あ~、ページ名変更の仕方が分からなくてですね。 中途半端ですけど、23~25話って事にしました。 -------------------------------------------------------------------------------- &size(22){―第23話― 開始}; ―――決闘当日。 スカーは昨夜は眠れなかった。久しぶりの決闘に興奮していたのもあるが、オレンジが無事に森の入り口にたどり着けたかが心配だった。 (入り口まで見届けりゃ良かったかな・・・?) いや、だめだ。いつまでも彼女を見ていると、決心が鈍る。 「ふぅ~。今日で確実に何かが終わるな・・・。俺が死ぬか・・・、森に平和が戻るか・・・」 スカーはウォーミングアップに軽く走り出した。 作戦は無い。真っ向勝負あるのみだ。 だが、向こうが無策だとは思えない。わざわざ日にちを指定してきたのも、俺の精神力を削る作戦だろう。 さらにあいつ自ら俺のほうへ出向くとも考えられない。決闘の場所も不明だ。 はるかに不安材料はこっちの方が多い。 (久しぶりに、スイッチ入れるか・・・) 彼はいままで押し殺してきた殺気を全身にみなぎらせた。 ――――「来い、リザードン。初デート、すっぽかすんじゃねぇぜ・・・!」 オレンジは、彼と何度も夜を越した洞穴で目を覚ました。 「ん・・・いつの間に寝ちゃったんだろう・・?」 それに、ここに来た覚えも無い。 「ねぇ、スカー・・・」 彼女の声は虚しく響き渡った。 (そうだった・・・。彼はもういないんだ・・・) 昨夜、散々泣いた挙句、知らぬ間にここに来て寝ていたようだ。 彼女はだだぼー・・・っと狭い洞穴の天井を見つめた。 しばらくして、彼女は起き上がった。 「いかなきゃ。ルイスが待ってる」 全ての始まり・・・あの森の入り口を目指し、彼女は走り出した。 スカーの元にやってきたのは、リザードンの部下のNO.1、ピジョンだった。 「スカー・・・我が主、リザードン様がお呼びだ」 「やっとか」 「乗れ。案内する」 ピジョンは体の倍の大きさはある翼を広げた。 「いいわ。俺、走っていくから」 「そういうわけにはいかん。お前は大事な客だからな」 「なんでアンタ奴の部下やってんだ?俺が見る限り、アンタかなりの実力者だろう?」 スカーは彼の言葉を無視し、聞いた。 「よくいう。俺はお前の足元にすら及ばないだろう」 「ふっ・・・どーも」 スカーはピジョンの背中にゆっくりと乗った。 「スカー、一つ頼みがある。その殺気、少し抑えてくれ。うまく飛べん」 スカーは苦笑した。 決闘の場所は、意外にも、森の外だった。 ピジョンが地面へゆっくり着陸し、スカーは彼の背中から降りた。 「サンキュー。なかなかいいフライトだったぜ」 「フン・・・。これが仕事だからな」 ピジョンは東のほうへ飛んでいった。それを目で追った先に、奴がいた。 「よう、でかいの。意外だな、こんなところでやるとは」 「ふ・・・いい場所ではないか?死ぬには」 「さぁな・・死んだことねぇから」 「相変わらず減らず口の多い奴だ。ここを選んだ理由はな、お前の首を置いて、森の看板にしようと思ってな」 「なるほど。いいアイディアだな」 2匹は緊迫した様子を見せず、笑いあった。その光景は、他者からしてみれば異様だったろう。 「そういえば、お前の嫁さんはどうした?」 「あー?振られちまったよ」 「それは残念だな。・・・おい」 リザードンは部下数匹を呼び出した。 「まだそう遠くには行っておらん。探せ」 そう命令し、部下達を放った。 「ち・・・!」 スカーは追っ手を止めようとした。 だが、彼の足はリザードンの巨大な手に掴まれていた。 「どこへ行く?お前の相手は・・・俺だろう!!」 リザードンが火炎放射を放った! スカーは回転力でリザードンの手を振りほどき、その回転でさらに火炎放射をかき消した。 「ふぅー・・・手荒いねぇ、おっさん」 「久しぶりに血沸いているのだ・・・」 2匹の決闘が、今始まった・・・! -------------------------------------------------------------------------------- &size(22){―第24話― 死闘}; スカーは早くリザードンを倒し、追っ手を食い止めなければと考えていた。 それが彼の反応をいつもより鈍くしていた。 「ぐはっ・・・!」 いつもなら余裕でかわせるような攻撃も受けてしまう。 「はぁ・・・はぁ・・・」 「おいおいスカー君。心ここにあらずの用だが、そんな状態で私に勝てるのか?」 リザードンが再び火炎放射を放った! 「あー、クソ!仕方ねぇ・・!」 スカーは戦闘に集中することにした。 (このくらいの炎、どうって事ねぇ・・・) 彼は炎をかわさずに受け、その炎を身に纏ったままリザードンに突進していった。 リザードンは火の玉となったスカーを直接受け止めた。 「ふん・・・やはり炎ではお互い致命傷は与えられんな」 リザードンはスカーを大岩に全力でぶつけた。 ドガァァァァ・・・! 「物理攻撃の方が効き目がありそうだ・・・!」 スカーはめり込んだ大岩から一瞬で脱出し、リザードンの斜め後ろに現れた。 「おらぁぁっ!」 リザードンはスカーの体当たりで大岩に激突した。 ガラガラ・・・・・。 「ふぅ・・・さすがにスピードでは勝てんな」 リザードンは全身に熱をたぎらせ、岩を溶かした。 「ようやく面白くなってきたわ・・・」 闘いは長期戦にもつれこんだ。 「ルイスー!」 オレンジは無事、森の入り口にたどりついた。 「あれ・・・?オレンジ!やっぱり来てくれたんだ!って何そのひどい顔・・・」 オレンジは泣き腫らした顔に自分では気づいてなかった。 「え・・・そんなにひどい?」 「まぁね。さては、男だな?」 「ち、違うって・・・!」 「オレンジも大人になったんだなぁ・・・」 「もう・・・ルイスのバカ」 「でも、いいの?この前はああ言ってたけど」 「うん・・・。もういいの・・・。」 「そっか・・・。詳しくは後で聞くよ。行こう、他の皆も君を待ってる」 オレンジはルイスに連れられ、トラックへと走っていった。 (これでいいのよね・・・これで・・・) スカーとリザードンの実力差はほぼ互角であった。スピードがある分、スカーの方が僅かに有利・・・というのがピジョンの見解だ。 「やばいぜ・・・だんなが押され始めてる」 ザングースもそう感じているようだ。 「あのお方も随分年だからな」 部下達は不安な面持ちでそうもらした。 「オレンジー!元気だった!?・・・ってひどい顔ね」 「もう、リリー!その事は気にしないでよ」 懐かしい顔ぶれがトラックの周りには揃っていた。 しばらく会わぬ間に進化したものもいれば、夫婦になったものもいた。 「さぁ、出発するぞ!」 飼育員が皆を集め始めた。 「さっ、行こうよ」 「う・・・うん」 オレンジはトラックの荷台に乗り込んだ。 (さようなら・・・スカー・・・今までありがとう) トラックは彼女の思い出を乗せ、走り出した。 「おい、何だあれ・・?」 仲間の1匹が森を指している。 「うあー、野生ポケモンの縄張り争いかぁ・・・どっちも強いぜ!」 野生ポケモン・・・ オレンジは何気なくその様子を見た。 そして、心臓が高鳴った・・・! 「スカー・・・!?」 あそこで戦っているのは紛れもなくスカーとリザードンだ。 (どうして・・・!?決闘はしないって・・・) 「なぁに、オレンジ?どっちか知ってるの?ちょっと!危ない・・!」 彼女はトラックを飛び降りていた。 彼女の体が地面に叩き付けられる・・・! 「スカーーーーーーー!!!] 彼女は怪我など気にもせず、一直線に走り出した。 「オレンジ・・・!飼育員さん!トラック止めて!!!」 -------------------------------------------------------------------------------- &size(22){―第25話― 劣勢}; 「ゴメン・・・スカー!私、あなたを疑って!」 彼女は泣きながら走った・・・誰よりも速く、風のように走った。 (あなたを信じてるとか・・・そんな口先だけの言葉で、結局は疑った・・・・! 彼は自分よりもいつもほかの物を優先していたのに、それなのに私はあんなひどい事を・・・) 「死なないで・・・!」 スカーはリザードンの周りをビュンビュン飛び回った。 そして近づいては鋭い爪をリザードンに食い込ませる、ヒット・アンド・アウェイ戦法ほ取った。 「むぅ・・・!」 リザードンは彼のスピードについていけない。 (この攻撃は、絶対にかわせん!徐々に体力を減らしてやる・・!) 「ぐ・・・」 リザードンがついに地面に膝を着いた。 「もらった!!!」 スカーが渾身の力をこめて殴った。 「がはっ・・・・!!!」 だがダメージを受けたのはスカーの方だった。 (何が・・・起こった・・・?) 「ふん、残念だったな。お前の攻撃には穴があった。それを攻撃を受けながらみつけたのよ」 「穴・・・だと?」 「お前の動きの大半は目くらまし。攻撃のほとんどは上から下への切り裂きだった。だが一回のダメージは大きくない。 とどめをさせるポイントは私の頭、もしくは心臓。私が膝を着けば、狙えるポイントは一つしかない。すなわち、ここだ」 リザードンは硬い頭をコンコン、と叩いた。 「ぐ・・・・」 「お前のスピードは大した物だ。だが考えても見ろ。超特急は小石を受けただけで大きな損傷をする。 お前のスピードに私はただ頭を構えているだけでいいという訳だ」 (やばい・・・今のは効いちまった) 何とかスカーは立ち上がったが、リザードンはすでに鋭い爪を振り下ろしていた。 スカーはそれを間一髪ジャンプでかわした! 「残念、フェイクだ」 スカーの切り裂きはフェイントで、本命は尻尾の重い一撃だった。空中にいたスカーはどうすることもできない・・・! (ガード・・・間に合わない・・・!) ドガァァァン!!! スカーはもろに攻撃を受けた。彼の体は数十メートル先の大岩に叩きつけられた。 「が・・・はっ・・・!っはー!!」 本来なら死んでしまうような攻撃だが、彼は足を折るだけですんだ。 「なぜ・・・なぜ急所をずらした・・・今の一撃で俺を殺せたはずだ」 スカーは痛みよりも、手加減をされたことに怒りを感じていた。 「お前はもう死んだ。お前の命はその足だ。足さえつぶせばもうお前はだだのワン公・・・」 「・・・・っ!!!」 「この世には、死よりつらいことなどいくらでもある。痛みさえ分からなくなるまでいたぶってやるよ」 リザードンは思い切りスカーの腹に蹴りを入れた。 「がはぁぁぁぁっ!!!」 「おうおう、大の男が情けない声を出すなよ」 リザードンはその後も彼に攻撃を続けた。 スカーはもう瀕死の状態だったが、目だけは鋭さを失っていなかった。 (まだ何かたくらんでやがるな・・・こいつ。ふん、だがもう何もできまい) リザードンはスカーの頭を掴み、放り投げた。 「う・・・が・・・・」 スカーはゴロゴロと大岩まで転がっていった。 「どうする?もう逃げ場は無いぞ」 リザードンがスカーに詰め寄った。 「へ・・・かかったな・・・」 スカーは最後に残しておいた力で大岩を殴った!大岩が音を立てて崩れ落ちる・・・! 「く、お前、これを狙って・・・!」 大岩は、スカーとリザードンを飲み込んでいった・・・! IP:133.242.146.153 TIME:"2013-01-30 (水) 14:38:15" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=Nameless%20Love%2023%2025" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0; YTB730)"