【7】鬼娘の蹠(あしうら)
目次
ポケモンライド中の転落によって重症を負い、僕は入院を余儀なくされた……。
不幸中の幸いとして命に別状はないことと、そして回復後にも体に障害が残るようなことは無いことを医師(せんせい)も請け負ってくれたけど……それでも僕が考える自分の人生の見通しはかなり暗いものとなってしまった。
右足を含む複数個所の骨折と、全身を隈なく打ち据えてしまった打撲傷により僕は自力でトイレに立つことはおろか、その痛みでまともに眠ることすらも難しい有り様となっていた。
全治四ヶ月と診断され、さらには絶対安静も言い渡された僕は学校にすら通うことが出来ない状態なのである。
立てる様になれば通学も再開できるのだろうけど、それだっていつになるのか分かりはしない。
問題は長期休学となれば、そのまま留年も免れないだろうということだ……。
来年以降、次なる学年に進んでしまう同級生達を尻目に一人、一つ下の学年達と肩を並べて次なる一年を過ごさなければならない自分を想像した時──思いのほか僕の心は深く落ち込んでしまった。
そうして気が滅入ると、まるでそれに比例するかのよう絶え間なく体の内側で脈打ち続けていた鈍痛はその響きを強くするかのようで、僕は心身からくるその痛みに呻き声を大きくさせるばかりだった。
そんな折り……
『がおぉ……?』
その声に我へと返り、僕は体の中で唯一動かすことの出来る眼球を動かして声の方向を見遣る。
午後の斜陽が差し込む病室の入り口には……オーガポンが一人で立ち尽くしては、不安そうな視線を僕へと注いでいた。
彼女はこの夏にとある騒動から友達になったポケモンだ。
そもそもが今回のケガも彼女へ会いに行く途中で起きた事故だった。
いつもならば山道を大回りに辿るところを、気が逸るあまりに山肌の絶壁を無理に駆け抜けようとしたことが後の転落事故へと繋がったのだ。
しかしながら今の彼女は僕にとって命の恩人でもある。
事故の直後、異変に気付いた彼女は一早く共通の友人の元へと走り、僕の救助に尽力してくれた。
あの適切で早急な対応が為されず、事故直後のまま放置されたとあってはそれで衰弱死していた可能性だってあったのだ。
『ぽにおー……』
小走りに駆け寄ると、枕元に立つオーガポンは慈しむよう僕の頬や肩を撫でる。そんな彼女はしかし、今回の僕のケガについてただならぬ責任を感じてくれていた。
下手を踏んだのは誰でもない僕のはずなのに、彼女はこの原因が自分にあると断じて譲らなかったのだ。
僕もそれを知るから、再三それは違うという事と気に病む必要は無いとも声を掛けるのだが、それでも責任を感じている彼女はこうして毎日、グミの実やアケビといった果物を持ってきては足繫く僕の病室へと通ってくれていた。
そんな折り僕が情けなく呻いている場面に遭遇したものだから、彼女の罪悪感は再びに鎌首をもたげてしまったのだ。
だから僕もまたいつも通りに気丈に振舞っては彼女を励まそうとするのだが、この日はいつもと事情が違った。
どうにも傷の具合がよろしくない……全身が燃えるように熱を持ってしまっては、すがる彼女にまともな返事も返してやれなかった。
その様子にさらに慌てては声をなど掛けてくれるオーガポンに辛うじて僕は、
「体が、熱いんだッ……傷が、燃えてるみたいに……ッ」
息も絶え絶えにそれだけを伝える。
それを受け、オーガポンは何かに気付いたかのよう目を見開いては背筋を伸ばした。
そして一息後、彼女は若芽の茂み然とした自分のお腹を探る。
いったい何をするものかと、熱で朦朧とする中で見守っていると──やがてはそこから青みがかった何かを取り出して掲げてみせた。
右手にされていたそれは、女性の泣き顔を思わせる青い仮面であった。
『いどのめん』と呼ばれるそれは彼女を水属性に変化させるアイテムではあるのだが、突如としてそれを取り出した意図を分かりかねては僕も混乱するばかりだ。
やがてはそれを被って体の大半を覆ってしまうや、オーガポンの体表も従来の碧色から青へと変換される。
斯様にして自身のタイプを変えると次の瞬間、まるで浮き上がるかのよう彼女は美しく弧を描いて跳躍するや──そのままベッド上の僕の体の上へと降り立った。
思わぬその行動に、着地点に激痛が走るかと瞬間的に覚悟したが──彼女の体重はまさに木の葉程度のもので、その着地に対してはほとんど何も感じなかった。
それに安堵する一方で、今は一緒に遊べないと言い諭そうするよりも先に……依然として面を付けたままの彼女は僕の体の上を歩き始めた。
踏みしめるよう運ぶ爪先に体重を掛け、僕の体の上を足から胸元まで幾度も往復するオーガポン。
同時にそんな彼女の踏みしめた足からは得も言えない冷感の心地良さが伝わってきて僕は大きく息をついた。
言うなれば水タイプである今の彼女はその全身が冷湿布のような状態となっていた。
それを以て僕の上を往復してくれるおかげで、傷の熱は彼女を通し外へと発散されるのだ。
しかも不思議なことに、傷からは同時にその痛みさえもが消え去っていくのだった。
「あぁ……ありがとう、オーガポン……すごく楽になった。気持ちいいよ……」
心からそんな感謝と言葉が出た。
『ぽにおッ? ぽにょー♪』
この効果は彼女にしても嬉しかったらしく、以降もずっと踊るように僕の体の上を歩き続けてくれた。
いつしか痛みが消え失せる感覚と共に、久方ぶりに覚える安らかな眠気に誘われて僕の意識は遠ざかっていく。
夢うつつに彼女の蹠(あしうら)を体中に感じながら、僕はオーガポンと楽しげに山歩きなどをする夢もまた見るのだった……。
あれからオーガポンが毎日通いつめては体の上を歩いてくれたおかげで、僕のケガは驚くべき回復を見せるに至った。
数日後には打撲傷の痛みは消えて、僕は松葉杖にしがみ付きながらも自力でトイレへと通えるようになったのだ。……実はこれが地味に嬉しかったりする。
とはいえしかし、まだまだ学校に戻る為には万全と言い難かった。
むしろ今後のリハビリも含めた回復を考えると、僕の望む状態に戻るにはここからこそ時間がかかりそうだ。
それに合わせてオーガポンの治療もまた変化を見せる。
依然として僕の体の上を歩いてくれる方法は変わらないのだけれど、今度は赤い『かまどのめん』を付けてはそれを行い始めた。
炎タイプの属性へと自身を変化させるそれは、『いどのめん』とは反対に僕の体をじんわりと温めてくれた。
彼女の歩く蹠からは心地の良い熱が伝わり、先と同じように体中を歩まれるとさながら地熱で体を温める岩盤浴に浸かっているかのような癒しに僕は浸れるのだった。
だがしかし……そんな彼女の治療には最近、小さな違和感を感じることがある。
単なる偶然ではあるのだろうけど、その足の運びが股間の周りに集中しているように思えてならない。
骨折した足の上を歩き始めて首元まで登ると、また足元へと降りていくという往復がパターンなのではあるのだが、その際に股間の上に留まる時間が長いような気がするのだ。
しかしながらその時は単に足場として安定したり、はたまた歩くルートを右足の上から左足の上へと切り替える為そこに留まるのは必然かと思っていた僕ではあったが──ある事件をきっかけに、それは彼女の確信犯的な行動だと知るに至る。
いつも通りオーガポンからの治療を受けていた僕は、ある時その心地良さから転寝をしてしまった。
とはいえそれも僅かな時間で僕もすぐに目を覚ますわけではあるのだけれど、そんな目覚めのきっかけこそ、股間一点に集中的な熱の集まりを感じたからに他ならなかった。
何事だろうと思い、依然として息を潜めながらうっすら瞼を開いて見下ろすそこには……僕の股間の上に停滞して、そこへと爪先を躙(にじ)らせているオーガポンの姿が窺えた。
見れば『かまどのめん』もまた外しており、俯き加減に股間そこへと注視している彼女の眼差しは真剣そのものといった印象だ。
何か思惑があるのかと思い、それでも黙して観察していると──やがて彼女は爪先を直接に僕のペニス上へと置いた。
その感触に瞬間、ペニスは反応して身を痙攣させる。
そんな様子と爪先に伝わる感触にオーガポンも驚いたような表情を見せるがそれも一時で、そこからはさらに無遠慮に僕のペニスを弄び始めた。
もはや踏む程度ではなく、指の股の間で挟み込むように押さえつけては上下になぞるなど、明らかにペニスそれへ触ることを意識した触れ方である。
イタズラっ子の彼女はたいていつも何かイタズラをしては僕に見とがめられて注意されるという関係が双方の間に構築されていた訳だけれど、この時は何故か僕自身も気まずくて狸寝入りを続けてしまった。
一方で注意を受けないオーガポンの行動はさらにエスカレートしていく。
指の股で摘まみ上げると、そこから万力のような力を加えて僕のペニスを締めつけだした。
尿道を上にして仰向けにされたペニスの亀頭のカリ首や陰茎の中頃をつまんだり離したりしてはその触感を愉しむオーガポンは事実楽しそうに見えた。
見下ろす下瞼が上ずって両方の口角が上がっている表情は明らかに笑っている顔ではあるのだけど……しかしそこには明らかに、いつもの遊びに興じている時のような無邪気さとはまだ別の感情もまた秘められてるのが僕には分かった。
理解不能のそんなオーガポンの行動に早くそれが終わることと、さらには誰か看護婦さんでも友達でも訪れてくれないかを祈る僕だったが、正午の中途半端な時間帯とあっては内外共に人の来訪は皆無で、おまけに個室とあってこの場は完全にオーガポンの遊び場と化してしまっていた。
やがてはそんな彼女のイタズラの手が止まる。
そのまま微動だにせず、うつむいたまま僕の股間一点を見下ろし続ける彼女の様子にようやくこれも終わるかと安堵するのもつかの間──オーガポンは再びそこへ爪先を伸ばすと、今度は入院着の褄下を摘まみ上げてはそれをはだけさせた。
全身打撲というケガの治療からも、裾の長いガウン型の病室着に身を包んでいた僕の下半身は、そうして褄下を左右へ開かれると下着だけの下半身を簡単にオーガポンの前にさらけ出されてしまう。
そうしてまさかと思いつつも身構えていれば──その予想通りに、オーガポンは器用に爪先の指先で僕のボクサーブリーフを摘まみ上げては無遠慮に下ろしてしまう。
同時に、下着の拘束から解かれた僕のペニスは跳ね上がるようにして屹立した。
それを前にオーガポンもまた大きく口角を開いては息を飲み、喜色満面の笑顔を輝かせる。
そして今度は、直に僕のペニスへと触れては先程の行為が始められた。
一切の衣類を仲介しないオーガポンの蹠は、どこまでも柔らかくて暖かい。
触り方も先ほどまでの指の間で挟み込むようなものではなく、足の裏全体を踏みしめるようにして吸い付かせては、まるで窄ませた手の平を宛がうかのようそこ全体で僕のペニスを摩擦し始めたのだ。
オーガポンの足の裏に滲む彼女の汗と、そして僕のペニスから滲む腺液で瞬く間に場には粘着質な水音と、そして性器独特の生臭い芳香とが立ち上がり始めた。
先ほどまでとは打って変わったその、粘液を介した暴力的なまでの刺激に僕は場違いな尿意を感じては内心で慌てる。
同時にこの感覚こそが『射精』に通じるそれなのだとも気付き、なおさらに混乱するのだった。
恥ずかしい話、今日まで僕はオナニーなんてしたこともなかった。
そもそも周囲のみんなが言うようにムラムラすることもなかったし、性自体への興味も薄かったからだ。
そんな僕が今、強制的に人生初の射精へと導かれようとしている困惑が伝わるだろうか? ……しかもその相手はポケモンで、おまけに親友(オーガポン)であるのだ。
その困惑の中、いよいよ以て僕は放尿への堪えが利かなくなってきた。
心臓はその音が漏れだしているのではないかと思うほどに大きく打ち鳴らされ、もはや喘ぐような呻き声すらも漏らしていたが──それに気付いてか、それとも夢中になるあまりに気付かないのか、オーガポンの足の動きが止むことは無かった。
そして遂にその瞬間は訪れてしまう。
睾丸に圧迫感を感じ、会陰と肛門が激しく引き絞られるや次の瞬間──僕は身を仰け反らせては射精を果たした。
人生で初めてのそれは、その衝撃のあまり快感など微塵も感じられなかった。
ただひたすらに長い何かが、尿道を擦りながら腹の奥底より引き抜かれるような喪失感に情けない声を上げる。
それは括約筋の疲労と共に尿道が打ち絞られるごとに放出を続け、僕の意識を朦朧とさせた。
一方でオーガポンはと言えば……片膝を僅かに上げ、亀頭の先端にかざした蹠にて打ち付けられる僕の射精を一身に受け止めていた。
激しく打ち放たれる精液が土踏まずへと当たって弾けるたびに、その感触と温度にオーガポンも半閉じの瞼を蕩けさせては開け放った口先を窄ませてと……これまでに見たこともないような恍惚の表情をそこに浮かべていた。
やがては吹き出し続けていた僕の射精の勢いも弱まり、その放出が完全に止まると──オーガポンはかざしていた蹠を再び亀頭の裏側へと接地させる。
そのまま踏みしめるようぐりぐりと爪先を捩じらせられると、僕は射精直後の激しい痛痒感も覚えては陸の魚のよう身を捩じらせる。
しばしそうして弄んだ後、ようやくにオーガポンの蹠はそこから離れた。
存分に僕の精液を絡ませた足の指を広げると、指々の谷間には精液の端が糸を引いて掛けられる。
そんなオーガポンの足は更に上昇していってやがては膝が水平となり、そしてその膝が肩の高さまで上げられると……オーガポンは前屈みに上背を屈ませ、自分の鼻先にまで運ばれた爪先全体をまるでパンでも頬張るかのよう丸々と咥え込んでしまった。
当然のことながらそこには僕の精液がこってりと付着していたわけではあったが、彼女はそんなことなど一向に気にする様子もない。
それどころか執拗に舌先を躍らせながら自分の爪先を舐るその様子からは、むしろ僕の精液を味わっているかのような素振りすら伺えた。
やがては大きく吸いつけながら小気味良い破裂音を一つ奏でて口中からそれを引き抜くと、彼女の唾液に照りを返したオーガポンの艶めかしい爪先がそこには晒された。
そしてそんな魅惑の蹠は再び地へと降ろされたかと思うと再び……僕のペニスを踏みつけてはそこの周囲に貯められた精液を蹠に絡ませていく。
以降はそれの繰り返しだった──。
彼女は幾度となく射精後の僕のペニスを踏みしめては精液を味わい、これ以上にない妖艶な笑みでそこに注視をする
そんな昨日までのオーガポンからは想像もできない彼女の表情に困惑し、そして射精直後の疲労にも苛まれては眩暈もまた覚えると……僕の意識は緩やかに本物の眠りの中へと堕ちていくのだった。
※ 注意!
このお話には 飲尿 の描写が含まれます。
目覚めた時、周囲が真っ暗だったことに僕は驚く。
眠りのせいで時間と感覚が飛んでしまっていたから、あたかも一瞬で昼夜が逆転したような錯覚に囚われてしまったのだ。
あまりによく眠っていたことから、誰も僕を気遣って起こさなかったらしい。
窓から差し込む月明りが眩くて室内は照明など無くとも隅々まで見渡せた。
そして僕の視線はこの部屋の中にオーガポンを探してしまう。
首が動かせる範囲で中を見渡し、そこに彼女が居ないことを確認して大きく息をつく。
昼の出来事があまりにも衝撃的過ぎて、一瞬それを夢とも思った僕だったが……今も下腹に残る喪失感の名残は、間違いなくオーガポンにイタズラされたという事実を物語っていた。
同時に体がだいぶ軽くなっている感覚もまた覚え、戸惑う心とは裏腹に肉体は確実に回復していることもまた僕は実感して複雑な気持ちになる。
「……オーガポンに、どういう顔で会えばいいんだろう?」
ふいにそんな心の声が口を突いて出た。
たぶん彼女の顔を見れば、僕はこの複雑な心中を隠せずに動揺してしまうことだろう。そしてそれにオーガポンが気付いてしまった時、あるいは僕達の関係は終わってしまうかもしれない。
永らく人との交流を断っていた彼女の来歴を考えるとそれだって十分にあり得る話だ。
せっかく友達になれたのにこんなことで疎遠になってしまうことは僕としても本意ではなかった。
そしてそんな答えのない考えに囚われている僕を見計らったかのよう……
『ぽにお?』
その声に僕は我に返る。
視線を部屋の出入り口に向ければ──そこにはオーガポンが居た。その登場に僕も驚きを隠せない。
「家に帰らなかったのかい?」
『ぽにおーん♪』
思わず訊ねる僕の声が嬉しいのか、オーガポンは小走りに駆け寄ってきてはそのままベッド上の僕に抱き着いて頬ずりをした。
そんな彼女からの抱擁を受けながら、僕はどう振舞ったらいいのかを考えあぐねる。
絶対にわざとらしくなってはいけない。いつも通り自然に彼女との会話を試みようと考えるも……思考はそう思うほどに空転して、逆にいつも以上に僕を無口にさせてしまうのだった。
しかしながらそんな僕の心配も杞憂に終わる。
しかも最も忌避していた状況の中、最も予想外の形で。
僕の心配をよそにオーガポンは再び宙へ舞い上がると僕の体の上に降り立った。
また足踏みの治療を施してくれるのかと思いきや、僕のお腹の上に立ち尽くして月光を受ける彼女は、そこから僕を見下ろしたまま一向に動き出そうとはしなかった。
そして照らされる月光で露とされた彼女の半面を確認して僕は息を飲む。
オーガポンは哂っていた……今日の日中に僕を弄んだ時と同じ貌で。
その何故を問う間もなく彼女は屈みこんだかと思うと、ふいに僕の鼻先にキスをする。
幾度となく唇を吸い付けさせて浅くそれを繰り返した後、彼女は突如として立ち上がるや、その身を反転させては僕に背を向ける。
そうしてそこから首だけを振り向かせるオーガポンと背中越しに視線が合う。
斯様にして彼女は僕を捉えたまま……やがてはゆっくりと腰を下ろし始めた。
そんな行動に焦ったのは僕だ。
なぜならばこのまま身を屈めていけば、位置的に彼女のお尻が僕の顔の真上へと被さることとなる。
もしそれが目的なのだとしたら彼女の思惑は何処にあるのだというのだろう? ──そして僕が制止の声を上げるよりも先に、
『がお~……♡』
オーガポンは僕の顔面の上へ完全にお尻を付けてしまうのだった。
「むッ……むぐぐ……オーガ、ポンッ?」
さながら僕の顔の上に座るオーガポンの体勢は、もはや触れ合わせる程度のものではなく、完全に僕の鼻頭に全体重を乗せた無遠慮なものだった。
とはいえ元が身軽な彼女の体重とあっては痛みも苦しみも無いのだけれど、それ以上に僕を困惑させたのは、下着の類なんて一切着けていないオーガポンの生のお尻の割れ目が僕の鼻と唇とを挟み込んでしまっているという状況だった。
鼻頭が窪みの一点へと入り込み、その先端に焼けるような熱を覚えさせているのはそこが彼女の肛門に触れているからに他ならない。加えて鼻の下には……紛う方なき、オーガポンの女性器が触れていては、そこにある陰唇の狭間に上唇を埋めていた。
排泄器官でもあるそこからは独特の強い香りが醸されてはいたが、不思議とそれに嫌悪は感じなかったのが意外だった。
というのも彼女の肛門からはドクダミにハチミツの香りを混ぜ込んだかのような深いハーブ臭が醸され、そして膣そこからは柑橘系を思わせる芳香と酸味とが上唇から鼻腔へと流れ込んでいた。
それら二つの香りに不覚にも何処か異国のフルーツを連想した瞬間──無意識に僕は、オーガポンの膣へと舌先を侵入させてしまった。
その感触に驚きを強く含んだ声を上げるオーガポンではあるがしかし、それに嫌悪を感じている様子はない。むしろ僕からのアプローチを喜んでは、
『ぼにおッ、ぽにょー♡』
さらにお尻を左右によじってはより深い接触と、アソコを舐める行為のおかわりを求めててくるかのよう振舞う。
この段に至ってはもう、僕もなんだか吹っ切れた気分になっていた。
今さら説得させて辞めさせるのもなんだかマヌケに思えてしまった僕はならばと、彼女のお望み通りにそこへ再びに舌を這わせる。
無意識に舌先を触れさせてしまった先ほどとは違い、今度は彼女の膣の中を味わうかのよう深く舌を挿入させては、その狭い膣道を大きく舌の腹で刮ぐ。
舌全体に唾液とは溶け合わない感触の体液がまとわりついてきては、僅かに舌先を痺れさせた。
こういう知識はまったく無いけれどもしかし……
『んがおーッ♡♡』
そんな体液を滲ませてくる理由こそは、オーガポンがこの行為を愉しんでくれているに他ならない事が手に取るようこの時の僕には分かってしまうのだった。
彼女自身も吼えるように声を上げながら、自身からも腰を前後させてはより一層に自分の秘所を僕の顔へと擦り付ける行為に躍起となっていく。
そしてこんな禁じられた遊びの終わりは唐突に訪れる──……。
『んがおぉ……んおッ、おぉ、がおぉん………ッ』
突如としてオーガポンは口唇を窄めさせては野太い声を咳き込むように発しだした。
威嚇するみたいな低いそれは何かを耐えているかのようにも感じられて、一体それがどういう感情に基づくものなのかと僕も愛撫を止めた瞬間──突如として顔面全体に灼熱の飛沫が上がった。
焼けるような感触のそれに何が起きているのか瞬間混乱するも、その発生源が唇の先にあることに気付いた僕は……それが彼女による放尿行為なのだと気付くに至った。
「わ、わああぁ! ま、待ってッ……わぷッ、オーガポン!」
顔の上に腰かけられているとあってはもはや僕にそれを避ける術もない。
それどころかオーガポンにしても、もはや完全に両足を宙へ掲げてしまっては全体重をお尻一転に掛けては、僕の顔へ完全にそれを密着させている状態だった。
そしてそんな逃げ場の無い状態での中‥…息苦しさからも自然と、僕は口の中に溢れるオーガポンのオシッコを飲み下してしまう。
しかしながらその瞬間に感じたものは……──
──あれ……これって、100%系のオレンジジュース!?
その味わいに僕は目を剥く。
鋭い酸味の中にも唾液腺を崩壊させるような甘みが凝縮されていて、それらが喉を通り過ぎた後にはほのかな苦みもまた残す味わいは完全にオレンジジュースのそれであり、そして同時にこんなに美味しいそれは生まれてから呑んだこともない味わいだった。
一瞬でその虜になり、僕は吸い出すかのよう唇をオーガポンの尿道へと強くキスをする。
『んがお~♡ おぉーん♡♡』
それを受け、オーガポンもまた感じ入ったよう甘い声を奏でては、僕からの愛撫に身を震わせる。
やがては最後の一滴まで僕に吸い取られ、完全に彼女の膀胱が空になると……オーガポンはようやくに立ち上がっては、僕をそのお尻から解放するのだった。
そうして振り返りながらに身を屈ませると、
『がお?』
まるで感想を求めてくるかのよう微笑んでは、小首をかしげるような仕草をオーガポンはした。
それを前に、
「あ、えっとぉ……」
僕は自分がオシッコの味の感想をしている状況に戸惑いながら……
「そのぉ……うん、美味しかったよ」
そんな何ともへんてこな答えを返す。
しかしながら、そんな僕の答えにもしかし彼女はその顔へ満面の笑顔を浮かべては、
『ぽにょー♡ ぽにゅー♡♡』
仔犬のように僕の顔を舐め尽くして、オーガポンは幾度となく嬉し気に額を押し付けてきては思いの限りに甘えてくるのだった。
『ぽにお♡』
あの夜以降、オーガポンによる性的なマッサージや行為はすっかり日常化してしまった。
日中は変わらず僕の体の上を歩いて治療した後は精液を抜き取り、そして夜には自分のアソコを舐めさせては必ずその締めくくりにオシッコを飲ませて来た……。
もちろん僕も最初はこれに関して否定や抵抗もしたのだけれど、いかんせんベッドから起き上がれないに身の上もあって、なかばオーガポンは力づくでそれら行為を行っていた。
そして今宵もまた……鬼の饗宴が満月の下で行われる。
今日のオーガポンは向き合うような体位で跨ると、両膝を僕の顔の左右に立てては太腿で頭全体を挟み込んだ。
そして僕の後ろ頭を両手で掻い繰っては、膣口そこへと顔面を押し付けながら前後に体を揺すった。
『がお、がおッ、んがおーッ♡』
僕の鼻先がクリトリスの先端をくすぐる感触が気持ちいのか、オーガポンはそこ一点を慰めるように股間を押し付けてくる。
同時に見下ろす視線が絡むと、彼女は妖艶に微笑んでは僕からも膣内へと舌を侵入させるよう要求してくるのだ。
もはや一切の抵抗が出来ない僕はこの要求に従う他ない。
そろそろと舌先を伸ばすとその互いの粘膜が接触する感触にオーガポンは嬉し気に声を上げた。
ポケモンと人とのこんな関係なんて到底許されるものじゃない……しかしながらそんなことは頭では分かっていても、最近の僕はこの行為を心待ちにしていたりもした。
肉体的な快感も然ることながら、何よりも僕からの奉仕でオーガポンが気持ち良さそうにしてくれる反応が楽しくて、そこに新しい悦びを見出してしまってたからだ。
だから僕ももう、今ではすっかり開き直ってはオーガポンを愛する行為に没頭した。
そもそもが身動きも取れない入院中とあっては、こんな彼女のとの触れ合いは今の僕にとっては欠かせない娯楽ともなっている。
そして最近では僕もすっかり慣れたもので、彼女の喜ぶポイントというものも把握し始めては能動的にそこを攻める様にすらなっていた。
思いきり顔を押し付けて舌を伸ばすと、小さいオーガポンの膣内はすぐに舌先が奥底のへと届いてしまう。
そこに鎮座する子宮口の上側を舌先でなぞることが、何よりも彼女を狂わせるポイントなのだ。
そして例に漏れず今日もまたそこへの集中攻撃を仕掛けると──たちどころにオーガポンは絶頂した。
その際の脱力と同時に彼女からの排尿もまた僕の口中に果たされる。
『んおぉ~……おぉ~ん……ッ♡』
長く呻きの尾を引きながら性的絶頂と肉体的開放の両方に打ち震えながら今日もオーガポンは僕にオシッコを飲ませた。
不思議なのはそんな彼女のオシッコが毎回、味が違うというところにある。
今日は桃を思わせる甘みの強いそれが焼けるような熱を以て僕の喉へと流れ込んできた。
喉ごしにざらつきを覚えるほどに濃厚なオシッコはもはや、ジュースというよりはシロップのような感触すら覚えるほどだ。
最後の一滴まで吸い尽くした後、最後にもう一度だけ優しく尿道そこへキスをすると僕の口もようやくに離れる。
ふとそこから視線を上げれば、股座に挟み込んだ僕を見下ろしているオーガポンと目が合った。
思わぬそれについ苦笑いをしてしまうと、彼女もまた体全体で僕の頭を抱き込んでは何度も頬ずりをして愛情いっぱいに額や顔を問わずないキスの嵐をお見舞いしてくる。
そうして僕もそのキスに応えながら行為が終わるのがいつものルーチンではあったのだが……今日はその先にもう一つ続きがあった。
一頻りキスを終えるとオーガポンはやおら立ち上がる。
そうして僕の体の上を歩いていくと、股間の上に留まってはそこに爪先を突き捩じらせた。
言わずもがなペニスを弄ぶその動きに、僕も反射的に声を上げると同時──ペニスは僕の意識に反して即座に勃起するや角度も鋭く立ち上がったのだ。
性的な興奮が無い訳ではないけれど、あまりにも僕の感情を置いてけぼりにしたその反射に当人である僕は強い戸惑いを覚えずにはいられない。
そしてそれを誘ったオーガポンは……まるでそうなることを知っていたかのよう、そんなペニスを見下ろしてはクスクスと笑うのだった。
いつもの流れに無いその行動にただ戸惑うばかりの僕に身を振り返らせると、オーガポンは屹立するペニスを足の間にこちらを見下ろしてみせる。
そうして僕の目を真っすぐに見つめたまま膝を折り、開脚させた股座を見せつけたまま彼女はゆっくりと腰を下ろしていった。
その行動を前に、ようやくに僕は強い興奮と胸の高鳴りを覚えては生唾を飲み込む。
このままオーガポンと腰同士を接触させれば、彼女の膣の中に僕のペニスが収まってしまうこととなる。
それこそは正真正銘のセックスであり、それを僕も理解するからこそ……彼女と一線を越えようとしている状況に強い戸惑いとそして興奮もまた覚えてしまうのだった。
「あぁ……だ、ダメだよ……人とポケモンがそんな……」
口では否定しつつも、僕は今にも挿入されようとしているペニスの先端から目が離せない。
それどころか心の奥底では、早くその瞬間を迎えることを望んですら居る。……内心では、誰でもない大好きなオーガポンとそうなれることが純粋に嬉しかったのだ。
そして亀頭が陰唇を押し分け、僅かにその先端を埋めた次の瞬間──
『んん~……がおーッ♡』
そこから一息に、オーガポンはペニス全体を全て自身の膣(なか)へと収めてしまうのだった。
それ受け、
「あ、うわああああッッ……!」
『ぽにゃッ、ぽにょ~……ッッ♡♡』
僕らは揃って声を上げた。
この時に互いが感じたものは焼けつくような熱に他ならない。
僕に至ってはその熱さにペニスが一瞬で解け消えてしまったかと思ったくらいだ。
そしてオーガポンはと言えば……
『ぽにょ♡ ぽにょッ♡ ぽにおーんッッ♡』
そんな余韻に浸ることもなく、激しい上下ピストンを開始していた。
僕のお腹の上に両手を置き、突き出したお尻を強くしならせながら繰り出されるピストンは暴力的ですらあった。
この小柄な体でそんなに動いてしまって苦しくはないだろうかと彼女を見上げれば、そこには苦悶に眉元をしかめつつも、牙を食いしばっては自身の中に滞留する快感を御している様子のオーガポンが窺えた。
彼女は彼女なりに堪能しているのだと分かると、この快感が一方通行的な物ではなかったことに僕も安堵する。
そうして僕からも何かしてやれないかと思い、彼女が打ち下ろしてくる動きに合わせてお尻を捩じらせた瞬間──僕の腰は大きく跳ね上がっては下から彼女を突き上げた。
『ぽぎゃあッ!?♡』
その一撃は彼女にしても思いがけなかったようで、亀頭が激しく子宮口を打ち潰す感覚に驚いては悲鳴を上げる。
しかしながらそんな腰の動きに驚いているのは僕も然りだった。
昨日まで……否、つい先ほどまで動かすことも叶わなかった体が動いたのだ。さらに不思議なことに、そこからは痛みさえも消え失せていた。
「これなら……。オーガポン、動くよ?」
『……にゅ? がおおぉッ!?』
そうして僅かに身を起こすと、僕もまた一定のリズムを以て下から突き上げる動きを敢行する。
自重を掛けたオーガポンのお尻と僕の腰とがぶつかるたびに、押し出された彼女の愛液が飛沫を散らせる。
その都度、亀頭に押し付けられては吸い付いてくる子宮口の柔らかさと、そして一方でオーガポンは子宮口を突き上げてくるペニスの弾力の快感に、僕らは互いに意識を朦朧とさせた。
もはやオーガポンも僕も我を忘れて互いの体をぶつけあうことに躍起になっては、その快感を貪ることに夢中となっていった。
そのなかでついに僕は限界を迎える。
初めてのセックスで迎える射精に対し僕は完全にタイミングを逸し、
「ごめんッ、イッちゃうぅ!」
辛うじてそれを継げた次の瞬間には、僕は今日までで最大の量になる精液をオーガポンの膣(なか)へと吐き出していた。
それ受け、
『んがおぉ──────ッッ♡♡♡』
オーガポンもまた喉を晒しては身を仰け反らせると、激しく絶頂して果てた。
突き出されるオーガポンのお腹が波打つ様子に、彼女の膣がその全身を使って僕の精液を絞り上げている様子が傍からでも分かるようだった。
やがてはそんな体が突然に倒れこんでくると同時、彼女は僕の胸板の上に体を預けたまま微動だにしなくなってしまった。
互いの荒い呼吸だけがこだまする病室もしかし、やがては消え入るようそれも治まっては静寂に包まれていく。
そうしていつしか僕らは融け合うようにして眠りに落ちていった。
心地良い疲労感と一体感に満足して眠りについた僕はその夜、不思議な夢を見ることとなる。
僕の知らない誰かの容体を看取るその内容は──……
オーガポンが過去に体験した出来事を追体験する内容だった。
僕は男の人を見下ろしていた。
仰向けにされたその人は今にも事切れそうなか細い呼吸を繰り返していて、その全身は所々が傷や血糊で汚れていた。
胸元を広範囲に変色させた皮膚と創傷や咬傷を思わせる傷口は荒々しく噛み破られ、その下から骨の断面を覗かせたそれらからは今も緩やかに出血が続いている。
表面上でこれほどの状態というのだから、おそらくはその内部である骨や内臓にも深刻なダメージがあることは、今の容態と併せて見ても間違いないだろう。
ともあれ、もはやこの人が死んでしまうのも時間の問題に思えた。
そんな彼に必死に呼びかけては元気づけようとする声が聞こえる。
悲壮な中にも聞き覚えのある澄んだ響きの声はそう……オーガポンのものだ。
同時にその時の彼女の心情もまた僕は察することが出来た。
いま目の前で死に逝かんとしている人は、とある騒動に巻き込まれたことを切っ掛けに好からぬ輩(ポケモン)達からの襲撃を受けたのだ。
そしてそのことを知ったオーガポンは、激情に駆られるがあまりこの人の治療よりも先に復讐を優先させてしまった。
果たして報復は遂げたものの、いざ我に返り状況を冷静に確認した時……既に大切なこの人は救うこと叶わない状態に陥ってしまっていたのだった。
そんな目の前の彼に縋りながら何度も自分の馬鹿さ加減を悔いては謝り続けるオーガポンに、彼も小さくかぶりを振る。
『悪いのはあのポケモン達であって、お前は何も悪くないよ』──そんな優しい言葉もまた掛けてくれるのだがしかし、その変わらぬ優しさが今は何よりもオーガポンを苦しめてしまうのだった。
彼女を激しく責め立てている理由のひとつには、オーガポンにはこの人の傷を癒せる手段があったということだった。
それにも拘らず自分は復讐を優先させてしまった──あんなくだらない連中に意識を向けてしまったが故に、結果として最愛の人を失う羽目となってしまった……その事が彼女を、自分で自分を赦せない状況へと追い込んでいた。
やがては夜明けを待つこともなくその人を看取り、オーガポンは絶望の淵へと落とされる。
過ぎ去りし日に『もし』などは無い。
今日をどんなに悔いたところで過去を変えられる術などはこの世のどんな存在とて持ちわせてはいないのだ。
絶望の日々を涙に暮れながら、だからこそオーガポンは決意した。
もし再びに大切な人が目の前で傷ついていたら、その時は全力を尽くしてその者を癒してやろう──と。
こんなことは二度と繰り返してはならないのだ……そう誓いながらもその実、誰よりも身近な自分自身の心の傷を癒せずに涙するオーガポンを、僕はとても可哀そうに思った。
今すぐにでも駆け寄って抱きしめてやりたいと思った。
気休めでもいいから「君のせいじゃない」と声を掛けてあげたかった。
それでもしかし傍観するばかりの夢の中ではそれも叶わず、やがてすべての情景は白く霞んでフェードアウトしていく。
遠ざかるオーガポンの小さな背中を見送りながら、僕はたまらなく彼女への慕情が募るのだった……──
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