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significance of existence -存在意義- Chapter1 生を求めて の変更点


&color(#567890){''-存在意義-  Chapter1 生を求めて''};


作者:[[トランス]]

前話:[[significance of existence -存在意義- Prologue]] 


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※現在のところは何の表現もありませんが、今後グロテスクな表現が入るかもです。


#contents

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**#1 朝日の奥の影 [#pa28e926]


──暖かい陽射しの温もりを感じて、僕は意識を取り戻す。ゆっくりと目を開くと、しっかりとした木の天井が映った。自分で建てたにしてはやっぱり結構しっかりしてるな~と、「やっぱり僕は天才だね」って思った。
窓が少しだけ開いてて、隙間から入り込んでくる風が落ち着いた色の翠のカーテンを揺らしてる。風に運ばれて鳥達の楽しそうな囀りも聴こえてくる。そんなに楽しそうに鳴いてると、こっちまで楽しくなっちゃうよぉ♪…はぁ、でもやっぱり眠いなぁ。

「んーっ…ふー」

僕はベッドの上で一回伸びてから見える限り部屋の中を見回す。リビングに下りる階段に通じるドアから見て正面の壁にベッドがぴったりくっ付いてて(壁際が好きなんだよ~)、左側の壁全部が窓になってる。…他には何も無いんですね、荷物少ない方が好都合なんでね。…うん、異常無しみたい。
枕元に置いたホーホー型の時計を見ると、針は午前7時18分を示してた。

(もう朝かぁ…早いなー…)

伸びてみても覚めない眠気を、頭をぶるぶる振って少しだけ飛ばすと、僕はベッドから降りて寝室を出る。

ああ、申し遅れたね、僕はペアル=ラネティ。見てのとーり、エーフィだよ。性別?うーん…実は僕前に色々とあってね、どっちなのか判らないんだよねぇ。確認すればいいって?この、ヘンタイ!!え?もよおした時はどうするかって?なっ、何でそういう事ばっかり聞くの?うー、まぁ…普通に…しゃがんでするだけだけど…てか、そういうことは聞かないでよっ!どうして判らないか?初対面のあんたに話せと?…ふふん、冗談冗談。そんなに怒らないでよ。まぁ気が向いたら話すことにするよ。

1階に降りて洗面所で顔を洗います。ちょっとは眠気が取れたかな。一息ついて顔を上げてみると、鏡に映る自分の寝癖だらけの顔と目が合う。僕はその跳ね上がった毛を前脚で弄って苦笑いを返す。鏡の中の自分も同じ表情をした。でも直すの面倒だからそのままにしとく。取り敢えず僕は念力で鏡の横にある棚から歯ブラシとコップを取り出して、歯を磨きます。ほら、朝起きた時って何だか口の中気持ち悪い時ない?起きたら歯を磨くの、僕の日課なんだ。…うーん、でもこの寝癖の僕とただ睨めっこはつまらないから、歯ブラシとコップを持って(念力で)リビングに行きまーす。
リビングにも朝の眩しい光で溢れてて、昨晩の嵐で窓に付いた水滴が光ってきれいだなぁ。僕はリビングの真ん中辺りにあるシックなテーブルにコップを置いて側にあるソファに腰掛けて正面にあるテレビに念派を飛ばしてボタンを押す。念力って便利でしょ~。
天気予報やってるね。タイフウイッカだっけ?今日は良く晴れるみたい。エーフィとしては嬉しいかな。嬉しくて歯磨きに気合入っちゃうなぁ。こうリズミカルにっ♪

『臨時ニュースです。ゴッド地方南端に位置する神聖な地、リネスの森で、死体が発見されました。』

念力を止める。僕はテレビに釘付けになった。テレビの中に映ったゴチルゼルのお姉さんは書類を片手に話し始める。

『発見されたのは森の警備員の1人と思われるジュカインさんの死体で、死因は胸部から腹部にかけて何やら鋭利な物によって裂かれている死傷との事です。昨晩の嵐の豪雨の影響で死亡推定時刻の調査に遅れが出ている模様。また、付近の荒れ方により、ポケモンによる殺害と見て,警察は調査を進めています。…あっ、新しい情報が入ってきました、犯人についてですが──』

僕はそこでテレビを消した。念力で止めたままの歯ブラシも、テーブルの上に下ろす。

…もう見つかったんだ…あの死体…

「全く…どうせ貴方の仕業なんでしょう?もう少し大概にしたらどうなんですか?」

ぼんやり中空を見て考えてた時、僕の耳が聞き覚えのある声を捉えた。その僕に呆れを感じている様な口調を聞いて、思わず僕は溜息を漏らした。

「あーあーそうですよ。僕がやりました。で?何か文句があるのかな?&ruby(・・・){サック};=&ruby(・・・・・・・){ラプチャーくん};?」

「…その言い方やめて貰えませんか?何だか苛々するんで。」

振り返りつつ返答した僕に生意気に答えたのは、螺旋階段の中間にある窓の淵に座った、一匹の子ネズミだった。



**#2 奇怪なネズミ [#t09894d3]


そのネズミ…黄色の短い体毛に覆われた、おっきな耳のピチュー、サックは呆れきった表情で僕を見下ろしてた。…なんていうか、こっちの方がムカつくんだけどな。
改めて紹介するよ、このピチューはサック=ラプチャー。色々とあってね、こうして何時も僕に会いに来るんだよ。というか、家に居ればいいのに、何故か顔を赤くして断るんだよねぇ。変わってるよね。ああ、変わってるのは当たり前か。

ピチューってさ、まあ感じ方は人それぞれだけど、カワイイポケモンでしょ?分類も子鼠ポケモンって、まさに子供の中の子供、みたいなさ。…でもね、サックはちょっと普通のピチューとは違うんだよ。
まずもうお分かりの通り、口調だね。態度は生意気盛りな子供のままなんだけど、何故か敬語を使って話す。生意気な言葉を敬語で話す、一番苛立たしさを膨らませるやつだね。まぁ性格とか態度は個性だとみれば普通の事だと思うんだけど、それ以上に外見が凄い。前髪の癖っ毛も凄いけど。
始めに気が付くのは、背中に生えてるゴルバットみたいな羽。黒ベースの結構おっきいやつ。それと尻尾。普通のカクッと曲がった短い尻尾の変わりに、ヘルガーみたいな先の尖った長ーい尻尾になってる。極め付けには、背中に背負った&ruby(さんさそう){三叉槍};((ポセイドンがもっていたとされる先が三つに分かれた槍。))。闘う時もコレ使うんだよねぇ。もう見た目は完全に悪魔。いや、子供だから小悪魔か。どうでもいいか。

どうしてか?うーん…ごめんね、話すとサックが嫌がるだろうから…サックがいない時に話す事にするよ。
それと、これはよく判らないんだけど、何故かセーラー服っぽいの着てる。しかも黒と灰色のやつ。何だか根暗だよね。まぁネクタイの代わりにスカーフ巻いてるから、セーラーじゃない。ちなみに言っとくと、男の子です。だから勿論、下は短パンだけどさ。何でって聞いても顔を真っ赤にして怒るばっかりで、教えてくれないんだよ。僕は少しでも自分の変わった姿を隠そうとしてるんじゃないかって思ってるんだけど…かえって目立つような気も…

兎に角、サックは変わった奴なのです。でも、そこの所はあんまり深く追求しないでほしいかな。サックは結構気にしてるみたいだから…取り敢えず、本題に戻るとしますか。

「イライラするのはこっちだよ、その態度いい加減直したらどうなんだよ。」

「何をどう直したらいいんですか?別に僕は思った事を正直に言っているだけなんですから。」

やっぱり生意気だぁ~!!全く、何時も何時も注意してるのに、一向に直そうとしないんだから!ああ判った判った。サックがそういう気ならちょっとお仕置きが必要だね。

「…まぁいいや、そういえば、ちょっとサックに頼みたい事があるんだった。こっち来てよ。」

「頼みたい事?…まあいいでしょう。でも急いでくださいよ、早く此処を離れないと、奴ら何時此処に現れるか…最近は探知機の調子も何だか悪いんですから」

よしっ、一瞬不思議そうな顔をしてたけど、何とか誤魔化せたみたいだ。窓の淵に足を組んで座っていたサックはぴょんと淵に立ち上がると、その翼を羽ばたかせてこっちに降りてくる。翼がある感覚って、どんなものなのかな。ちょっと興味が沸いた。翼の膜の様になった薄い部分が後ろの窓から差込んでくる日差しを浴びて少しだけ明るい色に見えた。

「…ふう、それで、どうしたんですか…ってうわ!?」

はい、いっちょあがりぃ~♪僕はサックがフローリングの床に足を着けたのを確認して、自分の中の自然の力を増幅させて足元から地面に放出した。サックは見事に僕が育て上げた蔓草に身体中を絡め取られた。草結びをここまで鍛えるの、苦労したんだから。これも努力の賜物だねぇ。

「何するんですか!?離して下さい!」サックは暴れるけど、小さなサックの力じゃ、この蔓は簡単には千切れまい。それにかなり複雑に絡めたから、解くのも難しいだろうね。

「聞分けの悪い子にはお仕置きが必要でしょ?」僕はそっとサックに近付く。サックは“お仕置き”って単語に少なからずビビッたみたいで、僕が足を踏み出した瞬間ビクッと反応した。ふふ、やっぱりまだまだ子供だねぇ~。僕はどっちの性なのか判らないけど、こういうサックを見るとキュンキュンしちゃうんだよね。牝なのかな。

「お、お仕置きってなんですかっそれに僕のどこが悪い子なんですか!だいたい僕は子供じゃな」
「あーうだうだ言うんじゃなーい!!」

でも、やっっぱり生 意 気 !!僕はその言葉を合図に尻尾の先でサックの腋の下を擽った。こうして草結びで動きを封じてしまえば、力の弱い子供なんてどうにだって出来ちゃうもんね。え?ロリコンって何?おいしいの?
それにしても凄い暴れようだね、サックは結構神経質みたいだから、触られるのも苦手みたい。単にくすぐったいだけかもしれないけど。全く毛を逆立ててパチパチ言わせちゃって。ん?そういえばピチューの特性って…

「あっ…」

気が付いた時には既に遅かった。僕の身体の神経回路に微弱ながら電撃が走り、完全に麻痺させられてしまった。…そう、ピチューの特性は静電気、迂闊に触ればこうして痺れちゃうんだった。僕とした事が…一生の不覚。

「はあはあ…ふふっ残念でしたね。変な事言ってこんな事をしたからばちが当ったんですよ。」

サックは擽られて上がっていた息を整えながらそういうと、蔓草の端からはみ出てる長い尻尾から白っぽい光の弾みたいなものを沢山出して、軽く尻尾を振って弾を自分に絡み付いてる蔓草に正確に当てた。弾が当った途端に、蔓草はごうごう音を立てて燃え上がって、サックの身体を開放してしまった。ちょっと、いくら目覚めるパワーが炎だからっていい気になるなよ!反則だ反則!

「あっち…、ふふん、今更後悔しても遅いですよ、僕を怒らせたらどうなるか…」

何があっちだよ!どっちだよ!ええい、来るな、来るな!サックみたいな子供に怒られたって何も感じないよ!どうにもならないよ!
サックは、僕にずいっと顔を寄せてきた。その目は怒っている様にも、楽しんでいる様にも見えた。サックは動けない僕の目の前に両手を持ってきて、指を一本伸ばして互いに向かい合わせる。指と指の間からサックは僕の顔を覗きこんできていて、こんな時だというのにちょっぴりどきどきした。やっぱりロリコンだって?僕ってそんなにおいしそう?
と、指と指の間に、青白い電流が流れ始めた。…いやいやちょっと待とうよ。擽られた仕返しでここまでする?いくら頭文字がSだからって、サディストに目覚めなくていいんだよ?

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「ま、まったサック冷静に、冷静に、ね?」

「何言ってるんですか?僕はいたって冷静ですよ?じゃ、ちょっと痛いかもしれませんが、我慢してて下さいね?」


…皆さん、お分かり戴けましたでしょうか、これが僕のパートナーのサックです。こんなワガママデでサディストで生意気な奴ですが、どうぞよろしくっ…って僕は誰に話しかけてんだろ。

こうして、僕らの慌しい一日は、僕の叫び声で始まりを告げた。


続く

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S「どうも。サックです。こんな滅茶苦茶な姿ですが、どうぞ宜しくお願いしますね。え?ペアルさんですか?あーちょっと訳あって今取り込んでまして、今回は顔を出せないみたいです。焦げ臭いですか?判りました、ちょっと窓開けてきますね。」


まずい…ギャグばかりに…これでは物語に入り込みだしたらギャップで崩壊してしまいそう…
ええい、その時はその時!次の回辺りからちゃんと物語的に動かします!

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