ポケモン小説wiki
Bios-ized Memories の変更点


#include(第十七回短編小説大会情報窓,notitle)



それ、反則だろ。

クソが。

やっとブッ殺したと思ったら、まだピンピンしてやがった。

「想定の範囲内」とかほざいてきやがった。

マジモンのクソだな。

こっちは機械改造なんてマトモにやってねえんだよ。

生身に鎧着込んで、背中に武器を背負ってるだけなんだよ。

テメェとは、アーマーガアの形だけを真似たバケモンと違って。

しかも何だその赤い光は。

こっちの体力ガリガリ持ってくし、さっきは自爆したと思ったら爆発攻撃だったし。

マジのバケモンだな。

もう一発くらい蹴りを入れてやりたいが、こうも攻撃パターンが変わったらできない。

こっちは無線の向こうにぺリッパーのジジイがいるが、あっちにはよく分からねえイカレ野郎がついてる。

あのアーマーガアっぽいバケモンはどうか知らねえが、イカレ野郎の方は、「昔は人間」だったらしい。

ご大層な事だ。

こんな、人間なんてひとりも生き残ってない世界で、まだどうこうしようなんて考えるのは。

ミサイル何発積んでんだよ、アイツは!

俺の翼じゃ物が持てないから、背中のライフルは自動ロックと自動射撃に設定してるが、こうもバカスカ撃ってこられると先に弾切れになるのはこっちだ。

やっぱり危険を冒してでも蹴りに行くか?

そう思った俺の考えはジジィに先を越されてた。

無線が飛んでくる。

「回避と射撃に専念しろ」との事だ。

簡単に言ってくれるよな。

こっちはどれだけの重さを背負って自分の翼で飛んでると思ってんだ。

ジィさんは、その図体でこんなに重たいもの持ってキビキビ飛んだ事があんのかよ。

まあ、そういう約束だしな。

「戦場に行く前に疲れたくない俺と、戦いが終わってドロドロに疲れた俺を運んでくれる」っていう。

いや、「アイツ」がいなくなってからは約束以上の事してくれてる。

そりゃあ、よく分からねえ破滅主義のイカレ野郎どもに目を付けられて、よく分からねえヘンな機械のバケモンをぶっ壊して、よく分からねえデカブツの残骸の上で戦って、「アイツ」があっちに寝返って、その「アイツ」を俺が殺して、全部のケリをつけようってなりゃ、こうもなるよな。

「アイツ」はもういない。

飛べない体を捨てて、エアームドっぽい機械の体を手に入れて、俺に銃を向けてきた「アイツ」を、俺が殺した。

それは納得の上だった。

俺も、ジィさんも、「アイツ」も。

「アイツ」は、もう一度戦う事を望んでた。

だから寝返った。

その気持ちは、俺にだって少しは分かる。

だからきっちり殺してやった。

ジジィは、俺に何も言わなかった。

俺にはそれがありがたかったし、後ろめたさもあった。

っていうか、「アイツ」が飛べなくなった理由も、「アイツ」をそそのかしたのも、あのイカレ野郎どもなんだけどな。

許さねえ、俺が「アイツ」の仇を取る!

っていう正義感なんて微塵も持ってねえけど。

おいおいおいもうヤケクソで撃ってきてねえか!?

ちょっと今かすったぞ!?

バケモンと違ってホンモノの鳥ポケモンはデリケートなんだよ!

ちょっと待てミサイルばら撒きすぎだろ!

はいはい脅威は排除排除排除ぉ!!

俺は真横を向いたライフルでミサイルの雨を蹴散らしながら、推進器の余力を気にしながらバケモンと距離を作る。

じれったいが、今はチャンスじゃない。

そういう戦場での第六感みたいなもんを、ジジィや「アイツ」に教えられたし、イカレ野郎どもは試していたような気がする。

なんとなくなんだが、イカレ野郎は俺を「黒い鳥」伝説の再来だと思ってるっぽい。

んな事あるかよ、俺は普通のドンカラスだぞ。

そういえば、俺がぶっ殺したバケモンの仲間には、「お前で28羽目」とか言われたなあ。

ちっとも嬉しくねえけど。

そりゃあ俺だってなにげに死線を何度もくぐり抜けてきたけど、伝説の「黒い鳥」って、俺よりお前らのリーダーの方こそ相応しいんじゃねえの?

ああ、これはもうラチが明かねえ。

やるか。

俺はジジィに無線を飛ばす。

「すまねえ、死んだら骨は空から撒いてほしい」と。

ジジィが「早まるな!」と返してくるが、俺は無視してバケモンに突っ込む。

ライフルを一つ捨てる。

このままじゃジリ貧だ。

勝機は自分で&ruby(は){墾};る。

ハッタリだろうがなんだろうが、戦いは意地を最後まで張るもんが勝つ。

「アイツ」にも「アイツ」のやり方があったように、それが俺のやり方だ。

勝ち筋は作っても、その先はどうだろうな。

あのバケモンを倒したところで、この世界に先はないかもしれねえ。

それでも、負けて死ぬ気はねえ。

たとえ、あのイカレ野郎の言うとおり、&ruby(この世界の全部がイカレてる){All is Fantasy};としてもな。

バケモンのミサイルはさっきで切れたらしく、俺が推進器を使って接近する中でライフルの撃ち合いになる。

てか、あっちも突撃してきやがった。

あだぁあ!?

当たっちまった!!

俺の左の翼の半分が消し飛ばされる。

痛い痛い痛い痛い痛い!!

が、ここまで来たら引けねえ!!

俺は発動機のエネルギーを全て推進器に回して、翼を一枚失った分の安定を補う。

自分の頭のすぐ隣を何かがかすめ続ける。

いい加減にしろつーの!!

俺はもう一挺のライフルも捨てて、下クチバシを胸の方に引く。

そして翼に付いたエネルギーブレードを振りかけたバケモンの顔面に、装甲がついた左足で思いっきり蹴りを入れてやった。

うっぐ!?

折れたな。

だが、推進器が止まったバケモンは後ろに大きくよろめいた。

決まったな。

あのイカレ野郎はなんて言うだろうな。

まあ、こうなりゃ俺が本当に「&ruby(アーマードコア){黒い鳥};」だと認めざるを得ないだろうな。

悪い気は、しないか。


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 拙作をお読み頂き本当にありがとうございます。
 ここからは大会投票所にて頂いたコメントの返答を致します。

>&color(#465DAA){手段は選ばない。そして、完成お疲れ様でした。};
それに続く言葉は「それが使命だからな」でしょうか? 実は、この拙作は投稿期間開始前に書き上がってたんですよ。ですが、この拙作には明確に「最後でなければならない理由」があったので。


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