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放っておけない嫌われ者と の履歴(No.2)


writter is 双牙連刃

 突発的に書きましたポケモンユナイトの設定を盛り込んだ作品になります! R-18な表現がありますのでご注意下さい!



 今日はオフの日だからエオスマートでも行っておやつ買ってダラダラしちゃおーとか思ってたら何故かミュウに捕まり、妙な事を相談されてとあるポケモンの宿舎に向かう事になった。曰く、来てから連日のように恨み言を言われて凹んでしまった新入りのメンタルケアをしてやって欲しいとの事。世間一般から親子扱いをされたりもしてるとは言え、ここのあいつとミュウとは面識すら無かったって言うのに面倒見の良い事だなぁと思うよ。
 で、そんなら話くらい聞いてみてやるよと引き受けてしまったので、予定していた菓子なんかを買い込んで自室ではなくそいつの部屋に向かう。ユナイトバトル参加登録してるポケモンはそれぞれに宿舎に個室を与えられ、バトルに参加していない時は割とのびのびと暮らしていられるので楽っちゃあ楽なのだ。しっかし、部屋の前に居るだけなのにキノコでも生えてくるんじゃないかってくらい陰湿なオーラが漏れ出てきている。ジメレオンでももっと空気は乾いてるぞ。

「おーいミュウツー、居るかー?」

 声を掛けてみたが、返事は無い。ノックしてみるかと思い扉を軽く叩いてみたら、少しだけ軋むような音を立てて開いちゃった。不用心な、と一瞬思ったけどまかり間違っても襲われるようなポケモンじゃないし、仮に襲われても返り討ちだろうなと思い直した。
 開いた扉をそっと潜ると、明かりも点けられていない部屋が目の前に広がる。散らかったりはしていない、というか元々部屋に据え付けられてた家具以外は美味しい水なんかのペットボトルくらいしか見当たらない。まだ来て一月そこらならこんなもんなのかなーと思いつつ姿を探すと、これまた陰気なオーラを纏いながらベッドでこっちに背を向けて横になっているのを発見。恨み言言われて凹んでるとは聞いたけど、まさかここまでとは……そりゃあミュウも心配になる訳だ。

「おい、おーいったら」

 返事は無い、ただの屍のようだ。いや死んでないけどさ。あらら、枕抱っこして目元に泣いた跡まであるよ。大分キツイみたいだな。こりゃ骨が折れそうだ。

「……! だ、誰だ!」
「いや部屋に入って肩トントンされるまで気付かなかったんかい! お前幾ら宿舎って言ったって多少施錠とかは気を付けろよ?」
「お、前は……エースバーン、だったか」
「そうだよ。あ、ここでは一応先輩なんだからちょっとは敬えよー? とりま電気点けるからなー」

 そう言って俺が灯りのスイッチを押すと、慌てて顔を拭ったり抱えてた枕を放ったりしている。全部見られてから取り繕ってもしゃーないだろと言おうかと思ったけど、凹んでる奴に追い打ちをする趣味は無いので止めた。そしてそのまま自然な流れで抱えていたおやつや飲み物をテーブルに置きテレビのスイッチをオン。

「いや、何故私の部屋で寛ぎ始める」
「ん? あぁ。なんか凹んでるみたいだったから愚痴聞いてやるついでにだらけようかなと思って。ほら、奢ってやるからお前もこっち来いよ」

 どういう事だって説明を求められたからミュウからのお願いだって事をさっくり説明。そんな事は頼んだ覚えは無いって肩竦めてるから、だったら凹んでないでシャンとしてろって言うと今度はウジウジし始めた。バトル中は冷や汗出るくらいプレッシャー掛けてくる奴と同一ポケモンだと思えん体たらくだなぁ。
 こんな状態じゃまともに話も聞き出せないだろうと思って、とりあえず買ってきたソーダを渡してやる。まずはスカッとした気分になれるもんでも飲んでちょっと気分切り替えろって言いながらな。
 これにはミュウツーも意外と素直にソーダのキャップを開けた。念力でクイッとして開けるのカッコいいな。真似出来ないのがちょっと残念。

「……美味しい」
「だろ? ほれ、菓子も摘まめー」

 プチポフィンやらポケモン人形焼き、それに定番のポテトチップスなんかを開けて置いてやると、少し食欲が出てきたのか摘まむ、というか念で取って口に運び始めた。こうやって物食べてるとこ見ると、こいつも結構普通にポケモンだなと思う。いやまぁ当然ポケモンなんだけどさ。
 それから暫くは一人の少年トレーナーが世界各地を旅するドラマの再放送を見ながら、ドラマのシーンなんかの話をしてる。最初は反応薄かったけど、俺が話しを振ってやり続けてたら口数も増えてきた。ちょっとはリラックス出来てきたかな?

「毎回最後に吹き飛ばされてるロケット団という連中は実写なんだろうか?」
「噂だけど、マジでやってるらしいぜ。体張ってるよなー」
「そ、そうなのか……人間も侮れないものだな」
「ドラマの元になった少年トレーナーとかそのポケモンとのエピソードなんかも実話を元にしてるらしいぜ。十万ボルト喰らって無事なのは流石に盛ってると思うけどな」
「ははっ、私達だってあれを受けるのは楽じゃないのだから、そうだろうな」

 話ながら微笑むくらいには俺にも打ち解けてくれたっぽい。いきなり押し掛けたのは確かだからどうなるかと思ったけど、気持ちも解れて来たみたいだな。ならぼちぼち本題を切り出すとするか。

「さてと、落ち込みは引っ込んだみたいだし、俺がここに来た本題に移らせてもらうかな」
「本題?」
「軽くは言ったよな? お前が目に見えて凹んでるみたいだから愚痴聞きに来たって。ぶっちゃけあのままバトルに出てなんかあっても嫌だしさ、なんであんなに凹んでたのかぶっちゃけちゃえよ。聞いててやっから」
「うっ、その……」

 って言ったきり口籠っちゃった。んー不味ったな、もう少し打ち解けてから始めりゃ良かったかな?

「……ここに、連れて来られて、ユナイトバトルというのに参加させられたのは別に構わないんだ。ただ」

 っと、急に口を開いてくれたな。で、ここに連れて来られた事に不満は無いと。となると、続く言葉は……。

「強過ぎる、何でこんな奴を連れて来た、ナーフ……だったか? 弱体化をそう呼ぶらしいが、それをしろと連日言われ続けるのが、正直……辛い」
「あー、やっぱそれか。まぁ、そりゃそうだよなぁ」

 ミュウツーが来てからユナイトバトルの戦況や勝敗に明確にミュウツーの力は食い込んだ。ミュウツーを選んだユナイトバトル参加トレーナー、というかプレイヤーか。そいつ等の勝率は目に見えるレベルで上がった奴も多い。それはつまりで、それだけのミュウツーに負けたプレイヤーも多く存在する事になる。そいつ等からすりゃミュウツーは居て欲しくない、来て欲しくなかったポケモンになり罵詈雑言を唱えるようになった。それが当のミュウツー自身に刺さってくるのも当然っちゃあ当然だわな。

「私は、ここに来ない方が良かったのか? ならば何故私はここに呼ばれたんだ。望んで来た訳でもないのに毎日嫌味を聞かされて……もう、嫌だ……」
「まーなぁ……そりゃ確かにしんどい。ここに来た連中、大体一回は皆味わうんだよそれ」
「……そう、なのか?」

 ユナイトバトル運営曰く、基本的に新たなポケモンをここエオス島に招いてバトル参加をさせる場合しっかりとエオスエナジーに馴染ませたり運営側もしっかりデータを取って様子を見て大丈夫だと判断してから競技のステージには出してるんだが、それでもエオスエナジーとの齟齬によってそのポケモンが引き出す予定だった能力より異様に強くなったり弱くなったり、本来は起こる筈が無いと思っていた事がどうしても起こってしまうらしい。その度に一応スタジアムや周辺装置なんかを調整してエナジーとの親和性を高めて出なくしたりはしてるけど、それもなかなか難しい話みたいなんだよな。

「ザシ姉さんの時なんか酷かったぞー。なんかめっちゃ強くなってんのに原因がなかなか掴めなくて四か月くらい尋常じゃない強さで暴れ回る事になってたからな。私はこんな強さもそれを咎められる事も望んではいない! ってオフでも超やさぐれてたっけ。ま、今は大分落ち着いたから大丈夫そうだけどな」
「そんな事があったのか……」

 ユナイトバトルのオープン時から参戦してるからその手の話は殆ど知ってる。って言うか俺自身もなんかずっと猛火発動してる状態になったりしてた事あるし、未知のエネルギーだけあって結構悪さしちゃうみたいなんだよなエオスエナジーって。ま、ポケモンを進化させたり退化させたり出来てる時点でとんでもないエネルギーなんだから仕方ないかもしれんけど。
 他のポケモンではどんな事があったかを話して聞かせると、ミュウツーは表情をコロコロと変えながら返事を返してくれた。うん、ちっとは気休めになってるかな?

「ま、そんな感じで、スタジアムやらがしっかり落ち着くまでは色々起こるけど、落ち着いちゃったら異様な勝率なんかも落ち着いて嫌味も言われなくなるだろうから、今はちっとだけ耐えてくれよ」
「そう、だといいんだが……」
「きっと大丈夫だって! それまでまたしんどくなったら俺がこうやって話聞いたり一緒にダラダラして駄弁ったりしてやっからさ」
「あ、あぁ……その……ありがとう」
「良いって事さ。どうだ? 胸のモヤモヤも少しは落ち着いたか?」
「エースバーンが来てくれるまでよりは、大分気は楽になった、と思う」
「そりゃ良かった。折角一緒にユナイトバトルする仲間が増えたのにそいつが落ち込んだり荒れてるのは俺も面白くないしな。また明日からも一緒にバトル楽しもうぜ! あ、でもちょっと手加減してくれると助かるけどな?」

 茶化しながら俺がそう言って笑い掛けると、ミュウツーは何故か少し照れた様子で返事を返してきた。どうした急に?

「何だよー俺のスマイルが直視出来ないってのかー?」
「い、いや、そんな風に笑い掛けられたり、そもそもこうして誰かと寛ぎながらゆっくり話をするという機会が無かったので、どういう顔をすればいいのかが、分からない」
「あ? あー……そっかミュウツーって世間的には結構怖がられたりし易いポケモンだっけ。心配すんな、俺はそういうの気にしないから!」

 立ち上がって胸を叩いてみせた俺の様子をミュウツーは笑って見てる。良い顔出来んじゃん。良かった良かった。
 気分も晴れたらしいミュウツーとその後も暫く話したりテレビ見てる間に、気付けば時間は夕暮れに差し掛かってた。いやーオフ丸々使ってミュウツーと遊んでしまった。今まで接点無くてこうやって遊んだりしてない奴だったから俺もつい楽しんじゃったぞ。元々は押し掛けて来たんだし、そろそろお暇するかなー。

「結構良い時間になっちゃったなー。いきなり来て付き合わせて悪かったな」
「いや、私もこんなに楽しいと感じたのは初めてだ。だから謝らないでくれ」
「へへっ、そりゃ良かった。さってと、ぼちぼち自分の部屋に戻るかなー」

 そう言いながら伸びをする。持ってきたおやつ類も大体尽きたし、片付けも終わってる。ミュウツーに迷惑掛ける心配は無いだろう。

「あ、エースバーン、その……」
「んぁ? どしたぁ?」
「もう少し、ここに居てくれたりはしない、だろうか?」

 思ってもいなかったミュウツーからの提案にキョトンとしちゃったぞ。いや、言っておきながら恥ずかしがるなよ可愛いかよ。そんな反応されちゃったら帰り難いじゃろがい! ……明日のバトルも朝一からある訳じゃないし、そもそもポケモンである俺はバトルの為の用意とか特に無いから別に何処で休んでからバトル行ってもいいんだよなー。

「んーどーしよっかなー」

 なんて言いながらチラッとミュウツーを見ると、少しだけションボリした様子だ。俺が帰ると思ったみたいだな。やれやれ、今日の寝室はここになりそうだな。

「ジョーダンだよ。そっちが嫌じゃないなら、もう暫く寛がせてもらおっかな」
「そ、そうか。私は嫌じゃないから、好きなだけ居てくれ」

 なんか俺、思った以上にミュウツーに気に入られたみたいね。ま、ダチは幾ら増えても困らないからオッケーです。と、部屋に居るとは言っても飯は食いたいんで先に食堂行かないかと誘う。少し迷ったようだけど、一緒ならば行こうとの事だった。嫌味聞くのが嫌で引き篭もってたんだから、そりゃあんまり外には出たくないわな。俺と一緒って条件はあれど部屋から出ようと思ったんなら一歩前進だな。
 個室が用意されてるとは言え食事まで個別に出てくるようなサービスは無いので、この宿舎で食事をする場合は食堂に行く必要がある。さっきの俺らみたいに部屋に食べ物を持って行くのは禁止されてないからそっちで食べてるって奴も居るみたいだな。
 食堂に向かいながら、俺とミュウツーが並んでる事を他のポケモンに驚かれてる。一日駄弁ったりしてダチになったんだーって俺が紹介するとミュウツーは恥ずかしそうにはするけど嫌がりはしない。ならこれから俺はミュウツーの事をダチと呼んでもいいだろう。あ、行きがけに依頼をしてきたミュウにも出会ったので大体上手く行ったぜーと伝えた。ミュウもミュウツーの様子を見て安心したみたいだから成功だろう。
 それからトラブルも無く食堂に着いて食事を終える。元々菓子食べた後だったしお互い軽く食べるんで終わったからそんなに時間も掛からなかったしな。満足満足。
 そんでミュウツーの部屋に戻ってきた。改めて見ても、何も無い部屋だなぁ。まぁ飾り気とか気にしてる余裕無いくらい精神削られてたって事の表れなんだよな。

「ん? どうした?」
「いや、これからこの部屋もミュウツーらしさが足されていくんだなーとしみじみ思ってただけ」
「私らしさ、か……こういった部屋を与えられた事が無いのだが、部屋というのはそもそもどうするべきものなんだろうか?」
「え? んーそうだなぁ……とりあえず自分が気に入った物とか持ってきて置いてみたりとか? 自分の好きな物があったりすると部屋に居るのも楽しくなったりするっしょ」
「なるほど、そういう物なのか」

 噂で聞いたけど、今ここに居るミュウツーは何処かの研究所で創られ、その研究所が摘発されて保護されたんだと。なんか色んな事に疎かったり嫌味に弱かったりするのはその辺が原因なのかもしれないな。ミュウツー自身に聞くとまた凹ませそうだから聞かないでおくけど、いつか聞いてみてもいいかもな。
 他に何も無いのもあってまたテレビを点けたんだけど、時間帯的にニュース番組しかやってなくて正直退屈になった。もう少し時間が経てばバラエティ番組も始まるか……その前にシャワーとか浴びちゃうかな。

「なぁミュウツー、シャワー借りたいんだけど俺毛皮あるからちょっと時間掛かるし先に入らね? 俺は後でも全然いいから」
「そうだな、私は体を流すだけだから先に済ますとしよう」

 おうそうしろーって言ってシャワー室に入るミュウツーを見送る。流すだけって楽だよなー。俺は毛をきちんと洗わないと明日が大変になるからシャワーはどうしても長くなる。ゴワゴワな毛のまま実況もやってるバトルに出る訳にもいかないし。その辺俺は参加ポケモンとして気を使ってんのよ。
 暫くテレビを流し見しながらミュウツーがシャワーを浴びてる音を聞いてると、大体10分くらいで音は止んだ。うーん、早い。俺は最低でも30分は掛かるから三分の一で済むのは正直羨ましい。
 タオルで体を拭きながら出てきたミュウツーにいいぞって声を掛けられたから返事をしてシャワーに向かう。今日はそんなに汗も掻いてないし、いつもよりは気持ち短めでもいいかなーと思いつつ体にお湯を浴びていく。元々短毛だけど、やっぱりシャワーを浴びるとより体のラインって目立つよなーと据え付けの鏡を見ながら思う。自分で言うのもあれだけど、結構引き締まったスレンダーボディだと思うんだよな。スレンダー過ぎて胸が全く目立たないのが悩みでもあるんだけど。ミュウツーも絶対に俺の事オスだと思ってんだろうなー。今までカミングアウトする以外で身バレした事無いし。別にどっちに思われてようといいんだけどさ。
 しっかり泡立てたシャンプーで体を隅々まで洗って、流す。やっぱり俺は10分じゃ無理だな。はぁ、ミュウツーの手間掛からずボディが羨ましいもんだ。

「ふぅ、さっぱりさっぱり」
「上がったか。飲み物を出しておいたがどう、だ……」
「ん? どうかしたか?」

 シャワー上がりの俺を見てミュウツーが固まった。おかしな所は無いと思うんだけどな?

「あっ、いや、その……」
「なんだよ、変なところあるなら言ってくれよ」
「き、綺麗だな、と思って、な」
「そりゃあシャワー上がりだもんよ。今一番身綺麗な状態だぜー」

 そう言いながら座ってるミュウツーの横に行って腰掛けたんだけど、なんかヤケにミュウツーの奴が顔を赤くしてる。風呂上がって暫くしてから逆上せるなんて事あるのか?

「おいおい大丈夫かよ? 熱とかあるんじゃねーだろな?」
「へっ? んぉ!?」

 くっ付けてから思ったけど、炎タイプのエースバーンとエスパータイプのミュウツーじゃ体温違うからデコくっ付けても熱あるか分からないか。なんて冷静に考えてから離れたら、ミュウツーが顔真っ赤にしてショートしてました。いや何故!?

「おわぁ!? だ、大丈夫か!?」
「あ、あわわわ……」

 急いで部屋の空調を入れて、ミュウツーをベッドに横にする。風当てて安静にすりゃ大丈夫だろうけど、いきなりどうしたんだか。

「ったく、焦らせんでくれよ? 水飲むか?」
「い、頂こう」

 コップに注いでやった水をゆっくり飲んでる様子からして、まぁ突発的に熱が上がっただけみたいだから大丈夫そうだな。ふぅ、一安心だ。

「全く、どうしたよ急に?」
「き、君が急にすぐ傍まで近付いてくるからだろ。口付けでもされるのかと思ったぞ」
「口付けって……え、何? お前さん俺にキスされるかもーと思って慌てた訳ぇ? まっさかー」
「し、しょうがないだろ。シャワー上がりで少ししっとりとしている君が、その……み、魅力的に見えている時に、そんな事をされてしまったのだから。一応不明とはされてるが、私はその、オスに分類されている者なのだから」

 ミュウツーの発言を聞いてキョトンとしちゃった。え、お前オスってか性別あったの? 私とか言ってるからてっきりメス的な意識かと思ってたんだけど。
 って事を考えて、ふとさっきの発言が頭の中で再度浮かび上がる。シャワーでしっとりしてる俺が魅力的に見えた? 自分がオスだと自覚してて?
 急激に自分の顔の熱が上がって行く感覚が分かる。それってつまり、そういう事だよな。

「え、あ、えっと……き、気付いてたのか? 俺が、メスだって」
「私はその、テレパシーや念で相手の事は凡そ分かる。発言や様子だけでは分からなかったと思うが」

 うーわ、ミュウツーが俺の事をメスだって分かってたと思ったらデコくっ付けるとかの行動が急に恥ずかしくなってきた。わ、分かってるならもうちょい態度に出せよ! なんて悪態が口から出ない程度には。
 じ、じゃあさっきの綺麗だと思ったとかの発言もまさか、メスの俺に言ったって事!? や、やば、顔赤くなって見せらんない事になってっぞこれ。

「ど、どうした?」
「ち、ちょっと大人しく寝てろ! あ、あと、いきなり綺麗とか魅力的とか言ってんじゃねぇ! 俺はそういうの言われ慣れてねーんだよ! サーナとかザシ姉さんとかみたいに!」

 あー頭から湯気出そう……綺麗って、言われちゃった……ハッ! やべぇ、柄にもなく変な事考えてる俺! くっそぉ、不意打ち過ぎだろ!
 暫く静かな時間が流れて、俺の顔の熱も落ち着いて来た。と言っても、まだちょい熱めだけど。

「そ、その、悪かった。私としては思った事を言っただけだったんだが」
「ちょ、おま! またそうやって恥ずかし気も無くそーいう事言う!? だーくそ、また顔熱くなってきやがる!」
「す、済まない」
「……別に、謝んなくていいって。その……言われ慣れてねーけど、言われて嫌じゃないっつーか、う、嬉しいとは、思ってっから」
「そう、か。良かった……」

 ミュウツーが横になってるベッドの横で俺は膝を抱える感じで座ってるんだけど、やけに胸が高鳴っちゃって落ち着かない。綺麗って言われて、魅力的だって言われて、俺……嬉しくなっちゃってんだよな。メスとして見てくれててさ、気付いてくれたのが嬉しくってさ。なんかこう、ドキドキする。だぁもうクソ、多分ミュウツーは純粋にそう思ったから言っただけだって頭では分かってんのに、体の方がソワソワ反応する。なんでこうウサギって奴はその気になるスイッチが入り易いんだよ! 今日駄弁ってダチだって呼んだ奴に反応してんじゃねーよ! 深呼吸、心頭滅却……とにかく気持ちを落ち着けねーと。

「大丈夫、か?」
「へ!? あ、いや、大丈夫大丈夫! さっきも言ったけど、言われ慣れてない事言われてちょっとだけ浮足立っちゃっただけだからさ」
「そうなのか……君が喜んでくれたのなら今日の礼になったかと思ったんだがな」
「礼って……」
「今、君とこうしているだけで心が穏やかになっているのが分かるんだ。今日君が俺の所に来てくれていなければ、私はこんな気持ちにはなれていなかったであろう事は容易に想像出来る。だから、きちんと礼をしたいと思ったんだ」
「お、おぅ……そんなに畏まった言い方されるとなんかよそよそしくなっちまうな。もっと気楽でいいんだよ、気楽でさ」

 はぁ、ミュウツーの真面目さで俺もちょっと落ち着いた。真面目だから嫌味も全部受け止めちまうし、だからこそ凹んだり落ち込んじまうんだろうな。けど俺は、そういう奴は嫌いじゃない。真面目過ぎるってんなら俺がガス抜きしてやればいいだけだろうしな。
 
「気楽で? どうすればいいものか」
「さっき心が穏やかになったっつってたろ。そのままで居りゃあいいんだよ」
「このままで、か。難しいな」
「変に考え過ぎなんだよ。頭空っぽにしてなんでも楽しんでやるくらいで居れば気楽にもなるさ」
「君は、そうなのか?」
「ま、大体はな」

 すっかり気持ちも落ち着いて、抱えてた膝を開放して体を伸ばす。危なかった、あれ以上興奮が高まってたら本当に抑え切れなくなってた。その、発情って奴が。大丈夫、まだヘソ下は疼いてない。

「けど先程は、かなり取り乱していたようだが?」
「あ、あれは特別! お前さんが俺なんかの事をメスとして見てるなんて言うもんだから……うわわ!?」

 不意に体が浮いたと思ったら、俺の体はベッドの上に運ばれてそのまま……ミュウツーの腕の中に収まった。いや、なんで!?

「……自分でもよく、分からない。けど、君に触れてみたいという思いが抑えられそうにない。嫌だったら、済まない」

 抱かれて触れたミュウツーの体は少しひんやりとしているけど、ドキドキし過ぎてよく分からなくなってきた。思ったよりギュッと抱き締められて、少し苦しい。

「お、おい、ちょっと苦しいったら。……解かなくてもいいから、少し緩めてくれ」
「そ、そうか。済まない」

 少し力が緩められて、息苦しさからは解放される。けどダメだ、俺の体に巻かれてる腕とか足に絡んできてる尻尾、それに肩口に感じるミュウツーの吐息の感触の所為で胸がドキドキして苦しい。こんなの続けたら、折角落ち着いたスイッチが今度こそ完全に入っちまうよぉ。

「エースバーン……柔らかいんだな」
「そ、そりゃあ俺ってば、そんなに筋肉質じゃねーもん」
「シャンプーじゃない温かくて、優しい香りがする……落ち着く香りだ」
「んえぇ、俺の匂いの感想とか言うんじゃねぇよ。ちょっと変態っぽいぞ」

 抗議の為に身を少しだけ捩るんだけど、しっかり拘束されてて振り払える感じが全くしない。そもそも拒絶して突き飛ばしたりする気が全然起きて来ない辺り、頭以上に体がこの状況を受け入れちゃってる。

「逃げ出そうとしないという事は、まだこのままで居ていいという事で、いいよな?」
「……あーもう、分かったよ。満足するまで付き合ってやるから、や、優しくしてくれよ?」
「絶対に傷付けたりなんかしない。約束する」

 そう言うと、ミュウツーの手が俺の体を確かめるように撫で始める。腹や首筋を撫でられると擽ったいからあまり長く撫でないで貰いたいんだけど、なんだか夢中になっちゃってるからされるがままになってる。

「ん、うっ……み、ミュウツー、俺は縫いぐるみじゃないんだからな? 擽ったくはあるのだけ忘れないでくれよ?」
「あぁ、そうか。済まない、君が心地良くて、つい」
「え、あ……ず、狡いぞそういうの。そんな事言われたら、その……」
「その?」
「好きにしろって、思っちゃうじゃん」

 あーダメだ、もう体がミュウツーを受け入れちゃってる。好きにしろなんてオスに言ったらどうなるかなんて分かり切った事だろ。

「……いい、のか? 好きにして」
「だって……その、お尻に当たってんだよ。お前の、あれが」
「済まない、努めて抑えようとしていたんだが、私もオスなんだ」

 それは逆に言えば、俺の体はミュウツーとしては興奮が募るだけの魅力があるって事、なんだよな? 嬉しくない訳は無いんだけど、やっぱり恥ずかしいし、ちゃんとメス扱いをされてるのに慣れない。このままミュウツーに身を預けてたら、俺……どうなっちゃうんだろ。はっきり言うけど、俺こういう事初めてなんだよ。
 オスの一面を隠せなくなったミュウツーの手が、俺をメスたらしめてる場所に伸びていく。丸くなってるミュウツーの指先が俺の割れ目をなぞると、背筋に電気でも流されたのかってくらいのゾワゾワが耳の先まで走ったぞ。

「ふぇや!? んんぅ……」
「他の何処よりも柔らかい……それに、熱いし濡れているんだな」
「やぁぁ……だから感想言うなってぇ……」
「エースバーンは、メスは此処に、オスの生殖器を受け入れるんだな」

 言いながらもうミュウツーのアレは俺の尻を伝って股の間に来て、俺の太腿を掻き分けるようにして先端を覗かせてる。いやマジかよ、な、長くね? ミュウツーの。

「えっと、やっぱりその、したいか? この先も」
「君が許してくれるなら、したい」
「だよなぁ……い、言っておくけど、俺こんなの経験無いからな? 始めてだからな?」
「で、では、するとしたら私が初めての相手になるのか。いいの、だろうか?」
「悪かったらそもそもこうなってねぇよ。全く、お前もこんな牝っ気の無い奴を始めての相手に選びやがって……後悔なんてしてくれるなよ?」
「後悔なんてしようが無い。……力を、抜いていてくれ」

 え、そのまま挿れるのか!? なんて思ってる間にも俺の割れ目に何かが触れて、少しだけ入り込んだ。こ、こういうのって俺がミュウツーに乗るような形になった方がいいんじゃないか? と思いながらも、俺の中を掻き分けてミュウツーの、あの、チンチンが俺の中へ入ってくる。

「ひにゃ、あぅぅ!」
「うっ! 締め付けて、吸い付いて来るような柔らかさだ。心地良い……」

 ミュウツーが気持ち良さそうだから言えないけど、腹を内側から外側に押されるのが結構苦しい。腹、伸びちゃいそうだ。うぅ、どんどんミュウツーが俺の中に入ってくる。気持ち良いより初めての感覚に反応が出来ない。ただ、腹が内側から温かくてそれは気持ち良いかも。

「んっ、何かに、閊えたか?」
「い、言ったろ、俺初めてだって。それ、俺の腹が誰の事も受け入れた事無いって証拠」
「そ、そうなのか。どうすればいいんだ?」
「えーっと、あれだ。そのままお前が挿れようとすれば、破れてもっと入る筈だ」
「破れてって、間違い無く痛いのではないのか?」
「絶対痛いだろうな。けどこのまま生殺しじゃ俺も治まり付かないんだよ。どうせなら一気にやっちまってくれ」
「わ、分かった」

 お互い一つ深呼吸をして、意を決したミュウツーのチンチンが俺の中の膜を、破った。うっわいってぇ! は、腹の中裂かれたのかと思った! いやある意味裂かれたんだけども!

「あぐっ、うぅぅぅ!」
「痛かったか!? 痛かったよな! う、動かないから一先ず落ち着こう」
「さ、賛成。すぅー……はぁー……」

 ミュウツーに抱かれながら深呼吸をすると、腹の奥まで入ったミュウツーのチンチンの感覚をよりはっきりと感じる。自分のじゃない鼓動というか脈打ちを体の中に感じるのって、なんだか不思議で違和感があって、ちょっと……嬉しい。

「わ、私のモノが根本近くまで挿入されてしまっているが、苦しくはないか?」
「んん、苦しくはないけど、ミュウツーのが俺の中で脈打ってんのが変な感じ」
「俺も君の鼓動が伝わってきて不思議だ。でも、それ以上に心地良くて、君の温かさをいっぱいに感じられて、嬉しい」
「……ほんっと、お前さんは俺を照れさせるの上手いよなぁ」

 繋がって心地良くて嬉しいなんて言われて嬉しくならないメス居ないだろ。少なくとも俺は胸がいっぱいになるくらい嬉しい。あーダメだ、どんどんミュウツーの事が好きだって気持ちが心の中に溢れてくる。自分でも現金な奴って思うけど、なっちゃったらもう戻れないんだよこういうの。

「その、さ。抱いてくれてる内に落ち着いてきたからさ。動いてみてくれても、いいぜ?」
「いいん、だな? なら、少し体を向きを変えさせてもらうぞ」

 ミュウツーは俺を優しく抱き抱えながら、仰向けから横向きに体を入れ替えた。仰向けで腰振り上げるより、確かにこの方が動き易いだろうな。
 ミュウツーのチンチンが中から抜けていって、抜け切る前にまた奥へと押し込まれる。水をかき混ぜるような音を立てながら俺の腹が押し込まれる度に膨らんで、中に入ってるんだぞって言うのが目で見ても分かる。

「ひにゃっ! あっ! んんっ!」
「君の声、可愛い……もっと聞かせてくれ」
「はぐっ、うぅ! 可愛いとか、言うなぁ……」

 小さく反論してみても、すぐに突かれる事で自分が出している喘ぎ声に掻き消される。ヤバい、これ気持ち良い。声我慢する余裕とか無い。突かれる度に奥の方が疼いて、もっとミュウツーの事受け入れようとしちゃう。
 最初はそこまで速くなかったミュウツーの動きも段々と速くなってきて、抱き締める力も強くなる。あぁ、もうこれダメだ。もう逃げられない。ミュウツーにもっとギュッとしてほしい。私の中に入ってきてほしい。溺れちゃうくらい、好きにしてほしい。

「ぐっ、そろそろ、何か、出そう、だ!」
「出し、てぇ! そのまま!」
「だが、それは!」
「いい、からぁ!」

 抜いてほしくないって思ってぎゅっと太腿に力を込めると、ミュウツーが叫ぶような声を上げた。それと同時に俺の中には、ミュウツーから熱いものが流れ込んでくる。熱くて、気持ち良い……。

「んぐっ、んんん」
「いっぱい、出てる……」
「済ま、ない。抑え、られなかった」

 ゆっくりと脈打ちながら、次第に流れ込んでくるのが治まっていく。落ち着いたのを見計らって、ミュウツーのチンチンが俺の中から抜けていく。一緒に注ぎ込まれたミュウツーの精液が出口を見つけて俺の中から溢れてるのも分かる。ちょっと、勿体無いなとか思っちゃったぜ。
 とりあえず息を落ち着かせて……盛大に精液を吐き出して同じように息を整えてたミュウツーに馬乗りになった。もう俺、体に火が点いちゃって全然消えてないんだわ。

「……お前、こういう時に謝るの禁止な」
「な、え? というか、この状況は?」
「悪いけど俺さ、完全にスイッチ入っちゃったんだ。今お前の事で頭いっぱいなんだよ」
「えっと、それはどういう……んむっ!?」

 喋るよりもしたくなって、ミュウツーの口に俺の口を重ねた。そのまま舌をミュウツーの口の中に滑り込ませると、ミュウツーの舌と絡める。もう、上も下も、俺の全部をミュウツーでいっぱいにしたい。もっとミュウツーを感じたい。
 それを受け止めるように、ミュウツーの舌も俺の舌に絡み始めた。もう音なんて気にせずに、思い切り貪る。息継ぎに口を離すだけで物足りないって感じちゃうぞ。

「なぁ、いいよな? もっと俺の事、お前でいっぱいにしてくれよ」
「で、出来る限り、頑張ろう」
「へへっ、良い返事だ。なら今度は……こうでいいよな」

 キスでまた大きくなったミュウツーのチンチンを自分から割れ目に宛がって、そのまま座り込むようにして中に飲み込んだ。さっきは俺しか見れなかったけど、これでミュウツーも自分のが俺の中に入ってるんだぞーって分かるよな。

「ほら、見てみろよ。ちゃーんとお前の、俺の中に入ってるだろ?」
「おっ、おぉ……こんなに膨らんでいたのか」
「おうさ。って……なんか中でまたおっきくなってきてんぞ? 入ってるの見て興奮したか?」
「それは、仕方ないだろ。その、君が魅力的過ぎるんだ」

 またそういう事言う……俺を喜ばせたって、キスくらいしか返せないっての。
 ねっとりとキスしながら、さっきとは違って俺が腰を浮かせて、体重のままに降ろす。あ、ヤバこれ、さっきよりミュウツーのが深いとこまで入る。

「んはっ! これ、気持ち良い……!」
「私も、完全に根元まで包まれて、気持ち良い……!」

 こんな気持ち良さ、我慢なんか出来ずにひたすら腰を振る。あーヤバい、気持ち良過ぎて足に力入らなくなってきた。けどまたミュウツーが下からも突き上げてきてくれて、結果として俺達はもっと深く繋がる。どっちの鼓動も速くなってて、まるで同じになったか、一つになっちゃったみたいだ。
 中でミュウツーのチンチンが震えると、ミュウツーは何も言わずに俺をギュッと抱き締めた。一番深くまで繋がって、そのままミュウツーの精液が俺に流れ込んできて、中をいっぱいにしていく。出される度にミュウツーを好きだって気持ちが高まって、もっとミュウツーの事が欲しくなる。もっと、もっと……。
 ……なんて事を時間も気にせずやり続けた結果、俺が正気に戻った頃には窓の外の空は白み始めてました。マジか、一体どんだけやってたんだ俺達。
 今ミュウツーは俺と向き合うように寝て、穏やかな寝息を立てている。この寝顔、ずっと見てても飽きないな。……本音ではミュウツーの顔を見ていて周囲の確認をしたくないだけだけどな。
 が、目を逸らす訳にもいかないから、重い体を起こして確認する。……うん、掃除も必ず手伝おう。
 まずは換気をしようとベッドから立ち上がろうとして気付く。自分の腹が妊娠してるのかって言うくらい膨らんだままだ。これは当然、全部幾ら出したか分からない量のミュウツーの精液だ。ヤッたその日にそのまま妊娠したとしても、こんなに急に腹は膨らまないだろうしな。
 妊娠……そうだよな、してもおかしくない事を俺は、ミュウツーとしちゃったんだよな。ミュウツーってタマゴタイプは不明だろうけど、出来んのかなーこれ。出来るとしたら絶対孕むよな、なんて考えながら膨らんだ腹を撫でると、なんだかそうなってもいいかなと思ってしまった。いや当然そんな事は無いんだよ。孕んだりしたら産むまでは当然バトルになんか出れないだろうし、そもそも宿った場合それは俺とミュウツーの子だ。どんな能力持ったポケモンが生まれるか分かったもんじゃない。絶対大騒ぎになるぞこれ。

「いやー……どーすっかな、これ」
「……もし君が俺との子を孕んで産む事になったら、私は君とその子を必ず守ると誓うよ」
「おっ、あぁ、起きたのか。その、お早う」
「うん、お早う」

 朝の挨拶を交わして頬赤らめるとか新婚かっての。いや、状況的にはそうなんだけどさ。
 とにかくまずは散乱してる部屋の中を少しは片付けておこうって事になって、行動開始。なんて言えば聞こえはいいけども、実際に片付けをやったのは殆どミュウツーだ。君に負担は掛けさせないって言ってな。はぁ……俺はもうマジでミュウツーに行かれちゃったらしい。そんだけの事で胸がキュンキュンしやがる。流石に疲れてっからか体は反応しねーけど。
 その後は一先ず別れて、俺は他のエースバーンの所に向かった。こんな腹じゃバトルになんか出れないし、シャワー室で出そうと頑張ってみても出ねーんだもん。申し訳無いけど、オフを一日延長させてもらった。
 しっかし口々に食べ過ぎには気を付けろって言うか? いや、どっかのオスとヤりまくった結果だってバレるよりはマシだけどさ、軽く凹むぜ。
 ただ、どうもミュウにだけは何があったか察されたっぽい。エスパータイプだからか、それとも多少なりともミュウツーと繋がりがあるからか、鋭いもんだ。あの子の事、これからもよろしくねなんて、分かってないと言わないよなぁ。
 とにかくオフを貰っちゃったんで、自室に戻って横になる。テレビを点けると、そこには今日やってるユナイトバトルの実況を丁度やってた。ミュウツーは……あぁ、居た居た。今日も今日とて、バトルに精を出すみたいだ。けどその表情は、気持ち昨日までのただ冷たいだけだったものより勇ましくなったように見える。それが俺の影響だったらいいなとちょっと思ったけど、実際はどうなんだろうな?

「頑張れよ、ミュウツー」

 開けた窓から入ったそよ風に吹かれながら、自然とそんな言葉が出た。昨日までどんな奴かよく知りもしなかったってのに、俺も存外現金な奴だよな。ま、好きになっちゃったもんはしょうがないよな。
 しかし、この腹どうするかなぁ? 一日休んだら落ち着くもんなのこういうの? うーん……考えても分からんし、とりあえず一眠りするかな。それから収まりそうになかったら、誰かに相談してみるとするか。まぁその場合、明日には俺とミュウツーの関係が宿舎中にバレるだろうけどな……そうならないように祈っとこ。



~後書き~

 エースバーンとミュウツーでの作者久々の官能、如何でしたでしょうか? 連日強過ぎるやナーフしろと言われているユナイトミュウツーを作品内くらいちょっと幸せにしてやろうと思って書き上げた本作ですが、お楽しみ頂けたのなら何より! ここまでお読み頂きありがとうございました!

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