長編第一話 厨二表現、残酷表現注意!! by[[春風]] [[Memory Lost existence]]に戻る ---- 「おい!!今回負けたのは貴様らのせいだろう!!なんとか言えっ!カスが!!」 森に打ち捨てられた廃屋で、罵声と鈍い音が響く。 「…申し訳ありません、マスター…」 最近捕まった、雌のシキジカを、主人は容赦なく殴り続けている。まあ、いつものことだけどな。 俺のように、一勝できたやつは殴られずにすむ、だけどあのシキジカは一勝もできずに敗北した。捕まったばかりのあいつには対人戦など、荷が重すぎるのだが…。 「お願いします…、マスター。何でもしますから、もう殴らないでください・・・。」 シキジカは泣きじゃくりながらマスターに許しを請う。でも、そんなことしたら逆にマスターを怒らせてしまう。 「うるせぇ!!俺の言うことが聞けねえのか!!…だったら、覚悟しろよ」 あいつに忠告しとければよかった、殴られるときは少しも抵抗するなと。 少しでも彼の機嫌を損ねれば、もう諦めたほうがいい。 たちまちのうちにマスターはナイフを抜き、彼女をめった刺しにした。 「…いやあぁぁぁぁぁっ、痛いっ、痛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーー!!」 シキジカは悲鳴を上げながら床に倒れこみ、少しばかり痙攣すると、そのまま息絶えた。 「死んぢまったか…マグマラシ、この汚物を片付けろ」 俺は立ちあがり、シキジカを引きずって、外に埋めに行く。 そういえば、こいつの名前聞いてなかったな。まぁ、マスターは俺たちを名前で呼ばないし、わからないのも当然だろう。 浅く掘られた穴にシキジカを乱雑に投げ込むと、そこに土を盛った。 シキジカが死んだ、これで俺たちは全部で五匹になったから、明日マスターは新しい犠牲者を捕まえるだろう。マスターはスペアにポケモンを、一匹も持っていない。 …まぁ、深く考えないようにしよう。 俺は体に付いたシキジカの血を擦り取りながら、マスターのもとへ向かった。 &size(20){&color(Red){Lost existence 第一章 意味のない自由};}; 俺はルーク、種族はマグマラシ、チャンピオンになるとかいうマスターの無謀な旅に同行している。 俺がここに来た経緯は、昔ヒノアラシだったころ、両親に虐待され、耐えられずに逃げ出した所を捕まえられた。 捕まった時は、これでもう虐待を受けなくてすむと喜んでいた。 …だけど、ここも同じようなところだった。 毎日のように同じ境遇の同胞たちと戦わされ、たまにくる試合のようなもので負けると、虐待を受ける。そのうえ、俺たちを出し入れするボールとかいう球体があるかぎり、逃走することもできない。 俺はマスターを怒らせて、彼の手にかかって死んでいく先輩たちをみて、抵抗をあきらめた。 …まあ、逃げ出したところで行くとこもないんだけどな。 ここにいれば、一応食事はできるし、屋根のあるところで眠れる。 それに、逃げ出すなんて気力ももう起きないしな。 「おい、お前ら、この森で適当にポケモン捕まえるぞ、探して来い」 翌日、予想どおりマスターは俺たちに命令する。 「はい、マスター」 獲物を探すのも俺たちポケモンの役目、まったく、自分で探せよ。 俺はほかのポケモンから離れて、森の奥のほうに行く。なぜならたいていポケモンの群れは、奥のほうに潜んでいる。 これ以上犠牲者を増やしたくなかったが、俺の命のほうが、良心よりも大事だ。 そうこうしているうちに、俺はポチエナの群れを見つけた、多分そこまで強くなさそうな群れだが、こいつらのうち一匹を連れていくことにしよう ……さて、どいつにしようかな…? 俺がポチエナたちを品定めしていると、後ろに一陣の風を感じた。 ふりむくと、駆け足で走り去っていくグレイシアの少女が、視界の端に映る。 「おい!ちょうどよかった、ルーク、あいつを追うのを手伝ってくれ」 後ろで声がする、振り返ると仲間のドゴームがいた。こいつの名前も俺は知らない。 「わかった、俺が追いかけるから、お前はマスターを呼びに行ってくれ、頼むぞ!!」 そういうと俺は、少女の後を追いかける。 ……早い、あまりにも早い。 その天使のような少女は、追いかけられているのを悟ったのか、走る早さをさらに早くする。 ここでグレイシアなんて上等な奴を取り逃がしたら、それこそ俺の命が危ない。 俺は必死で少女の後を追いかける。 とうとう俺は、少女を袋小路上になった森の一角に追い詰めた。 逃げられないと知った少女は、怯えながら俺を威嚇する。 ・・・情けはかけられない。 俺は口に火炎を込めると、少女に向けて火炎を放った。 彼女はかわそうとしたが、足に火炎を受けて、倒れこんだ。 「よくやった、マグマラシ」 後ろから声が聴こえる、振り返ると、マスターがボールを持って立っていた。 「グレイシアとは上等だな…、イーブイ系統はここではあまり見ない…」 マスターは怯える少女に近づいていく、手にボールを持ちながら。 …またか、また犠牲者が増える。 しかし次の瞬間、少女は信じられない台詞を口にする。 「…バーカ」 ---- メキメキメキッ!! 次の瞬間、地面から氷柱が伸び、マスターを捕える。 マスターは皮肉にも昨日のシキジカのように、体中を氷柱で切り刻まれて、悲鳴を上げる間もなく絶命した。 驚いて少女の方を見ると、火炎を食らったのにもかかわらず少女は普通に立ち上がり、こちらへ歩いてくる。 …あれは、演技だったのか。 俺は死を覚悟した、こんなに強い奴と殺り合っても、勝てると思えない。 次の瞬間、彼女は俺の腕をつかんだ。 「ちょっと来て!!」 俺は少女に引きずられるようにして森の奥に入って行った。 だいぶ奥まで来ると、少女は足を止めて俺に話しかけてくる。 「ねぇ、あなた昨夜シキジカを埋めてたマグマラシでしょ?」 「……そうだけど、なぜそれを…」 「見てたんだよ…」 誰かが見ていたなんて気付かなかった、こいつ、いつから見ていたのか? 「あなたの主人、ろくでもない奴ね、まあ人間は誰でもそうだけど」 口調からして少女は多分、俺に敵意を持ってない、持っているとしたら、多分、人間に。 「まぁ、これであなたは自由、喜びなさい、…とはいかないわね」 どういうことだ、自由なら普通は喜ぶことじゃないか…? 俺が話を理解できていないのを悟ったのか、彼女はなおも話を続ける。 「わからないような顔してるわね、いい?自由でも、行くところや、やることがないと、無駄なわけ、それにあなた、戦うだけしか知らないなら、これから生きてけないよ?。」 たしかに、こいつの言うとおりだ、俺はこれから行くところがないし、戦うだけのために育てられたから、食べ物の取り方など、生きていくために必要な知識を何一つと持ち合わせていない。そんな俺がこれから生き延びることなど到底不可能だ、喜ぶことなんてできない。 俺が落胆していると、少女はこんな提案をしてきた。 「…あんた、使えそうね、そうだ、あたしの手下になってくれない?」 「どういうことだ…?」 「わからないの? て・し・た、わかる?」 少女はわらいながら、俺に話しかける。 「あたしはね、戦うことに特化した仲間が欲しくってね、あたしだけじゃ、あそこまでたどり着けないし。」 ウソだろ、あそこまで強いのに…。 「…別に、お前の力があるなら、俺なんて必要ないだろ。」 少女は ふーんとした態度でこたえる。 「別に、あの時の火炎なんて、直撃してたら本当に重症だったし、相手は人間でしょ?」 「相手が人間だから、なおさらじゃないのか?」 「・・・知らないんだ」 少女は馬鹿にしたようにつぶやく。 「たしかに、人間は地上最強だろう、だけどね、一人ひとりは弱い、弱いから、強い武器を持ちたがるんだ、あんただって、やろうと思えば、人間ひとり簡単に殺せるよ」 「え…?」 人間は強い、強いから俺たちを支配している、ずっとそう思っていた、それが間違っているなんて、とうてい信じられることではなかった。 「で、どうするの? どうせ行くとこないんでしょ」 …確かに、行くところはない、ここは彼女に付いて行ったほうがいい。 「わかった、協力しよう」 少女は、少しツンとした表情で、俺を見下しながら、うなずく。 「決まりね、言い遅れたけど、あたしはミナモ、あなたは?」 「・・・ルーク」 「じゃあルーク、これからあたしの目的を話すよ」 どうせ人間狩りだろう、こいつの言うようなことはこれしか思いつかない。 しかしミナモは、俺の予想を反すること、いや、みてきた限りの彼女からは想像もつかない幼稚なことを言った。 「&Ruby(エデン){楽園};に、行く。」 ---- 「&Ruby(エデン){楽園};っておとぎ話の…」 「そうだけど、悪い?」 (こいつ、頭がおかしいんじゃないか…?) それは、誰でも知ってるおとぎ話…というか神話に出てくる土地、人間が俺たちポケモンを迫害し始めた時、神々はポケモンを守るため、人間の決して入れない土地を作ったという。 「・・・本気か?」 「ええ。」 やはり、こいつは少し頭がおかしい、いまの人間が支配するこの世の中だと、なにも言わずともエデンの真贋などわかりきってくる、悪い意味で。 「信じられないようね……仕方ないか、証拠もなにもないもんね、だけど…」 ミナモが不意に俺の顔を覗き込む。 「あたしの名字を聞けば、少しは変わるかもね」 「変わるって…」 こいつ、絶対狂人だろう、言ってることがめちゃくちゃだ。 「あたしの名前は」 ミナモは少し後ろにさがって、ゆっくりと名乗った。 「…ミナモ、アトスアルセウス」 「…!!」 アルセウス、その名前には聞きおぼえがあった、たしか人間との争いが起きる前、まだポケモンと人間が同じ者だったときに信仰されていた宗教の大神、その名前を名字に持っているということは・・・。 「……神官の末裔か」 「そういうこと」 ミナモはこくりとうなずく。 「人間の下で暮らしてたわりに詳しいわね、どっからその情報仕入れたの?」 「ああ、死んじまった同胞が話してくれたんだ」 「辛かったでしょ」 「まあな」 あいつはよく俺に神話を話してくれた、まだ幼かった俺は、ほかに娯楽もなかったからか、彼の話によく耳を傾けていた。あいつが殺されちまった時は、マスターのまえにいるにもかかわらず、泣き出してしまった。 「これで、信じる気になったか?」 急にミナモが話しかけてきたため、俺は現実に戻される。 「でもさ、それが本当だという証拠はないし…」 「バカね」 俺の話を遮るかのように、ミナモがぴしゃりといった。 「今のご時世、真贋なんて鑑定している暇なんてねーんだよ、考えるより動け、動けばたいてい事はどーにでもなる、しかもあたしたちは人間から見たら抹殺対象よ、それに・・・。」 ミナモが俺の首を軽く持ち上げる。 「この世は弱肉強食なんだよ、逆らうと、殺すぞ」 「うっ…」 ミナモはドスのきいた声で俺を脅す。 「わかったよ…」 俺はしぶしぶ承諾する。 「ほんと!?やった!!」 ミナモが子供のようにほほ笑む、全く、さっきまで黒いことやってたくせに・・・。 でもこうしてみると、こいつ意外と可愛いとこあるな。 こうして、俺たちの旅が始まった・・・。 [[Memory Lost existentce 主人殺しの咎]]に続く 一章終わり、[[Memory Lost existentce 主人殺しの咎]]に続く ---- 下手糞小説家、すなわち俺、春風。 一話目書いてみました、一言いいます、くだらねぇぇぇぇぇぇ!! 厨二表現ばっかだし、タイトルと関係ないですね、うんマジで。 ちなみに二人の名前についてですが、ルークは今朝名前を考えているときにばらまいてしまったチェスの中で、一番初めに拾い上げた、「ルーク」を見て、これ使えんじゃないか?とか思って、安直に(笑い) ミナモは、死んでしまった愛犬の名前から取りました。 そんなこと書いてるんだったら面白く白って感じですね。 これからもまだまだ続けていきますので、期待せず適当に読んでいってくれたら嬉しいです。 え、停滞?、俺そんなこと言ったっけ?(汗) #pcomment(意味のない自由、コメント,10,);