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Flame of God(3話) の変更点


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*3話 [#l14ba476]
             
太陽が大地を照らし始めた早朝。何時もの様にカイリキーのボブが号令を掛ける中、体操が始まった。レノックスとジョンも重い瞼を支えながら体操をする。昨日の事を反省しているのかフランクの声は普通の大きさだ。ぽつぽつと雑草が生えているグラウンドでの体操を終え、レノックス達は楽しみの一つであるバイキング式の朝飯を食べに食堂へと足を運ぶ。一番乗りで食堂に辿り着いた二人は自分の好きなものを選んでからテーブルに座った。
「いただきます!」
レノックスは威勢の良い声を上げ、選んだ食べ物を口に運んでいく。ジョンはグラエナ族の伝統とか言う犬食いでムシャムシャと好物の焼き魚を齧っていく。その様子を厨房からガルーラのスーザンが顔を顰めながら見つめていた(睨んでいると言った方が正しいかもしれない)。二人が食べ始めて少し経ち、賑やかになり始めた食堂にちょっぴりKYでやたらと声の大きいフランクがやってきた。彼が食べ物を選んで二人が座っているテーブルに遠慮する様子も無く座ると、食堂に居る全員がまだ喋ってもいないのに耳を塞ぐ。フランクは割り箸を二つに割ると息を吸い込んだ。周りのポケモン達はこれどもかと言うように耳を塞ぐ。そして時は来た。
「いただきまぁぁぁす!!」
その声はテーブルに並ぶ食器を揺らし、寮中に響き渡る。フランクは言い終えると周りの様子を気にすることなく大盛のご飯を食べ始めた。同じテーブルに座っていたレノックスとジョンは耳元で爆弾を爆発させられた様な声にまだ顔を引き攣っている。
「せ、先輩・・・その声、どうにかしてください・・」
「あ?いい加減慣れろって!俺の声に慣れてないのはお前らだけだぞ!」
また口を開いたフランクに食堂の全員が耳を塞ぎ、首を横に振る。食堂に居ないポケモン達にもフランクの声は届いており彼らも首を横に振る。そして全員の心は一つにまとまっていた。
(ありえない)
この一言に尽きる。
「あ、あれ?違った?」
みんなの様子にフランクは驚いた表情をしながら叫びいう名の呟きを言い放った。
先程よりは数倍マシであるがまだまだうるさい。楽しい筈の朝食だったがフランクのお陰?で鼓膜が破れそうになる地獄の朝食になってしまった。食堂から脱出したレノックスとジョンは今日の予定を確認するために広間の連絡板に向かった。木造の廊下を歩いていき、連絡板の前に立つと自分の名前を探す。レノックスは直ぐに自分とジョンの名前を見つけると任務の内容を読み始めた。
「え~と・・奪取されたヤマブキシティの奪還・・・・・って、えぇ~!?バリバリ激戦区じゃん!!」
レノックスは驚きを隠せずに任務の音読を途中で放棄して叫んだ。ジョンも自分がまたあの激戦区に派遣される事実を目の当たりにし、肩を落とす。
「マ、マジかよ・・・今度こそ死んじまうって」
信じたく無い事実を知って落ち込んでいる二人の肩を誰かが後ろから叩いてきた。突然叩かれたので一瞬ビクッとしたが二人は後ろに振り向く。そこに立っていたのはカイリキーのボブだ。身長的にカイリキーは二人を見下ろしながら口を開いた。
「なぁに大丈夫だって!お前達は俺の小隊になったからな」
「え!?そうなんですか!?」
レノックスは信頼できる上にCランクの実力者であるボブの小隊に属している事を知り、多少笑顔が零れる。さらにあのやたらと声の大きいフランクも一緒でこの四人+衛生兵の五人一小隊で行動することもボブから知らされた。部屋に戻った二人は早速準備を始める。
この前のようなピクニック的な荷物ではなく、撃ち方の知らないハンドガンや予備のマガジン、ナイフなど戦地に赴く荷物である。
「よし。こんなもんでいいだろ」
レノックスは真剣な表情でバックの口を閉めて手袋を嵌め、肘当てと膝当てを装着し、ジョンと一緒に部屋を出る。そこにはライフルを背負ったフランクやボブ、そして青色の体に白い綿毛の様な羽を持ったポケモン、チルタリスが既に待っていてくれた。
この人誰?とでも言うようなレノックスとジョンの表情を見てボブが口を開いた。
「おぉそうだ。お前らはお初だな。こちらは衛生兵のレイアさんだ」
ボブに紹介されるとチルタリスのレイアは二人の前に立ち、綿毛の様な羽を差し出した。
「私はレイア。よろしく」
彼女は種族柄声がとても綺麗である。フランクがこんな声ならば・・・。声を聞いた二人の頭の中に一瞬そんなことが浮かび上がる。しかし直ぐにそれを頭の中から消去し、レノックスとジョンは威勢良く名前を名乗ると差し出された羽を握って握手を交わした。
「俺はレノックスです。よろしくお願いします!」
「俺はジョンです。よろしく!」
その後、仲間達と共に寮を出て他の小隊と合流し、激戦区であるヤマブキシティに向かって歩き出した。一向は眩い日差しが容赦なく照り付ける中、長い道のりをひたすらに歩いていく。頭上には耳に無線を着けた飛行タイプのポケモンがゲリラ攻撃を警戒して見張りをしている。何度か休憩を取りながら丸一日歩き続け、日が沈んだ頃にようやく荒廃したヤマブキシティが見えてきた。ヤマブキシティでは照明弾が幾度と無く打ち上げられて昼間の様に明るい。先頭を行く小隊の隊長が合図を出すと同時にグラウンド国の兵士が一斉に攻撃を開始した。
「よし!俺達も行くぞ!!離れるなよ」
ボブの命令に従がって姿勢を低くし、レノックス達は一列になって進んでいく。敵はヤマブキシティに簡易砦の様なもの建設しておりそこから火炎放射などの遠距離技や設置してある機関銃で攻撃してくる。爆音や銃声、そして叫び声が響く中。廃墟の陰に隠れながら徐々に敵の砦との距離を縮めていく。そして敵の砦まで百メートルほどの場所で一端立ち止まった。
「どうするか・・・他の小隊を見る限り機銃で一掃されてるしな」
カイリキーは照明弾に照らされた敵の砦を睨みながら呟いた。ボブの言う通り、果敢に突撃して行ったグラウンド国の兵士達は機関銃で一掃されており近付く事が出来ない状態であった。両国の兵士は睨み合いの状態になり、辺りを緊張感が支配する。小さな物音でも戦闘が始まりそうな一触即発の状態だ。
「おい、各小隊の隊長は一回集まれ、作戦を決めるぞ」
耳に着けた無線からグラウンド国の兵士の声が聞こえて来る。それを聞いたボブは今まで敵を睨んでいたがレノックス達の方に振り返り、口を開いた。
「お前たちはここで待ってろ。俺は作戦を決めてくる」
「はい」
レノックス達が返事をするとボブは中腰で何処かへ歩いて行った。レノックス達はボブの指示に従ってずっと待機する。直に照明弾が底を尽き、辺りは真っ暗になり暗闇の向こうに在るであろう敵の砦とずっと睨み合いを続ける。距離は百メートル程、正直数百人居るのだから一気に攻めれば直ぐにでも敵を殲滅できそうである。しかしその時、敵陣の方向から悲鳴が聞えてきた。その悲鳴に兵隊達全員が驚き、銃やら遠距離技を暗闇で見えない敵の砦に撃ち込んでいく。銃声に紛れて敵の砦からは絶え間なく悲鳴が上がる。しかし真っ暗なので敵の状況が分からない。こちらの攻撃で悲鳴を上げているのかそれとも何か別の理由があるのか・・・。銃声を聞きつけたボブが大慌てでレノックス達の元へ戻ってきた。
「一体何があったんだ!?敵が攻めてきたのか?」
「いや・・その、敵陣から悲鳴が聞えて・・それでみんな驚いて・・・」
ボブの質問にレノックスは荒い息遣いで胸に手を当てながら答えた。ジョンやフランク、衛生兵のレイアも息遣いが荒い。みんな相当驚いていた様子だ。
「それで、敵はどうなったんだ?」
ボブは比較的落ち着いた様子でレノックスに話し掛けた。
「わ、分かんないです・・・暗くて何も見えないですし・・」
辺りは暗闇が支配しており照明弾が尽きた状態では確認の仕様が無い。かと言って無闇に近付けば敵の機銃で蜂の巣にされる可能性もあるため行動できない。敵の砦からは先程まで聞えていた悲鳴は消えており、代わりにあるのは静寂だけである。
「くそ・・確認できないか・・仕方ない。ここは無闇に動かずに朝まで待機しよう」
「はい」
レノックス達はボブの意見に賛成し、他の兵隊にもそれを伝えた。グラウンド国の兵士達は交代で見張りをし、静寂と暗闇の夜をじっとしながら太陽が顔を出すのをひたすらに待つ。とてもではないが緊迫した状態の為、寝ることなど出来ない。それに足元は瓦礫だらけだ。そんな状態でようやく朝を向かえ、辺りは次第に明るくなってくる。陽光に照らされた敵の簡易砦からは物音一つ無く異様なまでに静かだった。そして慎重に敵の砦との距離を縮めていく。敵の機銃が見えるのだが肝心な射手の姿が無い。
「なぁジョン。静か過ぎないか?もう五十メートル切ったって言うのに何も仕掛けて来ないなんておかしいよ」
レノックスは撃ち方も知らない銃を見様見真似で構えながらジョンに聞く。ジョンは頻りに鼻を動かしながらレノックスに言った。
「確かに・・。臭いもなんか変だ」
レノックス達はゆっくりと、そして奇襲に警戒しながら廃墟郡を歩いていると最初に辿り着いた兵士の声が聞こえてきた。
「大丈夫だ。だが来ない方がいいかもしれないぞ・・・」
普段なら敵の砦を制覇したのだから歓喜の声を上げるのがセオリーだが声の主は沈んだ表情で声にも張りが無い。次々と砦の中に到着した兵士達も顔を顰める。レノックス達も積み上げられた瓦礫の壁を越えて敵の簡易砦の中に入った。だが目に入ってきた光景は信じがたい光景だった。赤い血が付着している機関銃、無残にも切り刻まれた百人近いオーシャン国の兵士達。さらに地面に落ちている大量の薬莢。壁には銃弾の跡と血飛沫の跡が大量に残っている。どうやらここで戦闘があったようだ。
「どういうこった?仲間割れでもしたのか・・・?」
普段はすさまじく声の大きいフランクも気分が優れないのか声が小さい。砦の中はまだ硝煙の臭いと血の臭いが漂っている。
「ゴホ・・うぅ・・・」
ジョンがあまりの光景に咳き込んでいる。元々鼻が利く種族な為か、臭いも相当きつそうのであろう。レノックスと衛生兵のレイアがすかさず駆け寄ってジョンを砦の外へ連れて行った。地獄絵図だった中に比べれば外は廃墟郡なのに天国にすら感じられる。
「ゴホ・・ゴホ。だめだ・・俺には耐えらんねぇぜ・・うぅ・・」
「大丈夫?ゆっくり深呼吸して」
レノックスが見守る中、レイアがジョンに深呼吸を促す。数分間深呼吸を繰り返したジョンはようやく気分が元に戻り、敵兵の死体を運び出す仲間達を見つめていた。なかにはフランクやボブも決して良い表情とは言えない顔で死体を運んでいる。運び出された死体は積み上げられて焼却。と、言うより敵兵でも同じポケモンである事に変わりは無い為火葬され始める。
「・・・一体なんで敵はみんな死んだんだろう?」
レノックスが燃え上がる死体の山を見つめながら呟く。横に立っていたレイアがレノックスの言葉を聞き、火葬されている死体の山を見ながら言った。
「さぁ・・でも私は仲間割れじゃないと思う」
「え?なんでですか?」
レノックスが言おうとした事をジョンが先に口にした。
「衛生兵としての意見だけど仲間割れなら銃で撃たれたり、技を喰らったりするのが普通じゃない。でも敵の死体は全て切り裂かれてる。それも首を中心的に・・・・」
さすがは衛生兵なだけあって彼女は惨い死体をしっかり観察していた。しかしだとすると第三者がした事になる。だがあの暗闇であれだけの人数相手に接近戦で殺したというのも普通のポケモンならまずありえない。
「でもレイアさん。第三者だとしてもあれだけの人数を接近戦で殺すなんて普通のポケモンには無理ですよ・・少なくとも・・」
レノックスが自分の意見をレイアに話していると突然ジョンが声を上げた。
「あ!!レノックス!!あいつ等なら・・・」
「あいつ等?・・・・あぁ!!そうか!!」
レノックスとジョンの二人は何か思い出したのか一緒になって声を上げた。その様子をレイアや周りの兵士達が頭の上に疑問符を浮かべながら首を傾げて見ている。
「え?どうしたの?」
レイアが首を傾げた状態でレノックスとジョンに聞いてきた。それに二人は声を合わせて
ハモりながらレイアに言う。
「この前鉱石泥棒が指名手配されてたましたよね。そいつ等に俺達は目にも留まらぬ速さで攻撃されたんです!あの二人なら可能です!」
「でもいくらなんでもあの暗闇じゃ無理じゃない?」
さすがに信じられないのかレイアはフワフワの羽を組みながら二人に言い返してきた。
「え・・う~ん」
返す言葉が出てこなく二人は黙り込んでしまった。その様子に周りで聞いていた他の兵士達も作業に戻っていく。だが一人作業に戻らない兵士が居た。彼はレノックス達の元に歩いてくると徐に口を開いた。
「確かに奴等ならありえる。俺は奴等と一戦交えたが奴等は信じられねぇ攻撃をしてきたんだ」
レノックス達はいきなり話し掛けられたので一瞬戸惑った表情をしたがその兵士に今度はこちらから話しかけた。
「信じられない攻撃?」
「あぁ、上層部の連中には信じてもらえなかったみてぇだが、奴等の一人が瓦礫の山を一瞬で粉砕したんだよ。砂漠の砂みてぇにな」
レノックス達も半分信じられなかった。が、彼の目を見る限り嘘をついている様な目ではない。それに自分達が経験した事と彼の言う事を踏まえれば十分この惨劇の犯人があの二人組みだという可能性はある。
「まぁ信じる信じないかはお前ら次第だ。じゃあな」
その兵士は最後にレノックス達にそう言って作業に戻って行った。その後、敵が謎の全滅を遂げるという予想外の事態に見舞われたがとりあえず目標であったヤマブキシティの奪還作戦は終了したため、作戦に参加した兵士達の半分をヤマブキシティに残してレノックス達はヤマブキシティから街に帰る事になった。小隊長であるボブの後に続き、来た道を歩いていく。
「・・・・・・・・・・」
「ん!?」
レノックスは何かの視線を感じて振り返った。しかしあるのは廃墟と化したビルだけでこれといって何も見当たらない。
(なんだ?今の視線・・・気のせいか?)
「おーいレノックス!早くしろ!」
立ち止まってヤマブキシティの方に振り返っていたレノックスの後ろからフランクの凄まじい声が襲ってきた。その声にレノックスや周りのポケモンみんなが耳を塞ぐ。
「す、すみません!今行きますから声のボリュームを・・・」
顔を顰め、懇親の力を振り絞りながら耳を塞いでレノックスがフランクに言う。そんな騒動もありながらレノックス達はヤマブキシティを後にした。その後、一日ぶっ続けで歩いたレノックス一行はようやく街にある寮に帰ってくることが出来た。レノックスも含め兵士達の顔から安堵の表情が零れる。
「ふぅ~やっと着いたよ。足の裏が痛てぇぜ」
ジョンが座り込みながら前足をほぐす様にブラブラさせて呟いた。他の兵士達も重い荷物や銃を降ろして体をほぐしている。時計を見る限りでは時間は七時。夕食時である。レノックスは一緒に戦った小隊の仲間と夕飯を食べようと思い。座り込んでいるジョンやフランク達に話し掛けた。
「この後みんなで夕飯食べませんか?」
「お!いいね。俺賛成!」
最初の声を上げたのはジョンだ。それに続けてボブやレイアも声を上げる。
「おぉ、いいぞ」
「私もいいよ」
そして声を上げてはならないフランクも・・・。全員がフランクを見ながら声に備えて耳を塞いだ。
(やべ・・フランク先輩には聞かなかったほうが良かったかも・・・)
耳を塞ぎながらレノックスは自分の失敗を反省する。しかしフランクは珍しく場の空気を読む事が出来たのか小声で返事をした。そしてレノックス、ジョン、フランク、ボブ、レイア、の五人で食堂に向かって歩いて行く。食堂に着くとみんなレノックス達と同じ考えを持っていたのか共に戦った仲間達と賑やかに夕飯を食べている。五人はしばらく五人一緒に座れる席を探して食堂の中を歩き回る。
「お、あそこ空いてんじゃないか?」
ボブが四本ある腕の一本を空いているテーブルに向けながら言った。ボブが指す方向には犇く住宅街の中にある空き地の様にぽっかりとそこだけ席が空いている。レノックス達は駆け出して即座にその席を占領した。その間にレイアが夕飯を注文する。
「アリス居る?」
レイアの呼びかけに厨房の奥から忙しそうな表情をしながらエーフィのアリスが出てきた。
「あ、レイア。なに?」
「五人分料理作ってくれる?あと十七番テーブルね。よろしく!」
「OK。直ぐに作るから待ってて」
二人は友達なのかお互いに名前を呼び捨てにしている。レイアはアリスに告げると人ごみの中に入って行き、レノックス達の座っているテーブルに戻ってきた。レイアが戻ってきてから十分程経つとアリスが料理を運んできてくれた。
「持ってきたわよレイア」
「サンキュ~、アリス」
レイアが笑顔になりながらアリスから受け取った夕飯をレノックス達に配っていく。レイアが配り終えるとレノックスは早速いただきますと声を上げて食べ始めた。食べ始めたレノックスを見てフランクも息を吸い込んだ。それと同時に隣に座っていたボブが慌ててフランクの口を手で押えた。
「フランク。お前は心の中でいただきますって言え・・」
「ん・・んん!(先輩!なんでっすかー!!)」
バタバタともがいているフランクを押えるボブを見ながらレノックス達は夕飯を口に運んでいく。ジョンに至っては周りに目をやること無くグラエナ族伝統の食べ方でムシャムシャと食べている。そしてみんなで楽しく夕飯を食べ終えるとレノックスはジョンと一緒に自室に戻って行った。先程までの賑やかな雰囲気とは打って変わり、自室はとても静かであった。窓の外から虫の鳴く声が入ってくるぐらいでほとんど何も聞こえない。
「ねぇジョン。もしあの二人組みが惨劇の犯人だったらどう思う?感謝する?それとも憎む?」
レノックスは密かに心の中に抱いていた素朴な疑問をジョンにぶつける。
「え?もちろん憎むさ。だってあいつ等は俺達を殴り逃げしたしあんな残酷な殺し方、同じポケモンとして許せねぇ」
「そっか・・・。まぁそれが普通だよな」
ジョンの言葉に納得したレノックスはベッドに横になり、夜空に輝く月を見ながらジョンに一言おやすみと言うと目を閉じた。





レノックスとジョンが話していた頃、ヤマブキシティから数キロ離れた場所でローライトとクロードが岩に腰掛けながら体を休めていた。
「ハクション!」
「ハクション!」
ローライトとクロードの二人は何の前触れもなく突然くしゃみが出た。そして二人共目を合わせる。
「・・・隊長。風邪でもひいたんですか?くしゃみしてましたよ」
「いや、大丈夫だ。そう言うお前もしてたぞ」
「あ、まぁ・・誰かが俺達の噂でもしてるんですかね・・」
「フン、そんな迷信を信じてるのか?もっと現実的になれ」
その時、座り込んで話をしている二人の後ろの岩陰から突然、植物のツルの様な物が二本伸びてきた。二人は瞬時に巻きつかれ、体の自由を奪われてしまった。普通なら絶望的状況だが二人は全く慌てる様子が無い。
「はぁ・・噂をすればって感じですね」
「そうだな・・・」
ローライトが一言そう言うと撒きついていたツルが燃え始め、灰となって地面に落ちた。
「出て来いよ。なんか用があって俺達の所まで来たんだろ?」
ローライトが古傷のある右目で岩陰を睨みながら淡々と言い放つと岩陰から四人のポケモンが姿を現した。岩陰から姿を現したのはメタグロス、フシギバナ、サイドン、ウインディの四人でそれぞれ肩の部分にはグラウンド国の刺青が入っている。先程のツルはおそらくフシギバナの技であろう。四人の中のメタグロスが一歩前に出ると徐に口を開いた。
「ほぉ、巻き付かれる前に目に見えない極小の火の粉をツルに浴びせた・・・ってところか」
「無駄話の必要は無い。用件はなんだ?」
ローライトは鋭い目付きでメタグロスを睨みつけながら淡々と言い放つ。するとメタグロスは睨むようにローライトを見ながら言った。
「なに・・グラードン様がお前等を捕獲しろと言われたからな。」
「出来るならな」
ローライトはそう告げるとクロードと共に鋭い目付で四人を睨みつけた。それに負けじとメタグロス達も二人を睨み返す。周りは緊迫した状態に変わり周辺を何者も寄せ付けないような殺気が支配した・・・・。
To be continued…

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