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SWIFT UNITEs の履歴(No.4)


注意事項








 ――ねーえ、そろそろ私、退屈してきたの。新しいモノ(、、)、用意してくれるかしら?
 ――お安い御用で。ところで、どんなモノをご所望かな?
 ――そうねえ……


SWIFT UNITEs



Prologue



 話の舞台はエオス島。この島に満ち溢れる不思議なエネルギー体はエオスエナジーと呼ばれ、それを活用した独自性の高い新形式の競技、ユナイトバトルが日々盛んに行われる、スポーツと娯楽の島として名が知られていた。
 ユナイトバトルに欠かせないエオスエナジーはポケモンの体に多く蓄積され、トレーナーとの協力、そして競争により爆発的増幅を示す事が、エオス島出身のリン博士によって解明されている。そのため公式大会ではトレーナーとポケモンが協力して五対五のチーム戦として行うが、非公式には人間を介在しないポケモンのみのユナイトバトルも行われている。それに参加するポケモン達は勿論選手としてライセンス登録された者ばかりであり、特定のトレーナーを持たないフリーランスとして活動する者もあれば、遠方に住むトレーナーの元を離れて島暮らしをする者、トレーナー抜きで高みを目指したい者もいたりと事情は様々。しかしトレーナーはおらずとも公式大会同様に真剣勝負が繰り広げられ、エオス島の隠れた名物としても知られていた。
 彼らの多くが主に生活の拠点とするのは、スタジアムに併設された選手専用の寮である。快適な暮らしや鍛錬が実現出来るよう最新設備が整えられ、売店、ジム、ラウンジ等も充実して、寮内で何ら不自由ない生活が保障されている。そもそもこの島自体ユナイトバトルの収益の恩恵に(あずか)って高度なインフラ設備が整っている所が多く、リゾート都市的な一面を持っているのである。


 そんな選手寮では時折、不可解でいやらしい出来事が起きているというのだ――


Target 1: Umbreon



 寮の一室で眠る、黄色い模様が目を引く漆黒の肉体。げっこうポケモン、ブラッキーである。基本的には夜行性のため、試合のない日の日中は午睡を嗜む事が多い。よく食べ、よく鍛え、よく眠る。これこそが、ディフェンス型に相応しい体力と耐久の根幹を成していた。
 玄関から聞こえる物音に耳を震わせ、目を覚ます。誰かがノックしているようだ。大欠伸しつつ体を伸ばし、ゆっくりと玄関へ足を運んだ。一体誰なのか尋ねてみたら、扉越しに聞こえてきた耳馴染みの声。
「……まさか、ソレイユか?」
 ブラッキーが扉を開けると、佇んでいたのは一匹のエーフィだった。黒々とした姿が目に映るなり、ソレイユと呼ばれたエーフィは微笑んだ。
「久しぶりだね、兄さん」
「あ、ああ、久しぶりだな……ってお前よく入れたな」
 ソレイユは故郷の地に棲んでいた当時、イーブイの頃から弟のように可愛がっていた近所のエーフィだった。当然血縁関係こそないもののブラッキーを兄さんと呼び慕い*1、その強さに憧れを抱いていた。そんな彼とは選手として寮に移住して以来の再会である筈だが、歓喜よりも懐疑が先んじて表情は未だ硬いまま。
「受付に面会を申請したら、入れてくれたんだ。この島に足を運んだかいがあったよ」
「そうか、わざわざ俺に会いに……! 大きくなったな」
「兄さん!」
 溢れる喜びに任せて抱擁するソレイユの滑らかな毛並みに触れ、ブラッキーもようやく歓喜の情が湧き上がる。それは太く大きな尻尾に一際強く表れていた。


 ソレイユが招き入れられた部屋は、夜行性の種族らしい黒に彩られた空間となっていた。所属チームの輝かしい成績の証に目を輝かせる。まだ順位は下の方だと付け加えても、曇る事はなかった。
 ブラッキーも離れて久しい故郷や家族について尋ねる。変わらぬ時が流れ、ソレイユ、ブラッキー共に親兄弟が健在だと知って安堵に口元が緩んだ。
「ところで、お前は最近どうなんだ?」
「え、僕?」
 ソレイユは目をぱちくり。
「……あまりうまくいってないのか?」
 やはり面倒を見てきた者として、ソレイユの事となればどうしても気に掛かるもの。彼は下を向き、小さく一息。
「……劇団とサーカス団から、最終選考の連絡が来たよ」
「おお、あと一息じゃないか! がんばれよ」
「ありがとう!」
 未だ手放しで喜べる状況ではないものの、抱き続けるパフォーマーという夢に向かって着実に進むたいようポケモンが、赤い眼に凛々しく映った。
「……兄さん……」
 突如頬擦りしてくるソレイユに、一瞬黒い短毛が逆立つ。
「お、おいどうしたんだよ」
「いいじゃん久しぶりなんだから甘えさせてよ」
「まったく、いい歳だぞお前も」
 呆れつつも拒まずにわがままを受け入れる。ブラッキーよりも長めなビロードの如き感触の毛並みに包まれたしなやかな肉体が、黒い短毛に包まれた逞しい肉体に押し付けられる。お日様と(たと)えられる獣らしさを含んだ匂いが、黒い毛並みで目立たない鼻に届く。思わず生唾を飲み込み、ソレイユを直視出来ない。
 歪んだ情欲を自覚したのは、ソレイユがエーフィに進化してからだった。同時に初めて、雄としての性を意識し始めた。甘えん坊な弟同然の存在の、たいようポケモンとしての身体的特徴の全てが、兄代わりとして面倒を見てきた矜持を意図せず打ち崩しに掛かっては、只管それに抵抗する日々だった。故郷を離れて遠くエオス島で暮らすには、却って好都合ではあった。旅立つ瞬間のソレイユの寂し気な泣き顔は、今も鮮明に脳裏に写る。彼の自立のためにもこうするのが一番であった筈だ。ところが向こうからこうして会いに来て身を寄せられては……。
「兄さんのにおい、また強くなった?」
「そうか? 一応水浴びはしたが……」
 返事をするだけで精一杯。ブラッキーは分泌される毒素を含んだ汗のせいで独特の体臭を放つ事は自覚している。
「みんな嫌がったけど、僕はすごく安心するんだよね」
 やめてくれ、これ以上くっついて嗅ぐなとは言うに言えない。ほんのり漂う甘い香りが、更に心を内から搔き乱す。そしてソレイユは、徐に前へ。ブラッキーは更にごくんを唾を飲む。
「……やっぱりちんちん臭い」
「おいお前っ……!」
 途端にブラッキーの顔が熱くなる。座って前方から丸見えの黒い鞘と巾着に、生温かい鼻息が吹き掛かる。確かに進化する前から好んで臭いを嗅いでいた場所ではあるが、当時はまだ成獣の大きな性器に憧れていた子供だったから強く咎めなかっただけで。
「兄さん、僕が進化してから急にちんちんが臭くなったのが不思議だったけど、僕も大きくなってやっとわかったよ」
「ひいっ!」
 温かく濡れた物が黒鞘に触れ、そして舐る。たわわな雄巾着にもそれは及んだ。
「僕のことオカズにシてたんだよね? たとえ悪タイプでも、僕にはお見通しだから」
 黒い前足の合間から見上げる桜色の童顔に、ブラッキーの心臓は破裂せんばかりに拍動する。ソレイユは再度股間を舐り、黒い雄の体は時折震える。滲んだ汗の毒素の苦味を、彼はさほど気にしてはいないようだ。鞘は徐々に体積を増して、先端が開いて覗く紅色。成獣となった桜色の彼が指摘する臭気は、それを機に途端に強まった。
「もう我慢しなくていいよ?」
 敏感な紅色に対し、煽情的に舌を絡める。玉袋共々唾液に濡れながら、鞘から露出していく。周囲の黒毛によって引き立てられ、最も気持ちいい部分にさせられる。
「うぅ、ソレイ、ユッ……!」
 責められるブラッキーは後ろめたさに駆られながら呼吸を乱し始める。そして彼の前では一度たりとも見せなかった劣情の柱を聳え立たせてしまう。隆々とした筋張りに舌を這わせると、それに呼応する快楽でドクンと脈打ち、成熟した雄の力強い漲りを童顔に主張する。
「思ったよりも……おっきい……」
 驚きと喜びを滲ませ、ソレイユは大きく開けた口で先端から咥え込む。
「うおぉっ!」
 包み込む熱と潤い、弾力は即座に享楽をもたらす。接吻すら意識していなかったブラッキーにとっての、初めてのソレイユの口内を、雄柱で味わう事になってしまうなんて。……厳密には違う。乳飲み子だったソレイユに母親の乳首と間違えられて吸われた事があった。あの頃に比べたら、著しい成長を実感し、同時に劣情もこみ上げ……。
「ぐっ、す、吸うな……っ!」
 再現される乳飲み子の過ちがもたらす甘露な摩擦が電流の如く股間から全身に放たれ、すっかり痺れて腰が抜けながらも、熱を持った柔らかな口腔に弄ばれる硬く敏感な雄の快感に低く甘く鳴かされる。ゆっくり尿道を通って吸い出される汁気は、ミルクとは程遠い透明感ではあるが、それが白く濁る予兆を、股間を強調する丸い雄の膨らみの微かなざわめきという形で捉えるブラッキー。桜色のビロードから立ち上る香り、露出した根元や黒袋に吹き付けられる乱れた生温かい吐息、細めた菫青石(アイオライト)の輝きを縁取る睫毛、口一杯に憧れだった雄の性の証を頬張る健気な姿が、容赦なく自身の存在意義たる耐久を削ぎ落しに掛かる。
「っ……ま、まずい……!」
 強く臭う毒汗が流れる、快楽に熱せられた体を戦慄かせ、ソレイユの口内が窮屈になる心地よい変貌と途切れのない口淫に、ブラッキーは歯を食いしばって堪えつつ悶える。我慢しないでいいよと言わんばかりの菫青色の上目遣いが、背徳的な漏出への(なまめ)かしい触媒となって、雄の一面を見せようとするブラッキーを更に快く虐げた。口内を満たす性器の臭みと汗のえぐみ、雄汁の粘りと塩気。そこに少しずつ混ざる苦みを以て、彼の限界を確信する。ソレイユは隆々と聳えて捕らわれる急所に舌を絡めて粘膜を押し付け、血の繋がりこそないものの兄弟同然だった関係を越える愛玩を更にもたらす。すっかり腰砕けのブラッキーは抵抗する術もなく、硬くなった雄袋から柱の根元にかけての甘い疼きの強まりに合わせて、ソレイユの喉奥目掛けてぐんぐん伸び、バキバキ太く怒張する変化を制御出来ずにいた。
「ぐおぉ! 汚しちまう……!!」
 体に溜まった熱いエネルギーが最も気持ちいい張り出しへと集中していく。トレードマークたる黄色い模様も眩しく点り出す。ブラッキーの耐久を以てしても、太刀打ち出来る代物ではなかった――


「……はっ!」
 汗を散らす勢いで飛び起きる。周囲を見回すも、間接照明で明るさ控え目な室内には誰の姿もない。体は著しく火照り、寝汗と発情で蒸された強い体臭を拾っては顔を顰めた。はっと股間に目を遣ると、夢想の快楽に大きく硬さを得て脈動しながらも、漏らしたのは強く粘つく透明な体液。
「よかった……どうにか耐えた……」
 ブラッキーはようやく安堵する。ソレイユとの危ない交わりで夢精に至ったとなれば、どれ程(おぞ)ましいものか。未遂ではあれど、すっかり雄臭く汚れた寝床だけでも頗る不快を煽る。一息吐いて起き上がろうと足に力を込めた。ストン、と掬われたように寝床に倒れ込む。つと振り向き、赤く刮目した。
「なんだこれは!?」
 後ろ足に巻き付く黒い触手。それは瞬く間に空中の穴から伸びて来て前足、尻尾、胴体にまで見る間に絡み付く。
「は、放せ!」
 ブラッキーは防衛本能でしとどに濡らした身を強く震わすが、毒汗は触手には一切効果を発さず、徒に周囲に悪臭を伴って飛び散るのみ。体を鍛えてはいるものの、種族柄攻撃は低く、絡み付いた触手を振り解くには至らない。イカサマを以てすれば二発目で返り討ちも視野に入るが、一発目を繰り出せなければ焼け石に水も同然。触手による圧迫を感じながら、黒い鼻は一つの事実を掴んだ。
「このにおい……なんでこんな不気味なやつから!?」
 ブラッキーは混乱を隠せない。黒くぬめる触手の放つ甘い香りは、愛おしき存在とほぼ同じ物だった。
「おい、まさかソレイユ……!?」
 ブラッキーの体は熱く疼き出す。酒を軽く嗜んだ時のような軽い酩酊が現れ、呼吸は再び乱れ始める。思うように力が入らず、言う事を聞かない体は、触手によって立たせられた。
「お前か……あんな夢を見せたのは……ひぃ!」
 鳥肌を立てて、またも飛散する毒汗。触手の一本が露出したままの急所を一撫で。卑猥な銀糸が赤と黒の突端同士を結んだ。
「目的は……俺の体か……くぅっ!」
 引き続き肉柱と黒鞘の隙間を穿(ほじ)ったり、伸び掛けた玉袋に絡み付いて大きさと重量感を味わったりした後に、肉柱に巻き付いて前後に動き、ぬめった表面に心地よい摩擦をもたらす。
「うぐ、やめ、ろっ……!」
 思わぬ夢の続きに再び低く呻くブラッキー。扱かれながら予告なく怒張しては、卑猥な我慢の証を搾り出されて真下に滴り、一部は触手の潤滑を高める。振り向いて股座を覗き見ると、黒に責められ続けて血管と筋張りが表面にくっきり現れた大きな紅突が目に入り、抗えない刺激的な膨張と漏出を交えて汚され続ける光景に、ブラッキーは涎を零しつつ快感を端整な艶顔に滲ませた。扱いていた触手は突如紅突を解き放ち、少し膨らむ先端がねっとり糸を引いて口を開いた。
「お、おいっ……!」
 卑猥な口は即座に、獣の雄を先端から咥え込む。ブラッキーは身を強張らせ、包み込まれる刺激が捕らわれた肉体に伝播する。黒の内側に広がる程よいぬくもりと襞状の凹凸、そして空間のうねりを敏感な雄の表面から知覚する。
「うぅ、なんで、ソレイユのっ……うあぁっ!」
 身を交えた事のない筈なのに、不思議と確信が持てた。根元まで呑み込んだ触手は内径を狭めて吸い付き、突き出たブラッキーの輪郭が浮き出す。じんじん熱く締め付けられる感覚は、忘れ掛けた筈の背徳感を呼び起こす。そしてゆっくり前後に動き出し、粘って絡み付く吸着音を立てながら搾精(ミルキング)を始める。
「う、うあっ! やめろ、ソレイユ!」
 異なる姿形しか存在しないにも関わらず、ブラッキーは愛しき者の名を口にして喘ぐ。内壁の複雑な凹凸に満遍なく扱かれ、吸い付かれるままに熱く煮え滾らんばかりの血潮を集めて気持ちいい体積の増加と同時に尿道内を満たす雄獣の蜜を吸い出され、ソレイユの体内で気持ちよくさせられる背徳的な喜びで自発的に内壁を押し広げて膨れる躍動を伴い、新たな蜜を尿道へ送り込んでは搾られる。その強い快楽に黒く締まった臀部は強張り、肛門は断続的な収縮を曝け出す。
(だめだ……これをやっては……!)
 ブラッキーの後ろ足は徐々に開き、腰が低くなる。
「うぅぅっ!」
 突如大きく震え、多めに搾り出された。
「や、やめ、ろっ、あぁっ!」
 一本の触手に尻尾の付け根を撫でられ、軽く叩かれる。イーブイ系統に共通する性感帯であった。それでも容赦なく搾り続け、ブラッキーは悶えながら徐々に後ろ足を開いていく。くっきりと輪郭に浮き立つ丸く締まった裏玉を愛撫され、ソレイユ相手に出したくない禁断のエキスの存在を否応なく意識させられた。
「!? あ、あぁぁぁぁっ!」
 涎塗れの口から突如放たれた大きな悶え声。先程まで快楽の収縮を曝け出していた肛門を、触手が貫いていた。腸のうねりに侵入者の体積と質量を感じながら、ブラッキーはそれでも耐え続ける。侵入を止めた触手が、腸壁に先端を押し付ける。
「う、お、おぉぉぉぉっ!?」
 甘露で刺激的なでんげきはが内の一点から発せられ、全身に伝播する。脳天に達し、ブラッキーに残っていた理性は途端に本能的快楽に押され始める。でんげきはの発生源は、触手が欲する物を作り出す最終工程たる前立腺。責められ続けてその大きさを触手に映し出す程の勃起によって硬さを得た雄の弱点は、腸壁越しにも容易に責められた。
「やばっ、搾られ……うおぉっ!」
 ブラッキーは搾取の躍動で感じる尿道内の疼き方からも、搾られる量が露骨に増えたのを感じ取っていた。前後同時に味わう強烈な快感は、ブラッキーの理性を風前の灯火とした。
「ゆ、許、せ……ソレイユっ!」
 ブラッキーはとうとう腰を前後に振り出す。その姿は最早自ら愛おしい体内で爆発的絶頂を迎えたく交尾によって快楽を得る、只の雄の獣に成り下がっていた。
「ウオッ、オォッ! ケツも、チンポもっ! 気持ちいいっ!」
 触手が自発的に動かずとも、抽送で勝手に性器も前立腺も刺激されてブラッキーは一層快楽に溺れる。箍が外れた証は巨柱を咥え込む触手から溢れる粘液の量にも現れ、瞬く間に真下の寝床にぐっしょり含ませては交わる臭いを立ち上らせる。
「ぐうっ! 奥、当たってるっ!」
 ブラッキーは交尾に臨む雄々しさを以て、奥の狭窄に先端が当たり始める。押し付けた先端から漏れた我慢汁が粘膜を押し退ける感触に、漏れる濃さを感じ取っては、近所に棲んでいたお兄さんの遺伝子が詰まった金玉を疼かせる。
「ウゥッ! だすぞ! 奥にっ、だすぞぉ!」
 触手と前立腺それぞれに与えられる刺激を糧に、ブラッキーは体の模様を眩く光らせ、更に腰を打ち付けて雄々しく気持ちよく膨らみ続ける。刺激される前立腺も、その内部に遺伝子と白い分泌物を溜め込みながら膨張が止まらない。全身に立ち込める毒々しい雄臭さと触手の甘い匂いに惑わされ、大いなる劣情が最も巨大な雄の瞬間として現れようとしていた。
「ぐうっ、でるっ! 好きだ、ソレイユッ!!」
 歯を食いしばって腰を丸め、奥まで触手に飲み込ませる。淫液に塗れた敏感な表面は硬く張って血管や筋をぷっくり盛り上げ、心拍すらも快感を覚える巨獣は包み込む触手にその輪郭を更に明瞭に浮き立たせ、奥の狭窄を抉じ開けて丸く開いた先端の発射口をその空間に覗かせて、濃い雄の汚れを搾り出す。高い耐久を以てしても耐えられずに前立腺は狂おしい性感を発して収縮し、尿道に遺伝子を送り込んでは歪に押し広げて突き進み、ブラッキーは最も巨大な雄となる。
「ソレイ、ユッ!! ぐうぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」
 仄かな後ろめたさを残しながら、禁断の劣情を濃厚な白濁として巨雄の爆発を以て放たれる。力強いビートを刻み込まれながら、急所を貪った触手が次第に太くなっていく。
「うっ! うあぁぁっ!!」
 内から精のポンプをコリコリ責められて嬌声を発しながら仰け反るブラッキー。更なる漏出の促進が、躍動する怒張の快感を伴って身に伝わる。雄を咥え込む口からも濃厚で青臭い白濁が零れ出し、淫液を多量に含ませた寝床に音を立てて滴り落ちた。


 リズミカルな発射の威力は次第に減衰し、黒く引き締まった肉体から力が抜けていく。倒れ込んだ寝床は、ぐじゅっと音を立てて粘液が染み出し、触手と交わった臭いが強く鼻を突いた。未だ絡み付く触手の弾力とぬめりに嫌悪感を覚えるも、抗う体力、気力共に白濁に乗って奪われてしまった。朦朧としている中で、触手は徐に黒い体を解き放ち、急所を責めていた二本は特にぬるりと汚れている。そして空中に開いた穴へと即座に引っ込み、不気味な姿は跡形もなくなってしまった。
「くっ、射精()しちまった……」
 仄かに身を疼かせる快楽の余韻の中で、両前足の隙間から見える、黒鞘に収まり切らない紅色から白い残渣を寝床に垂らす様相に、零れる長い溜息。室内の時計が音を立てて時を刻むにつれ、身の火照りは汗の乾きによって奪われていく。脳内の熱も取れ、ようやく醒めた途端に襲い来るのは強い眠気。肉体と寝床はすっかり汚れているが、きれいにする意志さえ起きない程に精魂尽き果てていた。ひとりきりの静かな空間で眠りに落ちようとした刹那、ブラッキーははたと気付いた。


「……ソレイユって、誰……?」


Target 2: Dodrio



 広大な寮の敷地内にはグラウンドが整備され、一角には正式な陸上競技にも使えるトラックが存在する。スピード型が素早さを上げるために走り込んだり、バランス型並びにディフェンス型が持久力を高めるために長距離を走ったりと、様々な目的で日々多くの選手が利用していた。
 トラックを疾風の如く何周も駆ける健脚を披露しているのは、みつごどりポケモンのドードリオ。ユナイトに於いては文句なしのスピード型で、特性にげあしによって常に走り続ける事で攻撃の威力及び技の回転を上げて戦う彼にとって、トラックでの走り込みは日々欠かせないものである。殊に最近は今まで以上に走りに(てこ)入れし、三つある肺のお陰で息切れ一つせずに汗を散らして駆け回る様は、グラウンドにいる者達の視線を集める事も珍しくなかった。


 この日の走り込みを終え、三つの頭それぞれに嘴を開いてゆっくり歩き、体の熱を飛ばす。そよ風で熱が奪われる快さを全身で堪能する中、グラウンドを見回すと三つの頭は一斉に同じ姿に目が留まった。それは自身と同じドードリオ。足取りはトラックを外れ、一直線にその同種へと向かう。
「やあ、休憩中かい?」
「ええ、ちょっとね」
 真ん中の頭が声を掛けてみると、変わった色合いのドードリオは微笑を浮かべた。
「見ない顔だけど、入ったばかりか?」
「灰色なんて珍しいね」
 左右の頭も興味津々。色違いとして知られているドードリオは褐色の羽毛が黄緑色をしているため、灰色を基調とした色合いはかなり異様に映る。事実、周囲の者達の一部も、この姿に釘付けになっていた。
「昨日寮に入ったばっかりなの」
「確かにこの色は珍しいって言われるね」
 めいめいに灰色の頭達が答える。首の色が足と同じ薄黄色である事から、新入りはメスだと分かる。因みにユナイトライセンスのドードリオのビジュアルはメスの姿だが、選手になるに当たって性別は不問で、声を掛けた方の首はオスの姿たる黒が目立つ。
「よかったらオレと一緒に走りの勝負してくれないか?」
「こんなとこでのんびりしてても退屈だろ?」
「きみにもいい練習になると思うよ」
 彼は早速、新入りを勝負に誘う。灰色の三頭はきょとんと目を合わせる。反応を見るに怪訝としているようだが、黒首の六つの眼は爛々と輝いていた。それを横目に、小声で相談する。周囲の視線は少し冷ややか。
「……いいわ、その勝負、受けましょう」
「マジ? なら早速八百メートル一本勝負だ!」
 新入りが笑顔で答えるや、彼は足取り軽くトラックのスタート地点に着く。彼女も続いて隣のレーンに。どうせ圧倒的な力を見せ付けて言い(くる)めるいつものナンパだろと言わんばかりに周囲が眺める中、今時のファッションに身を包む戒められし姿のフーパが、旗を持ってスタート地点の真横に立つ。両者共に真剣な顔つきに変わり、空気は張り詰める。
「Ready…… GO!」
 手旗が真上に揚がった瞬間、二匹は一斉に全速力で走り出した――


「あー、負けちゃった」
 力が抜けて溜息を零したのは灰色の新入りだった。ここ最近の走り込みが功を奏した黒首の圧勝かと思いきや、予想外の接戦になってどうにか競り勝つ形となった。だが大いに喜びを露にせず、熱戦に周囲が沸き立つ中で健闘した新入りを労った。
「ありがとう。あなたとっても勝負強いのね。勉強になったわ」
「とんでもない、キミだっていい走りしてたじゃないか! ユナイトバトルの経験を積めば、オレが羨むくらい大活躍できるはずだぜ」
「そうかしら? じゃああなたを越えられるように、がんばらなきゃね」
 朗らかで艶やかな笑顔が汗に煌めく。その瞬間を目の当たりにした黒首は、三頭一斉に生唾を呑んだ。風に乗って、ふわりと甘い香りもする。
「ココじゃ騒がしいから、オレの部屋で一休みするか?」
 周囲に悟られないようにしつつ、彼女に耳打ちする。小さく頷いたのを見て、彼女に部屋の番号を教えて一足先にグラウンドを出た。



 シャワーを浴びてからせっせと嘴で室内を片付ける黒首。長らく誰も招き入れなかった雑然とした空間は、見る間にさっぱりする。生活臭対策の芳香剤もばっちり。黒首は心中穏やかではなかった。ましてこの寮生活で最後に異性を招き入れたのはいつの事だったか。
 突如緊張した空間を震わせる硬質なノック音。恐る恐る扉を開けると、灰色の新入りが佇んでいた。約束通り来てくれた安心感も束の間、三つの心臓は途端に脈を速める。
「お言葉に甘えて、お邪魔するわね」
 軽く会釈してから、彼女は中へと入る。
「結構きれいじゃない」
「居心地いいね」
 めいめいの頭の反応も悪くはなく、掴みとしては上々と言ったところか。テーブルに用意されていたのは、水と草食アスリート向けの配合飼料。一選手としてお勧めと彼女に紹介する。三つの嘴がそれぞれに(ついば)む。
「あら食べやすい」
「味もいいね」
「これなら続けられる」
 頭によって味等の好みが異なる事もままあるが、いずれも大層気に入った様子。黒首は嬉々として飼料の詳細を教え、それを皮切りに、日々のトレーニングやユナイトバトル等で話に華が咲く。自ずと縮まる二匹の距離。黒首の三つの心臓は、彼女を招き入れた時とは異なる意味合いで高鳴り続けていた。
「あら、顔が赤いけど、大丈夫?」
「話に熱が入りすぎたんじゃない?」
「え、マジ!?」
 思わぬ指摘にはにかむ黒首。
「ハハッ、キミと走ってからずっと火照ったままでさ……こう熱いと、なんだかムラムラするよな」
 両脇の頭は一斉に血の気が引き、目が点になった。
「悪い、水持ってくる」
 右の頭が場を取り繕うべく苦し紛れに彼女に言い残し、左の頭は体を司る真ん中の頭に奥の台所へ行くよう唆す。彼女の視界の陰に入り込むなり、左右から一斉に小声で罵倒された。
「バカ! ヘタクソ! レディの前でドストレートに言うやつがあるか!」
「お前ほんとにやーらしーな」
「えー、だってそーゆーコトに持ち込む格好のチャンスだろ?」
 罵倒された頭は釈然としない様子。ユナイトバトルに於いては勝負強さを発揮するものの、ナンパを始めとした色恋沙汰はからっきしで、ここまでの展開に持ち込んだのも久方ぶりであった。
「もしこれであの子が呆れて帰っちまったらおまえのせいだからな!」
「せっかくのチャンスつぶさないでくれよ!」
「――あの、お水は?」
 聞こえてきた彼女の声に心臓が三つ同時に飛び出そうになる。ただいま、とケトルを咥えてテーブルに戻った黒首は、すっかり冷や汗ダラダラ。鳥ポケモンでも飲みやすい広口のカップに水を注ぐ最中も、嫌われたかもしれない不安に駆られる。注ぎ終えるなり、黒首は早いペースで水を飲み始める。
「……ふふっ、やせ我慢しなくてもいいのよ」
 ぴたり、と飲む嘴が一時停止。そのまま目線を動かすと、艶を含んだ視線が向けられている事にはたと気付いた。水とは異なる物を、再び飲み込む。
「あたしたちに気があるのに、ごまかすなんてかっこ悪いよ」
「部屋に呼んだ時点でお見通しだから」
 とうに下心を読まれていた事実に苦笑を禁じ得ない黒首に対し、新入りは笑顔に幾許かの余裕を滲ませる。
「私も、あの勝負からずっとあなたが気になってたのよ。勝負強いのに求愛がダメダメなのも、逆に愛おしく感じちゃうわ」
「じゃあ、ってことは……!」
 新入りは左右の頭を揺らしながら体を上下させる。黒首もそれに応えて床に座り、左右の頭を横に傾けて揺らした*2。これぞ二匹が一線を越える事を許した瞬間。彼らの六つの心臓は途端に鼓動を速め、巡る血潮が体を熱する。
「っしゃあ! そうと決まりゃ早速バスルームに行こうぜ」
「ええ、お願い」
 興奮と歓喜に足取り軽く、新入りをバスルームへグイグイとエスコート。二匹だと少し狭いが、事を遂げるには差し支えなかった。改めて彼らは見つめ合う。朧げに残る、彼女を招き入れる前に浴びたシャワーの湯気が、頬を赤らめて微笑む彼女の色香を引き立てる。鳥ポケモン独特の匂いに混ざる甘い香りのフェロモンに作用され、走り込んでも大きくは乱れない呼吸が、昂る情欲に激しさを増していく。
「さっさとヤろうぜ」
 痺れを切らした中頭が沈黙を破った。左右から浴びせられる冷たい視線。
「ムードくらい味わえバカ!」
「ったく、すぐこれだから……」
 すっかり雰囲気は壊されてしまうも、新入りはくすくす笑う。
「あなたってせっかちさんなのね」
「おう、勃つのも早いかんな!」
 左右の黒首が呆れる中、新入りは突如お尻を向ける。尾羽をぴんと立てると、秘孔が露になった。分厚い肉に縁取られて少し開き、既に潤いを得ている。そこからより強いフェロモンが発せられているのを、黒首は容易に感じ取れた。
「めっちゃそそるマンコだぜぇ……」
 黒首の秘孔を押し開いてにゅるりと飛び出す紅色の肉柱。独特の湾曲を描いて、即座に大きく張り詰める。ドードリオは鳥ポケモンには珍しく、雄はペニスを有する種族*3である。
「いいわ、きて……」
 振り向き様に潤んだ目を細め、体を低くして繰り出される雌々しいちょうはつに、黒首は肉柱を更に膨らませて先走りを漏らし、いとも容易く乗ってしまう他なかった。
「遠慮なくいかせてもらうぜぇ!」
 彼女の身に合わせて腰を落とし、開いた雌孔に怒張を宛がう。触れた粘膜の感触に心地よく羽毛を逆立てて呼吸が乱れる。抉じ開けて挿入するや否や、愛液のぬめりと絶妙な柔らかさの淫肉に包み込まれて刺激的な快楽に襲われる。
「くぅっ! オマエのナカ、いいじゃん……!」
 ニュククヌーッと押し開いて侵入する最中に、もたらされる刺激に喜んで刹那に怒張し、膣内に雄の汚れが搾り出されてスムーズな侵入の助けとなる。
「あぁっ! 中にあなたを、感じるわぁ……」
 黒首を受け入れる彼女も、内からの刺激に打ち震えて呼吸を乱す。根元まで挿入して、二匹の下半身が初めて密着する。交わる行為によって、それぞれ三つの心臓から肉体に発せられる脈拍の波動が相手の体にも伝播され、合計六つの心拍が複雑に干渉し合い、火照った体に予測不能な甘い疼きが生まれた。
「……んあぁっ!」
 突如膣圧が強まり、肉壁の締め付けに反応して鳥柱は受ける圧を上回る力で刹那に押し広げ、我慢汁を漏らす。不意に訪れる新たな生命の兆したる快楽に、黒首は甘い雄の鳴き声を上げてしまう。
「もっともっと、あんたを感じさせてよ」
「こんなのじゃ物足りない……」
 強まる圧に加えて左右の灰頭がほしがる攻撃に加勢する。即座に応える形で、雄の体は前後に動き出す。
「うっ、ぐおぉ!」
 本格的な交尾の抽送に、雌凹の無数の襞が雄凸と擦れ、絶えず生じる性感に戦慄く二匹。
「バカッ! 加減しろ! んあっ!」
「と、止まんないんだよぉ! っぐぅ!」
「おいらが、体っ、動かせたらぁ……っ!」
 黒首の肉体は容易く制御を失われてしまう。しとどに潤う灰雌の胎内の微妙な圧の変化にも、雄柱は敏感に反応して彼女を穢す躍動を発し、心拍の波動と干渉して更に複雑な心地よさに変換される。そして胎内で雄々しく膨れる毎に、黒首から出たがる無数の仔がその存在を主張し、中出しを唆す強烈な快感に襲われ続け、左右の頭を横に広げて震わせ、仔袋に搾り出されて雄のぬめりを内に増やしつつ必死に耐える。
「む、無理っ! イっちまいそう……っ!」
 急激に強まる命の内圧は、既に自力で押し留めるのが困難な程に強まっていた。
「あら、もう? ソッチの意味でもせっかちさんね」
 些か驚きを滲ませながらも、彼女は目を細めて熱を孕んだ仄かに赤い笑みを向ける。
「しょうがないね、いつでも受け止めてやるよ」
「自然界じゃ早い方がむしろ有利だもんね」
 仔作りの可能性を秘めた瞬間を目前に苦悶する黒首を更に追い込むべく、膣圧を更に強めた。押し付けられた敏感な表面を無数の襞が舐り、その刺激に反応した剛突が、受ける圧を凌ぐ力を込めて膣内を拡げつつ、急激な膨張を遂げて彼女のより奥へと到達する。
「あぁっ! 孕ませちまぁ!!」
 その衝撃は無数の仔種の漏出に対する抑止力を一挙に奪い去った。本能的に新たな生命誕生への道のりを短くしようと胎内で目一杯突出した雄砲の中を、猛烈な勢いで駆け上がる刺激が耐え難い快感として黒首に襲い掛かった。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 その瞬間、大いに鳴いて戦慄き、仔袋の奥目掛けて精を噴き上げた。
「あ、あぁっ! きてる、きてるぅ!」
 そして灰雌も仔種を注がれる躍動に三つ首を仰け反らせて顫動する。雄砲と仔袋の律動の衝撃が、交わって一つになった肉体の六つの心拍と干渉して最も複雑な快楽の波動となり、彼らの絶頂を彩る。彼女の胎内と同様に、彼の三脳も白く染められていた。


 激烈な昂りも、数十秒すると見る間に薄れていく。熱しやすい一方で冷めやすいのもスピード型らしいと言うべきか否か。
「やっちまったぜ……」
 場の勢いで一線を越えてしまった事を、今頃ありありと実感する。そして萎え掛けの一物を抜くや、その先端及び雌孔から流れ出して床に散る白濁。ずっと堪能したい甘い匂いを、青臭さが遮った。
「悪くはなかったけど、もうちょっと楽しみたかったわね」
 そう零す灰雌は、未だ内を熱く燻り続けていた。
「ほらよ、もうちょいペース考えろよな」
「だってすげー気持ちよくて抑えるのムリだっての」
「おいらだってもうちょっと楽しみたかった……」
「文句言うな! ムリなものはムリ!」
「ほらーケンカしない」
 あわやみっともない言い争いになる所を、彼女が諫めた。頭を垂れて噤む黒首に、再び笑みが零れる。
「まあこれであたしたちに仔ができたら、あんた責任取りなよ」
「責任……?」
「そう、わたしたちをもらって(、、、、)ちょうだい」
 黒首は頭をもたげ、責任の意味する所にまたも生唾を呑んだ。
「……キミみたいなレディを嫁にもらえるなら、オレは喜んで責任取るぜ!」
「まあ調子のいい! さてと、そろそろ体を流してお暇するわね。楽しかったわよ」
「マジか……また来てくれよな」
「ええ。そのときはもっと長く楽しませてね(、、、、、、)
 上方から降り注ぐシャワーが、ウィンクを忽ち濡らす。体の汚れが、床に溜まった交わりの証諸共、水に流されて行く。ほんのり感じる名残惜しさが、熱の取れた胸中に甘酸っぱい痛みをもたらした。


 彼女を見送り、部屋で独り佇む黒首。不完全燃焼ではありながらも、その体は二度目の交わりを望んでいた。熱いひとときを回顧する最中、左頭がふと口を開く。
「なあ、おいら、あんな感じの色合いどっかで見たことある気がするんだ……」
「え、そうか?」
 残りの頭は首を傾げる。確かに異様な灰色の体、瞳の色も見た事のない黄色。果たして過去に見た事などあったのかと、事を終えた雄の冷静な頭で、めいめい思い返してみる。静かな時が流れ、突如羽毛がゾクリと逆立つ。三つの頭は一斉に血の気が引いた。


「――ゲエッ! Swift!!!」


Who’s Swift



「よし、これで採取完了♪」
 人気のない廊下にて、上機嫌で白い粘液を密閉容器に詰めて鞄に入れる、灰色の毛並みが特徴的な黄昏のルガルガン。彼こそが、ドードリオを震撼させたSwiftその者である。
「さて、今のところ集めたのはブラッキーとドードリオか。こっちの方はどうかな?」
 Swiftが取り出したのはスマホロトム。写真ライブラリを開き、その中のある動画を再生する。画面に映し出されたのは、黒首のドードリオとSwift扮する灰色のドードリオとの交尾の一部始終。Swiftと一緒に動画を鑑賞しているのは今時の衣装に身を包むフーパ。そう、ドードリオ達のレースで旗を振っていたのが彼である。上手く撮れている事を確認してから画面を閉じた。
「部屋にあったオナティッシュで十分変身できるのに、なんでわざわざアイツから搾り取ったんだ?」
 リング越しにドードリオの部屋のゴミ箱から掴んだあの感触を思い出し、フーパの眉間に皺が寄る。
「ノンノン、搾りたての新鮮な精液(もの)からでしか得られない能力(もの)があるんだよ」
「はあ」
 ほくそ笑むSwiftに対し開いた口が塞がらないフーパ。
「オマエを見てると、よくこの寮に出入りできるなっていつも思うゾ……」
「そりゃあ、僕はなんでもできるからね。堂々とここに出入りするのもわけないのさ♪」
 とSwiftは更に付け上がった。
 選手寮には外部からの出入りも勿論ある。寮に住むポケモンのトレーナーや施設の保守管理を行う人間、商品の仕入れ担当が大多数だが、その中で異様な存在が、寮内では広く知られていた。無論ポケモンユナイトに出場可能な種族でもなければ選手及びスタッフの関係者でもないSwiftではあるが、こう見えてきちんと正規の手続きを経て寮に出入りしている。名目上は清掃員として活動し、その仕事ぶりは高い評価を得ていた。だがそれはあくまで、寮内で思いのままに活動するための手段に過ぎない。彼の真の目的は、選手として活躍するオス達を性的快楽に狂わせて痴態を曝け出す様を楽しむ事。故にSwiftに対する選手の反応は様々で、気味悪がったり嫌悪したりする者もいる一方で、不審にも思わないどころか友好関係を築いたり懇意にしたりする者も少なくなかった。以上は主にオスの選手の反応であり、メスの選手の反応はやや稀薄ではあるも、メスに手を出さないという点では一部のメスの選手からも清掃員として信頼を置かれたりもしている。主に性的な意味での問題行動が多いにも関わらず、運営側からのお咎めは殆ど受けた事がなく、水面下で何かしらの根回しが行われたり、運営からの寵愛を受けていたりと様々な噂が実しやかに囁かれてはいるものの、寮内でその真相を知る者はほぼ皆無であった。
 ――そして話は昨日に遡る。一週間ぶりに寮を訪れたSwiftがラウンジを徒然と歩き回っていると、喋る者は皆ほぼ揃って共通の話題である事に気が付いた。一週間程前は話題にすら上らず、そこまで言わせしめる程の存在とは何か、俄然興味が湧いてくる。
 前方から浮遊する姿を、黄色い瞳が捉えた。ワイヤレスヘッドホンで何か音楽を聴いているよう。
「やあフーパ、調子はどうだい?」
「――うわびっくりしたゾ! ……なんだSwiftか」
「おいおい挨拶もなしとはつれないねえ」
 煩わしさを含んだ視線をSwiftに向けるフーパ。それでもSwiftは引き下がらない。
「今聞いてるそれ、t●kt〇k*4で流行ってるやつ?」
「そうだけど……別にオマエ興味ないだろ?」
「この島でもやたら耳にするから覚えちゃったのさ♪」
 周囲を海に囲まれた島でありながら、若い世代が多い事もあって比較的早く流行(トレンド)が訪れる。それはポケモンの間とて同様で、公式のランクマッチの舞台となっている、古さの象徴たるテイア蒼空遺跡の近辺ですらもその波が押し寄せていて、流行りの音楽で使われる、掛け声を模した中毒性の高いフレーズ*5があちらこちらから聞こえている。今時の衣装に身を包む、成年を迎えてさほど経っていないフーパはまさしく流行を支える世代の中心にいた。
「ところで、それとは別に今流行りの話題があるみたいだけど」
「オマエ、また何かたくらんでるだろ……」
 フーパは長い嘆息を零した。事ある毎にSwiftの「企み」に付き合わされた身として、ろくでもない目に遭うであろう事は容易に想像が付いた――



 Swiftが次に鑑賞しているのは、触手相手に事に及ぶブラッキーの動画。無論これも彼の仕業で、触手が出て来た穴を作り出したのはフーパ。股間を押さえながら動画を見ている彼も共謀者(グル)であり、同時に被害者なのは言うまでもない。
「よくあの鉄壁を崩せたな。感心するゾ」
 フーパに褒められたSwiftは得意気に胸を張り、特性でもないのにじしんかじょうを発動した。
「ありのままを楽しみたいから催眠は好きじゃないんだが、あの堅いガードと貞操を崩すには、こうするしかなかったんだよ」
 自身のポリシーに反する行為ではあったものの、結果として十分過ぎる撮れ高は得られた。
 黒い触手、催淫効果のあるフェロモンと催眠による一時的な記憶の書き換え。これらは全てSwiftの能力である。彼の正体、それはインキュバスと自称する通り、ポケモンとは異なる謎の生物。そして彼の生きる糧となるのが、精液中の生命エネルギー。寮内でオスの選手達に性的快楽をもたらすのは自身の生命活動の維持が根幹にあり、彼らの痴態を楽しむ副次的娯楽も同時に堪能しているのだ。裏を返せば、メスからは生命エネルギーを得られないため、必然的に付き合いは希薄にならざるを得ない。それを逆手にとって一部メスからの信頼を勝ち取るのも計算高さの成せる業か。
 また、Swiftは搾り取った精液中の精子から遺伝子を取り込み、姿形を変えられるどころか搾り取ったオスが有する能力を一時的にコピーして使いこなしたりも出来た。雌雄どちらも存在する種族であれば、先のドードリオのようなメスの姿に変身するのもお手の物。これによって寮に住む選手達の殆どは、彼を特殊能力持ちのメタモン程度にしか認識しておらず、危険因子を持つ異形である事実は見事にマスクされていたのだ。


「ところでフーパ、次のターゲットには是非とも君のスマホロトムも使わせていただきたいんだ」
「えー……」
 露骨に嫌そうな表情を見せるフーパ。プライバシーの塊たる機器をサイコパスな異形に預けるのは頗る気が進まないが、理由はそれだけではない。
「選手のオイラがこんなのに関わってるってバレたら、コンプラ違反で絶対クビにされるゾ。そんなのイヤだゾ」
「そこは僕がうまくやるからさ、いいだろ?」
 それでもフーパは首を縦に振ろうとはしない。頑なな反抗心に、流石のSwiftも痺れを切らす。
「ふーん、そうかい。君のせいで計画が失敗したら、ダンカンドーナツスペシャルパック一月分が水の泡に……」
「!? そ、それだけは…………」
 ギクッとフーパの肩が跳ねる。途端に滲み出る冷や汗。


 ――これもまた昨日の話。
「というわけで、是非とも僕の右腕である君に協力してほしいんだ。成功したらちゃんと君に報酬は渡すからさ」
 Swiftに笑顔で協力を持ち掛けられたフーパは、すぐさま難色を示す。
「いやオイラ右腕じゃないし。それに報酬ってもエオスコインとエオスチケットは十分稼げてるからいらないゾ。だったらたんまりジェムくれ」
「ジェム……それは厳しいなあ」
 島内でのみ使用可能なユナイト関連の通貨はエオスコイン、エオスチケット、ジェムの三種類存在するが、ジェムだけは唯一課金のみでしか入手出来ない、即ち公式に現金に直結する通貨である。ジェムをせがまれたら、流石のSwiftも尻込みする。この調子ならとフーパは更に攻勢を強めた。
「そっかあ、ジェムじゃないならちょっとオマエには――」
「――ダンカンドーナツ*6
 Swiftの発した言葉に思わずぴくりと反応してしまう。ほくそ笑むSwiftは、完全にわるだくみモードに入っていた。
「君の協力によって計画が成功したら、成功報酬としてダンカンドーナツのスペシャルパックを一ヶ月間毎日一セット、君のところに届けてあげようと思っているんだけどねえ……」
「ス、スペシャルパック、毎日一セット……!」
 フーパはすっかり垂涎を禁じ得ない状態に。何を隠そう、フーパはドーナツが大好物。その中でも特に好んで食べていたダンカンドーナツのクリスピー&クリーム*7は、原材料に拘った高級品で単品での販売は行われず、島内では現金ないしジェムでしか購入出来ない最高値のセット、スペシャルパックでしかお目見え出来ない物だった。幼少期から食べていた物だけに、自立して故郷を旅立って以降現金での稼ぎに乏しい懐事情が否でも窺えてしまう。
「……わかった、オマエに協力するゾ」
 あれ程までに難色を示していたにも関わらず、フーパは高嶺(、、)の花たる報酬に釣られてあっさり協力を申し出てしまった。
「ありがたいね。うまくいったら約束はきちんと守るから、君の働きに期待するよ♪」
「スペシャルパックにしかないオイラの愛しのクリスピー&クリームをSwiftのおごりで毎日食えるなら……」
 頭の中はおろか目までもドーナツになり、口元を涎で濡らしたままフーパは気合を入れた――



 現在の懐の寒さで中々手の届かないスペシャルパックが水の泡になる、それだけでも背筋に寒気が走った。フーパは項垂れ、長い溜息を吐いた。
「……わかったゾ。オイラのスマホロトム使っていいゾ」
「流石は僕の右腕! 感謝するよ。そうと決まれば作戦実行だ!」
「は~い……」
 次の作戦に向けて意気揚々と歩き出すSwift。その横で背中に影を落として力なく浮遊するフーパ。対照的な後姿が、静けさに包まれた長い廊下の奥へと消えて行った。


Target 3: Tyranitar



 日課の筋トレを終え、流した汗をタオルで拭っているのは、よろいポケモンのバンギラス。寮内のトレーニングジムで筋トレを行う一方で自室内にも自前の器具を持ち込み、自分磨きを兼ねた体作りに対する本気度が窺える。ユナイトに於いてはバランス型で、バンギラスに進化するまでは火力に乏しく、味方の力を借りないといけない苦境が続くものの、進化さえ遂げれば特性のすなおこしによって耐久を高めつつ、周囲に撒き上げた砂で近づく者の肉体を直接蝕んだり、小手先のシールドなど意味を成さない、生身に響く一撃を食らわせたりと、近接戦闘(メレー)泣かせの性能を発揮するため、選手としても活躍の機会は未だ多い。
「やあ! Swiftだけど、いるかい?」
 ノックと同時に扉越しに聞こえる飄々とした口調。
「おう、いるぜ。入ってきな」
 野太い声を合図にSwiftは扉を開け、バンギラスの部屋に入る。大柄なよろいポケモンに見合った、広い大部屋。
「久しぶりじゃねえか! 何してたんだよ」
「まあこっちも色々とあってね」
「どうせ俺以外の野郎どもとしっぽり楽しんでたんだろ?」
 再会の喜びを滲ませつつ、体を拭いていたタオルをSwiftの顔に投げた。視界を遮るそれを即座に前足で振り払う。
「くっさ! とんだご挨拶だよまったく……」
「いいよな、乾く暇なくてよ」
「それは当たらずとも遠からずってところかな♪」
 ふざけたノリを交えつつ話すバンギラスは、Swiftとは親交が深い。持ち前の明るく豪快な性格でSwiftとも気が合い、初めて出会ってから関係を持つまでさほど時を要しなかった。
「どうよ、久しぶりに見た俺の体は」
 拭い切れない汗の流れる鍛えたての肉体を、堂々たる出で立ちでSwiftに見せ付ける。
「バッチリ仕上がってるじゃないか。見る度に雄々しくなって惚れ惚れしちゃうよ♪」
「うれしいこと言ってくれるぜ」
 厳つい顔立ちに浮かぶ満面の笑みに、Swiftは目を細める。後ろ足で立ち上がって、緑の鎧から覗く青鈍色の腹部に前足を触れると、くっきり割れて溝を形作る腹筋の硬さと負荷を掛けた証の熱が肉球に伝わってきた。バンギラスの雄としての魅力は、臭いとしてもSwiftの鼻を刺激する。
「こうも熱いと、ムラムラしてこないかい?」
 黒首のドードリオの受け売りを発しつつ、腹筋を愛撫し始める。Swiftがどんな奴か分かっているバンギラスは、喜んで自らその気になっていく。Swiftの締まった腹に、硬く熱い何かが当たる。身を後ろへ引くと、縦の割れ目を抉じ開けて股間から立派な岩塊が聳え立ち、黄色い眼を前にして更に太く長く変貌し、厳つく逞しい怪獣の力強さを漲らせていた。
「昨日ヌいてねえからもうこんなになっちまったぜ……」
 バンギラスは息を荒げて舌なめずり。性指向がゲイの彼にとってSwiftは格好のセフレ。寮内の他の選手とも関係を持って雄々しい快楽を享受した事も少なくないが、それでもSwiftとの方が圧倒的に多かった。
「うーん、残念だけど今回は僕の体『じゃない』んだ♪」
「んだよじらしやがって……!」
 欲に駆られた屈強な体はお預けを食らい、口から低い唸り声を発した。Swiftは空中にリングを作り出し、そこから大きな何かを取り出した。
「君にはコレを使ってもらいたくてさ」
「なんだ? オナホかこれ?」
 透明で弾力のある材質のそれには挿入用と思われる穴があり、バンギラスが使うには申し分のない太さこそあるが……。
「俺のチンポを挿れるにゃあ短すぎねえか?」
戦闘モードの実物(、、)の横に宛がってみると、その長さは半分どころか四分の一、事に及べばここから更に大きく膨らむので、実際はそれにすら届かない程しかなく、一見全て包み込むなど到底無理。
「ノンノン、ここをよく見てごらん」
 Swiftが指したのは、穴とは反対側の部分。目を凝らすと中に何かが入っているのが分かる。それを見たバンギラスは、口角を吊り上げた。
「なるほどな、こりゃ楽しみじゃねえか……」
「たまには変わった刺激を味わった方が楽しいかなと思ってね♪」
「おめえの持ってくるオナホはどれもすげえ気持ちいいから、期待してるぜ」
「それは何より……おおっと、もう行かなきゃ」
 Swiftは部屋の時計を見るなり慌てた素振りを見せる。
「なんでえ、もう行くのかよ……ナマでレビューするつもりだったのによ」
「ゴメンゴメン、なんだったらすぐに使っちゃっていいからさ。後で感想教えてよ。じゃあ、また」
「お、おう」
 急ぎ足で部屋を出るSwift。バンギラスは呆気に取られていたが、両手に持つ短いオナホールに目を遣った。穴から中を覗き込むと、奥にリング状の物が埋め込まれているのが見えた。中を満たす潤滑剤は、その独特の匂いからSwiftの粘液である事も、彼の体を知るバンギラスなら即座に理解出来た。その匂いによって淫欲が増幅され、萎み掛けていた岩柱は再び硬く熱くそそり立つ。
 赤黒く筋張った立派な風貌は、その持ち主に相応しい屈強な肉体に雄としての悦びをもたらし、時には好みの相手の体内で誇らしく絶頂を迎え、大いなる自信を作り出した。
 一日空いても尚残り続ける、色事を嗜んだ性器特有の強い臭いにうっとりしつつ、オナホールを専用の器具に固定して、大鏡の前に設置する。映し出された勃起の姿に、バンギラスは更に熱く血が沸き立つ。準備運動とばかりに岩塊は心地よく刹那に張って、先端からねっとり先走る所も、漏れなく鏡は映し出していた。
「さーて味見すっかあ」
 胸の高鳴りを味わいつつ、濡れた先端を穴に押し当てる。オナホールを両手で掴み、前進して押し開きながら侵入する。血の通わない物体ではあるも、取り囲む感触と締まりはバンギラスを喜ばすに十分足る。内部を潤すSwiftの粘液は侵入に際し不快な引っ掛かりを起こす事なく、同時に粘液の作用によって岩突で生じる性感は増幅されて、屈強な巨体を震わせる。狭い空間の開削という刺激的な役目を先端が一手に担い、硬い巨柱は無生物的な空間を抉じ開けつつどんどん突き進んでいく。中の様子は歪みつつも透けて見え、赤黒い突端はすぐさま中心を通過して更に奥へ。半分以上露出したまま最奥に到達するも、尚も奥へと押し込めた。既に先端が突き破って然るべきなのに、閉じられた反対側は隆起すら見せない。尚もバンギラスは身震いを交えて雄岩を埋め込む。それは中のリングを境にしてその先は見かけ上消失していた。
「うおぉ! やべえとこにつながってんなあっ……!」
 バンギラスの強面が歪み、挿入を続ける部分が太々しく脈動する。
「この先は生ハメかよっ……! とんだお手軽グローリーホールじゃねえかぁ……うぐぅ!」
 視界の及ばぬ領域で行われる性行為に、バンギラスは自ずと劣情を掻き立てられて(いき)り立つ。以前トイレの個室で経験したグローリーホールを思い出していた。
 壁穴に準備万端の巨岩を突っ込んで姿形の見えない相手に見せ付け、前戯を受けてとことん気持ちよくさせられて甘く鳴きながら雄を膨らませ、先端から襲い来る圧迫で挿入を実感し、壁越しに抽送して聞こえてくる息遣いや嬌声から姿形を思い描きつつどんどん昂り、やがて正体を知らないまま体内で射精に至る――極僅かの不安と緊張、そして少しの好奇心がスパイスとなった背徳的な快感が、Swiftのオナホール越しに追体験されようとしていた。


 異次元への入り口が存在するなら、対となる出口も存在する。リングから突き出した赤黒い巨岩は即座に肉穴を貫き、リングの向こうの怪獣がオナホールに押し込む程、肉洞を押し開いてより奥へ突き進む。
「オオッ! どんどんチンコ、挿入ってくゾォッ!」
 甘露な極低音が、バンギラス以上の大部屋を震わせる。その主は長い顎髭を蓄えた鋭い牙の並ぶ大口から低い声を発し、頭の左右からバッフロンに似た大きな角が生えて、頭頂部にはヘアゴムで束ねたような立派な鬣。大きな胸の中心はぽっかり大穴が開き、六本に増えた腕は胴体から独立して自在に動く、魔神の如き巨体。何を隠そう、この姿こそフーパ本来の姿。太く長い尻尾の付け根にリングが宛がわれ、そこでまさしく異次元交尾が行われていた。
「外じゃあんなにかわいらしい君が、こんないかつい姿でお尻を掘られて喜んでるなんて、見応えあるねえ♪」
 善がるフーパを横から見上げて迫力満点の痴態を楽しむSwift。
「す、スゴいっ、いいトコッ! 当たって……ウオォッ!」
 股間の割れ目を開いて雄の臭いを充満させながら聳え立つ大いなる魔塔は、バンギラスと比較しても数倍は大きく、身を犯される刺激に反応する脈動はダイナミックな雄のパワーを発して、表面に浮き立つ血管と筋が殊更それを強調させる。前はここまで立派であるにも関わらず、後ろの肉壺は体躯と比較して著しく小さく、バンギラスレベルの大きさでも十分強い締め付けをもたらしていた。
「オイラ、もっとっ……気持ちよく、なりたいゾ……でもっ、グウッ!」
 躊躇いを見せながらも、六本の手で巨塔を刺激し、その快感に打ち震えては脈打たせて我慢汁を飛ばし、弧を描いて床に降り注いだ。


「おぉっ! めっちゃ締まるっ!」
 根元まで挿入を遂げたバンギラスは、リングの向こうで不意に訪れる肉壁の収縮に襲われて屈強な身を戦慄かせる。
「ちくしょお、イきてえ……見えねえ奴ん中でっ、ド派手に、ぶちまけてえっ!」
 バンギラスは雄の衝動そのままに、オナホールに腰を打ち付け始めた。見えない相手と交尾に臨む自慢の肉体は鏡に映し出され、自己性愛を交えた痴態を目にしては喜び悶え、フーパの体内で更に硬く膨れ上がる。


 そして岩塊で後ろを掘られ、自ら手を駆使して前を刺激する二種類の快感を身に受け、大いなる若者は顎髭を涎で濡らしながら発した胴間声で大部屋の空気を更に揺らす。
「ウオッ! ダメッ! チンコ、気持ちよくてぇ! 派手にっ、汚しちゃうぅ!」
 これまで何度か噴き上げた透明な体液が、既に前方の床を広範囲に濡らし、自身の体に起こる豪快な絶頂を確信してこれ以上の汚濁を嫌がった。
「うーむ、このままぶちまけてくれた方が見応えたっぷりだけど、そこまで嫌なら仕方ないな」
 Swiftは床のぬめりを感じつつ、フーパの前に佇む。野太く善がって膨らませた魔塔から噴き出た我慢汁を顔に浴び、舌で舐め取る。独特の雄の臭みと強い塩気を口内で味わう。
「結構漏れちゃってるねえ、若くてパワフルだねえ♪」
 ほくそ笑んだその姿は見る間に変化し、徐々に大きくなる。フーパと同じ目線で、ギザギザな牙の並ぶ大口が唾液で粘りつつ開き、厳つく不気味な笑顔を浮かべた。Swiftは灰色を基調とした地味な色合いのフーパとして、快楽に悶える大いなる若者に臨んだ。
「君のお望み通り、僕が受け止めて掃除を楽にしてあげるよ」
 低くもSwiftらしい艶っぽさを孕んだ声色で囁く。そしてSwiftの六本の手が魔塔に触れると、フーパは巨体を跳ねながらその刺激に喜んで汁を飛ばし、淫らな若雄をより強く臭わせた。股間を走る縦筋を手で開くと、肉々しさが露になる。
「は、早くっ、オイラの、チンコ……挿れてほしいゾォ……ウオォ!」
 待ち切れないとばかりに濡れそぼった巨塔が脈動してSwiftにアピールした。急かさなくてもと笑いながら、フーパのぬめった先端を縦筋に押し当てた。強まる圧に負けて筋が押し開かれ、巨塔が埋め込まれ始める。
「オアアッ! オマエの、ナカ……気持ちいいゾォ!」
 フーパは挿入の刺激に戦慄き、反射的に尻を窄める。怪獣に犯される刺激も相乗的に強まり、前後で生まれる性感を巨体で受け、目つきの鋭さを失いながら野太い嬌声を駄々漏らす。
「思った通り、この姿のチンコは大きくてパワーもあって、食べ応えがあるよ♪」
 見る間に体内へ呑み込んでいきつつ、雌雄の快楽に同時に苛まれる厳つい姿を堪能した。Swiftの魔神の壺は大小様々な凹凸の肉壁が催淫効果を持つ粘液を纏って巨塔を包み込み、締め上げる。根元まで至る強い結合によってフーパの目の前に迫る解き放たれし灰躯からは甘い香りが放たれ、捕らわれの快楽に苛まれる魔塔の盛った強い臭気と混合して鼻腔を刺激し、微弱な電流の如く脳に伝わって甘ったるい痺れをもたらした。Swiftは圧の変化と穏やかな抽送で、優しく雄の搾りを促す。
「オ、オオォッ! キモチイイ、キモチイイ! Swiftォ!」
 フーパの巨塔はSwiftの中で熱を持ち、甘やかな疼きを伴う躍動を以て更なる膨張と漏出を実感させられる。淫毒(フェロモン)は途端に巨体を巡り、犯され続ける後穴の感度の急激な高まりを身に覚えた。フーパの意識を介さず、後穴は威力を高め続ける岩突を欲して圧を強め、勝手に生じる刺激に魔神たる姿は翻弄された。


「ウオォォ! 雄マンコすげえ締め付けてきやがるぜえ!」
 一心不乱に腰を打ち付け、筋張って凹凸の生じる硬い表面と襞の並ぶ柔らかな表面とで強まる摩擦と圧迫を受け続け、バンギラスも艶やかながらドスの効いた善がり声を発して相手の分からない交尾に没頭していた。熱を持った刺々しく逞しい肉体は、発情によってフェロモンを多く含んだ汗が絶えず噴き出して流れ、激しいストロークによって時折雄臭い雫を周囲に散らす。鏡には雄々しい痴態が隈なく映し出され、それを目にしては着実に爆発の瞬間が迫る狂おしい快楽に強面を歪め、歯を食いしばって粘つく涎を垂らし、赤黒い巨岩を大いに膨らませる。
「こんなに、気持ちよくてえ、ドクドク漏れてんのにっ……! 汚れてねえ……最高だぜえ!」
 普段交尾すると足元に大きく広がる淫水が、オナホールを犯す真下には殆ど見られない。後始末が楽に済みそうな事実も、バンギラスが営みに没頭する大きな助けとなった。
「オオォッ! ガキ汁、溜まってっ! チンポ、たまんねえぜえっ!」
 体内に収まった大きな睾丸から生じる疼きを感じ取り、耐え続けて歯を食いしばる強面に歓喜を滲ませ、佳境に向けて腰を打ち付け続ける。


 フーパもやがて爆発する熱い燻りを巨体に感じ、前後同時に翻弄されながらその気持ちよさを堪能していた。
「ああ、今の君はとっても卑猥だよ、フーパ♪」
「ンオオォ! チンコも、ケツもっ! 気持ちよくてェ! おかしく、なっちゃうぅっ!」
 快楽漬けの巨体が性の電撃を受けて打ち震える度に豪快に汗を散らし、大きな嬌声を発する事も憚らない。バンギラスの巨岩を欲して淫らな魔神の壺は内径を狭める瞬間的衝動を引き起こして搾りを促す一方で、Swiftに捕らわれた魔塔は更に隆々と膨れながら感度を高め、灰色の魔神の壺に責められ続ける喜びに、種混じりの我慢汁を一回の躍動で力強く大量に搾られる。本来部屋に夥しく舞う筈だったフーパの我慢し切れていない汁は灰躯の壺で受け止められ、満たされては新たな噴出に押し出されて彼らの足元に大きな淫池を作り出していた。


「グウッ! 自慢の、チンポでえっ! 雄マンコ、孕ませて、やっからなあ! 覚悟しやがれっ!」
 姿形も分からず、声も届かないであろう交尾の相手に、バンギラスは心地よい我慢の限界を宣言した。オナホールを通じてフーパの体内で隆々と張り詰めてぬめる卑猥なストーンエッジは、丁度先端が狭まる肉壁を抉じ開けて突破しようとしていた。前屈みになりたい衝動に抗って、胸を張りつつ乱暴な抽送音を部屋に響かせる。命の爆発を目前にした卑猥で屈強な雄の姿を鏡に映すや、バンギラスは歯を食いしばって顫動しつつ呻きを零し、魔神の壺に包み込まれたストーンエッジは衝撃を伴って大きく膨れ、完全に狭窄を抉じ開けて粘度の高い物を搾り出す。
「ウオォォ! イク、イク! イクぜえっ!!」
 岩塊の根元で必死に押し込めていた扉が、射出の圧に負けて突破される瞬間を、移動する快い異物感を以て知覚した。


 そしてフーパも、Swiftによって感度を高められた二点責めに巨体を震わせ、持ち堪えられなくなっていく。
「もうムリ! オイラ……イっちゃうぅっ!!」
 鋭い眼を涙で濡らし、情けない顔立ちで襲われ続ける快感に白旗を掲げてしまう。
「ありのままに果てるところを、僕に見せておくれよ」
 Swiftは解き放たれし邪悪な笑みを浮かべ、涎臭く濡れる髭を蓄えた若雄の顎を指で持ち上げた。魔塔を捕らえ続けた淫魔の壺が拘束の圧を強め、魔塔はその圧に屈して気持ちよく張り詰め、最も大きな姿になる。その衝撃は犯される魔神の壺を衝動的に窄め、バンギラスにも耐え難い性感をもたらした。


 気持ちよく唆され続けて溜まった大量の遺伝子が、限界を超えて尿道に押し出される。尿道を歪にして先端へと駆け上がる快感が、魔神の壺に包み込まれてより太く長い最高の瞬間へと二匹の巨雄を導いた。
「ウオオオオオォォォォォォォォォッ!!!」
 異なる空間で、果てる喜びの咆哮が轟く。バンギラスはフーパに、そしてフーパはSwiftに、濃厚な生命エネルギーを迸らせて肉壺を満たし、溢れ出して床に白い広がりを見せる。つんと鼻を刺激する臭いは、それだけでもSwiftを恍惚へと導いた。精を送り込むポンプとして周期的に怒張する雄塊と精の移動による尿道の異物感は、朦朧とする意識の中でも明瞭に捉えられ、絶頂に伴う脳の痺れを助長させた。


 しばらく続いた中出しは、時を経てその勢いを失う。濃い物が凸と凹の隙間をぬるっと埋めるのを知覚しつつ、二匹は体内で委縮する。
 フーパの前方でSwiftが、後方でバンギラスが、それぞれ自発的に結合を解く。萎え掛けても大きさを主張する魔塔は白くぬめりながら淫穴から現れ、抜けた先端が白を零しながら床に着いて全貌を曝け出す。バンギラスもオナホール越しにフーパから一物を抜く。真下は汚れていないが一物には土臭い白濁が纏わり付き、異空間で豪快に白く暴発した事を知らしめた。
「ふぃ~すげえ気持ちよくてたっぷり出しちまったぜえ……」
 面倒な後処理もなく、賢者タイムでありながら上機嫌なバンギラス。Swiftが振り払って床に落ちたままの汗臭いタオルを肩に掛け、低音域の鼻歌混じりにバスルームへと歩き出した。
 一方のフーパは茫然と大口を開けて賢者タイムの真っ最中。Swiftは搾り取った魔神の精を必要分取り込んでから残りを真下に置いたバケツにフローバックし、忽ちルガルガンの姿に戻った。そして黒い触手を駆使してフーパの後穴から零れ出すバンギラスの精を密閉容器に集めた。
「ソッチが欲しいなら、オマエがバンギラスとヤれば簡単なのに、よくわかんないゾ……」
 バンギラスとSwiftに唆された雄膣内大量射精の反動で疲労困憊のフーパは、厄介事の元凶に目を向けつつ嘆息を零した。
「確かに君の言うとおり。だけどそうは問屋が卸さない事情があってね」
「はあ、めんどくさい事情だな……」
 今は一刻も早く掃除して休みたい余り、その事情とやらを知りたい欲求すら湧かなかった。次のターゲットについて尋ねてみると、明日に回すと答えたSwift。フーパからしても好都合だった。
 重力がずっしり圧し掛かる巨体をどうにか動かしてバスルームに入り、シャワーを浴びて交わった汚れを洗い流してからSwiftと一緒に六つの腕を操って汚れた床を掃除する。拭き取る前のフーパの白い汚れを味わうSwiftに、フーパは厳つい顔を顰めて冷たく見下ろす。
「なんだ、オイラのザーメン食べごたえがなかったんじゃないのかよ」
「それはちっちゃくてかわいらしい姿のときだけ♪」
 大振れする尻尾に苦々しく舌打ちした。別に何か罰を受けたでもなく、単に外で動きやすいという理由で普段過ごす(かりそ)めの姿はゴーストタイプであり、最も生命エネルギーが少ない属性である事はSwiftから聞かされていた。一方で部屋の中では心の落ち着く本来の巨体で過ごし、この姿だと悪タイプに変わる。奴のせいで今後安寧を潰されかねないと思うと、心穏やかではなかった。


 掃除を終え、未だ部屋にいるSwiftに気が障りつつも寝床で横になって一息吐く。視界の隅に映った彼は、スマホロトムで動画を見ているようだった。二台並ぶ内の片方は、フーパの物。
「用が済んだらさっさと返してくれ……」
「大丈夫、もうすぐ終わるから」
 画面を弄ったりしつつ返事をしたSwift。程なくしてスマホロトムのスピーカーから聞き覚えのある声が発せられる。
「……はあっ!!?」
 つと寝床から飛び上がるフーパ。その顔は湯気が立つ程真っ赤。
「なんで撮ってんだよ!? 今すぐ消せ!! 今すぐ!!!」
 部屋の周囲にも届く程の剣幕で喚き散らすも、スマホロトムから効果音が鳴り、Swiftは涼しい顔のまま。
「それは無理なお願いだねえ♪」
 先程聞こえた効果音は、Swiftの端末に動画の転送が完了した音だった。フーパのスマホロトムがふよふよと持ち主の所へ戻って行く。
「ほら、約束どおり君に返すよ」
「そーゆーコトじゃなくって!!! ソレが外に流れたらどうすんだよ! 名誉棄損だゾ!!」
「大丈夫、必要以上のことはしないからさ♪ じゃあ、また」
 Swiftはフーパの十八番、いじげんホールを即座に作り出し、そそくさとその中へ入って行く。フーパは神経を逆撫でされて怒り心頭。
「おい待てクソイヌ!!」
 フーパは動きやすい戒めの姿になって追い駆けようとするも、その変身時間が仇となってSwiftの逃げ込んだ穴が目の前で閉じられてしまった。こうなると最早追跡のしようがない。
「チクショウ……!」
 追い付けなかった怒りと悔しさにわなわな震える。スマホロトムから着信音が鳴った。チャットアプリにSwiftからのメッセージが一件。


“くれぐれも下手なことはしないように。もし何かやったら、犠牲になるのはスペシャルパックと君の選手生命だよ♪”


「クソッタレェッ!!!」
 フーパは理不尽な怒りに任せ、近くに置いてあったがくしゅうそうちを床に叩き付けた。力の劣る戒めの姿とは言え、その衝撃で煙を上げ、呆気なく修理不能のガラクタと化した。
「チッ、買い直しだゾ……」
 激情は薄れたものの治まらず、臍を曲げたままエオスチケットを片手に寮内のエオスマートへ向かった。


Target 4 & 5: Urshifu & ...



 選手寮の広大な敷地の端には森林も存在する。草タイプの選手がコンディションを調えに訪れたりする他、静けさを求めて草タイプ以外にも足を運ぶ者もいる。
 敷地の最果て、誰も訪れないような深い森の中に響く重い打撃音。それはこの森を好んで修業の場とする大柄で屈強なポケモンが、設置された的に技を繰り出す度に発せられていた。拳や足、体当たり。それぞれの一撃の重さは、的が設置された地面にもその衝撃が伝わる程だ。日々鍛錬を積み重ねる彼は、けんぽうポケモンのウーラオス。試合のない日はここを訪れて瞑想や修行に耽る事が多く、あまり他の選手と交流する機会がないため、彼を知らない者も未だに多い。この日も普段通り、鍛錬で火照った体から滲む汗を散らしつつ、的に一撃を叩き込んでいた。


「よっ、おひさー」
 背後から聞こえた声に動きを止めて振り向くウーラオス。目に飛び込んだのはもうかポケモンのバシャーモだった。勿論彼も選手であり、所属チームこそ異なるもウーラオスの幼馴染だ。
「シャモか。何の用だ」
 敷地内とは言え、こんな鄙びた場所に来る数寄者などそうはいないため、声だけですぐに分かる。あからさまに迷惑そうな素振りを見せるが、バシャーモは動じない。
「一週間ぶりに様子を見に来ただけだぜー。部屋にも戻らねーでこんなとこにいて、どーせひとりで寂しいんだろ?」
「ふん、貴様が来たらかえって迷惑だ」
「そんなつれねーコト言うなよー? せっかくオレが心配して来てやってんのにさー」
「そういうのを『余計なお世話』と言うのだ」
 バシャーモに背を向け、鍛錬の続きに取り掛かろうとするが、バシャーモは構わずダル絡みしてくる。
「たまに気分転換くれーしろよ……ってくっせぇ!」
 ウーラオスに近づいた途端に、バシャーモは顔を顰めた。
「オマエ……シャワー浴びてねーだろ! 炎タイプのオレですらしてるぜ!?」
「汗の臭いは鍛錬に邁進した証。俺はそれを感じたいからあえて洗わんのだ」
 頗る嫌そうに答えた。今も毛皮が濡れて分厚い筋肉の凹凸が明瞭になる程に大量の汗をかいている。前日やそれより前の汚れが蓄積された状態で火照った体温で蒸されて発する臭気は、言葉にし難い程に強烈ではあった。幸いなのは、試合のある日にきちんとシャワーを浴びてから来る事だろうか。
「あのなー……。いくらフェロモンったって濃すぎると逆効果なんだぞ? それわかってんのか?」
「俺はこの強烈に饐えた感じが癖になると思うがな」
「はぁー……まーいいや」
 呆れて溜息をつく横で、ウーラオスは黙々と鍛錬の続きを始める。
 只でさえ体臭が強いのに頻繁に水浴びしないのが玉に瑕だが、日々鍛え続ける筋肉の逞しさと、構えや攻撃動作諸々の洗練振りは、バシャーモにとって目を見張る物があった。顔立ちに現れる端正とは言い難い彫りの深さと厳つさが、ウーラオスの雄々しさを一層引き立てているのは間違いない。
 そしてウーラオスが的に蹴りを入れる。それをしばらく眺めてから、バシャーモがぽつり。
「オマエ、それでよく落ち着いてられるな」
 またか、と言わんばかりに溜息を零すウーラオス。バシャーモは近づくなり、そう思わせた部分に手を伸ばした。
「ひっ! や、やめんか!」
 ぎゅむっと走った衝撃に背筋が凍るウーラオス。バシャーモの手を掴んで無理やり引き離した。
「あんなブランブラン揺れてたら落ち着かねーし、オレも目のやりどころに困っちまうんだよなー」
「そんな事、俺に言われても困るぞ……」
 呆れつつ目をやったのは、前垂れ状の毛に覆われた自身の股間。体躯に相応しい立派な大きさである上に、火照ったせいで弛緩したりして、激しい動きを伴うとブランブランと大きく揺れてしまう。先程の蹴りの場面でも股を開いた事もあって大揺れして、前垂れから大きくはみ出て露になる瞬間が幾度となくあった。ウーラオスからすればいつもの事であるが故に気にも留めないが、バシャーモからすれば余計な運動量が消費されて気が気でなかろう……気が気でないのは別の理由もあるようだが。
「どーせ鍛錬ばっかりな日々でまともにヌいてねーんだろ? だから余計に重くなってこんなコトになってんじゃねーの?」
「そんなの俺には必要のない事だ」
「見てるコッチがまんざらでもねーんだけどな!」
 バシャーモは舌なめずりをしつつウーラオスの立派な急所を鷲掴み、もう一方の手は分厚い胸板に押し付けた。ウーラオスも放せと言わんばかりに手を伸ばそうとするが、胸板に押し付けた方の手がそれを阻んだ。
「クマ坊、ちょっとでも抵抗したら、ぶつ(、、)ぜ!」
「ぐっ……!」
 今は呼ばれたくない幼少の可愛らしい渾名で呼ばれたにも関わらず、苦虫を噛み締めながら手を引っ込めたウーラオス。力ではバシャーモを上回るのに、彼の言いなりになるしかなかったのは、一撃を得意とする彼の相性故であった。ユナイトバトルに於いてタイプ相性は関係ないのだが、同様に相性の関係ないバトルは遠い地方のフェルムバトルくらいしかない異例振り。幼少期は通常ルールのバトルで戦ってもいい勝負だったが、お互い進化してから初めて一戦交えた際に、バシャーモに大敗を喫している。それ以降彼には一度も勝てたためしがなく、タイプの関係ないユナイトバトルでも同様だった。結果的に修行にのめり込み、かつバシャーモに振り回されているのだ。バシャーモは股間と胸を同時に弄ぶ。厳つい顔立ちにくしゃりと皺が寄った。
 毛皮に覆われた巨大な一枚岩の如き胸板が、深い谷間を境に左右に並ぶ。その一部分だけ体毛がない代わりに茶色い肌が丸く覗く。その中心に豆のように盛り上がる部分をそっと爪弾いてみる。
「おっ、おっ、うおおっ!」
 それに反応するように、喉仏を動かして口から零れる太く甘やかな声。爪弾くにつれて乳首はより硬くぷっくりとその存在を主張していく。
 無論もう片方の手も負けてはいられない。前垂れを捲ると、先端のごく一部を除いて皮を被って垂れ下がる、このままでも太々しい雄の突出と、熱を逃がそうと極限まで伸び切って大きな玉の形を浮き立たせつつ、ちょっとした動きでも振り子のように揺れる黒袋が同時に曝け出される。乳首責めに反応して持ち上がり始める棒。それを確認すると再び前垂れを被せ、ぶら下がる果実を下から愛撫し始める。
「ただでさえ急所なんだし、ココでオマエの子供が作られるんだから、もっと大事にしろよ」
 周囲より少ない毛量で表面の黒が浮き立つ、分厚い皮の臭い袋。そこに収められた益荒雄の果実への程よい刺激を受けて次第に前垂れごと持ち上げていく雄の変化は、バシャーモをほくそ笑ませた。時折捲ると、大きくなるにつれて黒い皮から紅色の亀頭が徐々に姿を見せている。それに反して玉袋は収縮するのを手越しに感じ取った。
 バシャーモの目は、一点を見定めた。それはがら空きだったもう一方。濡れて貼り付いた獣毛の隙間から、寂し気に覗く物があった。そこに思い切り顔を埋める。埋める前からでも噎せ返る程の雄臭が、直に鼻に飛び込んで実際に噎せるが、それでも顔を離さない。濡れた硬めの獣毛と、その下の熱を持つ分厚い大胸筋の感触。
「なっ何をっ……!?」
 ウーラオスも弄ばれながら目を丸くする。やがて嘴を開き、伸びた舌が開けた茶色い領域を舐り回す。
「おっおぉぉっ!」
 左右で異なる性感の波に呑まれ、ウーラオスは屈強な身を戦慄かせた。舌に感じる強い塩気とこびり付いた獣臭が、途端に口腔を支配する。固くなった豆状の隆起を、舌先で執拗に弄ぶ。揉みしだく金玉が丸く弾力のある形状へと変化するのを手指の感覚で捉えた。雄々しさの象徴となった雌の名残を刺激され続けてウーラオスは野太く鳴くが、汗やバシャーモの涎以外で濡れる事は恐らくない。もっと早く、それこそ思春期辺りに知ってさえいれば飲めたかもしれない物を妄想しつつ、バシャーモはむさ苦しい雄の乳首を攻め続けた。


 ウーラオスは涎を零し、すっかり陶酔していた。快楽の大陸と化した胸板の、丸々と硬い最も脆弱な部分は一方でぬめり、他方は湿るに止まって対照的な光景を見せる。
 そして忘れてはいけない、雄の最たる急所は前垂れを力強く持ち上げ、その極大を描く部分にじっとりぬめった染みを作りつつあった。バシャーモはしゃがみ込み、目線をその突出に合わせる。臍と胸筋の間で隆起して主張する六つの割れた腹筋を背景に、黒いベールを被って聳える臍越えの突出は、体から発する物とも異なる、醸された猛烈な臭いをむんと纏っていた。
「チンカスまみれだと思ってたのによ、思ったよりきれいだな」
「ふん、手に付いたら臭いがこびりついてなかなか取れなかったからな。シャワーの時に洗うようにはしている」
「オマエがそうするなんてよっぽどだったんだな……確かにチンカスくせー手で木の実とか食いたくねーぜ……あぁぁ~くっせ~~~たまんね~~~」
 締まっても重量感を損なわない金玉を弄びつつ、怒張を嗅ぎ、眺める。横から見ると、持ち上げる雄の太さや金玉の丸い輪郭を、黒く垂れる毛皮が隠し切れず、半端に曝け出される趣深いエロスにバシャーモの熱情は徐々に強められる。足を左右に開かせ、股間の輪郭にこれまで揉みしだき続けてきた雄の果実のずっしりした丸みが浮き立っているのを目で楽しんだ。ウーラオスはバシャーモを見下ろす。言葉にせずとも、その目は更なる快楽を求めている事をありあり伝えていた。
 そしてとうとう、バシャーモは持ち上げられた黒いベールを脱がせる。ぬるりと滑る感触を伴い、ねとっと糸を引きながら露になった、ウーラオスの怒張。お預けを食らい続けたその部分は、根元から黒々と太く上へ伸び、表面に血管や筋を太く浮き立たせ、やがて雁首の少し手前でややぼやけた色の境目が現れ、そこを過ぎると先端にかけて紅色が艶めく。聳える雄々しさと刺激に敏感な二面性が、この色合いだけでも十分伝わる。普段は亀頭の殆どを包皮が覆いながらも、硬く勃起した雄の表皮に殆どゆとりは見られず、ウーラオスの膨張率の高さを一層強調させていた。下半身に目をやると、筋肉がぎっしり詰まった太腿と、脹脛(ふくらはぎ)の上部に岩の如く存在する肉瘤が特に印象に残る。いずれも性欲の強さに大きく関わるとされる筋肉である事は、格闘に軸を据えて筋肉に拘る雄としてバシャーモも当然知っている。
「ここまでやったなら……もっと気持ちよくさせてくれ……!」
 ウーラオスはずいっと腰を突き出して卑猥な雄をアピールした。快楽に脈動して開いた鈴口から卑猥な涎を零す様を目と鼻の先で見せられ、バシャーモはごくりと唾を飲んでから、にんまり舌なめずり。
「ご希望通りオマエを気持ちよくさせてやっかぁー」
 空いた手でウーラオスの柱を握る。自身が炎タイプであってもはっきり判る火照りと彼の鼓動が直に手指に伝わってきた。そして根元から先端まで、隈なく扱いて突出した摩擦の快楽をウーラオスに味わわせる。そして引き続き雄の果実を、美味しくなれよと願いを込めつつ愛撫した。
「うお、おっ! おほぉっ! ちんぽ、気持ちいい、っぐぅ!」
 より大きく、硬く、臭く汚れて屈強な肉体以上の存在感を放つ雄の急所を手玉に取られ、ウーラオスは身を震わせながら強面を情けなく歪ませた。雄の表面に擦れる手指は、浮き立つ血管等の張りのある凹凸の他、雁首と張り出した肉傘で作られる、肉感の強い段差に引っ掛かる刺激を堪能する。口だけでなく本当に気持ちいいと体が主張して漏らす我慢汁は、都度雄柱に塗ってぬめる領域を増やすのに使われる。
「ぼーっと突っ立ってねーで、筋肉見せ付けたりして(オトコ)をアピールしてみろよ」
 バシャーモは目を細め、善がり続けるウーラオスに挑発を仕掛けた。まんまと乗ってしまい、以前バシャーモに教えてもらったマッスルポーズの数々を、野太く喘ぎながら彼に見せ付ける。
「へへ、めっちゃ雄らしくてそそるぜぇ」
「あぁっ、俺、魅力的……うおぉっ!」
 その間も扱かれ続け、ポーズ中に不意に脈打って一瞬大きく筋張り、絶頂目掛けてじわりと汚れる雄をバシャーモに曝け出す。時に自らの臭い腋を嗅いだり、大股開きで大きく立派に汚れて艶めく男性器の全貌を晒しては、扱き続ける手諸共ねっとり糸を引かせて快楽に溺れている様を強調したり、バシャーモに嗅がれて強烈に蒸れて雄臭いとわざと言葉にされたり、卑猥に舐め回して雄の旨味が溶け込んだ塩分を摂取してから再び満遍なくぬめるまで扱かれて悶えながら搾られたり。時に後ろを向いて隆々と広がる背板や丸く引き締まった大臀筋を見せつつ、背後からバシャーモに裏玉を堪能されながら扱かれたりもした。


「もっと……卑猥な俺……見せ付けたい……お、お、おぉっ!」
 予告なしに襲う、やがて仔を漏らす雄柱が発した芯に響く怒張の快い衝撃に翻弄され、隆々な肉体を震わせて太い嬌声を大きな喉仏から零す。魅力を引き立ててくれるバシャーモとの行為に魅了され、与えられる性感に耐え続けて限界まで雄々しく膨れた末に訪れる生命の暴発を、ウーラオス自ら熱望するようになっていた。
「そうかー。でもわりー、ちょっと試してみてえコトがあってよー」
「試して……?」
 てっきりこれまでの性処理と同様、バシャーモの手によってイかされて白い弧を描くと思い込んでいただけに、何の事だか全く想像が付かずにいた。そんな彼の目の前で、バシャーモは股間の剛毛を掻き分けた。紅色の口が、ぬらりと潤いながら開いて奥へと続く空間を見せ付ける。ウーラオスに曝け出すのは、これが初めてだった。
「え、お前、ちんぽ……!?」
 当たり前にあると思っていた雄の証が存在しない事に、ウーラオスは困惑を隠せない。
「へっへ! 実はねーんだよなー」
 笑いながら穴を濡らす物を指に絡めて糸を引かせた。冠羽や鶏冠の長さから雄である事は間違いないが、遺伝の影響で多くの鳥ポケモンと同様の総排泄孔を有していたのだ。
「でよー、ココにオマエのチンポを挿れてナカでイってほしいんだよなー」
「貴様の……中……?」
 ウーラオスは意を解せず首を傾げる。それを見たバシャーモが大笑い。
「オマエ交尾も知らねーのかよ!? 体から飛び出したそのチンポが何のためにあるのか考えたこともねーなんてな! 鍛錬ばっかじゃダメだぜ」
「……知らん物は知らん……!」
 機嫌を損ねそうになったウーラオスを、咄嗟に宥めるバシャーモ。
「あーわりわり。知らねーならヤってみるが勝ちだぜ、クマさんよ!」
 少し萎えた雄をねっとり扱いて、再び雄々しく屹立させる。そして近くの巨木に、ウーラオスの背中を押し付けた。
「……後悔させねーから」
 普段から剽軽な彼が、珍しく見せた真剣な表情。それを目の当たりにして、流されるまま頷く事しか出来なかった。
「じゃ、いくぜー」
 熊柱を掴んだまま距離を縮め、亀頭を開いた口に押し付ける。炎タイプの高い体温が、薄い皮膚に強く伝わる。更に押し付けると、亀頭は持ち主の意志に関係なく淫肉を抉じ開けさせられ、初めての時を刻み始める。
「うおおっ! な、何だこれは……!?」
 亀頭全体を包み込む熱く柔らかな肉に快感をもたらされるも、ウーラオスは些か戸惑いが抜けない様子。
「こーゆーときは考えんな。チンポに素直に気持ちよくなっちまえ」
 一緒の身長であるが故に同じ高さに迫る雄鳥の顔が、ニッと笑った。バシャーモが主導してウーラオスの雄臭い突出をより奥へと沈めていく。生命の漲りに内を抉じ開けられつつ埋め込まれ、擦れる部分が心地よくジンジン疼くのをバシャーモは感じていた。そしてウーラオスも敏感な亀頭で奥を拡げさせられながら徐々に太い幹も熱く包まれ、擦れる感覚に喘ぎを零し、気持ちよく脈動して初めて胎内を太く押し拡げ、体液を漏らす瞬間を迎えた。そして彼らの鼠径部が触れ合い、二匹の屈強な肉体が出会って以来最も密着する。羽毛と獣毛の異なる触感、体格や体温の差異、混ざり合う汗に蒸れたそれぞれの体臭、相互に伝わり合う心拍。咥え込み、包み込まれるそれぞれの心地よさの中で、初めて強く体感するお互いの存在。胸の高鳴りを感じながら、無言で見つめ合った。
 そしてバシャーモが徐に始める抽送。ぐちゅり、ぐちゅりと粘つく音を立てながら、鳥膣が能動的に雄々しく立派な初心者を至高の快楽の一時へとエスコートする。
「うっ……お、おぉっ!」
 満遍なく襲い来る雄柱への摩擦と、雁首の段差が肉壁の凹凸に引っ掛かる刺激に、ウーラオスは身震いして厳つい顔立ちを心地よく歪めた。動く事でより気持ちよく鮮明に感じられるウーラオスを、バシャーモも息を荒げて更にねっとりした腰つきで求める。雄同士ながら一分の無駄もない初めてのみだらな行為。その快楽に病み付きになるのに多くの時間は要しなかった。
 雄々しく野太い嬌声を混じり合わせ、抱擁を交わしながらバシャーモがウーラオスを至高の快楽に穢そうと、少し体重を掛けつつ搾りを促し続ける。ウーラオスも肉襞に責められる快楽を雄柱で受け止めて喜び、締め付けも相まって脈動に伴う搾られの感覚を強く味わいながら、胎内でより雄々しく膨れて奥へ伸びていくのを感じ取る。
 バシャーモはマッチョでありながら細身で、一方のウーラオスは分厚い筋肉に覆われて太い。抱き合って相互に実感するこの体格の違いが巨大な男性器と締まりの強い鳥膣へと間接的に繋がって、のめり込む程の交尾の快楽をもたらす……そんな理屈っぽい事など、今の彼らには頗るどうでもいい。
「うおっ、シャモッ! 気持ちいい、気持ちいい……!」
「クマ坊のでっ、めっちゃマンコ、やべえっ!」
 求めるその瞬間に向けて結合をより強固にして、彼らは更に雄臭く汚れる。淫らに悶えながら、ウーラオスの腰を浮かせて初めて交尾に臨んでいる事実を強調させたり、フェロモンで強く臭う腋を嗅ぎ合って種族の違いを味わったり。ウーラオスは本来の目的を理解し切れぬままに、鳥膣に弄ばれて太くぬめった雄柱に興奮を掻き立てられ、その結合部から彼らの体液が溢れて滴る様子に更に昂る物を覚える。結合部から溢れる体液は、ウーラオスの雁首の部分で掻き出された物だとバシャーモが教え込むと、これまで知らなかった機能に驚き、喜び、ドクンと膨張の刹那を迎えた。ウーラオスの硬く変貌した陰嚢や、まぐわいで気持ちよく汚れた性器を満遍なく触って、性器と体液それぞれの臭いを混ぜ合わせた、ウーラオスが穢れつつある記念すべき交尾臭を味わったり。彼らが存分に堪能する中でも、その時は確実に迫ってきていた。
「駄目、だっ! 限界が……!」
 交尾中に膨らみ続けてきた雄の証が、亀頭を中心に更に大きく、エラがより張り出すのを膣内の刺激で自覚する。バシャーモに手コキでイかされる寸前にも視認出来た漲る変化だった。これでより胎内の古い体液を掻き出しやすくなっただろうか。今バシャーモに触られた、すっかりカチカチでぬめる金玉から蟻の門渡りにかけて疼き始めたのも、迫り来る絶頂を後押しする。
「オレもっ! トロトロで、トびそうっ!」
 ウーラオスをリードし続けて、胎内で戯れ合った鳥膣は、無性に収縮したいと訴えている。体は雄なのに、欲求は雌みたいな心地よい矛盾が、バシャーモを甘く鳴かせていた。
「最後は……猛烈に、気持ちよく……うおぉっ!」
「そう、だなあっ!」
 胎内で惚れ惚れする程の大きさを以て脈動して、雄熊が雄鳥に、尿道を通るだけでも気持ちいい程に濃度の増した体液を搾られる。強く噛み合った結合部から溢れる粘りを手に塗り付けて舐めると、塩気と雄臭、鳥臭に混じって微かに苦く、鼻を突く物を感じた。バシャーモも舐めて、確信する。熟した証の強い臭いを放つ益荒雄の果実から既に種が動き始めて、ドロリと漏れた中にも既に混ざっているかもしれない。赤い細腰をやおら引いて、隆々として汚れた柱が抜かれ、鳥穴とは太い淫糸で結ばれる。熟れた貪欲なラビアに寵愛され続けて立派に成長を遂げた姿に、ウーラオスは実際に惚れ惚れして更なる穢れに近づく体液を鈴口から飛ばす。どうにか童貞の体を保って白い奔流は押し留めながらも、纏う咬合のぬめりの味や臭いから、バシャーモによって既に種付けへと導かれているであろう微妙でパワフルな瀬戸際の雄の卑猥さが、結合を一時的に解かれた闘熊に凝縮されていた。童貞卒業が確たる物となった雄熊は、暴発を控えて最高の快感を味わいたかった。バシャーモは再び熊柱を淫口で飲み込み、顔を近づける。ウーラオスは上嘴を甘噛みした。
「あっ! うおーぉっ!」
 バシャーモの逞しい細身がぞくりと戦慄き、胎内の締め付けが強まる。彼にとって嘴は性感帯であると、ウーラオスには密かに打ち明けていた。仕返しとばかりにバシャーモは、ウーラオスの両乳首を爪弾いた。
「べあ、あくっ!」
 嘴を刺激しつつ、ドクンと体内で危険な脈動が起こったのを実感する。心地よい圧を伴い、鳥膣に吸い付かれながら高射砲は記念すべき至高の一発に向けて急激な膨張を始めた。
「ふご、ふごおっ!!」
「クマチンポやべっ! もたねえ!!」
 それぞれに劇的な凹の収縮と凸の膨張が引き起こされるも、凸の膨張が打ち勝って、奥の障壁が打ち破られるような感覚を伴いながら、僅かに露出するぬめった根元がじわじわ太く、その表面を走る太い血管が一層丸く明瞭に浮き上がるにつれ、これまで手で導かれて迎えていた最も大きく力強い我慢の限界が、鳥壺の中で起きようとしている事が実感される。爪弾かれる乳首は軽く硬く突出して快楽を発し、股間に丸い輪郭を目立たせて交わる汚れを纏いつつ硬く締まった黒く臭い果実からむずむず心地よく穢れの種が押し出され、前立腺を心地よく満たした末に出口を押し破って尿道へと流れ込み、その衝撃と同時にウーラオスは反射的に腰を突き出す。これまで搾られた物とは桁違いの濃度によって、最も長い距離となる突端内の移動と拡張、視認可能な根元から視認出来ないバシャーモの領域に突入した事を甘く疼く尿道から実感する。敏感な表面が突っ張る程に大きく開いた肉傘が奥の大きな襞に引っ掛かり、巨砲は情熱的な鳥膣にしっかり捕らえられる。屈強で初心な雄を心地よく搾り続けて雄々しく力強い童貞卒業の瞬間へと導いたバシャーモに感謝を覚える中、一生に一度の危険なお漏らしが、最奥を突き抜けんばかりに漲って初の実戦に臨む巨砲の発射口を押し広げ、バシャーモと重なり合ったウーラオスの体内を脱して膣内に顔を出した。
「ぐふぉぉぉぉーーーーっ!!!」
「あ、だめ、あああぁぁぁぁ!!!」
 昇天しそうな恍惚が身を切り、彼らの結合が最も強固になった瞬間、バシャーモの最奥でウーラオスが溜めに溜めた一発をパワフルに撃ち込み、バシャーモの身が浮かんばかりの衝撃に打ち震える。吸い取ろうと収縮して凹の快楽を放つと同時に、ドロリと染み出す熱。最初に白く結合部から溢れ出したそれは、屈強で初心な雄を汚した存在が雄である事の最たる証だった。それは途端に、胎内を満たして逆流する白いエキスが溢れた瞬間に上塗りされてしまう。腹筋が浮き立つ赤く細めの腹部が、少し丸く膨れ出す。
「おっ、おぉぉ……熱くて、ドクドクして、気持ちいい……」
 手淫よりも遥かに強い性感を伴った初体験を遂げ、雄臭く濡れた屈強な肉体が喜ぶ。
「すげーたくさん出しやがって……どんだけヌいてなかったんだよっ……!」
 大量に注がれ続ける膨満感に、童貞を捨てたばかりの雄々しい律動が響く。真下に目を遣ると、胸筋と腹筋がそれぞれ向かい合い、その下の鼠径部は斑状に相互の毛が付着して激しく密着した証拠を残し、更に下では黒い凸と赤い凹による強固な結合が溢れ出した青臭い白に彩られていた。そして雄熊の黒袋も、その中で作られた白濁を主成分としてすっかり汚れていた。
「よかっただろ? コレが交尾だぜ」
「これが、交尾……癖になる気持ちよさだ……!」
 激烈に迸った怒涛の余韻に浸りながら、ウーラオスは多幸感に脳を支配されていた。初めての種付けを終え、胎内で萎んでいくのを感じ取ったバシャーモが、徐に結合を解く。肉襞との摩擦によって包皮を被せられた亀頭が白塗りで露になり、肉枷を解かれた熊茎は真下に垂れ下がって精の残渣が糸を引く。
「よかったな! これでオマエも一丁前の雄だ。ムラムラしたときゃあ、ガマンしねーでシコったりハメたりしてヌいたほうが、逆に集中できたりするかんな」
「そうか……ならば次から俺も我慢せずに発散してみよう」
「さっきみてーに都合がついたらオレがハメに行ってやっからよ、とりあえずオレを呼べよな!」
「ああ、そうする」
 すっかり雄の快楽を知った朗々たる眼の幼馴染に、バシャーモはニヤリと笑みを浮かべる。近日試合がある事を告げ、森を去って行く。無言で木々に消え行く後姿を見つめてから、その試合で打倒すべく再度鍛錬に励み出した。交尾を遂げても有り余る体力に、絶頂を経た一切の曇りなき精神状態が相乗して鍛錬は非常に捗り、時が経つのを忘れる程であった。


「ほらよ、コレでいいんだよな?」
 人気のない建物の陰で零さぬよう窄めていた鳥穴を開き、自身の物も混ざっているであろう入口もとい出口付近に溜まった白濁を排出し、奥に注がれた純然たるウーラオスの遺伝子を、流れ出す穴から密閉容器に入れていく。
「上等だよ♪ しかし中に出されたままよくここまで来たね。どれだけ締まりが強いか、近いうちに試させてよ」
「わりーけど、アイツとの先約があっから、また今度な。ほら、お目当てのブツだぜ」
 蓋をしっかり閉め、白濁の入った容器を渡す。その相手は、勿論Swift。バシャーモも彼と友好関係を築く者の一匹であり、Swiftを警戒して姿を見せないウーラオスから精液を搾る役目を任されていた。勿論作戦は大成功。鞄に容器を仕舞うと、後でお礼をすると朗らかな笑みを浮かべた。
 Swiftのスマホロトムから突如鳴り出す着信音。バシャーモから距離を取って電話に出る。
「――ああ、チャンスは今だね。わかった、ありがとう♪」
 手短に返事をして、通話を切る。バシャーモと挨拶を交わしてから、Swiftは足早にある場所へと向かった。



 目の前で不貞腐れた表情をされ、苦笑を浮かべるSwift。その表情の主は、先日の件で腸が煮えくり返っていたフーパ。
「ごめんごめん、さすがに昨日はやり過ぎたよ。ほら、動画は消したからさ」
 スマホロトムの写真ライブラリを開き、一覧に例の動画が存在しない事をフーパに見せ付ける。それでも彼は懐疑的に息を吐く。
「……まだ何かご不満かい?」
 飄々とした雰囲気から一変、怪しい眼光を放ち、静かながら威圧的な声色でフーパに迫る。放たれる悍ましいオーラに、フーパは背筋を凍らせた。どうせどこかにバックアップしているだなんて言おうものなら身に危険が及ぶ。本能的にそう察知していた。
「……い、いや、不満なんて、ないゾ……」
 声を震わせないようにするのが精一杯だった。どんな理不尽な目に遭おうと、フーパ如きが勝てる相手ではない事は直感的に気付いてはいた。
 乱れた性事情以外にも、この界隈には賄賂等による八百長や恣意性の疑われるバランス調整等、闇深い噂話は枚挙に暇がない。無論全て噂の域を出ないが、強ち嘘でもないだろうとフーパのみならず多くの選手が胸に抱いていた。そしてそれらに、目の前の奇妙な存在が首謀者と近しいポジションで大いに関わっているのではないかと、フーパは感付いていた。しかしその疑念はSwiftとて把握しており、無論自ら真実を語る訳もなく、右腕という名の下僕を、あらゆる手筈を以て巧みに掌に転がしていた。先日の脅迫めいたメッセージにそれは色濃く滲み出ていたが、スクショ不可な細工が施されていた上にメッセージは既に消され、一切の証拠は残されていなかった。彼のバックに運営に関わる大きな存在が付いているのだろうが、決定的な証拠を与える隙も見せず、それ以上の追及も許さぬ歯がゆさに、フーパは幾度となく襲われていた。そして今も――
「それじゃあ僕をいじげんホールで転送するんだ。もしヘマなんてしたら……」
「最後まで言わなくてもわかってるゾ。どこに転送すればいいんだ?」
「おそらくチャンスは二度もない。一回きりしか言わないからよく聞くんだ。いいね――」
 フーパはSwiftの指示した場所に通じるいじげんホールを目の前に開いた。Swiftは舌なめずりをしつつ、穴へと入って行く。


 通じていたのは、寮内のとある部屋。カーテンを閉め切り、常夜灯が仄かに室内を照らしていた。寝床に目を遣ると、侵入者に気付く気配もなくすやすや寝息を立てる者がいた。
「やっとこのときが来た……失敗したらたぶん、次はないな」
 Swiftは無防備に眠る標的(ターゲット)を黄色い眼で捉え、固唾を呑んだ。


Main dish: ???



 ――次の朝。水平線から朝日が覗き出した時分に、グラウンドのトラックを全速力で駆ける者がいた。黒地に渦を巻く白がアクセントになる額の長い角、鮮やかな彩色の長い鬣や尻尾、棚引く桃色の足毛が特徴的な新参の選手。流麗なフォームで走る白い肉体は朝日に照らされ、靡く鬣や足毛が煌めき、体の周囲はオーロラの如き不思議な光が覆っていた。
 トラック中に設置された的に近づくと、体から眩い光を放つ。その縁を的に当てるなり、走行速度は見る間に上昇した。そしてランダムに置かれた的に通常攻撃を次々と命中させて破壊する。比較的頑丈な材質であるにも関わらず、それらは全て粉々になっていた。そして一切減速せずにコーナーを曲がり切り、そのまま直線を走り抜ける。
「――な、なんだ!?」
 風に乗っていた肉体が、突如一切の自由を奪われる。うねるようなサイコパワーが直接脳に響くような感覚。彼はそれに覚えがあった。
「何をするヤド……!!?」
 サイコパワーの放たれる方向に目を向けるも、その姿に思わず目を疑った。
「キ、キサマ、何者だ!?」
「おやおや、君とは初めましてだったね♪」
 サイコパワーを放っていたのは、灰色の体のルガルガン。そう、Swiftである。
「このところ無類の強さを誇って調子に乗ってる新入りがいると聞いてね、この目で確かめたくなったんだ。そう、君のことだよ、ギャロップ君」
 Swiftは目を細めてほくそ笑む。ビロードの毛並みが特徴的なガラルの姿のギャロップは、今我が身に起きている事を理解出来ずに瞠目するばかりだった。



 ――それは三日前、一週間ぶりに寮を訪れたSwiftが、フーパを捕まえて流行りの話題について訊ねる所まで遡る。
「ところで、それ(流行曲)とは別に今流行りの話題があるみたいだけど」
「オマエ、また何かたくらんでるだろ……」
 フーパは長い嘆息を零した。事ある毎にSwiftの「企み」に付き合わされた身として、ろくでもない目に遭うであろう事は容易に想像が付いた。
「今みんなが話してる『ガラルギャロップ』ってなんだい? 一週間でこれほど話題になってるから、僕も気になってね」
「ああ……」
 途端に渋い顔をするフーパ。話題にする者の大半と全く同じような反応ではあった。
「オマエが最後に来た後すぐにユナイトに来た選手だけどな、走り出したら止められないし、ヤツが通り過ぎたと思ったらコッチがやられちゃう。あんなのマトモに戦えないゾ」
「へえ、面白そうじゃん♪」
「オマエならそう言うと思ったゾ……」
 フーパは苦笑い。そして同時に嫌な予感が当たる気配がした。Swiftは目を細めて舌なめずり。
「もっと詳しく教えてくれるかな?」
「……教えるより、見たほうが早いと思うゾ……」
 溜息混じりにスマホロトムの音楽アプリを閉じ、いじげんホールを作り出して二匹はその中へ入った。出て来た先はテイア蒼空遺跡に設けられた観客席の一角。人間を交えたランクマッチの真っ最中だった。
「ほら、アレがガラルギャロップ」
 フーパが指差した先には、鮮やかな彩色の長い鬣を靡かせながら自陣敵陣問わず縦横無尽にフィールドを駆け回る駿馬。その体はオーロラ状の何かに包み込まれていた。
「アレがヤツの特性。スピードに乗ると減速エリアも効かないし、うたうやくろまなもなんのその。一度ああなったらマトモにヤツを捕まえられるのはヤドランかリザードンのユナイト技だけだゾ」
 フーパの説明中にも、カビゴンのヘビーボンバーやサーナイトのマジカルシャインを諸共せず、逆にスピードに乗って高火力のマジカルシャインで返り討ちにするギャロップ。そのまま敵陣中央エリアに乗り込んでアギルダーやシュバルゴを倒し、強化の余地をも奪って走り去る。彼が参戦して以来、フーパもこの一週間で何度もこのような目に遭った事が窺い知れた。
 残り二分を切り、ラストスパート。ステージ中央のレジェンドピットに現れたレックウザをどちらが倒すかで鍔迫り合いが行われる中でも、ギャロップはレジェンドピットの周囲を走り続けている。すると相手チームのポケモン達が集まった所目掛けてユナイト技を発動。三角形のフィールドに囚われたポケモン達に猛烈な早業を仕掛け、一網打尽に。これが決定打となってレックウザ争奪戦に打ち勝ち、継続火力の高いチームメイトに討伐を任せてレックウザの加護を受けた事を確認するや否や、俊足で相手ゴールにまっしぐら。相手チームの復活よりも早く辿り着くなり、無防備なゴールに渾身の百点を叩き込む。結局相手チームは白旗を掲げ、制限時間の十分を待たずしてギャロップ側のチームが勝利を飾った。
「な? 一度走り出すと約束された勝利に向かって走り続けるんだゾ……」
「なるほどね~」
 勝利の喜びに鬣を靡かせながらステージを全力で駆け回るギャロップを目で追うSwift。にんまり笑う口元から牙が覗いた。
「なあ、オマエまさか……」
「おや、わかってるじゃないか。さすがは僕の右腕。調子に乗りに乗りまくってるそのガラルギャロップとやらを『理解(わか)らせて』やるのさ♪ ――」



「キ、キサマ、ヤドランのユナイト技を使うとは、ただのルガルガンではないだろう! キサマ何者だ! なぜその技を使える!?」
 引き続きテレキネシスで拘束を続ける怪しきルガルガンに声を荒げた。Swiftは尚もほくそ笑む。
「君のお望み通りに名乗ろうか。僕はSwift。こう見えて一応(、、)清掃員」
 入構許可証を見せびらかし、得意気に鼻息を吹いた。
「選手としてこの寮に住むようになった以上、君も一度は僕の『世話』になるはずさ」
 怪しく光る黄色い瞳に、ギャロップのビロードの毛並みが逆立った。彼の本能が、これ以上関わるなと警鐘を鳴らす。
「ボクから聞いておいて悪いが、用事を思い出した。失礼するよ」
 そう言い捨てて、こうそくいどうで加速しつつ走り去る。特性のパステルベールも復活し、これならどうにか逃げ切れる……
「!?」
 並走する存在に、ギャロップは愕然とした。
「ざんねーん♪」
 Swiftが瞬く間に追い付いていた。彼の使用するこうそくいどうは、技の効果からドードリオの物だと即座に分かった。
「そんな技まで、なぜ使えるんだ!?」
「それは後で教えてあげるよ♪」
 満面の笑みを浮かべた途端に、灰色の体から砂が撒き上がる。それはパステルベールによるシールドをも貫通し、肉体を直接蝕む。
「くっ、これは、バンギラスの……!」
 細かい砂が目に入り、想定外の効果ではあるが視界をも奪う。走りのフォームが乱れ始める。Swiftは頭から伸びる岩に邪悪なオーラを纏い始める。黒々とした不気味な一撃は、ギャロップに繰り出された!
「ぐわあっ!!」
 その一撃は確実に急所を捉え、パステルベールをいとも容易く打ち砕き、体力を大きく削った。ギャロップは衝撃で転倒し、トラックに砂煙が上がる。
「つぅ……! これは、あんこく、きょうだ……! どうして、ボクの苦手な技を、次々と……!」
 転倒に伴う打撲と擦り傷の痛みに呻き、よろけつつも立ち上がる。砂煙は朝の冷風に流され、目の前に佇む灰色のルガルガンが現れた。その黒く輝く目が見えた瞬間、ギャロップの背筋が凍った。途端に周囲を黒いオーラが障壁と化して取り囲む。
「これはまさか……!」
 ギャロップは体当たりで突破を試みるも黒い障壁はびくともせず、逆に跳ね返されてしまう。
「そう、今の君が一番食らいたくない技、くろいまなざし。違うかい?」
 感情を逆撫でするような言動に、ギャロップは歯を鳴らした。障壁が取り囲む空間は徐々に狭まり、身動きが取れなくなる。
「くっ……! ボクを捕まえて、いったい何をするつもりなんだ!?」
「何をって、それはもちろん、イイコトに決まってるじゃないか」
 Swiftは不気味に笑いながら、二本足で立ち始める。これまでは普段のたそがれの姿だったが、今はまよなかの姿に変化していた。何も知らないギャロップは目を丸くする。
「自在に変身できるとは……もしやキサマ、メタモンか!?」
「うーん、みんなにそう思われてるみたいだけど、ちょっと違うんだよね」
 障壁の影響を受けないSwiftは、即座にギャロップの懐へと潜り込む。抵抗出来ないのをいい事に、あえてあんこくきょうだで狙わなかった目立つ急所に手を触れる。ギャロップの身が強張り、甲高い声が漏れた。
「キサマ! なんてところを!」
「言ったじゃないか、イイコトするって」
 周囲の白い毛並みによって一層存在感が引き立てられる、黒々と鈍く輝く雄の大袋は、中に収まって輪郭を浮き立たせる二個の長球のずっしりとした重さを主張する。真下から立ち上る甘い匂いを鼻が拾い、反射的に上顎を捲り上げて歯茎を剥き出してしまう。途端に熱を持ち始めるギャロップの肉体。愛撫される大玉は、獣臭を放ちながら快感を生み出す急所となる。
「あっ、や、やめろっ! くぅ……!」
 雄々しくも美しい馬面が歪み、息が乱れる。袋の前方に居座る太い黒鞘が、反応を見せてじわりと膨れる。鞘を膨らませた本体が露出して、これまた黒々と伸びていく。馬っ気をSwiftにまじまじ凝視され、羞恥に顔を赤くするギャロップだが、その羞恥が大きな海綿体への血潮の送り込みを更に促し、鞘で醸された臭いを放ちつつ膨張を速めた。ある程度大きくなると先の方が更に伸び、その境目に環状の隆起を作る。そして先端は一回り太い亀頭が目立ち、文字通りの馬並みが漲る血潮の力で上を向き、自身の腹に当たる。
「お~これが君のチンコか、黒くて立派だねえ♪」
 大きな掌で触れると黒い表面の硬さと熱が伝わり、ギャロップは触られる刺激で反射的に躍動して、そのパワーをSwiftの手に伝える。
「や、やめろ! 気持ち……ヒヒィ!」
 Swiftに両手で黒い巨根を撫でられ、時に扱かれてもたらされる雄の刺激に、ギャロップは甘い(いなな)きを交え出す。体力を大きく削られた事による高まった生殖本能で普段以上に力強い勃起となり、Swiftのフェロモンによる作用と手淫で気持ちよくなる程、黒の障壁に囚われた白馬はより黒々と立派に目立ち、黒の領域で病み付きになる押し出しの脈動が力強く行われる。
「あぁっ! ボクの、黒チンポっ! 濡れちゃうぅ! ムヒィッ!」
 馬体を引き締める白い筋肉が快楽に強張り、負けじと黒い馬根も表面に血管と筋を浮き立たせて張り詰め、先端の亀頭が広がって丸く開いた出口が周囲よりも少し突出した瞬間、ドロッと透明な粘液が溢れ出し、黒々と力強い雄のお漏らしをSwiftに曝け出してしまう。漏れたての馬蜜をSwiftがしたでなめる攻撃を以て掬い取ると、気持ちいい痺れが亀頭と尿道突起から発せられ、ビロードの毛並みを逆立たせては更なる立派な勃起と艶めく漏出を促進させる。
「なんで、こんなにっ! 気持ちい……ヒヒィッ!」
 端整な馬面に屈辱を滲ませつつも快楽に頬を染めて呼吸を乱し、筋肉の塊たる臀部に彩りを添える大輪の菊は断続的な窄まりを見せ、臀部の下で存在感を高める大きな黒玉は性感を受けて収縮し、弾力のある丸みを帯びて着々と仔馬を作る牡馬になっていく様を主張する変化を遂げていく。
「君がよがってでっかいチンコが気持ちよく本気になっていくところ、僕に見せ付けてよ♪」
 扱きつつ漏れた馬汁を黒馬に塗り広げて艶めかせ、時折口に滴らせて生まれ行く生命の兆したる雄臭と塩味を堪能するSwift。汚れた手で睾丸を愛撫してはその弾力を楽しみ、手から糸を引く程にぬめりで汚して、鈍かった輝きは朝日を拾って煌めく程となっていた。
 Swiftの眼前で嬌声を零しながら徐々に大きく広がるギャロップの先端は、馬っ気に苛まれた末に最も黒く輝く種牡馬となる瞬間が迫るのを主張する。止め処なく馬蜜を搾り出す尿道突起は、舌先で弄ぶのにお誂え向きな突出具合で、Swiftは実際に舌先で責めては乱れた嘶きを耳で楽しみ、黒く集中した血潮の熱で蒸れた臭気を放っては徐々に膨れて更に蜜を漏らす様を嗜んだ。


「さて、前菜はこの辺にしようか」
 Swiftはギャロップへの手淫を止め、空間に巨大なリングを作り出す。そこに両手を入れて取り出したのは、台に固定された透明な材質の大きな物体。よく見ると中は空洞になっていた。ギャロップはそれを見るや、その正体を即座に理解した。
「い、嫌だ! そんな、はしたないモノっ!」
 拒否しようと藻掻くも、黒く囚われて動けない上にSwiftのテレキネシスで体まで操られる。上半身を持ち上げられ、Swiftに弄ばれてぬめりを纏った立派な黒馬が朝日に曝け出される。そして例の物体は徐々に黒馬に迫り、開けられた穴が広く張り出した亀頭に押し当てられる。漲る血潮の硬さが打ち勝って穴を拡げつつ、黒々とした突出は徐々に透明で弾力のある物体に埋め込まれていく。
「ボクの、初めてがっ、こんなモノごときにっ……ヒヒィ!」
 ところが適温に温められた物体は締め付けと潤った摩擦による快感を生み出し、拒絶するギャロップを意に反して甘く嘶かせる。物体越しにも黒く立派な突出は明瞭に視認出来て、初めて中で刹那に太くなって危険な我慢汁を搾り出される瞬間さえ映った。
 根元まで呑み込まれ、浮かされていた上半身はサイコパワーを以てその物体に乗駕(じょうが)させられた。ギャロップはSwift謹製の擬牝台と否応なく交わらされてしまう。
「こんな姿、晒すなんて……屈辱だ……ムヒッ!?」
 歯を鳴らすのすら許さない性感が、擬牝台から発せられる。内部はSwiftの意のままに操れる謎の技術が施されていた。牡馬の形状そのままに拡げられた無生物的な壁が締め付けを強め、そこから圧の変化を与えてくる。本来は雌が与えてくれるだろう刺激を、巨根が全く動かずに受け続け、それは巨根全体に甘い疼きとして蓄積され続ける。意地でもギャロップは動かずに耐えるが、蓄積された刺激はやがて快感として作用し、歯を食いしばって震えながら、中でじわりじわりと膨張を始め、そして耐え切れずに黒々と硬さを得て、太く長く筋張って中を拡げ、尿道を膨らませてより奥へ伸びた出口から濃汁を搾られ、種牡馬へと確実に近づく一瞬の快楽に身悶える。種を作る牡馬の実は、快楽に作用されて更に硬く、中心の谷間を明瞭にして雄らしい形状を見せつつ、その大きさと重さは変わらず主張して、搾られる黒馬の快感と同時に黒の実はむず痒さを発してギャロップに訴える。
「こんな、ことでっ……堕ちて、たまるかっ……ムフゥッ!」
 それでも強情な持ち主の気高さが、気持ちいい体の訴えに背を向け続ける。Swiftは目を輝かせ、涎を垂らしながらその光景を楽しんでいた。
 内部の刺激に奥へと吸引する圧の変化を加え、それでもギャロップは必死に耐え続け、その反動で黒く大きく気持ちいい牡馬になって擬牝台に搾られ、その繰り返しで黒の体積は徐々に大きくなっていく。その分もたらされる刺激も強まり、足は震え出す。
「思ったよりも耐えるなあ……その方が僕も面白いけど♪」
 Swiftは攻め手を緩めず、ギャロップはスピード型ながら高めの耐久と気高いプライドに任せて死に物狂いで耐える余り、白い馬体は滲んだ汗に濡れて臭いを放ち、鼻水と涎を垂らして、鬣を靡かせて駆け回る駿馬とは似ても似つかない醜態を晒している事など微塵も気付いていない。
「ムフゥゥゥッ!」
 何度迎えたか知れない牡馬の搾取の衝動に、ギャロップは大きく戦慄いた。黒い睾丸は差し迫る限界に分厚く硬い皮となって中身を押し上げ、黒い根元から会陰にかけて無視出来ないざわめきを起こしていた。
「もう、無理ぃ……!」
 ギャロップは初めて自発的に腰を引き、擬牝台から太く隆々として汚れた黒が露出すると同時に、擬牝台との間に何本もの粘ついた糸を引く。動いて初めて実感する、フレアと呼ばれる亀頭の顕著な増大。種付け寸前になって初めて開く、種牡馬たる快楽の花と呼ぶに相応しい変化だった。大輪の花弁が取り囲む壁の凹凸と刺激的な摩擦を生じさせ、会陰の気持ちいいざわめきを増大させてギャロップを快楽に苛める。そして引いた腰を、今度は一気に奥まで突いた。
「ムヒィッ! もう、でるぅっ!!」
 黒々としたフレアが内部を押し拡げながら突き進み、限界まで太く長く筋張った馬砲が擦れる刺激は、必死に漏らすまいとプライド一つで抗おうにも敵わずに、時間を掛けて仕上がっていった駿馬を種牡馬たらしめるに十分だった。擬牝台を犯す馬砲は乗駕する白く筋肉質な馬体以上に巨いなる存在感を放ち、その根元で堰き止め続けた無数の子供達が、雌を模った空間で競争すべく前立腺を押し破る。ギャロップにとっても初めての大きさを誇る種牡砲。その中を突き抜ける猛烈な刺激は未曾有の多幸感をもたらし、最も奥まで伸びて咲き誇る黒い雄花の中心に目一杯開いた噴射口が、短いながら雄蕊の如く伸び、次第に濁る濃厚な体液を最奥目掛けて搾り出す。
「イギ、ヒヒィィィーーーーーーーーーーーン!!!」
 爆発的な衝撃が体を駆け巡り、擬牝台を相手に初めて中で発砲する瞬間を迎える。白い子種は発砲の勢いで奥へ奥へと撃ち込まれ、大きく開いた雄花たる亀頭によって完全に塞がれて逆流せず、内部の黒と白は交じり合う事なく明瞭な境界を作る。我慢の抵抗の反動で大量に搾り出される種汁は忽ち内部を満たし、奥で下向きに開いた空間に達するなり流下して、下に置かれた容器にドバドバと音を立てつつ溜まっていく。
「おやおや、こんな物体相手に気持ちよくなっちゃって、こんなにたっぷり射精()しちゃうなんて♪」
 羞恥を煽るSwiftの言葉を浴び、ギャロップは無言で(ふる)えた。それでも快楽にプライドが屈した末の初めての種付けの衝動は治まらず、下の容器を確実に満たしていく。手を伸ばしてギャロップの白濁を掌に溜め、それを舐めて堪能するSwift。独特の苦味と青臭さの中に甘じょっぱさも感じる、雄の味わい。
 白濁の流量は徐々に減少し、精を放ち続けた種牡砲の根元から気持ちいい異物感が強まるのを覚えるギャロップ。それは長い尿道を拡げつつ押し出され、馬体を戦慄かせて尿道突起からブリュッとジェル状に搾り出された。それは種付けが完了した証でもある膠様物(こうようぶつ)で、隙間を塞いで精液の逆流を防止する役割を果たすも、反対側が開放されているためにこの空間では意味を成さない。快楽のピークが過ぎ去って、体の火照りは蒸発した汗に奪われて朝の空気に逃げて行く。それは精を放った黒馬の勢いを失わせ、熱く酔った脳を途端に冷まさせる。
「とんだ目に遭ってしまった……」
 ギャロップは意図せず乱れた現実を突き付けられ、身を震わせる。このまま火照っていた方がまだ楽なのかもしれない。画になるねえ、とSwiftは目を細めた。


 乗駕させられたまま未だ動けない白馬の腰回りに、突如ずっしり重さを感じる。何事かと振り向いたギャロップは仰天した。
「ギ、ギャロップ!?」
 腰に圧し掛かっていたのは灰色のくすんだ色合いと黄色い瞳が特徴的なガラルギャロップ。
「へへっ、いい反応するねえ♪」
 その声色と口調から、正体がSwiftと理解するまで時間は要しなかった。
「君の遺伝子、拝借させてもらったよ」
「ボ、ボクの遺伝子を!? どういうことだ!」
 Swiftは一旦乗駕を止め、擬牝台の真下に前足を潜り込ませる。そして蹄に纏わせた白い汚れを見せ付けた。
「僕は精液中の精子から遺伝子を取り込んで、一時的にその生みの親の姿形になったり、持ってる能力をコピーしたりできるんだ」
「ってことは……ボクに襲いかかったときに使ってた技も……!」
「そう、君をぎゃふんと言わせるために、そうやって身に着けたのさ♪」
 蹄に纏わり付いた雄の汚れを舐め取りつつ、Swiftは不敵な笑みを浮かべた。ギャロップは渋い表情を浮かべ、溜息を吐く。
「どうしてボクがこんな目に……」
「思い上がるなよ」
 Swiftは突如、威圧的な口調で迫る。
「君がユナイトバトルで大暴れしてるせいで、不満を抱えてる選手たちが多いんだ。僕はあくまで、彼らの代弁者としてここにいるんだよ」
「そんなこと言ったって……ボクは最初からこの能力をもらってバトルしてきたんだ! 文句があるなら運営に物申してくれないか!」
「それじゃぁつまらないだろ?」
 Swiftは再度ギャロップに乗駕する。ちらりと覗く黒い馬芯を捉えるや、藍玉の眼は大きく開き、白い馬体は顫動を禁じ得ない。
「や、やめろ! その大きさで後ろは……!」
「怯えるその顔、すごくいいねえ♪」
 Swiftは恐怖に慄く様を堪能しつつ、先程まで種牡馬の快楽に窄まっていた菊の大輪に雄先を押し付ける。既に満遍なく纏うぬめりを感じ、菊花は忽ちうずうずしてくる。Swiftは徐に押し付けを強め、臀部は甘く疼き出す。そしてついに抉じ開けられる。
「ムヒイィッ!」
 痛みのみならず快感も同時に、白馬に襲い掛かる。コピー元と同じ大きさの巨根は容赦なく肉洞を拡張しつつ奥へと侵入し、肉襞との摩擦の刺激が両者に伝わって発奮を促す。
「あぁ……すごく締まって、気持ちいいよ……!」
 牡馬の快楽を嗜み始めるSwift。ギャロップは牝馬の苦悶と快感に虐げられ、未だ擬牝台に包まれるオリジナルの巨根が、それを糧に血潮を再度海綿体に集め、雄の漲りを唆される。今の彼は繁殖牝馬であり、同時に種牡馬でもあった。
「これは……長くは、持たないねえ……!」
 根元まで挿入したSwiftが、甘く喜ぶ。
「こんなの、屈辱だっ……うぅっ!」
 前後同時に刺激され、歯を鳴らして目を濡らす。Swiftが腰を引き、粘液に濡れた太々しい黒が露になる。それを再び、奥へと突き入れた。
「ムヒィン!」
 ギャロップから放たれた嘶きは、苦痛よりも快楽が勝る。粘膜にSwiftの粘液中のフェロモンが作用して感度が高まる中、動きの大きな抽送によって腸壁越しに前立腺が刺激され、純然たる種牡馬とは異なる性感を得て、雌を模した物体に再度種付けせんばかりに膨れ上がり、一度伸び切った黒袋も硬く締まり始める。
「うぐうっ……!」
 巨大な馬柱に一気に集中する刺激は、Swiftの余裕を一気に削ぎ落とす。体内を拡張する一瞬の膨張によってギャロップの中に粘液を漏らす。それはまたもギャロップに作用して、擬牡馬に蹂躙される肉壁の感度を高める。歯を食いしばりながらSwiftが再度腰を引き、フレア状態に近づきつつある亀頭を中心に巨雄と擦れてギャロップは涙ながらに善がる。Swiftはまたも一気に奥へと突き入れた。
「ヒ、ヒイィィィン!」
「ぐう! 気持ちいい、たまらない!」
 絶頂が近づくにつれ、彼らの結合は強固な物となって強い刺激をもたらす。Swiftはギャロップの中で、ギャロップは擬牝台の中で、それぞれ太く筋張りながら亀頭を目一杯膨らませてフレア状態になる。またも腰を引くSwiftはいよいよ足が震え、圧し掛かる身からその振動が伝わると同時に、先端のフレアが内襞を巻き込むような気持ちよさに歯を食いしばる。馬の雄花が腸壁に食い込み、ギャロップの前立腺をより直接的に虐めて、気持ちいい発破を促してきた。
「ムヒッ! おかしく、なるぅ!」
 ギャロップも目一杯雄を膨らませて黒い領域を再び増やし、二度目の種付けが確実な物となりゆく。そしてSwiftが、背を丸めて悶えつつ止めの一撃を繰り出した。
「ああぁっ! またっ! でるぅ!!」
「我慢、できない! イクッ!!」
 乱れた嬌声を上げ、二本の黒々とした巨雄は先端で大いに花開き、Swiftは牡馬として、ギャロップは雌雄同時に仔を成す圧の高まりを覚え、それは前立腺の決壊によって耐え難い性感を伴って尿道を駆け上がって行く。
「ムッヒイィィィィィン!!!」
 彼らは同時に嘶き、そして豪快に精を迸らせた。Swiftは確実に塞いで零さずギャロップに送り込み、ギャロップは先の種付けで搾り出した膠様物に阻まれて放たれた白濁が逆流し、種牡砲は初めて白を纏い出し、やがて溢れ出した。



 Swiftとの交尾で思考を真っ白に染められたギャロップだが、突如気配を察知して我に返る。見回すと、グラウンドでの朝練に臨もうとした数名の選手が遠巻きに見つめていた。
「あ、あ、ああっ……!」
 突如湧き上がる羞恥と屈辱に、顔は火傷せんばかりに熱を発する。
「キサマ! ボクを解き放て! なんて目に遭わせるんだ!」
「ふう……因果応報だね♪」
 怒りに打ち震えるギャロップとは対照的に、Swiftは溜まった欲を発散して清々しさに満ち溢れ、くすんだ色合いの鬣が吹き抜ける朝風に靡いた。
「朝っぱらからお盛んだゾ……」
 Swiftに(くみ)したフーパは、呆れながらも必死に股間を押さえていた。時が経つにつれ、野次馬の数は増える一方。
「あ……」
 思わず声を上げた一匹に、ギャロップは強い反応を見せた。
「キ、キュワちゃん!?」
 その正体は、チームメイトとして組む機会の多い寄生型ヒーラーのサポート型、キュワワーだった。彼女のフラワーヒールで得たシールドはパステルベール破壊阻止に一役買い、マジカルリーフで相手の動きを止めてヒットアンドアウェイを容易にし、相性は抜群だった。
「ギャ、ギャロップ、さん……」
 凛々しく駆け回る駿馬とは程遠い淫らな姿に、彼女は呆然とするばかり。
「ち、違うんだ、キュワちゃん……! これは、Swiftってやつのせいで……!」
 そう弁解する声は、情けなく震えていた。未だ交わったままのSwiftが面白半分に腰を押し付けると、ギャロップは発する嬌声を禁じ得なかった。
「……ご、ごめんなさい!」
 顔面蒼白のキュワワーは即座にグラウンドを出て行く。赤熱していた顔は、途端に凍り付いた。これは夢だ、夢なら覚めてくれと願うも、吹き抜ける朝風の冷たさが、無情にもその願いを打ち砕いた。
「キュ、キュワ、ちゃあん……!」
 ひと目も憚らず、ギャロップは情けない姿のまま号泣した。密かに抱いていた想いは、非情にもSwiftによって散り失せし泡沫となってしまったのだった――




“――違いの分かる(おとこ)、Swift”
 駄馬だ~駄~馬 駄馬だ~駄馬だ~♪


「……うーん、これは、『弱体化(ナーフ)された味』だね♪(ゴクン)」


 駄馬だ~~駄馬だ~~♪ ……ってオマエっ! なんで馬っ気になっ、ちょ、来るな! 来るなぁっ!!



 アッーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!



 キャスト


 Swift:Swift(カメオ出演)
 語り:(くろまな採用時の勝率五割未満で無駄に声がいい)ブラッキー
 BGM:(プクリンに依頼しに行ったらおうふくビンタを食らい、ラプラスに依頼しようとしたら、ほろびのうたをちらつかされたために仕方なく)フーパ
 ドリンクサーバ―(意味深):ガラルギャロップ


 企画、監督:Swift
 元ネタ:怒られたくないのでお察しください




 Mission complete: Galarian Rapidash


 程なくして運営からバランス調整が発表され、ガラルギャロップは大幅な弱体化を受ける事が確定した。一週間後に施行され、彼の天下は二週間。それでもかつての三日天下*8から羨望の眼差しが向けられたのは言うまでもない――




 Swiftの姿は、寮内のとある部屋にあった。女物のフレグランスが部屋の空気に漂い、豪華かつファンシーなインテリアがそこかしこを彩る、見るからにセレブリティ溢れるメスの居住空間。Swiftはスマホロトムの写真ライブラリを開き、大きなモニターに動画や写真を映し出す。それはガラルギャロップを含めた先日の出来事の一部始終を収めた物。ありありと映される雄達のあられもない痴態に、部屋の主は笑みを零した。
「流石はSwiftさん。いつも期待以上のクオリティで撮ってもらえて、感謝の限りよ」
「気に入ってもらえて光栄だよ♪ 僕にかかればこれくらい朝飯前さ」
 Swiftがじしんかじょうをお披露目している部屋の主とはサーナイト。彼女にはトレーナーがおり、レモータスタジアムを始めとしたユナイトバトルの試合会場及び運営組織の創設に大いに関わった投資家である。現在はユナイトバトルに伴う収益で懐が潤い、その恩恵を彼女も享受していた。表向きはそうであるが、と言うよりは表裏一体ではあるが、界隈で噂される闇深い案件の一部に大いに関わり、恣意的に自らの意見を運営に反映させた事も少なくない。
 そして今回の件も、サーナイトがSwiftに依頼する形で密かに行われてきた案件だった。彼女はレズビアンではあるものの、痴態を曝け出す雄の姿を動画や写真で嗜む一面もあり、精液を生きる糧として利害の一致するSwiftに撮影の大役を仰せ付かっていた。今回のメインターゲットは勿論ガラルギャロップ。彼を堕とすための周到な準備を行い、サーナイトも根回し等で協力する中で数々の雄の痴態が曝け出されたが、それらをも全て完璧に収めたSwiftの仕事振りに、サーナイトも舌を巻くしかなかった。
「さて、約束通りあなたにお礼しないとね。受け取って」
 Swiftに報酬として渡したのは、高価な布に包まれた何か。中を確認してみると、結構な数のジェムが入っていた。
「これであのフーパさんに、ダンカンドーナツのスペシャルパックを買ってあげてちょうだい。彼もいい仕事したからね」
「ありがたく受け取るよ♪」
 Swiftはジェムを大事そうに鞄の奥に仕舞う。するとサーナイトは耳寄りな情報があると笑顔を見せた。そして耳元で囁く。
「まだ出回ってない情報だけど、ビッグフェイスが参戦するの。そのときが来たらまたあなたにお願いすると思うから、覚悟しててね」
「いやいや、覚悟じゃなくて、楽しみに(、、、、)、じゃないかい?」
 Swiftが不敵な笑みを浮かべると、サーナイトも目を細める。
「ふふふ、あなたならそうよね」
 ――不気味な計画が、またも寮内の一角で密かに動き出そうとしていた。


Epilogue



 一方ここはテイア蒼空遺跡。今の時間はポケモン達のみで行われる非公式試合の真っ最中。非公式とは言いながら公式戦さながらの白熱振りで、上下中央各ルートに分かれたチームメイトはめいめいに協力して相手を出し抜いたり、猛攻や奇襲を凌いだり、試合の鍵を握る大型ポケモン(オブジェクト)止め(ラストヒット)を刺しに行ったりと臨機応変に作戦を立てて、一点でも多くゴールを決めようと奮闘していた。


 スタート地点に復活したのは、やどかりポケモンのヤドラン。相手の動きを封じる技に秀でたディフェンス型で、のほほんとしつつも出場機会はトップクラスに多く恵まれている。
 今から数十秒前に相手チームの奇襲に遭い、ヤドランが前に出てなみのりやテレキネシスで動きを封じつつヘイトを一手に買い、自身の犠牲と引き換えにチームメイトをどうにか退避させた所だった。復活するまでの間に飛んで来た感謝のクイックチャットに律儀に反応し、場の状況を読みつつこれから訪れる大事な局面に備えて気を引き締めた。
 ヤドランは即座にタイマーを確認する。残り時間は二分三十秒余り。スーパージャンプパネルに乗り、ステージ中央に向けて大跳躍。タンクとしては味方と合流して盾になるのが筋だが、この時は単独行動をしてでも中心に鎮座するレジェンドピット脇の草むらに身を潜めた。
「そろそろみんな集まってくる頃やぁん……」
 勝敗を左右するラストスパートが迫り、ヤドランは周囲を警戒しつつ固唾を呑み、胸が高鳴る。
「……あれ?」
 その胸の高鳴りは、緊張とは異なる性質を持った物らしかった。
「な、なんで、ぼく……!?」
 すると突然股座に襲い来る甘い刺激。それは見る間に強まり、ラストスパートに臨むヤドランの身を苛めていく。
「な、なんでっ! ちんちん、きもちよく、なっちゃう、やあん!?」
 割れ目から一気に伸びて硬く張り詰め、尚も見えない何かに責められ続ける感覚に、ヤドランは周囲への警戒を忘れて身悶える。草むらから聞こえる妙な声に集まって来た選手達。草を掻き分けて覗き込んだ顔ぶれは、悲しいかな相手チームだった。
「な、何やってんだ……?」
「いくらヤドランでも、こんなところでオナニーするような奴じゃないぞ」
「じゃあ今オレらが見てるのは……?」
 真っ先に集中攻撃して倒すのが筋であったが、彼らは予想外の光景に攻撃すら忘れて唖然とするばかり。
「あ、やあん! ぼく、おかしく、なっちゃうやぁん!」
 尚も見えない何かに責められ続けて雄の証を大きく膨らませ、皆に曝け出してしまう。
「奴のチンポ、思ったよりでかいな……」
「ヤるにしたって、『どんかん』だからめんどそうだ……」
「あらどうしたの……ってどゆこと?」
 遅れて到着したタンク役も合流した途端に首を傾げ、相手チームに取り囲まれながら独り勝手に快楽に身を蝕まれるばかりのヤドラン。そして残り時間は二分。ラストスパートを告げるレックウザの咆哮が遺跡に轟いた。そして先のタンク役にレジェンドピットへの進行を阻まれ、遅れて到着した味方チームの面々も、異常事態を察して集まって来た。
「あ、や、やあんっ!だめ、だめ! イっちゃうぅぅ!!」
 ヤドランは暴発寸前の隆々とした勃起を隠すのも忘れて得体の知れない快楽に泣き叫び、それは味方のみならず、レックウザにも痴態を見られてしまう。
「やっ、やあああああああんっ!!!」
 どうする事も出来ずにヤドランは絶頂に達し、白いハイドロポンプを雄柱から青臭く噴き上げた。その後も戦慄きながら意識が朦朧とし、試合続行は最早不可能であった。
(……Swiftだな)
(Swiftに手ぇ出されたんだろうな)
(あんなに警戒してたのに、いつの間に……!?)
(かわいそうに……)
(次はきっと俺がこんな目に……勘弁してくれ!)
 選手達は言葉を失い、めいめい言い知れぬ不安と恐怖を抱えつつ、淫らに汚れた姿を凝視するばかりだった。


「――ふふっ、Swiftさんたら、最後にこんな仕掛けまで用意してくれてたなんて」
 この試合を観戦しつつ笑みを浮かべたのは、あのサーナイト。何を隠そう、ウーラオスの精液を採取した直後にSwiftに連絡を入れて根回ししたのが彼女だったのだ。多忙なヤドランが寝ている合間に射精させて精液を採取し、能力コピーで判明した、性感にも適用される特性どんかんの発動遅延時間*9を基にして、詳細を告げぬままサーナイトにこの試合のスケジュールを組ませてもらっていたのが、この件の全貌であった。無論この中継も録画されて彼女のコレクションに加わる事になったのは言うまでもない。結局ヤドランのチームは降参せざるを得ず、ヤドランにとっても屈辱的な敗北となってしまったのである……。




「――ここがエオス島か。暖かな場所だが、悪くはなさそうだな」
 例の件から数週間が経ち、北風に乗ってやって来た高貴なオーラ漂う新参。この先、彼の身に魔の手が迫ろう事など、知る由もなかった――


The End    

Special thanks: Tenebscuro




【原稿用紙(20x20行)】 156.4枚
【文字数】 52318文字
【行数】 949行
【台詞:地の文 台詞率】 449:403行 53% / 10840:42030文字 21%
【かな: カナ: 漢字: 他: ASCII】 26038: 5017: 15659: 5083: 1065文字
【文字種%】 ひら49: カタ9: 漢字30: 他10: A2%




*1 本当は兄弟にしたかったけど、規約の関係でやむなく……ぐぎぎ
*2 左右の頭を翼に見立てたダチョウの求愛行動
*3 ドードー系統のモチーフの一つと考えられるダチョウもペニスを有する
*4 ほら、ポケモンユナイトの開発元のテンセントは中国企業だし
*5 ポケモンユナイトを始めとしたMOBAは韓国で盛んだし……これで何の曲かわかったかな?
*6 元ネタはドーナツチェーンのダンキンドーナツ。創業者はかつてミスタードーナツ創業者と一緒に働いていた
*7 これも元ネタはドーナツチェーン。アメリカンな味付けのせいで日本では一度大コケした
*8 ニンフィア「解せぬ」
*9 水のミドリ氏の作品「遅感性未来予知」のリスペクトです。同じヤドン系統だし……勿論ゲームにおいてこんな仕様はないので誤解なきよう

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