!」

 電撃で帯電しているハッサムを戻しつつ、ヘラクロスがレントラーに向かって突撃する。

「次は一撃で決めさせてもらうぜ!『充電』」

 パリパリと電気を溜め始めるレントラー。
 しかし、ヘラクロスの攻撃が襲い掛かる。ギリギリで攻撃をかわしたが、空気を切り裂きながら突進するその攻撃は、風圧でレントラーにダメージを与えていた。

「(ちっ!何て技だ!だが……)もう一回だ!『充電』!!」
「2回目の充電だと?……だが、何度やっても同じだ!『メガホーン』!!」

 風圧で吹っ飛ばされながらの2回目の充電の最中、ヘラクロスは体勢を立て直して、とどめに入る。
 しかし、レントラーにヘラクロスの2撃目が入るまでに、充電は完了した。

「その攻撃を打ち破るには、それ以上の威力でぶち抜くだけだ!レントラー!『雷槍突飛<ライソウトッピ>』!!」

 鋭いいかずちの如く、また貫くこと槍の如く……。
 重ね合わせた充電の効果を合わせて、ヘラクロスに真っ向勝負を挑んだレントラー。
 ヘラクロスのメガホーンと互角だった。

「ちっ!!」
「ふんっ!!」

 交錯して2撃目を加えようと指示を飛ばす。

「『回転雷牙』!!」
「『インファイト』!!」

 メキメキメキッ!!

 攻撃の衝撃で2匹が激突した地面がベコッとへこむ。
 そして、当の二匹は力を失ってダウンしていた。

「アーマルド」
「ちっ!!」

 水鉄砲の急襲にラグナはすぐに水鉄砲で攻撃を相殺しようとした。
 だが、ラグナの繰り出したオーダイルの水鉄砲がいとも簡単に押されていった。

「『シザークロス』」
「『アクアスティンガー』!!」

 爪同士の激突だが、今度はラグナの方に軍配が上がった。
 アーマルドの一撃目の爪をオーダイルは蹴りで弾き飛ばし、もう一方の攻撃を片方の爪で抑えると、そのまま余った爪でアーマルドを切り裂いた。

「接近戦はオーダイルの方が強いようだな。それなら、これでどうだ?『ロックブラスト』」

 ロックブラストは一撃一撃が基本的に弱いと思われている。
 しかし、アウトのアーマルドのロックブラストは一撃一撃が岩雪崩クラスの威力を秘めていた。
 だが……

 スパン、スパン、スパンッ!!

 まるで豆腐でも切るかのように、水の爪で切り裂いていった。

「てめぇ!その程度の攻撃で、勝てると思うな!!」
「それならこいつでどうだ?『岩石砲』!!」

 ロックブラストが連続で岩を繰り出す技なら、こちらは岩を一つに集約した巨大な一撃だ。

「(かわす……ことはちょっと無理っぽいな)真っ向勝負だ!『ハイドロカノン』!!」

 繰り出せる最強の技で迎え撃つ。
 最初は押し留まっているが、じりじりとオーダイルのハイドロカノンが押していく。

「かかったな!少年!」
「なっ!?」

 巨大すぎる岩石砲は実はフェイクだった……そう思ったのはオーダイルがハイドロカノンを放っている最中、真横でアーマルドが『ストーンエッジ』を構えている時だった。

「(アーマルドの姿を隠し、オーダイルを足止めするための布石かよ!)ハイドロカノンをストップだ!」

 ラグナがそう指示するものの、そう簡単に止められるものではなかった。
 最強の技をコントロールするのはなかなか難しい。
 攻撃を止められず、そのままアーマルドのストーンエッジがオーダイルに命中した。

「ちっ!」

 しかも、ラグナは一つ失念していた。

「これで決まりだ」

 ラグナとオーダイルに襲い掛かる岩石砲。
 ハイドロカノンで押し止めていたのだが、ストーンエッジによってハイドロカノンを中断されたことによって、攻撃がそのまま向かってきたのだ。

「くっ!!『ばかぢから』!!」

 火事場の馬鹿力という言葉があるが、まさにそのとおり。
 岩石砲をオーダイルは全力の力で、跳ね除けてしまった。

「『シザークロス』!!」
「(『アクアスティンガー』は間にあわねぇ!)『ドラゴンクロー』!!」

 水の爪の技は手に水をコーティングするまでに若干時間がかかる。
 相手が隙の無い連続攻撃を繰り出してきてる最中、オーダイルには攻撃をためる時間も無かった。
 そして、ドラゴンクローではアーマルドのシザークロスに対抗することはできなかった。
 顎と腹に一撃を叩き込まれ、後方に押し飛ばされる。

「ちっ、『ハイドロポンプ』!!」

 足で踏ん張って、強力な水攻撃を打ち出す。
 だが……

「『水鉄砲』!!」

 アーマルドの水攻撃も同等の威力で、決着はつきそうにも無い。

「オーダイル!!そこから『ハイドロカノン』だ!!」

 最強の技で一気に押し切った。
 あっけないくらい簡単にアーマルドは戦闘不能になった。

「…………(なんだ?)」

 しかし、ラグナは疑問に思った。

「(あれだけ互角の戦いをしておきながら、何故最後は『ハイドロカノン』を『岩石砲』で返さなかった?)」

 だが、考えている暇は無かった。

「『シグナルビーム』」

 空からの虹色の光線がオーダイルに襲い掛かる。

「少年のオーダイルはなかなか厄介だ。だから、こいつで一気に片付けさせてもらうよ」
「そうは行くか!『ハイドロポンプ』!!」
「『シグナルビーム』」

 シグナルビームとハイドロポンプ……威力は互角だった。

「それなら、さっきの3倍ならどうだ?」

 いつの間にか、ラグナたちの後ろに回りこんでいるメガヤンマ。

「(ちっ!何て早さだ!)オーダイル!後ろだ!」
「『シグナルビーム』!」
「『ハイドロカノン』!!」

 岩石砲を押しとどめたオーダイルの最強の技が炸裂する……と思われた。

 チュドンッ!!

「ちっ!!何てパワーだ!?」

 オーダイルのハイドロカノンが通じなかった。
 相手のシグナルビームの方が若干威力は上だったようである。
 オーダイルはダウンしてしまった。

「3倍で互角に渡り合えるのか……。それなら、通常の5倍……最大パワーならどうだ?」
「何?」
「『シグナルビーム』!!」

 通常の5倍……つまり、先ほどオーダイルのハイドロカノンを押し切ったシグナルビームの3分の5倍のエネルギーがラグナに襲い掛かる。

 チュド――――――ンッ!!!!

 さすがのラグナもこれを防ぐすべはなかっただろうか。
 当たった瞬間に爆発した。
 だけど、アウトは喜ばす無表情でラグナの方を見ていた。

「……攻撃を防げる奴がいたか」
「ちっ……ギリギリだったぜ」

 煙が徐々に晴れていくと、ラグナの傍らにはヌケニンの姿があった。
 ヌケニンの特性『不思議な守り』は弱点以外のどんな攻撃も受付はしない。
 シグナルビームの威力がどんな高くても、攻撃を防ぐことは可能だった。

「だがこれは防げるか?」

 シュンッ!

 一瞬のうちにメガヤンマは姿を消した。

「(ちっ!特性の『加速』か!?)『シャドークロー』!!」

 ドンッ!!

 メガヤンマの爪とヌケニンの爪がギギッと音を立てて火花を散らす。
 ツバメ返しとシャドークローで二回、三回、打ち合って、一旦間合いを取る。

「『エアスラッシュ』」

 下がるヌケニンを見て、空気の刃を放つ。

「その程度!!」

 軽く攻撃をかわす。
 だが……

「一撃だけだと思うか?」

 すぐに、2,3,4……休みなく攻撃は襲い掛かる。

「ヌケニン!」

 だが、ヌケニンは攻撃をかわす。
 しかも、高速移動を使って徐々にメガヤンマとの距離を詰めて行った。

「メガヤンマ!」
「ヌケニン!」

 ギリッ!!

 エアスラッシュを避けきった瞬間にメガヤンマの速攻が飛んでくる。
 しかしながら、ヌケニンはギリギリのタイミングでシャドークローを繰り出して攻撃を防御する。

「(ちっ!!決定打が得られねぇ!!シャドークローで奴のツバメ返しを押し切れねぇとは!!)」
「メガヤンマ!『エアスラッシュ』!!」
「っ!!『シャドーボール』!!」

 とっさの判断で至近距離の攻撃を相殺した。
 だが……

「最大パワー『エアスラッシュ』!!」

 連射に近い形で最大の一撃を放った。
 ここまで1撃の間隔が短く、距離が短いとさすがに避けることは不可能に近い。

「ヌケニン!!アレだ!」

 ラグナは手をかざして、ジェスチャーをした。
 ヌケニンは悟って、重たく黒い光を放った。
 最大級のエアスラッシュをその黒い光が飲み込んで行った。
 ヌケニンの絶対相殺の技『消滅の光』だ。

「むっ!?相殺された!?」
「今だ!」

 ドシュッ!!

 『影撃ち』が決まり、メガヤンマにダメージを与える。

「畳み掛けろ!!『シザークロス』!!」
「『だまし討ち』!!」

 一気に行きたかったラグナだが、とっさに繰り出してきた悪系の技に反応して防御に回ってしまった。
 攻撃を受け止めたのは良かったがその後は大変だった。

「もう一撃の隙も与えない!連続で『エアスラッシュ』!!」

 一撃一撃が、地面を抉り、石を真っ二つにする威力を持つこの技を、高速移動で何とかかわしていく。
 しかし、かわすだけで今度は接近ができない。

「畜生!『影撃ち』!!」

 その場から消えるように離脱して、ヤンヤンマの影から攻撃を与えようとするが……

「二度も同じ手はくわないよ」

 メガヤンマも消えるようにその場から移動し、再び別の場所からエアスラッシュを放つ。

「(キリがねぇ!!接近できないことには話にならねぇ!!だが……)『影撃ち』!!」
「無駄だよ。少年」

 先制攻撃の影撃ちを入れようとしても、すぐに加速で逃げられる。
 だが、ラグナはがむしゃらにそれを繰り返していった。

「そこだ!」
「ふんっ!」
「おらっ!」
「かわせ、『エアスラッシュ』」
「『影撃ち』!!」



 そして、30分後……
 完全にその場所は荒地と張り果てていた。
 地面はエアスラッシュで傷だらけ。
 塔もエアスラッシュの影響でいたるところに穴があいていた。
 それでも塔が倒れようとしないのは、素材の強固さか、はたまた単に状態が良かったか……。
 ラグナとアウトは未だにヌケニンとメガヤンマで戦い、息を切らしていた。
 だが、決着の時は来た。

「『エアスラッシュ』!!」

 だが、この一撃は明らかに最初の時より技のキレがなかった。
 それをラグナは見抜いた。

「『シザークロス』!!」

 突撃し、シザークロスでエアスラッシュを切り裂いて、そのままメガヤンマに叩き込もうとする。

「ちっ!かわして『原始の力』!!」
「逃がすかっ!!『シャドークロー』!!」

 バキッ! バキッ! ズドンッ!! 

 メガヤンマが放った原始の力を退いて、懇親の一撃を叩き込んだ。
 地面に一度、二度、打つかって転がるようにアウトの元に戻った。

「ふぅ……エアスラッシュの力が切れるとは」
「一時はどうなることかと思ったぜ」
「ふっ、ツバメ返し!」
「っ!!」

 猛スピードで襲い掛かるストライクの鎌。
 ヌケニンは何とかシャドークローで防御するが……

「……!! やべぇ!!ヌケニンッ!!」

 その場から脱しようとしたが遅かった。
 ツバメ返しで接近する前に放ったエアスラッシュが、ヌケニンを捉えた。
 それはストライクも一緒に受けたが、たいしたダメージではない。
 しかし、体力がないヌケニンにとっては致命傷といえるべき一撃だった。

「行けッ!ダーテング!!」

 代わりにダーテングがストライクと打ち合う。

「『リーフスラッシュ』!!」
「『シザークロス』!!」

 ガキンッ!! ガキンッ!!

 打ち合うたびに空気が震える。
 互角の勝負だ。

「あ!ラグナさん」
「あ゛?」

 しかし、そこへ間の抜けた声が聞こえてきた。
 ラグナとアウトはふとその声の主を見る。

「オトハ!?てめぇ、何でこんなところに!?」
「リリスという人を止めないといけないのです。塔ってあの塔のことですよね?」
「ああ。……っ!! ダーテング!『エナジーボール』!!」

 会話中もダーテングとストライクのバトルは続く。

「あの上だ!」
「ラグナさん……大丈夫ですか?」
「オトハ……これは俺の戦いだ!手出しすんじゃねぇぞ!!」
「……ハイ……。それなら私は……」
「ああ。頼むぜ。ヒロトも上に行った」
「ヒロトさんもですか!?」
「ああ、だから行って助けてやれ!それはてめぇにしかできねぇ!」

 塔を見てオトハは決心した。

「わかりました……行ってきます」

 ラグナに一礼をしてオトハは塔の階段を駆け上がっていった。

「どうやら最後までひとりで戦うつもりのようだな、少年」
「てめぇは俺一人で充分なんだよっ!!」
「その減らず口……すぐに利けなくさせてやるよ」
「やれるもんならやってみろッ!!ダーテング!『裂水<れっすい>』!!」
「ストライク、『スラッシュダウン』!!」

 斬撃と突進技……2つの技が炸裂し、地面の砂利が吹き飛んだのだった。

ヌケニン 、悪あがきで終了
 
オノノクスはかたやぶりだ! 
ラムパルドはかたやぶりだ! 
カイロスはかたやぶりだ! 
レシラム、ゼクロムの特性で終了 

 第二幕 Dimensions Over Chaos
 ラハブの新境地⑧ ―――VSアウト――― 終わり

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