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I WISH FOR THE SUN RISING #29~ の変更点


written by [[朱烏]]



#29 遊(ゲーム)

未だにはっきりと記憶していない食堂と自分の部屋をつなぐ道。また何度も迷ったせいか、道程は随分長いように感じ、その分だけ心も曇っていくばかりだった。まさか、あんな奴が上司だなんて・・・。
『ヴァーク』。確か、頭の中のおぼろげな引き出しの中にはそう記憶されていた名前だったと思う。何かアブナイことをされそうだったけど、間一髪助かった。そう、助かったと思い込んだ。
鬱屈した気分は結局晴れないまま、自分の部屋の前まで来ていた。扉の大きさがどこか高圧的に感じられ、それがさっきレックに背伸びしていたときのことと重なる。姿形が似ているヴァークというイメージにも重なってしまう。苛立って乱暴に開けてやろうかとも思ったが、物に当たってもしょうがないので止めた。
「はぁ、もう&ruby(や){嫌};んなっちゃうよ・・・。」
「何が嫌なの?」
嘆息混じりの独り言で言ったつもりだった。が、誰もいないはずの部屋から返答があった。特別な身の危険は感じなかったが、一応姿勢を低くして警戒態勢に入る。
「ルー君、私だよ私。約束どおり遊びに来たよ?」
もちろんそれは取り越し苦労に過ぎなかった。
「な、何でいるの?」
正直、そこにいるのがリルだと判断するのに数秒かかった。なにしろ、夜でもないのに窓から光がほとんど差し込んでいない。見ると、今にも大粒の雨を落としてきそうな黒く分厚い雲が空を隠していた。
「何でって、遊びに・・・。」
「リルさん、手札が丸見えです。そんなにジョーカーを引いてもらいたくないんですか?」
リルがこちらを見たとき、その手に持っていた紙切れのようなものの裏側は丁度相対していた何者かに見えてしまっていた。
「・・・イオ・・・居たんだ・・・。」
「先輩がレックさんといっしょに部屋を出てから入れ違いで入りました。」
絶対そのタイミングを狙って部屋に入ったな。きっとどこかの物陰から覗いていたに違いない。
「そのとき丁度私もルー君の部屋を訪ねたんだけどね、・・・イオ君が独りで留守番されられてるって言ってたから遊んであげてたの。」
それって俺が悪いってことか?
「ダメだよルー君。こんな小さい子を独りにしちゃ。」
「そうですよ、僕みたいな小さい子供を独りにしたら危ないじゃないですか。」
「ね、だめだよねぇ。」
「ですよねぇ。」
俺のいない間に&ruby(ふたり){二匹};の波長はぴったり合ってしまっていた。リルの口調も昨日よりも砕けている。あれは告白用だったんだろうか。そしてイオ、自分のことを小さい子供とか言っても何の説得力もない。実年齢はともかく、精神年齢はそこらの大人顔負けじゃないか。・・・たまにそうじゃないときもあるけれど。
「そういえばさ、レックからは今日の夜に遊びに来るって聞いてたけど。」
「急遽厨房の仕事がオフになったから、わざわざ夜に尋ねる必要もないかなって。」
リルはあの食堂で働いていたのか。だとしたらイオが盗み食いした木の実のこともばれているかもしれないな。
「それに・・・昨日告白したひとの部屋に夜行くのって・・・少し気が引けるから・・・。」
なるほど・・・わからないでもない。俺もそんな時間帯に会うよりは昼間のほうが気楽だ。
「昼と夜とで何か変わるんですか。別にどっちでも変わらないんじゃないですか?」
「イオはまだ分からなくてもいい話だよ。そのうち否が応でも分かるようになるから。」
イオは露骨に訝しげな表情をしていた。俺だってそんな知識はあまり持ち合わせていない。あくまで伝聞だけだ。
「そ、そんなことよりルー君も一緒に遊ぼう。明日から本格的に忙しくなるんでしょ? 私もそんなに休みはもらえないし・・・。多分ちゃんと会って遊んだりできるのは今日くらいしかないから・・・。」
リルは随分と時間を惜しそうにしている。・・・そうだよな。せっかく空いた時間を縫って来てくれているのにそれを有効活用しないのはもったいない。
「じゃ、俺も混ぜてもらおうかな。何やるの?」
「やっぱりここは王道でババ抜きでしょう。」
ちょっと王道過ぎる気がしなくもないが、まあ初めのうちはいいだろう。イオはカードの束を適当に散らして、上手い具合に混ざった頃合いを見計らってまた束にしていく。手際よく均等に分けたあと、被ったカードを除いてスタートした。
「お好きなのを引いてください。」
リルがイオのカードを引く番だ。俺の手札にはジョーカーはないし、リルがイオの手札を慎重に選択している様子を見ると、ほぼ間違いなくイオが持っているのだろう。
「じゃあこれにしようかな。」
リルがイオの手札の真ん中を抜き取り、それを俺から見て右端に加える。同時にイオは顔をしかめて舌打ちした。イオって顔に似合わないようなことをするよな・・・。手札を捨てていないので、合うカードがなかったか、もしくはジョーカーだろう。でも、イオの反応を見る限り、まずジョーカーはない。ということは、イオにもリルにも合わないあの右端のカードを引くのがベストだ!
「まず1つ目をリルから貰うとするかな。」
引いたカードの柄の意味を理解するのにさほど時間はかからなかった。イオが借りてきた図鑑をと読んだときに割りと印象深かったポケモンがそこには描かれていたからだ。赤い目、黒っぽい体をしていて、いかにもガラが悪そうなこのポケモンの種族名はゲンガー。即ち、ジョーカー。・・・・・・!?
「え!? ちょ・・・何で?」
「ぷっ、まだまだ頭の底が浅いですねぇ。まさかあんな子供騙しの演技に引っかかるだなんて。しかもリルさんもわざわざ先輩が利き腕で引きやすいようにカードを寄せていたというのに、それすらも引っかか・・・痛っ!?」
「ル、ルー君! 暴力はダメだって!」
リルはそう言ってイオを抱き寄せる。だが、リルもイオも身長があまり変わらないので、このような表現を使うと違和感を覚えるのだが。
「だってさ、ほんの少し罠に引っ掛けたからってさ! 年下のくせに・・・。」
「ふぇ・・・リルさん・・・痛かったです・・・。」
「ちょっと大人気ないよね・・・。あとでちゃんと言っておくからね。ほうら、痛いの痛いの飛んでけー♪」
それは10歳のイオには幼稚すぎるあやし方だ。涙目で抱きついているイオがそうさせているのは一目瞭然だが。ていうか嘘泣きだろ。リルも簡単に騙されるな。
「大人気なくない! むしろ俺の思考が論理的だったからこそ罠に掛かったわけで」
「それを私とイオ君が読んだんだからやっぱり私たちのほうが一枚上手だよ。」
うう、ガラにもなく言い訳なんかするんじゃなかったな。やっぱり大人気なくていいや。とにかく、まだ始まったばかりなんだから悲観することは何も・・・

~小一時間後~

開幕15連敗。
「さ、流石にここまで弱いとちょっとかわいそうかも・・・。」
「そうですか?」
俺の前肢からただ一枚残されたジョーカーがはらりと舞い落ちる。・・・絶対何かの陰謀だ。例え目の前の2匹が否定しようとも、俺は100%信じない・・・。
「ふう、少し休憩しましょうか。先輩をいたぶ、いや、ババ抜きにも飽きましたし。」
もはや年下の毒舌にも突っ込む気力がない。突っ込んでも自分がますます憐れになるだけだ。
「うん、一段落ついたし、そろそろアレを出そうかな。」
地面にうつ伏せになってぐったりしている俺にはリルが何をしようとしているのかはわからなかった。しかし何か甘いお菓子のような匂いが鼻を掠め、それは自分の頬にぐいぐいと押し付けられている。
「はい、お土産!」
半開きの眼でソレを視認する。ソレは確かににおいの通り美味しそうなクッキーで、その表面には『Lou』とチョコレートソースか何かで描かれていた。

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#30 夢(じょしょう)

「どう? 私のお姉ちゃんが作ってくれたクッキー。ちゃんと3匹分あるんだよ。」
たしかに3匹分、その異様にでかいクッキーが1匹1枚。リルのクッキーにも名前が描いてあって、トッピングも豪華だ。
「イオ君のはちょっと形が悪いんだけど、お姉ちゃん少し失敗しちゃったみたい。」
「形なんかより味ですよ。美味しければそれでいいと思います。」
本当に10歳の子が言う言葉とは思えない。普通自分のものが周りのものと違うと嫌だとか言い出すものだと思うんだが。もちろんそんなことを言ってしまえばリルの姉に失礼なんだけどね。
なんて感嘆していると、リルがこっそり耳打ちしてくる。
「本当は私とルー君のだけだったんだけどね、あれはお姉ちゃんがもったいないからって余った生地で作ったやつなの。・・・言わないでね? 絶対に。」
ああ、なるほど。・・・自分のために作られたお菓子じゃないとイオが知ったらどんな顔をするんだろうか。いや、黙々と食べてはいるけど既に気づいているのかもしれない。
「最大限努力はするけど・・・。話変わるけど、このクッキーのサイズ大きすぎない? どうやって食べればいいのかわかんないんだけど。」
「うん・・・わざわざ&ruby(ひとり){一匹};ひとりに作ってくれるのはありがたいことなんだけどね・・・。形とか印象に変にこだわるところがあるから、何か作るとすぐこうなっちゃうんだよね。もっと後のこと考えてくれればいいのにね。」
そんな風に自分の姉を悪戯っぽく笑って話すリルはなんだか嬉しそうだった。・・・あれ、でも昨日、「お姉ちゃんにはルー君を渡したくない」とかムキになって言ってたような気もするけど。ちゃんと和解したんだろうか。
「さっきから何話してるんですか?」
イオがいかにも『仲間はずれにするな』というまなざしで俺を見てくる。例によって手にしていたクッキーは跡形もなく消えていた。流石、食べるスピードは一級品だ。
「ああ、悪いな。そろそろ続きをやろうか。」
「ええ!? まだやる気なんですか? いい加減勝てないことに気づ・・・」
「15連敗してこのまま黙ってられるか。でもババ抜きじゃ飽きたから、今度はジジ抜き((トランプ52枚(あるいはジョーカー2枚を加えて54枚)の中から任意の1枚を裏向きにしたまま取り出し、そのカードの内容を最後まで確認しないでゲームを行う。基本的なゲーム進行はババ抜きに準ずる。取り出されたカードと同位のカードは3枚しかないため、1組(2枚)が捨てられると、残りの1枚は捨てられなくなる。この余った1枚が「ジジ」となる。 ゲームが終盤まで進んで、ある程度手札の枚数が少なくならないと、どのカードが「ジジ」かは分からない。))だ!」
高らかにゲームの変更を宣言。
「ちょっとルール変えたからって勝てるつもりですか? いいですよ、目を覚まさせてあげます。」
お互いに火花を散らす。これ以上年下に負けるのは屈辱的なことだ。ていうかそろそろ1勝させて欲しい。
「じゃあ俺ががカード切るからな。」
適当な一枚を裏側にして取り除き、それ以降はさっきと同じ手順でカードをごちゃ混ぜにしていく。そしてカードを配るまで一切リルとイオに触らせない。何しろ俺ばかり負けているので、&ruby(ふたり){二匹};がグルになっているとしか思えない。たぶんこの時点から勝負は始まっているんだ。できるだけ状況は有利にしておかなくては。
「最初からゲームを仕切っているつもりになっても無駄ですよ。決着はもうついているんですから。」
へえ、まだそんなことが言えるほどの自信を持っているのか。まず2人がグルなのはもはや決定事項。

後半戦5連敗。
「勝てないゲームはつまらないです…けど、絶対勝てるゲームって…いうのもつまらない…ですね。」
くそ、どんな手を使ってんだ。いい加減勝てないと発狂しそうだ。
「イオ君、なんだか眠そうだね。」
「ええ……あまりにもつまらないんで…これで最後にしたいです…。」
・・・なんだかイオの様子がおかしい。なんだか今にも眠りに落ちてしまいそうだ。これは・・・チャンスか?
「・・・わかった、これでラストゲームだ。」
イオに勝てるチャンスはこれで最後。今までのゲームでは負けっぱなしだったけど・・・今回は勝てる気がする。

「よし、ダイヤの3、ダイヤの3・・・あった!」
単純に運がいいだけだと思うが、ここまで結構好調だ。
「へえ、今回は勝てるんじゃない? イオ君もがんばって!」
と、他人を応援しつつビリに甘んじる様子をまったく見せていないリルもなかなか崩れない。適当にイオに付き合っているだけのように見えて本気で勝ちにいっている。
「ほら、イオ君の番だよ。」
そう言って手札をイオに向ける。イオの戦況はというと・・・。
「あれ・・・・また・・・来な・・い・・。」
完全にイオの不利だ。これはもう勝つしかない。今日唯一勝てるゲームだ。
「よし、俺の番だな。」
ゆっくりと差し出されるイオの手札からは最早何の脅威も感じられなかった。そろそろ勝利宣言してもいいかな? などと考えながら真ん中の1枚に手をかけたときだった。イオの手札かばらばらと崩れ落ちる
「イオ!?」
「イオ君!?」
リルも俺もほぼ同時に叫んだ。何せイオが前のめりになってそのまま倒れてしまったから・・・ただ驚くしかなかった。

それが悪夢への序章ことも知らぬままに。

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#31 夢(そまる)

「寝ちゃっただけみたいだね。よっぽど疲れていたんだね。」
「いや、こいつは疲れること何もしてないと思うけど。俺とのゲームそんなにつまらなかったかな。」
だからって寝ることはないよな。もしかして自分が負けそうだったから、逃げる口実を作るために寝たとか。
「結構楽しんでたと思うよ。・・・別の意味で。」
「は?」
何だ別の意味で。やっぱり何か仕組んでたのか?
「と、とにかく! こんなところで寝せて風邪ひかれたりしたら大変だから・・・。ベッドに移さないと。」
リルじゃ持ち上げることができないのは火を見るより明らかだ。起きることはないと思うが、できるだけ静かにベッドのほうへ移動させた。・・・にしても重かった。身長も横幅もたいしてないはずなのに・・・何が詰まってるんだか。
「これで・・・ふたりきり・・・なのかな?」
リルがぼそっと呟く。ほんの少し身構えたが、これといって何かするわけでもない。もともと自分の中ではイオがいることが計算外だった。本当はリルが来るまでに寝かしつけておく予定だったのが、リルが早く来てしまったせいで狂ってしまっていたので、これが標準の状態ということになる。
「でもこの部屋何も置いてないしね。何もすることがないんだよね。・・・外に行こうか?」
「今街に出かけたら橋が沈んで戻ってこれなくなっちゃうかもしれないよ。外に泊まるお金も持ってないし。」
不便な地形だ。もっと高い場所に橋を作ればよかったのに。初めてその橋のことを知ったときは幻想的だとさえ思えたのだが・・・。
「こうなったらさっきの続きをやろうか。俺まだ勝ってないし・・・何か仕組まれてたみたいだし。」
「だっていつまで経っても気づかないんだもん。・・・後ろに鏡があるのまだ気づいてないの?」
まさかと思って振り向くと・・・見覚えのない円卓の上に方型の鏡が置いてあった。俺はこんな簡単なイカサマにずっと気がつかなかったのか? 
「私はやめようって言ったんだけどね、イオ君が先輩を試してみたいって聞かなくて。」
先輩の面目丸つぶれだ。啖呵を切って惨敗して・・・自分の頭の悪さを露呈しているようなものじゃないか。
まあいいや、これからは疑心暗鬼なしで純粋にゲームを楽しめる。
「・・・これからはそんなイカサマ絶対なしだよ?」
一応釘を刺しておく。といっても、もう仕掛けを取り去った以上、ほとんど心配はないが。
何度もバラバラに崩してきたカードを、同じように掻き集めて、同じように配る。と言っても二匹しかいないから、分けると言ったほうが正しい。イオがいないから楽に勝てそうだけど、人数が少なすぎるとつまらなくなりそうだ。カードがかぶったときに出る捨て札の多さが、虚無感を増長させる。
「じゃあ俺から引くよ。・・・?」
リルの異変に気づいたのはまさにゲームを始めようとするときだった。様子がおかしい。
「ねえリル、どうかしたの?」
「大丈夫だけど・・・体が・・・熱いの・・・。」
いや、大丈夫には見えない。息が荒くなってるし、少しばかり目も充血している。
「少し休んだほうがいいんじゃない?」
そう言ってリルの額に&ruby(て){前肢};を当ててみる。・・・やはり平熱より高めの熱が伝わってくるが、予想していたほどではなかった。
「で、でも・・・」
「いいからいいから。俺のことは気にしなくていいよ。」
しかしリルが自ら動くことはない。しょうがないな、ちょっと恥ずかしいけど・・・。
「ふぁ・・・ルー君・・・」
リルを抱き上げて俺のベッドまで運ぶ。その間のリルの恥ずかしげな表情は俺の心をくすぐった。
俺の寝場所はしばらくなくなりそうだけど、いたしかたないだろう。就寝時間にはまだまだ早いし。枕の上にリルの頭をセットして、毛布をかけてとりあえず完了。
「ねえ・・・ルー君は私のこと好きだよね?」
突然だった。思わず狼狽するが、違和感のないように答える。
「うん。」
即答できなかったのは、今日、丁度今振られた話題について考えていたからだ。確かに昨日、俺はリルの告白を受け取った。だから現在に至るわけで。
でも、あの時は勢いで承諾した感がどうしても否めないのだ。リルは容姿もいいし、性格も悪くない。料理もできるらしい。付き合うほうとしては理想的な女の子だろう。だけど、リルが好きだと断言できる自分がまだいない。勿論嫌いなわけじゃないし、むしろ好意は持っている。いうなれば、中途半端な状態なのだ。
だから、もっとリルに好意を持てるように、いろいろ話をしたり、遊んだりしようと少し意気込んでいたけども・・・。今回はお預けになりそうだ。
「ねえ、本当に好きなら・・・添い寝して。」
「え?」
ぽっかり開いていた穴に矢が撃ち込まれた気分だった。またしてもすぐに返事ができずに視線を逸らしてしまった。
「だめ・・・かな?」
そんなに上目遣いで俺を見ないで。ドキドキしてしまう。そんなことされたら・・・いいよ、って答える以外に何がある? とてもじゃないけど断れない。そして、断る理由もない。
「まあ、添い寝くらいなら・・・」
リルウニかけてある毛布の中に静かに滑り込む。昨日も自分の意思が完全無視されていたとはいえ、一緒に寝たわけだし、抵抗はほとんどなかった。
「ありがとう・・・」
気恥ずかしげに、そして大胆にも俺の胸に顔をうずめてくる。・・・俺はこの後何をすれば? 全然思考がまとまらない。このまま抱きしめればいいんだろうか。それとも頭を撫でたほうがいいんだろうか。・・・どれも恥ずかしい。やろうとしていることがまるで自分じゃないみたいで。
それでも・・・勝手に&ruby(て){前肢};はリルの背中に回っていた。これだけで俺の頭の中は沸騰しそうだ。
なのに・・・リルはそれを許そうとしなかったんだ。
「捕まえた♪」
全身にほとばしる電流。麻痺する体。何をされたのかも分からない。
唯一確認できたのは、まるで外部からの悪意に染められたような漆黒の瞳だけだった。



 お菓子に入っていたお薬(+配合率)
 ルー・・・媚薬:筋弛緩剤 = 4:6
 リル・・・媚薬(強)
 イオ・・・睡眠薬(強)



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最終更新日 8/31 

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感想等ありましたら↓へ


- リルの姉の作戦が発動?(表現があっているのかわからない)するのか!?楽しみにしてます。 --  &new{2009-08-03 (月) 01:49:41};
- 上手く発動するのかはわからないですが(笑)。&br;楽しみにしててください。 -- [[朱烏]] &new{2009-08-03 (月) 14:35:05};
- 4ヵ月前から楽しみにしてます
―― &new{2009-12-13 (日) 23:41:35};
- 長い間更新できなくてすみません。
今、#0から全体的に手直しをしています。
時間がかかりそうなので、すぐに更新はできないと思います。
――[[朱烏]] &new{2009-12-14 (月) 12:56:15};

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